業績の概況

小池敏弘氏:株式会社サイバーセキュリティクラウドの代表取締役社長兼CEOの小池です。私から、2023年12月期第3四半期の決算概要およびトピックスをご説明します。

まずは、業績の概況です。売上高は22.2億円、営業利益は4.6億円超と順調な進捗となっています。期初の業績予想である売上高30億円に対する進捗率は74パーセントです。営業利益は5億円の予想に対し、進捗率93.8パーセントの4.6億円超で、こちらも非常に順調に推移しています。

第4四半期については、大型イベントへの出展と、来期以降の成長に向けた投資を進めていく予定です。

2023年12月期通期業績予想を上方修正

この度、当期業績予想を上方修正します。期初に予想していた売上高30億円を30億2,500万円に修正します。それに伴い、各段階における利益も上方修正します。

為替が円安で推移したこともあり、米ドル建てで販売している売上高が上振れ、また、当社がドル建てで支払っている一部のコストが上昇しています。

第4四半期に、新領域に向けた研究開発投資を実施しますが、顧客獲得費用であるマーケティングコストの最適化を図ったため、想定以上のコスト圧縮が実現できました。

以上のことから、業績予想を上方修正します。

ARRの推移

当四半期の概況です。ARRは、初めて30億円を突破しました。特に「Managed Rules」という米ドル建てで販売している製品については、最近の円安の好影響もあり、力強い成長を継続しています。

ユーザー数の推移

ユーザー数も順調に伸びており、当四半期で6,000ユーザーを超えています。

攻撃遮断くんとWafCharmの解約率

解約率についてです。前四半期の決算で解約が少し増加したため、防止するためのさまざまな対策を講じました。その結果、数字上の大きな変化はありませんが、一時的な理由の解約が収束し、解約額は減少傾向です。

カスタマーサクセスを強化し続けることで、解約率の低位安定を目指したいと考えています。

売上高の推移

当四半期の売上高は7億6,400万円で、順調に推移しています。

営業費用(売上原価・販売費及び一般管理費)の推移

営業費用については、組織が順調に拡大しているため、人件費が増加しています。一方で、お客さまを獲得するためのマーケティングコストが最適化されたこともあり、前四半期比で非常に効率的なコストの使い方ができたと考えています。

第4四半期は大型イベントへの出展を控えているため、これまで以上に費用がかかる見込みです。

サイバーセキュリティクラウドの成長を支える従業員

従業員についてです。2023年12月期はかなり順調に採用ができており、9月末の従業員数は117名となっています。さらに、来年以降の大きな成長に向けて、特にグローバル人材やエンジニア職種を重点的に、採用継続したいと考えています。

重点施策①:SIDfmのパートナー販売を開始

2023年12月期第3四半期のトピックスとして、3つの重点政策をご紹介します。1点目は「SIDfm」のパートナー販売開始です。

これまで、当社のメイン事業であるWAF(Web Application Firewall)領域で、主力の「攻撃遮断くん」「WafCharm」の2製品については、直販だけでなく販売パートナーを活用して案内していました。

それに加えて、この度、脆弱性管理の領域である「SIDfm」においても、販売パートナーを募集する準備が整いました。スライド一番下に記載のとおり、すでにいくつかのパートナーも参画し、当社のみならず販売パートナーからもお客さまへの案内が始まっているところです。

「SIDfm」はWAFとは違った領域であり、対象となるお客さまの層や職種も少し違います。したがって、このパートナー事業を通じて、これまで当社がリーチできなかったようなお客さまに対してもリーチができるようになります。

大きな可能性を秘めているため、今後の売上拡大が非常に楽しみな施策です。

重点施策②:AWS最大の年次カンファレンス「AWS re:Invent 2023」に出展

トピックスの2点目は、AWS最大の年次カンファレンス「AWS re:Invent 2023」への出展です。本カンファレンスは、AWS社が毎年恒例で実施しているイベントで、11月末にアメリカのラスベガスで複数のホテルを借り切るような規模で開催されています。

実は、当社がグローバルでの展開を決めた数年前は、このカンファレンスに出展したくても出展する権利すらありませんでした。ある程度の販売実績や、AWSパートナーコミュニティにおける一定レベルのランクがないと申し込みすらできないためです。

