2023年3月期決算説明
黒岩正勝氏:みなさま、こんにちは。本日は大変お忙しい中、2023年3月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。私はニッコンホールディングス株式会社、代表取締役社長の黒岩正勝でございます。当社の決算内容とESGの取り組みについてご説明させていただきます。
■業績概要:当期の概要
当期におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症への対応が転換期を迎えたものの、ロシア・ウクライナ情勢の影響による資源や原油価格の高騰、円安の進行などにより、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いています。
物流業界においても、原油価格の高騰、慢性的な人手不足、2024年問題への対応や競争の激化など、厳しい経営環境が続いています。
■業績概要:損益計算書
当期の連結損益計算書についてご説明します。売上高は業務量の回復などにより、前期比7パーセント増の2,120億7,100万円となりました。営業利益は、燃料費・人件費等のコスト増の中、業務量の回復に加え、原価軽減活動や業務の効率化を進めた結果、前期比0.3パーセント増の195億8,000万円となっています。
経常利益は、助成金収入の増加や受取保証金の発生により、前期比2.4パーセント増の221億800万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、収用補償金の発生により、前期比8パーセント増の159億1,300万円となりました。
■業績概要:事業別売上高/事業別営業利益
連結の事業別売上高と営業利益についてご説明します。運送事業については、貨物量の回復やフルトレーラーの拡大等により、売上高は前期比7.1パーセント増の967億4,400万円となりました。営業利益については燃料価格高騰があったものの、混載輸送の拡大や積載効率向上により、前期比12.5パーセント増の50億6,200万円となっています。
倉庫事業は、倉庫増設効果や在庫増加により、売上高は前期比9パーセント増の377億2,900万円となりました。営業利益は倉庫増設効果や在庫増により、前期比4.6パーセント増の84億2,200万円となっています。
梱包事業は、業務量の回復や既存顧客の業務拡大、新規取引先の拡大などにより、売上高は前期比11.8パーセント増の495億9,100万円となりました。営業利益は業務量の回復や生産性向上対策、多能工化を進め、前期比27.8パーセント増の30億800万円となっています。
テスト事業は、テスト業務の中止や減少、自社社員の新型コロナウイルス感染の影響により、売上高は前期比4.2パーセント減の209億4,200万円となりました。営業利益は売上高の減少に加え、新型コロナウイルス感染により人件費を吸収しきれず、前期比40.5パーセント減の22億2,300万円となっています。
当期の売上高の構成比を見ると、割合が一番大きいのが運送事業で45.6パーセントを占め、次いで梱包事業、倉庫事業、テスト事業です。当期の営業利益の構成比で割合が一番大きいのが倉庫事業で43パーセントを占め、次いで運送事業、梱包事業、テスト事業となります。
■業績概要:業種別売上高 / エリア別売上高
連結の業種別売上高についてご説明します。自動車は、半導体不足も回復傾向となり取扱業務量の増加により、前期比6.6パーセント増の787億8,500万円となりました。自動車部品は、自動車同様、取扱業務量の増加により、前期比5.9パーセント増の448億7,800万円となっています。
住宅は、既存顧客の業務量の増加により、前期比4.1パーセント増の277億1,000万円となりました。産業機械は、既存顧客の業務量が回復傾向で、前期比8.6パーセント増の132億600万円となりました。
構成比については、割合が一番大きいのが自動車関連で、自動車と自動車部品をあわせて58.4パーセントを占めています。次いで住宅、産業機械です。
次に、連結のエリア別売上高についてご説明します。日本・北米およびアジアの3つの地域に分かれており、日本は、自動車および住宅関連の業務量の増加により、前期比5.2パーセント増の1,804億6,900万円となりました。
北米は、自動車関連の業務量の回復により、前期比42.2パーセント増の127億6,700万円となりました。アジアは、ベトナム・中国およびインドにおける業務量の増加により、前期比6.5パーセント増の188億3,400万円となりました。
構成比は日本が85.1パーセント、海外は北米とアジアをあわせて14.9パーセントです。海外は、各国の経済成長や設備投資により業務量が拡大しています。
■業績概要:財務指標
当期の財務指標についてご説明します。総資産は、前期末比212億7,300万円増の3,607億4,800万円です。内訳としては、期中の利益計上等により現金および預金が99億9,400万円、設備投資により有形固定資産が103億4,300万円増加しました。
