企業理念

時津孝康氏(以下、時津):みなさま、株式会社ホープ代表取締役社長の時津です。本日は暑い中、そして新型コロナウイルスの中、当社の決算発表並びに中期経営計画発表会にお集まりいただき誠にありがとうございます。

例年ですと決算発表は東証の隣にあるアナリスト協会の会館で行なっています。今期に関しては創業以来初めて中期経営計画を発表いたします。経営者としての限界まで、できる限り見える景色を定量的に落としたものになります。それではさっそく、本決算ならびに中期経営計画の発表を行なわせていただきます。私のほうで60分くらい、魂を込めてお話ししますので、最後までお付き合いいただきたいと思います。

我々の理念は、会社をつくった2005年から変わらず「自治体を通じて人々に新たな価値を提供し、会社及び従業員の成長を追求する」ということです。このために私は会社を経営しています。

会社概要

証券コードはご存じのとおり6195になります。従業員数は若干昨年より減っており167名、正規雇用で142名くらいになっています。事業内容は「自治体に特化したサービス業」と一貫して言い続けています。

新型コロナウイルス感染症の影響について

続いて、新型コロナウイルスの影響についてですが、もちろん私たちもそれなりの影響は受けています。ただし、基本的にはあまり大きな影響はないと考えています。従業員に関しては一部リモートワーク、一時期に関しては50パーセント以上リモートワークに移行したり、テレワークへの移行や、外出の自粛を行なったりするなど、会社としてはオンラインを強く推奨している環境にあります。

事業が3つある中において、広告とメディアの収益はアドですので、一定のインパクトはあります。ただし我々のお客さまは自治体になりその広告枠を取扱いますので、既存のお客さまが抜けたとしても新たなお客さまを獲得するということでほぼ影響はないと考えています。将来的には広告主となる企業さまが倒産したり、貸し倒れたりするリスクは多少は残るかと監査法人と話をしていますが、私の景色の中では大きな影響はないと見ています。

続いて、エネルギー事業です。こちらに関しては、我々は市町村や自治体が運営している小学校、中学校、高校に電力を供給している実績がありますので今年の春、本来であれば開校されるタイミングで小学校が開校にならない、スタートしないということもあり、一部インパクトを受けています。

一方で売上原価や日本中の電力の需要もそれなりに減っていますので、我々の仕入れ部分に対するメリットは出ていると思います。 この4ページでお伝えしたいこととしては、我々は市民向けの商売ではなくBtoGで行政がクライアントとなるため、ほぼ影響はないということをご理解いただきたいと思います。

事業セグメントとサービス

今日は4つ(事業紹介、決算ハイライト、FY2021見通し、中期経営計画[HOPE NEXT 3])についてお話ししていきます。まずはこの事業紹介、初めて当社のことを知るという株主・機関投資家の方もいらっしゃると思いますので、改めて我々がどういった事業を展開しているのかをお話しします。続いて前期の数字と今期の見通し、そして最後に中期経営計画をお話しします。

7ページです。事業セグメントとして、プロフィット事業は広告事業・エネルギー事業・メディア事業ですべて売上、粗利、営業利益を稼ぎ出しています。創業事業の広告事業は、自治体が保有している広報紙のスペースや自治体の公式HPのサイトのスペース、役所の施設の中のポスタースペースなどを当社ですべて買い取り、広告枠として販売し、利活用していくというのが広告事業の内容になります。

【広告事業①】SMART RESOURCEサービス

9ページになるのですが、行政は我々に一括して販売することで、一旦我々が在庫リスクを負ってそれを地元の企業に販売していく、自治体に特化した広告事業というイメージを持っていただければと思います。

【広告事業②】SMART CREATIONサービス《マチレット》

続いて10ページです。「マチレット」という自治体から配布される子育ての冊子や、空き家の冊子、介護の冊子、婚姻の冊子、をすべて当社のほうで基本的には無料で寄贈するサービスを提供しております。こちらも、広告で収益を上げていますので、中に広告を入れることで、70パーセント近くの粗利を出しながら広告を展開しています。

