2022年3月期決算説明会

荒川隆治氏(以下、荒川):みなさま、こんにちは。アルフレッサホールディングス株式会社の荒川隆治でございます。平素は格別のご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。弊社は5月16日に、2022年3月期の決算発表を行いました。本日は新型コロナウイルス感染防止の観点から、Webライブ配信形式で決算説明会を開催します。みなさまに直接お目にかかれないのは大変残念ですが、よろしくお願いいたします。

まずはじめに、副社長の岸田から2022年3月期の業績について、次に私から主な取り組みと業績予想、および「22-24中期経営計画」をご説明します。それでは岸田副社長、よろしくお願いします。

連結損益計算書

岸田誠一氏:2022年3月期の連結損益計算書からご説明します。なお、本日の資料では受取情報料等の表示変更については前年同期分も遡及修正して表示しています。

売上高は前年同期比0.9パーセント減の約2兆5,856億円、売上総利益は2.6パーセント増の約1,874億円で、売上比は7.25パーセントとなり前期よりプラス0.25ポイントです。販管費は2.3パーセント増の約1,583億円、営業利益は4.2パーセント増の約290億円で、売上比は1.13パーセントとなり前期よりプラス0.06ポイントです。

経常利益は2.1パーセント増の約325億円、特別利益として投資有価証券売却益による約189億円の計上などにより、当期純利益は31.3パーセント増の約321億円となりました。結果として、前年同期比で微減収増益となりました。

連結貸借対照表

バランスシートについてご説明します。2021年3月末と比較して、資産合計は約126億円減の約1兆3,039億円になりました。主な増減要因ですが、資産の部では現預金が約100億円増、受取手形売掛金が約91億円増、有形固定資産と無形固定資産が約51億円増です。また、投資その他資産は約418億円減となり、そのうち投資有価証券は約403億円減です。

一方、負債純資産の部では支払手形・買掛金の仕入債務が約13億円増、固定負債は投資有価証券の減少に伴う繰延税金負債の減少により約134億円減です。また、有価証券評価差額金の減少や配当、自己株式の取得などにより純資産は約181億円減、そのため自己資本比率は36.2パーセントとなり前年末比でマイナス1ポイントです。

連結キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況はスライドのとおりです。営業活動によるキャッシュ・フローは約365億円増、そのうちワーキング・キャピタルは約53億円減です。投資活動によるキャッシュ・フローは約23億円増ですが、そのうち営業支店や物流センターの新設と固定資産の取得により約169億円減、投資有価証券の取得で約12億円減、投資有価証券の売却で約249億円増です。

そのため、営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローの合算であるフリーキャッシュ・フローは、約388億円増となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは約291億円減、そのうち配当金の支払いが約114億円、自己株式の取得が約152億円です。結果として、2021年3月期に比べてキャッシュは約97億円増となり、期末残高は約1,791億円となりました。

投資有価証券の状況

投資有価証券の状況です。2022年3月期に投資有価証券をキャッシュベースで249億円売却しました。十分な保有意義を持たない株式は、今後も縮減を進めていきます。

医療用医薬品等卸売事業

セグメント別の営業損益をご説明します。まず医療用医薬品等卸売事業の業績です。売上高は前年同期比0.4パーセント減の約2兆2,881億円、売上総利益は2.7パーセント増の約1,381億円で、売上比は6.04パーセントとなり前年比プラス0.19ポイントです。販管費は4.0パーセント増の約1,132億円、営業利益は2.9パーセント減の約248億円で、売上比は1.09パーセントでマイナス0.02ポイントです。そのため、予想に対する達成率は134.3パーセントとなりました。

医療用医薬品市場は2.9パーセント増という成長の中、当社の売上高は0.1パーセント減少しました。独占禁止法違反による医療機関の入札指名停止等の影響のため減収となりましたが、適正価格販売や診断薬の売上増加に伴い、売上総利益率はアップしました。一方、物流センターへの投資による減価償却費等の販管費増加により、減収減益となりました。

