業績の推移及び2021年3月期予算の考え方

西川弘典氏(以下、西川):それでは、資料の3ページをご覧ください。すでに開示させていただいたとおり、通期業績予想を修正いたしました。新型コロナウイルス感染拡大を受けた政府による緊急事態宣言の発出等により、第1四半期は事業活動に大幅な制約を受け、業績にも大きな影響が出ました。

第2四半期以降の業績は回復基調にはあるものの、ウェルネス事業の運営施設やハンズ事業の店舗等を中心に、当初想定した以上に稼働や集客の低下の影響が発生しており、第3四半期以降も継続する見込みとなったため、通期業績予想を修正することといたしました。

詳細は後ほどご説明いたしますが、修正後の営業利益は440億円、当期利益は170億円となります。

2021年3月期における活動方針

2021年3月期の活動方針についてです。まず、現在の環境認識についてですが、新型コロナウイルス拡大の影響が長期化しており、ウィズコロナを前提とした行動様式は、一過性ではなく、継続していくものと考えています。また、景気後退がどの程度のものとなるか不透明ですが、今後の不動産市況の変調の有無を注視しなければならないと考えています。そして、社会全体の価値観を変えるパラダイムシフトについては、すでに始まっており、このパラダイムシフトに対応した変革が必要であると認識しています。

当社グループの活動方針として、5月にもお話したとおり、当社グループのサステナビリティ確保とパラダイムシフトに対応した改革を進めてまいります。

サステナビリティ確保のために短期的に取り組むこととして、お客さま・社員を始めとするステークホルダーの安全確保を最優先として、徹底したコストの見直し、新たな生活様式に対応した商品・サービスの提供に取り組んでいます。

新たな生活様式に対応した商品・サービスの事例としては、スマートシティへの取り組みでもある「東京ポートシティ竹芝」です。

当社グループでは、働き方改革、保育や介護の問題、健康寿命の延伸、テレワークやワーケーションの推進など、時代とともに変化する社会課題、そして多様化するお客さまの生活シーンを支えるために、「住まい方」「働き方」「過ごし方」という3つの領域を融合させて理想を実現する「ライフスタイル創造3.0」に挑戦していますが、これにデジタルをかけ合わせた形態……これを目指しているのが「東京ポートシティ竹芝」です。

当然ながら、パンデミックを想定したものではありませんが、コロナ禍での非接触ニーズ等も合致いたしました。長期目線でお客さまのニーズを汲み取り、事業化することが如何に重要であるかを再認識した事例ともなっています。

パラダイムシフトに対応した改革として、当社グループの社会的使命に沿ったビジネスモデルの進化と新しい事業機会の創出に注力してまいります。デジタル化の加速と各事業におけるDX推進、既存事業の効率性向上はすでに着手しており、現在取り組んでいるコストダウンや新しい商品・サービスの取り組みが、ニューノーマルにおけるビジネスモデルの進化につながると期待しています。

特に、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きいウェルネス事業・ハンズ事業を中心に、レジリエンスの高い事業に進化させてまいります。

財務戦略として、成長投資の継続、財務規律の維持の方針に変化はありません。この方針に基づいて、ハイブリッドファイナンスを計画しています。こちらは後ほど詳細をご説明いたします。

大変厳しい業績予想となり、強い危機感を持っていますが、社員には「焦るな・惑わされるな」とメッセージを伝え、環境変化に適切に対応してまいります。VUCA時代に柔軟に対応できる成長シナリオを描くべく、現在、2030年を念頭においた長期経営方針の策定に取り組んでおり、5月に公表したいと考えています。

それでは、続いて予算・決算の概要を担当の西村よりご説明させていただきます。

業績ハイライト

西村和浩(以下、西村):業績ハイライトです。当第2四半期決算は営業収益3,839億円、営業利益170億円、四半期純利益6億円となりました。

都市事業セグメントにおける投資家向けビル等売却収益の増加があったものの、ウェルネス事業・ハンズ事業を中心とした新型コロナウイルスの感染拡大影響や、分譲マンションにおいて前年に大規模物件の一斉計上があったことなどによる反動減により、対前期減収減益となりました。

