当社グループの理念

柳均氏(以下、柳):代表取締役社長の柳です。さっそくですが、会社概要についてご説明します。

当社グループの理念です。当社はMission、Vision、Valueを定義し、事業活動をしています。Missionは、「『環境ニーズを創造する』をテーマに事業活動を展開し、持続可能な社会の実現への貢献」、Visionは、そのような活動を通じて、「社会から必要とされる環境リーディングカンパニーを目指す」と掲げています。

売上種類別の販売実績

売上種類別の販売実績についてご説明します。当社は、5つの事業を展開しており、リユース・リサイクル・化学品の3事業が主力事業です。

2024年3月期第2四半期累計の連結売上高に対する各事業のウェイトは、リユース事業が18.4パーセントと奮闘しました。リサイクル事業は、前期比で約6ポイント増の34.9パーセントと、業績を力強く牽引しています。

化学品事業は、景気低迷のあおりを受け、前期比で約10ポイント減の26.5パーセントとなりました。その他、PCB事業・自動車事業は、あわせて約20パーセントの構成となっています。

リユース事業

主力の3事業についてご説明します。リユース事業は、回収した廃棄物を新品に近い品質の再生製品に再資源化し、資源の国内循環を促進する事業です。2022年後半から、半導体・電子部品業界の低迷が長く続いているため、一時的に廃棄物原料の数量が減少傾向にあります。それに伴い、再生製品販売の受注も減少しています。

事業内容としては、主に電子部品・半導体・電池等の業界から排出される有機溶剤やリン酸、レアメタルなどの廃棄物を受け入れ、当社グループで中間処理を行い、高度な分離・精製技術を介して回収した原料に品質保証を施し、電子部品・半導体・電池・液晶・自動車等の業界に再生製品として販売しています。

現在、景気が低迷していますが、ESG、SDGs等を背景に、このような再生製品の販売に目が向けられ、注目を浴びる機会が増えていますので、今後はその期待に応えていきたいと思います。

リサイクル事業

リサイクル事業です。リサイクル事業はリユース事業とは異なり、素材として再資源化できない産業廃棄物を再生燃料など別用途へリサイクルして有効利用する事業です。幅広い業界から安定的に産業廃棄物原料を収集しているため、当社の東西工場拠点の稼働も徐々に増加しています。

また、セメント・鉄鋼業界では、脱炭素の観点から廃棄物を由来とした再生燃料に対する需要が非常に増えており、景気の状況にかかわらず引き合いが強い状況が続いています。

事業内容としては、リユース事業と同じような業界から、廃油や廃酸、廃アルカリ、汚泥、廃プラスチック等の廃棄物を引き受け、当社のプラントで中間処分・再資源化しています。用途としては、固体・液体の再生燃料や、セメント・鉄鋼・石油化学(石化)業界の原料・副資材として有効利用されています。

特にセメント業界では、「Scope1」「Scope3」において、このような原料を使って緩和したいということで、引き合いが非常に強く、多くのご要望をいただいています。

景気低迷の中ではありますが、当社の化学品事業の凹みをこちらでカバーできればと考え、懸命に取り組んでいます。

化学品事業

化学品事業です。こちらは一般の製造業と同じ事業モデルで、電子部品・半導体・電池関連メーカーが使用する高品質な有機・無機化学品を供給しています。

2022年後半から継続する半導体・電子部品業界の低迷により、一時的に製品需要が減少傾向にあります。しかしながら、そのような状況下でも、今後のマーケットの復活を鑑みて、積極的に設備投資を進め、2024年以降の需要増加対応に備えた体制作りに注力しています。

事業内容としては、最近は海外調達が多いのですが、国内外から化学品原料を調達して当社グループで保管し、蒸留塔を介して精製・高純度化します。品質管理を経て、小分けしてお客さまにタイムリーにお届けしています。

