目次

藤原徳也氏(以下、藤原):みなさま、おはようございます。株式会社イオンファンタジー代表取締役社長の藤原です。本日は当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

本日の目次はスライドのとおりです。連結決算概要と重点取組み概要、2025年2月期の連結業績予想、新しい3ヶ年中期経営計画についてご説明します。

会社概要

2024年2月期の連結決算概要についてご説明します。会社概要はスライドのとおりです。

沿革

沿革および売上高と店舗数の推移です。

連結業績

連結業績です。売上高は前期比12.5パーセント増、営業利益は前期から27億3,600万円の改善、親会社株主に帰属する当期純利益は46億9,100万円の改善となりました。

セグメント状況

セグメント別の状況です。すべてのセグメントで前期から増収増益となり、国内事業の売上高およびアセアン事業の売上高と営業利益は過去最高を更新しました。

連結貸借対照表

連結貸借対照表です。

連結キャッシュフロー計算書

連結キャッシュフロー計算書です。貸借対照表と合わせて、後ほどご確認ください。

店舗数

店舗数についてです。2024年2月末時点の国内・海外を合わせた店舗数は、合計1,167店舗となりました。当期は191店舗を新規出店するとともに、不採算店舗等を68店舗を閉店しました。

国内事業 売上高の推移

2024年2月期の重点取組み概要です。まずは、国内事業についてご説明します。

当期の売上高は644億円で、過去最高の売上高となりました。2021年2月期から急速に出店を拡大させたカプセルトイ専門店や、プライズ専門店などの戦略的小型店が大きく貢献しています。

国内事業 営業利益の増減分析(対前期差)

前期と比べた営業利益の改善要因についてです。人件費増等の減益要因はあるものの、売上増や荒利益率の改善、戦略的小型店の効果により、当期の営業利益は前期と比べ21億6,800万円改善し、45億7,000万円となりました。

国内新規出店数

国内新規出店数についてです。「モーリーファンタジー」5店舗、カプセルトイ専門店76店舗、プライズ専門店30店舗、新業態などのその他が6店舗となり、合計117店舗を出店しました。

主要部門 売上高推移

2023年2月期第1四半期を起点とした、四半期ごとの主要部門の売上高伸び率の推移です。ご覧のとおり、好調なプライズ部門だけではなく、時間制遊具部門やメダル部門もそれ以上に大きく伸長していることがわかります。

メダル部門

メダル部門は、遊戯器械投資の再開とイベントの相乗効果により会員数・売上高ともに大きく増加し、売上高は前年同期比117.2パーセントとなりました。

プライズ部門

プライズ部門は、当社が特に強化している、小さなお子さまでも取りやすい小型クレーンブースの売上が拡大しました。

その結果、キッズプライズの売上高は前年同期比124.2パーセントとなり、プライズ部門内の構成比は2020年2月期から8.5パーセント増加しています。プライズ部門全体の売上高は、前年同期比107.9パーセントとなりました。

戦略的小型店

業態別の取組みについてご説明します。プライズ専門店やカプセルトイ専門店などの戦略的小型店は、駅ビルやファッションビルを含めた新たな立地にも出店し、当期新規出店数は合計106店舗となりました。売上高は、前期比167.7パーセントで着地しています。

ちきゅうのにわ

新たに取り組んでいるプレイグラウンドの新業態「ちきゅうのにわ」は、2店舗を出店しました。地球や自然をテーマにした内装や遊具、SDGsをテーマにしたイベントの実施、こどもたちとふれあうワークショップ等を開催し、お客さまの高い支持を得ています。

サステナビリティに関する取り組み

サステナビリティに関する取組みについてです。当社のサステナビリティ方針に基づき活動を推進しており、当期は「健康優良法人2023」や「プラチナくるみん」の認定を受けるなど、社会的な認知や評価が高まっています。