2021年3月期予算は営業収益8,950億円、営業利益440億円、当期純利益170億円に修正をいたしました。なお、安定的な配当維持と株主還元重視の観点から、配当額は当初予想から変更せず、16.0円を予定しています。

第2四半期の主なトピックスは3点です。1点目は、当社最大規模のオフィスビルである「東京ポートシティ竹芝」が竣工・開業を迎えました。2点目は、当社グループが注力する再生可能エネルギー事業につきましては、投資が順調に進捗し、期末時点での投資残高は1,670億円になりました。3点目はハイブリッドファイナンスの実施を発表した点です。

2021年3月期 第2四半期決算

こちらは第2四半期決算の内容となります。

2021年3月期 セグメント別第2四半期実績

第2四半期決算のセグメント別の営業収益および営業利益の実績となります。セグメント別では、都市事業セグメントが増収増益、その他の6セグメントが減収減益となりました。セグメントの具体的な内容は、後ほどご説明をさせていただきます。

2021年3月期 第2四半期 期末BS

バランスシートの概要です。9月末の総資産2兆6,121億円と、前期末から1,247億円増加をいたしました。都市事業における既定プロジェクトの投資等により、固定資産が増加をしています。有利子負債は、必要資金の調達等により前期末から1,340億円増加をいたしています。

2021年3月期 第2四半期 キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フローの状況ですが、下段の投資実績と計画についてご説明を申し上げます。第2四半期は、販売用土地建物では再生可能エネルギー施設・物流施設等に364億円を投資。通期の投資計画は900億円としています。

マンション⽤地の仕入れに関しましては、上期実績は少ない結果となりましたが、引き続き厳選した投資スタンスのもとで、通期の投資計画は当初想定と変更せず200億円を予定しています。

設備投資につきましては、上期は「東京ポートシティ竹芝」等既定プロジェクトを中⼼に804億円。通期の投資計画は1,200億円を予定しています。

2021年3月期 業績予想

2021年3月期の業績予想です。数値は先ほどご説明したとおりですが、期末の有利子負債残高及びD/Eレシオにつきましても当初予想と変更はございません。

2021年3月期 セグメント別業績予想

セグメント別の営業収益・営業利益の対前年比較になっています。こちらも後ほどご説明申し上げますが、全セグメントで減益予想となっています。

都市事業① 2021年3月期 第2四半期実績

セグメント別の概況の説明となります。まずは都市事業セグメントです。上段、第2四半期は、商業施設や貸会議室事業におきまして新型コロナウイルス感染拡大の影響を強く受けた一方で、投資家向けビル等売却収入の寄与等によりまして増収増益となりました。

下段、通期予想につきましては、今期開業いたしました「東京ポートシティ竹芝」等の寄与により増収を予定する一方、商業施設・貸会議室等におけるコロナウイルスの感染拡大影響等により減益を予定しています。

都市事業② 空室率・賃料の推移

空室率と賃料の推移です。空室率は9月末で0.8パーセントと、引き続き低水準を維持しています。第1四半期同様、当社グループのオフィスビルにおける解約予告につきましては、前年並みの水準で推移をしています。また、平均賃料につきましては、「東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー」新規寄与等によりまして、9⽉末で月坪あたり2万8,090円となりました。

都市事業③ 主要プロジェクト

都市事業セグメントの主要プロジェクトについてのご説明となります。下段の「広域渋谷圏」では、当社グループの拠点である「渋谷ソラスタ」の隣接地で計画を進めます「(仮称)道玄坂一丁目計画」を公表させていただいています。

