上期 サマリー
渋谷順氏(以下、渋谷):みなさま、こんにちは。株式会社スマートバリュー取締役兼代表執行役社長の渋谷です。本日は2024年6月期第2四半期の決算説明をご視聴いただき誠にありがとうございます。
まずハイライトとして上期サマリーです。上期営業損益計画は2億5,600万円の赤字に対し、3億300万円と、赤字幅が拡大した結果となりました。しかし、デジタルガバメント、モビリティ・サービスの両既存セグメントはクラウドサービスの安定した月額ストック収入等々により堅調で、計画をクリアしています。
一方、3本目の柱として現在育成中の新しいセグメントであるスマートベニューが、投資増の状況にあります。売上は増収しているものの計画に届いていないことから、これが今回の減益になった要因と考えています。
スマートベニュー事業は、2025年4月以降の開業後に大きな収益を獲得する準備が順調に進んでいます。足元の売上の積み上げとのバランスをしっかりと見極めながら投資を運用しているため、全社的には非常にポジティブに捉えています。
通期黒字化にはスマートベニューの回復が急務です。先ほど申し上げたとおり2025年4月開業であり、現在は来年度以降の収益を獲得する準備と足元の数字獲得との両輪で急ピッチの改善を推進しています。
弊社はOne Bright KOBEとストークスという子会社を有しており、この2社でスマートベニューのセグメントを作っています。昨年末には私が2社の代表に就き、改善推進にあたっているため、下期に向けてしっかりと回復していけるのではないかと考えています。
デジタルガバメントおよびモビリティ・サービスは非常に堅調で、通期計画達成に向けて推進中です。
連結業績概要
連結業績概要です。2024年6月期第2四半期累計の売上高は17億1,400万円でした。内訳はデジタルガバメントが7億6,900万円で、計画より減収となっています。モビリティ・サービスが7億6,400万円で若干の上振れ、スマートベニューが1億8,000万円でした。ここが一番のポイントになります。計画は2億4,500万円だったため、スマートベニューの減収が響いたというところです。
デジタルガバメント、モビリティ・サービスともに前年対比より若干悪くなっていますが、期初から想定されていたとおりです。弊社は第3四半期、第4四半期に数字がわりと集中するため、通期で帳尻をしっかりと合わせていけるのではないかと思っています。通期計画は年間で44億5,400万円の売上高を目指し、現在活動中です。
営業損失は3億300万円の赤字です。計画は2億5,600万円の赤字だったため、予算対比で5,000万円程度の悪化となっています。デジタルガバメントは上振れ、モビリティ・サービスはきっちり計画どおりですが、スマートベニューが2億2,400万円の赤字です。全社で費用を幾分か削減しているものの、結果としては営業損失が拡大したかたちとなっています。
スマートベニューの回復、ないしは来年度以降の収益獲得の準備をしっかりと取り組んでいくことができれば、2024年6月期の下期、来年度、再来年度と、数字が順調に伸びてくるだろうと考えています。
2024年6月期の上期の数字だけを見れば悪い数字になっている部分がありますが、弊社としては非常にポジティブに捉えていますので、ぜひご理解いただきたいと考えています。
営業利益の増減
営業利益の増減です。2023年6月期は上期で1億5,800万円の赤字だったため、赤字幅がほぼ倍に拡大しています。売上が3,600万円悪化となっていますが、主にデジタルガバメント領域の売上減少によるものです。
こちらも、主力である自治体向けサービスは順調に推移しています。今回の減収分は子会社のノースディテールで古くから行っているラボ型開発の減収分がそのまま響きました。弊社からすると、こちらも事業の根幹に悪い方向のインパクトがあったわけではないと考えています。
原価人件費の増加はスマートベニューの投資分がほとんどです。その結果、3億300万円の赤字になったと要因がはっきりしており、今後この部分をどのように改善していくか、来年度再来年度に向けて大きく飛躍していくために、どのように進めていくかが一番大きいと考えています。
連結業績概要(セグメント業績概要)
各セグメントおよび連結業績の詳細です。売上高17億1,400万円のうちクラウドサービスが10億2,000万円となっています。こちらは計画に届いていませんが、前年対比は伸びています。
いわゆる月額ストック収入であるMRR(月次経常収益)累計は、上期で7億5,500万となっています。計画より若干ショートしていますが、前年対比では順調に伸びています。サービス獲得のための初期費用も2億6,400万円と、獲得は順調に進んでいます。