有利子負債は、前期末比83億700万円増の739億4,700万円となりました。増加した主な要因は、2022年9月に新規で100億円借り入れをしたことです。
自己資本は、前期末比103億9,500万円増の2,288億7,300万円となりました。内訳としては、自己株式を取得した一方、消却により自己株式が30億1,200万円減少、円安により為替換算調整勘定が16億8,300万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益等により利益剰余金が45億3,300万円増加、保有株式の時価が上昇したことによりその他有価証券評価差額金が14億7,600万円増加しています。その結果、自己資本比率は63.4パーセントとなりました。
■業績概要:連結 キャッシュ・フロー
当会計期間の連結キャッシュ・フローについてご説明します。営業キャッシュ・フローは、当期純利益および減価償却費などの計上により、325億4,700万円となりました。投資キャッシュ・フローは、有形固定資産の取得により225億4,800万円の支出がありました。
財務キャッシュ・フローは、長期借入金の調達により増加した一方、配当金の支払いや借入金の返済などにより2億800万円の支出となりました。その結果、当会計期間における現金および現金同等物は394億6,000万円となり、前会計期間に比べ103億200万円増加しています。
■業績概要:設備投資額の推移
設備投資についてご説明します。スライドは連結ベースでの設備投資額の推移です。当期に実施した設備投資の総額は、222億2,600万円でした。また、2024年3月期の設備投資の総額は、230億円を計画しています。
■業績概要:設備投資の状況
当期に実施した設備投資の内訳についてご説明します。主な設備投資として、営業車両をトラックの増車や代替で126台取得しています。
■業績概要:設備投資【倉庫完成】
建物については、広域荷主や新規企業の保管物を取り込むために、倉庫を国内6ヶ所に新増設し、延床面積はあわせて約9万平米、倉庫面積として東京ドーム約1.9個分拡大しています。
■業績概要:設備投資【倉庫建設中】
2023年3月末現在、倉庫を国内3ヶ所で建設中です。これら3ヶ所の延床面積は、あわせて約9万6,000平米となります。今後もお客さまのニーズにお応えするために設備投資を積極的に行い、さらなる業容の拡大と新規業務獲得を目指していきます。
■業績概要:設備投資【不動産取得】
不動産の取得について、国内の倉庫1ヶ所を取得しました。土地については、国内で事業用地5ヶ所を取得しています。敷地面積としては新たに11万3,000平米増加しました。
■株主還元(配当金)
配当金についてご説明します。スライドは配当金および連結配当性向の推移です。2023年3月期の期末配当金は、直近の配当予想から1株当たり3円増額し51円としています。2024年3月期の年間配当金は、1株当たり100円を想定しています。
■株主還元(⾃己株式の取得/消却)
自己株式の取得と消却についてご説明します。2022年5月13日の取締役会決議に基づき、135万2,000株、総額約30億円の自己株式の取得が完了しています。また、250万株の消却も行っています。2023年3月期から3年間で100億円を目途に、継続的に自己株式を取得する方針です。
■第12次中期経営計画 振り返り①
第12次中期経営計画の振り返りです。前中期経営計画は、コロナ禍による市場の低迷や半導体を含む部品供給不足による貨物の停滞等の影響を受け、ほぼ1年遅れとなりました。
この状況下で、主要株主さまの事業計画に応じて3年間で788億円の設備投資を実施したほか、グループで6ヶ所の新規営業所や20ヶ所以上の新規倉庫を立ち上げるなど、アフターコロナの市況回復に対する備えを行ってきました。
また、ビジネスリソースの拡張に加えて新規顧客開拓を進めてきたことで、コロナ禍の影響を受けつつも右肩上がりに売上・利益を回復してきています。
一方で営業利益に関しては、高騰する燃料費のサーチャージ交渉にタイムラグが生じたこと、また主要荷主の不安定な生産計画と、当社の人的リソースのミスマッチからコスト増となり、利益率が低下しました。現在取引先の生産量は回復基調にあり、これらの課題は解消されつつあります。
■財務数値等の推移:売上高・営業利益・営業利益率
財務数値等の推移についてご説明します。スライドは売上⾼・営業利益・営業利益率の推移です。コロナ禍の影響がありながらも売上⾼は回復基調にあり、コロナ禍前の状態まで回復してきました。
営業利益については、燃料費や人件費のコストアップで利益幅が圧迫されながらも、2023年3月期は前期比で増収増益となっています。
■財務数値等の推移:売上高・ROE・ROA
ROEはコロナ禍から回復基調にあり、売上拡大により収益性を上げてコロナ禍前の8パーセントを目指していきます。ROAも設備のフル稼働により売上拡大に努め、収益性を上げて5パーセントへの回復を目指していく考えです。