本物件は小規模ではありますが、鉄骨造・木造によるハイブリッド構造のオフィスであり、国土交通省の「令和2年度サステナブル建築物等先導事業」に採択をされています。

都市事業④ 主要プロジェクト<広域渋谷圏>

当社グループの重点エリアである「広域渋谷圏」における、当社グループ開発事業の地図です。前期に開業いたしました「渋谷ソラスタ」「渋谷フクラス」に続きまして、桜丘口再開発や神宮前六丁目、代官山プロジェクトなど順調に進捗をしています。

都市事業⑤ 主要プロジェクト<東京ポートシティ竹芝>

開業を迎えた「東京ポートシティ竹芝」の紹介です。オフィスタワーは延床面積約18万2,000㎡と、当社グループにとって最大規模のオフィスビルであり、9月に開業を迎えました。首都高の上をとおり、将来的には浜松町駅に直結する予定の歩行者デッキも一部供用を開始しています。

都市事業⑥ 東京ポートシティ竹芝におけるスマートビルの取り組み

次ページが、その「東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー」におけます、スマートビルの取り組みについてのご説明となります。

本物件は、人流データや交通情報、店舗の混雑状況等をリアルタイムで取得し、オフィスビルのさまざまなステークホルダーのために可視化や最適化を行った上で、データとして価値提供を行うことができる、次世代オフィスビルとなっています。

都市事業⑦ 再生可能エネルギー事業

再生可能エネルギー事業の状況です。当社グループの再生可能エネルギー発電施設は、「ReENE」のブランド名で展開をしています。第2四半期に新たに5物件が稼働し、 9月末時点で稼働35件、開発中18件の計53件のプロジェクトに取り組んでいます。投資残高は1,670億円、定格容量は1,145MWの規模となりました。こちらの規模は、当社が有力な再生可能エネルギー事業者として海外からも認識される事業規模となります。

また、東急不動産は、事業活動で消費する電力を100パーセント再生可能エネルギーで調達することを目標とする「RE100」にも加盟をしています。

当社グループは、今後も再生可能エネルギー事業を通じまして、サステナブルな社会の実現に取り組んでまいります。

都市事業⑧ 物流施設事業

物流施設事業の状況です。循環型再投資事業におけるアセットタイプ拡大の一環として開発を進めており、「LOGI'Q」のブランド名で展開をしています。

9月末におきましては稼働物件9件、開発中4件の計13件のプロジェクトに取り組んでおり、投資残高は377億円、総延床面積は93万5,000㎡の規模となりました。

右側上段は、「LOGI'Q三芳」における当社グループのリソースを活かした取り組みを紹介しています。また、下段ではローカル5Gを活用したスマート物流の推進に向けた実証実験についても取り組みを始めています。

物流施設は、EC市場の成長とともに今後さらにニーズが高まることが予想される中、当社グループの特長を活かした開発を進めてまいりたいと考えています。

住宅事業① 2021年3月期 第2四半期実績

ここから住宅事業セグメントとなります。第2四半期は、前年同四半期の大規模物件計上の反動減により、減収減益となりました。

通期予想につきましては、分譲マンションの戸当たり単価の上昇等により増収いたしましたが、分譲マンションの粗利率低下等により減益の予定となっています。

住宅事業② マンション営業指標推移

分譲マンションの営業指標の推移です。2021年3月期の計上戸数は前期から微減の1,625戸、売上は985億円を予定しています。

第1四半期を中心に、緊急事態宣言によるマンションギャラリー休止など、営業活動に大きな制約が生じたものの、現在はマンションギャラリーの来場制限を行いつつ、オンライン接客等も取り入れ、ほぼ通常の営業活動に戻りつつあります。

マンションの売上予想に対する契約確保済みの割合は、9月末時点で76パーセントと順調に進捗しています。完成在庫は9月末時点で299戸となり、引き続き着実に販売を進めていく予定です。粗利率は左下グラフに記載のとおり、2021年3月期は20パーセントを計画しています。また、用地の仕入れにつきましては、引き続き厳選した投資方針のもと進めてまいります。