医療用医薬品等卸売事業 売上構成比・妥結率

カテゴリー別の売上構成比は、新薬創出加算品は33.7パーセント、特許品・その他は38.1パーセント、長期収載品は15.5パーセント、後発医薬品は12.7パーセントです。前年比では新薬創出加算品は6.8パーセント増、特許品・その他は3.3パーセント増、長期収載品は22.6パーセント減、後発医薬品はほぼ横ばいの0.1パーセント増となりました。また、期末時点での妥結率は99.9パーセントでした。

セルフメディケーション卸売事業

セルフメディケーション卸売事業です。売上高は前年同期比6.5パーセント減の約2,448億円、売上総利益は7.5パーセント減の約240億円で売上比は9.83パーセントでマイナス0.11ポイントです。販管費は5.5パーセント減の約221億円、営業利益は26パーセント減の約18億円で売上比は0.76パーセントでマイナス0.2ポイントです。売上高と売上総利益および営業利益の各段階で、予想比に対して100パーセントを達成しています。

マスクや消毒液などの新型コロナウイルス関連商品において、当期は急激に需要が拡大した前年同期と比較し、弱い需要となり減収減益となりました。一方、2021年4月のセグメント内での合併により、経営資源を有効かつ効率的に活用するなど、経営基盤のさらなる強化を図りました。

医薬品等製造事業

医薬品等製造事業です。売上高は前年同期比11.2パーセント増の約473億円、売上総利益は22.6パーセント増の約126億円で売上比は26.63パーセントです。販管費は3パーセント増の約107億円です。営業利益は18億円で売上比は3.94パーセント増という大幅増益になり、予想比に対する達成率も124.5パーセントとなりました。

増収および増益の主な要因は、長期収載品の承継および2021年3月に発売した新型コロナウイルス抗原迅速検査キット等の売上増によるものです。

医療関連事業

医療関連事業、すなわち調剤薬局事業です。売上高は前年同期比3.5パーセント増の約344億円、売上総利益は6.9パーセント増の約129億円で売上比は37.5パーセントです。販管費は2.4パーセント増の127億円となり、結果として1億8,300万円の営業利益となりました。薬価の中間年改定の減収影響はあるものの、合併に伴う店舗数が15店舗増の172店舗となり増収となりました。また、昨年4月のセグメント内の3社合併により、アポクリートが発足し、この統合効果により経営基盤の強化と効率化を実現し、増収増益となりました。

株主還元

株主還元です。昨年度まで当社は株主還元方針をDOE2.3パーセント以上としており、2022年3月期は年間54円の配当となり、18期連続して増配しています。今後も経済環境や投資計画等も総合的に考慮しながら、安定的な株主還元を継続するよう努めていきます。以上が2022年3月期決算の概要です。

グループ経営計画の成果

荒川:昨年度までの「19-21中期経営計画」の総括をご説明します。その後、2023年3月期の計画もご説明します。まずはグループ経営計画の成果です。売上高、営業利益率、当期純利益率は前段でご説明したとおりです。投資総額は計画である1,200億円に対し、M&Aや出資などの事業拡大投資の一部未実施があり665億円となりました。

また、ROEは計画では8パーセント水準としておりましたが、当期純利益の減少により6.7パーセントとなりました。株主還元は安定した配当方針を継続することにより、計画であるDOE2.3パーセント以上を継続して達成しています。

19-21 グループ経営方針と成果

「19-21中期経営計画」のグループ経営方針とその成果です。「グループ連携体制の構築」「事業モデルの変革」「地域の人々の健康への貢献」「さらなる生産性の向上」「人づくり」の5つに取り組みました。詳細は以降のセグメント別にてご説明します。

主な取り組みと成果(1)

医療用医薬品等卸売事業については、「MS機能のさらなる『進化』」「スペシャリティ商品への注力」「グループ物流の『高度化』『効率化』と『標準化』」に取り組みました。主な成果は、「医療経営士資格取得者数2,000名の達成」「メディカル品の売上増加」「再生医療等製品の取り扱いが可能な物流拠点を全国に拡大」「個別化医療支援プラットフォーム『NOVUMN』の協議会の設立」などです。また、スペシャルティ医薬品の開発ベンチャーやヘルステック企業への投資も進めました。