エネルギー事業

続いて11ページになります。自治体が保有している施設に対して我々が電気を販売していくと、自治体にかかっていたコストが大体5パーセントから8パーセント削減することができるというものです。我々は電気の99.9パーセントを、冒頭でお伝えした小学校、中学校、高校等の、さまざまな公共施設に供給しています。

【エネルギー事業】GENEWAT

12ページは「GENEWAT」というサービスで、「電気もジェネリック」という新しい価値観のもと安価な電力を提供しています。旧一電と随意契約をしている自治体に対して「これは安くなるので入札にしましょう」といった競争原理が働くことになります。2016年の電力小売完全自由化のもと、自治体側も入札するとそれなりのメリットが得られるのではないかと認識いただけるようになり、たこ焼きのようにひっくり返しながら入札に呼んでいただいています。

新型コロナウイルスであろうがなかろうが、小学校、中学校を除いて下水処理場や病院、市庁舎といった行政施設は基本的に止まることがありません。一部あったとしても、基本的にはないので新型コロナウイルスの影響は軽微とお話ししています。

メディア事業

続いて13ページのメディア事業です。まだ投資の側面が大きい事業なのですが、自治体と企業の官民の連携を我々が促進していくのがこのメディア事業の存在価値になります。年に4回、「ジチタイワークス」という公務員に特化したフリーペーパーを発行しています。

【メディア事業①】ジチタイワークス

行政が企業とタイアップをしてうまくいった事例や、スーパー公務員の方々の特集などを「ジチタイワークス」の中で紹介しています。前期はこちらの編集長を外部から採用しました。この事業に関しては、もちろん一定の利益は追いますが、我々は、「ジチタイワークス」が自治体の職員にとってなくてはならないもの、四半期に1度届くのが楽しみでしょうがない、この冊子を読みたい、これで勉強していきたい、他の自治体の事例を参考にして自分たちの行財政改革を行なっていきたい、と思ってもらえるような立ち位置になりたいと、かなり力を入れています。

【メディア事業③】BtoGマーケティング

続いて、飛んで16ページです。「ジチタイワークス」と同時にこのBtoGマーケティングをセット販売しております。

例えば、ふるさと納税の担当の部署は自治体によってさまざまです。ふるさと納税の営業をしたいという企業さま例を挙げると「ふるさとチョイス」でも「さとふる」でもよいのですが、その自治体でどの部署がふるさと納税を担当しているかは一見わかりにくいのです。横浜は○○課だったり、福岡は○○課だったりとバラバラなため、そのデータベースを我々のほうで整え、マーケティング支援を行っております。自治体への営業代行をこのBtoGマーケティングと「ジチタイワークス」のセットで販売しています。

【メディア事業②】ジチタイワークス HA×SH(ハッシュ)

ページは戻りますが、15ページは前期の第4四半期のタイミングからローンチをしまして、株式会社エルテスとアライアンスを組んで行なっています。完全なるレベニューシェアの事業になります。我々としては初めてITを活用した、言うならば、チャリン、チャリンと落ちてくるビジネスがこの「ジチタイワークス HA×SH((ハッシュ))」になります。

おそらくこの可能性に気付いているのがCEOである私と、COOの2名くらいなのではないかと思うのですが、自治体はやはり常に入札を行なう必要があります。どの業者がどのようなサービスを提供できるのかというのは、自治体の職員は詳しくは把握されていないため、自治体の方々には「このような入札にこの企業を呼ぶことができますよ」という情報・サービスの提供を「ジチタイワークス HA×SH(ハッシュ)」で行なっています。

マネタイズとしては、自治体職員が民間サービスの資料をダウンロードしたら、1ダウンロードで数千円から数万円の課金を民間企業に行なうというモデルになります。これは同時に、自治体の方々のユーザーIDを集めていくことにもなります。また自治体と仕事をしたい、自治体の入札を取りたい企業さまの情報を両方で集めて池のように貯めていきます。一定数貯まると毎日のようにダウンロードされていき、毎日のように我々のほうにお金が落ちてくるというような、レベニューシェアのモデルになります。

