【実績】上期ハイライト

安達保氏:みなさま、こんにちは。社長の安達でございます。それでは、2020年度第2四半期の決算説明会を始めます。

まず最初に、第2四半期の業績概要および今年度の通期見通しについてお話しします。2ページの上期のハイライトをご覧ください。売上高は、対前年7パーセント減の2,089億円となっています。第1四半期が対前年9.9パーセントの減収であったことを考えると、確実に改善していると言えます。

営業利益は、対前年マイナス44パーセントの82億円でした。経常利益は61パーセント減の50億円、純利益は72.8パーセント減の22億円となっています。

【実績】上期の総括

当然のことながら、新型コロナウイルスの影響で大きく減収減益になっていますが、みなさまのご関心は、事業の状況がどうなっているかということだと思います。その概要について、3ページでお話しします。

「進研ゼミ」は非常に順調です。新型コロナウイルスにより家庭での学習が非常に多くなったことから新規も順調ですし、特に教材の活用度合いが非常に高くなっており、継続率が上昇しています。その影響で延べ在籍数が増加し、増収増益となっています。会員数も、4月時点で前年比3.3パーセント増であったものが、10月では8.1パーセント増となり、割合が増加している状況です。

学校向け教育、学習塾・英語教室事業は、新型コロナウイルスの影響で減収減益になっていますが、足元は徐々に回復しています。売上高を見ると、第1四半期に対前年で41億円のマイナスだったものが、第2四半期は5億円のプラスになっています。また、学習塾・英語教室事業は、対前年で第1四半期が29億円のマイナスであったものが、第2四半期は2億円のプラスになっています。

誤解を招かないように補足しておきますと、この第2四半期の売上の中には、第1四半期で試験を受けなかった方あるいは塾に行けなかった方が、第2四半期に後ろ倒しになったことが含まれます。第2四半期の数字は実際よりも少し上振れているとお考えいただいたほうがよいと思います。

また、中国の「こどもちゃれんじ」事業ですが、今年の初めの新型コロナウイルスによって在籍数が減った影響や、コンサート等が中止になった影響で減収になっています。ただ、一方で販売にお金をかけることができなかった影響で利益は増益となっています。また、足元の会員数は着実にマイナス幅が改善しています。4月の会員数が前年比マイナス6.7パーセントであったものが、10月にはマイナス3.6パーセントまで改善している状況です。

介護・保育事業ですが、ホーム数が拡大している一方で、新型コロナウイルスによって営業を自粛せざるを得なかった影響で入居率が悪化しています。売上高はほぼ昨年とトントンという状況ですが、一方で処遇改善等による労務費の増加もあって、全体としては増収減益となっています。ただ、7月以降、営業活動を再開しており、足元徐々に回復しています。入居率だけ見ると、3月末が95パーセントであったものが、9月末では93パーセントという状況です。

ベルリッツはご案内のとおり、全世界で新型コロナウイルスが拡大しており、一向に収まる気配がないということで、残念ながら赤字幅が拡大しています。

【実績】上期(1Q・2Q)の状況

ここで、上期の第1四半期と第2四半期をそれぞれ見た時にどのような状況になっているのかをご説明します。4ページをご覧ください。スライドの右側に「1Q」「2Q」と書いてあります。その売上高を見ると、第1四半期が前年差で107億円のマイナスとなっていますが、第2四半期は50億円のマイナスということで、これも前年差で売上高が回復しています。

営業利益についてはもっと顕著であり、第1四半期が54億円の前年差マイナスであったものが、第2四半期は10億円のマイナスになっています。ただ、先ほどお伝えしたように、第1四半期の売上が若干後ろ倒しになった影響があり、第2四半期の営業利益は実態よりは少しよく見えているかと思います。

【見通し】通期ハイライト

続いて、今年度の通期の見通しについてお話しします。当然のことながら、新型コロナウイルスの影響により、対前年で減収減益となっています。売上高は前年比5パーセント減の4,260億円、営業利益は56.3パーセント減の93億円です。経常利益は73.2パーセント減の45億円で、純利益は残念ながら今のところ0億円と予想しています。営業利益が93億円出ながら純利益が0億円という理由については、後ほどご説明します。