中国・アセアン事業の業績

中国およびアセアン事業の重点取組み概要をご説明します。

当事業の業績についてです。アセアン事業は売上高・営業利益ともに過去最高を更新し、5ヶ国すべてで営業利益が黒字となりました。

中国事業

中国事業についてです。ROIの高い戦略的小型店を中心に22店舗を出店する一方、不採算店舗の閉店を進め、当初計画を上回る30店舗を閉店しました。

アセアン事業

アセアン事業についてです。マレーシアでは、アミューズメント施設で導入しているリデンプション部門が好調に推移しました。また、商業施設の改装に合わせた店舗活性化を3店舗で、プレイグラウンドの活性化を8店舗で実施し、こどもたちに遊びを教えるプロであるトイマスター制度の導入店舗を拡大しました。

その結果、売上高の既存比は123.4パーセントとなり、アセアン事業を牽引しています。

アセアン事業

タイでは、幼稚園招待会などの新たな顧客獲得に注力した結果、創業以来初の黒字化を達成しました。フィリピンでは、プレイグラウンド市場シェアがNo.1となったことで有力なデベロッパーとの信頼関係が構築され、出店要請が大きく増加しました。

アセアン事業

インドネシアでは、初出店地域の進展や、インドネシア初となるプライズ専門店がともに好調に推移しています。ベトナムでは当期中に12店舗を新規出店し、合計30店舗まで拡大しました。

2025年2月期 連結業績予想

2025年2月期の連結業績予想についてご説明します。売上高は867億円、営業利益は57億円、経常利益は42億円、親会社株主に帰属する当期純利益は16億円と計画しています。

2025年2月期 連結業績予想

セグメント別の連結業績予想です。売上高は、国内事業が670億円、中国事業が79億5,000万円、アセアン事業が120億円と計画しています。営業利益は、国内事業が48億円、中国事業がマイナス5億5,000万円、アセアン事業が14億5,000万円と計画しています。

前提となる売上高の既存店前年比は、国内事業が102パーセント、中国事業が120パーセント、アセアン事業が102パーセントです。

免責事項

業績見通しについては、当社が現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいています。その達成を、当社としてお約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は、さまざまな要因により大きく異なる場合があります。

以上が、2024年2月期の連結決算概要と重点取組み、2025年2月期の連結業績予想のご説明です。

Agenda

2025年2月期から2027年2月期までの新中期経営計画について、環境分析、今後の方向性、中期経営計画の順にご説明します。

理念体系の刷新

環境分析のうち、まずは内部環境についてご説明します。当社は理念体系を刷新するべく、2022年4月に従来の社是をパーパスへと昇華させました。それに伴ってサステナビリティ方針を策定し、2022年9月には行動指針を更新しました。これらを通して、理念体系全体を整備しています。

セグメント別数値状況

セグメント別の数値状況です。先ほどもご説明したとおり、国内事業の連結売上高は過去最高を更新し、アセアン事業は売上高・営業利益ともに2期連続で過去最高を更新しました。

セグメント別概況

セグメント別の概況です。国内事業は、戦略的小型店が拡大し主力部門の売上が回復しました。中国事業は、感染症に対する規制や経済回復の遅れの影響を大きく受けました。アセアン事業は、遊びの需要の回復に合わせ、プレイグラウンドおよび戦略的小型店を積極的に拡大しました。

国内 主要部門別推移

国内事業における主要部門別の四半期単位の推移です。スライドに記載のとおり、カプセルトイ部門とプライズ部門が全体を大きく牽引し、時間制遊具部門およびメダル部門も顕著に回復してきました。

国内 その他の取り組み

国内事業におけるその他の取組みについてです。温浴は2号店を出店するなど、軌道に乗る一方で、オンラインは計画から大きく乖離しています。アウトドア・子育て支援複合業態は計画どおり、2024年2月期にそれぞれ1号店を開業しました。

