2020年12月期決算説明会・中期経営計画説明会
石坂信也氏(以下、石坂):石坂です。本日はお時間を頂戴しまして、誠にありがとうございます。本日はGDOの2020年(22期)の決算および2021年から2023年の中期経営計画の説明を行います。
まず、前半は私から簡潔に総括します。2020年に関しては、当社が身を置いているインターネット業界およびゴルフ業界にとっては、当初想定していた以上に大きなうねりを受けた1年でした。
COVID-19、パンデミックという世界的な有事な状況の中でも、昨年の後半は幸運にも恵まれてゴルフおよびインターネットの需要は大幅な追い風を受けました。これまで取り組んできた当社の準備が追い風の需要にしっかりと応えることができた1年でもありました。また、日米の異なる環境変化やリスクの影響を受けつつも、両市場でしっかりと補完することができました。
本日は私をはじめ3名で説明および質疑応答を行います。私は全グループの統括および米国事業の推進について、COOの吉川が国内事業の推進について、CFOの西野が日米を合わせたグループCFOとしての役割を担っていきます。それでは、CFOの西野から、2020年の当社22期決算についてご説明します。よろしくお願いします。
業績ハイライト
西野洋氏(以下、西野):CFOの西野です。それでは私から2020年12月期の決算の数字についてご説明します。本日は決算の概況と主な取組み、それから今年度の見通し、この3つについてご報告したいと考えています。
では1つ目に、通期の決算概況ですが、上半期はコロナ禍の影響を大きく受け、非常に苦労した期でした。その後、アウトドアであるということ、体を動かせるということで、ゴルフというスポーツに対する注目度が非常に高まり、ゴルフプレーの需要の面において大きな変化がありました。
また、インターネットというコロナ禍の影響を受けにくい事業形態も非常に大きく伸び、売上高に関しては第3四半期、第4四半期は前年を超えるまでに回復してきたということが1つ大きな特徴として言えると思っています。
利益サイドのEBITDAや営業利益は、売上高の回復とともに販管費の効率性を重視した運用を行ってきました。その結果、下期に利益も回復軌道に乗ったと考えています。同時に事業概況の回復とともに資金収支は改善していきまして、資産サイドも大きく見直した結果、借入金の返済が進み、財務状況は良化したものと理解しています。
連結業績の概要
それでは細かい数字に入ります。連結業績の概要ですが、業績に関してはご覧のとおりになります。売上高は、国内に関しては前年とほぼ同じ水準で、少し未達な部分もありましたが、だいたい同じ水準になってきたと思っています。
一方、海外においては、残念ながら少し未達ということで、マイナス6.3パーセント前年同期比といったところです。こちらに関しては後ほど詳しく説明します。EBITDAに関しても、こちらは国内でプラス12パーセント、一方で海外はマイナスの幅が大きくなっています。
営業利益に関しても同じような傾向が見られ、最終的には営業利益は連結ベースで8億3,800万円がこの昨年度の結果となっています。
売上高①
それではこの売上高と利益に関して少し細かくご説明します。国内と海外の売上高に関しては、こちらでご覧いただいているとおりに推移しています。
特に、この右側の棒グラフを見ていただくと、理解しやすいかと思っているのですが、第2四半期は非常に苦しい四半期でした。国内でマイナス17パーセント、海外におきましては、もうほとんど半分くらいにまで落ち込みました。
こちらが第3四半期、第4四半期と回復していきまして、第4四半期は国内・海外ともに2桁成長にまで回復してきているという実績です。
売上高②
一方で、先ほど地域別でご説明したのですが、同じ数字をサービス別で見ていくと、右側にある矢印のついている棒グラフを見ていただけるとわかりやすいのですが、この一番上はゴルフレッスンです。こちらも第2四半期の数字のへこみから、第3四半期でほぼ追いつき、第4四半期は2桁成長になっています。
ゴルフの予約も同様の傾向にあります。こちらはへこみ幅がそこまで大きくなかったのですが、それを上回って第3四半期、第4四半期と伸びてきたというような状況です。
ゴルフ用品販売についてもほぼ同様の傾向にあります。3つのサービス分野は、同様の傾向であるものの、影響を受けた度合いがそれぞれ違っていたというかたちで推移しています。売上高に関しては以上です。
販管費