【見通し】通期(上期・下期)の状況

それでは6ページをご覧ください。この上期の数字と下期の数字がどのような形態になるのかについてお話しします。先ほどと同じように、スライドの右側に上期と下期を並べて書いています。売上高は上期に前年差で157億円のマイナスであったものが、下期は67億円のマイナスということで、明らかに改善しています。

一方、営業利益は上期が前年差64億円のマイナスに対して、下期は55億円のマイナスということで、「思ったより改善していないのではないか」と思われるかもしれません。これには理由がいくつかあります。

先ほど「第2四半期のマイナス10億円はよすぎた」というお話をしました。確実によくなってはいるのですが、やはり国内教育を見ると、「進研ゼミ」は非常によくなっていますが、学校向け教育、学習塾・英語教室事業では依然として新型コロナウイルスの影響が少し残っています。グローバルこどもちゃれんじについては、上期がプラス1億円であったものが、下期は前年差で13億円悪くなるという予想になっています。

これはコンサート、特にクリスマスのコンサートは非常に大きな売上になりますが、その影響があります。また、販促費を下期に多く積んでいること、あるいは中国でこれから新しい「こどもちゃれんじ」をスタートさせるためのいろいろなR&Dの費用がかかっているということで、下期が悪くなっています。

また、介護・保育についても、確実に営業を再開させて業績は回復していますが、残念ながら、先ほどもお伝えしたような入居率の減が影響し、前年比減が続いています。ベルリッツも残念ながら好転しないということで、全体を見てみると、上期よりも下期はよくなってはいますが、残念ながら前年まで戻っているという状況ではないということです。

【見通し】セグメント別営業利益の増減

続いて、7ページをご覧ください。営業利益、昨年度212億円が通期見通し93億円になる理由を分解してご説明しています。

「進研ゼミ」は先ほどお伝えしたように大変好調ですので、プラスになっています。しかしながら、我々の言葉では「場事業」という言い方をしますが、施設を持って事業を行っている「学校+学習塾+英語教室等」は、合わせて93億円のマイナスとなっています。また、グローバルこどもちゃれんじで12億円、介護・保育で23億円、ベルリッツで36億円、その他で7億円と、それぞれ減益になっています。

【見通し】当期純利益の状況

8ページをご覧ください。このスライドには、先ほどお伝えした「営業利益が93億円出ているのに、なぜ純利益が0億円になってしまうのか」ということについて記載しています。まず、営業外収益として、雇用調整助成金等の新型コロナウイルス関連の補助金が10億円くらいプラスになっています。

また、毎年のことですが、介護・保育事業等のリース支払利息が58億円あります。その他ももろもろありますが、これはプラスマイナスを打ち消しあって大きな影響はありません。これらを合わせると経常利益が45億円になるということで、ここの部分は例年とそこまで大きく変わっているわけではありません。

しかしながら、新型コロナウイルスの特別損失が出ています。ベルリッツのリストラ費用等の18億円やコロナ関連費用の5億円等々により、25億円の減です。さらに税金等があり、残念ながら今のところ当期純利益は「0」の予想をしているわけです。以上が今年度の第2四半期の業績の概要および通期の業績の見通しです。

新中期経営計画で目指したこと

ここで少しトーンを変えて、新中期経営計画についてお話しします。

それでは10ページをご覧ください。この新中期経営計画で我々が目指したことについて、簡単にお話しします。まず、5年から10年後の日本の社会構造の変化を踏まえて、ベネッセグループがどのようなかたちで社会課題の解決に貢献できるかということを考えました。なぜかと言うと、日本の課題と言えば、多くの人が教育あるいは介護を挙げるわけです。

そのような中で、教育と介護を本業としているベネッセグループがどのようなかたちでこの今の世の中の変化を見て、どのようなかたちでその解決に貢献していくのかを明らかにすることが、この中計においても非常に重要だと考えたからです。

事業面では当然のことですが、先ほどお伝えした、非常に痛んだ業績を早期にどのように回復させるかが非常に重要なポイントです。それがある意味、今回の中期経営計画の根幹にもなるわけですが、どのようなかたちで持続的な成長を維持していくことができるのかという絵を今回描きました。