販売先は主に半導体・電池業界のお客さまです。半導体業界には半導体を作る時に使う高純度溶剤として、電池業界にはリチウムイオン電池を構成する材料の一部として供給しています。

化学品事業と言っていますが、売上の7割以上が半導体・電池業界のお客さま向けです。今後、景気が回復し、半導体・電池業界での需要が旺盛になれば、こちらに資する売上のウェイトがさらに増加するのではないのかと見ています。

当社グループを取り巻く環境

当社グループを取り巻く環境についてご説明します。日本は資源・エネルギーの輸入依存度が非常に高く、サステナブルニーズが特に強い国と認識しています。

エレクトロニクス分野は、国策としてこれから伸ばしていく重要なマーケットで、資源調達のリスクは今後大きくクローズアップされると考えています。

特に、東証プライム市場のお客さまは、サステナブル、環境対応への意識が高まっていますので、足元のみならず、今後、このようなことに向き合いながらものづくりをしていきたいというご要望に応えることで、サーキュラーエコノミーを通じた新しい成長が期待されています。

スライド左側の棒グラフをご覧ください。2050年に向けて、国内外でサーキュラーエコノミー関連の市場規模が拡大すると予想されています。当社のリユース・リサイクル事業をフル活用し、この伸びゆく市場に価値を提供できればと考えています。

半導体や蓄電池についても、これから伸びていくということで、原料調達等、サプライチェーンの確保を含め、さらなる成長が期待されます。

2030年に向けて、右側の棒グラフのとおり、半導体・リチウムイオン二次電池の市場が拡大すると予測されています。原料の供給、サステナブルということで、当社が保有する事業を活用いただき、市場の伸びとともに当社の事業を成長させていきたいと考えています。

以上、私からのご説明を終了します。2024年3月期第2四半期決算については、取締役の熊﨑からご説明します。

決算のポイント

熊﨑聡氏(以下、熊﨑):三和油化工業の熊﨑です。2024年3月期第2四半期決算についてご説明します。

2024年3月期第2四半期累計で、売上高は前年同期比11.0パーセント減の80億1,100万円、営業利益は前年同期比22.6パーセント減の7億6,900万円、営業利益率は、前年同期比1.4ポイント減の9.6パーセントと、減収減益となりました。

第2四半期までの事業環境については、米中対立やウクライナ・ロシア情勢等の地政学リスク、為替影響により、資源・エネルギーコストは高水準で推移しました。

国内は景気回復が期待される一方、半導体・化学業界の一部では、稼働回復遅れや在庫調整も見られ、不透明な事業環境となりました。

そのような中、当社グループは、産業廃棄物の有効利用や電子材料向け製品の供給に注力し、次年度以降の半導体・電池業界の回復に向けて、設備投資を進めてきました。

結果として、顧客の稼働回復遅れや在庫調整等の外部環境の影響を大きく受け、減収減益となりました。

損益計算書

損益計算書です。半導体・化学業界の一部における稼働回復の遅れにより、前年同期比で減収減益、計画未達となっています。売上総利益率の高いリサイクル事業が伸長し、セールスミックスの変化により、売上総利益率が上昇しています。前年同期と比較すると、売上高は約10億円減少していますが、売上総利益はほぼ同等の水準となっています。

後ほどご説明しますが、販管費で人件費の増加等があったものの、外部環境の悪さと比較しても利益面では踏み留まる結果となりました。

四半期業績推移

四半期業績推移です。2024年3月期第1四半期・第2四半期は、営業利益が減少しています。半導体・化学業界顧客の一部における稼働低迷が継続し、リユース・化学品事業が伸び悩む結果となっています。

一方で、固定費増等もありましたが、幅広い顧客層のリサイクル事業でリスク分散ができており、リサイクル事業は比較的堅調に推移しています。

事業種類別売上高

事業種類別売上高の前年同期比と前四半期比です。化学品事業は半導体・電子部品向けの一時的な需要低迷と、主要品目の単価低下が継続しており、前年同期比で大きくマイナスとなりました。数量・単価等の減少も相まって前四半期比でも低下しています。