次に販管費です。こちらも前年に比べて、かなりコントロールを進めました。結果として、122億円ということで、売上高比に関しても37パーセントから36パーセントまで低減させたということです。
中でも、マーケティング費やその他の中に含まれる旅費交通費、コンテンツ制作費等々のコントロールもかなり効率的に行うことができたと考えています。
EBITDA/営業利益
結果、販管費のカットも進みまして、最終的な利益はEBITDAで23億6,800万円という実績になっています。国内は順調に伸び、前年比プラス12パーセントですが、海外はマイナス84パーセントというかたちになっています。
営業利益においても、こちらはのれん等の償却の影響が出ていますので、このような数字の推移になりました。国内に関してはかなり順調に推移したものの、海外でのマイナス幅が残念ながら広がってしまったという結果です。
⽶国GOLFTECの業績
この海外について、少し細かくご説明します。海外の数字に関しては、我々が60パーセントを出資をしている子会社、GOLFTEC社の業績の影響が非常に大きくなっています。
こちらは業態が、インドアのレッスンになりますので、4月は売上がゼロというところから、5月から徐々にスタジオを開け始め、7月、8月と前年と同じ水準まで追いついて、その後、9月から12月に右のグラフを見ていただくとおわかりになるように急激に回復してきています。
ここで示しているのは、Cash Salesという数字の推移です。米国のこの事業においては、レッスンをご購入いただいた時点で売上を計上するわけではなく、レッスンの期間に按分して売上が計上されます。
ですので、回復傾向にあったものの、それがまだ財務諸表には反映されていないというところが、マイナス幅が大きくなってしまった原因だと思っており、この収益認識の遅効性の影響も若干あることを付言したいと思います。
連結貸借対照表
財務諸表の中で、バランスシートです。こちらはご覧いただいたとおりなのですが、特に特筆すべきところとしては、先ほど申し上げた資産サイドの見直しのところで、主に商品の在庫、46億9,000万円から28億9,000万円ということで、大幅にコントロールしています。
結果、キャッシュも増えて、28億円という水準になっており、そちらの差額については借入金を今期26億円ほど減少させたというかたちになっています。財務諸表の主な数字のご説明をさせていただきました。
【国内】ゴルフ⽤品販売 KPI分析
ゴルフ用品販売のKPIです。
【国内】ゴルフ場予約 KPI分析
それから、次のページにゴルフ場予約のKPIとして示していますが、こちらはまたホームページ等々でご覧いただきたいと思います。
【国内/新規事業】練習場事業(TTR) KPI分析
次に、投資家のみなさまからもよくご質問いただく練習場事業です。こちらに関しては、コロナ禍の環境の中でどうだったのかというところですが、順調に拡大を続けています。
施設数、それから打席数ともに2.4倍、2.5倍といったところですので、この新たな取組みに関しては積極的に我々も推進を続けているというところをご覧いただけるかと思います。
【海外】⽶国GOLFTEC KPI分析
次は米国GOLFTECです。こちらはコロナ禍の影響を受けて、一旦拡大のスピードをコントロールしましたが、進めていたフランチャイズの買収等々に影響がありました。こちらは、中身の構成が少し変わったのですが、トータルの店舗数に関してはほとんど変わらずに推移しています。数字に関するご説明は以上です。
COVID-19に対する当社グループの対応
主な取組みに関してです。コロナ禍に伴い、グループにおいていろいろな対応を行いました。サービスにおいては「オンライン」と「屋外」のサービスがあります。こちらは追い風があって、それをどうとらえるかというところだったと思います。
一方で、「リアル」「屋内」のサービスに関しては、徹底的な対策を行うというところに注力してきました。
経営全般に関する対応です。財務、事業ポートフォリオもそうなのですが、積極的にテレワークを導入しまして、現在のところ、在宅率85パーセント、出社率15パーセントとなっています。このようなかたちで、事業の運営を行っています。
(参考)COVID-19禍におけるゴルファーの変化(国内環境)
また、このコロナ禍でどういった影響があったのかというところですが、左側は新規ゴルファーの方々が「始めた理由」です。「屋外で感染リスクが低いと思った」という方が非常に多いのですが、さらに「他のスポーツができなくなってしまった」という方々が始められたのかと思っています。
