決算概要(2021年3月期 第2四半期累計 実績)

池上功氏:エフピコの池上です。2021年3月期上半期の実績についてご説明いたします。

決算概要です。売上高は6期連続の増収、営業利益・経常利益・純利益は2期連続の増益、償却前経常利益は3期連続の増益となりました。

売上高は963億9,500万円、前年同期比103.8パーセント。うち、当社製造製品の売上高は746億3,400万円、前年同期比105.4パーセント。製品出荷枚数の前年同期比は105.9パーセントとなりました。

販売面の特記事項です。2020年2月以降、コロナ禍の食生活において、外食から内食への移行に伴い、スーパーマーケットでは生鮮向け容器の販売が拡大いたしました。加えて、環境配慮製品の「エコトレー」が好調に推移いたしました。また、新たなマーケットとして、テイクアウト・デリバリー専用容器の販売が拡大しました。一方、イベント用容器・駅弁容器の需要が大幅に減少いたしました。

営業利益は83億1,100万円、前年同期比117.1パーセント、計画比106.3パーセント。経常利益は85億6,400万円、前年同期比115.0パーセント、計画比105.6パーセント。経常利益率は8.9パーセントとなります。当期純利益は56億5,300万円、前年同期比116.8パーセント、計画比108.5パーセントとなりました。

経常利益 利益増減 実績(2021年 3月期 第2四半期累計)

続きまして、上半期経常利益は、前年同期に比べ11億2,000万円の増益となりました。主な要因は、原料価格の影響がプラス11億円。オリジナル製品・新製品の販売が好調で、プラス7億2,000万円。働く環境をサポートするため、休日出勤等各種手当の引き上げや自動化投資による経費増加が、生産で1億5,000万円。物流で5,000万円。グループ会社は、前期に補助金収入を計上した影響で、マイナス7,000万円。販売費用等の経費増加で4億3,000万円でございます。

また、上半期経常利益の計画81億1,000万円に比べ、4億5,000万円のプラスとなりました。主な要因は、オレンジ色のマーカー部の計画比をご覧ください。オリジナル製品・新製品の販売が好調で、プラス3億2,000万円。生産の改善でプラス5,000万円。グループ会社の改善効果でプラス8,000万円です。

経常利益 利益増減 見通し (2021年 3月期計画)

続きまして、通期業績予想の上方修正です。「エコトレー」やテイクアウト・デリバリー専用容器の販売が好調なこと、10月1日に積水ヒノマルの成形品事業部を譲り受けたことにより、見直しを実施しています。

売上高は期初計画1,900億円から1,950億円へ、50億円のプラス。経常利益は期初計画174億円から182億円へ、8億円のプラスを見込んでいます。下期の経常利益修正額は、期初計画から3億5,000万円のプラスを見込んでいます。

主な要因は、オレンジ色のマーカー部の下期見通し変更点をご覧ください。原料価格上昇の影響でマイナス1億5,000万円。販売数量増・新製品効果・新たなマーケットの拡大による販売増でプラス2億5,000万円。生産性の改善でプラス2億円。グループ会社の貢献利益でプラス5,000万円でございます。

設備投資・研究開発費 (2021年 3月期 第2四半期累計 実績)

当期の設備投資計画は233億円、減価償却費は139億円です。減価償却費は、前年同期比で3億6,700万円の増加を見込んでいます。

キャッシュ・フロー (2021年 3月期 第2四半期累計 実績)

業績予想を上回る結果となったことから、連結配当性向は30パーセントを目処とし、中間配当金は1株あたり期初計画の40円から1円増配し、41円に修正いたします。株式分割を考慮しない場合の期末配当金は、期初計画の41円から2円増配し、43円に修正いたします。株式分割を考慮しない場合の年間配当金は3円の増配となる84円を予定しています。

以上をもちまして、実績・見通しの報告を終わります。ありがとうございました。

新型コロナウイルスの影響 小売業

佐藤守正氏:佐藤でございます。私から、上半期の状況についてご説明をさせていただきます。まず、この上半期のコロナ禍で、私どもも非常に大きな影響を受けました。ただ、全体的には非常にプラスの方向に働きました。それと言いますのも、まず5月の非常事態宣言が発出されてから、巣ごもり現象で家庭にこもられたことで、スーパーマーケットの精肉・鮮魚を中心に、非常に売上が伸びました。

