内容

大江伸治氏(以下、大江):代表取締役社長兼社長執行役員の大江です。本日はご多用のところ、弊社の2025年2月期中間期決算説明会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。2025年2月期中間期の業績結果及び、2023年10月6日に公表したPBR改善計画の進捗状況についてご説明します。

スライドにはアジェンダを記載しています。1つ目が2025年2月期中間期業績結果、2つ目が2025年2月期中間期振り返り、3つ目が2025年2月期通期計画、4つ目が資本戦略です。

連結PL:中間連結会計期間

中間決算の定量結果です。スライドに記載した数字は小数点第2位以下を四捨五入しています。

売上高は279億円で、前年差2億5,000万円の減少、計画差4億円の下振れとなりました。売上総利益は175億4,000万円で、前年差8,000万円の増加、計画差1億6,000万円の下振れとなっています。販管費は169億4,000万円で、前年差1億9,000万円の増加、計画差2億6,000万円の下振れとなりました。

営業利益は6億円で、前年差1億2,000万円の減少、計画差1億円の上振れとなっています。経常利益は6億8,000万円で、前年差1億1,000万円の減少、計画差1億3,000万円の上振れとなりました。当期純利益は4億6,000万円で、前年差2億9,000万円の減少、計画差1,000万円の上振れという結果でした。

連結PL:KPI

KPIです。売上総利益率は62.9パーセントで、前年差0.8ポイントの改善、計画差0.3ポイントの上振れとなりました。販管費率は60.7パーセントで、前年差1.2ポイントの上昇、計画差0.1ポイントの下振れとなっています。

営業利益率は2.1パーセントで、前年差0.4ポイントの低下、計画差0.4ポイントの上振れとなりました。経常利益率は2.4パーセントで、前年差0.4ポイントの低下、計画差0.5ポイントの上振れとなっています。純利益率は1.6パーセントで、前年差1.0ポイントの低下、計画どおりとなりました。

上半期実績の月別詳細(単体)

上半期実績の月別詳細です。今中間期は前年比で減収減益という結果に終わったわけですが、その背景を第1四半期と第2四半期に分けてご説明します。

スライドに記載のとおり、中間期の累計では前年比99パーセントと、わずかに前年を下回りました。第1四半期と第2四半期別では、第1四半期は前年比96パーセントと前年から大きく落とした一方で、第2四半期は103パーセントとわずかに前年を上回っています。このように第2四半期は前年を上回ることができたのですが、残念ながら第1四半期の落ち込みを挽回できず、結果として前年比99パーセントに終わりました。

第1四半期が前年を大きく下回ったのは、前年がコロナ禍明けのリバウンド需要で盛り上がって、数字を大きく伸ばしたことが要因です。特に、それまで途絶えていたオケージョン対応商品が絶好調に推移したのに対して、本年は通常の商戦サイクルに戻ったため、その反動が出たと言えます。ある意味で、前年が良すぎたということです。

加えて、もう1つの要因としては在庫の削減が進んだことも挙げられます。特に、繰越在庫がこの2年で大幅に減少しており、商材不足でセール売上が非常に不調でした。そのため、第1四半期については、プロパー売上はほぼ前年並みの数字が確保できたのですが、セールで大きく落としたという結果です。

一方で、第2四半期においては、6月は春夏物のプロパー販売が本格化して大きく伸びたのですが、7月、8月と伸び悩みました。本年は、前年の反省をもとに、クリアランスの短期化あるいは猛暑の定着をある程度予測して、盛夏のジャストシーズン商材も準備して臨んだのですが、特に盛夏用のプロパー商材の上代設定が少し高くなりすぎてしまいました。この時期の商品に不可欠な要素である、いわゆる値ごろ感を欠いたために、消費者ニーズとのミスマッチが起こったことなどが伸び悩みの主因ではないかと考えています。

ちなみに、第1四半期のプロパー販売比率は83パーセントで、これは前年を1.0ポイント上回っています。粗利率も64パーセントと、こちらも前年を0.9ポイント上回っています。

一方で、第2四半期のプロパー販売比率は48パーセントと、前年から1.0ポイント低下しました。ただし、粗利率については、第2四半期も61.5パーセントと前年から0.8ポイント上昇しています。結果として、粗利率は第1四半期、第2四半期を通じて前年を上回ることができました。

連結BS:中間連結会計期間

バランスシートの主要項目の対前年同月比較です。スライドに記載のとおり、現金・預金が31億円増加しました。これは営業黒字基調が定着したことによる営業キャッシュフローの増加が要因です。

商品・製品は2億4,500万円増加しています。こちらは後ほどご説明しますが、当期品と翌期品が大幅に増加する一方で、繰越品は前年から2億4,000万円ほど減少しました。したがって、在庫の中身については引き続き改善が進んでいます。