セルフメディケーション卸売事業については、「安定的かつ持続的な事業基盤の確立」「消費者目線に立った商品提案」「専売メーカー・商品の取り組み強化」「将来に向けた投資および各事業セグメント別との連携強化」に取り組みました。主な成果は「事業会社の合併」「専売品の品目数拡充」「ニューチャネル開拓による売上増加」などです。

主な取り組みと成果(2)

医薬品等製造事業については、「安心・安全・誠実なモノづくりの推進」「グループニーズに沿った製品の拡充」「製造受託・医薬品原薬事業の拡大」「海外事業の拡充」に取り組みました。主な成果として、「第一三共からの承継品拡大」「小野薬品工業のキネダック錠の承継」「新型コロナウイルス抗原迅速検査キットなどの新発売」などが挙げられます。

医療関連事業については、「機能に応じた店舗の再編」「収益改善を目指した機能の効率化・高度化」「多機能化による地域社会への貢献」「各事業セグメントとの連携強化」に取り組みました。主な成果としては、「地域連携薬局、専門医療機関連携薬局の認定取得」「事業統合によるアポクリートの立ち上げ」などが挙げられます。

ESG重要課題については、「環境への配慮」「人権尊重と働きがいのある職場」「地域社会への貢献」「コーポレートガバナンス、コンプライアンス・リスクマネジメントの強化」に取り組みました。主な成果としては、「アルフレッサグループ環境方針、ダイバーシティ方針の策定」「健康経営優良法人を7社認定」「経営体制の強化、政策保有株式縮減」などが挙げられます。いくつかの取り組みについて、次のスライド以降でさらに詳しくご説明します。

ベンチャー投資

ベンチャー投資については、医療分野における社会課題の解決を目指し、多様な医療ニーズに対応できる製品やサービスを提供する医療関連領域ベンチャー企業に向けて、積極的な投資を2020年度より本格化させています。

主な目的および投資先企業数の実績としては、一元流通の獲得を目的に、創薬ベンチャーや再生医療ベンチャーへの投資に6社、メディカル品等商品の拡大で、患者さまにとってより効果的な治療に貢献するための投資に3社、ヘルステックベンチャーへの投資に4社で、合計46億円の投資を行いました。

今後も、引き続き積極的に投資を行い、医療分野における社会課題の解決を目指します。

グループ物流の「高度化」「効率化」と「標準化」

グループ物流の「高度化」「効率化」と「標準化」については、2020年9月に東北アルフレッサが郡山物流センターを、2021年5月にアルフレッサが静岡物流センターを稼働を開始し、2022年2月にはアルフレッサが、グループ最大規模となるつくば物流センターの建設を開始しました。つくば物流センターについては、2024年5月の稼働開始を予定しています。

引き続き、高度な物流機能を有し、かつ災害に強い物流拠点を通じて、地域医療に貢献していきます。

エリア戦略の実践

エリア戦略の実践です。当社は、しんようフォレストホールディングスとの間で、宮崎温仙堂商店の発行済普通株式の取得に関する基本合意書を締結しました。

九州エリアにおける事業基盤強化や、大規模災害などへの対応力向上を通じた企業価値向上を図るべく、2022年11月を目途に、基本合意書に定める事項に関する最終契約締結を目指し、協議と検討を進めています。

医薬品等製造事業セグメントにおける合併①

製造事業の取り組みです。昨日、アルフレッサファーマとサンノーバが、合併に関する基本合意を行いました。合併は2023年4月1日を予定しています。

医薬品の製造・販売に加え、診断薬や医療機器、医薬品原材料の製造・輸出入・販売に強みを持つアルフレッサファーマと、医薬品・医薬部外品などの受託製造に強みを持つサンノーバが、両社の経営資源を統合し、新たな価値の創造を通じて顧客満足を追求します。

医薬品等製造事業セグメントにおける合併②

スライドに記載しているのは、アルフレッサファーマとサンノーバの主要生産拠点の概要です。アルフレッサファーマの岡山製薬工場は、液剤・固形剤の製剤から包装工程までを担う医薬・診断薬の生産能力があります。同社の千葉工場は、手術用の縫合糸をはじめ、各種医療機器の製造拠点です。