一方で、コンビニエンスは、観光地あるいはビジネス街等々の店舗が非常に売上が悪いということで、全般的に不調でした。この状況は8月まで続いていまして、9月からは少し戻ってきてはいますが、引き続きスーパーの生鮮部門が好調です。

容器需要動向

私どものスーパー向けの容器は、非常に大きな伸びを示しました。一方で、駅弁や行楽弁当、あるいはイベント弁当は壊滅的に減りました。結果として、私どもの容器の出荷は増えています。

新型コロナウイルスの影響 テイクアウト・デリバリー

加えて、私どもが想像していなかったテイクアウト・デリバリーの需要が、特に5月、非常に増えました。いろいろなところでテイクアウト・デリバリーが始められました。

デリバリー・テイクアウト 新製品上市

実際には、6月にそれを止められたところも多いんですけれども、一方で、大手チェーンがテイクアウト・デリバリーを組織的に、宣伝も含めて始められました。

「DLV麺」という左上の容器は、ラーメンのデリバリー向けに出前館さんと開発した容器です。昨年10月に上市をして、じわじわ出荷が始まっていたのですが、3月比で言うと(4月は)14倍、(5月は)44倍に増えました。

トリドール(丸亀製麺)様 テイクアウト容器採用事例

6月でいったん減りましたが、その後、丸亀製麺さんがこの容器を使ったテイクアウト・デリバリーを組織的に、戦略的に進められて、現在では丸亀製麺さんのテイクアウトは15パーセントほどまで伸びています。このようなことも含めて、この「DLV麺」が安定的に増えてきています。後で申し上げますが、これだけの振れがあっても、この「DLV麺」を一切欠品をさせることがありませんでした。これは、私どものSCMの仕組みがものすごくうまく働いたと思っています。

テイクアウト・デリバリーの新たなニーズが出てきたことを受けて、矢継ぎ早に、「DLVランチ」や「DLV角」、「DLV楕円」等の新製品が生まれました。この「DLV角」と「DLV楕円」は、デリバリー中に荷崩れを起こさない、蓋と本体が嵌合する新しい発想の容器です。

他社はこういったソリッドの容器を、PPフィラーという素材で作っているのですが、このPPフィラーだとうまくできませんでした。私どものマルチFPの端材から作った、マルチソリッドというポリスチレン系の素材だと成形がうまくできて、この蓋と本体が連結する容器が開発できました。

このように漏れにくい、ズレにくい、荷崩れしないといった要望に応えた製品群を、矢継ぎ早に開発して上市し、それをお客さまに案内しているところです。

テイクアウト・デリバリー新業態

もう1つ、急速に始まっているのが、ゴーストレストラン、ゴーストキッチンと言うのでしょうか……客席のない厨房だけの設備で、そこに複数のブランドの外食を立ち上げてデリバリー専門にするということで、ゴーストレストラン研究所やTGAL、Globridgeなどが、組織的にこのようなレストラン・キッチンを展開しています。

TGALについては、220ヶ所でこのようなキッチンがあって、1キッチン平均10ブランドを立ち上げられて、ハイエンドからローエンドまでのブランドをうまく使ってデリバリーを始められています。

デリバリーについても、Uber Eatsや出前館のようなタイムシェアの仕組みが浸透してきていますので、このようなゴーストレストランの業態、テイクアウト・デリバリーを専門にする客席のないお店が、これからどんどん増えてくる気がします。

これから高齢化社会を迎えるにあたって、ご高齢の方に誰が食を供給するのかということを、私たちはずっと考えてきました。介護の専門の会社さんもお取引がありますし、いろいろな会社さんとのお取引がありますが、最終的に誰が供給するかという、真打ちと言うようなものが、ようやく見つかった気がします。

このゴーストレストランの仕組みが、ご高齢の方を含めて、食を供給する。そしてデリバリーはタイムシェアの会社が担うという住み分けができつつあるのかなと思います。

吉野家さんやロイヤルホールディングスさんも、そういったテイクアウト・デリバリーの客席のない店の展開を始められています。客席ないと、3割程度の投資額で済みますし、運営費も安く済みます。それがデリバリーの費用に充てられるという構図ができつつあると思っています。

