会社概要

榮章博氏(以下、榮):ランドネット代表の榮章博です。2024年7月期第1四半期決算内容をご説明します。よろしくお願いします。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):よろしくお願いします。

:はじめに会社概要です。スライドに「1999年に不動産データを中心に活動する不動産流通・不動産DXの会社を設立」と記載しています。簡単にいうと、区分マンションや戸建て、アパートなどの不動産情報を構築し、さまざまなアプローチの中で売買・賃貸・リフォーム・リノベーションのサービスを提供しています。

データを中心にサービスを提供していくため、不動産DX・不動産IT化に関しては思いきり力を入れた会社です。具体的には、中古区分マンションの売買事業・賃貸事業・リフォーム・リノベーション事業の展開をメインとしており、加えて、上場以降戸建てとアパートについても力を入れ、取扱物件を拡大させています。

また、クラウドファンディングの立ち上げを長らく検討していたのですが、ようやくいろいろな準備が整いつつあり、来年の春までにはリリースできる段階まできています。

当社の概要です。社名は株式会社ランドネット、設立は1999年9月です。本社は豊島区南池袋です。本社以外の拠点として、横浜支店・大阪支店・福岡支店を構え、来年の秋には渋谷に支店を開設予定です。

資本金は約7億円、従業員数は正社員のみで599名です。事業セグメントとしては、不動産売買事業および不動産賃貸管理事業の2つで構成されております。

私自身は、もともとは株式会社大京で不動産について学び、大京の子会社である株式会社大京住宅流通という中古不動産を扱う部署で仕事をしていました。そこでさまざまな知識を深め、1999年9月にランドネットを創業しました。

事業構成は、不動産売買事業が売上の98.6パーセントを占めています。ただし、当社が創業後初めて扱った物件はワンルームマンションでした。競合が少ないと見込んでこれをメイン事業にしたのです。そのため、1.4パーセントの不動産賃貸管理事業も、買っていただいたワンルームマンションの賃貸管理をしっかり行うというお客さまとの約束として重視しています。

2024年7月期第1四半期業績① 連結損益計算書 概要(P/L)

:2024年7月期第1四半期業績についてご説明します。売上高は前年比124.6パーセントの173億2,600万円、売上総利益は前年比121.0パーセントの23億8,100万円、営業利益は前年比118.4パーセントの2億6,400万円と、いずれも伸びてきています。

前期の売上高は、2023年7月期第1四半期が139億円、第2四半期が168億円、第3四半期が155億円、第4四半期が172億円です。このように第1四半期は例年少なめのため、第2四半期・第3四半期・第4四半期でかなり伸びるのではないかと予想しており、今期も予算は達成できると考えています。

坂本:質問を交えながら進めていきたいと思います。経常利益が前年同期と比べて若干減っていますが、こちらの要因について教えてください。

:スライドにも記載のとおり、主には在庫仕入を目的とした資金調達を強化したためです。

坂本:成長するためには在庫がないといけないということですね。

:そのとおりです。

坂本:在庫と回転率については御社の特徴として後ほどうかがっていきたいと思います。在庫の拡大で当座貸越枠を増やしたことについては、まだ余裕があるのでしょうか?

:まだ余裕はある状況です。

坂本:こちらはもともとの定期預金がベースではなく、フリーの部分ということですよね?

:おっしゃるとおりです。枠の中で自由に使える資金というのは、1つの金融機関だけではなく、いくつかの金融機関の方と交渉する中で広がっています。

2024年7月期第1四半期業績② 売上⾼割合と平均販売単価

:売上⾼割合と平均販売単価の推移です。前期から今期にかけて戸建てとアパートが増えてきており、それに伴ってファミリータイプの売上高がかなり伸びてきています。この第1四半期に関してはワンルームのほうが件数が多くなっていますが、全体的にはファミリータイプの伸びが顕著です。

2024年7月期第1四半期業績③ 販管費推移

:販管費の推移です。販管費は対売上高12.2パーセントに抑えています。後ほどご説明しますが、当社はシステムに強いことから、システム関連部署の販管費の割合を一定にして、事務部門は少し割合を減らせると思っています。

坂本:システムを強化することによって、事務の部分をさらにスリム化できるということですね。

:そのとおりです。電子契約などを思い浮かべていただくとわかりやすいのですが、売主が署名捺印した段階で事務部門にすぐに伝わるため、事務部門は契約や入金の有無もすべて連動して把握できます。そのような意味で、システム化の推進により、事業部を増やしながら事務部門の販管費を減らしていけると見込んでいます。

