株式会社クエスト
小泉裕氏(以下、小泉):株式会社クエスト取締役の小泉です。本日は当社の決算説明会にご参加いただきありがとうございます。さっそくですが、2024年度第2四半期の決算内容をご説明します。
まず、会社の概要です。当社は1965年5月に設立し、来年度に60周年を迎える予定です。青字の部分がアップデートされた情報です。連結ベースの従業員数が1,000名を若干超え、2024年度9月末時点で1,011名と着実に増員しています。それ以外の変更点はありません。
目次
本日は主に3つのポイントについて、アジェンダのとおりご説明します。
1-1. 連結業績ハイライト サマリー
2024年度第2四半期の累計実績について、ポイントをご説明します。
連結の売上高、営業利益、EBITDAを棒グラフにまとめました。過去4年の実績と、今年度第2四半期時点までの推移を表しています。グラフでは青い部分が実績です。
売上高は150億円の目標に対し、第2四半期時点で72億3,400万円です。上期の売上進捗率は48.2パーセントとなり、過去5年の平均とほぼ同様の進捗率で推移しています。
営業利益は10億5,000万円の目標に対し、上期の実績が4億9,000万円です。こちらも過去5年の平均とほぼ同じく、47.3パーセントの進捗率で推移しています。
EBITDAは営業利益からそこまでぶれることがありませんので、同じように着実に推移している状況です。総じて、上期については期初計画や前年同期に対しても順調に推移しています。
1-2. 2024年度 第2四半期実積(前年同期比較)
採算構造です。スライドの表では、左から2列目に前年度上期の実績、3列目に今年度上期の実績を示しています。その右列以降には増減額および増減率を示しています。
売上高は2億3,300万円の増収となる72億3,400万円となっています。
営業利益は約5億円の4億9,600万円で、前年同期比では4,300万円の増益となりました。
営業利益率はわずかですが0.4ポイント改善しています。
経常利益は4,700万円増益の5億3,500万円となり、EBITDAも0.3ポイント改善しています。
増減額と増減率を見ても、符号がすべてプラスになっており、着実に推移している状況です。
1-3. セグメント別・売上高(前年同期比較)
売上高の内訳です。スライドの表では上から順に、システム開発、インフラサービス、その他を示しています。
インフラサービスは主に保守・運用、その他の大部分はライセンス販売で、他社でいうサポートサービスのような事業内容となっています。
システム開発の上期実績は約45億円となる44億9,800万円で、前年同期比2億3,300万円の増収です。主に半導体とエンタテインメントの開発案件が増えた結果、増収となりました。インフラサービスについては、一部の金融のお客さまの保守・運用サービスが減額になったことから、前年同期に比べて若干数字が落ちています。
1-4. 顧客産業別売上高(ポートフォリオ比較)
顧客産業別売上高のポートフォリオ比較です。今年6月に発表した中期経営計画では、オレンジの部分を重点強化領域、紫の部分を安定成長領域、緑の部分を社会課題解決領域と設定しました。各領域の内容はスライド下部に記載のとおりです。
「どの業種が伸びているのか、外から非常に見えにくい」とご指摘をいただいていたことから、今後はこの3つの区分について見える化していきたいと思っています。
全体の売上高は約2億円増収していますが、ポートフォリオ的には前年度とほぼ変わらない状況です。
特に重点強化領域の半導体・製造については、ほとんど変わっていないように思われる部分もあるかと思いますが、同じ半導体分野でもメモリーやイメージセンサーなど、領域が分かれています。
半導体分野の中で特にメモリーはボラティリティがかなり大きいことから、同じ強化領域の中でも人員リソースを適切に配分しながら、着実に伸ばしていきたいと思っています。
1-4. 顧客産業別売上高(前年同期比較)
重点強化領域、安定成長領域、社会課題解決領域の事業概況について具体的にご説明します。各領域の棒グラフでは、濃い青で今年度の売上高を示しています。
重点強化領域では、特に半導体分野において、カメラに内蔵されているイメージセンサー領域の顧客向けシステム開発案件が昨年度比で拡大したことにより伸長しました。
メモリー市場は昨今回復してきているものの、当社の想定よりもやや遅かった部分があり、上期は前年に比べて若干落としている状況です。その点をイメージセンサー領域向けの案件拡大がうまくリカバリーしているかたちです。