一方で、リユース・リサイクル事業が売上を下支えしています。前四半期との比較でも、ともに伸長しています。

リユース、リサイクル事業(四半期ごとの推移)

リユース・リサイクル事業の四半期ごとの推移の詳細です。リユース事業については外部環境が悪く、電子材料関連のメーカーの稼働低下により原料の収集量が減少しましたが、営業強化により数量を微増させています。再生製品の売価は概ね横ばいです。

リサイクル事業は、西日本で引取数量が増加したものの、グループ全体では第1四半期と比較して減少しました。第1四半期の後半にスポット的な引取が多くあり、売上が第2四半期に期ズレしたため、第1四半期と比較してやや増加しています。

化学品、自動車事業(四半期ごとの推移)

化学品・自動車事業の四半期ごとの推移です。化学品事業は、前年後半からの半導体関連の減速に伴い数量が減少しましたが、電池向けは堅調に伸びています。

主要品目における需要の減退による影響を受け、価格低下が続いていますが、一方、マージンは確保しています。

自動車事業においては、完成車メーカーの稼働回復があったものの、ティア2以下の下請けメーカーでは在庫調整が継続しており、当社グループの受注も伸び悩んでいます。一方で、4月以降、価格転嫁が順調に進んでいますので、マージンは回復しています。

営業利益増減要因分析(前年同期比)

営業利益の増減要因分析です。顧客稼働低迷に伴う数量減少により、リユース・化学品事業の売上は大幅に減少しました。

一方で、スライドに「未来への投資は継続して実施」と記載のとおり、人員の増加、ベースアップ、職場改善への投資は削減することなく、将来に向けた今すべき改善を予定どおり実施したため、昨年に比べて費用面が増加しています。

営業利益増減要因分析(前四半期比)

前四半期比での営業利益の増減分析要因です。半導体の需要低迷が想定よりも長期化し、自動車も中小企業の在庫消費待ちのため、回復は第3四半期以降になると見ています。顧客ニーズの強いリユース・リサイクル事業で、売上の減少は最小限にできました。

ユーティリティ単価は下降に転じているものの、人件費・職場改善等の固定費の増加もあり、第1四半期と比較して利益が減少しています。

人件費・職場改善等の固定費については、将来の成長の礎とするために使っていく費用であり、予定どおり使うことにしました。

貸借対照表/キャッシュ・フロー計算書

貸借対照表/キャッシュ・フロー計算書です。資産における大きなトピックスはありませんが、リユース・リサイクル事業が下支えしたため、キャッシュ・フローが前年同期比で約2億円増加しています。また、現金及び現金同等物については、リユース・リサイクル事業の強さがキャッシュ・フローの改善につながっています。

設備投資額・減価償却費・研究開発費

設備投資額・減価償却費・研究開発費の推移です。上期の投資は、概ね計画どおり実施しました。研究開発は、廃棄物の有効利用と電子材料向け製品関連を中心に行っています。下期の投資は、蒸留塔、茨城事業所の電池など、これから立ち上がってくるものが多く、計画どおりに進める予定です。

2024年3月期業績予想及び今後の見通しについては、社長の柳からご説明します。

損益計算書

:私から、2024年3月期の業績予想についてご説明します。

まず、損益計算書についてです。半導体・化学業界の低迷が長期化、及び化学品主要品目の価格低下が予想以上に大きく響いています。当社が扱っている中国の主力原料における需給が価格低下に起因しており、為替145円、原油80ドルを前提に、売上・利益を下方修正しました。

スライドの表に記載のとおり修正後の売上高は160億円、営業利益は16億2,000万円、経常利益は16億4,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は11億6,000万円と、売上・利益ともに1割から2割程度の減収減益に下方修正しました。