システムに関しては、ほとんどの案件はすでに開発してきました。もちろんまだ開発しなければいけない部分はあるのですが、今期は現状の人数のまま据え置く方向で努力している最中です。

2024年7月期第1四半期業績④ 連結貸借対照表 概要(B/S)

:貸借対照表です。一番特徴的なのは販売用不動産の大幅増で、前期末時点では約114億円でしたが、今期第1四半期は約135億円に伸びています。商品を多く仕入れたため、そちらが売れれば経常利益にも反映されると思うのですが、第1四半期は販売よりも仕入れに重点を置いていたことから、少し経常利益が下がったと考えています。

坂本:御社は回転日数もかなり短いですし、ここで仕入れておけばもう1回転できる可能性もあり、また、第2四半期以降に回すことによって進捗が心もとない部分をキャッチアップできるイメージでしょうか?

:おっしゃるとおりです。今、この販売用不動産の約135億円をコントロールしながら、どのように経常利益を作っていくかに尽力しています。

ただし、経常利益を作るために一番重要なのは長期間売れ残ってしまう物件を作らないことだと考えています。「仕入れからこの経過日数に対しての在庫は何件以下に」と決めたルールに対して、在庫の状況を毎週の定例会議で確認し、管理を徹底しています。そのルールさえ守れていれば、商品が増えたとしても着実に売れていくと考えています。

坂本:人員が増加するとその分受け持つ不動産が発生し仕入れが増えるため、ある程度は在庫が上振れすることもあると思います。このあたりが今後の採用や売れ行きに絡んでいくのでしょうか?

:会社としては、1人当たりの売上高を目標指標とするのではなく、会社全体での目標を決めて、その予算を念頭に動いています。今月・来月・再来月の数ヶ月でそれを守っていくことはなかなか難しいと思いますし、もちろん出入りもありますが、社員は目標に向かって動き出しているため、守れるのではないかと思っています。人数が増えることによってただ単に在庫が増えているというわけではなく、経常利益などさまざまな数値を見ながら、在庫の目標数字を決めて動いているような状況です。

坂本:非常によくわかりました。

:有形固定資産が27億2,900万円から29億2,900万円に伸びています。こちらに関しては、クラウドファンディングの商品としてファミリータイプの賃貸中物件をかなり増やしています。年利で4パーセントから5パーセント程度の商品です。

坂本:スライドの②にある「中長期で保有する物件」がクラウドファンディング用という認識でよろしいですか?

:そのとおりです。物件を購入し、リフォームして販売したり、さまざまなサービスを付加して販売したりしようと、一生懸命準備しています。ただし、あまり在庫を持ちすぎるといろいろな面で体力が弱ってくるため、当社はファミリータイプの賃貸中物件に限定しています。

ファミリータイプの賃貸中物件の興味深いところは、ワンルームに比べ年利が高いことと、部屋が空けば空室として高く売れることです。普通は賃貸中の物件で空室が出るのは嫌なものですが、ファミリータイプに関しては空いたらラッキーという世界です。そのような商品をクラウドファンディングを通じて提供していきたいと思っています。

坂本:クラウドファンディング用物件は、仕入れた物件が賃貸中であればクラウドファンディングに回すというようなイメージでしょうか?

:こちらから狙って仕入れに行くこともあれば、他社から勧められるケースもあります。また、不動産所有者が高齢となり、自分の今後を考えた時に、所有物件をいったんランドネットに売却し、その後ランドネットから賃貸で借りたほうが将来的にメリットがあるということで、いわゆるリースバックを選ぶ方もいますが、そのような物件も、クラウドファンディング用の物件となる場合があります。

坂本:少なくとも資金効率は良いでしょうね。

:高齢化社会では特に問題になりますが、認知症と認められた段階で不動産などが凍結されてしまいます。

坂本:後見人を立てなければいけないのですよね。

:凍結されると不動産の売却すら自由にできなくなってしまうため、リースバックの相談はかなり受けます。リースバック物件のクラウドファンディングへの提供は、高齢化社会の中で実は非常に良いサービスなのではないかと思っています。

2024年7月期第1四半期業績⑤ 売上高と経常利益 5期分推移

:以上の内容と第1四半期の実績から、みなさまのご心配も受け止めつつも、売上高の通期予算の738億5,700万円、経常利益の15億6,500万円については達成できると考えています。

KPI/各種指標① 営業⼈員推移

:各種指標のご説明に移ります。営業人員については、316人を396人に増やす計画を立てています。こちらは人事部門と綿密に打ち合わせを行っており、しっかり達成できると思っています。

当社は完全週休2日制で、営業職であっても残業は1日2時間から多くて3時間、月に20時間から30時間程度です。また、当社では物件を仕入れるための情報を多く持っており、営業社員としては数字を作りやすい環境です。

そのような仕組みと労働環境から退職者も少なく、前期末時点での営業部の離職率は8.9パーセントでした。その点も踏まえ、営業人員はしっかり増やしていけると考えています。

坂本:増床で人員が増えているとうかがいましたが、他地域への支店展開は予定されていますか?

