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曾我英俊氏:フジ日本株式会社、代表取締役社長、曾我英俊です。中期経営計画「CHANGE 2028」がスタートしました。本日は、当社の事業活動を紹介すると同時に2025年3月期中間期の決算実績と通期の見通しについてご説明させていただきます。

01-会社概要

2024年10月1日より社名を変更し、フジ日本株式会社としてスタートしました。新社名に変更後、お客さま、お取引先さまからは「チャレンジが始まった」という姿勢を好意的に受け止めていただいています。「食を科学し世界をパワフルに!」というパーパスを発表し、長期ビジョンを打ち出すことで、人財採用の面でもインパクトがありました。新卒採用だけでなく、キャリア採用についてもよい反応が出ています。

01-会社概要

当社は1949年の創業以来、お砂糖の製造販売を行ってまいりました。さらに最近は水溶性食物繊維「イヌリン」などの機能性食品素材を日本国内だけでなく、タイを中心とした東南アジアで販売を行っております。

従業員数はフジ日本、ユニテックフーズ、Fuji Nihon Thai Inulinなどグループ全体で234名であります。

02-事業内容

まずは主力の精糖事業の紹介です。お砂糖は古くからわたしたちが生活する上で欠かせない、とても身近な食品です。料理やお菓子作りで食材をより際立たせて美味しくするのはもちろんのこと、心臓や筋肉を動かす脳への大切なエネルギー源となり、体づくりを促進する効果もあります。また、お砂糖は添加物などが一切使われていない、自然の恵みから生み出された天然の甘味料です。わたしたちはお砂糖を通してみなさまの楽しく健康な生活をサポートいたします。

次に非砂糖事業として注力しております機能性素材事業の紹介です。機能性食品素材イヌリン「Fuji FF」は、世界で唯一のサトウキビ由来の水溶性食物繊維です。私たちは精糖事業で培った経験を基に、独自の技術によって世界で初めてお砂糖からイヌリンを作り出すことに成功しました。腸内環境の改善をはじめ、肌や骨、脳機能など身体のさまざまな健康機能へ効果があることが分かっています。イヌリンを通じて「腸のキレイ」から身体や心を健康に、そしてみなさまの「しあわせ生活」をサポートいたします。

次にフードサイエンスです。粉末化・乳化およびCD包接技術、抽出エキス加工技術、配合技術などをベースに食添GMP(HACCP対応)に基づく品質管理システムで、ビタミン等を中心とした食品添加物製剤や各種機能性素材の受託加工(開発・試作・製造)を行っています。

最後に切花活力剤キープフラワーです。精糖会社の専門知識を活かし、切り花の栄養分となる糖をもっとも吸収しやすいかたちにして商品化しました。消費者のみなさまへはもっと気軽にお花を楽しめるようになり、お花の香りや色を感じて元気をもらい、四季折々のお花で暮らしに彩りを添えるお手伝いをいたします。

03-2025年3月期中間期決算概要

当期の日本経済は個人消費の持ち直しに足踏みがみられるものの、景気の緩やかな回復が続くことが期待されていますが、資源価格や原材料価格の高騰、円安による物価上昇や金融市場の変動などにより、景気の先行きは依然として不透明な状況となっております。

このような環境下、当社グループでは中期経営計画「CHANGE 2028」にて、東南アジアでの事業拡大、フードサイエンス領域の事業創出、M&Aを軸とした成長投資、ビジョン実現に向けた強い組織づくり、IRの強化と株主還元の5つの重点テーマを掲げ、計画推進のスタートを切り、堅調に推移しております。

03-2025年3月期中間期決算概要

2025年3月期中間期の決算につきましてご説明いたします。

売上高は、精糖事業でのコストUPに対する販売単価への反映を進めたこと、機能性素材事業での拡販効果もあり、前期比8.8パーセント増の136億1,200万円となりました。

営業利益は、精糖事業において適正な販売価格と堅実な原料調達ができたことにより、前期比52.2パーセント増の16億1,700万円となりました。

経常利益は、前期に一過性の受取配当金が発生したため前期比0.6パーセントと微増ですが、18億9,800万円となりました。

投資有価証券売却益の発生により、親会社株主に帰属する中間純利益は前期比13.3パーセント増の16億3,400万円となりました。

03-2025年3月期中間期決算概要

精糖事業は、インバウンド需要の継続的な増加などにより、製品の荷動きが活況になりつつあるなか菓子関係が堅調に推移しましたが、一方で価格高騰による買い控えが見られたこともあり、販売数量は前期比減となりました。しかしながら、営業体制の強化を図り、品質管理を徹底して製品の安定供給に取り組むことで顧客満足度を高め、堅実で安定した原料調達を図り、コスト削減に努めました。

