'23/7上期 対前年同期

林博文氏:INTLOOP株式会社、代表取締役の林でございます。本日は、当社の2023年7月期第2四半期の決算及び中長期の戦略についてご説明させていただきます。

まず、業績のハイライトです。売上高は前年同期比41.6パーセント増で、売上原価等はスライドのとおりです。営業利益率は前年同期比1.3ポイント増で、営業利益の額自体も前年同期比75.2パーセント増となっています。四半期純利益は前年同期比72.8パーセント増の3億6,400万円で着地しました。

QonQ 対’23/1Q

前四半期比の業績です。売上高は8.9パーセント増の43億4,000万円で、販売費及び一般管理費が25.2パーセント増となっています。これは採用活動が計画以上に進捗したことが要因であり、将来的にはポジティブに作用するものと捉えています。

社員採用の進捗

販管費が前四半期比で増額となった要因の詳細についてご説明します。当社は社員を2つのカテゴリーに分けています。デリバリー社員という、コンサルタント、ITエンジニア等の現場でサービス提供を実施するメンバーと、その他社員という、営業やマーケティング、管理部門のメンバーがいます。

実際に現場に出て活動するデリバリー社員の採用計画は、通期予想で84人でしたが、上期実績で60人となり、採用の進捗率は71.4パーセントに達しました。その採用費用等で、今回の第2四半期の営業利益が前四半期比で下がっているという状況です。

デリバリー社員に関しては一部未経験の方も採用しているのですが、未経験の方は1ヶ月から2ヶ月の教育期間を経て、現場でのサービス提供を開始します。一方、経験者の方は、最短で入社翌日から現場に入るケースもあります。全体としては、売上増に直結する社員の採用が進捗以上に増えたと理解しています。

通期予想に対する進捗

通期予想に対する進捗です。売上高は170億5,100万円の予想に対して、第2四半期終了時点で83億2,400万円となっています。通期予想比の進捗率は48.8パーセントです。

また、営業利益の進捗率は46.2パーセントです。これは先ほど触れたとおり、採用計画が若干上振れているためです。営業利益の進捗率自体は売上高に比べて少し下がってはいるものの、営業利益率は6.6パーセントと、通期予想に近い水準で推移しています。

なお、経常利益は5億4,900万円、四半期純利益は3億6,400万円となっています。

売上高の四半期推移

指標の概況についてです。売上高の四半期推移からご説明します。先ほどお伝えしたとおり、売上高は前年同期比で41.6パーセント増、前四半期比で8.9パーセント増となりました。

2022年7月期の第2四半期から第3四半期への増収額が4億6,500万円となっていますが、これは過去1位の実績でした。今期は増収額3億5,600万と、過去2番目の実績となっています。

売上総利益及び利益率の四半期推移

今回、売上総利益率は前四半期比で低下しましたが、現時点では、2023年7月期通期に1ポイント以上改善すると予定しています。

営業利益及び利益率の四半期推移

営業利益及び利益率の四半期推移です。2023年7月期第2四半期の営業利益率は4.9パーセントと、前四半期比で低下しています。これは先ほどお話ししたように、社員採用が思った以上に順調に進んでいるためです。当社としては、利益率低下は一時的な傾向であり、要因はポジティブなものであると捉えています。

売上の季節性

こちらは毎期お示ししている資料です。当社は、毎月増える登録者をどんどん稼働させていくようなかたちとなっていますので、基本的にはストック型モデルで売上が伸びていきます。日本特有の「3月決算の影響で4月が落ちる」というケースもありますが、それ以外は基本的には前月の売上を毎月上回っていく傾向にあります。

その結果、2023年7月期上期の売上高は、進捗率48.8パーセントを達成しています。2022年7月期と2021年7月期の第2四半期時点の進捗率は、それぞれ44.8パーセントと45.6パーセントであったため、今期は過去平均の進捗率に比べて順調に推移していると考えています。

登録者数・稼働人数の推移

先ほどご説明したストック型モデルを表す図です。登録者は現在3万人を超えています。2023年1月時点で、コンサルタントに関しては約1万6,000人、ITエンジニアに関しては約1万4,000人と、合計3万人強になっています。