反対にモビリティ・サービスの物販は若干減少しており、これはこのような傾向だと捉えています。あわせてラボ型開発が6,000万円ぐらいの減収となったことが、デジタルガバメントの減収要因だと思っています。スマートベニューは1億8,000万円増収していますが、計画には幾分及ばずという結果でした。
業態別売上高 デジタルガバメント
デジタルガバメントの売上高は7億6900万円となりました。クラウドサービスの売上高は6億1,100万円と微減でしたが、内訳を見るとMRR(月次経常収益)累計は4億3,300万円と好調で、順調に推移しています。
サービス初期及び構築の売上高は1億7,700万円と計画に届きませんでした。上半期に受注率が若干悪くなったことも要因ですが、現在の受注率は下期に向けて回復しており、通期では取り戻したいと考えています。ラボ型開発は幾分減収という結果になりました。
業態別売上高 モビリティ・サービス
続いてモビリティ・サービスです。売上高7億6,400万円のうちクラウドサービスは4億800万円と、前年対比・予算対比ともに上回る結果でした。
一部MRR(月次経常収益)累計に大口の解約等があったため、やや計画に届きませんでしたが、下期に大口受注等があり、回復することができると考えています。こちらについては後ほどご説明します。また、サービス初期及び構築も順調に獲得できています。先ほど申し上げたとおり、物販は減少傾向にあります。
業態別売上高 スマートベニュー
スマートベニューの売上高は計画に届きませんでした。順調に投資している分、営業損失が増えた結果となりました。
ARR
デジタルガバメントとモビリティ・サービスにおけるストック収入の推移です。一部解約等があったため、2023年6月期の下期と比較すると微減したものの、2024年6月期の下期は順調に回復傾向にあります。弊社では一時的なものとして、それほどネガティブに捉えていません。またしっかりと伸ばしていきたいと考えています。
クラウドサービス年次経常収益のCAGR
クラウドサービスにおける5年間のCAGRです。2019年には年間8億円の売上高だったストック収入が、2023年には14億8,800万円まで伸びており、5年間の成長率は16.7パーセントとなっています。
いわゆるクラウドサービス領域においてこの成長率は高いのか、と言われるとそうではないかもしれません。ただ、弊社のサービスは受注に比較的時間を要する社会システムの領域ですので、これまでどおり着実にここを伸ばしていく戦略をとっています。
KPI:デジタルガバメント(地域情報クラウド:サービス契約数)
続いてKPIです。 デジタルガバメント領域は2024年6月期全体で211件の新規契約を獲得する予定ですが、上期の契約は64件にとどまりました。今後の行政デジタル化の進展を見越して一部代理店制度を解消し、すべて内製化している中で、一部の受注率が落ちたことが要因となっています。
ただし上期後半からは回復してきており、通期での211件契約に向け、下期に147件の獲得を推進しているところです。これが実現すれば全国の自治体との契約を1311件まで延ばすことになり、順調に推移していると考えています。
KPI:モビリティ・サービス(モビリティIoT:CiEMS契約数)
モビリティ・サービスのKPIは自動車をインターネットに接続し、車両の動態を管理していく「CiEMS(シームス)」という主力サービスの契約数です。今期は2,760件の新規契約を獲得する想定でした。
2023年6月期までの3ヶ年はコロナ禍の影響を大きく受けました。弊社のターゲット対象は企業の社用車です。 営業車に乗らない傾向の中で減車していく等を含め、伸び悩んでいましたが、ようやく活動が活発になってきました。これにより上期に1,266件の新規契約を獲得することができました。上期実績がすでに前期、前々期の年間契約数より上回っています。
下期も大口の顧客がどんどん取れています。これが実現すればほぼ3万件の契約となるため、2,760件獲得に向けてしっかりと足元を積み上げていきたいと考えています。
KPI:モビリティ・サービス(モビリティIoT Kuruma Base契約数)
他方、カーシェアリング等のプラットフォームとして活用している「Kuruma Base(クルマベース)」というサービスは若干苦戦しており、2024年6月期上期の新規契約は15件にとどまっています。通期で215件の契約を計画しており、あと200件をがんばらないといけないところです。年始から建機レンタル業界等へ参入している中で、残り200件をしっかり獲得していきたいです。こちらは後ほど詳しくご説明します。
2024年6月期 連結貸借対照表
B/Sです。特筆すべきところはありませんが、赤字分の株主資本が減少したことから純資産が減少し、総資産も幾分減少した結果となっています。
事業の概要 セグメント情報とグループ構成