その内容ですが、大きく分けて2つのポイントがあります。1つは、既存のコア事業を進化させていくということです。特に我々は今回、オーガニック、いわゆる既存事業をそのかたちのままでどのように進化させていくか、どのように進めていくのかという点と、インオーガニックという、少し周辺事業に広げる、あるいはM&Aを使って非連続的に広げるところも含めて、このコア事業をどう進化させるかを考えてきました。

ポイントの2つ目は、新たな成長に向けた新領域への挑戦です。ベネッセは、まだまだ大きなマーケットが周辺にあると思っています。ここに果敢に挑戦し、新しい成長をそこから産んでいくということを描いています。

新中期経営計画にむけて

11ページをご覧ください。この新中期経営計画ですが、「これまでと何が違うのか」あるいは「これまでのベネッセとこれからのベネッセの5年はいったいどう違うのか」ということについてお話しします。

みなさまご存知のように、2014年に起こった個人情報漏洩問題により非常に業績が痛みました。これまでの5年というのは、そこからの回復の5年間であったと位置づけています。非常に幸運なことに着実に業績は回復しましたし、企業の体質も非常に強くなったと思っています。そこで新型コロナウイルスが発生したという状況であったわけです。

一方、これからの5年は、新型コロナウイルスの影響はあるのですが、企業体質としては非常に強くなったと考えています。その強くなった企業体質をベースにしながら、先ほどお伝えしたコア事業をさらに進化させていきます。さらには、新たな成長に向けた新領域への挑戦をしていきます。この2つをある意味両立させていくことで、このような5年間にしていきたいと考えています。

新中期経営計画の目標

12ページは新中期経営計画の目標です。まずはこれから2年間、2022年度までにV字回復を実現させたいと思います。既存領域オーガニックで新型コロナウイルスからのV字回復を実現させ、さらに2023年から2025年に関しては、インオーガニックのさまざまな事業の拡大によって、さらなる持続的な成長を目指していきたいと考えています。

第1フェーズ、第2フェーズに分けてお話ししましたが、その期間中、常に「新領域への挑戦」は続けていきたいと思っています。

具体的な財務目標は、今お伝えしたとおり、まずは2022年度に2019年度を超える売上高、営業利益まで回復させます。2023年度以降は、オーガニック成長率で3パーセント以上を実現させることを考えています。また、営業利益率については、2025年度で8パーセント以上、ROE10パーセント以上を目標に置いています。

2030年の社会環境

続いて、先ほどお話ししたように、「ベネッセがこれからどのような社会課題に取り組んでいくのか」ということについてお話しします。

14ページをご覧ください。日本の社会構造には非常に大きな問題が数々あります。ここでは大きく3つお伝えします。まず1つは少子化の問題です。これから10年の間に日本の18歳以下人口は12パーセント減少すると言われています。これは、何もしなければベネッセの教育事業でそれだけ売上が下がるということとイコールですし、また、日本全体にとっても非常に大きな問題なわけです。

また、高齢化については、2030年に日本の人口の3分の1は高齢者になるということで、これに対する対応も非常に大きな問題になります。

そして、おそらく高齢化と同じ局面で労働力が不足していきます。労働人口がこの10年間で約650万人減るという状況になっていきます。

日本における教育・介護のリーティングカンパニーとしてずっと活動してきたベネッセが、このような社会環境の中でどのような社会貢献ができるのかを考えていきます。

2030年に向けて目指す姿

そして、それに対する答えが15ページです。我々のメッセージとして、社内の幹部あるいは社外の取締役等と議論した内容をこのスライドに1ページでまとめて示しています。

約30年、「よく生きる」という企業理念を根幹に据えて事業を行ってきました。これをベースにしながら、メッセージとしては「日本・世界が直面する教育と介護の課題に対し、その解決にどこよりも真摯に取り組み、すべての人が向上意欲を持ち、自分らしく挑戦し続けられる人生を支援します」としています。

「すべての人が」と書いていあるのは、子どもたちだけではなく、社会人を含めるということです。あるいは、日本は教育格差の問題が大きく取り沙汰されています。したがって、そのような環境にある方々も含めて支援をしていきたいと考えています。

みなさまが持っている目標がいろいろなかたちであると思うのですが、そのすべての方たちの目標を支える、目標に挑戦していけるよう、人生を支援をしていくという意味をここに込めています。

教育については、一人ひとりが成長し、人生を豊にする学びを提供していきます。介護については、高齢者の方が自分らしい人生の最後を送れるような介護事業にしていきたいと考えています。