オレンジ色の折れ線グラフは、登録者の中で当社の案件で稼働している人数を表しています。コンサルタントは684名、ITエンジニアは511名と、こちらも順調に稼働している状態です。

規模別に見た取引先状況

こちらはお客さまの状況のデータです。スライドのピラミッドは以前からご案内している図で、当社の取引先の全体像を表しています。

当社には休眠のお客さまもいるため、厳密に全部がお客さまというわけではありません。現時点で当社がコンタクトをとっているお客さまを下から積み上げると、ボトムに休眠のお客さまが約600社います。

次に、年間売上高が0.5億円未満の、残念ながらまだあまり当社と取引していない一般取引先のお客さまが約400社います。

さらに、年間売上高が0.5億円程度以上の準主要取引先が約40社、主要取引先が約30社、優良取引先が約5社となっています。

今期については、休眠のお客さま以外のすべてのカテゴリーで取引社数が増えるという予測を立てています。

スライド右側の基本戦略をご覧ください。まず、コンサルティング営業専任組織による、課題解決型ソリューション提案の実施を掲げています。コンサルティング営業はソリューション型の営業になるため、人材をマッチングしてご提案している一般的なメンバーよりも、コンサルティングやソリューションの営業の経験が必要になります。そのため、専任組織を立ち上げ、少しずつ営業を取り始めています。

また、当社は現在、いろいろなSIerを含め、大手のお客さまの中でコアパートナーとしてのポジションを順次確立しており、取引高自体も増えている状態になっています。

社員数推移と採用実績

社員数の推移です。前期末時点では社員は287名でしたが、上期に採用が予想以上に推移したことで、2023年1月には361名となりました。その内訳は、コンサルタントやITエンジニアのような現場で実際にサービスを提供する社員が183名、その他の営業を含めた管理部門等の社員が178名です。採用は順調に推移しており、2023年7月時点の予測は421名となっています。

I. めざす姿

中期成長戦略についてお話しします。まず、めざす姿に関してです。当社の現時点でのポジションはスライドの「scope01」にあります。現時点で3万人以上のフリーランスを集めており、当社はDX業界においてリソースを支援することが中心になっています。

これを順次「scope02」「scope03」と展開していきます。「scope02」では、「DX支援におけるリーディングカンパニー」ということで、総合コンサルティング会社のようなかたちでエコシステムを構築していこうと思っています。

また、「scope03」では「社会のタレント活用プラットフォーマー」を目指します。働き方が多種多様になっていく状況において、当社が今までに構築してきたフリーランスの方々に自由に働いていただける環境と、これまでに培ったオペレーション力を活かし、柔軟に働ける社会を実現するためのプラットフォームを構築していきます。

II. 業績目標

スライドに記載の3つの戦略により、当社はなるべく早期に売上高1,000億円以上を目指したいと思っています。直近10期の平均成長率は30パーセントを超えていますが、過去に一度もM&Aを実施したことがないため、基本的にはオーガニックの成長でこの成長率を実現してきました。今後も既存事業の平均成長率は30パーセントを目標に、それ以上をキープしていきたいと考えています。

また、プラスαとして、当社が得意なコンサルティングやITエンジニアの領域はもちろん、そこに隣接した領域も含めて、M&Aや場合によってはアライアンス・業務提携により人材を強化していくことを考えています。

さらに、先ほどお伝えしたように、当社の今までの業務オペレーションや人材マネジメントノウハウが育ってきています。それを横展開していくことを模索し、掛け算することによって売上高1,000億円以上を目指したいと考えています。

II. 業績目標 — 直近の売上推移

オーガニック成長30パーセント以上の目標に対して、過去の実績の推移を確認したいと思います。直近10期のCAGRは35.9パーセントで、この程度の数字を維持しながら、M&Aに加えてプラットフォームの横展開を行います。その結果、早期に30パーセント以上の成長を達成し、売上高1,000億円を超えることを目指していきたいと考えています。