構造改革の進捗

構造改革の進捗です。新規事業比率およびデジタル会員比率は、計画を大きく上回りました。IT投資比率は、計画どおりの投資を実行しています。グループ外出店比率は、戦略的小型店の需要がグループ内で急拡大したこともあり、計画未達となりました。

DX・機能改革の進捗

DX・機能改革の進捗です。DXでは、業務の効率化に合わせ、52万人時分の後方業務を削減し、接客サービスの拡大に人時を配分しました。また、アナログ会員からデジタル会員への移行を進めた結果、デジタル会員数は240万人を突破しています。

その他の進捗はスライドに記載のとおりです。

内部環境のまとめ

内部環境のまとめです。自社の状況から抽出された重要課題および対応方針を、スライド右側に記載した3つに整理しました。

国別マーケット分析

外部環境についてご説明します。国別のマーケット分析です。今後の人口とGDPの伸び率を踏まえ、「人口・GDPともに伸び率が急速に拡大する国」「人口の伸び率が高い国」「ゆるやかに成長する国」「既存の市場は大きいが人口が減少する国」の4つのグループに分け、スライドに図示しました。

アセアンは人口・GDPともに大きく拡大する国々、日本・中国は市場規模は大きいものの、人口が減少する国と捉えています。

国別PEST分析

国別のPEST分析です。スライドの表では、各国共通の課題と個別の課題を整理しています。

国内アミューズメント市場

国内アミューズメント市場の状況です。2021年2月期以降、市場は確実に回復しており、特にプライズ部門の売上は全体の7割まで拡大しています。また、業界の主要企業は自社の強みを活かした戦略にシフトしています。

国内プレイグラウンドおよび関連市場

国内プレイグラウンドおよび関連市場の状況です。スライドに記載のとおり、プレイグラウンド市場は確実に回復しており、かつ親和性の高い市場との連携が進んでいることから、今後ますます拡大する傾向が見込まれます。

イオングループの環境認識から捉えた重要項目

イオングループの環境認識についてです。イオングループでは、Z世代、子育て世代、団塊世代が持つ期待価値に対し、コト、モノ、トキ、およびDXを活用したサービスを推進していきます。当社もこの動きを踏まえ、イオン生活圏を基盤としたサービス開発が重要と捉えています。

「親子の在り方」の変化

「親子の在り方」の変化についての分析です。共働き世帯の増加に伴い、親が子と時間を共有したいというニーズと、子育てにストレスを感じ、1人の時間を確保したいという相反するニーズを、当社はサービスに取り込む必要があります。

「子育ての在り方」の変化

「子育ての在り方」の変化についてさらに詳しく見てみますと、親は子供の将来に対し、漠然とした不安を持っています。行政も詰め込み型から「生きる力」を中心にした教育方針にシフトしています。この動向を意識したサービス開発が重要です。

外部環境のまとめ

外部環境のまとめです。内部環境と同様に、重要課題および対応方針をスライド右側に記載の3つに整理しました。

内部・外部環境の課題のまとめ

内部環境と外部環境から抽出された、重要課題および対応方針を長期・早期の時間軸で整理したスライドがこちらです。

長期対応課題としては、顧客ニーズの変化に対応する業態の進化、経済的価値と社会的価値の両立、市場競争や事業拡大に必須となる「独自の強み」の特定、事業単位ごとの役割意識やそれに伴う資源配分の最適化が挙げられます。

早期対応課題としては、人件費・エネルギーコストなどの高騰を吸収する収益構造の改革、イオングループ方針や各国の市場に柔軟に対応した出店戦略、DX改革の推進、事業戦略と機能性戦略の連動が挙げられます。

以上の8つの課題認識を踏まえ、今後の方向性をご説明します。

新たな経営構造と課題の整合

今後の方向性として、新たな経営構造と課題を整合します。

スライドの図のとおり、先ほど整理した長期・早期8つの重点課題を経営構造の各レイヤーでそれぞれ対応していきます。特に、当社独自の強みであるコアコンピタンスを意識し、ビジョンから機能戦略に至るまで、一貫して対応する方針です。