戦略・トピックスに移ります。まず全社です。行政デジタル化を担う領域のデジタルガバメントは今まさに旬で、いろいろなお話を頂戴しているところです。弊社の祖業であるモビリティ・サービスは、自動車業界における自社のICT・IoT技術を踏まえ、車両をコネクティッドすることを前提としたサービスの立ち上げを積極的に進めています。
そしてスマートベニューです。「スマートベニュー」という言葉はあまりお聞き及びがないかもしれません。経産省などで成長産業領域において使われている言葉で「Venue(ベニュー)」は、いわゆるスタジアムアリーナと呼ばれるようなものです。
最近では日本ハムファイターズの北海道ボールパーク等が非常に有名です。このようなベニューを軸にした街づくりを指す言葉で、弊社では子会社のOne Bright KOBEとストークスの2社が事業を担っています。
スタジアムアリーナ改革における民設民営モデルの運営や、スマートベニューの延長線上にあるスマートシティまでを手掛ける事業となっています。
事業の概要 セグメント情報と事業構成
弊社の戦略としてはデジタルガバメント、モビリティ・サービスという2つの社会システム領域ではどちらも足元でクラウドサービスの安定的なストック収入を積み上げます。あわせて新しいマーケットにおいて新領域や新サービスを開発し、一つひとつバランスをもって推進していきます。
また、スマートベニューでは施設を貸して収益を得る「貸館」サービス、企業からの協賛のようなストック収入を軸に、新しいデータビジネス、街づくりのビジネスへとつなげていきます。
この3セグメントはどれも弊社が今まで取り組んできた延長線上にあります。なおかつマネタイズのモデルもしっかりと踏まえながら、今後10年、20年と十分に活用していくことができるサービス領域を手掛けることができていると、非常にポジティブに考えています。
デジタルガバメント領域の詳細は、執行役の上野からご説明します。
デジタルガバメント:戦略
上野真氏(以下、上野):デジタルガバメント事業部門執行役の上野と申します。私からデジタルガバメント事業における戦略とトピックスについてご説明します。デジタルガバメント事業部門では自治体向けCLOUD SUITE「ガブクラ」というクラウドサービスを提供しています。
その中でも「SMART L-Gov(スマートエルガブ)」という自治体のWebサイト構築や管理を行うCMSサービスの提供をメインに行っており、全国で350以上の自治体に提供しています。おそらく国内トップクラス水準のシェアとなっています。
また、量だけではなく、質の面でも高い評価をいただいており、昨年度の広報コンクールでも、弊社が手がけたWebサイトの2つが受賞しています。
デジタルガバメント:戦略
デジタルガバメントのサービスについてです。現在、全国の多くの主要自治体にてご利用いただいています。
スライドに記載したとおり、いわゆる中核市クラスのお客さまが多くなっていると思います。CMSの契約数は363自治体、「SMART L-Gov」は1,085件、「GaaS」という電子申請関連のサービスは79件のご契約があり、数多くの自治体にご利用いただいているサービスです。
デジタルガバメント:戦略
この大きな顧客基盤を使い、国策に準じてより新たな展開を進めていくというところに注力しています。
2023年から北海道北見市や香川県三豊市など一部の自治体との連携協定を締結しており、特定業務領域のノウハウの蓄積を進めています。その中で今年度は、行政向けデジタルマーケットプレイスとして、デジタル庁が優良事例を集めたようなカタログサイトがスタートしています。
これはつまり、国策としてクラウドサービスの利用が促進されているということを示しています。従来のようなオンプレミスといった独自のシステムを自治体ごとに作るのではなく、統一的なクラウドサービスを自治体が積極的に使っていくことで、コストの効率化、さらに住民サービスの向上を進めていこうというのが、現在の国の大きな流れです。
それに伴い、私たちとしても、自治体向け特定領域のバーティカルSaaSのリリースを推進しています。
その第1弾として、今年4月にウイングアーク1stと共同で、公共施設予約システムのリリースを準備しています。また、2月には弊社が提供しているデータ連携基盤「Open-gov Platform」が、デジタル庁のサービスカタログに掲載されています。
この次の展開としては、来年以降、ガバメントクラウドという自治体の基幹システム自体をオンプレミスではなく、クラウド環境へと移行していくような流れがより加速していきます。
それらに伴い、私たちとしてもクラウド化された自治体の基幹系システムと直接連携を進めていきます。それにより、従来の住民サービスの向上だけではなく、自治体内部の業務効率化をさらに推進し、人口減少社会における最適化を進めていきたいと考えています。
デジタルガバメント:トピックス 能登半島地震対応