事業種類別売上高予想

事業種類別売上高予想についてご説明します。半導体・化学業界の低迷が長期化する見通しと、茨城事業所の電池向け設備の停止により、売上は減少する見通しです。リユース・リサイクル事業は営業の強化で、取引数量・販売数量の増加を図ります。

事業種類別の概況です。リユース事業は、特定の品目にターゲットを絞って営業を強化しますので、数量は徐々に回復する見通しです。再生製品のニーズが強い状況は継続しています。

リサイクル事業は、東西拠点のリサイクル設備を中心に、稼働率を向上させていきます。汚泥・廃プラスチック等の固形物における代替燃料の開発にも注力し、有効利用先の開拓もあわせて進めていきます。こちらも「石油・石炭の代替燃料が欲しい」というニーズが強い状況は継続すると考えています。

化学品事業は、茨城事業所において電池向けプラントの増設に向けて10月から停止しているため、下期は受注が止まっており、その余波を受けています。

また、溶剤調達のリスク分散の課題もあります。ほとんどの化学品で日本のメーカーは中国一辺倒のため、大手化学品メーカーの調達では、「脱Chinaしてほしい」という要望を多くいただきます。そのため、脱Chinaのサプライソースを作り、供給していきます。

自動車事業は、特定建設業の許可取得ができたため、今後は大型解体案件の元請け受注を増やし、仕掛りを確実にしていきたいと思っています。

PCB事業は今後なくなりますので、PCB取引をきっかけに他事業への取引や、特定建設業の許可取得による解体業の元請け受注にも横展開していきたいと考えています。

営業利益増減要因分析(上期・下期対比)

営業利益の増減要因分析(上期・下期対比)をご説明します。増設工事を進めており、化学品事業は当初計画どおり売上が減少するため、その領域をリユース・リサイクル事業で補っていきます。

また、売上構成の変化により変動費が大幅に減少し、一時的な利益率向上を見込んでいます。

リユース・リサイクル事業の営業を強化し取扱数量を増加させ、収益の増強を図っていきます。下期も引き続き、2024年度に向けた設備投資を計画どおり進めていきたいと思います。

営業利益は上期7億6,900万円から下期8億5,100万円の達成に向け、着実に進めていきます。

株主還元

株主還元について、当社の配当方針をご説明します。今後の事業展開及び財務体質の充実等を勘案の上、安定的な配当を継続して実施していきます。減収減益のさなかではありますが、配当は前期と同等の36.0円、配当性向は微増の13.4パーセントですが、株主さまへの還元はしっかりと実施していきます。

グランドビジョン2030

中期経営計画についてご説明します。今年の5月に打ち出した「グランドビジョン2030」の数字についてはスライドに記載のとおりです。2024年3月期の通期業績予想は、当初予想に対して売上高が180億円から160億円、営業利益が19億5,000万円から16億2,000万円と、減収減益を計画しています。

注力すべき事業環境としては、引き続き、大企業を中心としたサステナブルニーズが拡大しているため、今後の回復に向けて対応できるような仕掛かりを増やしていきます。

同様に、エレクトロニクス分野のマーケットについても、来年の下期からの増加を見込んでいるため、それに相応した仕掛かりを増やしていきます。

中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)

2024年3月期から2026年3月期の中期経営計画についてご説明します。確実性の高い、安定的な事業成長・業績拡大を目指しています。

足元は、先ほどお伝えしたとおり減収減益で落ち込んでいるものの、投資をしているプラントの建設が進んでいる中で、来期以降は、景気回復とともに収入源となるようなものが立ち上がってきます。

2025年、2026年と安定的な成長に向けて、引き続き事業投資に尽力していきます。中期経営計画の今後の数字については、戦争や中国の景気状況などさまざまな要因があるため、情報を揃えて、状況がわかり次第、追って詳細をご説明します。

地産地消のリユース・リサイクル

トピックスをご紹介します。まずは、地産地消のリユース・リサイクルについてです。昨年もお伝えしましたが、リユース事業のアライアンスを着実に進めていきたいと考えており、電子材料の製造工程で使用された洗浄廃液、いわゆる溶剤の再資源化に取り組みます。