このテイクアウト・デリバリーのマーケットは、現在は50億円ほどだと思いますが、これが早いうちに100億円に増えていくのではないかと思っていまして、このニーズに対応する容器の開発を、大急ぎで進めているところです。

包装資材のECサイト “パックマーケット”①

昨年10月の消費税増税の際に、テイクアウト・デリバリーが8パーセント、外食は10パーセントになったことも含めて、テイクアウト・デリバリーが増えるだろうと考え、昨年7月に「パックマーケット」というECサイトを立ち上げました。これが今回のコロナ禍の状況の中でうまくはまりまして、こちらのECサイトも順調に伸びています。

包装資材のECサイト “パックマーケット”②

ECサイトの売上を見ますと、1月は容器が38パーセント、衛生用品は8パーセントでしたが、9月にはこの衛生用品の比率が28パーセントに伸びています。このサイトの中の商品群も、コロナ禍の影響を受けているということです。

安定供給-安全・安心な食生活を支える

先ほど申し上げた、昨年とまったく違うプロダクトミックスの出荷ですが、特に8月のお盆については、通常、多くの方が帰省をされますが、今年は帰省をしない、あるいは「するな」という話で、帰省がものすごく減りました。

結果、8月のお盆期間中に、普通であれば大型のオードブルの容器が地方を中心に出るのですが、これがほとんど出ずに、我々の高発泡の小型の容器の出荷が非常に伸びました。

結果的には下の赤いグラフにあるように、高発泡は非常にアイテムが多いので、コントロールが非常に難しいのですが、お盆の期間中・終了時点で一時は22件まで欠品がありましたが、1週間で元に戻してゼロになりました。

コロナ禍が一段落を始めた頃に、お客さんにお尋ね申し上げたら、非常に大きな評価を受けていまして……東日本大震災の後にも、業界の中で私どもはいち早く、1週間で立て直したんです。この時に、立て直しのスピードが早くて、非常に大きな評価を受けて出荷が伸びたのと同じような感覚を受けています。

先ほど申し上げたように、コロナ禍でスーパーマーケットが伸長しましたが、それ以上に、それが一段落した中でも私どもの製品出荷が伸びているのは、こういったいろいろなインフラの成果や、安定供給ができることの評価をいただいているのではないかと思っています。

製品販売数量 伸長率推移

これが過去3年間の出荷の昨対比です。この上半期は105.9パーセントで、昨年よりも2ポイント以上出荷が増えているのは、まさにそういったことも評価されているんだろうと思っています。

原材料の価格動向

原料動向です。年初64ドルだった原油が20ドルぐらいまで下がって、今は40ドル近辺に安定しています。ナフサも4万4,800円だったものが2万5,000円に落ちて、今は3万2,000円ぐらいになっているということで、下半期については、この原料の3万2,000円のナフサが安定している限り、大きな変動はないと思っています。

海洋プラスチック問題 世界と日本の動向

リサイクルについては、2年ほど前から、海洋プラスチックごみ問題を含めて、プラスチックに対する大きな逆風がございました。

プラスチックの機能

昨年、日本もプラスチック資源循環戦略を策定しましたが、このコロナ禍でプラスチックに対する見方が変わってきたと言うか、もう1回プラスチックの、衛生的である点や、おいしさを維持すること、品質保持ということを見直したほうがいいのではないか、もう1回きちっと議論をしようじゃないかという傾向になっていまして、非常にいいことだと思っています。

区分して考えるべき課題

何度も申し上げていますように、プラスチックの問題に関しては、海洋プラスチック問題なのか、あるいは脱石化・CO2の話なのか、一般廃棄物の話なのか、産業廃棄物の話なのか、これらがごちゃごちゃになって議論されている傾向がございます。

区分して考えるべき課題①

★29

例えば、レジ袋に25パーセント以上のバイオポリエチレンを混ぜた場合は、レジ袋の有料化の対象にならないことに決まりましたが、このバイオポリエチレンは、原料が植物であるということが違うのであって、できあがりのポリエチレンは石油化学から作ったポリエチレンとまったく一緒で、バイオと言われている植物由来のポリエチレンの比率が何パーセント入ろうと、できあがりは同じポリエチレンのレジ袋で、海洋プラスチックごみ問題とはまったく関係のない話です。