昨今のトピックスに関してお話しします。1月1日に発生した令和6年能登半島地震においては、お亡くなりになられた方々にお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
この被災地域においても、弊社サービスをご利用いただいているお客さまは複数いらっしゃいました。発生直後、当然大阪府下でも強い揺れを検知したため、私たちとしても緊急体制を敷設し、エンジニアがすぐに対応できるような環境と、有事におけるトラフィックの監視を進めていました。
スライドの右側のグラフで示しているのは、被災地域の自治体の2023年1月1日と2024年1月1日のトラフィックの比較になります。こちらのお客さまにおいては、最大で4,123パーセント増のトラフィックが見られました。
当然このような状況下においても、私たちが手がけている自治体のWebサイトは、住民および周辺の方々に、情報を安定的かつ正確にお届けするということが責務だと考えています。今回、このような4,123パーセントのトラフィックが見られましたが、サーバダウン等は一切なく、期間中安定的にWebサイトの情報提供を行うことができました。
これらについては、これまでも台風や水害など、さまざまな自然災害がありましたが、そのような経験を乗り越えた弊社のノウハウによるものかと思っています。
私たちは単純なWebサイトの開発提供だけではなく、重要な社会インフラの一翼を担っているというプライドを持って、この事業を提供しています。引き続き、安定的な情報提供に尽力できればと思っています。
デジタルガバメント:トピックス 大和高田市
弊社のサービスをご利用いただいているお客さまの声ということで、2つご紹介します。1つ目は、奈良県大和高田市の事例です。こちらは弊社のCMSをご利用いただいている事例で、コロナ禍において給付金やワクチンの申請情報など、自治体が発信する情報の正確性と迅速性が非常に重要になりました。
さらに、大和高田市においては、従来のWebサイトの構築事業社がテレワークになったことなどで、なかなか迅速な更新ができなかったという課題がありました。弊社のCMSをご利用いただくことで、自治体がすぐに直接Webサイトの更新を行えるような環境を提供し、住民の方々の満足度向上にもつながったという事例になっています。
デジタルガバメント:トピックス 滋賀県大津市
2つ目は、滋賀県大津市の事例です。こちらも同じくコロナ禍において、オンライン申請が非常に急増しました。窓口に行かなくてもWebサイト上で申請が簡単にできるような仕組みをどんどん整えていきたいという中で、弊社のオンライン行政プラットフォーム「GaaS Port」のサービスを導入いただいています。
このサービスは、自治体が受け付けている膨大な数の申請内容を統一の切り口で整理、カテゴリー化し、誰もが見やすく、わかりやすく申請を行えるようなページを構築するというものです。
これによって、住民からの問い合わせ数も減り、定量的な数字の集計はこれからですが、申請も増加しているということで、住民サービスの向上だけではなく、自治体内部の業務の効率化にも寄与できているのではないかと思っています。
このように、私たちは非常に社会性の高い、社会インフラともいえるような事業を手がけています。そのため、こうしたサービスを着々と積み重ねつつ、さらに国策に準じた次のサービスについても、投資を進めていければと考えています。
これらの事例についてはWebサイトでも詳しく載せていますので、ぜひご覧いただければと思います。以上が、デジタルガバメント事業部門の戦略およびトピックスのご説明になります。続いて、モビリティ・サービス領域の詳細を執行役の森田からご説明します。
モビリティ・サービス:戦略 プラットフォームを活用した推進
森田由基氏(以下、森田):モビリティ・サービス事業部門執行役の森田です。当事業部の戦略、直近の状況についてご説明します。
まずは戦略についてです。当事業部は、主にモビリティ・サービス事業者向けに、モビリティIoTおよびシェアリング事業者向けのプラットフォームの提供、システムの開発を行っており、昨今では、このシステムの提供前の企画段階から、ご相談いただくケースが非常に増えています。
各事業者の課題を解決すべく、積極的に営業、企画、そして開発のメンバーの派遣を行っています。その課題に実績として効果を示すために、PoC(実証実験)を行うケースが非常に多くあります。
実証実験を行った結果、その事業者が経営の意思決定、判断ができるように取得したデータを加工し、付加価値として提供しています。このような一連の活動が、各事業者から非常に評価されていると自負しています。
モビリティ・サービス:戦略 事業部の強み