新たな経営構造と価値創造モデル

新たに策定した経営構造は、当社の統合報告書で開示している「価値創造モデル」と連動させていきます。

新たなビジョン

この度、新たに「こどもたちの“たのしい”を創造し、『こころ・あたま・からだの成長』を育み続けるファミリー支援企業になる」というビジョンを策定しました。

当社は、子育て環境や親子のニーズの変化を捉え、こどもたちの「こころ・あたま・からだの成長」を育む企業を目指していきます。

価値のアップデートに伴うサービスの変化

新たなビジョンを踏まえ、価値のアップデートを行います。施設の役割として、従来は遊戯機械・遊具で遊んでもらう場所でしたが、今後はこどもたちの体験を遊戯機械・遊具・サービスで演出する場所とします。

スタッフの役割としては、従来は機械・遊具を設置し、安全に管理する存在でしたが、今後はこどもたちの体験をサポートし、一緒に楽しむ存在とします。

これらの役割を基盤とし、プレイグラウンド事業、アミューズメント事業それぞれの特性に合わせたサービス開発を進めていきます。

コアコンピタンス

当社独自の強みであるコアコンピタンスをご説明します。1つ目はイオン生活圏という強大な企業基盤、2つ目はファミリー層と直接繋がるリアルタッチポイントの数、3つ目はこどものえがおを支える専門人材、4つ目は独自のたのしさを生み出し提供するあそびの開発力です。

これらの4つをコアコンピタンスとして、経営戦略全体に活かしていきます。特に、イオン生活圏という企業基盤は、当社の重要なコアコンピタンスと捉えています。

全社戦略の骨子

全社戦略の骨子です。全社戦略は、全社共通項目と個別項目の2つで構成しています。

全社共通項目では、業態開発とエリア開発を進めます。業態開発では、価値の新たな創出と、既存の価値の進化に基づく業態を開発します。エリア開発では、出店領域の拡大と、出店密度の向上による相乗効果を狙います。

個別項目では、各国固有の課題に沿った戦略を推進していきます。

セグメント別戦略方針

スライドの表は、セグメント別の戦略方針を可視化したものです。縦軸に全社戦略の業態開発、エリア開発および個別項目、横軸に当社事業セグメントの国内、アセアン、中国を置き、9つの戦略方針を記載しました。こちらに従って、成長戦略を進めていきます。

国別戦略的ポジション

スライドの図は、国別の戦略的ポジションを示しています。国内事業は成長原資創出を最大の役割とし、利益の拡大を図ります。中国事業はスピードある経営合理化と、新たな成長軸の確立により、V字回復を目指します。アセアン事業は第二の成長ドライバーとなることを最大の役割とし、売上を拡大していきます。

サステナビリティ活動

サステナビリティ活動についてです。サステナビリティ方針および5つのマテリアリティに基づき、ESGのテーマ別に中長期目標を掲げ、推進していきます。

国内の重点戦略

中期経営計画をご説明します。

国内事業の重点戦略のサマリーです。国内事業では、成長原資創出の最大化を図り、イオン生活圏に根差した戦略を推進します。業態開発では新たな顧客価値に基づく業態を多数開発し、エリア開発では未進出領域への出店を拡大していきます。

国内の業態開発① 価値の創出(新たな業態の開発)

国内事業の業態開発の事例をご紹介します。あそびとSDGsを融合させたプレイグラウンド「ちきゅうのにわ」を強化・推進しています。また、あそびと共感を融合させた大型エンターテイメント業態の開発も推進していきます。

国内の業態開発② 価値の創出(既存業態との複合)

従来の「モーリーファンタジー」に、学童や体操教室、こどもクリニックなどファミリーの新たなニーズに対応した子育て支援機能を外付けし、複合業態を推進していきます。

国内の業態開発③ 価値の進化(部門の特化・専門化)