さらには、「日本で培った教育、介護のアセットを活かし世界の教育課題や介護課題に取り組む」ということで、いよいよ世界に出ていくことも行っていきたいと思っています。ここまでが、我々がどのようなかたちで社会貢献をするかというお話です。

早期の業績回復

続いて事業の話に入ります。まずは、新型コロナウイルスからの早期回復をどのように実現するかということです。

先ほどもお伝えしたように、今年度の営業利益の見通しは93億円です。残念ながら昨年度から相当下がっているわけですが、2022年度には212億円を超えるところまでV字回復させたいと思っています。

早期回復に向けて

どのようなかたちで回復させるかについては、18ページをご覧ください。まず、「進研ゼミ」ですが、コロナ禍の中で通信教育のニーズが拡大しているという話をしました。その教材も非常によくなっているということもあり、教育教材の活用が上がり、継続が向上しています。そして、よくなった継続率をベースにしながら、事業の収益性をさらに上げていきたいと思います。

ご参考ですが、上期の月平均継続率は対前年でプラス0.7パーセントになっています。これはですね、利益換算すると通期では約25億円くらいの影響がございます。したがって、足元非常に順調であると思っています。

学校については、休校中に「進研模試」を代表とするアセスメントができなかったということがありましたが、これも徐々に回復しており、10月は対前年で99パーセントになっています。

来年は、「進研模試」についてはもうほぼ昨年並みになると考えていますが、実は足元、若干苦労しているのは「GTEC」です。4技能の試験が残念ながら当初考えていたほどまだ回復していないということで、回復が少し遅れるだろうと思っています。しかしながら、いずれにせよ、学校事業については確実に回復が実現できると思っています。

学習塾事業も新型コロナウイルスの影響を大変大きく受けましたが、6月から開校して生徒の通塾も完全に回復してきています。一方で、この自粛期間中にオンラインの体制を完備しました。これから新型コロナウイルスの第2波、第3波があるのではないかというお話もあるわけですが、それに対する備えは十分にできていると考えています。

ただ足元、今年のはじめの新型コロナウイルスの影響で、生徒の数は例年よりも少なくなっており、来年の4月の在籍数を前年並みに戻すことが非常に重要だと考えています。ここに販促費用を投入し、来年は2019年並みに利益を戻す計画でいます。

また、スライドには書いていないのですが、「こどもちゃれんじ」があります。「こどもちゃれんじ」も先ほどの「進研ゼミ」と同様で、足元は非常に順調です。いよいよ「こどもちゃれんじ」もデジタル講座をスタートさせる予定ですが、同時に価格改定も行い、収益性をアップさせるということで、収益をさらに回復させることを考えています。

介護については、7月から営業を再開しています。介護の事業は、これからも新型コロナウイルス感染のお話がある意味で非常に重要な問題です。絶対に感染を起こしてはいけないということで、感染予防を最優先としながら新規の営業を強化していくことを考えています。先ほどお伝えしたように、入居率が下がっているということで、完全な回復には2年近くかかると思いますが、ここも確実に回復させていこうと思っています。

ベルリッツは先ほどもお話ししましたが、足元、非常に残念なことにまだ回復が見えてこない状況です。これは世界の新型コロナウイルスの拡大が当然影響しているわけですが、一方でよいニュースもあります。

以前からお話ししている「ベルリッツ2.0」という新しい商品がいよいよ今月からスタートします。実は、日本ではそれに先駆けて新たなAIと講師のハイブリッドによる自学自習のプログラムをスタートさせています。これによって、オンラインあるいはデジタルシフトが一気に進むと思っています。この商品を核に2022年には黒字化という予定を立てている状況ですが、これが新型コロナウイルスからの回復、特にこれからの2年間の計画です。

国内教育:校外学習

引き続き、中長期に向けてコア事業をどのように進化させていくかについてお話しします。これについても時間の関係で焦点を絞ってお話しします。

まず20ページをご覧ください。校外学習事業です。ここについては当然、通信教育の「進研ゼミ」が核になるわけですが、デジタルあるいはオンラインと教室を融合させたブレンディッド学習を早期に実現させていくことを考えています。これによって、本当に一人ひとりのお子さまに合わせた学習、あるいは教材を提供し、それによって「進研ゼミ」の残存率をさらに上げていくことを考えています。