安定成長領域は前年度からほぼ変わりはありません。エンタテインメント分野が伸びた一方で、金融および情報通信分野のお客さまの案件が一部終了したことから、おおむねプラスマイナスゼロという状況です。
社会課題解決領域については、まだ規模は大きくないものの、公共分野では電力系、移動分野では鉄道系の案件が入ってきており、少しずつ着実に伸びてきている状況です。
また、この領域にはヘルスケア・メディカル分野を加えています。なかなか参入が難しい部分もありますが、小規模案件から少しずつ増やしている状況です。
1-5. 営業利益の増減要因(前年同期比較)
営業利益の増減要因分析です。スライドグラフの左側が前年度の上期実績、右側が今年度の上期実績を示しています。また、青でプラス要因、赤でマイナス要因を示しています。
増収効果と業務改善効果により、営業利益は前年同期比で約5,000万円弱伸びています。その一方で、中期経営計画で掲げているように、業務の質を変えていくためにソリューションサービスへの投資を増やしています。
これらが相殺され、今年度上期は約5億円の営業利益となっています。
これまで保守・運用が事業のかなりの部分を占めていましたが、今後はエンジニアの質を変えていきます。昨今はDX人財が不足していますので、教育も兼ねて、先を見ながら人財投資を行います。また、引き続きソリューション開発投資も実施していきます。
2-1. 2024年度 通期業績見通し
続いて今年度の業績見通しです。通期業績予想は以前から発表しているとおり、売上高150億円、営業利益10億5,000万円、経常利益10億9,000万円としています。
先ほど、過去5年および昨年度とほぼ同等の進捗率とお伝えしましたが、その状況を踏まえて上方修正も下方修正もせず、期初の公表値を維持しています。
上期で半分ぐらいまで達していますし、過去の傾向から年度末でジャンプアップもしますので、このままいけばなんとか目標値に到達できると考えています。
2-2. 2024年度 計画達成に向けた取り組み
計画達成に向けた取り組みです。中期経営計画の基本方針は「事業ポートフォリオの変革」「人と技術への未来投資」「事業体質と経営基盤の強化」の3つです。
事業ポートフォリオについては、先ほども3領域についてご説明しましたが、保守・運用などの既存のコアサービスが安定的に売上を上げている間に、次の利益の源泉であるソリューションサービスを拡充していく方針です。
エンジニアについては、長年にわたり保守・運用業務を行ってきたことから、ソリューションサービスにシフトしようとした際には技術スペックが合わない部分もあり、リスキリングを行う必要があります。
その移行時には二重原価のようなものが発生してしまいますので、ビジネスパートナーの協力等をいただきながら、トップラインを維持しつつ、社員が違う領域にシフトできるように教育します。そのように利益を維持しながら、成長を実現していくことが中期の計画です。
併せて、事業を支えるための経営基盤の強化を図ります。
昨今の物価上昇に伴い、当然労務費と一般経費が上がっていきます。
これについては、まずはお客さまとの継続的な単価交渉をきちんと行います。現実的には、なかなか交渉が難しい部分もあり、すべて価格転嫁できているとは言えない状況です。しかし、お客さまと密なコミュニケーションを取りながら、少しずつ対応しています。
また、顧客産業の動向を見ながら、セグメントやセグメント内のポートフォリオに対して適切なリソース配分を進めています。
営業力の強化および重要プロジェクトレビュー強化としては、特に粗利率が低い案件から損失が出ないよう、毎月、重要プロジェクトをレビューしながら進めています。
持続的成長に向けた仕込みの部分は、主に人財投資を中心とした取り組みになっています。
3-1. 第2期・中期経営計画の重要テーマ
第2期中期経営計画の重要テーマです。先ほどご説明した基本方針と達成のための重点施策とともに、「飛び立とう、次の未来へ」を合言葉として、会社の文化も少しずつ変えていくために取り組みを進めています。
3-2. 第2期・中期経営計画の位置づけ
2024年6月に、2024年度から2026年度を第2フェーズとする中期経営計画を発表し、2026年度には売上高168億円という目標を掲げました。この数字に向けてしっかりとロードマップを作り、現在着実に実行しています。
3-3. 事業構造戦略
事業構造戦略についてです。コアサービスがベースロードとなるのに対して、ソリューションサービスの部分は付加価値が高い領域となります。
