エグゼクティブサマリー
佐渡島隆平氏(以下、佐渡島):みなさま、こんにちは。セーフィー株式会社代表取締役社長CEOの佐渡島です。2024年12月期第2四半期決算発表を行いたいと思います。
まず、エグゼクティブサマリーについてお話しします。ARRは100億円を突破しました。1つのバーラインをしっかりと突破することができ、今後も「現場DX」を推進してさらなる成長を目指していこうと考えています。
売上高は33億9,000万円で前年同期比17.2パーセント増、粗利は17億円で前年同期比22.7パーセント増となりました。調整後営業利益はマイナス1億9,000万円で、前四半期と比べて約1億円の損失拡大となっています。
2024年上期全体の実績はおおむね計画どおりとなりました。第2四半期については、スポット収益が減少しているものの、リカーリング収益の成長率は前年同期比26.9パーセント増としっかり成長できており、売上高33億9,000万円の着地となっています。
パイプラインをしっかりと積み上げており、通期の業績予測は、達成が射程圏内に入ってきているため、ご安心いただきたいと思います。
先ほど約1億円の損失が拡大したというお話をしましたが、しっかりと投資しているとご理解いただきたいと思います。
後ほど少しご説明しますが第2四半期では、「Safie Future Resolution Summit(レゾサミ)」という大規模なユーザーカンファレンスの実施や新卒採用についてしっかり投資を行っていると考えていただければと思います。
調整後営業利益はマイナス1億9,000万円となりました。
ソリューションに力を入れていこうというところで、十分な実績が出始めています。遠隔接客ソリューション「RURA(ルーラ)(SF)」を出資先のタイムリープ社との協業により開発、ローンチし、小売・サービス業界に対して「映像×遠隔接客」をしっかり売っていける土壌ができてきました。
古田哲晴氏(以下、古田):2024年12月期第3四半期の業績見込みに関しては、スポット収益、リカーリング収益ともに増収見込みとなっており、通年の業績も予想と変わらない見込みです。
特別損失の計上とスタートアップへの戦略的投資の成果
特別損失の計上についてご報告します。本日、適時開示も出していますが、当社のCVCであるセーフィーベンチャーズが保有する投資有価証券のうち、取得価額に比べて著しく実質価値が低下した株式について減損処理を行いました。その金額合計は8億2,700万円となっています。
このような損失を出してしまいましたが、我々としてはこのセーフィープラットフォームの価値向上につながる投資を今後も継続していく方針です。
これまでの投資の成果としては、タイムリープ社と組んでの「RURA(SF)」のサービス提供開始、MUSVI社と組んでの産学連携による事業の実現、また、投資先のうちの1つであるLiberaware社が先月に無事上場したことが挙げられます。
しかしながら、スタートアップへの出資は、計画したとおりには事業がなかなか進まなかったり、赤字フェーズの会社が多かったりするのが実情です。
そのような中で、投資時の計画に比べて実績の進捗が不十分であるような会社、ないしは累積赤字が一定の基準に達した会社については、当社内の会計ルールに照らし合わせて厳しい会計処理をしているため、このような損失が出ています。
ソリューション売上高推移及び2024年Q2実績
今期、新たに開示した2つのKPIのうち、ソリューション売上高推移についてご説明します。
当四半期の売上高は9,700万円と順調に増加しており、先ほどのような協業先とのソリューションであるサービスのローンチ、自社開発AIサービス「AI-App(アイアップ)」シリーズのラインナップ拡大、ないしは今後もさまざまな連携ソリューションを出すことで、ソリューション売上を今後も継続的に伸ばしていく予定です。
一人当たり粗利額の推移
もう1つのKPIである1人あたり粗利額の推移は、生産性の指標として追っているものです。
当四半期の1人あたり粗利額は1,480万円で、前四半期と同水準で推移しています。ただし、社内の取り組みとしては、セールスイネーブルメント機能の強化、ソリューションラインナップの拡充、そして足腰であるオペレーション強化による現地調査時間の短縮など、さまざまな体制を強化し、第3四半期、第4四半期で粗利額の向上を目指します。
(再掲)中期戦略アクションと財務目標値
中長期の戦略アクションと財務目標値としては、第1四半期で発表したように、2026年通期よりも前倒しで黒字化を達成することを目指していきます。
ARR及び課金カメラ台数の推移
業績面の詳細についてお話しします。ARRは100億円を突破し、前年同期比26.4パーセント増、課金カメラ台数は26万台となり、前年同期比25.6パーセントの成長となっています。
商流別課金カメラ台数の推移
26万台に到達した課金カメラ台数の内訳は、店舗向けカメラ「Safie PRO(セーフィープロ)」のパートナー商流が、前四半期比で7,000台増加、前年同期比20パーセント弱の増加で、直販も同じく7,000台ほど増加、前年同期比34パーセント増加と力強い成長を見せています。
