業績ハイライト
稲葉雄一氏(以下、稲葉):ナレッジスイート株式会社代表取締役社長の稲葉でございます。2022年9月期第1四半期の決算説明会を始めます。
まず、第1四半期の業績についてです。連結売上収益は7億8,400万円で、前年同期比40.1パーセント増となりました。営業利益は5,600万円、営業利益率は7.2パーセントでした。黒字に転換して2期目となっています。
DXセグメントの売上収益は3億4,800万円で、前年同期比70.0パーセント増、SaaSのARRは7億6,900万円で、前年同期比37.4パーセントとなりました。また、スライド下部に記載のとおり、通期計画の売上収益は31億5,700万円、営業利益は1億1,700万円から1億3,600万円となっています。
連結決算 概要 2022年9月期第1四半期
第1四半期の連結売上収益は、DX事業の伸長により前年同期比40.1パーセント増と非常に大きく伸びました。営業利益は前第4四半期から継続して黒字に着地していますので、投資家のみなさまにはご安心いただけるかと思います。
売上収益の内訳ですが、DX事業は3億4,800万円で、前年同期比70.0パーセント増、BPO事業は4億3,600万円で、前年同期比22.8パーセント増となりました。コロナ禍以前の水準を超えましたので、こちらに関してもご安心いただけるかと思います。
売上総利益は3億3,400万円で、前年同期比61.7パーセント増となりました。営業利益は5,600万円、税引前利益は5,200万円、当期純利益は3,300万円となっています。
連結売上収益 推移 2022年9月期第1四半期
連結売上収益は、DX事業の「Knowledge Suite」をはじめとするSaaSサブスクリプションの伸長が寄与して、前年同期比40.1パーセント増と大きく成長しました。こちらには2021年9月期の第4四半期からM&Aをした会社の数字も反映されています。
連結販売管理費 推移 2022年9月期第1四半期
人件費は営業人員をはじめとする人材採用の先行投資により大きく増加しています。一方、広告宣伝費については2020年9月期第4四半期から2021年9月期第2四半期までテレビCMやタクシー広告を展開していましたが、投資の効率化を図り、今回の第1四半期では前年同期比142.3パーセント減となりました。展示会を中心に、効率的に見込み顧客リードを獲得できるようになってきたため、コスト削減および費用対効果の向上につながっています。
営業利益 増減分析 2022年9月期第1四半期
営業利益の増減幅を見ますと、DX事業の売上が非常に大きく伸びて、利益がしっかり出はじめたことがおわかりいただけるかと思います。
連結貸借対照表 2022年9月期第1四半期
流動資産は14億6,900万円です。非流動資産は20億9,700万円で、前年同期比3,900万円減です。流動負債は12億9,900万円、非流動負債は13億2,600万円です。負債および資本の合計は35億6,600万円で、前年同期比2億9,500万円増です。
今期の利益剰余金はいまだマイナスとなっていますが、昨年12月に承認が下りたため、第2四半期から変わる見込みです。
トピックス①
私どもはグロース市場を選択しました。将来的にはプライム市場への移行を目指して、がんばっていきたいと思っています。
トピックス②
機関投資家さまと個人投資家さまとの情報格差をなくすことを目的に、私個人のTwitter・noteを通じて、今起こっていることをリアルタイムに発信しています。当社ホームページからもアクセスできますので、ぜひご覧いただきたく思います。先程も、月次のKPIの件について更新しました。
トピックス③
月次のKPIレポートについては「IRTV」を通じた動画配信も行っており、こちらは副社長の飯岡が担当しています。
DX事業売上収益 推移 2022年9月期第1四半期
第1四半期において、DX事業の売上収益は前年同期比70.0パーセント増と非常に大きく成長しました。スライドに記載している数字には、グループ全体で提供しているビジネスチャットアプリ「InCircle」やBtoBマーケティングデータサービスを展開しているネットビジネスサポート「B Suite」の売上も含まれています。
DX事業SaaSビジネスKPI推移①
「Knowledge Suite」単体のARRも前年同期比37.4パーセント増と非常に大きく成長しました。こちらにはOEMおよび「InCircle」「B Suite」の数字は含まれていません。
DX事業SaaSビジネスKPI推移②