:直近ですと12月7日に福岡支店を増床しました。来年は渋谷に支店を開設する予定です。それ以外では、札幌・仙台・広島・福岡という地方都市への進出も念頭に置いています。福岡支店に関しては、TSMCの熊本工場が立ち上がることも含めて取り組んでいきたい考えです。

首都圏では千葉県進出も考えていますが、現時点で具体的な予定があるわけではありません。今は戸建てとアパートの取扱いを広げているため、その広がり具合に応じて拡大していけるのではないかと思っています。

KPI/各種指標② 取扱不動産種別/取引件数

:取扱不動産種別と取引件数です。件数ではファミリータイプが40.0パーセント、ワンルームが60.0パーセントです。ファミリータイプの取引件数は少し伸びが落ちついていますが、単価が上がっているためと考えていただければと思います。

KPI/各種指標③ 棚卸資産推移・在庫回転⽇数

:一番重要なのが在庫の回転日数です。135億円の在庫に対して回転日数は77.58日と非常に早く売れています。

坂本:他社に比べるとかなり短いですね。

:後ほどご説明しますが、当社ではダイレクト不動産と呼んでいる、不動産の所有者から直接物件を買い取るケースが非常に多いです。仲介会社を通じて物件を仕入れようとすると、競合になりどうしても高く買い取ってしまう可能性があるのですが、当社は仲介よりも買取のほうが多いため良い商品が手に入ります。このダイレクト不動産が当社の強みであり、短い在庫回転日数を実現しています。

KPI/各種指標④ 管理戸数推移

:賃貸管理戸数の通期予想は8,515戸です。今、すでに前期末比で250戸増えている中で、さらに1,000戸増やそうとしています。賃貸管理を行う物件として、もちろん当社で売買した物件もありますが、電話営業やダイレクトメールを介して「賃貸管理だけ頼みたい」というお客さまもいます。

坂本:私も不動産を持っているため、御社から電話がかかってくることがあります。営業をきちんとされていて、投資家としては非常に良いことだと思います。例えば、電話営業の担当がお客さまとの会話の中で「他にいくつ不動産をお持ちですか?」と聞くと話が進むと思うのですが、その問いに「あります」と答えられた際は「賃貸管理はどうされていますか?」といった返し方をして、その担当者がお客さまを取っていくかたちですか?

:そのような場合もあります。

坂本:専門の部隊はいるが、営業マンがそのまま賃貸管理を取ってくるパターンもあるということですね?

:そのとおりです。

坂本:なるほど。自社物件以外の、管理戸数が増える仕組みがよくわかりました。

:私が実際に電話営業をしていた時には、まず「不動産を売りませんか?」という話から入り、次に「買いませんか?」という話をします。その次に「貸しませんか?」という話をして、最後に「リフォームしませんか?」という話をします。この4つの話題があることで、お客さまと熱の入った話になり、この仕事をとてもおもしろく感じることができるのです。

坂本:わかります。たまに御社との電話が長くなることがあります。

:築年数の古いワンルームに関して、昔は業者に買ってもらうことが多かったのですが、最近の特徴としては当社のことをかなり知っているお客さまが買われることが増えています。

また、アパートに関しては、買っていただいた上で賃貸管理も当社に頼むという、当社にとっては願ったり叶ったりの流れが起きることもあります。アパートの棟数も増えているため、ここはかなり強気で、1,000戸以上増やせるのではないかと思っています。

管理戸数を増やすことが、当社のクラウドファンディングの潜在的なお客さまにとっての賃借や賃貸になると思いますし、株主さまのことも考えながら、継続でのお客さまとして大事にしていきたいと思います。

KPI/各種指標⑤ 入居率推移

:賃貸管理の入居率については、アパートや築年数の古いマンション、札幌や福岡などの地方にも物件がある中で99パーセント近い水準を維持しています。よく入居率99パーセントを売りにしている会社を見ますが、当社のほうが客付け力はあるのではないかと思っています。