ところが、バイオプラスチックを使うと海洋プラスチックごみ問題の解決につながるような報道がされてしまっています。

また、生分解性プラスチックは、どこでも分解するような感じを受けますが、一部を除いて、海では分解しません。したがって、生分解性プラスチックを使うか使わないかということも海洋プラスチックごみ問題には関係ないということが、正確に報道されていないということです。

バイオプラスチックとは

特に、バイオプラスチックという言葉自身が非常に範囲が広くて、この図は政府の資料にも使われている図ですが、左のグリーンの円がバイオマスプラスチックで、植物由来の原料で作るプラスチック。右のブルーの円が生分解性プラスチックで、分解性のあるプラスチック。

ただ、分解性のあるプラスチックでも、一番右側のPCLやPBSは石油化学から作る生分解性プラスチックです。左側のバイオポリエチレンやバイオPETは植物由来でできるプラスチックですが、分解性のないプラスチックで、分解性があるイコール植物由来ということも間違いですし、植物由来の原料イコール生分解性があるということも間違いであるということで、非常に言葉としてはわかりにくい言葉になっていて、これもきちっとお伝えをしなければいけないと思っています。

区分して考えるべき課題②

もう1つは、一般廃棄物か産業廃棄物かということです。一般廃棄物は、日本においては自治体で適正に処理されています。したがって、ごみ問題という意味から言うと、問題は産業廃棄物で、過去には海外に輸出されているところもあったわけです。

法規制動向 バーゼル条約改正

これについては、バーゼル条約があって、こちらも改正されて、日本から海外に行くプラスチック廃棄物の、ごみとして認識される範囲が広がることになっています。したがって、今まで輸出できていたものが、相手国の承認がない限り輸出できなくなります。

それを含めて、国内で循環させる必要があるということで、国内の循環をどうするかということに議論が変わっています。そのような点から言うと、私どもがやっているリサイクルにとっては、フォローの風が吹いています。

エフピコ方式のリサイクル

エフピコ方式のリサイクルです。トレーについては、6店舗から始めたものが、30年で、現在は9,600店舗にリサイクルボックスが設置されて、そこに消費者の方がトレーを持ってこられて回収しています。今回のごみ問題を含めて、トレーについては、リサイクルボックスに持ってきてくれさえすれば資源なのです。

リサイクルの啓発活動

「ごみではない」「使い捨てではない」ということで、LiLiCoさんのポスターや、サッカー台に貼るステッカーを作りまして、今は7,400店舗ぐらいにこれが掲示されています。先ほどの生鮮の出荷量が増えていることもあわせて、回収しているトレーの量は、10パーセント以上伸びています。

プラスチック資源循環施策

直近のプラスチック資源循環戦略会議の中で、市町村の分別回収の対象を、容器包装プラスチックのみならず、製品プラスチックに広げようということと、事業者が自主的に回収しているトレーについては、回収に協力した消費者へのインセンティブを与えるべきではないかと議論されています。

また、自主的に回収している事業者の、回収の向上に支援が要るのではないかという議論がなされていまして、いずれにしても、私どものリサイクルにとっては、フォローの風が吹き始めているのではないかと思っています。

プラスチック資源の回収

私どもは、去年の3月期で約9,200トンのトレーを回収しました。枚数にすると20億枚程度です。これが今期は、先ほど申し上げたように10パーセント以上伸びていますので、1万トンぐらいになるのではないかと思っています。

PETボトルも、指定法人ルートも含めて、昨期は7万3,500トン処理をいたしました。今期は7万5,000トン処理をして、結果的に6万トンほどの再生PETの原料を作る能力を有していると思っています。

エコトレー・エコAPET CO2削減

エコのリサイクルトレー、エコのAPETについては、製造過程で、原油からナフサを通ってという長いプロセスが要らないので、そのぶんのCO2カウントがなくなります。結果的にバージンの製品よりも30パーセントCO2負荷が低いということで、これを数値化して、お客さまが自らの意思で、CO2負荷の低い資材を選ばれています。

スーパーマーケット様 ポスター掲示事例

結果的に、お客さまがCO2削減に貢献されたということで、このトン数を計算をして、スーパーさんの店頭で「これだけのCO2削減に貢献しています」と訴えたらよいのではないかということで、例えばイオングループでは、2016年2月に9,913トンのCO2削減効果がありました。これは私どものエコトレー、エコAPETを使っている結果ですが、これが2020年2月期には1万5,052トンに増えました。