一方のサンノーバは、医療用および一般用医薬品の開発および製造を担い、固形剤・液剤・半固形剤まで多様な剤形の生産を行っています。

環境保全

ESG課題に関する取り組みです。アルフレッサグループは、持続的な企業価値向上と持続可能な社会の実現の両立を目指す、サステナビリティ経営を推進しています。

グローバルで環境保全の重要性が高まりを見せる中、当社は基本理念と対象別方針で構成される「アルフレッサグループ環境方針」を2021年4月に策定し、当社グループにおける環境配慮への姿勢を明確にしました。

今般、「ガバナンス」「戦略」「リスクマネジメント」「指標および目標」というTCFDの推奨する4つの枠組みに基づく開示情報の策定を行いました。今後は、具体的な温室効果ガスの削減策への取り組みなどを通じて、環境負荷低減および環境課題解決へ積極的に貢献していきます。

健康経営

健康経営についてです。私たちは健康に携わる企業グループとして、社員一人ひとりが心身ともに元気に、いきいきと活躍できる職場環境を整え、健康経営を推進してきました。スライドに記載のとおり、現在、グループ内の7社が「健康経営優良法人」の認定を取得しています。

ダイバーシティ

ダイバーシティに関する取り組みです。当社グループは、「アルフレッサグループ ダイバーシティ方針」に基づき、ともに働くすべての人が、いきいきと活躍し能力を最大限発揮でき、挑戦し続ける企業文化を醸成しています。

女性管理職比率の向上にも注力しており、2020年度末に3.8パーセントだったところから、2025年度には6パーセント以上、2030年度には10パーセント以上の比率とすることを目標としています。

今後も、多様な人財の活用を通じた生産性や競争力の向上を図ります。

連結業績予想

2023年3月期業績予想についてご説明します。まずは、2023年3月期の連結業績予想です。売上高は前年同期比で101.3パーセントの2兆6,180億円、売上総利益は前年同期比で102.3パーセントの1,917億円で、利益率は7.32パーセントです。

販管費は1,622億円の計画で、営業利益は前年同期比で101.4パーセントの295億円、利益率は1.13パーセントです。経常利益は前年同期比で100.7パーセントの328億円で、利益率は1.25パーセント、当期純利益は前年同期比で65.9パーセントの212億円で、利益率は0.81パーセントです。

増収かつ営業増益を見込みます。詳しくは、以降のセグメント別でご説明します。

医療用医薬品等卸売事業

医療用医薬品等卸売事業です。2023年3月期は、売上高は前年同期比で101.2パーセントの2兆3,160億円、売上総利益は前年同期比で101.4パーセントの1,400億円で、利益率は6.04パーセントです。販管費は前年同期比で100.7パーセントの1,140億円、営業利益は前年同期比で104.7パーセントの260億円で、利益率は1.12パーセントです。

医療用医薬品市場は、0.4パーセントのマイナス成長の予想ですが、前年度までの入札指名停止などの影響が減ることなどにより、医療用医薬品は増収の計画です。

物流センターへの投資による減価償却等の販管費の増加はありますが、適正価格での販売を継続し、増収増益の計画となります。

セルフメディケーション卸売事業

セルフメディケーション卸売事業です。2023年3月期は、売上高はほぼ横ばいで、前年同期比で100.1パーセントの2,450億円、営業利益は前年同期比で101.6パーセントの19億円で、利益率は0.78パーセントです。

物流関連費用などの販管費の増加があるものの、利益管理の徹底と専売メーカー・専売商品の拡充などに引き続き取り組み、増収増益の計画です。

医薬品等製造事業

医薬品等製造事業です。2023年3月期は、売上高は前年同期比で107.1パーセントの507億円、営業利益は前年同期比で80.3パーセントの15億円、利益率は2.96パーセントです。

承継品の拡充などの製品ラインナップの増加、および受託製造が堅調に推移することが見込まれ、増収の計画です。一方、研究開発費などの販管費の増加により、営業利益は減益の計画です。

医療関連事業

医療関連事業(調剤薬局事業)です。2023年3月期は、売上高は前年同期比で102.1パーセントの352億円、営業利益は前年同期比で109.3パーセントの2億円で、利益率は0.57パーセントです。