坂本:だいたい99パーセントの入居率というのは、ワンルームなどが多く、その上駅近にしか建てていないため「それはそうなるでしょ」とよく思います。

:そのとおりです。当社は古いものからシェアハウスまで全部含めて99パーセントは維持できています。

KPI/各種指標⑥ 従業員数推移

:従業員数の推移です。2024年7月期は728名の予想で、そのうち、システム部門が22パーセントです。こちらに関しては前期が23パーセントだったため、維持できていると思っています。

坂本:もはや事務部門よりシステム部門のほうが多いのですね。

:システム部門があるがゆえに当社は競争力をつけているため、今後も強化していかなければならないと思っています。2024年7月期のその他の内訳としては、事務部門が21パーセント、事業部門が57パーセントです。

KPI/各種指標⑦ 地域別取引件数の割合

:地域別取引件数の割合としては、首都圏や九州が伸びてきています。首都圏の取引件数が維持できているのは、首都圏の戸建てアパートが増えてきているからだと思っています。

坂本:御社は東京や福岡に支店がありますが、働く方がその地域に住みたいからという理由のほかに、地元の情報などもある程度活かして営業されているのでしょうか? それとも電話のみで営業されているのでしょうか?

:基本的には電話とDMによる営業です。ではなぜ支店を出しているのかというと、賃貸管理やリフォーム・リノベーションをするために事務所が必要になるからです。まだ全国展開はせず都道府県に1支店あるといいかなと思っていますが、当社が理想としている不動産の流通再生運用によって社会貢献したいという思いで出店しています。

坂本:例えば東京の人が、福岡の物件を「買います」「再販します」という場合は、リフォームを誰に頼むのでしょうか? 地元の業者か、あるいは御社の子会社でしょうか?

:福岡にはリフォームの担当がいます。もちろん実際の大工さんや壁紙屋さんは福岡の業者です。

坂本:そこに直接頼んでリフォームなどをしていただくのですね。

:そのとおりです。ただし、施工管理するのは当社の社員になります。

業績予想① 連結業績 概要(P/L)

:業績予想です。売上高は738億5,700万円、経常利益は15億6,500万円で、それぞれ達成できると考えています。

業績予想② 重要な指標(KPI)

:営業人員に関しては先ほどご説明しましたので、割愛します。

坂本:定着率も非常に良いというお話でした。

事業内容/特徴① 基幹システム「RCP」による業務の効率化

:基幹システム「RCP(リアルエステートクラウドプラットフォーム)」の特徴をご説明します。「RCP」とは、スライド右下の①から⑥までの不動産情報をデータベース化したものです。

当社の営業担当がお客さまから初めに受けるのが「いくらで売れますか?」という質問です。それに関して、パソコンを見るだけでだいたいの金額が予想できるような仕組みがすべて入っています。売出成約の事例、貸出の事例、当社の事例や物件の情報もすべて入っています。また、お客さまが他にどこの物件を持っているかもだいたいは把握できています。

その上で一番重要な点は、交渉履歴を社員で共有していることです。不動産営業の場合はどうしても個人主義になりがちで、みんなで協力することがおろそかになってしまいます。しかし、当社の場合は「お客さまノート」のように営業活動を行った履歴等がすべてシステムの中に入っており、それを社員で共有しながら営業活動をしています。それにより物件を仕入れる能力が高くなっているのです。

事業内容/特徴② 即時の情報共有と体制による早期戦力化

:不動産データベースにより、即時の情報共有ができるため、新入社員の早期育成が可能です。社員1人当たりの売上高は、2億円程度を維持しています。

弊社の第1四半期はいつも苦労することが多いのですが、今期の第1四半期は5,400万円でした。通期換算がその4倍ほどの2億1,600万円のため、きちんと維持できていると思っています。

事業内容/特徴③ ダイレクト不動産

:不動産データベースがあることで、直接仕入れ・販売を行う「ダイレクト不動産」を実現しています。当社が不動産の所有者から直接物件を仕入れる割合は72パーセント、不動産会社をとおして仕入れる割合は28パーセントです。

物件を直接仕入れることによって、不動産会社から「この物件を買わないか」といった話をいただくことがあります。そのような物件も含めて、当社の物件数が増えています。

物件の販売に関しては、業者が44パーセントで、一般のお客さまへの販売が56パーセントです。以前は半々ぐらいの割合でしたが、年々少しずつダイレクトで売る割合が増えてきています。

坂本:当然、物件によって違うと思うのですが、ダイレクトのほうが高く売れるイメージでしょうか?