その結果、精糖事業は、売上高が前期比4.4パーセント増の67億5,400万円、営業利益は前期比66.3パーセント増の12億9,600万円の増収増益となりました。

機能性食品素材「イヌリン」の国内販売は、物性改善や機能性訴求による夏向け商品への採用増により、前期比で販売数量が増加しました。連結子会社Fuji Nihon Thai Inulin Co.,Ltd.社では、東南アジアの市況が回復したこと、拠点であるタイ国での販売も堅調に推移し、増収増益となりました。

連結子会社ユニテックフーズ株式会社は、引き続き主力のペクチン、ゼラチン、コラーゲンで販売数量が大きく伸長した結果、増収増益となりました。

これらの結果、売上高は前期比13.9パーセント増の63億8,700万円、営業利益は前期比21.2パーセント増の5億6,400万円となりました。

不動産事業は、昨年9月にビジネスホテル「東横INN茅場町駅」の賃貸を開始し、その他の収益物件も安定稼働した結果、売上高は前期比13.2パーセント増の3億2,700万円、営業利益は17.4パーセント増の2億8,900万円の増収増益となり、引き続き安定収益確保に貢献しました。

03-2025年3月期中間期決算概要

セグメント利益の「調整額」は、報告セグメントに帰属しない親会社の管理部門及び研究開発に係る一般管理費であります。当中間期は前期比1億300万円増加していますが、これは中期経営計画で掲げた事業成長投資に係る先行支出費用の発生によるものです。

03-2025年3月期中間期決算概要

財政状態の概況をご説明いたします。当中間期における各財政状態の変動状況は、次のとおりであります。

資産につきましては、流動資産で前期末に比べ14億4,900万円増加し、183億7,000万円となりました。これは主に現金預金の増加等によるものであります。また、固定資産は前期末に比べ8億6,700万円減少し、146億3,000万円となりました。これは主に投資有価証券の減少等によるものであります。

負債につきましては、流動負債で前期末に比べ増加し、66億7,300万円となりました。これは主に買掛金の増加等によるものであります。

また、固定負債は前期末に比べ2億5,700万円減少し、18億1,100万円となりました。これは主に繰延税金負債の減少等によるものであります。

純資産につきましては、前期末に比べ6億6,300万円増加し、245億1,500万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する中間純利益の計上による利益剰余金の増加等によるものであります。

03-2025年3月期中間期決算概要

地域別の状況をご説明いたします。

精糖事業は、ほぼ日本国内の販売となっております。

機能性素材事業は、イヌリンは日本国内販売においては販売数量が増加しました。また、Fuji Nihon Thai Inulin Co.,Ltd.社では、東南アジアの市況が回復したこと、拠点であるタイ国での販売も堅調に推移しました。海外関連会社の持分法投資利益の計上もあり、海外営業利益比率は前期比3.0ポイント上昇し8.1パーセントになりました。

今後もタイを足掛かりに世界に向けて挑戦を続けてまいります。

03-2025年3月期中間期決算概要

連結キャッシュ・フロー計算書についてご説明いたします。

当中間期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期末に比べ12億7,800万円増加し、65億5,300万円となりました。当中間期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローについて、当中間期において営業活動の結果得られた資金は、17億200万円(前年同期3億4,200万円支出)となりました。これは主として、棚卸資産の増減額等によるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローについて、当中間期において投資活動の結果得られた資金は、2億7,500万円(前年同期2億700万円支出)となりました。これは主として、投資有価証券の売却及び償還による収入等によるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローについて、当中間期において財務活動の結果使用した資金は、7億100万円(前年同期3億4,300万円収入)となりました。これは主として、短期借入金の純増減額等によるものであります。

03-2025年3月期中間期決算概要

通期の連結業績予想についてご説明いたします。

精糖事業につきましては、海外からの観光者も増え、国内の観光やイベントも復活し、消費は回復傾向にあります。一方、加糖調製品や他甘味料の浸食、少子高齢化などによる砂糖の消費減少傾向は続いております。当社グループは、引き続き営業体制強化を図り、品質管理を徹底して製品の安定供給に取り組むことで顧客満足度を高め、堅実で安定した原材料仕入れを図りながら更なるコスト削減に努めてまいります。

機能性素材事業につきましては、機能性食品素材イヌリンの国内販売において、肌機能を含めた新たな機能性による既存顧客の深耕及び新規顧客獲得による販売数量拡大を図ってまいります。海外販売においては、東南アジアでの商圏回復を目指すとともに、米国、インドなどの新たな販路開拓を図ってまいります。連結子会社ユニテックフーズ株式会社では、ペクチンをはじめとする既存の増粘多糖類の拡販をし、長年蓄積してきた技術力を活かして、海外での販路開拓を目指してまいります。