■第12次中期経営計画 振り返り② 設備投資の推移
設備投資額のセグメント別推移です。毎年200億円の計画に対し、3期とも200億円を超える設備投資をしています。
■第13次中期経営計画 中期経営計画:Challenge 13
第13次中期経営計画についてご説明します。新規の顧客開拓とコンスタントな設備投資により安定的な成長を継続し、中期経営計画最終年度には売上高2,800億円を目指します。燃料価格や人件費の上昇等のほか、社会課題への対応コストなど先行きのコスト環境が不透明な中、積極的に原価低減活動や必要な価格転嫁を行い、営業利益率10パーセントを実現をします。
自前主義・手の内管理の基本戦略に整合した利益計画と資本政策から、ROE目標は8パーセント以上を目指す計画です。
■成⻑戦略: 循環事業:サーキュレーションビジネス
循環事業の拡大についてです。現在当社は収集運搬から仕分け選別・中間処理まで実施していますが、この規模を拡大し、最終工程であるリサイクル・リユース領域まで広げていきます。
■成⻑戦略: 海外事業の拡大
海外事業の拡大についてです。現在ある海外拠点の拡充を図り、顧客サプライチェーンに見合った拠点網の整備・ネットワーク強化や、各拠点の地場ビジネスへの展開等により、事業の拡大に取り組んでいきます。
当社が営んでいる衣食住関連事業の中で、食品については菓子や各種飲料水・レトルト食品などが中心で、まだ拡大の余地はあります。既存顧客の深掘りから新規顧客への営業展開、状況によって低温倉庫の拡大や冷蔵倉庫も視野に入れながら売上拡大を目指していきます。
■成⻑戦略:省人化・自動化の取り組み
省人化や自動化への取り組みについてご説明します。倉庫事業において、垂直搬送機をはじめ倉庫ロボットや移動式ラック等の設備の導入により作業効率を上げつつ、作業者の安全確保と労働負荷の軽減に取り組み、倉庫スペースの効率を高めていきます。今後は、無人フォークリフトや無人搬送機等の導入を検討していきます。
運送事業においては、ダブル連結トラックを導入し、通常の大型トラックに比べて乗務員数を約50パーセント削減しています。
■成⻑戦略:システム化の取り組み(デジタルプラットフォームの構築)
システム関連の取り組みについてご説明します。業務経営システムを手の内化するため、開発環境を自前で構築し、全体最適なプラットフォームを自社開発していきます。
前中期経営計画では、新たな在庫管理システム「WMS」を開発し、運用を開始しました。第13次中期経営計画では、輸配送管理システム「TMS」とデータ分析システム「LMS」の開発を計画しています。
■成⻑戦略:M&Aの取り組み
M&Aの取り組みについてご説明します。当社では基本的に自社設備で新しい顧客を開拓して拡大しており、M&Aはそのスピードを上げるための手段として考えています。買収する会社は、空白地帯の解消や物流機能の強化、また直接荷主と取引がある会社にターゲットを絞っています。
■ESGへの取組み①【気候変動対応】
ESGの取り組みについてご説明します。環境配慮車については、前期は33台、現在までに163台の車両を導入しました。
太陽光発電に関しては、菊陽事業所の倉庫2棟を活用し、オンサイトPPAを導入しました。これは、PPA事業者が太陽光システムの設置から運用・メンテナンスまでを実施し、当社は使用した電気量をPPA事業者へ支払うものです。今後も状況を見ながら拡大していく予定です。
■ESGへの取組み② 【スポーツ支援】
地域貢献活動の一環として、2022年2月に正式にトップパートナー契約を締結したセレッソ大阪の協力を得て、大阪とタイのアユタヤでサッカーを通じた子どもたちへの教育支援活動を実施しました。
■ESGへの取組み③【⼥性活躍推進の取組み】
女性活躍推進の取り組みについてです。2022年9月から12月に各社の女性役職者クラスを集め、Webによる女性活躍推進セミナーを開催し、7社11名が各自の成果を発表しました。この研修をきっかけとして実際に昇給するなど、各自の意識も向上しました。今後も定期的に開催し、女性の活躍の場を広げていきます。
■第13次中期経営計画(ESG) KPI
女性活躍に関するKPIとしては、グループ従業員全体に占める女性の割合を2025年度に30パーセントと定めました。女性の新卒採用を増やし、研修や動機付けなどに加え女性が働きやすいインフラや環境を整えることで、着実に女性管理職の登用への素地・下地を備えていきます。
CO2削減については、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、次期中期経営計画における削減目標を2022年度比マイナス3パーセントと定めました。また、大型トラックのEV/FCV化を含め、各種技術開発が見込まれる2030年度の計画をマイナス30パーセントと定め、チャレンジを続けていきます。
以上で説明を終了します。この説明会を通じて当社へのご理解が深まれば幸いです。