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う医療機関の受診抑制からの回復や、2022年4月にアポクリートがその非連結子会社から事業譲受を行うことなどにより、増収の計画です。

また、その事業譲受の影響で販管費額は増加しますが、昨年4月のセグメント内合併以来さらなる効率化を推進しており、その効果などによる増益を計画しています。

アルフレッサ ホールディングス㈱の新体制

昨日5月16日開催の取締役会において、役員の異動を内定しました。6月28日に開催される株主総会およびその後の取締役会にて決議・選任されることを前提に、スライドに記載のとおりの新役員体制となる予定です。

取締役副社長、社長補佐、財務企画・コーポレートコミュニケーション担当として岸田誠一氏、取締役副社長、医療用医薬品等卸売事業担当として福神雄介氏、取締役常務執行役員、グループ企画・事業開発・海外事業担当として大橋茂樹氏、取締役常務執行役員、総務・人事企画・DX推進・コンプライアンス担当として田中敏樹氏、取締役に勝木尚氏と島田浩一氏、代表取締役社長に私、荒川隆治です。

これまでみなさまに大変お世話になった久保泰三氏と泉康樹氏は、退任します。

社外取締役としては、原大氏、木下学氏、竹内淑恵氏、國政貴美子氏の4名体制となり、構成比は36.4パーセントです。八剱洋一郎氏は退任します。

常勤監査役は、尾崎正和氏、上田裕治氏、社外監査役は、神垣清水氏、加藤善孝氏、伊東卓氏であり、監査役は合計5名となります。常勤監査役の桑山賢治氏は退任されます。

新体制に対し、ますますのご指導とご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。以上で決算説明を終了します。

目次

決算のご報告に続き、新たに策定した「22-24 中期経営計画」についてご説明します。今中計のテーマは「未来への躍進〜進化するヘルスケアコンソーシアム〜」です。本日お話しする項目は、スライド記載のとおりです。

アルフレッサグループ理念体系

次の3年間について具体的にお話しする前に、アルフレッサグループのサステナビリティ経営についてご説明します。

私たちの経営の原点は、当社グループが掲げている理念体系にあり、「私たちの思い」「私たちのめざす姿」「私たちの約束」の3つで構成されています。これらが、私たちの経営におけるすべての上位概念となります。

アルフレッサグループのサステナビリティ基本方針

サステナビリティ基本方針についてご説明します。前のページで示した当社グループの理念体系には、「すべての人に、いきいきとした生活を創造しお届けします」という「私たちの思い」を掲げています。

医薬品を安心・安全・誠実にお届けする社会インフラを担う企業として、私たちは日々事業活動を行っています。

この理念体系に基づく事業活動を基本として、社会・環境課題の解決に取り組み、人々の健康な暮らしに貢献し、社会の発展を目指すという当社グループのサステナビリティ基本方針は、まさに基本理念の「私たちの思い」そのものであるという結論に至りました。

アルフレッサグループのサステナビリティ重要課題

アルフレッサグループのサステナビリティ重要課題です。スライドをご覧のとおり、8つの重要課題を特定し、取り組みを進めています。

「製品・サービスの品質向上」、DX推進による「価値創造/イノベーション」「環境保全」「地域社会への貢献」「人財の活躍推進」「コンプライアンス」「リスクマネジメント」「コーポレートガバナンス」の8項目です。

アルフレッサグループのなりたい姿(長期目標)

そのようなことを前提に置いて、アルフレッサグループのなりたい姿を策定しました。すべての人のライフジャーニーに貢献するために、「医薬品・診断薬などの開発・製造」「さまざまなモダリティで提供される医薬品・診断薬・医療機器等の流通、患者さまへの提供」、「モノとサービスの流通を自動化・最適化するために必要なデータの流通」、「個人のライフジャーニーの各局面で必要となる健康・医療サービスの提供」を行いたいと考えています。

製造機能、卸・流通機能、かかりつけ薬局機能、情報提供機能を最大限に発揮し、健康に関するあらゆる分野の商品・サービスを提供できる「ヘルスケアコンソーシアム」の実現を目指します。

アルフレッサグループを取り巻く経営環境

これらを踏まえて、今期からスタートする「22-24 中期経営計画」について詳しくご説明します。まずは経営環境についてです。当社グループを取り巻く経営環境は、今後大きく変化することが予想されます。