III. 成長戦略 — 1. オーガニック成長戦略

成長戦略の1つ目はオーガニック成長戦略です。当社の単価を単純に計算していくと、当社のビジネスには約1万人の方々に関わっていただかないといけない計算になります。

その1万人の稼働を実現するためにはどのような要素が考えられるかといいますと、まずはリソースプールです。具体的には、社員採用、フリーランスのプロフェッショナル人材、小さなソフトウェアハウス等を含むビジネスパートナーの数を拡大していくことを考えています。

しかし、それだけではリソースプールに集まった方に当社の案件に継続して関わっていただけません。最新のナレッジを学んでいただく教育として、リスキリングのプログラムで当社のナレッジを共有していきます。加えて、フリーランスから正社員に戻りたい方のキャリア支援を生涯にわたって行っていくことを含めて、永続的に当社を使っていただくことを目指しています。

また、営業戦略としては、ソリューション営業はソリューション営業、人材関連の営業は人材関連の営業と、領域別に営業のスペシャリストを配置することによって、当社の強みであるデリバリー力と人材の力をどんどん拡大させていこうと考えています。

アライアンスに関しては、先日KDDI Digital Divergence Holdings株式会社とKDDIアジャイル開発センター株式会社と業務提携しましたが、そのようなかたちで協業先と連携し、お互いに顧客基盤を活用しながらアップセル・クロスセルを行っていくことを考えています。

それを支えるマッチングプラットフォームも自社で開発しています。こちらを外販できるくらいまでどんどんブラッシュアップし、なるべく効率的にマッチングを行えるように開発していこうと考えています。

III–1. オーガニック成長戦略 — 01 リソースプール

リソースプールを作っていくための戦略についてです。まず、デリバリー社員をどう採用するかについてですが、他社が社員採用でかなり苦しんでいる状況の中、当社は計画以上に採用できました。今の流れを見ながら、これからさらに採用を増やしていかないといけません。ブランディングを行うとともに、エージェントが中心の採用を自社採用に切り替えていくことで社員採用を進めていきます。

プロフェッショナル人材に関しても、現時点では順調に登録者・稼働人数を増やしています。こちらもさらに増強していくために、サービスブランディングやデジタルマーケティングを強化しながら、いろいろな戦略を考えている状況です。

ビジネスパートナーに関しては、まだ開拓余地があると思っています。我々がリソース不足で、いろいろなビジネスパートナーの方々にコンタクトできていない状況もあるため、当社が開発している独自システムを一部開放することによって、地方のパートナーを含めたビジネスパートナーとのアライアンスを増やしていくことを考えています。

III–1. オーガニック成長戦略 — 02 人材の価値向上

こちらのスライドは概念的な資料ではありますが、人材のバリューアップについてお示ししています。どんどん新しい技術が出てきているため、教育による人材のリスキリングをしていきます。さらに、当社のナレッジに気軽にアクセスしていただいたお客さまに対し、素早い価値提供を実現していきます。

やはりフリーランスになると将来のキャリアを心配される方もいらっしゃいますので、そのようなフリーランスの方を含め、社員や転職をご希望されている方、ビジネスパートナーを当社でサポートすることで、当社のループの中に入っていただける方々をどんどん増やし、生涯キャリア設計と支援を通じて、お客さまに高い価値を提供していきたいと考えています。

III–1. オーガニック成長戦略 — 03 独自マッチングプラットフォーム

当社の独自のマッチングプラットフォームについてです。まだ公開していないものですので、概念的な図になっていますが、一般的には、人材の登録者に対し、弊社で蓄積されたデータをもとに、どのような案件がこの方に合っているのかを見極めるというポテンシャルのアセスメントを行います。

逆に、お客さまからの案件に対しては、人手不足で希望条件等が完全に合う方がなかなかいない状況の中、リスキリングも含めて、そのような方をどのようなかたちでお客さまにご提案できるかということについて、高精度マッチングを使っていくことを考えています。

これはまだ開発途上のテクノロジーですが、エンジニアも当社に集まっていますので、将来的にはAI等も含め、蓄積された過去の事例もうまく活用していきながら、高精度マッチングを実現していきたいと考えています。

