決算サマリー

佐藤健太郎氏:社長の佐藤です。本日はお忙しい中、説明会へご参加いただきありがとうございます。GMOペパボ2023年12月期決算説明会を開催します。

決算サマリーです。2023年12月期はストック型ビジネスが業績を牽引し、売上は増加したものの、第2四半期までに貸倒関連費用を計上した影響を受け、利益面では営業損失となりました。

2024年12月期は、しっかりと業績黒字化を実現し、再び事業成長を目指していきたいと思います。

AGENDA

本日のアジェンダです。資料後半には参考資料も掲載していますので、お時間のある際にご覧ください。

決算概要(通期実績)

決算概要です。売上高は、前期比103.5パーセントの109億300万円、営業利益は貸倒関連費用を計上した影響を受け、マイナス3億4,000万円となりました。

また、固定資産の一部について減損処理を行い特別損失を計上したことから、当期純利益はマイナス6億2,800万円となりました。

連結業績推移(四半期ごと)

第4四半期の売上高は、金融支援事業の請求書買取額を抑制したことから、前期比で減収となりました。

一方で営業利益は、第3四半期に引き続き債権回収が進んだことから、引当金の戻入が発生し、増益となりました。

営業利益増減分析(通期)

営業利益の増減分析です。第2四半期で貸倒関連費用を計上した影響を大きく受け、営業損失へ転じています。

セグメント別業績(2023年12月期 通期)

セグメント別の業績はスライドのとおりです。ホスティング事業は「ロリポップ!」の価格改定効果と上位プランの契約比率増加により堅調に推移しました。

EC支援事業は、「カラーミーショップ」の価格改定効果に加え、「SUZURI」のプロモーションコスト削減により、営業利益が改善しました。

ハンドメイド事業は、流通額が減少し前年割れとなりました。金融支援事業は、貸倒関連費用を計上した影響で営業損失を計上しています。

ホスティング事業

ここからは各セグメントのご説明です。ホスティング事業です。売上高は、前期比105.9パーセントの57億5,800万円、営業利益は前期比101.6パーセントの19億2,100万円となりました。

ホスティング事業(ロリポップ!)

レンタルサーバーサービスの「ロリポップ!」は、売上高25億300万円、営業利益は13億3,200万円となりました。顧客単価は2023年2月の価格改定以降、上昇傾向が続いています。

一方で、低単価プランでの新規契約獲得が前年に比べ減少した結果、累計契約件数は減少しました。

ホスティング事業(ムームードメイン)

ドメイン取得代行サービスの「ムームードメイン」は、売上高23億4,800万円、営業利益3億300万円となりました。顧客単価は、2023年2月からサービス維持調整費を導入した効果により上昇しましたが、新規ドメインの契約件数が伸び悩みました。

EC支援事業

EC支援事業です。売上高は前期比105.4パーセントの29億9,700万円、営業利益は前期比114.3パーセントの7億5,600万円となりました。

EC支援事業(カラーミーショップ)

ECサイト構築サービスの「カラーミーショップ」は、売上高20億6,700万円、営業利益7億2,000万円となりました。2022年4月に行った価格改定の効果に加え、単価の高いプランの契約が増え、顧客単価が上昇しました。

低単価プランでの解約が続いていますが、解約件数は徐々に落ち着いてきており、契約件数全体は前期比で微減となりました。

EC支援事業(SUZURI)

オリジナルグッズ作成販売サービスの「SUZURI」は、売上高9億1,800万円、営業利益8,500万円となりました。消費動向の変化やプロモーションの抑制を受け、流通額は伸び悩みましたが、今年はテレビCM等の大型プロモーションコストが発生しなかったことから営業利益は黒字化しました。

ハンドメイド事業(minne)

ハンドメイド事業「minne」の売上高は前期比90.3パーセントの14億9,000万円、営業利益は前期比76.7パーセントの6,300万円となりました。「ハンドメイドマーケット2023」などのリアルイベントにも取り組みましたが、流通額が減少したことから、減収減益となりました。

ハンドメイド事業(minne)

2023年の流通額は、プロモーションコストの抑制や低価格商品の販売が苦戦しており、前期比85.6パーセントの129億円となりました。

一方で「minne」では登録作家、ブランド数が90万人を超えました。引き続き多くの作家のみなさまにご利用いただけるプラットフォームを目指します。

金融支援事業

金融支援事業です。売上高は前期比110.4パーセントの6億5,500万円、営業利益はマイナス10億6,400万円となりました。営業利益は、第3四半期、第4四半期に債権回収が進み、引当金の戻し入れが発生しましたが、累計では第2四半期に計上した貸倒関連費用の影響を受け営業損失となっています。

FREENANCE 請求書買取額推移

金融支援事業では、管理強化を行ったことで2023年第2四半期以降の請求書買取額が大きく減少しています。第4四半期の買取額は14億円となりました。

通期の業績予想

2024年12月期の通期業績予想ですが、売上高は前期比100.5パーセントの109億6,300万円、営業利益、経常利益は7億円となります。純利益はスライドのとおりです。

配当性向50パーセント以上の配当方針に変更はなく、2024年は1株当たり40円の配当を予定しています。

通期の業績予想(セグメント別)