契約企業件数についてです。こちらもOEMおよび「InCircle」「B Suite」の数字は含まれていません。現時点における契約済みの契約社数で、解約したお客さまは含んでいませんが、実数として前年同期比25.9パーセント増と非常に大きく成長しています。
DX事業SaaSビジネスKPI推移③
ARPAについては1社あたりの単価が少しずつ上昇しています。ChurnRate(解約率)は多少でこぼこしていますが、私どものベンチマークとしては1パーセント前後が平均値になっています。カスタマーサクセスチームの増強により解約抑止の動きを少しずつ強化しており、解約率低下に向けて取り組んでいます。
DX事業SaaSビジネス月次KPI推移(2022年1月)①
NewMRRについては前年同期比11.8パーセント増となりました。実数では非常に大きく成長していることがわかると思います。
パーセンテージだけを見ると小さく見えますが、前年同月の数字が伸びている関係で、前年同期比で見た時の伸び率が少し鈍化して見えるかもしれません。実数としては右肩上がりで成長しています。
こちらもOEMおよび「InCircle」「B Suite」の数字は含まれていません。「Knowledge Suite」単体の数字として公表しています。
DX事業SaaSビジネス月次KPI推移(2022年1月)②
契約社数も前年同期比22.5パーセント増と、右肩上がりで推移しています。こちらもOEMおよび「InCircle」「B Suite」の数字は含まれていません。
DX事業SaaSビジネス月次KPI推移(2022年1月)③
受注額残高についてです。これは、以前に受注したものの中で導入支援や導入設定などが完了しておらず、未課金になっているものです。導入支援が終わればサブスクリプションの課金が発生するのですが、契約は済んでいるものの課金が開始していない分の数字をスライドに記載しています。
DX事業SaaSビジネス月次KPI推移(2022年1月)④
KPIをまとめました。スライド下部の枠内には、参考として昨年の数字を記載しています。こちらを昨年の傾向値として比較しますと、1月や4月、7月や9月が大きく成長していますが、なぜこのような動きが発生するかをご説明します。
私どもは展示会や、見込み顧客リードを獲得するためのプロモーション施策があります。見込み顧客リードを獲得してから商談に移り、商談から受注までの期間は2ヶ月から3ヶ月前後で数字がついてきます。
つまり展示会が多くリードの数が多い月は、3ヶ月前後で売上、要するに受注が伸びてくる傾向にあります。ただし、その展示会は毎年同じ時期に行われるわけではなく、少しずれることがあります。
去年の1月はちょうどコロナ禍により展示会がずれて集まり、受注が大きく増えた時期でした。そのようなばらつきがあるため、今回「New MRR」の数字はしっかり積み上がっているのですが、YoYの数字は小さく見えてくるということがあります。展示会の前後のトレンドは、この過去のトレンドの中で見えてくると思っています。
DX事業営業人員数 推移
2021年4月にはDX事業の営業人員を3倍採用しました。その営業人員の一部が円グラフにあるカスタマーサクセスチームに異動し、昨年までは人員がほとんどいませんでした。
そこで、解約率をさらに下げるため、さらにARPAを上げていくために昨年の終わりから組織の中にカスタマーサクセスチームを発足しました。
今回採用している営業人員からも、カスタマーサクセスチームへの異動で1/4強を移しています。NewMRRは落ちるかもしれませんが、チャーンレートが落ちてくるため全体の売上は上がると思っています。
営業で「New MRR」の新規契約を積み上げながらチャーンレートを下げていきたいと考えています。
DX事業トピックス①
「ITreview Grid Award 2022 Winter」に「Knowledge Suite」や「VCRM」「InCircle」がノミネートされ、8部門で受賞しました。お客さまに愛されている、信頼されているという結果と受け止め、非常にうれしく思っています。
DX事業トピックス②
私どもは中小、中堅企業が中心顧客ですが、みなさまも知っているチョーヤ梅酒さまが「Knowledge Suite」を導入しました。こちらもしっかりとご支援していきたいと思っています。
DX事業トピックス③
リコージャパンさまとの協業がスタートし、複合機に名刺を並べると「Knowledge Suite」に取り込まれるという連動サービスに取り組んでいます。こちらも少しずつ売上、導入企業を伸ばしていきます。
みなさまが使っている複合機も、リコーさまであればこのサービスが利用できます。ぜひ、ご導入のご検討よろしくお願いします。
DX事業トピックス④
