質疑応答:投資有価証券の売却のタイミングについて
kenmo氏(以下、kenmo):わかりました、ありがとうございます。続いてのご質問です。
「過去もそうだと思いますが、投資有価証券の売却は、第1四半期に集中しているように思います。これは何か理由があるのでしょうか?」というご質問をいただいています。
山下優司氏(以下、山下):今期の第1四半期だけではなく3ヶ年で言うと、メルカリの株式を先渡契約というかたちで、過去株価が今よりかなり高かった時点でデリバティブ取引を証券会社と行っています。
そのデリバティブ取引の決済タイミングを第1四半期に設定していただけなので、あくまで契約上各年度の第1四半期にしていた感じです。
質疑応答:民間宇宙スタートアップ企業への出資について
kenmo:ありがとうございます。続いてのご質問です。「最近出資された民間宇宙スタートアップ企業の『AstroX』はどういった会社なのでしょうか? また、宇宙事業への投資はほかにも行っているのでしょうか?」というご質問をいただいています。
山下:私は宇宙事業の専門家ではないので、あまり多くは話せないのですが、衛星打ち上げロケットを開発している企業です。RocketとBalloonで「Rockoon(ロックーン)」と呼ばれる、成層圏まで気球を上げてそこから空中発射をする打ち上げ方式があって、土地の面積が狭い日本でも打ち上げが可能だったり、安全性が高いというところを強みとしています。
宇宙事業の会社は数多くあるわけではないので、投資させていただいているケースはほかにはないのですが、ターゲットファンドというかたちで宇宙事業を行っているスタートアップ2社に対して投資をするファンドに投資をするという間接的なかたちで投資しているところは、ほかにもあります。
kenmo:ありがとうございます。続いてのご質問です。
質疑応答:優待を追加した理由と経緯について
「配当をしっかり出した上で今回優待を追加されたのはどういった理由でしょうか? 個人的には配当にまとめても良いと感じました」という質問をいただいています。
山下:基本的に今はDOEをベースにしており、その上に特別配当や記念配当などを加えています。特に来期以降を考えた時に、今後も特別配当のようなものを今期と同じくやるかどうかは、現段階では決めていません。
ただ、事業を伸ばしていくために事業に投資をしていかなかればいけないということを前提として捉えた時に、金額的にあまりサステナブルに続けられるような配当の額ではないかなと考えている中で、これまでも優待を考えたことはあったのですが、我々が持っているサービスの中に、株主のみなさまに提供できる優待がありませんでした。プレミアム優待倶楽部のようなサービスをあらためて認識して、こういったかたちであれば、今の配当に加えて、まずは追加施策として継続的に続けていけるのではないかと考えました。
当然、配当がベースになって、この優待を加えてさらによりしっかりと株主還元をしなければいけないタイミングになった時には、当然また配当を今期同様に積み増す可能性はあるのですが、株主還元のポートフォリオを組んでいきたいという中で、配当以外にも、何かしらみなさまに還元できる施策がないかなと考えた上で実行しました。
kenmo:ありがとうございます。来期以降、メルカリの売却益部分が剥落していく中で、今どうしてもEPSよりも配当の額が少し上回っている感じですが、来期以降の配当をどうするかは、これから検討するということですね。
山下:そうですね。基本的にはキャッシュの使い道だと捉えています。今期、前期は、事業に投資をしていきたいものを明確に投資事業としてしっかりと投資をしていくので、そこのお金は使えますが、それ以外の事業は、先ほどのご質問でもあったとおり、伸び悩んでいるところもある中で踏み込めていない現状もあります。
じゃあキャッシュをどう使うのかというところで言うと、1つは株主還元です。配当の強化を今は行っているのですが、第1優先としては事業投資だと考えているので、来期以降、踏み込める状態になれば、まずは事業でキャッシュを使いたいと思っています。
今回は、まず安定的にDOEをベースに配当させていただいて、加えて優待も追加したので、そういったかたちで還元が行えればとは思っていますが、来期以降については、今期の進捗次第かなと見ているので、今期程度の配当が行われるかどうかは、今の段階では未検討です。
kenmo:わかりました、ありがとうございます。
質疑応答:善進投資における投資判断の軸について
続いてのご質問です。「『善進投資』の志はとてもすばらしいと感じますが、それでビジネスとして成立するのはどのくらいなのでしょうか?」というご質問をいただいています。具体的にはちょっと難しいかもしれませんが、よろしくお願いします。
山下:まず前提として、我々はボランティアで投資をしているわけでもないですし、その投資を受けている発行体も、当然NPOではないので営利企業です。
すごく良いことをやっていて、これは社会のためになるから、経済考慮のところを弱めて投資しようということはなく、あくまでも社会課題に取り組みながらビジネスとして成立し成長性できるかが投資する判断に足りるかどうかというところを我々はジャッジしています。
何が大きくテック投資と違うかというと、その成長に要する期間が一番違います。例えば通常のベンチャーキャピタルビジネスは、だいたい2〜3年ぐらいで集めたお金を投資して、そこから10年以内の間におおよそ回収をするというようなビジネスになっています。
我々の善進投資の場合、もしかしたら10年で収まらないかもしれないというところも含めて投資をしているので、そういった意味では、成長に要する時間はかかるけれども、最終的な経済合理はテック投資より大きくなる可能性もある、それほどに社会の深い課題の解決を行おうとしているところを選定している感じです。時間はかかるかもしれませんが、リターンは大きくなるであろう、あってほしいと考えています。