設計プロセスを中心としたエンジニアリングシステムと、MESと呼ばれる製造や実行の指令を出すシステムは、設計と製造の両方が連携するため非常に親和性があります。ERPを中心としたサプライチェーン、顧客管理システム、データエンジニアリング、BI、AIなどをプロフェッショナルサービスとしてしっかりと増やしていくことが大きな戦略となります。
DX人財の獲得がかなり難しい状況のため、バックヤード共通でのさまざまなクライアントのリモート監視やセキュリティ対応の実施など、人に依存しない領域にも力を入れていきます。
同じ保守・運用サービスでも、定期的にリカーリングで出てくる領域に対してより少ない人数で対応し、なおかつお客さまに安心していただけるようなサービスをマネージドサービスとして強化していきます。
3-4. 上半期までの主なトピックス
上半期までの主なトピックスです。まず、ソリューションサービスに関して、セキュリティ、PLM、データソリューションに関するトピックスについてご説明します。また、昨今求められているサステナビリティ経営と株価および資本コストを意識した経営についてもご説明します。
3-4. 上半期までの主なトピックス①
トピックスの1つ目は、マネージドサービスの拡充です。これはセキュリティに関するものです。セキュリティは非常に注目されている分野でもあるため、このような領域への施策をきちんと実行していきます。
これまで我々はネットワークをつないでいるファイアウォールをメインにサービス展開をしていましたが、EDRといったアクセスポイントの監視などのラインナップを増やしていきます。
また、サービスのデータドリブンのサポートとして、システム稼働の監視や事故の分析などを行います。これらのデータをうまく活用し、お客さまに提供します。
さらに、お客さまからのお問い合わせやご質問に対応するサービスデスクを設け、お客さまの課題解決をサポートするセクションやアクティビティを強化していきます。
3-4. 上半期までの主なトピックス②
トピックスの2つ目は、プロフェッショナルサービスの強化です。
PLM(Product Lifecycle Management)には設計の企画からモデルの設計までいろいろなプロセスがありますが、今当社が行っているのはPLMのシステム構築支援やデータの移行サービスです。
本来PLMで実施すべきことは、部品表の管理やドキュメントの管理です。モデルによってバージョンや仕向地(しむけち)などが違いますので、このようなデータ管理はかなり大変です。そのため、この領域にも入り込んでいきます。
M&Aで子会社化したエヌ・ケイ社は、PLMを中心として非常にエンジニアリングチェーンが強い会社です。そのメンバーとクエストのメンバーが一体となり、PLMの領域を広げています。体制強化に向けた教育も行いながら、案件を少しずつ増やして拡大していきます。
現時点でも大手製造業のお客さまから複数の案件をいただいています。システムを新しいものに入れ替える際には、現システムの継続と新しいシステムへの入れ替え・開発サポートの2つの要素がありますので、両面でしっかり獲得していきながら伸ばしていきます。
3-4. 上半期までの主なトピックス③
トピックスの3つ目は、中部地区での営業活動展開です。
先日「DX・ITフェア」に参加し、データ活用に困っているお客さまに対して有効な分析ツールの使い方を紹介しました。当日一番人気があったブースだったという報告を受けています。
このような取り組みと並行し、お客さまに価値を提供しながら我々のプレゼンスを上げていく活動を行っています。
3-4. 上半期までの主なトピックス④
トピックスの4つ目は、サステビリティ経営・資本コストと株価を意識した経営についてです。
サステナビリティについては人財投資、ガバナンス、社会還元についてマテリアリティを明記し、長期的に実行していく取り組みを示しています。また、資本コストと株価を意識した経営については、昨年度からPBR、ROE、PERの目標値を掲げながら活動しています。
私からの説明は以上になります。
質疑応答:半導体関連の見通しについて
質問者:前年度までは、半導体関連の取引先が芳しくなく、売上が端境期や踊り場のような印象でした。上期の状況や先ほどのお話からは、半導体関連が底を打ち、今後期待ができる状況になってきた感触を受けたのですが、そのあたりについて具体的に教えてください。
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