アライアンス先の機能を活用し、地産地消型の再資源化により運搬コストを低減し、運送時のCO2の排出を抑制しながら、マテリアルリサイクルを加速したいと考えています。

スライド左下に写真を掲載していますが、当社グループのトータルコーディネートにより、2023年12月にプラントの稼働開始を予定しています。ただし、現在は発注元のお客さまが景気低迷のあおりを受けており、スタートが若干遅れるのではないかと考えています。引き続き、お客さまと密に連携しながら、しかるべき対応をとっていきます。

そのような中で、当社は上期に発注元の品質監査を終了しており、いつでも受注に対応できるよう、立ち上げの準備をしています。さまざまな品質監査や4M変更等に対応し、来年度以降の確実な売上を見込んでいます。

関西地域には物流拠点を設置しています。2024年1月には、サンワ南海リサイクルがある和歌山県に子会社サンワリューツーの営業所の開設を目指して、手続きを進めています。関西地区の大手化学プラントメーカーや、石油リファイナリーのお客さまの近くで受注に対応できるよう体制を整えています。

化学品事業の設備投資

化学品事業の設備投資についてご説明します。電子材料向けの高純度溶剤の生産体制を強化していきます。半導体・電池市場の需要拡大に迅速に対応し、事業拡大を目指します。スライド左側に写真を掲載していますが、本社工場に、当社の高純度の溶剤製造設備の中では比較的大きな蒸留塔を建設中です。

この設備は、省エネかつCO2排出を抑制した生産プラントで、EVや半導体に原料を供給したり、リサイクルしたりすることを予定しています。当社が介することでCO2排出を低減しつつ、自動車・半導体業界のお客さまに向けに原料を供給していきたいと考えています。

生産能力はスライド左側に記載のとおりです。プラントの完成は2024年3月を予定しています。来年度下期以降の稼働に向けて、品質監査や4M変更などへ対応し、受注を取り込んでいきたいと考えています。

また、電池向け製品の生産体制を強化していきます。電池市場の需要拡大を背景に、化学品事業の成長をさらに加速させていきます。第1期で作った電池プラントがすぐに飽和してしまったため、それを止めて第2期のプラントを鋭意建設中です。

茨城事業所に、電池向け製品の製造プラントを増設しており、生産能力を既存の2倍以上へ拡大していきます。2024年2月から3月にプラントが完成しますので、こちらも4M変更や品質監査などへ対応し、夏以降は力強く受注を取り込んでいきます。事業成長を目論んでおり、確実に伸びていくと考えています。

リユース・リサイクルのニーズを開拓するPCB事業と設備解体

最後に、リユース・リサイクルのニーズを開拓するPCB事業と、設備解体についてご説明します。長い間、PCB事業に取り組んできましたが、2027年に法律上ほぼ終焉を迎えることになっています。さまざまな大手製造業のお客さまの現場に入り込んで、PCBの問題解決のためにソリューションを提供してきました。こちらで培った作業や解体の知見を、新たなニーズの開拓につなげていきたいと考えています。

高度経済成長期に建設された化学プラントやリファイナリーが老朽化を迎えて60年選手になっているため、今後はそのような工場・設備のスクラップ需要を多く見込んでいます。本当はビルドしていただきたいのですが、まずはこの改廃ニーズを取り込んでいきます。

また、愛知県などではEVシフトにより、エンジン・トランスミッションの工場の解体が多く出てきますので、それらも取り込んでいきます。

自動車工場や化学リファイナリーは、化学物質や重油、汚泥などが多く堆積しています。そのため、当社が引き取るにあたり、しっかり清掃作業を行った後に化学工場の解体・プラントの解体を進めていく必要があります。