一方で、この初心者向けコンテンツのページ閲覧数が17パーセントも増加したということで、また、我々のサービスをご利用している方が、PCからスマホや予約アプリへとどんどん移行しているというところも1つ特徴として言えると思います。以上、昨年度の実績を説明させていただきました。
2021年12⽉期通期⾒通し
続きまして、今年度の見通しです。拡大スピードはこのまま同じくらいで進むだろうと予想していまして、売上高については連結ベースで378億円でプラスの12.2パーセント、EBITDAに関しては28億5,000万円でプラスの20.2パーセント、営業利益に関しては11億円で31.1パーセントの伸びを予想しているような次第です。以上、昨年度の決算説明を行わせていただきました。
GDOのミッション
石坂:あらためて私から、中期経営計画についてご解説します。まずミッションですが、2020年は当社のミッションである「ゴルフで世界をつなぐ」を体現することができた1年であったと感じています。
創業20年の振り返り
昨年は当社の20周年でした。まさに昨年はこの20年間の中でも最も世界的にゴルフの可能性と需要の可能性を見いだせた1年でもありました。
世界のゴルフ市場
次のページは世界のゴルフ市場ですが、どの市場を見渡しても、ゴルフの新需要とでも言えるものが出てきていまして、その好影響が業界には訪れました。
以前は2年前に「5ヶ年計画」を出したのですが、昨年は「4ヶ年計画」というかたちで準備を進めていました。当然、昨年は4年の中計を棚上げして、COVID環境下の有事対応が中心となりました。
2021-2023 中期経営計画
1年を通して、下期に今回発表した中計を準備しました。当社も日米の事業基盤があるため、この中計のタイトルを英語一本で「Lead the way」と命名させていただきました。この中経で改めてGDOというグループを挙げて、ゴルフ業界において新しい時代を切り開いていく、リーディングカンパニーである使命を全うする、このような意味を込めました。
中期経営計画の基本⽅針
まず3つの基本方針です。シンプルですが徹底します。まず1つ目、既存事業の継続的な成長、さらに米国本社のゴルフテック事業の育成、それと米国トップゴルフ社との共同事業でToptracer Rangeの育成を力強く推進していきます。
2つ目としては、ゴルフに特化した総合力、総合サービスポートフォリオの、当社が持ち合わせているマーケティング力とコンテンツ力に加えて、再度さまざまなテクノロジーを駆使してお客さまの圧倒的な支持を獲得します。これはGDOのバリューでもある「WOW GOLFERS」「INNOVATE GOLF」という基本行動指針の実践でもあります。
3つ目は利益成長です。利益成長については、営業利益およびEBITDAを中心に成長させていきます。その推進により将来成長への投資能力も高めていきます。
中期経営計画の全体像
全体のイメージがこちらになります。現時点では、国内事業の売上と利益貢献が中心ですが、3年先では海外の売上比率および利益貢献水準も伸長していきます。
海外セグメント / 海外事業
海外事業について、少し詳しくご説明します。まず軸となるのは、子会社であるGOLFTEC Enterprises, LLC(GTE)の中核事業、ゴルフインプルーブメント事業です。いかにゴルファーに上達してもらうか。インストラクション、フィッティングおよびゴルフ用品販売等を手がけます。
⽶国GOLFTEC 〜リーディングカンパニー〜
中期経営計画における成長の原動力として、まずはセンター数の拡大を行います。新規出店およびフランチャイズ店舗も数十店舗の買い戻しと合わせ、センター拡大を図っていきます。
次は、既存店の稼働率向上と単価上昇の成長要因です。特に新規顧客の獲得余地はまだまだ高いですし、いかにして既存顧客の稼働率を向上とリテンションを図るか。これはテクノロジーの充実とサービスの拡大、さらにマーケティングへの投資で実現していきます。最後に、今度、新たな収益モデルも手掛けていきます。ステイホームで注目された自宅でのフィットネスやインストラクションなど、可能性は大きいと考えています。
(参考)⽶国GOLFTECを連結⼦会社化(60%)した⽬的