主な環境変化としては、超高齢社会における労働人口減少、環境保全、健康への関心、社会保障費増加、技術革新・デジタル化が挙げられます。当社への影響としては脅威もある一方で、新しい中期経営計画を進めるにあたってのチャンスも広がっていると考えています。具体的には、地域包括ケアシステム、スペシャリティ医薬品・再生医療製品、ビッグデータの利活用、予防やセルフメディケーションへの関心、在宅医療、オンラインを活用した医療、処方箋や処方医薬品の流れの変化などがあります。

22–24 中期経営計画 『グループ経営方針』

このような経営環境を受けて、今回の中期経営計画ではスライドに記載した5つのグループ経営方針を定めました。詳細については、次のスライドからご説明します。

『事業モデルの強化』

1つ目のグループ経営方針は、事業モデルの強化と新たな価値の創造です。そのうち、事業モデルの強化については、医療用医薬品等卸売事業ではスペシャリティ領域とメディカル品、セルフメディケーション卸売事業では専売商品、医薬品等製造事業では受託製造ならびに中枢神経・診断薬領域、医療関連事業では在宅医療などの成長領域に注力します。これらを拡大していくことによって、グループの強固な基盤を築くことができると考えています。

『新たな価値の創造』

新たな価値の創造については、各セグメントが持つ強みを活かし、当社グループのサプライチェーンを活用することにより、セグメントを超えた新たな価値を生み出していきます。加えて、デジタルヘルスやヘルステックなど、さまざまなデジタルツールを活用することで新たな価値を創造し、顧客の課題解決を図ります。

『新たな価値の創造』

また、DXによってヘルスケアに携わる方々をつなぐ活動を新たなステージへと進めます。サステナビリティの重要課題の2番目である「価値創造・イノベーション」のところでもお伝えしましたが、DX推進などにより顧客満足の向上を実現し、健康・医療に関する新たな事業領域へ挑戦していきます。

DXの展開

今回の中期経営計画期間においては、スライドに記載のとおり、DXに関して4つの項目に取り組みます。1つ目は間接部門の最適化・業務の集約です。つまり、間接部門のシェアードサービスを視野に、デジタリゼーションの追求やグループ業務のフローの統一、グループ内の間接部門の最適化、バックオフィス業務の集約などを行う守りのDXです。

一方、攻めのDXとしては、医薬品卸事業における物流機能の高度化、標準化、最適化があります。医療がオンライン化・個別化することにより新たに生まれるニーズへの対応や、さまざまなモダリティに合わせた輸配送を確実にすることなど、物流機能の向上を図ります。

加えて、医薬品卸事業と製造事業におけるMSとMRの営業力向上に向けた情報武装を行います。そして、これらを支えるためのデータ統合基盤を構築し、経営情報をタイムリーかつスムーズに取得し、意思決定とアクションにつながるデータインフォームド経営を実現します。

『グループ一体となった取り組み』による地域の健康・医療への貢献

2つ目のグループ経営方針は、グループ一体となった取り組みによる地域の健康・医療への貢献です。グループ内の各事業セグメントが連携することで事業モデルを強化し、新たな価値を創造することにより、グループ一丸となって地域医療のニーズに応え、地域医療構想の実現を下支えすべく、貢献していきます。

『環境保全への取り組み等』を通じたサステナブル社会への貢献

3つ目のグループ経営方針は、環境保全への取り組みを通じたサステナブル社会への貢献です。スライド下段に記載のとおり、カーボンニュートラルに向けた取り組み、資源循環の取り組み、環境汚染防止・生物との共生の推進に取り組み、社会への貢献を行います。

2050年度のCO2排出量実質ゼロに向けて、2024年度には2020年度比で10パーセント削減、2030年度には30パーセントの削減に取り組んでいきます。なお、2030年度の削減目標は、政府発表の目標である2013年度の推定値比の46パーセント削減におおむね相当しています。