このように多種多様な危険物を安全に扱うことができる企業はそこまで多くありません。当社がこれまで培ってきた事業、PCBで培った解体の知見を合わせて、設備の清掃・解体・撤去の作業等を行うエンジニアリング事業から、お客さまへソリューションを提供していきたいと考えています。

当社ではこれらを元請けするために、特定建設業の許可を取得しました。特定建設業許可を取ることにより、元請けとなった場合に受注の上限がなくなります。億単位の受注についても状況を見て取り込むことができます。

受注を取り込んだ場合、設備の清掃作業や解体・撤去、分析等を、グループで取り込むことができます。当社グループが保有するインフラ機能を提供しつつ、長期にわたり解体のニーズを受注として取り込むことができるのではないかと思います。

また、そこで取り込んだ廃棄物等は、当社のリユース・リサイクル事業で、マテリアルリサイクルや燃料などの原資として活用していくことも考えています。

以上で、私からのご説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:業績悪化の要因について

司会者:「昨年後半から業績が減速傾向にあると感じますが、外部環境、つまり顧客の稼働状況が悪いという解釈のみでよいのでしょうか? 他社との競争環境が変わったなどの変化はないのでしょうか?」というご質問です。

:他社との競争環境の変化ではなく、主に電子材料分野の顧客において稼働状況が低下している影響が大きいと考えています。しかしながら、長い目で見れば半導体、EV、電子部品等のマーケットは拡大していくことが見込まれます。

足元の状況は一時的に良くない状況ではありますが、来年以降は徐々に回復すると予想しており、顧客の稼働状況が回復した時には、しっかり対応できるように準備を進めていきます。

質疑応答:リユース・化学品事業の底打ち感について

司会者:「第1四半期と第2四半期の比較でも、リユース事業と化学品事業は改善傾向にないと見て取れます。底を打った感触はあるのでしょうか? ここから、さらに悪化する可能性もあるのでしょうか?」というご質問です。

:業績が改善に向かっておらず、申し訳ありません。今期7月から8月に受注件数が伸び悩んだことから、顧客とも話をしている中で、調整が続いていた自動車部品や電子部品メーカーの在庫量は減少に向かって進展したものと考えています。二番底はないと想定していますが、顧客との対話を通じて情報を集めながら、今後の見通しを判断していきます。

また、中国の景気後退が日本の製造業にどの程度の影響を及ぼすかについては、依然として不透明であるため、継続して情報収集を行い対応します。

質疑応答:採用活動やベースアップの見直しについて

司会者:「これまで成長を続けてきた流れから、減収減益の見通しに変わりました。採用活動やベースアップについて、方向性を見直す可能性もあるのでしょうか?」というご質問です。

:減収減益の見通しではありますが、未来づくりのための投資は力強く進めます。人材への投資については、採用活動や教育に注力するとともに、ベースアップ等についても前向きに検討していきます。

また、従業員に対し評価の基準を明確にすることでやる気を引き出し、力強い事業成長につなげていきたいと考えています。併せて、DX化の推進等、未来への投資は積極的に行い、足元の業績に臆することなく今後も継続していく方針です。

質疑応答:通期営業利益計画のセグメント別内訳について

司会者:「通期営業利益計画3.3億円減額について、セグメント別内訳イメージはありますか?」というご質問です。

熊﨑:当社グループは環境関連事業の単一セグメントとしているため、申し訳ありませんが売上種類別の利益については開示していません。

そのため定性的なイメージとなりますが、利益見通しの減額内訳としては、化学品事業における販売数量の計画未達が大きな割合を占めると考えられます。また、リユース事業においても数量未達影響は大きいと認識しています。

また、リユース事業においても数量未達の影響は大きいと認識しています。リユース事業については、再生製品の需要が弱いということではなく、顧客の稼働低迷により、原料となる廃棄物の排出数量が減少したために、再生製品の販売数量が計画未達となっています。

