2023年7月期 第3四半期累計 業績ハイライト

椎塚裕一氏(以下、椎塚):株式会社アルデプロ代表取締役の椎塚でございます。本日、私からは2023年7月期第3四半期の決算概要をご説明させていただきます。

まず、今期の第3四半期の業績についてです。売上高は139億6,300万円、売上総利益は17億9,100万円、営業利益は10億7,600万円、経常利益は6億2,200万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億5,600万円となりました。

ご覧のとおり、利益の部分は前年同期と比べ、若干の減益となっています。こちらは、第1四半期から第3四半期の取り扱い案件に小型の案件が多かったことや、利益率が低めの不動産再活案件が多かったことが主な要因です。

経常利益および親会社株主に帰属する四半期純利益については、当社が支出した主な項目として、貸倒引当金を約1億5,000万円繰り入れています。また、持分法適用会社を当社の100パーセント連結子会社化することにより、収益の拡大を狙っています。その過程において、段階取得に係る差損等を約1億8,000万円計上した結果、前年同期と比べて減益となりました。

2023年7月期 通期連結業績予想に対する進捗率

2023年7月期の通期連結業績予想に対する進捗率です。当社は期初に売上高240億円、営業利益34億円、経常利益30億円、親会社株主に帰属する当期純利益24億円という通期業績予想を立てました。

こちらの今期、第3四半期の進捗率は、売上高が58.2パーセント、営業利益が31.6パーセントで予想よりも若干低くなっています。しかし、当社は現時点において、通期業績予想を十分に達成できるものと考えているため、変更せずにそのまま進めていく予定です。

2023年7月期 第3四半期セグメント別業績

セグメント別の業績についてです。当社には、不動産再活事業ならびに不動産賃貸収益等事業という2つの大きなセグメントがあります。

当社は従前より、不動産賃貸収益等事業の事業比率を5パーセント程度まで引き上げたいとお伝えしていました。今期の第3四半期の売上高構成比は2.8パーセントと、前年同期の約2倍となっています。この部分をさらに積み上げることにより、安定した1つの収益源として事業を行っていければと考えています。

2023年7月期 第3四半期要約BS(資産)

BSの要約です。今期、第3四半期の流動資産は188億1,200万円で、主な内訳は現預金が20億6,300万円、販売用不動産が165億1,400万円となっています。前年同期と比べ、現預金・販売用不動産ともに資産を積み上げることができました。

販売用不動産には、当然ながら今期売却するものが含まれていますが、来期以降に売却する予定のものも、すでに在庫として一部組み入れることができています。

ご覧のとおり、来期以降も事業を安定的に運営していくための、十分な在庫が積み上がっていると考えています。

2023年7月期 第3四半期要約BS(負債・純資産)

BSの負債・純資産についてです。流動負債は91億3,300万円、固定負債は49億6,500万円を積み上げています。こちらはセグメント別の業績でもお伝えしたとおり、不動産賃貸収益等事業をどのように積み上げていくかが当面の課題だと考えています。そのためには、長期借入金で対応し、不動産を在庫として積み上げていくことが重要だと考えています。

また、前年同期と比べると長期借入金が倍増しています。当社ではこれを金融機関からの信用が従前よりも増していると考え、なるべくこのまま積み上げていきたいと思っています。

第3四半期の純資産合計は約70億円で、前年同期よりも約7億円多く積み上げることに成功しています。今期がこのまま想定どおりに終了すれば、100億円を若干下回る見込みです。

当社では、純資産を約100億円とすることを目標かつ目線として取り組んできました。そのため、そちらを今期中に必ず達成し、来期以降もさらなる純資産の積み上げを図り、会社の根幹をより強固にしていきたいと考えています。

売上高営業利益率の推移

いくつかある経営指標のうち、当社が重要視している売上高営業利益率の推移です。

当社では営業利益率約15パーセントを目標に事業を行っていますが、今期の第3四半期は7.7パーセントとなりました。目標の15パーセントを下回っていますが、これは先ほどご説明したとおり、利益率が若干低い不動産再活案件を多く売却したためです。

第4四半期には再開発アジャストメント案件の売却決済を控えています。そのため、今期の通期の営業利益率は目標としている15パーセントを十分に達成できると考えています。

自己資本比率の推移

自己資本比率も当社が重要視している指標です。当社では従前より、自己資本比率は30パーセントから40パーセントを維持しながら事業を行っていきたいとお伝えしてきました。