これは、イオンさんが伸びたということでもあるのですが、私どものエコ製品、特にエコAPETが、現在は100パーセントエコ化が済んでいます。このエコ製品の比率がどんどん増えたことが、大きく貢献しています。

下に、いろいろなスーパーさんの使用したポスターを載せています。小さいところですと数十トン、大きいところですと何千トンというトン数があります。このポスターも5,400店舗ほどに掲示されていますし、あるいはそれぞれのホームページに、そういったエコ製品を使うことによってCO2削減に貢献されているという掲示をされていらっしゃいます。

リサイクル投資とエコ比率

そういうことも含めて、じわじわ汎用トレーを中心にシェアを伸ばしています。このコロナ禍を含めてシェアを伸ばしているということで、それが製品の伸長につながっています。

エフピコ環境基金の創設

プラスチック問題をずっと調べていると、やはりごみが流出するということは事実で、いろいろなNPO法人等がごみ拾い等をやられているという事実を知りまして、であれば、私どももリサイクルはしていますが、プラスチック製品を作っているメーカーとして、そういったNPO法人や環境に対する研究機関を支援をしようということで、「エフピコ環境基金」を創設しました。

まずは今年10月から来年3月までの半期の支援をしようということでご案内したのですが、このコロナ禍で72件の応募がありまして、そのうち10件に助成をしようということに決めました。さらにこの10月からは、来年1年間の活動に関する助成をするということで、今募集をしているところです。

こういったことで支援をするとともに、私どもの社員のボランティア活動に対する休暇制度も創設しまして、先日、広島の宮島の海岸を清掃する活動については、私どもの社員30名ほどで行いました。

全国の子ども食堂へ簡易食品容器を寄贈

また、取引先から「子ども食堂へ支援できないか」というお話がございました。子ども食堂が全国にいくつあるか知らなかったのですが、コロナの影響で、(人を)集めて食事を出すことがしにくくなっていることをお聞きしまして、5月29日に6万800セット、容器を支援をさせていただきました。すると、非常に大きな反響がございまして、これは続けようということで、2回目、3回目と行い、合計で22万4,000セットの支援をさせていただきました。

これほど多くの市町村にこれほど多くの子ども食堂があるとは知りませんで、びっくりしましたが、お役に立ててよかったと思っています。

素材の多様化及びリサイクル技術の研究

そういった中で、紙やパルプモールド、あるいはバイオマスプラスチックといった新素材についての研究を進めています。バイオマスプラスチックが25パーセント入った、日本バイオプラスチック協会からバイオマス認証を受けた製品の上市も済ませています。

また、リサイクル技術についても、私どもがやっているリサイクルは、いわゆるマテリアルリサイクル、材料リサイクルですが、もう少し範囲を広げて、ケミカルリサイクルについても研究を進めているところです。

ESG評価①

ESG評価については、「FTSE4Good Index Series」ということで、認証を2年連続でいただきました。また、「FTSE Blossom Japan Index」にも選ばれています。

ESG評価②

いろいろな認証をいただいていますが、ESGについては、それなりに評価をいただいていると思っています。

物流費上昇を抑制する取組み(販売配送)

物流の合理化です。1台あたりの積載効率はよくなっています。ものすごく地道な活動をしているわけですが、2015年比で言いますと109パーセントということで、要は、109台のトラックが必要だったのが100台で済んでいるということです。

自社便というのは、私どもがチャーターをしてルートを決めて配送をしている比率ですが、こちらも96.9パーセントから97.4パーセントに増えました。

物流部門の効率改善

ピッキングの音声ピッキングも、300本だったのが830本まで増えています。時間あたりのピッキング数です。それから、ドライバーさんの拘束時間を短くしようということで、私どものセンター間の横持ちについて、一部パレット輸送を始めました。効率は落ちるのですが、トータルの荷役時間が減るということで、今は5路線まで増やしています。