:例えば5,000万円の物件を売りたい場合、仲介手数料が300万円ぐらいかかります。築15年から築20年の中古の不動産を買われるお客さまは、リフォーム済みの物件を希望されることが多いです。

坂本:基本的に15年ぐらいでリフォームしなければいけないですもんね。

:そのとおりです。そのため買主は不動産会社が多いです。

坂本:なるほど。そのまま売ることができますからね。

:不動産会社に買っていただいて、不動産会社は1,000万円ぐらいのリフォームをします。相場に応じて利益を上乗せしておかないとリスクがあるため、そこで400万円ほどかかってきます。

坂本:10パーセント弱ぐらいですね。

:一方で、当社のように直接物件を買って直接管理することによって、売主にとっては若干高く売れますし、買主にとっては若干安く買うことができます。ただし、なかなかそのような理想形にはなりません。

坂本:良いモデルではありますよね。

:業者とのお付き合いもあるため一筋縄ではいかない状況です。リフォームに関しては、先ほど築15年の物件を例に出しましたが、築30年や築40年の物件であれば当然必要です。古い物件を買うにあたっていろいろな不安が出てくると思いますが、この「ダイレクト不動産」によってそれを払拭することで、お客さまにも喜んでいただけると思います。

成⻑戦略① 拠点の拡大

:拠点の拡大についてです。2022年4月に東京本社を増床し、2023年1月に横浜支店、2023年12月には福岡支店を60坪から160坪に増床しました。

成⻑戦略② 渋谷支店の新規開設

:渋谷支店は、2024年秋頃に渋谷ヒカリエのそばに開設予定です。

成⻑戦略③ 取扱種別の拡大

:取扱種別の拡大についてです。今まではワンルームマンションやファミリータイプの物件を中心に扱っていましたが、それに加えてファミリータイプの築浅物件も取り扱っていきます。

上場するまでは「当社がファミリータイプの築浅物件を扱って大手の三井不動産・住友不動産・東急不動産と競合して本当に勝てるのか?」と考え、そのような物件を扱ってきませんでした。しかし、現在は築年数が浅いファミリータイプの区分マンションなどすべての物件を扱えるようになっています。

さらに、戸建てとアパートも拡大しています。電話営業などをしていると、区分マンションに関してはよく売却のお話を聞くのですが、戸建てに関してはあまり聞きません。実際に営業していく中で「これはもっとがんばっていけるのかな」と思っています。

坂本:戸建てに関しては売る概念があまりないですからね。住み替えも少なそうです。

:少子高齢化の中で、例えば、自分が高齢になってくると「この家をどうしようか」といったことや、子どもがその家を継ぐかどうかという話も出てきます。昔は子どもが家を継ぐことが多かったと思いますが、今は減ってきていると思います。

坂本:確かに、よく「もう買ってしまった」といった話を聞きます。

:「自分でマンションを買ったほうが気楽に暮らせる」という意見の方も多いと思います。当社はここに重点を置いています。

不動産の資格には、宅地建物取引士と、もう1つ上位の不動産コンサルティングマスターという資格があります。当社はこちらの不動産コンサルティングマスターの資格取得を応援しています。この資格を勉強することによって、相続についての知識がつきます。

東京都は地価が上がっており、戸建てといっても5,000万円や6,000万円というわけではなく、それに伴って相続税などいろいろなことを考えないといけません。戸建てとアパートの取扱いに力を入れている中で、そのような部分のコンサルティングまでできるような社員を育てていきます。

また、先ほどご説明した「RCP」のいろいろな情報を活用して、よりお客さまのために動ける営業社員も育てたいと思っています。

成⻑戦略④ 個人投資家向け販売を強化

:個人投資家向けの販売を強化します。これに関して、現在、電子契約とマイページの2つの仕組みを作成しています。

成⻑戦略⑤ ファミリータイプの販売を強化

:ファミリータイプの販売強化として、リフォーム・イノベーションを非常に重視しています。私自身、福岡への出張を重ね、現場を見学しながらいろいろなことを勉強しています。その中で、古い物件ほど大事にするもったいない精神や、サステナブルな思考が役に立つと考え、一生懸命取り組んでいます。

坂本:福岡は意外と建築できない地域や場所がないところもあるため、それは大事な視点ですね。

成⻑戦略⑥ 中⻑期成⻑イメージ

:現在は、スライドの「ビジネスモデル確立期」の後の「ビジネスモデル拡大期」です。築浅のファミリータイプの強化により区分マンションの取扱い100パーセントを目指すこと、戸建て・アパートの拡大などに取り組んでいます。将来的には、1棟マンション・オフィスビル・土地の取扱いを拡大していきたいと思っています。