従来の戦略的小型店も進化させます。カプセルトイ専門店の新業態「カプセル横丁」を強化・推進していきます。また、こどもが1人であそべる時間制施設である「スキッズガーデン」の単独出店についても拡大していきます。

国内の業態開発④ 業態体系図

国内事業の業態を整理した体系図です。あそびを軸に、それぞれの提供価値に応じたエリアを選定し、業態の開発を推進します。

ASEANの重点戦略

アセアン事業の重点戦略サマリーです。アセアン事業では「第二の成長ドライバー」として、国別にマーケットの成長に応じた拡大を進めます。業態開発では、商圏や施設規模の環境に応じたモデル開発を進めます。エリア開発では、市場拡大の著しいベトナム・インドネシアの成長率を重視します。

ASEANの業態・エリア開発①

アセアン事業の業態・エリア開発の考え方です。業態開発では、商圏や商業施設規模に応じた大型・標準・小型の業態開発を推進します。エリア開発では、多数の業態を活かし、1つの商業施設内に複数出店を実現し、同時に未進出領域への出店も推進します。

ASEANの業態・エリア開発②

国別の成長方針としては、成長率重視国をベトナム・インドネシア、シェア拡大重視国をマレーシア・フィリピン、生産性向上国をタイとします。

中国の重点戦略

中国事業の重点戦略サマリーです。中国事業はV字回復に向け、2025年2月期に不採算店舗の整理を終えます。業態開発では、アミューズメント業態を競争優位性のあるプレイグラウンド業態へ転換していきます。エリア開発では、ROIの高い戦略的小型店に特化し、出店を加速させます。

中国の業態開発 プレイグラウンドの優位性

中国におけるプレイグラウンドの優位性についてご説明します。顧客ニーズの分析では、当社の優位性はソフト面である安全性・清潔感・接客力の高さであり、他社が模倣しにくい強みを持っています。

一方で、市場傾向・業態特性から見ても、海外のあそびの市場においてプレイグラウンド業態は強いニーズを持っており、特に中国においては、こどもの健康・運動に関するニーズが高く、支持されやすくなっています。

現時点の当社の業績においても、アミューズメント業態よりプレイグラウンド業態のほうが利益率が高くなっています。

DX戦略

機能戦略についてご説明します。DX戦略では、攻めのDXとして顧客ニーズに基づくタッチポイントの拡大や、新たな体験価値の創造を強化します。守りのDXとしては、セキュリティ向上によるリスクヘッジと、システム導入による業務削減など、生産性向上を進めていきます。

人事戦略

人事戦略では、人的資本投資の実行を中心とした組織・採用・教育・制度の改革を進めます。

財務戦略

財務戦略では、財務指標の改善と、成長投資を並行して推進します。加えて、株主資本コストを上回るROEを目指します。

売上・営業利益 セグメント別

数値計画についてご説明します。売上高・営業利益の計画については、2027年2月期の連結売上高は975億円、連結営業利益は74億円を計画しています。営業利益は、2026年2月期に過去最高を更新する計画です。

アセアン事業は積極的な成長投資により、年10パーセント以上の売上高成長率を継続します。中国事業は2026年2月期に、営業利益の黒字化を計画しています。

損益計算書・経営諸効率 連結

連結損益計算書・経営諸効率です。後ほどご確認ください。

店舗数 セグメント別

店舗数の推移です。各セグメントにおいて出店を加速していきますが、特にアセアン事業については、3ヶ年で446店舗の積極的な出店を計画しています。

投資計画 セグメント別

投資計画です。スライドをご覧のとおり、特にアセアン事業への投資を拡大し、投資使途別では新店投資に注力していきます。

以上が、2025年2月期から2027年2月期の中期経営計画のご説明です。

質疑応答:中国事業について

質問者:今回の中計は、事業規模をある程度維持しつつ損益改善を図っていく内容になっていると思います。当然、状況に応じて内容は変わっていくと思いますが、中国におけるビジネスのリスクについて、どのように考えているのか教えてください。