2022年3月期以降計上を予定するランドバンクは、約8,900戸となっており、そのうち再開発物件の割合は約40パーセントとなっています。高付加価値の再開発物件に重点を置きながら取り組んでまいります。

管理事業① 2021年3月期 第2四半期実績

管理事業セグメントです。まず、第2四半期は、ビル管理におきましては、前期から今期にかけて管理を開始いたしました大型物件の売上が寄与する一方で、前期の大型ビル工事の計上と消費増税前の駆け込み需要の反動減があり、加えてコロナ影響による営業活動の自粛に伴う工事受注減少等により、減収減益となりました。

通期予想につきましては、ビル管理における大型物件の寄与の一方で、新型コロナウイルスの感染拡大影響による営業活動の自粛に伴う工事受注減少等により、減収減益を予定しています。

管理事業② 物件ストック状況

次ページが管理ストックの状況です。上段、マンション管理戸数は、9月末時点で84万3,000戸と、前期末から約1万3,000戸強増加をいたしました。下段のビル等の管理棟数の推移につきましては、不採算案件の整理等によって前期末から減少していますが、「東京ポートシティ竹芝」や渋谷駅周辺の再開発案件の受託によりまして、管理物件の大型化が進んでいます。

仲介事業① 2021年3月期 第2四半期実績

仲介事業セグメントです。第2四半期は、売買仲介における緊急事態宣言中の店舗の休業や営業時間短縮等に伴う取引件数の減少、不動産販売における高利益率の物件売却の反動減等がありまして、減収減益となりました。通期予想につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う売買仲介における取引件数の減少等により、減収減益を予定しています。

仲介事業② 売買仲介営業指標

売買仲介の営業指標についてとなります。売買仲介につきましては、現状リテール部門を中心に前年並みの水準に戻りつつありますが、第2四半期の実績につきましては、コロナ影響によりまして、リテール・ホールともに取引件数が減少いたしました。

通期予想につきましては、下期にて前年を上回る件数を目指してまいりますが、第2四半期までの取引件数の影響が大きく、リテール・ホールともに年間では取引件数が減少する見込みとなっています。

ウェルネス事業① 2021年3月期 第2四半期実績

ウェルネス事業セグメントです。当セグメントは新型コロナウイルスの感染拡大により、最も大きな影響を受けています。第1四半期における、緊急事態宣言に伴う各運営施設の休業や営業時間の短縮、第2四半期におきましても当初想定以上に需要の回復は遅れており、減収減益となりました。

通期予想につきましても、リゾート運営や東急ステイにおけるインバウンドを中心とした需要回復の遅れや、東急スポーツオアシスの会員減に伴う減収を見込んでおり、減収減益を予定しています。お客さま及び従業員の安全確保最優先の施設運営を徹底しつつ、インバウンド回復の遅れを前提とした国内需要取り込み強化や、収益構造の見直し等に努めてまいります。

ウェルネス事業② 運営体制・主要プロジェクト

次ページが、ウェルネス事業セグメントの今後の主要プロジェクトです。まず、本年7月より、ホテル等の運営会社2社を統合し、「東急リゾーツ&ステイ株式会社」の営業を開始いたしました。40年以上にわたるリゾート施設やホテル等における実績と運営ノウハウを集約し、営業力の強化及び生産性向上を推進してまいります。

上段はホテル事業の紹介です。都市型ホテルの東急ステイは、2020年4月に「飛騨高山 結の湯」を開業いたしまして、4,522室となりました。また、2021年秋には「東急ハーヴェストクラブ京都鷹峯&VIALA」の隣接地に、ヒルトンのラグジュアリーブランドである「LXR(エルエックスアール)ホテルズ&リゾーツ」のアジア初進出となる「ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts」の開業を予定しています。