先ほどお話ししたのが、スライドのソフトウェアと経営支援という領域のお話で、当事業部の強みです。それ以外にも事業を組成するためにはハードウェアの提供、事業が推進した際に必要となるバックオフィス、オペレーション業務というものをワンストップで承ることができます。
このような点でも、各モビリティのサービス事業者からは評価をいただいていると考えています。現在、損害保険や自動車ディーラー、レンタカー、建機レンタル、燃料商社、金融機関等さまざまな業界への参入に成功しており、2024年6月期(77期)の上期においては、特に建機レンタルと金融機関の業界に大きな成果・実績を残すことができました。
こちらの事例については、後ほどトピックスとしてご紹介したいと思います。今後は、私たちのプラットフォームをさらに強化すべく、システムの投資を積極的に行っていきます。また、人材の採用もこの3ヶ年で積極的に行っていこうと考えています。
モビリティ・サービス:戦略 業界別アクション
主に3つの領域にサービスを秀逸化させようということで、展開を進めています。1つ目は一般法人・自治体です。主力サービスの「CiEMS」という車両管理サービスを駆使し、今後は顧客がすでに導入している顧客管理のCRMやデータを可視化するBIツールと、連携強化を進めていこうと思っています。
2つ目はレンタカー・カーシェアの領域です。冒頭に代表の渋谷から「Kuruma Base」というシェアリングの領域のKPIについて、上期も大変苦戦したとお伝えしましたが、下期には200契約という、上期の15契約の数字に対して非常に大きな数字を積んでいます。
この根拠については、すでに進めていた観光系のレンタカー業に対するDXの推進としての提供だけでなく、1月にリリースした建機レンタル業界向けの無人化のサービスを推進できたことが非常に大きくあります。
今後、観光系のレンタカーについては、すでにレンタカー業界で導入されているレンタカーシステムとの連携を積極的に進めていきます。
そして、建機レンタル業界向けに提供できた仕組みについては、商社およびハードデバイスメーカーと三位一体となって、これらのサービスの秀逸化およびサブスクリプションモデルでの展開を積極的に推進していきたいと思っています。このような活動によって、KPIの遅れをしっかり取り戻していくという計画を考えています。
3つ目は物流・運送業界です。もともと、この業界を担当している部署は、創業から物販事業を推進していました。しかし最近はナビ、マット、バイザー、ETCのような領域は、概況を含めて大変厳しい状況です。
この領域は運送事業者向けの安全装置の販売と、その先のクラウドサービスの立案ということで、新しい事業サービスへ展開を変革しようと計画を進めています。マネタイズは2年後と計画していますが、最も積極的に投資していこうと考えている領域です。
物流・運送業界も「2024年問題」ということで、いろいろな非常に大きな課題に直面しています。位置情報を駆使した配送の効率化というサービスは、世の中にプレーヤーがたくさんいます。私たちはそこを狙ってはおらず、別の領域を1つのサービスの柱として考えています。
スライドにも記載しているように、遠隔での故障診断というものを主体としたサービスです。つまり、物流業界の高額整備というものを発生させないために、ソリューションとして遠隔故障診断を仕組み化していくということです。2024年は、大がかりなPoC(実証実験)も計画しており、2年後にはなりますが、しっかりとしたサービスの柱として育てていきたいと思っています。
この3つの領域で特に私たちが着目しているのは、その市場規模と私たちが行おうとしているサービスはまだ未導入先、未開拓市場が多いという点です。このサービスを柱として秀逸なものにし、しっかりとビジネス展開を行うことで、成長戦略として成立すると考えています。
モビリティ・サービス:トピックス CiEMSの大口契約にてKPI回復
モビリティ・サービス事業の2つのトピックスをご紹介します。主力サービスである車両管理サービス「CiEMS」のKPIにおいては、2022年6月期、2023年6月期と大変苦戦しました。
2024年6月期上期は相当多くの引き合いをいただいています。主に、金融業界においては、証券会社からの引き合いが多くありました。2023年度も2社の成約があり、これにより証券会社は全部で6社目のご契約をいただいているという状況です。
成約した証券会社での実際の効果検証の内容をご説明します。年間で道路交通法の遵守、アルコールチェッカーの義務化対応および日報の自動化のような、アナログで管理しているものをデジタルシフトすることによって、年間で3万2,400時間の時間の創出を実績として進めることに成功しています。
さらには、事故件数も74パーセント減少し、車両の台数も適正台数の見直しということで、稼働率を取得した分析結果に伴って約25パーセントの削減効果を生んでいます。