GTE社を子会社化した目的のおさらいです。、ゴルフナンバーワン市場であるアメリカへの参入の足がかりとして、既存顧客に高品質サービスを提供している点、それと、今後のさらなる成長余力に複数の可能性を秘めていること、最後に、ITを駆使したゴルフサービスということで、GDOとの親和性が非常に高いという背景があり、子会社化に踏み切りました。
(参考)⽶国市場環境
こちらは2020年の米国のラウンド需要の大幅な増加及び参加人口の上昇と、その主要因として、主に若年層や女性の貢献割合が大きかった、このようなデータになります。これは日本に及んでも若年層の伸びが著しかったのは当社のデータでも証明されているとおりです。
そうしましたら、次に、アメリカ事業の中心であるGTEのCEOのジョー・アセルから録画ビデオで簡単にアメリカ事業についてご説明します。よろしくお願いします。
続いて、COOの吉川から、国内の中計の内容に関してご説明します。
国内セグメント /国内事業・新規事業
吉川雄大氏(以下、吉川):私から国内セグメントに関してご説明します。まず、先ほど石坂からお伝えした方針の中でいうコア事業の磨き上げと、新規事業へのチャレンジを両輪として、コア事業としては予約事業およびゴルフ用品の物販サービス、あとは国内のゴルフテックをコア事業として位置づけたいと捉えています。練習場事業とメディア事業については、新規領域と位置づけようと思っています。
ゴルフ場予約事業 〜コア領域の磨き上げ〜
個別の事業について、簡単にご説明します。まずゴルフ場予約事業になりますが、当社の対ゴルフ場ビジネスというところでは、送客サービス以外に現状ではゴルフ場の基幹業務システムや自社Webの予約システムのご提供、あとはゴルフ場向けの広告サービスも手掛けています。本中期経営計画においては、送客サービスに集中するというところをテーマとして設定しています。
新型コロナウイルスに関するウィズ・アフターの影響も含めた期間中の環境予測について、左にまとめていますが、主だったことはご覧いただいたとおりです。スループレーを中心としたプレースタイルの変化・多様化、これはイコールカジュアル化になりますが、こちらが加速すると考えています。
つまりゴルフの敷居が下がるというお話しですが、それに加えて、世の中的にDXの潮流がありまして、ゴルファーの予約の行動においても、ネット利用が加速している現状もありますので、こちらはさらに加速するだろうと捉えています。
ということで、全体としては当社にとって追い風だと捉えていまして、そちらを踏まえた上での取組みということで右側にまとめています。方針としては、マーケティング戦略を転換する必要があるかなと。
こちら競争激化という観点もありますが、マーケティング戦略を展開してさらに強化を行うということと、あとはゴルフ場のプレイ枠やプレースタイル、このような商材とゴルファーのマッチング精度を向上させるというところを方針に置きたいと思っています。
従来、デジタルマーケティングと呼ばれるマーケティングを我々の主軸に置いてきたのですが、こちらを一定軸に置きつつ、我々が手掛けるすべての側面、例えば、ゴルフ場予約から行った場合に、予約サービス以外の接点で関係を構築したゴルファーの流入も、ご予約の利用につなげていくというように流入の強化を図りたいと思います。
商材面は、先ほど送客への集中ということで、営業リソースについても送客サービスに集中投下していきます。ゴルフ場との関係をより強化し、預けていただける商材、時間枠やプランの質を高めていき、それに対して当社が持っているデータを駆使して、ゴルファー個々の好みにマッチしたおすすめ商材の精度を高めていくという取組みを主軸に置いて取り組んでいきたいと思っています。数値目標としては、年率2桁成長以上を目指し、送客サービスに集中して取り組んでいきたいと思っています。
ゴルフ⽤品販売事業 〜コア領域の磨き上げ〜
続いて、ゴルフ用品販売事業になります。テーマとしては顧客数の拡大および利益率の改善を両立させるというところをテーマにしています。環境については左側になりますが、総括するとメーカーや大手量販店がECを強化してくると容易に想像がつきますので、あまり望ましい話ではありませんが、ECのマーケットが激化してくると予測しています。
一方で予約と同様に、世の中のDXの潮流を、我々は追い風として捉えられると思っていますので、全体としてのEC利用は消費者側で高まってくるとプラス要因として捉えています。
以上をふまえて、右側の3つの方針です。取り組みの1つは、競争激化への対応、あとは消費者側、購買行動の変化に対して対応する。合わせて、収益性の維持・向上を行う。