もう1つは、プラットフォームの構築です。我々はお客さまに年間50万台のタブレットを配っているのですが、累計では300万台のベネッセのタブレットをお客さまに使っていただいています。これはある意味デジタルのプラットフォームになります。この上で、例えば、習い事やキャリア教育など、今まで我々が提供している教材だけではない、新しい学びに関するいろいろなニーズに対するサービスをこのプラットフォームの上で展開していこうと考えています。

学習塾も先ほどお話ししたようにオンライン化が非常に進んでいます。オンライン化をすることによって、教室が近くになくてもお客さまが学習塾の授業が受けられるということで、教室のない地域にもサービスを拡大させていこうと考えています。これが校外学習の大きな戦略です。

グローバルこどもちゃれんじ事業

続いて、グローバルこどもちゃれんじです。みなさまもご存知のとおり、しまじろうというキャラクターで大変ご好評いただいているわけですが、このしまじろうの「こどもちゃれんじ」の通信教材だけではなく、その前の段階でデジタルを通じてお客さまとの接点をもっと増やしていこうと考えています。

また、お客さまになっていただいた方々にいろいろなかたちで他の商品、サービスを提供していきます。この全体を我々は「しまじろうワールド」と言い、さらに拡大していくことを実現させたいと思っています。

また、先ほどお伝えしたように、デジタル講座を開講します。今までは、紙またはハードだけのサービス、教材の提供でしたが、これからはデジタルでの講座を「こどもちゃれんじ」でもスタートさせます。その上で、オンラインでの習い事の授業や音楽配信、映画配信、映像配信、さらにはデジタルを通じて、お子さまだけではなくてお母さまへのサービスを提供していきます。これからの「こどもちゃれんじ」のお客さまは、お子さまとお母さま、あるいは家庭であるという捉え方をして広げていきたいと思っています。これは主に日本の戦略です。

中国は、日本よりもはるかにデジタル化が進んでいます。デジタルを使った販売構造を改革していくというのが1つの大きな戦略です。特に、ECチャネルで販売していきます。日本ではまだECでの「こどもちゃれんじ」はなかなか売られていないのですが、中国ではそれが普通になってきています。

さらには、デジタルを活用した新しいサービスも開発しています。「AI録画レッスン」という、AI認識とSNSのサポートをコンバインさせ、オンライン、オフラインを一緒にしたようなサービスを提供していきたいと思っています。

介護事業

続いて、22ページは介護事業です。2040年までに日本の高齢者人口は増えるだろうと言われていますので、マーケット自体は確実に増加、拡大していきます。そのような中で、よりアグレッシブに事業拡大していこうということで、新しいエリアへの進出を考えています。また、新規ホームも現在10拠点程度ですが、12拠点に増加させる見込みです。新しいエリアという意味では、その内2拠点ぐらいは今まで我々が開いていないところにも広げていこうと思います。

これは我々の採用戦略と非常にリンクしています。介護事業は伸びるのですが、最大の課題は介護スタッフをどのように確保するかということです。新しいエリアに拠点を開くと、そこでの採用が可能になります。エリア戦略と採用戦略を一緒に行い、日本の各地へ進出していきたいと考えています。

もう1つ、介護事業で大きな戦略の柱にしたいと思っているのが人材紹介事業です。今まで、ベネッセグループの中で人材の派遣や紹介も少し行ってきました。しかし、やはり先ほどお伝えしたように、人材の問題は介護においては非常に大きな問題ですので、この紹介事業にいよいよ大きく打って出ることを考えています。

新領域への挑戦テーマ

続いて、新領域への挑戦のお話をします。24ページをご覧ください。先ほどもお伝えしましたが、まずは国内から海外ということで、国内で我々が非常に強い介護そして教育を外の市場へ出していきます。

また、国内では新しい領域、特に、大学・社会人、さらには健康という領域に出ていきたいと考えています。焦点を絞って、ここでは2つだけお話しします。

海外での介護事業展開

まずは、中国介護事業に本格的に出ていこうと考えています。中国の介護サービス市場は現在、市場規模で約10兆円あると言われています。しかも、日本と同じように高齢化が非常に進んでいますので、成長率は年9パーセントとなっています。ここに我々が持っている入居者のQOLを最大化させるメソッドやノウハウを生かし、進出していこうということで、すでに中国での介護人材育成の事業を少しずつ始めています。