残念ながら、中国事業はこれまで、損益の面でなかなか結果が出せませんでした。中国特有のリスクもあると思いますので、そのような中で中国事業の規模を維持あるいは縮小していく必要がなかったかどうかお聞きしたいです。

藤原:みなさまご存じのとおり、中国事業にはやはりカントリーリスクがあると捉えています。

一方で当社は、こどもたちの笑顔を追求するビジネスに注力しています。この観点から見ますと、全世界のどの国においても一定のカントリーリスクはあるものの、こどもの笑顔を追求するビジネスモデルにリスクはないと思っています。親がこどもを思う、こどもの笑顔を追求する気持ちは、どの国でもまったく同じです。

残念ながら、中国は現在、さまざまな業種で不況のあおりを受けています。当社は事業をいったん縮小しつつも、今後の経済成長をにらみながら進めていきます。無理な成長は狙えませんが、市場規模を見た時に、一定のシェアを獲得することによるボリュームは大きいと思っています。

ただし、現段階で急激な成長を意図するものでなく、まずは経営構造を見直し、しっかりと筋肉質な体制にすることが、この中計期間中の急務だと考えています。

質疑応答:株主還元について

質問者:株主還元についてうかがいます。今回の中計ではその点についてあまり触れていなかったと思います。決算短信には「長期的、安定的な利益還元を基本方針としています」と記載されていますが、今後も今の10円配を維持していく方針でしょうか? その点についても教えてください。

藤原:2025年2月期も10円の配当をお出しすると示しました。一方で当社は、当期純利益の赤字が4年間続き、その中で少しずつ国内単体の配当原資が失われ、現在は脆弱な状態です。

そのような状況下でも安定的な配当を目指し、10円の配当を継続してきました。2025年2月期も同様の配当計画ですが、さらに事業環境が良くなり、当社の財務状況が良くなった時には、株主のみなさまへの還元に回る原資が生まれると思います。

少なくとも、中国事業がしっかりと計画どおりに回復し、国内事業およびアセアン事業も計画以上に推移した時には、株主のみなさまへの増配等も検討したいと考えています。

質疑応答:国内既存店の活性化について

質問者:国内の既存施設への今後の対応についてです。現在、コンペティターも含めて、店舗業態がかなり似通っている印象があります。その中で、御社としてはどのようなかたちで既存店を活性化し、売上基盤を確立していくのでしょうか? 具体的な施策があれば教えてください。

藤原:既存店の活性化については、当社の一番の強みである時間制施設をしっかりと強化していくことが挙げられます。

また当社は、感染症が蔓延する中で非常に苦しかったメダル部門を、一定程度維持しながらメンテナンスしてきました。現在、そちらが功を奏し、お客さまがかなり戻ってきている状況ですので、さらに強化・推進していきます。

したがって、時間制施設とメダル部門を活性化しながら、「モーリーファンタジー」を進化させていきたいと考えています。

質疑応答:人材確保および人材開発について

質問者:コンペティターも人材の重要性をかなり認識しているため、これから人材確保が大変になってくると思います。人材の確保や適切な配置に関する施策をお聞かせください。

藤原:新卒採用において、今期から大卒だけでなく高卒の募集も開始しました。

世の中には、経済的事情などにより大学への進学が望めない優秀な方がいらっしゃいます。そのような方々に対し、当社がしっかりとサポートし、ともに成長できるよう、採用および人材開発に対する新たな方針を検討してまいりたいと思っています。

また、旧中計で理念体系を刷新しましたので、こちらの理念を浸透させることで、既存従業員のロイヤリティを高め、離職率の低下に努めていきたいと思っています。