大変大きな経費のインパクトも生んでおり、このようなものは証券会社に限らず、一般法人・自治体すべてに共通した課題です。システムを強化し、このような付加価値、サービス価値をしっかりと届け、みなさまにお約束しているKPI、KGIの両方面で達成していくつもりです。
モビリティ・サービス:トピックス KurumaBaseに鍵管理機能実装
スライドは、建機業界向けに改めて新しくサービスリリースを行った内容で、すでに1月に実施済みです。建機領域では国内No.1のアクティオ社に採用が進められたことは、非常に大きなことでした。
実はアクティオ社からは1年以上前からご相談があり、建設・建機レンタル業界における2024年の人手不足の問題、そして就業環境の改善というものをテーマに、建機レンタルを無人化で対応できないかと、実証実験を進めてきました。この1年の結果が非常に上手くいったということで、「アクスポ」という大変秀逸な評価をいただいたサービスをリリースできたことが、非常に大きな私たちの成果です。
簡単ではありますが、モビリティ・サービス事業の直近の状況についてのご説明は以上となります。続いて、スマートベニュー事業の詳細を代表の渋谷からご説明します。
スマートベニュー:概要
渋谷:今一番、注目いただいているとは思いますが、先ほどお話ししたとおり、上半期において数字が若干悪化した要因にもなっているスマートベニューについてご説明します。まず、スライドに示したパースのような、1万人を収容できるアリーナの開業を2025年4月に予定しています。
1万人が入るアリーナは、関西では公共施設でも築40年のようなところしかなく、これを民設で、これからの時代に通用するような設備を用いて、フルデジタルでフィジカルなリアル社会に実装していきます。そして、このアリーナを軸にしたデータ利活用のまちづくりのモデルへと進めていくという、わりと壮大な計画ですが、ここまでは非常に順調に準備が進んでいると考えています。
スマートベニュー:トピックス
このアリーナのトップパートナーはジーライオン社に決まっており、先日、記者会見を行いました。ネーミングライツということで、開業前からこちらに対する対価をお支払いいただきます。
このようなパートナーが積み上がってきている中で、先ほどお話しした足元の数字をしっかりと作り上げていくことが、今期に関しては非常に重要になってくると思っています。そのため、このようなパートナーシップを加速させていきたいと考えています。
もう1点、スライドの下側の内容についてご説明します。国土交通省のほうで計画していた「港湾環境整備計画(みなと緑地PPP)」という新しいスキームにおいて、私たちが開発しているエリアが国内初で認定を受けました。民間企業にとっては、非常に経済的メリットが出やすいPPPのスキームのため、私たちの収益に大きな影響を及ぼすと考えています。今回「港湾環境整備計画」の認定が受けられたことは、非常に価値があると考えています。
スマートべニュー:概要
概要です。開業時期は2025年4月で、1年2ヶ月後に約1万人収容の民設・民営アリーナを開業させ、このエリア全体で300万人の年間の集客とにぎわいの創造を目指します。さらにデジタル実装によるデータ取得を実践することで、年間の売上高を約37億円と計画しています。
スマートべニュー:ポイント
ポイントは、先ほどお伝えしたとおり、関西待望の新しい興行施設のため、格闘技やMICEといったスポーツやエンターテイメントなどさまざまな用途にご活用いただけます。
すでに需要調査も含めて仮予約を取り始めていますが、非常に高い評価とともに多くの引き合いをいただいているため、今後の事業計画の蓋然性という意味合いで、私たちが自信を持っている要素の1つです。
また、協創パートナーシップとして、先ほどジーライオン社の名前を挙げましたが、他にも続々と協業が進んでいます。一緒にこのエリアを使って、しっかりと価値を作り上げていきたいと考えています。
その1つに、スマートシティの推進があります。デジタル実装を行って、独自アプリやペイメント、チケットレス、キャッシュレスを含めて、データを活用していきます。このデータを神戸市の街づくりの政策であるEBPM(Evidence-Based Policy Making)にどのように活かしていくかというところまで、打ち合わせがすでに進んでいます。
このようなところにパートナーシップを結んだ会社に入っていただき、一緒に価値を作ることを推進しています。
スライドの下の段は、比較的エンタメ要素があります。VIPフロア等を含めたホスピタリティのサービス、ソフトであるスポーツ興行なども開催します。バスケットボールも成長産業ですので、神戸ストークスのようなクラブを持ちながら、音楽等々を含めて主催・共催の興行を次々に行っていきます。
そして先ほどお伝えしたように、神戸の新たなウォーターフロントのランドマークとして、にぎわいを創出し、地方創生の実践を進めていきたいと思っています。