無形固定資産の3億5,700万円の減少は、「Paul Stuart」をはじめとする商標権の償却が進んだ結果です。その他の資産の3億円の増加は、投資有価証券の時価評価による洗い替えの結果です。その他の負債が7億5,000万円ほど増加していますが、これは繰延税金負債の3億6,000万円の増加と、その他長期リース債務が増加したこと等が要因です。

純資産が22億1,000万円増加した要因は、利益剰余金が増加したことによって株主資本が14億7,000万円増加したことと、その他の包括利益累計額が約7億3,000万円増加したことです。

また、総資産が33億9,400万円増加していますが、これは今お話しした純資産の増加に加えて、買掛債務、借入金、その他の負債の増加によるものです。純資産が22億円増加しただけでなく、総資産も34億円弱増加したことで、期末の自己資本比率は69.6パーセントと、前年同月差は0.3ポイント程度の低下となっています。

重点施策の進捗状況と評価

中間期決算の振り返りです。スライドに、重点施策の進捗状況と評価を記載しています。

売上高の確保については、冒頭でお伝えしたように前年差で2億5,000万円の減少、計画に対しても4億円の下振れとなったため、評価としては「✕」です。売上高が前年と計画を下回った要因については、先ほどご説明したとおりです。

一方で、粗利率の改善については、62.9パーセントと前年差0.8ポイントの改善、計画に対しても0.3ポイントの上振れという結果になりました。

ここで粗利率が改善した要因についてご説明します。粗利率のモメンタムの1つに調達原価率があります。原料価格の上昇や円安基調が続いており、調達コストは全般に上昇基調にありますが、前回もお話ししたとおり平均売価は上がってきています。

今期は、上半期だけで平均売価が前年比3パーセントほど上昇していますが、昨年の上半期も前々年比12パーセントほど上昇しているため、今期はそこからオントップで、さらに3パーセント上がったことになります。つまり、調達コストの上昇を吸収することができており、調達原価率はほぼ横ばいを維持しています。したがって、原価は粗利率に影響を及ぼさなかったということです。

一方で、粗利率のもう1つの大きな要素がプロパー販売比率です。プロパー販売比率は上半期累計で67パーセント、第1四半期は83パーセントと前年比で1.0ポイント上昇しましたが、第2四半期は48パーセントで前年比1.0ポイントの低下という結果でした。

前期の中間期のプロパー販売比率は68パーセントでしたので、今中間期累計では前年から1.0ポイント低下しています。プロパー販売比率が若干低下したにもかかわらず、粗利率が改善できた要因は、繰越品が大幅に減少したことにより、セール販売において値引き幅が大幅に縮小できたことです。

以前は相当古い在庫もあったため、50パーセントオフや80パーセントオフのような大幅値引きの処分販売もしていましたが、繰越品、いわゆる旧品が大幅に減少したことで、値引き幅が大幅に縮小しました。加えて、アウトレットにおける専用商材比率が上がったことも要因ではないかと考えています。いずれにしても粗利率については前年計画を上回ったため、評価は「◯」です。

重点施策の進捗状況と評価

販管費のコントロールについては、前年差でトータル1億9,000万円増加していますが、売上が計画及び前年を下回ったことで、売上連動による掛け率販売手数料が1億3,000万円ほど減少しています。したがって、それを除くと、実質的な販管費は前期から3億3,000万円増加したということです。ただし、計画を2億6,000万円下回ったため、評価は「◯」としました。

インベントリーコントロールについては、期末在庫トータルが前年同月比2億4,000万円増の72億1,000万円となり、当期品と翌期品が前年同月比109パーセントと、約4億7,000万円増加しています。

その一方で、繰越品は引き続き減少しており、前年差2億3,000万円の減少となりました。その結果、当期・翌期品比率、すなわちフレッシュ在庫比率が81パーセントまで増加し、前年差で4.0ポイント上昇しています。したがって、こちらも評価は「◯」としました。

財務改革については、先ほどお伝えしたように、純資産は前年から22億円増加、総資産は前年から34億円増加、有利子負債は前年から2億円増加しました。一方で、期末キャッシュポジションは前年から31億円増加したため、自己資本比率は69.6パーセントと、引き続き高水準を維持できています。負債資本倍率(DER)も0.17倍と、極めて低水準を維持できていることから、こちらも評価は「◯」としました。

参考)チャネル別売上実績

チャネル別売上実績です。この中間期におけるチャネル別の売上構成比は、百貨店が65パーセント、直営店が6パーセント、EC・通販が13パーセント、アウトレットが12パーセント、その他が4パーセントでした。これは前期累計の構成比とまったく同じ数字で、構成比は前期からほとんど変わっていません。