主に建設現場向けにレンタルで出している商材「Safie GO(セーフィーゴー)」「Safie Pocket(セーフィーポケット)」に関しては、前年同期比23.5パーセント増と順調に成長しています。
ARPC(課金カメラ1台あたりの単価)の推移
ARPC(課金カメラ1台あたりの単価)は「Safie PRO」と比べて高単価な「Safie GO」「Safie Pocket」の製品構成比が少し減っているため、前四半期比でわずかに減少し3万9,200円となっています。
売上高の推移
売上高は前年同期比で17.2パーセント成長し、33億9,800万円となりました。増加額が少し伸び悩んでいるのは、前四半期、前々四半期と10億円を超えていたスポット売上が、今四半期は8億9,300万円にとどまったことが大きな要因です。
売上高構成比およびスポット/リカーリング粗利率推移
売上高の構成比については、スポット収益が減少し、構成割合も26パーセントと過去に比べて割合が小さくなっています。それぞれの粗利率に関しては、リカーリングはほぼ横ばいですが、スポットが少し下がっています。
スポットの粗利率が下がっている要因は、我々の主力商材であるカメラをドル建てで仕入れていることが増えており、そこに円安が直撃して原価が上がったことです。
売上総利益の推移
全社の粗利率は、前四半期の49.4パーセントから当四半期は50.2パーセントと増加しています。ただし、粗利額は前四半期と同様の17億円水準で、前年同期比22パーセントの成長となっています。
販売費及び一般管理費の推移
販管費は、前四半期の18億円から1億円増加の19億円です。その主な理由は、「Safie Future Resolution Summit」の開催やその他展示会等のイベントに出たことで広告宣伝費が増加していること、あるいは人員の増加です。
調整後営業利益の推移
以上のようなことから、第2四半期調整後営業利益は、粗利が変わらずに販管費が1億円増えたことがそのまま調整後の営業損失に出ており、損失が1億円拡大した1億9,000万円という着地になっています。
成長戦略テーマ
佐渡島:ビジネスアップデートについてご説明します。当社は「現場DX」をビジネスコンセプトとしてかかげています。
人口減少と労働力不足
日本全体で人口減少と労働力不足が言われ続けています。
スライドのグラフは、1995年から2060年までの日本全国の人口推移を表しています。ご覧のとおり、人口全体が減少する中、生産年齢人口が急激に減少していく様子が見てとれると思います。
8掛け社会:現場をもつ主要業界における労働供給不足
最近、「8掛け社会」というキーワードがさまざまなメディアで出てきていると思います。2040年に1,100万人の労働人口が不足、生産年齢人口が現在の約8割になることが課題になっており、現場を持つ主要業界は、ここで最も労働力不足に直面すると考えられています。
その中でも販売、建設、介護、物流、飲食、工場、医療の業界は、まさに当社の主力なお客さまです。お客さまの課題解決にしっかり取り組みたいと考えています。
スライドの一番下に記載のある「飲食」について、正しくは「医療」となります。
差し迫る労働力の減少による、直近のビジネスインパクト多大な影響
差し迫る労働力の減少として、2040年に1,100万人の労働供給が不足するとお伝えしました。現在の大阪府の人口が約800万人ですので、それを上回る労働人口がなくなるような大きなインパクトです。直近でも、労働力減少によるビジネスインパクトが大きくなっています。
特に建設・物流企業においては、2024年問題を受け、人手不足による倒産が倍増しており、本当に深刻な課題です。他にも、介護や医療、飲食など、現場を持つ主要業界の有効求人倍率は2倍から4倍くらいに急増し、こちらもすでに深刻な人手不足です。
アナログ規制撤廃による“現場”DXの推進
このような現状を受け、政府もアナログ規制を緩和・撤廃することにより、当社が言うところの「現場DX」の実現を推進しています。
アナログ規制とは、目視点検や、実地監査、定期検査・点検規制などを常駐・対面・紙で行うべきと法で定めたもので、9,669条項あります。今、これをできる限り全廃しようという規制緩和・撤廃の流れが起きており、この流れが当社にとって大きな追い風になると考えています。
建設業界のアナログ規制緩和について
アナログ規制の緩和は2024年7月からすでに始まっており、定点カメラ・ウェアラブルカメラによる遠隔巡視の需要が増えています。厚生労働省が定める労働安全衛生法では、従来は毎日職場・現場に行き、安全パトロール、安全点検をしなければならないと厳しく定められていましたが、規制緩和によって直接の訪問は週1回、残りの4日間は定点カメラやウェアラブルカメラで遠隔から実施してもよいというルールに変更されました。