不動産流通市場とDX① 拡大する不動産流通市場

:不動産流通市場は、政府の指標では20兆円の市場規模があるのではないかといわれています。

不動産流通市場とDX② 首都圏の中古マンション成約坪単価と成約件数の推移

:首都圏の中古マンションの成約坪単価と成約件数の推移です。こちらに関しては以前よりグラフをつけており、バブル崩壊後は継続して右肩上がりです。特にコロナ禍の2020年頃から傾きが上がっています。

したがって、賃金と連動したかたちのインフレが進むのであれば、不動産価格は上がってくると思います。地方に行くと本当に不動産価格が安く、200万円や500万円、1,000万円などですが、それが回復してくるのではないかと思っています。

ただし、価格のみで即断するのは危険なため、当社の強みである情報を集めることに力を入れ、価格動向を見ながら徐々に広げていきたいと思います。

不動産流通市場とDX③/創業の想い DX→システム開発のスピードと拡がり

:DX・システム開発のスピードと拡がりについてです。この3年ほどでシステム担当者の採用を増やしてきました。それに伴い、新入社員の戦力化として、言語統一や作り方、自動検査する仕組みなどを広げています。今期は少し採用をストップしていますが、また売上や経常利益が上がり出したら再開しようと思っています。

坂本:やりたいことはまだたくさんあるわけですね。

:山ほどあります。

サービス/保証① クラウドファンディング

:クラウドファンディングについてご説明します。「人・物・金」のうち、当社は人を育てるのが得意で、良い物件も多数入ってきます。一方で、株主のみなさまから資金繰りに関するご質問をいくつかいただきましたが、資金については当社も考えています。

当社では現在、みなさまから資金を集めて不動産に投資するクラウドファンディングを検討しています。そして「これを貯金の代わりにできないか」という視点を持っています。貯金では利率が0.01パーセント程度になってしまいますが、当社のクラウドファンディングならば、3年という期間の中で年利3パーセントを確保できます。

この3パーセントの根拠は家賃です。家賃は年利でおよそ4パーセントから5パーセントとなっているため、その中から3パーセント分を支払います。部屋が空いて家賃が入ってこなくなった場合は当社が買い取り、転売して処理しようと考えています。このクラウドファンディングは、来年春ごろまでには実施したいと思っています。

坂本:こちらはどの程度の規模から始める予定でしょうか? 他社のクラウドファンディングでは、1棟のビルを数人で分有し、1年程度貸すあるいは買うといったパターンが多いと思います。御社の場合は区分マンションのため、バルク買いだと思います。その内訳のイメージを教えてください。

:おっしゃるとおりです。最初に考えたのは、だいたい3物件で合わせて5,000万円程度のクラウドファンディングです。年利は3パーセントで、3年間程度と考えています。

当社の特徴は、3ヶ月経った時点でもし資金が必要であれば、自分の出資した資産の地位を当社に売却できることです。この仕組みを設けることにより、3年間預けたままで年利3パーセントを稼ぐことも、用事があれば変えることも可能になります。ただし、その数が多すぎると、クラウドファンディングが維持できなくなってしまうという側面もあります。

坂本:5,000万円程度ならばとりあえずは大丈夫かと思いますが、そのようなシステムになっているのですね。

:それを1年間ほど運用してから、状況に応じてもう1つ上のクラウドファンディングも考えています。

坂本:入居者が出てしまって家賃が入ってこなくなった場合には、やはり予定利回りが下がるのでしょうか?

:入居者が出た物件に関しては出資金をお返しします。そして、当社には多くの商品があるため、そのお返しした出資金を他の商品に投資していただいてもかまいません。また、その場合に出資金を返さない方法も考えています。

坂本:出資金をプールするということですね。

:この仕組みについてはかなり慎重にならないといけないため、今はお返しする方向で考えています。

坂本:金融系の他社でも、そのような商品を見たことがあります。

:当社ではこの部分もすべて自社開発で手掛けているため、他にはないクラウドファンディングが出来上がると思っています。一般的なクラウドファンディングは3ヶ月や半年といった短い期間のものが多いですが、当社は3年間という期間が特徴です。

質疑応答:業績予想達成に向けての取り組みについて

坂本:今期の業績予想の達成に向けて、第1四半期はスローではあるものの、第2四半期以降にキャッチアップできる体制を取っているというお話でした。今までとは違う取り組みや施策があれば教えてください。