スライドの下段に売上実績の前年比の数値を記載しています。前年比で数字を大きく落とした部分を抽出すると、第1四半期では、3月、4月、5月を通じてECが不振で、前年比で90パーセントに終わっています。また、4月、5月については、アウトレットも不振で、こちらも前年割れしています。第2四半期について言えば、7月、8月も百貨店が不振で、これも前年割れになっています。

したがって、上半期が前年を下回った要因として、第1四半期におけるセール販売の不振、そして第2四半期における盛夏品販売の伸び悩みを挙げましたが、それがチャネル別売上実績にも表れているということです。

参考)販管費実績の内訳

販管費実績の内訳です。先ほどご説明したとおり、販管費は前期差で1億9,000万円増加しています。ただし、販売手数料が1億3,000万円減少しているため、実質的には3億3,000万円の増加となりました。

スライドには、増加した3億3,000万円の内訳を記載しています。FA経費及び社員人件費で合計1億7,000万円の増加、宣伝販促費が4,000万円の増加、新規出店に伴う設備費が1億1,000万円の増加となっています。

人件費については、前回もご説明しましたが、ベアと定期昇給を合わせて、今期だけで3.7パーセントほど賃上げを実施しています。前期も3.2パーセントほど賃上げを実施しているため、2年間で7パーセント近くの賃上げを実施したことになります。これが販管費増加の大きな要因です。

2025年2月期の基本方針

通期計画についてです。基本方針には、期初にお伝えしたとおり「今期計画を達成し、中期経営計画の最終仕上げを行う」ことと、「次期中期経営計画での更なる飛躍に向け、重点課題として『商品力』と『販売力』の抜本強化に取り組む」ことを掲げています。

ブランドポートフォリオ

ブランドポートフォリオです。スライドには、期初にご説明したとおりの内容を再掲しています。

7つの基幹ブランドについては、さらに強化・拡大することによって、早期に全ブランド売上高100億円体制を構築します。チャレンジ領域のブランドについては、今期中に収支均衡を確保して、次期中期経営計画以降の成長エンジンにしていきたいと考えています。

通期計画:連結PL

通期の定量計画です。こちらは期初の計画から修正せず、据え置いています。

スライドに記載のとおり、売上高が625億円、売上総利益が394億円、販管費が361億円、営業利益が33億円、経常利益が34億円、当期純利益が31億円となっています。また、売上総利益率が63.0パーセント、販管費比率が57.8パーセント、営業利益率が5.3パーセント、経常利益率が5.4パーセント、当期純利益率が5.0パーセント、ROEが7.5パーセントという計画です。

参考)6年間の売上高及び営業利益の推移

6年間の売上高及び営業利益の推移です。スライドのグラフのとおり、2021年2月期と2022年2月期が再生プランの期間で、2023年2月期以降が中期経営計画の期間です。参考までに見ていただければと思います。

売上高の確保

通期計画を達成するための各種施策についてです。まず、売上高の確保としては期首計画どおりで、販路ごとの数字についても期首計画から修正していません。

粗利率改善の為の施策

粗利値の改善に向けた施策についてです。今期は、通期で粗利率63パーセントを目標にしています。先ほどご説明したとおり、上半期実績は62.9パーセントで、前年差0.8ポイントの上昇、計画差0.3ポイントの上振れとなったため、通期で63パーセント、前年差0.8ポイント上昇という目標は十分達成可能だと考えています。

そのために、3つの施策を継続して推進します。1つ目は、調達原価率の抑制です。それに加え、商品のグレードを上げていくことで、価格と価値のバランスポイントを引き上げていきます。これによりコスト上昇を吸収していくのが基本方針です。

2つ目は、インベントリーコントロールの強化です。こちらも継続する方針で、期末在庫については66億円程度を見込んでいます。

3つ目は、プロパー販売比率の改善です。先ほど詳しくご説明しましたが、この中間期は67パーセントと、前年から1ポイント低下しています。前年は秋冬商戦が若干苦戦したことで、下半期の粗利率が65パーセントに低下しました。したがって、今期は逆に上半期からさらに効率を上げること、あるいはインベントリーコントロールを強化することで、前年通期の66パーセントから2ポイント改善し、68パーセントを目指します。

販管費のコントロール

販管費のコントロールについてです。先ほどご説明したとおり、通年で361億円という計画を据え置いています。ただし、その内訳については、実態に即して若干修正を行っています。

まず、販売費の中の販売手数料については、期初の計画から1億円減らしています。一方で、物流費が徐々に上がってきており、こちらは期初の計画から2億円増やしています。

また、システム投資事業については、前期9月にサイトリニューアルを実施し、そこで一過性の費用が相当発生しました。今期はそのような大きな投資がないため、管理費は期初の数字から1億円減らしています。