したがって「Safie Pocket」を使った検査や、「Safie GO」による安全パトロールも可能となりました。遠隔巡視の拡大により、建設業界内の特にハウスメーカー/ビルダーやインフラ業界からの需要がますます拡大する見込みで、我々としても注力してセールスしています。
小売/サービス業界
人手不足は小売・サービス業においても響いています。みなさまも街角でセルフレジ・無人レジを多く見かけると思います。各所で店舗運営を省人化する企業努力が行われており、無人レジの状態や通過した人数などをカメラでチェックする流れが来ています。
今後、省人店舗・無人店舗は増えてくると思いますが、セルフレジ・無人レジの普及に伴い増える万引き等の不正行為を、映像×AIで対策していこうという流れがあります。
当社のプラットフォームには、さまざまな情報が入ってきています。その情報をもとにAIを開発し、システム全体をアップデートして、店舗を運営しているお客さまに向き合いながら不正行為の抑制に努めます。
小売/サービス業界
決算説明会で何度かご説明したように、サービス業においてはカメラによる店舗マネジメントのニーズが非常に高まっています。遠隔接客サービス「RURA」を提供しているタイムリープ社に当社も出資し、遠隔接客サービス「RURA」とセーフィーカメラの両方を活用した、店舗運営マネジメントの両立を実現することを目的に、今回新たに製品をローンチしました。
スライドに活用事例を掲載しました。複合カフェ「自遊空間」では、従来は30店舗に1人ずつ店長がいましたが、写真のように従業員3人が「RURA」を使って順次遠隔接客するかたちですべての受付業務を行う省人化を実現し、非常に生産性の高い店舗運営ができています。
他にも、フィットネス業界やホテル業界でも、無人化・省人化の大きな流れがあり、法律の規制緩和も進んでいます。このような新しい需要に対し、ソリューションを展開していく考えです。
医療業界
医療業界も人手不足が顕在化しています。さらに、地方では特定の診療が受けられないことも課題です。この課題を解決するために、当社が出資している、ソニーR&D発のMUSVI社のテレプレゼンスシステム「窓」が活用されています。
スライドに掲載したキッチンカーのような車内に看護師のみがいて患者さんを受け入れ、医師は遠隔の診療所から診断する仕組みです。実際に、仙台市では地域医療の拡充として、例えばこのような診療カーを公民館に置き、遠隔から医師による高度な診療が受けられる具体的なサービスをNTTグループと一緒に実現しています。
今後、地方や辺境地ほどこのような需要が伸びると考え、NTTグループなどと一緒に進めています。当社としても、医師不足の解消のため、遠隔医療を実現する仕組みの提供を始めています。
大規模ユーザーカンファレンス 「Safie Future Resolution Summit」 開催
当社にはさまざまなDXおよび、さまざまな業種・業界のエンタープライズのトップにいるお客さまがいらっしゃいます。
そこで、「みんなでDXのアイデアを共有しよう」「関係性を強化していこう」という目的のもと、DXのアイデアをお客さま同士で学び語り合う「Safie Future Resolution Summit」という大規模なユーザーカンファレンスを実施しました。
例えば、国会議員の小林史明氏をお呼びし、国の制度のあり方や「8掛け社会」の労働力不足に対し法律がどのように変わっていくのか、9,600項目以上の条項がどのように規制緩和されていくのかといったアイデアをいただいたりしています。
我々が新しいソリューションを提供するために、また、規制緩和される新しい時代をお客さまと一緒に作っていくために、このようなDXのカンファレンスは非常に重要なテーマになっています。このようなカンファレンスを毎年開催することにより、国や地方、あるいはお客さまとのエンゲージメントを深めていこうと考えていますので、今後もしっかりと投資していく考えです。
サマリー
まとめです。「8掛け社会」の到来により、アナログ規制緩和が一気に進み、「現場DX」は拡大します。その具体的なソリューションとして、カメラを用いた遠隔接客などのソリューション事例など、実際に売れるものが出始めています。ソリューションのラインナップを拡充することにより、単価を上げることやお客さまの層を広げることが可能です。
足元ではARRが100億円を突破し、2024年通期業績予想の達成が射程圏内に入っています。2026年のコミットとしている黒字化を前倒し達成ができるように、みなさまと一緒に議論しながら進んでいければと考えています。
質疑応答:第2四半期のスポット収益について
質問者:第2四半期のスポット収益がYoYで減少ということですが、そちらは想定されていたのでしょうか? 導入カメラ台数は1万5,000件増と、むしろ前期よりも多い数字になるため、低単価の商材がたまたま多かったのかと思いますが、要因についてなにかコメントいただけると幸いです。
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