質疑応答:来期における電池向け材料の売上回復について

司会者:「電池向け材料の来期の売上は、どの程度回復しますか?」というご質問です。

:スライド31ページに示したグラフのとおり、これまでの生産ラインで2023年3月期には16億円程度の売上となりました。この生産ラインの稼働が飽和状態となっているため、現在は増設工事を進めています。同じ生産ラインを併設するため、フル稼働となった場合の売上は推測していただけると思います。

中国の景気減退が懸念事項ではありますが、情報収集して対応しながら、来期以降の電池向け受注を増やしていきたいと考えています。

2025年度以降は、自動車メーカー等においても本格的にEV用電池の生産が進むと見込んでおり、当社グループの化学品事業は力強い成長が期待できます。また、電池向け製品の供給だけでなく、電池の生産工程から発生する廃棄物を再資源化する等のサステナブルニーズを取り込むことにより、リユース事業も伸ばしていく方針です。

質疑応答:農業関連の投資について

司会者:「スライド20ページの下期の設備投資の欄に『農業関連』とありましたが、もう少しご説明していただけますか?」というご質問です。

熊﨑:当社グループは、リユース事業においてリン酸の再生製品を製造しています。リンという資源は、農業肥料を構成する主要元素であることから、肥料原料を製造することを経由して農業という分野に関わってきました。

昨年、定款の一部変更を行い、自社で農業に取り組むことを通じて、地域や地球環境へ貢献することを目指しています。今期の農業関連投資については、愛知県刈谷市の本社近隣に土地を借り、農地の造成や農業用ハウスの建設を進めていくものとなります。

質疑応答:コモディティ市況が与える業績への影響と下期の見通しについて

司会者:「御社の業績に影響を与えるコモディティ市況は、どのようなものがありますか? また、上期の市況影響の実績及び下期の見通しはどのようになっていますか?」というご質問です。

熊﨑:産業廃棄物は製造業顧客の工場稼働に伴い発生することから、鉱工業生産指数と関連があると考えており、当社グループの業績にも影響する指標であると認識しています。

上期実績については、全体として回復基調にあるものの、電子材料、半導体及び化学業界等の一部で稼働が低迷しており、その影響を受けた結果となりました。

下期については、さらに大きく悪化することは想定していませんが、一方で力強く回復することも考えにくいと捉えており、業績予想を修正することとなりました。

質疑応答:営業利益増減分析における変動費の増加について

司会者:「スライド24ページの上期・下期対比の営業利益増減分析についておうかがいします。売上の減少に対し、変動費のプラス金額がかなり大きくなっていることについて、もう少し内容を教えてください」というご質問です。

:下期は化学品事業の売上減少をリユース・リサイクル事業で補う計画としています。 原材料等の仕入が大きい変動費型の化学品事業に対し、廃棄物を原料としているリユース・リサイクル事業は仕入を伴わない固定費型の事業です。化学品事業の原材料費が大きく減少し、変動費の少ない事業で売上・付加価値を上げていくことにより、利益を残すことができ、売上に対する利益率も向上するという下期見通しとなっています。

質疑応答:下方修正による中期・長期経営計画への影響について

司会者:「今回、通期見通しを下方修正されましたが、現時点では、中期経営計画の最終年度や2030年度の『グランドビジョン2030』の数値目標には影響しないというお考えでしょうか?」というご質問です。

:中期経営計画の数値目標に関しては、未だ情報が不足していることや米中対立及び各地での紛争等により状況が流動的であるため、あらためて整理し、開示ができるようになったタイミングで着地見通しを示したいと考えています。

2030年度に向けた長期計画については、現時点で見直すことは考えていません。しっかり事業を牽引し、目標を達成するための経営に努めていきます。

柳氏からのご挨拶

:本日は、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございました。みなさま、当社の強みや事業概要についてご理解いただけましたか? 本日の説明資料と合わせて、当社ホームページも、ぜひ一度ご覧いただければと思います。ここまでのお時間、お付き合いいただき誠にありがとうございました。