今期、第3四半期時点での自己資本比率は33.4パーセントと、想定どおりの比率になっています。来期以降も、自己資本比率は30パーセントから40パーセントのレンジで収め、うまく在庫を入れ替えて事業を行っていければと考えています。

以上、私からは2023年7月期決算概要をご説明しました。

2023年7月期 第3四半期トピックス(再活案件)

秋元和弥氏(以下、秋元):秋元でございます。この第3四半期の売買事例として「再活案件」「再開発アジャストメント案件」を1例ずつご紹介します。

まずは再活案件の事例です。こちらの物件は、大阪を走る南海電鉄本線の堺駅から1分のところに位置しています。大阪の中心部や関西国際空港にもアクセスのよい物件として、取得しました。

当社にて、物件のバリューアップを伴う改修工事を実施し、マンションとして遵法性を満たしていなかった部分を改修することで、最終的に大手インフラ系の不動産業者に売却しました。当社の取得時は、遵法性の問題などから投資対象とするプレーヤーが少なかったものの、適切な是正を行ったことにより、幅広い投資家の方々にご検討いただくことができました。

2023年7月期 第3四半期トピックス(再開発アジャスメント案件)

次に、再開発アジャストメント案件の事例です。当社が権利調整に強みがあることは、業界でも相当数認知されています。最近では大手を含めたさまざまなデベロッパーから、権利調整のご依頼をいただくことが増えてきました。本件もその1つになります。

場所は東京都千代田区神保町に位置し、地下鉄の神保町駅から徒歩2分です。2022年12月に物件を取得した後、テナントとの権利調整を実施し、取得から約4ヶ月でデベロッパーへの売却を完了しました。

現在はさまざまなデベロッパーとのプロジェクトを完遂することで、より多くの情報や依頼をいただく好循環が生まれています。当社としては、今後もそのようにさまざまなデベロッパーとの関係性を重視し、より強固な関係性を構築できればと考えています。

質疑応答:大手デベロッパーが権利調整を依頼する理由について

司会者:「大手デベロッパーが御社に権利調整を依頼する理由は何でしょうか? デベロッパーが自社で行うよりもスピードが速いからでしょうか?」というご質問です。

秋元:デベロッパーが権利調整を当社に依頼する理由は、基本的にデベロッパーが建築着手から竣工までの事業期間を非常に大切にするためです。

テナント工事を行うにあたり「いつテナントが立ち退くのか」といった見通しは物件の取得段階ではつきづらく、デベロッパーが自社で権利調整から行うことはあまりありません。

デベロッパーは、見通しのつきにくい立ち退き等の権利調整を外部に依頼し、取得後すぐに建築に着手できる空の状態の物件を購入するのが一般的です。

質疑応答:再開発アジャストメント案件と再活案件の増加傾向について

司会者:「再開発アジャストメント案件と再活案件の増加傾向は加速していますか?」というご質問です。

秋元:当社では再開発アジャストメント案件と再活案件を、全体のポートフォリオの中で7対3の割合で取り組んでいます。

再活案件に関しては物件の大幅な増加傾向はないものの、再開発アジャストメント案件においては、直近も行政から耐震の是正が入るなど、行政、国を含めて、旧耐震基準の建物から新耐震基準の建物に改修する動きが促進されています。そのような側面からも、再開発アジャストメント案件は今後ますます増加すると見込んでいます。

質疑応答:再開発アジャストメント案件の依頼数の推移について

司会者:「御社が権利調整に強いという認識が業界で広まっていますが、再開発アジャストメント案件の依頼数はどのように推移しているのでしょうか?」というご質問です。

秋元:先ほどのご質問への回答と少し重なりますが、当社のポートフォリオとして再開発アジャストメント案件を8割、9割まで増やすことは考えていません。

ただし、先ほどお伝えしたとおり、当社が権利調整に強いという業界認識が広まり、多くの案件をいただくことにより、このポートフォリオの中身をより濃いものにするための選別が一層できるようになってきました。再開発アジャストメント事業が営業利益、営業利益率を支えているため、より営業利益率の高い物件を吟味しやすくなっている状況だと捉えています。

質疑応答:金融機関の新規開拓について

司会者:「以前の説明会では、新規の金融機関の開拓が順調だとうかがいました。その後の進捗状況はいかがでしょうか?」というご質問です。

椎塚:当社の事業が比較的安定していることもあり、順調に新規の金融機関の開拓が進んでいます。最近では、金融機関側から取引開始のご提案もいただき、よりよい条件で資金調達できるところを選択しながら、金融機関の開拓を同時に行っています。