『ダイバーシティ』を中心とした人財戦略の推進

4つ目のグループ経営方針は、ダイバーシティを中心とした人財戦略の推進です。これまでのアルフレッサグループの人財要件である「強い使命感」「高い倫理観」「適応力」「挑戦心」に加えて、グループの持続的成長のために必要な機能において、豊富な知識・経験を有し、「高い専門性」を持つ人財育成に取り組みます。グループでともに働く人々が多様性を受け入れ、個性や才能を存分に発揮して、仲間とともにゴールに向かって協働する、強い「個」の集団を実現します。

『コンプライアンスの遵守』を最重要とする企業風土の醸成

5つ目のグループ経営方針は、コンプライアンスの遵守を最重要とする企業風土の醸成です。過去の過ちに真摯に向き合い、グループ一体となって、スライドに記載の3項目について具体的な取り組み・工夫を継続します。各種法令・規則などの遵守、会議体におけるコンプライアンスの周知徹底、トップからのメッセージ発信や教育研修を通じたコンプライアンスの周知徹底の3項目です。

『コンプライアンスの遵守』を最重要とする企業風土の醸成

こちらのスライドは、独占禁止法違反の再発防止PDCAサイクルについてです。コンプライアンス・リスクマネジメント会議に医療用医薬品等卸売事業分科会を半期に1回のペースで設け、すでに過去5回開催しています。この分科会が要となり、グループ各社において、経営トップによるコミットメント強化、独占禁止法遵守の誓約書の提出、遵守のための行動指針とガイドラインやQ&Aを作成した上で、教育研修や理解度テストも実施しています。

また、コンプライアンス専門部署・専用相談窓口に加えて、独占禁止法の専門弁護士による専用相談窓口も設置し、営業現場との対話を強化しました。チェック機能としては、現場での自己点検とともに、内部監査部門などによるモニタリングを行っています。

グループ経営目標

2025年3月期のグループ経営目標は、スライドに記載のとおりです。売上高は2兆7,000億円、営業利益率は1.5パーセント以上で、投資計画は3年間の累計で1,200億円です。株主還元は、前回の中期経営計画の目標から0.1パーセント上昇させ、DOE2.4パーセント以上を目指します。

「22-24中期経営計画」の期間においては、適正価格での販売に徹し、利益水準を着実に回復軌道に乗せ、将来の収益に貢献するための投資を積極的に行っていきます。そして、株主還元についてもさらなる充実を図っていきます。

セグメント別業績目標

セグメント別の業績目標についてはスライドに記載のとおりです。前提となる投資計画などの詳細は、次のスライド以降でご説明します。

投資計画

投資計画についてです。事業継続投資に700億円、M&A・出資・新事業領域投資に400億円、システム投資・DX投資に100億円、合計1,200億円の投資を計画しています。新事業領域投資においては、創薬・ヘルステック関連のスタートアップ企業への積極的な投資を引き続き行っていきます。

財務・資本政策

資本政策についてです。財務健全性をベースに、積極的な成長投資と資本効率向上および株主還元充実の最適バランスを追求し、企業価値向上を目指していきます。具体的には、社会インフラ企業として、安定した財務基盤を維持し、資本コストを上回るROEを目指し、株主還元の充実を目指します。

株主還元

配当金の推移はスライドに記載のとおりです。引き続き、基本方針に則り、安定的で継続的な株主還元に努めていきます。ちなみに、当社はこれまで18期連続で増配しています。

医療用医薬品等卸売事業:事業方針①

セグメント別方針をご説明します。まず、医療用医薬品等卸売事業についてです。スペシャリティ領域ならびにメディカル品へのリソース集中と、DXによる事業変革を行っていきます。既存事業の強化、事業変革による収益化、グループ全体での最適化を通じて、あらゆる健康・医療のニーズに最適・最良な提案・選択肢を提供する真のリーディングカンパニーを目指します。

医療用医薬品等卸売事業:事業方針②

既存事業の強化としては、2つの成長ドライバーに注力していきます。1つ目は成長領域であるスペシャリティ領域で、ここにリソースを投入することで卸機能の差別化を図っていきます。

2つ目のメディカル品は、市場安定性がある上、未開拓領域もあり、医薬品に比べて収益率が高いなど魅力的な分野です。メディカル品担当者の増員・強化や、チーム営業の展開などに取り組みます。