下段はシニア住宅の紹介です。「グランクレール芝浦」が7月、「グランクレール立川」が9月に開業いたしました。

ハンズ事業 2021年3月期 第2四半期実績

ハンズ事業セグメントです。第2四半期は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、店舗の休業や緊急事態宣言解除後の営業時間の短縮等により、減収減益となりました。現在は第1四半期の最悪期から脱し、回復基調にありますが、引き続きコロナ影響長期化の影響を受けており、減収傾向が継続しているため、通期予想につきましても減収減益を予定しています。

ウェルネス事業・ハンズ事業における取り組み

新型コロナウイルスの感染拡大による事業への影響が特に大きい、ウェルネス事業・ハンズ事業における、ウィズコロナを前提とした取り組みについていくつかご紹介をさせていただきます。

ウェルネス事業のホテルアセットにおきましては、特にインバウンド需要の回復に時間を要する見込みです。国内需要の取り込みが課題となる中で、リゾートホテルで休暇とリモートワークを両立させるワーケーションプランや、都心立地中心の東急ステイを自宅以外の快適なワークスペースとして提供するデイユースプランを実施しています。

また、お客さまの来場を前提とした営業が中心でした東急スポーツオアシスにおきましては、自宅での運動を可能にし、健康不安の解消や日頃の運動習慣の継続を可能にするアプリである「WEBGYM」や、「WEBGYM」とセットでフィットネス商品の開発・販売を行う「WEBGYM BOX」を提供しています。場所を限定しないサービスの提供により、施設外収入の強化を行い、収益構造の見直しを推進しています。

また、ハンズ事業では構造改革を推進しています。まず、リアル店舗の収益力回復と、EC強化を含むデジタル戦略への転換に向け、アバター遠隔接客の導入やPB商品の拡大による販売力強化。また、DX推進によるハンズクラブ会員500万人への会員施策強化などにも取り組んでいます。店舗構成の見直しにつきましては、フランチャイズ形式での出店や店舗のリプレイス、低収益店舗への整理などを進めています。

次世代・関連事業① 2021年3月期 第2四半期実績

海外事業等で構成される次世代・関連事業セグメントです。第2四半期はインドネシアの分譲マンションの計上減等により、減収減益となりました。インドネシアは、ASEANの中でも特に新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大きく、国内同様にマンションギャラリーを一時営業休止にする等、営業活動に大きく影響を受けています。

通期予想につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大影響に伴うインドネシアのマンション分譲の計上減少。また、法人請負事業の管理事業セグメントへの移管影響や、注文住宅事業の終了等により、減収減益を予定しています。

次世代・関連事業② 海外事業

次ページが、海外事業での取組み状況です。左側の地図では、2020年9月時点でのアメリカの進捗中プロジェクトをプロットしています。現在推進中のプロジェクトは計17件です。また、右側はニューヨークの「425パーク・アベニュー」で、オフィスビルの再開発プロジェクトとなっています。

自己資本・有利子負債の推移

自己資本及び有利子負債の推移についてのご説明となります。2021年3月期は「東京ポートシティ竹芝」等、⼤型再開発への投資や新規投資等によりまして、有利子負債が1,190億円増加し、1兆4,800億円となる見込みです。D/Eレシオにつきましては、中計最終年度につきましては2.3倍未満を目標としていましたが、通期予想では2.5倍を計画しています。コロナ禍における今年度につきましても、JCRの長期発行体格付はAの見通し安定的に維持となっています。

ハイブリッドファイナンス

ハイブリッドファイナンスについての紹介です。財務健全性と資本効率性の向上及び持続的な成長投資を目的として、ハイブリッドファイナンスの実施を予定しており、ハイブリッド社債とハイブリッドローンを合わせ、合計1,000億円の資金調達を行う予定です。

ハイブリッド社債につきましては、格付会社より、資金調達額の50パーセントについて格付上の資本性認定を受ける見込みであり、本調達により財務規律を維持したまま、サステナブルな成長に向けた投資の実現が可能となります。