セグメント別の業績予想について説明します。ホスティング事業とEC支援事業は、顧客単価の上昇が継続し、ストック収益が積み上がることから、前期を上回る予想です。

ハンドメイド事業の売上高は前年並みとなりますが、流通額拡大に向けプロモーション費用をかけるため、営業利益は前期割れの見込みです。

金融支援事業は、直近の請求書買取を抑制していることから、減収となりますが、貸倒関連費用の影響がなくなるため、営業損失は前期に比べ大きく改善予定です。

2024年12月期の施策1 ホスティング事業

セグメントの主な施策を説明します。ホスティング事業では、ドメイン取得からサーバー契約までを一元管理できる「ムームーサーバー」の提供を2023年11月より開始しサーバー利用の増加に注力しています。

これまでは「ムームードメイン」でドメインを取得後、サーバーを利用する場合は当社を含めたさまざまなサービスの中から、契約するサーバーをご自身で選んでいただいており、当社では機会損失が発生していました。

そこでドメインとサーバー両方の契約を同時に行うことで、機会損失を減らすことを目的としています。

また、ユーザーにとっても支払やアカウント管理を一括で行うことができるため利便性が向上します。2024年には「ムームーサーバー」で約5,000件の新規契約を獲得する見込みです。

2024年12月期の施策1 ホスティング事業

ホスティング事業では現在、新サーバーの提供に向けて準備を進めています。

例えば、2024年1月23日に発売し約2週間で1,900万本も販売された『パルワールド』や月間アクティブユーザー数が1億6,000万人を超えている『マインクラフト』といった同時接続でマルチプレイができるゲームであったり、「マストドン」や「misskey」といった分散型のSNSなど、多様化するサーバーニーズに対して、新しいプランの提供を進めています。

2024年第2四半期までに提供を開始する予定です。

2024年12月期の施策2 EC支援事業(カラーミーショップ)

EC支援事業の「カラーミーショップ」では、上位プラン「プレミアムプラン」の獲得強化を行っています。中規模店舗に対しては取次店の連携を増やすことで、流通規模の見込める店舗さまの契約を増やします。

2023年には、「WordPress」や「AmazonPay」の無料化を実施しました。ECサイト構築や運営の利便性は日々改善しているため、2024年は、それらの強みを活かした上で営業に注力し、新規契約獲得に取り組みます。

2024年12月期の施策3 EC支援事業(SUZURI)

「SUZURI」では、スマホ向けのアプリを利用した購入が増加しており、2023年は、アプリ経営の流通額は6億円を超えました。2024年は流通額が成長しているスマホアプリへと注力し、10億円の流通額獲得を見込んでいます。また、デジタルコンテンツとIP活用も継続して行うことで、利用者の拡大を目指します。

ハンドメイド事業では、低価格帯の苦戦が続き、流通額が減少しています。プロモーションについても割引キャンペーンが中心となるため、利益率は低下傾向です。これらの課題に対応するため、より購入単価の高い中価格帯以上の作品を購入するお客さまを、メインターゲットにしていきたいと考えています。「minne」広告の利用拡大やプロモーション策の工夫により、今後の改善につなげていきます。

2024年12月期の施策4 ハンドメイド事業(minne)

「minne」では、2024年内に作家向けの新たなプロダクトも提供予定です。今後も作家活動をよりスムーズに行えるよう、作家コミュニティを構築する施策に注力したいと考えています。

2024年は業績黒字化、再び成長軌道へ

今後の事業成長についてご説明します。連結の売上高は毎年順調に積み上がっています。貸倒関連費用の発生により、2023年は営業損失を計上しましたが、2024年の営業利益はここ数年の水準に戻ります。巣ごもり需要の拡大した2020年、2021年の利益ほどではなくとも、2024年は、確実に業績を黒字化し、再び事業成長を実現したいと思います。

ストック型ビジネスの業績推移

ストック型ビジネスのホスティング事業と、「カラーミーショップ」の一過性収益を除いた売上高については、2023年第4四半期のストック型ビジネスによる収益が17.6億円となり、順調に成長しています。

EC関連サービス流通額の推移

「カラーミーショップ」「SUZURI」「minne」の3サービスを合計した、EC関連サービスの第4四半期の流通額は、約560億円となりました。

「カラーミーショップ」の既存店舗における流通額減少が続いていましたが、年末年始や贈答用グルメなどの食品販売が好調に推移したことから、前四半期に比べ流通額が増加しました。

価格改定後の解約も落ち着いてきており、上位層の店舗を獲得し、流通額拡大を目指します。

全社アクション(優秀な人材確保/ 技術研究開発)

サービス以外の取組ですが、人的資本では、エンジニア・デザイナー・ディレクターを合わせると、創る人の比率が57パーセントから60パーセントと増えました。中長期的に創る人の比率を引き上げることで、開発力の強化に取り組みます。

また、技術研究開発を行っているペパボ研究所では、中長期的な事業の成長を支えるため、ユーザーの不正利用を検知する機能や、大規模言語モデル等のAIの利活用を推進したほか、画像AIを用いた類似商品を推薦する機能を開発しました。

AIを利用した新規の取り組み

AIをはじめとした新規の取り組みです。2023年10月に新設した事業開発部では、今後、toC向け、toB向けのAIを活用した新しいサービスを提供します。

AX事業(AIで未来を創る新しいサービス)

AIの利用が当たり前となる時代に合わせ、AIで未来を創る新しいサービスを2024年に事業化したいと考えています。toB向けには、「AI Transformation」の事業を展開します。当社の持つ技術力と顧客対応のノウハウを活用し、企業の生産性向上に寄与するサービスを展開します。

toC向けには、「AI eXperience」事業を展開し、配信分野等におけるAIを利用した新たな表現方法を提供することで、表現者のアウトプットを支援します。

決算説明は以上となります。ありがとうございました。