「オンライン商談予約 with VCRM」で、商談ツール「VCRM」との連携を開始しました。こちらはホームページでスケジュールをクリックすると、Web商談の予約が簡単にできるというサービスです。
DX事業トピックス⑤
私どものグループ会社であるネットビジネスサポートが、Workato、クラウドサーカスの提供するサービスとの連携を開始しました。こちらもマーケティングオートメーションサービスとの連携をしっかり進めていき、よりよいデータベースサービスを提供したいと考えています。
BPO事業売上収益 推移
BPO事業の売上推移です。ITエンジニアのサービスですが、コロナ禍で第3四半期はSESというシステムエンジニアを派遣するビジネスが落ち込みました。これをどうにか成長させようとがんばり、2021年9月期の第4四半期でやっとコロナ禍前の水準に戻すことができました。
成長基調で推移しており、環境に問題がなければこのまましっかり伸びていくためこちらも安心できるかと思います。
2022年9月期計画における進捗
通期の計画は売上収益が31億5,700万円で、営業利益が1億1,700万円から1億3,600万円になっています。
第1四半期の着地は営業利益が5,600万円、売上収益が7億8,400万円と非常に順調に推移しています。このまま利益も最大値まで持っていくことを目指しており、ご期待いただきたいと思います。
中期経営計画における進捗
事業はシェア拡大を目指し、契約件数の拡大に向け営業100名体制を実現させることに主眼を置いています。さらに契約あたりの売上単価、ARPAの拡大を狙っていくために、昨年からカスタマーサクセスチーム体制の整備を開始しました。
計画どおりDX営業人員の採用を実施し、売上平均値の獲得のためしっかり教育を行っています。まもなくその新卒たちの成長が見られるかと思います。
さらにカスタマーサクセスチーム体制の強化を進め、既存ユーザーへのCS活動を開始しました。解約率の改善やARPAを拡大させることを主眼に置いたチームで底上げし、さらに営業担当が売上を伸ばしていくという、2つの体制で売上を拡大させる取り組みを実施しています。
プロダクト・サービスの強化については契約継続率の向上に向け、新規プロダクトの開発、M&Aによるサービス拡充を狙っています。今期中に一部の新規サービス、新「Knowledge Suite」の機能やサービスがリリース予定であり、今年から続々とその全貌が見えてくるかと思います。
これによりサービスの契約継続率や、さらに単価も上げていきます。また人手不足を解消するため、意思を持った「デジタルレイバー」が営業社員に寄り添う姿をサービスの中で見せたいと考えております。
第1四半期はしっかりと数字を作れました。第2四半期も日本の中小企業を支援していきながら、売上を着実に伸ばしていきたいと考えておりますので引き続きよろしくお願いいたします。
質疑応答:オミクロン株の影響について
司会者:「オミクロン株の影響で展示会の入場者数や感染拡大による影響は出ていますか?」というご質問です。
稲葉:先日「Twitter」の中でご回答させていただきましたが、展示会の入場者数が減っているという影響は出ています。今までは数万人も展示会会場に来場していましたが、数千人に減ってしまったりという問題は出ています。
それにより、リード数が低下していたり、実際に動きがとりづらくなっていたりしています。これはオミクロン株に感染してしまった方や濃厚接触者が増えてしまったことが原因です。
そのような意味で少し営業しづらい環境になっているというのは事実です。しかしこれは一時的な問題ですので、まん防が解除されることにより展示会への入場者が戻ってくると私どもは読んでいます。
質疑応答:新入社員の進捗について
司会者:「新入社員の立ち上がりの進捗はいかがでしょうか?」というご質問です。
稲葉:テレワークが多くなってきているのが原因と思っていますが、若干新卒の離職率が高まっているという事実はあります。2020年4月に入社した新卒もそうでした。今回も23名採用していますが、想定していた離職率より少し上がっているのは事実です。
ただし、今いる新卒達はしっかり成長してきています。さらにその中で社員の一人ひとりの適性を考慮し、一部の営業社員をカスタマーサクセスチームに異動させていっています。こちらもそろそろしっかり立ち上がってきてくれると期待しています。
さらに私どもの大きな勝負所は4月、5月くらいで、そのあたりから大きな展示会が続いてきます。非常に重要な展示会ですので全員活躍し、しっかり受注を取ってくれることを私どもも期待しています。まだまだ教育に手を抜かずにがんばっていければと考えています。
質疑応答:解約について