取り組みとして、まず予約と同様なのですが、激化する競争に対応するというところで、マーケティングの戦略を転換し、予約と同様にECサービス以外からのゴルファーの取り込みに集中して取り組んでいきたいと思っています。
また、提供サービスの差別化および質の向上というところで、オーソドックスにはなりますが、ECサイトの購入体験を向上させるべく、いわゆる売場改善と呼んでいますが、機能の強化や提供する情報の質、すなわちコンテンツないしはクリエイティブも強化し、より価値の高い購買体験、購入体験をお客さまに行っていただくという取り組みに集中します。
あとは、購買体験の新しいバリエーションとして、当社はもうすでに「TRY SHOT」「GDO LAB」といった新しいクラブの買い方を手がけていますが、そのような展開を強めていくように考えています。
以上をメインとして、数値目標的には、売上総利益率を1ポイント改善するというところを重要指標として、取り組んでいきます。
ゴルフインプルーブメント事業 〜コア領域の磨き上げ〜
国内のゴルフインプルーブメント事業、国内ゴルフテック事業になります。こちらはコア事業として位置づけます。
アメリカの場合は、まだ成長余地も含めて新規としていますが、国内テックは、中期経営計画においてはコアとして、既存スタジオの稼働の向上と出店拡大のための土台を作っていくと考えています。
従来、基本戦略としては、出店拡大をありきとした計画を立てていたのですが、中期経営計画においてはいったん立ち止まって、確実な単体黒字を目指していきたいと思っています。
昨年のコロナ禍は、米国同様、国内においても4月、5月の全店舗の休業要請に応じてスタジオを閉めた期間がありました。その2ヶ月間で行ったこととしては、コーチの徹底的な研修の強化を行いました。
その結果、スタジオ再開以降、コーチのモチベーションアップも含めて、レッスンの提供品質が非常に向上し、お客さまの稼働がアップしてスタジオ単位の黒字化がだいぶ現実的に見えましたので、こちらも継続していく方針で行っていきます。
よって、右側の方針の取り組みの中にあるとおり、レッスン品質の向上やコーチのスキル向上は引き続き行っていきます。あとは米国でいうところのアウトドアのレッスンです。こちらは昨年、かなりニーズがありましたので、このようなレッスンのバリエーションも増やしていくことを主軸に据えています。
数値目標としては、単独の黒字化を今年度に実現し、翌年度以降、利益を拡大していき、かつ、状況が許せば出店の拡大も検討していきたいと思っています。
練習場事業(BtoB) 〜新規事業領域へのチャレンジ〜
続きまして、練習場ビジネスです。メインのプロダクトとして「Toptracer Range」を対象にしています。スピード感をもった導入拡大と、あとはゴルファーおよび練習場への付加価値の提供をテーマに取り組んでいきたいと思っています。
「Toptracer Range」というものなのですが、事業としては米国のトップゴルフグループとの共同事業でして、プロダクトである「Toptracer Range」というのは、カメラセンサーを使って練習場の各打席から打ち出されるボールを個別に捕捉し、飛距離や弾道を打席ごとのモニターに表示をするというプロダクトになっています。
こちらは弾道計測だけではなく、例えば、バーチャルゴルフや魚釣りゲームといった、ゲームのようなメニューも実装していまして、コアゴルファーがうまくなるために活用するだけではなく、ビギナー、ノンゴルファーでも楽しめるような製品となっています。
左側の環境のところなのですが、昨年発生した事象としては4月、5月の緊急事態宣言下ですら、練習場の来場者は前年比プラスという結果で、業界の市場全体は非常に力強いかたちになっていました。
そして「Toptracer」の導入施設においては、その市場のプラスに加えて、さらにそれを10ポイント以上上回るような勢いで来場者を獲得してきたという事象がありました。
あと、「Toptracer」自体の利用についても、古いところだと2年経過している施設があるのですが、こちらでも全来場者の8割以上が未だに使っているという状況もあり、ゴルファーからも非常に好評いただいているというファクトがありますので、方針としては、とにかくスピード感をもって、先行投資は伴いますが、とにかく導入拡大を目指していくということで取り組んでいきたいと思っています。