不動産事業につきましては、引き続き、自社所有賃貸物件の維持管理による安定収益の確保に努めてまいります。

以上の結果、2025年3月期の業績予想は、売上高が前期比7.0パーセント増の277億円、営業利益は前期比10.4パーセント増の24億円、経常利益は前期比6.3パーセント減の30億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1.3パーセント増の24億円と増収増益を見込み、当初の業績予想を上方修正いたしました。

04-配当

当社は、経営基盤の強化を図りながら企業価値の向上に取り組んでおり、株主のみなさまに対しては、安定的な利益還元のためDOE3.5パーセント以上を目指しております。

この方針を踏まえ、業績水準、財務状況などを総合的に勘案した結果、当初の予想通り1株当たり配当金を中間15円と決定し、期末は17円を予定しております。

05-トピックス

当社は、株主のみなさまの日頃のご支援に感謝するとともに、当社製品および当社事業へのご理解をより一層深めていただくため、また、当社株式への投資魅力を高め、中長期に保有していただくことを目的に、株主優待制度を導入しております。

この度、更なる株主さま満足度の向上を目的として、当社株式の所有数に応じて株主優待制度を変更(拡充)することといたしました。

従来の制度に加えて、500株以上1,000株未満保有の株主さまには5,000円相当、1,000株以上保有の株主さまには10,000円相当の自社製品詰め合わせを贈呈いたします。

05-トピックス

長期ビジョン「NEXT VISION 2040」においては、人的資本経営の推進を経営戦略の1つとして掲げています。社員が株主・投資家のみなさまと同じ視点から経営に参画する意識を醸成するために、所定の要件を満たす当社社員に対して、譲渡制限付株式を付与いたしました。これを機に社員が一丸となって1つの方向を向き、中期経営計画「CHANGE 2028」を強力に推進していく所存です。

株主のみなさま方には、今後も長期保有をお願いするとともに、引き続き厚いご支援を賜りますようお願い申し上げます。

05-トピックス

当社は、⾧期ビジョン「NEXT VISION 2040」において、「精糖メーカーからフードサイエンスカンパニーへ」の実現に向けて機能性素材事業の強化を掲げております。精糖事業で培った経験をもとに独自の技術によって世界で初めて砂糖から「イヌリン」を製造し、腸内環境の改善を起点とし、肌や骨、脳機能など身体のさまざまな健康機能について発表しております。さらに、砂糖由来のイヌリンは、有用な腸内細菌を増やす効果が高いことがわかっており、腸活素材としてのさらなる拡大を目指しております。

サイキンソー社は、「細菌叢で人々を健康に」を理念に掲げ、腸内細菌叢検査サービス「マイキンソー(Mykinso)」を展開しており、個人の腸内フローラデータに合わせた食習慣やライフスタイルを提案することで、あらゆる疾患リスクを低減し、誰もが自然と健康になれる0次予防が実現する社会を構想しています。

今回の出資提携により、腸内細菌検査事業等に関する協業を通じ、サイキンソー社が有する腸内細菌叢検査システムの開発技術、蓄積された知見、当社における優位性がある素材及びノウハウを掛け合わせることで腸内環境サービスの拡大、認知の向上を進め、「世界の健康な生活づくり」を目指します。

当社は腸活素材としてサイキンソー社製品向けのイヌリンを供給するとともに、サイキンソー社がこれまで蓄積してきた腸内環境に関する知見の活用を通じ、自社イヌリンの整腸作用効果の強みを活かし、腸内環境テーマの自社商品開発を行います。また、サイキンソー社の検査キットの認知、利用の拡大に向け、当社が展開する腸活素材とのクロスセル可能なサービスの創出を進めます。

05-トピックス

中期経営計画「CHANGE 2028」の達成に向け、タイ国における当社グループの事業運営を効率化するため、FUJI NIHON(Thailand)Co.,Ltd.社を完全子会社化の上、資本増強を行い、 既存卸売業のさらなる推進とタイ国並びに周辺諸国での事業拡大を企図した投資の機会の追求をしていくことといたしました。

05-トピックス

コンクールの審査会場には小池百合子東京都知事にもご来場いただき、ご自身もマカロンを愛する一人として、未来のパティシエを目指す若者たちへの応援の意を示してくださいました。

審査会場では、学生たちが創意工夫して作りあげた力作を一つひとつ丁寧にご覧になり、協賛企業や審査委員、協会関係者との記念撮影にも快く応じていただきました。

本資料の取り扱いについて

ご清聴ありがとうございました。