医療用医薬品等卸売事業:事業方針③

事業変革による収益化にも取り組みます。ヘルステックの推進により、医薬品・診断薬・医療機器・医療材料のすべてにおいて市場をリードしていきます。

加えて、データを利活用したビジネス展開により、新たな収益基盤を構築していきます。具体的には、医療機関に対しては最適な医療を提供し、医薬品メーカー・医療機器メーカーに対してはマーケティング活動へ活用し、患者に対しては健康・医療への貢献をしたいと考えています。

医療用医薬品等卸売事業:事業方針④

そして、この事業セグメント全体の最適化・効率化・標準化を行います。PIC/S GDPに対応した最適なロジスティクスネットワークの構築と、コスト構造の見直しを通じためりはりの効いたコストコントロールに取り組みます。

セルフメディケーション卸売事業:事業方針①

セルフメディケーション卸売事業についてです。事業方針として、既存領域の高収益化と成長領域への挑戦を行います。高収益化への取り組み、グループ連携強化、事業変革による収益力強化を行い、すべての人とつながる、美と健康分野における真のリーディングカンパニーを目指していきます。

セルフメディケーション卸売事業:事業方針②

高収益化への取り組みとして、トータル・ヘルスケア・マーチャンダイジング・ホールセラーとしての機能発揮、専売メーカー・専売商品のさらなる獲得と販売強化、ニューチャネルの開拓に注力します。

セルフメディケーション卸売事業:事業方針③

グループ連携強化と事業変革による収益力強化にも取り組みます。具体的には、他の事業セグメントとの連携により地域の人々の健康に貢献し、デジタルを活用したプロモーションの展開や販売流通データの利活用によって新たな収益を獲得していきます。

医薬品等製造事業:事業方針①

医薬品等製造事業についてです。次代の基盤創りとして、企業価値の最大化を目指します。具体的には、安心・安全・誠実なモノづくり、トータルサプライチェーンサービスの実現に向けた取り組み、デジタルを活用した新たな取り組みを通じて、市場から求められる製品力と生産力、サービスを提供する企業を目指していきます。

医薬品等製造事業:事業方針②

安心・安全・誠実なモノづくりについては、徹底した品質管理のもと、確実な製造・販売および新製品の開発に取り組むことが重要であると考えています。トータルサプライチェーンサービスの構築については、グループ内に製造事業を持つ強みを十分に発揮し、他セグメントの医療貢献を下支えしていきます。また、デジタルを活用した新たな取り組みについては、MR活動の変革とデジタル技術による治療へ挑戦します。

医療関連事業:事業方針①

医療関連事業についてです。在宅医療への取り組みによる事業の成長、DXによる事業変革、未病・予防への取り組みを通じて、予防からターミナルケアまでライフジャーニーにおけるすべてのステージをカバーする薬局チェーンを目指します。

医療関連事業:事業方針②

医療関連事業が提供するサービス範囲は、予防・治療・在宅ターミナルケアとすべてのステージに対応することを目指します。地域に根差し、地域住民のすべてのステージをカバーする薬局チェーンとして、多職種連携も行いながら、地域の課題を解決していきます。

事業開発

事業開発についてです。方針としては、グループ内の事業セグメントと協業しつつ、デジタルを活用した地域包括ケア支援とデータビジネスの展開を目指します。地域医療連携への貢献、多職種への貢献、介護従事者の課題解決などにも取り組み、地域包括ケア促進を支援しつつ、データビジネスの展開へつなげたいと考えています。

海外事業

最後に、海外事業についてです。日本企業と海外現地市場との架け橋となるべく、ヘルスケア関連の取り扱い商品の充実を図るなど、アジア市場における事業の拡充を目指します。当社が出資している日美健薬品やAlcophaなどの既存事業の深耕と拡大に加えて、新たな進出先の検討や、海外企業との事業連携など、海外事業開拓と新規事業の取り組みにも注力します。

以上、「22-24中期経営計画」についてご説明しました。私たちを取り巻く環境は厳しくなってはいますが、医薬品を安心・安全・誠実にお届けする社会インフラを担う企業として、新たな価値創造に向けて取り組んでいきます。

みなさまの絶大なるご支援をよろしくお願いいたします。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。