自然災害とBCP

21ヶ所に72時間の燃料備蓄と自家発の設備をしていますが、一昨年、北海道の地震で初めて、この自家発が動きました。去年は2回動きました。今年は、9月の九州を襲った台風10号の時には、停電を待たずに週末の2日間、自家発を動かしておきました。こういうことも含めて、冒頭に申し上げた安定供給については、非常に大きな評価をいただいているところです。

エフピコの戦略投資

戦略投資ですが、現在、物流のネットワークの増築をしています。それを含めて、平均すると200億円ほどの投資はずっと続くと思っています。

物流ネットワーク増強

先日、九州配送センターの増築を行い、1,000坪ほどの増築が終わりました。来月には、福山配送センターの増設が終わります。

現在、中部配送センターにソーター付きのセンターを作っているところでございまして、これが既存のセンターと中部エコペット工場にコンベアでつながるということで、中部配送センターの効率および能力が大幅に上がることになります。

兵庫に新工場用地取得

兵庫に1万5,000坪の土地を取得いたしまして、ここに生産および配送の一大拠点を作ろうということで図面を引いているところです。再来年には、ここに新しい工場センターができると思っています。

従前、大阪・和歌山・三重までが福山のセンターの範囲でしたが、これを完全に関西の配送拠点に移せるだろうと思っていまして、これにより、おそらく半径150キロメートルほどの円で、すべての日本をカバーできる配送センターのネットワークができあがると思っています。

人への投資① 自動化

自動化についても着々と進めていまして、生産部門では200名を超える合理化ができていますし、物流もAGVを33台に増やし、無人フォークを2台導入いたしました。夜のうちに生産が上がったものを、一時取り置き場所まで、無人のフォークで棚に製品を持っていくということがうまくできていますので、これも少し増やそうかと思っています。

SCMの仕組みについては、5,100アイテムを、AIを使って販売予測をしていますが、先日、この5,100アイテムの入れ替えをしました。やはりAIに向いているアイテムと向いていないアイテムがあって、向いているアイテムをAIにして、向いていないところは人間がするという住み分けをしようと思っています。

また、RPA等で、日々のいろいろな業務をもう1回見直そうということも進めています。

人への投資② 働く環境整備

人への投資ということで、「PicoHouse」という単身のワンルームマンションがありまして、3月に3号館、10月に4号館が完成をいたしました。その4号館の隣に、これは初めてのことですが、20名の定員で、障がい者グループホームを作りました。

能力を最大限に活かすダイバーシティー経営

障がい者雇用人数は358名で、8割が重度ということで、障がい者雇用率の換算数は615名となり、障がい者雇用率は13.3パーセントとなっています。

お客様の障がい者雇用をサポート

このノウハウを含めて、50事業所のお客さまに、障がい者雇用について、どのような仕事をどのようにして、どのように切り分ければ障がい者の方が活躍できるかという支援をしています。特例会社等を作って雇用している障がい者の方が667名ということで、間接的に雇用を増やせたと思っています。

フロアホッケー活動 障がいの有無を超えた交流

フロアホッケー活動です。健常者・障がい者のユニバーサルチームを作って、今は16チームあります。全国大会・中四国大会等、エフピコ杯ということでやっていましたが、今年は残念なことに、コロナの影響でこの大会は中止とさせていただきました。

エフピコの成長戦略

成長戦略です。今回、積水ヒノマルさんの成形品事業をM&Aしたということで、売上も1,950億円に修正させていただきました。これにより、短期的に目標にしていた売上2,000億円、経常利益200億円はもう見えたと思っています。

では、5~6年先に売上高3,000億円まで、あるいは経常利益300億円まで、何で持っていくかということですが、先ほど申し上げたテイクアウト・デリバリーを含めた容器の市場はかなり広がってきていると思っていますし、その中で私どもが製品開発を含めてシェアを高めることは可能だろうということで、その製品で400億円。

そして、先ほど申し上げた、ECサイトを含めた私どもの物流ネットワークをうまく利用した、それ以外の資材・消耗品のビジネスを600億円ぐらい増やすことで、この3,000億円は達成できるのではないかと思っています。

その過程において、リサイクル、あるいは新素材の研究も含めて、循環型社会に対応したビジネスを展開していきたいと思っています。

設備投資・キャッシュフロー

設備投資はだいたい200億円を目途にしていこうことと、配当性向も30パーセントをきちっと維持をさせていただきたいと思っています。

積水ヒノマル事業譲受 概要

最後に、積水ヒノマル事業譲受についてです。10月1日に私どもの事業になったわけですが、今回は今までのM&Aと違いまして……今までのM&Aは、エフピコチューパ然り、エフピコダイヤフーズ然り、M&Aをした会社を残したんです。