ちなみに、このような事業を行っていると、全国から同じようなモデルで走り始めよう、ないしは計画しようというお話を数多くいただきます。複数の計画をご紹介したり、一緒に協業しようという話をたくさんいただいています。今後はそのような展開もあるのではないかと考えています。
スマートべニュー:概要
スマートベニューについては、年間160日から200日くらいの本番興行稼働を行います。こちらが先ほどお伝えした貸館の売上になります。
スマートべニュー:スキーム
スマートベニューのスキームです。今回の事業は弊社とNTTドコモ、NTT都市開発との3社でコンソーシアムを組んで推進しています。
私たちはアリーナの建設等々の投資まではできないため、デベロッパーであるNTT都市開発に依頼して、それを私たちと子会社が賃貸借を受けていくかたちです。運営の責任は私たちがとって、着実にマネタイズを図っていくことになります。
NTTドコモからは出資も受けています。その他、このプラットフォームに対して、スカパーJSATや朝日放送グループHDが参画しています。この後さらにパートナーシップの参加が多くなるだろうと思っています。
開業までの1年2ヶ月の間に、かなり大きな座組みになっていくと考えているため、ぜひご期待ください。
スマートべニュー:戦略
なぜIT屋の私たちがこの事業をするのかというところです。
にぎわいを創造して年間300万人を集客していく装置の1つとしてハードがあります。また、ソフトであるスポーツや音楽も推進します。そして、これらの人が集まるところに、初めてデジタルを運用することで、価値につなげていくことができます。また、これを街の中まで浸透させるという意味合いでソーシャルなモデル運営を含めています。
私たちはこのような概念と要件、4つの要素を連携することを「Smartest Arena」と呼んでいます。
スマートべニュー:戦略(スマートシティ化)
「KOBE Smartest Arena」は、街の中まで含めて意識したモデルで、スマートベニューとその延長線上にあるスマートシティ化まで進んでいくモデルだと思っています。もしかしたら5年や10年かかるかもしれません。非常に壮大な計画であるため、着実に運営していきたいと考えています。
スマートべニュー:工事進捗
現在の工事進捗です。建設工事は約30パーセント進んでいます。スマートべニューは、270度を海に囲まれた世界でも本当に稀有な立地のアリーナです。しかも後背地として神戸市に150万人、周辺を入れると300万人の人が住んでいて、ターミナルの三宮駅から徒歩圏内という立地です。これから神戸ウォーターフロントを再開発する流れの中核として成長していけると思っています。
スマートべニュー:3ヵ年計画
これらの要件を踏まえた3ヶ年の計画はスライドにある数字のとおりです。今期は売上高7億4,600万円を目指しています。来期は16億3,400万円、そして再来期は1年間を通して売上が入るとして、売上高37億5,200万円、利益も3億6,600万円に引き上げるという計画です。
第77期~第79期損益計算書
こちらは昨年の夏に発表済みの中期経営計画です。お伝えしたとおり、2年後には売上高80億円、営業利益5億円まで持っていく想定です。
売上高の推移
売上高の推移をグラフで表しています。2020年まで私たちの売上の半分以上を占めていた、主力の携帯電話の販売店事業を譲渡しました。そこから売上が半減して、コロナ禍も加わって苦しい時期もありましたが、ようやくスマートベニュー事業で、もう一度、反転攻勢をかけられるようなタイミングになっています。
売上高80億円までの蓋然性がかなり高まってきたと考えているため、これをしっかりと実現させたいと思っています。
営業利益の推移
営業利益の推移です。今後、このアリーナを50年間営業する予定ですので、現在は投資段階として長年にわたって大きな収益を積み上げていくための準備を行っています。
今期は上半期の数字が悪くなったことがありますが、一方で、投資が非常に順調に推進できていて、準備も順調に進んでいると私たちは捉えています。そのため、この1年後、2年後の数字を実現していくということで、現状をご理解いただければと考えています。
MRRの推移
既存のデジタルガバメントとモビリティ・サービスが足元を強固に支えていることを踏まえ、ストック収入の推移はこのように予測しています。
KPI(地域情報クラウド:サービス契約数)
先ほどお伝えしたKPIに関して、デジタルガバメント領域における自治体との契約数が、今後も順調に推移すると想定しています。
KPI(モビリティIoT:CiEMS契約数)
モビリティの主力サービス「CiEMS」も、コロナ禍が明けて、ようやくこれから反転攻勢に出る時期が来たと考えています。現在、この見通しの確度も徐々に高まってきています。