kenmo:ありがとうございます。ユナイテッドさんは上場会社、事業会社であるがゆえに、万年赤字がわかっている会社に投資するわけにはいかないと思います。基本的にはいずれ収益化、黒字化が見えているところに投資するという方針なんですね。
山下:そうですね。当然利益は出ればいいと思いますが、やはりスタートアップに大事なのは成長性だと思っています。ただ、成長すれば赤字でもいいというわけではなく、必要な事業投資を行いながら、しっかりと急激な成長ができるかどうかが、第一義だと思っています。
当然今上場している大きな企業にも、事業投資を緩めれば利益が出るというフェーズがあったと思います。成長性というところで、収益が出にくい構造になっているビジネスはけっこうあるのですが、そういう企業ではなく、ユニットエコノミクスがしっかりと回れば利益が出る企業に対して、検証した上で投資をします。
kenmo:よくわかりました、ありがとうございます。残り、ご質問は3問ほどです。ご質問ある方は、ぜひよろしくお願いします。
質疑応答:子会社について
続いてのご質問です。「貴社の子会社は、基本的に投資事業で投資先となった企業をグループに組み入れているという理解でよろしいのでしょうか?」というご質問をいただいています。
山下:現段階では、1件も投資事業で投資したところを子会社化はしていません。基本的には投資後、EXIT(IPO・M&Aなど)で株式を売却してリターンを得るという、いわゆるベンチャーキャピタルビジネスをやっているので、今の子会社は内部から分社化したものか、我々が投資事業とは別のところでM&Aを行ってきた企業です。
質疑応答:授業員の推移について
kenmo:わかりました、ありがとうございます。
続いてのご質問です。「各事業ごとの従業員推移はどのような状況でしょうか?」というご質問をいただいてます。
山下:ビジネス的に労働集約なモデルになるフェーズにもまだなっていないところもあるので、大きな増加はあまりないです。各年度の中で一定の増減はあるので、その範囲の中で現在は動いています。
ただ、特徴的なところとして、投資事業は、前々期の第1四半期の7人から、今期第1四半期は17人まで増えています。
投資事業に関しては、投資件数の拡大などを目的に、一定、中途採用、新卒採用ともに人員を増やしています。それ以外のところは、おおよそ今の規模ぐらいでの増減が続いている感じです。
質疑応答:育休取得率について
kenmo:わかりました、ありがとうございます。続いてのご質問がいただいてる最後のご質問です。
「有報を見ると、育休取得率100パーセントとなっていてすごいと感じるのですが、基本的に育休を取るのが自然な社風なのでしょうか? それとも、該当者が1名とかでたまたま育休を取得していたのでしょうか?」というご質問をいただいています。
山下:1名ではないのですが、社員数が数千名とかではないので、そもそも母数がそんなに多くないのは確かです。ただし、僕はコーポレート管理本部の担当をしているので、育休は取るものだというのを基本的には前提に思っていますし、社員もそう思っていると思います。
男性に関しては、10年前からそうだったかというとやはりそうではなかったと思いますが、やはり男性社員自身もそういう状況になったら「育休を取ります」と早めに言ってくれますし、我々もぜひ取ってねというのを前提にしているので、このあたりは社会全体の流れとあまり反していない状況かなと思っています。
質疑応答:社会課題に対する考えについて
kenmo:わかりました。ありがとうございます。追加でご質問を1ついただいています。
「『善進投資』に興味を持ちました。今貴社が社会課題として重要だと考えられていることを、いくつか教えていただきたいです」というご質問をいただいています。
山下:そうですね。会社として明確に、どの社会課題だとは指定していないのですが、日本は社会課題の課題先進国と言われていて、世界の中でも、いずれ来るであろういろいろな社会課題に真っ先に直面しているとよく言われています。
その中で言うと、やはり少子高齢化、そして少子高齢化から来る労働人口の減少問題、あとは地域との格差、それは貧富というよりは教育格差や、男女の格差で、どちらかと言うと人に関わる問題のところが、テーマとしては多いのかなと思っています。
実際に投資しているのは、もっと幅広かったりするので、あまりこれというのはないのですが、やはり我々が、いろいろな先進国がいずれ直面する課題に一番先に当たるので、それをどうにか解決していくところの支援をしていきたいと考えています。
個人投資家へのメッセージ
kenmo:ありがとうございます。いただいているご質問は以上です。本日、たくさんご質問をいただき、ありがとうございます。また山下さま、丁寧にご説明いただきましてありがとうございます。
ぜひ最後に、山下さまから、本日ご視聴いただいている個人投資家のみなさまに向けて、一言メッセージをいただければと思います。よろしくお願いします。
山下:みなさん、平日の夜にお集まりいただき、当社のお話を聞いていただき、またいろいろとご質問いただき本当にありがとうございました。
いくつか質問でもいただいたとおり、みなさんが興味を持ちやすい投資の分野や、教育、人材マッチングなど、現状は足元でいろいろと状況が混ざっている状況ではありますが、しっかりと全事業を伸ばしていくために今取り組んでいます。
ただ、そういった取り組みが数字として出てくるのは、もう少し先になる部分も当然あるかなと思っていて、現時点では、配当や優待など、株主還元のところで興味を持っていただいて、我々の株式を買っていただければと考えているので、そういったところでもご注目いただければなと思っています。本日は、どうもありがとうございました。
kenmo:あらためて山下さま、どうも最後までありがとうございました。
山下:ありがとうございました。