:まず、今期は商品在庫を十分に増やしています。前期は第3四半期に売上高が少し下がっており、その理由としては在庫を増やせない状況があったためです。現在その問題は解決しているため、今増えている在庫をコントロールしつつ、経常利益や物件を見ながら、第2四半期・第3四半期・第4四半期は在庫額を135億円、140億円と増やすことにチャレンジしたいと考えています。

質疑応答:「ダイレクト不動産」について

坂本:「『ダイレクト不動産』について、他社にも同じようなモデルがあるのでしょうか?」というご質問です。

:例えば、築年数が浅いワンルームマンションに限定して手掛けている会社はあると聞きます。当社の場合はファミリータイプのマンションから築年数の古い戸建てまですべて手掛けており、戸建てからアパートまで広げている会社はおそらく当社だけだと思っています。

坂本:作るにも買うにもノウハウが必要ですからね。僕も不動産売買をしていますが、中が汚かったり、さらに安く買えたりする場合もあり、ノウハウがいると思います。

:そのあたりについては、先ほどお話しした保証の1つとして、通常2年間の契約不適合責任を、当社は3年間としています。これは売上が上がるたびにある一定の金額をプールしておき、契約不適合責任が発生した場合に充てるというものです。外部の保険に入るのではなく、会社の中でプールして保険金代わりに使っています。

坂本:会計上もそのほうが楽ですよね。

:お客さまに物件を買っていただいてからご迷惑をおかけすることはしたくないと考えているため、そこは十分に対応していきたいと思っています。

質疑応答:渋谷支店開設のメリット・デメリットについて

荒井沙織氏(以下、荒井):現在さまざまな支店で増床されているというお話ですが、投資家のみなさまもそのあたりが気になっている方が多いようです。福岡支店についてはTSMCの熊本工場が視野に入っているというお話もありました。支店に関して「渋谷に支店を開設するメリットとデメリットを教えてください」というご質問です。

:東京本社は、増床したもののすでに手狭になりつつあります。

坂本:もういっぱいになったのですね。

:東京本社の入っているビルには今のところ空きがない状況です。東京都にもう1拠点出したいという話になり、いろいろと議論したところ、「渋谷には、池袋とはまた違った人たちが集まるのではないだろうか」「渋谷に出すのもおもしろいのではないか」という営業目線の話がありました。また、当社は横浜支店があるため、渋谷支店があれば中継地点となり、池袋から渋谷、渋谷から横浜、横浜から渋谷と移動もしやすくなります。このように、働きやすい立地という視点も大切にしています。

当社の事業は情報をもとに行っているため、例えば浜松町に支店がなくても、渋谷ですべて手掛けることができます。また、多様性を持っている組織のほうが強いと考えています。そのような意味で渋谷はおもしろい場所だと思います。

坂本:そこからシステム部門の人材がくる可能性もありますね。

:そのようなところも考えています。

荒井:人材を集めやすいという視点からも、良い場所ということですね。

:そのとおりです。

坂本:御社では基本的に、営業の方は会社に1回行ってから営業に出るのでしょうか? テレワークはできるのでしょうか?

:テレワークもできますが、営業に関しては、やはり一致団結して立ち向かうという意識があったほうが良いようです。システムに関しては週2日のテレワークやフレックス制度を認めています。

坂本:営業は、やはり情報の交換や上司の決裁の都合があるのでしょうね。

:ほかにも、入社1年目や2年目の社員が多いこともあり、すぐにいろいろと聞きたいという理由もあります。こちらとしても質問してほしいと考えており、労働者側の視点から支店を選んだ面もあります。

質疑応答:「サイバーセキュリティセミナー」での登壇について

坂本:「榮社長は11月に『サイバーセキュリティセミナー』に登壇されたそうですが、反響はいかがでしたか?」というご質問です。システムが動くということでその連携についてかと思いますが、セミナーの内容なども含めて教えてください。

:セミナーでは、弊社を立ち上げた頃は「Windows」やサーバーのアップデートをしなければいけないという当たり前のことがなかなかできない場面もあったという話をしました。

また、今はウイルスに対して、ソフトウェアではなくAIによる対策を行っていることもお伝えしました。ウイルスによる特徴的な動き、例えば夜中に突然動き出したり、ある一定の場所にデータを流し続けたり、データを壊し続けたりといったものをAIで感知したら、そこでシャットダウンできる機能を導入したことについてです。