数値目標的には各年50施設以上を導入していくと、このようなふうに考えています。
ゴルフメディア 〜新規事業領域へのチャレンジ〜
続きまして、ゴルフメディア事業になりますが、こちらは創業来手がけている事業ですので、基本的には既存事業ではあるのですが、今中期経営計画においては、あえて新規としています。
その上で、非連続の成長を目指すと考えています。市場環境として、ちまたで言われているような紙からネットへのシフトは引き続き加速していくと想定し、追い風であると捉えています。
戦略面のキーワードとしては「純広告からの脱却」ということを言っていまして、そのためのカギとしては、こちらにある「メディアの拡張・立体化」「データの活用」「コンテンツ力の向上」がカギになると思っています。
その「純広告からの脱却」というお話しなのですが、「どういう広告媒体で生きていくのか」というところです。従来だとGDOサイトを来訪された方に広告を表示し、コミュニケーションをとるというだけだったのですが、それだけではなく、ゴルファーが練習場やゴルフ場など、ゴルフにまつわる各場面においてもコミュニケーションをとれるような行動文脈に合わせてコミュニケーションが可能な媒体を目指したいと思っています。
つまり、GDOのサイトや我々が複数持っているスマホアプリ上、もしくは「Toptracer Range」およびゴルフ場に展開しているデジタルサイネージ等を広告面とし、顧客IDをベースにして、その方がサイトにいる時、練習場にいる時、ゴルフ場にいる時と紐付け、その文脈に合わせて広告コミュニケーションをとるようにしていくような媒体を目指したいと思っています。
広告事業については、2020年度比、昨年度比、2023年で売上を1.5倍にするというところを目指していきます。
マーケティング、コンテンツ、テクノロジーを強みに
続きまして、差別化についてご説明します。各事業の戦略を遂行していく上で、共通となるカギの部分についてGDO全体で手がけていくということで3つ挙げています。
1つはマーケティングです。キーワードとしては体力勝負からの脱却、つまりは独自性の追求ということになります。先ほど予約や物販のところでもお伝えしましたが、競争激化も含めてマーケティング戦略を転換していくということで、従来のデジタルマーケティングに加え、あらためてGDO全体の中での特定サービスへの流入強化といったところへ「オウンドメディア強化」と表現していますが、そのような取り組みに注力したいと思っています。
あとは、俗に言うCRMのお話になってしまうのですが、ゴルフ専業のGDOとして徹底的にゴルファーに寄り添っていくということと、その上でお客さまにとって「ゴルファーの気持ちがわかっている。気が利いているよね」と評価いただけるようなコミュニケーションを徹底して追求していくことで、お客さまの支持を獲得したいと思っています。
コンテンツですが、キーワードは「表現力の向上 徹底追求」としています。こちらもゴルフ専業メディアということでの矜持にはなるのですが、とにかくゴルファーに刺さるクリエイティブを徹底追求していきます。これは予約やECといったサービスのサイトにおいても追求していく、範囲を広げるというスタンスで考えています。
あとは、創業来手がけてきたグローバルのトーナメント情報、ゴルフギア、レッスン等々のコンテンツといったコアな情報に加えて、数年来手がけているスノーゴルフ、ビーチゴルフ、ナイトゴルフといった、より広いジャンルのゴルフのかたちをコンテンツにし、幅広く手がけていきたいと思っています。
加えて、昨年来着手しているのが「ディスカバリーチャンネル」の傘下にある「GOLF TV」というサービスで、こちらはUSPGAツアーの放映権を持っているのですが、日本において協業させていただき、GDOのサイト上でもUSPGAツアーのライブ配信が視聴できるよう展開しています。
あとは「YouTube」においても動画コンテンツ配信を強化するという取り組みによって、作ったコンテンツを伝達するチャネルの拡大についても強化していきたいと思っています。
テクノロジーになりますが、先ほど石坂もお伝えしたとおり、ゴルフにおける最新テクノロジーということで、実用可能なものを積極的に取り込んでいこうと思っています。こちらについて、自前で開発するだけでなく、パートナーシップを組んで手がけていくことも並行して強化をしていきたいと考えています。