商品力と販売力の強化の進捗状況

今期の重点課題である商品力と販売力の強化の進捗状況についてです。こちらは期初にご説明したとおりです。

まず、商品力の強化については、「イノベーション」と「グレードアップ」という2つのキーワードをもとに、革新的な商品開発を行います。加えて、商品レベル/グレードをさらに上げていきます。これが2つの大きな目標です。

スライドには事例を記載しています。左側は、商品開発委員会を通じた開発事例です。セーレンとの共同開発で、これまで合繊素材では難しいとされていたピュアブラック、つまり非常に深い黒の表現を実現しました。「BLACK OF BLACKs」というネーミングで、全社横断的に展開する予定となっており、本年10月、11月頃から徐々に商品を投入する計画です。

また、販売力の強化については、マスから個へということで、特定顧客に対する個別アプローチに基づく、ターゲットマーケティングを徹底して強化していきます。スライド右側に事例を記載しましたが、上顧客のLTVの向上を目指し、特設会場での特別受注会を8月に実施しました。予想を超える大きな成果が出ており、手応えを感じています。今後はエリアを広げ、定期的にクローズドの商談会を実施していきたいと考えています。

資本戦略

資本戦略についてご説明します。こちらも期初計画どおり、基本方針としては、収益拡大により蓄積された資本を成長投資、社員還元、株主還元に積極的に活用します。それにより、ROEの向上を目指しています。

配当計画

配当計画についてです。株主還元の一環として、配当を逐次強化していく方針です。今期については、期初に公表したとおりDOE 4パーセント、今の計画ベースで約125円の配当を実施したいと考えています。

以上が、2025年2月期中間期の決算についてのご説明です。

PBR改善計画の進捗状況

続いて、PBR改善計画の進捗状況についてご説明します。

現状分析・課題・解決策

現状分析・課題・解決策についてです。こちらは2023年10月6日に公表した改善計画の再掲となっています。スライドに記載のとおり、計画の骨子は、ROEの改善と並行してPERを向上させ、結果としてPBRの改善につなげるというものです。

ROEの改善

したがって、この改善計画の起点となるコア施策はROEの改善です。ROEとは、分子がReturn、分母がEquityですので、ROEを改善するためには、分子であるReturnを最大化すると同時に、分母であるEquityをしっかりコントロールする必要があります。

Returnを最大化するための施策は言うまでもなく、経営計画に沿って事業計画を推進することにより、収益の最大化を実現することです。

Equityを適正水準にコントロールするための施策は、先ほど決算説明資料の中で資本戦略としてご説明しました。1つ目が積極的な成長投資、2つ目が社員還元の強化、そして3つ目が株主還元の徹底強化です。

株主還元については、配当強化方針とともに、それ以外の株主還元策として、101万株を上限とする自社株買いの実施を決定しました。詳細は本日公表の開示資料のとおりです。これにより流通株式の母数を減らすことでEPSを向上させ、株主価値を高めていきます。

2025年2月期のKPI

2025年2月期のKPIについてです。スライドに記載のとおり、今期末にはROE 7.5パーセント、営業利益33億円、営業利益率5.3パーセント、DOE 4パーセントとなる予定です。このDOEに基づく配当を実施した場合の配当性向は、約47パーセントになります。

ネットキャッシュ・アロケーション

ネットキャッシュ・アロケーションについてです。通期計画を達成した場合の今期末のキャッシュフローは、おそらく210億円から最大230億円程度になると想定されますが、2026年2月末までにどのように活用していくかを示したイメージ図をスライドに記載しています。

グラフのとおり、主要使途としては成長投資、社員還元、株主還元が挙げられます。その結果、2026年2月末のキャッシュは130億円から135億円程度を予想しますが、これはあくまでも現時点での目安です。特に成長投資については、案件次第でスコープが大きく変わってくるため、幅を持たせた数字になっています。したがって、計画値ではなく1つの目安としてご理解いただければと思います。

その他のPBR改善策

その他のPBR改善策としては、スライドに記載のとおり、IR/SR活動のさらなる強化を進めていきます。これにより株主・投資家のみなさまとの意思疎通を強化し、会社の情報開示を積極的に行うことで透明性を高めていきます。

本日のご説明は以上です。ありがとうございました。

質疑応答:盛夏商材でプロパーが苦戦した理由について

質問者:第2四半期について、盛夏商材でプロパーが苦戦したとのことでした。上代が高かったとのお話もありましたが、アイテムごとの平均価格はどれぐらいだったのでしょうか? また、価格設定以外に苦戦した要因などがあれば教えてください。

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