「サイバーセキュリティセミナー」には役所の方もいて、情報交換できたことは非常に楽しく、そのようなお話をできる相手がいることはおもしろかったです。

質疑応答:香港・台湾支店の役割について

荒井:「香港と台湾に海外拠点を構えていますが、この役割を教えてほしいです」というご質問です。

:香港と台湾に支店を置いているのは、家賃の送金のためです。支店があることにより、香港・台湾の銀行口座を使えるため、その口座にいったん1,000万円や2,000万円といったまとまったお金を入れ、そこからそれぞれのお客さまに家賃を送金することができます。

これがなければ1件約6,000円の手数料が掛かってしまい、非常に大変です。いずれはブロックチェーンが出来上がってくればいいと思っています。

質疑応答:システム部門の増員について

荒井:「従業員数推移の中で、システム部門をさらに強化したいという意図が見られました。中長期的には全体の何パーセントがシステム部門の人員となると考えていますか?」というご質問です。

:システム部門に関してはかなり人材を増やしてきており、現在110名ほどになっています。そのため、今後2年から3年は採用をストップしようと考えています。

かなり優秀な良い人材が集まっているため、「辞める人がいたら補充してもいいよ」と話してはいるものの、今の人数を維持しながら形を作っていきたいと考えています。そして、営業の拡大とともに、システム部門の人員ももう少し拡大したいと思っています。したがって、数字を見ながらではあるものの、今期に関しては現状維持という考えです。

荒井:今後増やすとしたら、営業の人員を増やしたほうが利益につながっていくということでしょうか?

:そのとおりです。非常に多くのシステムを作っているため、将来的にはそれを外販することも考えています。

荒井:先ほど少しお話にもあった行政との連携も見えてくるのでしょうか?

:例えばクラウドファンディングの仕組みに関しては、ほぼ当社独自のものです。クラウドファンディングの会社でも作っているところはないですし、当社としてもかなり力を入れて作っているため、これはおそらく商品になると思っています。

坂本:クラウドファンディングの外販のほうが売りやすいかもしれませんね。今までの不動産のシステムと切り離せますし、不動産会社同士の場合、ライバル会社の作ったシステムはなかなか売れないかもしれません。

:これについては東京都や国土交通省とも打ち合わせをしないといけないと思います。

質疑応答:米国におけるグローバル展開について

荒井:「スライドの『グローバル展開の開始(米国→アジア)』について、海外でどのような展開をしていく想定か、ざっくりとご教示いただくことは可能でしょうか?」というご質問です。

:ざっくりとしたお話ですが、7年から8年ぐらい前に米国テネシー州のメンフィスに行ったことがあります。その時に、そこで築年数40年から50年ぐらいの戸建てを賃貸に出した場合、利回りが約7パーセントになるという話を聞きました。それをいずれは日本人に紹介したいと思っています。ただし、今はまず日本の中でNo.1を目指したいと思っているため、海外展開についてはまだ先になると考えています。

坂本:節税も難しくなりましたしね。

:法人を作らないと難しいだろうと思っています。

質疑応答:在庫回転日数が伸びている要因について

坂本:「在庫回転日数が上場当初の55日から、直近では77日と大幅に悪化しています。物件の種別でも依然としてワンルームが中心です。ここまで悪化する要因について教えてください」というご質問です。他社と比べたら非常に良いですし、価格が理由ではないかと思いますが、いかがでしょうか?

:理由として、現在、買取リフォーム販売のファミリータイプが徐々に増えてきています。

坂本:部屋数が多いために、その分リフォームも時間もかかるということですね。

:今は資源価格が高騰しており、材料もなかなか手に入らない中、どうしてもリフォームに2ヶ月はかかってしまいます。

坂本:僕も先日、店舗のリフォームを自分で行いました。今は職人さんがいないため、おっしゃるとおり2ヶ月近くかかってしまうものもあり、中には4ヶ月もかかるものもあって大変でした。

:その上で販売しているため、在庫回転日数が少し伸びてきている状況です。

質疑応答:「ITプラットフォーム」について

荒井:「中⻑期成⻑イメージの『ITプラットフォーム』とはどのような構想でしょうか? 可能な範囲で、より具体的にご教示いただけますか?」というご質問です。

坂本:また、やりたいこともたくさんあるというお話でした。そのあたりのシステムの未来図も含めてご回答をお願いします。

:なかなか難しいご質問です。クラウドファンディングのシステムに関しては、外販できるのではないかと思っています。現在売買と賃貸とリフォームが連動するようななかなか他にはない仕組みを作っておりますが、将来的に実現できると考えています。