「Toptracer Range」も然りですし、先ほどのGOLFTECのモーションセンサーのような話、あとは当社のスコア管理アプリに実装されているGPSボールガイドといったようなものも手がけ始めていますので、そのような類いのものを幅広く取り込んでいきたいと考えています。
(参考)国内市場環境
こちらは国内のゴルフ市場の数値のデータになっていますので、後ほどご確認いただければと思います。以上、私から国内の中期経営計画についてご説明しました。続きまして、数値計画と財務戦略について、CFO西野よりご説明します。よろしくお願いします。
2023年度数値計画
西野:私から数値計画と財務戦略についてご説明します。先ほどご説明してきたような策をとることで、2023年の時点には、売上高460億円、EBITDA50億円そして営業利益25億円を予定しています。
財務戦略①
この3年間の営業キャッシュ・フローは約100億円くらいかと推定しており、そのうちまずは海外事業や新規事業といった、新たな成長分野へ積極的に投資を行っていきます。ジョーがビデオの中でお話ししていましたが、新規出店やフランチャイズ店の直営化という、米国側での動きに関しては45億円程度、それから、吉川からご説明した練習場事業に関しては18億円くらい、それ以外にも、これからこの先いろいろな機会が出てくると考えています。
一方、国内も、われわれの主力ビジネスであるインターネットを通じた取り組みを支えるため、ITを中心に積極的に投資していきます。また、株主さまへの還元については、成長というところを考えつつ、安定的に配当を実行させていただきたいと考えている次第です。
財務戦略②
そのうえで、この期間においては、ここまで説明したとおり、選択と集中を高め、とにかく営業キャッシュフローの創出を目指すことを考えていきたいと思っています。一方、先ほどお伝えしたような新たなビジネス分野への積極的投資を行っていきます。当然、秩序ある投資を行うべく、IRRのような基準をもって企業価値を向上すべく投資効率を意識していきます。
バランスシートにおいては、中期的にはネットのD/E100パーセント以下を目安として、安定的なバランスシートをキープしながらコントロールしていきたいと思っています。その期間における株主さまへの還元に関しても安定的に実行していく所存です。
数値計画と財務戦略については以上です。最後に組織戦略について石坂よりご説明します。
中期経営計画の実効性を⾼めるための組織戦略
石坂:組織力の育成・強化はやはりテーマではありますが、国内事業においては、ゴルフの専業であることを活かしていくということと同時に、去年来、総合経営を実行するためにいくつかの部門の一体化を図りました。
従来であれば、それ以前は営業部門もいくつかに分かれていたり、あるいは、事業ごとにマーケティング機能とCS部門、これはカスタマーサポート機能のことですが、これらを分散させていましたが、これを昨年来、一本化してセントラル化するというような強化を図っています。より会社としてのノウハウと資源を最大限活かすのと同時に、ゴルファーに対しては、部門単位ということよりも、総合サービスの視点で接していくことの重要性を改めて感じ取っており、それに踏み切りました。
それに加えて、これはコロナ禍前から当社が多様な働き方を後押ししていくことを掲げており、これは社内用語ではありますけども、「WORKFAST」という標語で行ってきたのですが、昨年のCOVID-19の影響を受け、リモートワーク率はもう85パーセント以上でずっと推移しているのですが、単にリモートということだけではなく、引き続き多様な働き方と生産性を向上させていくその最中でも、改めて「WORKFAST Ver.3.0」という働き方の取り組みも行っていきます。
あと、コーポレートガバナンスの強化は言うまでもないですし、今年コーポレートガバナンスの改定も想定されている中で、プライム市場も含めたそのような環境変化に対応するためにも、当社としては、取締役会の任意の諮問委員会、指名・報酬委員会の設置を行っていきます。それ以外にも、経営判断のスピードアップ、マネジメント層での責任範囲の明確化なども行って、今後も管理体制の刷新あるいは強化を図っていきたいと考えています。組織およびガバナンス関連については以上です。
質疑応答:緊急事態宣言による影響
司会者:「緊急事態宣言はGDOのビジネスにどのような影響を与えているでしょうか?」というご質問です。
吉川:現在、緊急事態宣言が発令されている都道府県があるという状況ですが、正直にお伝えすると、直近の緊急事態宣言において、業績関係にはあまり大きく影響は出ていません。