また、ハイブリッド社債のうちの一部、ノンコール期間10年のものにつきましては、サステナビリティボンドでの資金調達を予定しています。

サステナビリティボンドの発行

次ページが、そのサステナビリティ・ハイブリッド・ボンドについての説明となります。

当社グループでは、主要な国内外ESGインデックスへの継続選定、TCFD提言への賛同、「RE100」の加盟等、これまで環境及び社会課題に対して積極的に取り組んでまいりました。これらの取り組みを活用し、本ファイナンスにおいてサステナビリティボンドの発行を予定し、さらにハイブリッド社債と組み合わせることで国内初の形式での資金調達を目指してまいります。当該サステナビリティボンドにおける主な資金使途は、記載のプロジェクトとなります。

株主還元

株主還元についての説明となります。現中経期間における還元方針は、安定的な配当継続維持、かつ配当性向25パーセント以上を基本方針としてまいりました。これまでは、当期純利益を着実に成長させることで増配を継続する方針を取ってまいりました。

2021年3月期につきましては、減益予想ではございますが、新型コロナウイルスの影響による減益は一過性と認識しており、安定的な配当の維持継続及び株主還元重視の観点から、配当は前期と同額の1株あたり16.0円、配当性向は67.7パーセントを予定しています。

社会課題に対応する事業展開<ライフスタイル想像の進化>

最後になりますが、社会課題に対応する事業展開についてご説明をさせていただきます。当社グループでは、これまでも、街や社会に新しい価値を生み出し、事業活動を通じて社会課題を解決してまいりました。そして、この新しい価値を生み出すためのキーワードが「ライフスタイル創造」であり、ハコやモノの枠を超えてライフスタイルを創造・提案する企業グループとして、新しい「住まい方」新しい「働き方」、新しい「過ごし方」の提案を通じて、さまざまな社会課題の解決に取り組んでまいりました。

昨年度より、統合報告書等で、この「ライフスタイル創造」が3つのフェーズで進化してきたことについて説明をしてまいりました。マンションや戸建住宅の開発に始まり、商業施設、ホテルやリゾート施設、さらにオフィスビル等のハコの供給を通じて、社会に新しいライフスタイルを提供した「ライフスタイル創造1.0」。

モノからコトへの消費の変化のなかで、それぞれのハコを中心に管理、仲介、運営へと不動産業の枠を広げ、新しい「住まい方」「働き方」「過ごし方」というソリューション提案をした「ライフスタイル創造2.0」。

そして現在、ライフスタイルや価値観の多様化や、テクノロジーの進化などを受け、「住まい方」「働き方」「過ごし方」という3つの領域の垣根が低くなっています。

当社グループの価値創造も、あらゆる生活シーンが融合した「ライフスタイル創造3.0」を実現していくため、それぞれの事業の厚みや事業間のシナジー発揮が不可欠です。コロナ禍において社会やビジネスの変容は想定よりも早く訪れていますが、今こそ当社グループのシナジーを活用した事業展開で優位性を発揮すべきと考えます。

社会課題に対応する事業展開<働き方の多様化>

最後のページが、具体的な「ライフスタイル創造3.0」による新しい価値提供の事例として、ワークスペースの展開についての説明をさせていただければと思います。「働く場所」の中心が、多くの社員が集い、議論を交わす場であるセンターオフィスであることは今後も変わらないと考えます。一方で、コロナ禍によりテレワークやワーケーション等が浸透し、「働く場所」と、「住まう場所」や「過ごす場所」の融合が進んでいることも事実です。

下の図に記載のとおり、従来のオフィスビル事業を運営する都市事業に限らず、住宅事業・ウェルネス事業等、当社グループが幅広く関与するアセットを活用したワークスペースを提供し、「働く場所」の新しいニーズに対応してまいります。

今後も当社グループの強みを活かしながら、事業活動を通じて社会課題を解決すべく取り組んでまいります。説明は以上となります。