でも今回、ヒノマルさんのマーケットが私どもの本体のマーケットと重なっているということで、エフピコ本体に組み込むと言うか、一番難しいM&Aをあえて選びました。

10月1日からエフピコの社員として受け入れ、エフピコの製品として資材を購入し、製品を作り、出荷をするということをきちっとするのは、ものすごくいろいろな準備が必要でした。これを見事に弊社のメンバーがやり遂げまして、何のトラブルもなくエフピコとして受注、生産、出荷ができています。

今回、139名の人員を受け入れました。営業が38名、工場・倉庫が101名です。先方の会社は包装事業だけを私どもに譲り渡すということで、積水ヒノマルさんという会社は残りますので、間接部門の人員は一切、私どもには移籍なしで、営業では38名の人員が増えたことになります。

中身を分析しますと、52億円のうちの3割ほどは私どもと重なっていますが、7割ほどは、練物のお客さんなど、私どもの知らない世界だったんです。そういう新しいチャネルができました。

今までヒノマルさんはPSP・OPSの製品しかなかったのですが、PETの製品もお客さんに提供できるということで、非常に幅が広がります。

インフラ統合により改善が見込まれる点

工場については、関東工場が、たまたま私どもの下館工場のすぐ近くで、九州にある鳥栖の工場も、私どもの佐賀の工場のすぐ近くということで、そこに工場が手に入ったことと、101名の方々が加わっていただいたということで、現在は生産能力が目一杯です。

これについては、新工場を建てるにも間がある中で、例えば私どもで、ほぼアイテムが作れるので、ラインをヒノマルさんの工場に移して、そこに設備を増設することができるのではないかということで進めています。

先ほども申し上げた欠品については、ヒノマルさんは2,500アイテムぐらいあるんですけれども、日々20件以上の欠品があったということです。10月1日に私どものグループになってから、私どものSCMも含めて、一気にこれを減らそうということで、私どもが引き受けた時に20件以上あった欠品が、現在は5件まで減りました。おそらく11月中にはゼロになるのではないかと思っていますし、これがお客さまのサービスの満足度につながると思っています。

ここに書いてありますが、ヒノマルさんのトレーは私どものトレーよりも、同じもので2割ぐらい重たいんです。私どものほうが軽いということで、それに切り替えるだけで原価も変わるということで、いろいろなシナジーがこれから出てくると思います。

一過性の経費がありますので、下期については利益に貢献するのは非常にわずかだと思いますが、来期からは利益にも貢献するものと思っています。

エフピコグループのインフラ

こういうことを含めて、グループのインフラをうまく使って、私どもの各地域の有力問屋さまに買っていただく仕組みを、先ほどの「パックマーケット」とECサイトも含めてご提供しています。

問屋標準基幹システムの提案

私どものインターパックというディーラーを中心に、新しい業務システムを開発をしました。これはクラウドです。これをご案内したところ、もうすでに3社の、私どもと資本関係のないお客さまが、この仕組みを入れたいということで、圧倒的な競争力を持つことになると思います。こういったことも含めて、私どもとディーラーさんとの関係を、さらに真の関係に持っていこうとしています。

企業価値拡大に向けて

私どもは、ここに書いてある製品開発力、生産の技術力、物流のネットワーク、SCMの仕組み、営業の提案力・情報力、IT、リサイクルと、すべてのところで同業の方々よりも優れていると思っていますし、これをうまく使って、先ほど申し上げたテイクアウト・デリバリーを含めた新たなワンウェイ容器の拡大について、対応させていきたいと思っていますし、できるものと思っています。

このコロナ禍でこれだけの業績を残せたのは、本当にラッキーなんだということで、社員には、そのラッキーな環境にいることについては感謝しようと言っていますが、そういった状況の中でチャンスをいかに掴むかということは別問題で、先ほど申し上げたいろいろな強みを再認識をしながら、全員の力で会社を伸ばしていきたいと思っていますので、何卒よろしくお願いいたします。ご清聴、ありがとうございました。