KPI(モビリティIoT:KurumaBase契約数)
「Kuruma Base」についてです。先ほど建機レンタルの新しい取り組みにも触れましたが、新たな市場を確実に獲得しつつ、事業を推進していく方針です。
会社概要
以降はAppendixです。会社概要はスライドに記載のとおりです。
沿革
沿革についてです。先ほど77期に関する話がありましたが、弊社は1947年に法人格を取得しています。実際の創業は1928年で、現在95年目、96年目に入っています。もともと町工場だったところから大きな変革を経て今日に至ります。
先ほどお伝えした3つのセグメントについて、これらが今後10年、20年と21世紀に通用する事業体であると私たちは考えています。このかたちがようやく整ってきたと考えており、非常にポジティブな見方を持ちながら、日々事業の推進に取り組んでいます。
従業員の状況
従業員の状況です。携帯電話事業を売却した後、従業員数が横ばいを保っている状態ですが、投資を適切に行いつつバランスを取りながら、ここまで成長することができていると思います。
人的資本に関する取り組み
人的資本に関する取り組みについても、ぜひご一読ください。内容は一般的なものですが、若い社員が多い弊社では、この分野にも着実に取り組んでいます。
サステナビリティへの取り組み
最後に、サステナビリティへの取り組みです。神戸では実際に具体的な実装を進めており、この分野についても、今後は積極的に情報を公開していく予定です。
私からの説明は以上です。上半期の成績は計画を下回る結果となりましたが、原因は明確であり、これを踏まえて、私たちはすべてが順調に進んでいると考えています。非常に前向きに捉え、下半期も、足元および1年後、2年後の大きな収益獲得に向けた準備を並行して進めていきたいと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いします。
質疑応答:今期の利益計画の達成に向けた改善点について
司会者:「前月の利益に関して計画が遅れているのは、スマートベニューの事業や人件費高騰が要因かと思いますが、今期の利益計画の達成に向け、どの部分の改善が重要かお聞かせください」というご質問です。
渋谷:スライドに記載のとおり、スマートベニューの売上高が1億8,000万円に留まり、投資を行っていることから、営業損失が2億2,400万円にまで拡大してしまったことが主な要因です。
通期計画では売上高7億4,600万円としています。今期に関してはまだ赤字ですが、この赤字幅を7,800万円まで縮小することが、下半期の私の主な任務だと考えています。
現在は開業前であるため、今のところ、売上構成は主にパートナーシップによる協賛収入が多い状況です。とはいえ、建設が進む中にあって獲得も順調に進んでおり、これらの積み上げが今期にどこまで達成できるかが、7億4,600万円の目標達成の鍵となります。これを実現すれば、ほぼ通期計画を達成できると見込んで進めています。
投資も進めているため、このバランスを考慮しつつではありますが、非常にポジティブに捉えています。現在積み上がっている成果は来年度の売上のベースになりますので、その点も踏まえ、活動は日々精力的に進めており、順調に推移していると考えています。
質疑応答:デジタルガバメントで売上高がショートしている要因について
司会者:「デジタルガバメントで売上高がショートしている要因について、可能な範囲で教えてください」というご質問です。
上野:子会社のノースディテールが手がけるラボ型開発において、中規模のクライアントからの体制縮小があったため、2024年6月期上期の売上が計画を下回りました。ただし、現在、同規模以上の新しいプロジェクトについて話を進めており、下期以降はこれらの影響が回復する見込みです。
質疑応答:中期経営計画を増収減益予想にしている理由について
司会者:「中期経営計画の数字で、デジタルガバメントの2026年6月期予想の売上高が前年と比べて増収予想ですが、利益計画が前年と比べて減益予想にしている理由は何でしょう?」というご質問です。
上野:営業利益について、2025年6月期および2026年6月期は増収減益を予測しています。これは、翌年度である2027年6月期(第80期)にデジタルガバメント事業部門のデータセンター運営事業から完全に撤退する計画があるためです。現在進行中のこの計画により、2026年6月期(第79期)からは徐々にサービスの一部縮小や撤退に伴う費用が発生し、増収にはなるものの減益となる見込みです。
ただし、このデータセンター事業の終了に伴い、私たちのサービス基盤を政府セキュリティ基準に準拠した、より堅牢かつ可用性の高いクラウドプラットフォームへの移行を進めています。この移行により、私たちのサービスの安定性と可用性がさらに向上すると見込んでいます。