政府および自治体のほうから休業要請等の強い要請が出されるような状態になりますと、店舗ビジネスを中心に一定休業といった対応をせざるを得ない状況があるかもしれませんが、一方で練習場など、ゴルフのプレーについては、我々からあまりプッシュするということも倫理上しにくいですので、要請には従うというスタンスではありつつ、選択するのはお客さまであるというかたちから考えると、予約や物販については、いわゆるクリティカルな影響はないであろうという捉え方をしています。以上になります。
質疑応答:海外事業のリスクについて
司会者:「海外事業を進める上でどのようなリスクを認識されているのでしょうか?」というご質問をいただいています。
石坂:こちらについては私から回答しますが、主に大きく3つのリスクを認識しています。まずはGOLFTEC Enterprises(GTE)が軸で海外事業となっていますので、こちらについては、なによりもGOLFTEC Enterprises自体の経営陣と信頼関係をしっかりと構築して一体感を持って経営にあたっていくということだと思います。
もうすでに子会社化してから2年以上経ち、非常に信頼感を持った関係性を築けています。頻繁にコミュニケーションをとれていることも含めて今後も強化していきますが、非常に順調にいっていると感じています。
2つ目はGT自体の事業の大半は実店舗であるということで、まさにパンデミックであらわになっているのが実店舗に事業が集中しているというリスクです。これは当然パンデミック以前からも考えてきたことではありますので、このようなリスクに対して、今後は事業の多角化について注力していきます。多角化といっても特にデジタルサービスをより立ち上げていくということになると思いますが、いずれにせよこのような実店舗ビジネスのリスクが2つ目の大きなリスクとしてあると考えています。
3つ目は当たり前に財務リスクはあると思うのですが、GDO全体のポートフォリオにおいてもこの3年間で、我々としてもかなりの割合で投資を海外事業に充てていくということになります。そのような意味でも、しっかりとした投資判断あるいはどのような投資基準を設けて行っていくのかということで、まずはなによりも店舗の出店やフランチャイズ店の買取を適切に判断していけるかということ、このようなリスクをどのように判断して成功に導いていくのかということなのかなと考えています。いずれにせよ、このような3つが、現状での海外事業を広げる上でのリスクと認識しています。以上となります。
質疑応答:リモートワークへの取り組みについて
司会者:「リモートワーク中心の中、どのような取り組みをされていますか?」というご質問をいただきました。
石坂:他社と比べて特別なことはあまりないかもしれないのですが、特に当社の場合には、パンデミック以前からリモートワークや多様な働き方について「WORK FAST」というGDOの働き方に基づいて進めてきたので、リモートワーク準備は結果的にできていました。
当然ながら、それは在宅でさまざまな事業にあたれるとか、あるいは制度面に加えて、オンラインである程度業務が完結するという観点では、早くから我々も「Microsoft 365」の「Teams」を採用してきていましたので、それがいっそう加速したということかと思います。
それ以外には、当社としても去年の半ばからプロジェクトを組んで、今後の働く環境を見据えたプロジェクトを数ヶ月に渡って行い、今まさにその成果として、複数の働き方に対応する新しい人事制度のさらなる充実およびそれらに基づいた働く上での約束事として、働くハンドブックを今まさに完成させようとしているところです。
より多様な働き方同士であっても、ある程度オンライン協働でき、それがさらに生産性を上げていくというようなかたちでの規定およびハンドブックで、働く上でのいろいろな考え方やマナー、知恵を反映させ、全社でそれを浸透させていくような取り組みが中心となります。
ですので、現在、リモートワークはうまくいっていると考えていますし、実際には店舗、スタジオ、物流センター、カスタマーサポートといった類のものはどうしてもリモートワークの選択肢というのは難しいわけです。
そのような多様な働き方をうまく組み合わせていくというような工夫や取り組みには時間をかけてきていますので、かなり自信をもって今後もさらに成果を挙げられるような働く環境になっていくのではないかと考えています。