司会者:「解約するクライアントの中で、1回目の更新での解約率はどのくらいですか? 2回目の更新以降の解約率はどのくらいありますか? また、ChurnRateを下げる活動をする上で重要なのは1年目で解約する会社を減らすことなのか、それ以降で解約する顧客を防ぐことなのかを教えていただきたいです」というご質問です。
稲葉:解約率は非常に重要な数値です。まず、当社のサービスの利用契約は、最低1年間契約していただいており、1年以降は1ヶ月単位でどこからでも解約ができます。
こちらの契約形態にどのような意味があるのかをご説明します。1年以内にしっかり定着ができなかった会社の解約率が非常に高いというところが私どもや、SFA/CRMのベンダーの非常に大きな悩みです。
13ヶ月目以降に関してはいつでも解約することができますが、1年間しっかり運用できた会社は一気に解約率が下がり、解約しないお客さまが非常に多いですので、私どもは今4年くらいのLTVで計算しています。
つまり、導入してから最初の12ヶ月の契約期間内のお客さまをカスタマーサクセスチームがしっかりフォローしていきながら運用を定着させていかなければなりません。そこを抑えることができれば、全体の解約率は一気に低下すると思っています。
同じようなサブスクリプションのサービスを提供している日本の上場会社で言いますと、私の目検ですが、解約率が最大で年間24パーセントというところがあります。
最小は0.7パーセント前後だと思っています。私どもは12パーセント前後ですので、2年間くらいで10パーセントを切りたいと思っています。
どのくらいのパーセンテージなのかというところはまだ公開をしていないため、全体の中でこれからどのように推移していくのかを月次KPIで公表していきますので、追いかけていただければと思っています。
質疑応答:ARPA上昇の要因について
司会者:「ARPA上昇の要因は何でしょうか?」というご質問です。
稲葉:私どもにはサービスがいくつかあり、グループウェアのみ、スケジュール管理、設備予約など、みなさまがいつも使っておられるようなサービスもお安く提供しており、さらに、すべてを使える「Knowledge Suite」というサービスがあります。
今まではグループウェアのみや、CRM/SFAなどを提供してきていましたが、現時点においては「Knowledge Suite」、SFA/CRMの提供を中心においており、1社あたりの受注は、SFAが中心に動いています。グループウェア単体の安いサービスよりも、SFAが売れているため、全体的に単価が上がってきています。
さらにこれから新「Knowledge Suite」において、どんどん機能やサービスがリリースしていきますので、そのような中でこれからもARPAは少しずつ上昇していくと思います。
質疑応答:株価の低迷理由について
司会者:「株価の低迷理由はどのようにお考えですか?」というご質問です。
稲葉:いろいろな要因があると思いますが、まずは私が経営者としていろいろな判断に大きなミスがあったと認識しています。具体的には、2020年9月期第3四半期までは営業利益が1億円以上積み上がっておりましたが、「VCRM」というサービスを出すにあたり、そこから一気に先行投資の舵を切っていきました。それにより、赤字が2期連続で出てしまいました。
そのようなところで株価が低下しているのだと思います。これからはみなさまに、しっかり成長を見せていくことが大事だと思っています。
要するに、毎月のKPIでどのくらいNew MRRが積み上がってきているのかであったり、利益水準も含めて成長しているのかということを、この中計をベースにして進めていくことによって、株価はしっかりとついてきてくれるだろうと思っています。私どもはベンチマークを持っていますので、これからご期待いただければと思っています。
質疑応答:New MRRの見通しについて
司会者:「New MRRの見通しは営業社員の人数とある程度比例すると考えてよいのでしょうか? 1月は243万円ですが、社長としてはNew MRRを今期末にいくらくらいにしたいと思っているのでしょうか?」というご質問です。
稲葉:おっしゃるとおりNew MRRは営業社員の人員とある程度比例すると考えています。カスタマーサクセスの底上げと、営業人員に比例させながらしっかり数字を作っていきたいと思っており、New MRRで月300万円を毎月超えていけるまで持っていきたいです。まだ目処はたっていませんが、数字を追いかけていきながらがんばっていきたいと思っています。
現状でも月によってはNew MRRが300万円を超えることはあるかもしれませんが、しっかり毎月超えていくというベンチマークを持ち、成長させていきたいと思っていますので、応援してください。