こちらの評判が非常によくて、まだ名前はお伝えできないのですが、中国の大手企業2社から「一緒にジョイントベンチャーで介護施設の運営を行わないか」というお声をかけていただいています。いよいよこれに我々も入っていこうということで、近々その契約を行い、スタートさせることを考えています。

大学・社会人領域

もう1つは26ページの大学・社会人領域です。ここもすでに子会社あるいは「Udemy」を通じて事業を行っているわけですが、この市場もこれから非常に大きく伸びていくと見ています。

まず、社会人に求められるスキルがDXあるいはAI、データサイエンスと、いろいろなスキルの新しい人材が必要です。また、雇用の形態もジョブ型に変わっていきます。あるいは働き方も副業、兼業のような形になっていきます。

ミドルやシニアの再教育のニーズもあるということで、ここのマーケットで行っているものを核にしながら本格的に投資し、買収しながら一挙に拡大させていきたいと考えています。特に社会人の学び直しの支援や社会人のキャリア支援は本当に重要であり、これから取り組むべきエリアだと考えています。

ベネッセのデジタル教育サービス

経営基盤および資本政策についてお話しします。まず28ページをご覧ください。あまり世の中の方はご存じないかもしれないのですが、ベネッセのデジタルスキルが特にこの5年間で非常に強くなってきたと考えています。

先ほどもお伝えしましたが、タブレットはすでに300万台が市場にあります。また、「Classi」は高校3,000校のうち約6割で使用されています。昨年グループインした「EDUCOM」も小中学校の3割で使われています。「Udemy」も今も急速な勢いで伸びているということで、大変なプラットフォームを我々はすでにこの教育業界の中で持っています。

余談ですが、スライドの下側をご覧ください。昨年も今年もe-Learning大賞を受賞しています。今年は特に「AI StLike」という通信教育の高校講座で「経済産業大臣賞」を取っています。このデジタルスキルを高めていくことが非常に重要なわけですが、まだまだ全体を見るとデジタルの人材の人数や質は十分ではないと思います。

DX推進体制

そこで29ページをご覧ください。社内に抱えているデジタル人材を1ヶ所にプールしたり外から集めたりした人たちを有効活用し、事業のデジタル化を本格的に進めていく仕組みをつくっていきたいと思っています。「Digital Innovation Partners」という言い方をしていますが、このような組織をつくることによって外部からの人の採用も楽になると考えています。

資本政策

続いて30ページの資本政策です。今回の中期経営計画の中でいつもと違うことを行いました。事業のポートフォリオをしっかり分析し、どこに重点的に投資したらよいのかを明確にしています。一方、財務戦略についてもどれだけの投資余力があるのかをあらためてしっかりと見ています。

この2つを考えることによって、投資配分の計画をしっかりと立て、先ほどのコア事業の進化あるいは新領域の挑戦へ積極的に投資していくモードに変えていきたいと思っています。

当然ですが、配当については今までどおり配当性向35パーセント以上を目処にしっかりと配当を行っていきます。実は今年も業績はあまりよくないわけですが、来年以降は確実に回復するということで、この上期も25円の配当を維持する予定です。

ベネッセグループにおけるSDGs貢献の考え方

最後にSDGsです。SDGsはサステナビリティということで、ベネッセの「よく生きる」という企業理念と非常に親和性の高いものであり、ずっと注力してきています。

SDGsの17のGOALSの中で、教育は4番目です。しかしながら、ベネッセはこの4の教育を通じていろいろな人材を育成し、その人材がSDGsのすべてに貢献ができると考えています。そのような意味で、我々はSDGsへの貢献に非常に大きなポテンシャルを持っています。

また、高齢社会については、実は17のGOALSの中に入っていません。しかし、これから社会の非常に大きな問題になっていきます。したがって、課題先進国として我々が介護を「18番目」のGOALSとして捉えています。他国に先んじてノウハウを持っていますので、これを使いながら世界の課題解決に貢献していきたいと思っています。以上が、今回の新中期経営計画である、コア事業の進化と新領域への挑戦です。ご説明を終了します。