加えて、世界中の企業が参加するため、準備も当日のオペレーションも基本的にはすべて英語で対応します。このようなカンファレンスへの参加は悲願でした。当社としてはようやくこの舞台に立つことができると、とても大きな期待を抱いています。

グローバルで展開しているセキュリティの各社、あるいはAWSのコミュニティ内で大きく実績を上げている各社は、「AWS re:Invent 2023」に出展することで、世界中から来場するパートナー候補やAWSスタッフとたくさんのコミュニケーションをとります。

そのようなコミュニケーションが、今後のビジネスの非常に大きなヒントになります。販売するためのリード獲得は当たり前ですが、来年以降のグローバル戦略を占う上でも、非常に大きな機会になると考えています。そのため、私自身も現地に足を運んで、このイベントをしっかりと良いかたちに仕上げていきたいと考えています。

重点施策③:MSS(マネージドセキュリティサービス)領域に進出(1/2)

トピックスの3点目も大きなお話です。当社はMSS、すなわちマネージドセキュリティサービス領域に進出していくことを決めました。

スライド左側の円グラフにあるとおり、日本企業にはとにかくセキュリティ人材がいません。セキュリティの重要性はわかっていても、実際に会社の中で実務を担ってくれる方がいなければどうしようもありません。そこで、MSSと呼ばれる領域が外部のサービスとして、その企業のセキュリティの実務を請け負う存在として、非常に注目されています。

スライド右側のグラフにあるとおり、当年のマーケット予想は1,650億円で、2030年には2,100億円規模になる見込みです。グローバル観点でも非常に大きなマーケットですので、今後も大きく成長していく見込みとなっています。当社の知見をこの領域で活かして、価値を創出していきたいと考えています。

重点施策③:MSS(マネージドセキュリティサービス)領域に進出(2/2)

MSS領域に進出することに関する具体的な動きを2つご紹介します。1点目として、AWSのクラウド環境を包括的に管理運用できる「CloudFastener」という新サービスをリリースしました。

AWS上でWebサービスを作っている企業は、日本にも非常に多くいます。その企業のほとんどが、セキュリティ管理・運用・対策が十分にできていません。

そこで当社は、長年AWSの開発プラットフォームでサービスを提供してきた知見とノウハウを活かして、広範囲にわたってセキュリティの管理運用を請け負うサービスを新たに出しました。すでに複数のお客さまに使い始めていただいており、今後が非常に楽しみなサービスです。

また、このような知見や考え方を活かしてさまざまな取り組みを行っています。2点目として、2023年9月に、デジタル庁からガバメントクラウドにおけるセキュリティ運用監視のあるべき姿を実証実験する案件を受託しました。

今後、日本政府もしくは地方自治体で数多く使われていくであろうガバメントクラウドという仕組みについて、どのようにセキュリティを保っていくかが課題になっています。そこで解かなければいけない課題の1つを、当社が受託しています。このような新たな取り組みを次々に行い、事業を大きく展開していきたいと考えています。

1,000名超参加のサイバーセキュリティに特化したコミュニティを設立

最後に、当社が発起人として設立した一般社団法人サイバーセキュリティ連盟という団体を通じた動きをご紹介します。

こちらは、経営者はもちろん、情報システム担当者、エンジニア、場合によってはまったく関係ない職種の方も含めて、サイバーセキュリティに興味のある方がオンラインでわからないことを聞いて議論し合うことを目的に設立しました。

すでに1,000名以上の方に登録いただき、「Slack」というコミュニケーションツールの中で、さまざまな会話や案内、アドバイスが飛び交っています。

日本において、サイバーセキュリティという1つのテーマを軸にして自由に話し合える空間はそう多くありません。今後は「日本でサイバーセキュリティを語るなら、このコミュニティだろう」という存在にしていきたいと考えています。

また、サイバーセキュリティ連盟として、初めて会員の方に集まっていただくオフラインの交流イベントも行っています。業界やサイバーセキュリティに興味がある方の中で話題になり、合計200名超の方にご参加いただきました。次回は12月に実施します。

このようなかたちで、日本のサイバーセキュリティへの興味、知識を底上げしていきたいと考えています。そして、時には実際に被害に遭ってしまった体験談を共有するなどして、全員で力強く立ち向かっていけるようにしていきたいです。

以上で、2023年12月期第3四半期の決算説明を終了します。引き続き、ご支援のほどよろしくお願いいたします。