III–1. オーガニック成長戦略 — 04 営業戦略

営業戦略についてです。繰り返しになりますが、スライド中央に記載のとおり、当社の既存顧客は現在、日本に400社程度しかいません。数多くの会社がある中で、まだ400社しかいないという状況ですので、そこのパイをさらに増やしていきたいと考えています。

ただし、みなさまご存じのとおり、黙っていてもお客さまが来るわけではありません。営業とコンサルタントがなかなか両立しない商売でもあり、コンサルタントの中にはあまり営業が得意ではない方も多いため、ソリューション営業のスペシャリストをどんどん育成することで、お客さまの信頼を獲得していきます。

また、これは当たり前のことですが、お客さまから「社員がいるほうが安心してプロジェクトの拡大を任せられる」というお声をいただくことも多いため、順次、社員採用を増やしていくことで、チームによってプロフェッショナル人材の能力を最大活用することを考えています。

加えて、現時点で当社がアクセスできるお客さまは、経営企画や情報システム部門に限られています。すでに多くの会社がお客さまに食い込んでいるため、当社が途中から入り込むのが難しいといった状況もあります。

そのようなお客さまに対しては、変化球でアプローチします。例えば、Webマーケティングや近しい領域の会社とのアライアンス、さらにはM&Aによって当社が営業できる領域を拡大していき、そこから当社の柱であるIT領域に営業をかけていくようなアップセル・クロスセルの戦略を考えています。

III–1. オーガニック成長戦略 — 04 営業戦略:取引社数推移

取引社数推移です。少しずつソリューションのスペシャリストを採用することにより社数が増えていき、今期の予想では、前期415社だったお客さまが475社に増加する見込みです。こちらは順調に推移しています。

III. 成長戦略 — 2. アライアンス・M&A戦略

成長戦略の2つ目は、アライアンス・M&A戦略です。こちらも概念的な絵になっていますが、1つ目は既存領域強化です。コンサルティング、PMO、上流設計、あるいはエンジニアの領域に関して、現段階では柔らかい案件が中心ではあるものの、すでにいろいろなお話をいただいている状況です。今後はそのようなM&Aを進めていきます。

2つ目は、そこに近い周辺の領域として、デジタルマーケティングや大規模開発領域に関してのアライアンス、M&A戦略を同時に考えています。

3つ目は、新規領域拡張として、地方や海外といった横の伸びしろも含めて考えていきます。新市場に関しては、もう少し様子を見ながら考えたいと思っていますが、まずは近い領域、地域で広げていきたいと考えています。

III. 成長戦略 — 3. プラットフォームの新規領域展開

成長戦略の3つ目は、プラットフォーム戦略です。ここはさらに曖昧なかたちで記載されていますが、これまである程度の研究開発費を投資して開発してきた当社のマッチングマネジメントプラットフォームをどう活かしていくかというところです。

まず、スライドの左側ですが、現在の機会を展開・深掘りしていきます。IT・デジタル領域に関してはもちろん、今後はホワイトカラーの領域を含め、フリーランス等の柔軟な働き方が増えていくと思っていますので、そこに関してのスタディーを開始しています。スタディーだけではなく、最終的に当社が市場を創出するかたちになってしまう可能性もありますが、伸ばしていきたいと考えています。

さらには、スライド右側に記載してある、先の未来を考えるというところに対しても迅速に対応することが必要だと考えています。何が起こるかわからない時代だからこそ発生する経営課題や新しい人材の支援ニーズに対応できるように、常に情報をキャッチアップし、お客さまの求めるサービスや新しい課題に、マネジメントプラットフォームを使って対応できるかたちに持っていきたいと考えています。

最終的には、「scope3」でお話しした、社会全体のタレントを活用するようなプラットフォーマーになっていきたいと考えています。少し先の部分もありますので、若干不明瞭な領域もありますが、当社の中長期の戦略についてお話しさせていただきました。

以上で本日の説明会を終了します。どうもありがとうございました。