言うならば、行政の入札における情報の非対称性を「ジチタイワークス HA×SH(ハッシュ)」というサービスで取り除けるのではないか、解消できるのではないかといったポテンシャルを秘めたサービスになります。今期は「ジチタイワークスHA×SH(ハッシュ)」から上がってくる売上や粗利が一定数ありますが、まだ投資の事業であり、ここから大きな営業利益は期待できませんが、しっかり投資をしていきたいと思っています。

【メディア事業④】マチイロ

続いて17ページです。「マチイロ」は上場するタイミングからずっと粛々と事業を続けており、現在、905の自治体とアプリケーション利用の契約が取れています。今期に関しては、オーガニックに粛々と伸ばしていこうと考えています。

再生可能エネルギー固定価格買取制度に基づく賦課金に関する純額処理

19ページ、決算のハイライトに行く前に、若干テクニカルの話になりますがぜひ聞いていただきたいトピックです。我々の売上の大半を占めているエネルギー事業の売上の計上の手法がFY2022から大きく変わります。これは我々が変わるというよりもASBJ(企業会計基準委員会)により2021年から再生可能エネルギー固定買取の再エネ賦課金を売上から外しなさいというルールが敷かれます。そのため、我々は今期からそれを1年前倒しで適用します。

最も重要なことは、売上は減りますが同時に我々の原価も減っていくため、営業利益に与えるインパクトはプラスマイナスゼロであるということです。つまり、売上も減るため営業利益率としてはかなり大幅に改善します。こちらを早期適用することをご理解いただきたいと思います。

後ほど、エネルギー事業のところでもご説明しますが、例えば前期(FY2020)の話をすると、この再エネ賦課金を含めた売上高だと122億円、エネルギーは売上がたっています。これを外した場合は、103億円に変わります。前々期に関しては、エネルギー事業の売上は14億円です。適用した場合は12億円に売上高は変わります。

営業利益および粗利は一切変更ありません。こちらは会計基準の変更になりますので、今期から早期適用して売上の計上のルールを変える純額処理を適用することをご理解いただきたいです。そのため、今からお話しする数字に関しては、すべて純額処理されたアフターの数字になりますので、ご理解いただきたいと思います。

決算サマリー(FY2020)

20ページです。今期に関しては、創業以来言い続けてきた売上高100億円をなんとか突破することができました。売上高は124億7,000万円で前期比の3倍以上になります。営業利益は10億2,000万円で着地となりました。前期に関しては、8,700万円のため、それなりの営業利益率、額が担保できたのではないかと思っています。

広告事業の売上高は19億8,700万円、セグメント利益は3億1,400万円です。規模を適正化しているため、トップラインはもう少し減ってきます。しかし、利益を出すこと、セグメント利益はしっかり担保できています。

エネルギー事業に関してです。売上高は103億4,000万円です。セグメント利益は10億6,800万円になります。我々が想定していたよりも、市場価格が安く推移しました。相対電源に関しても我々が納得する単価で仕入れることができたので、我々の当初の予算よりもかなり上振れて着地しています。

メディア事業に関してです。「ジチタイワークス」の誌面をリニューアルして編集長として優秀な方を採用しましたので、基本的には少しですが増収増益を担保しています。

決算ハイライト(P/L)

続いて21ページです。FY2019との対比になります。前年対比の売上高でいうと241.3パーセントになります。営業利益に関しては前年比1,072.7パーセントです。経常利益に関してもこの数字のとおりになります。基本的には新規事業であるエネルギー事業が、しっかりキャッシュカウというか収益を出してくれたというかたちになっています。

四半期売上高推移

続いて22ページです。四半期ごとの売上高の推移をFY2018から出しています。FY2019の第4四半期くらいから明らかに会社の様相が変わってきています。FY2020もこのような数字になっていますが、当分このトレンドは続くのではないかと考えています。

四半期営業利益推移

続いて23ページになります。営業利益の四半期推移になります。こちらもFY2019の第4四半期くらいから数字のつくり方や上がり方が変わってきていると思います。

第4四半期に関しては、新型コロナウイルスの問題がFY2020の第4四半期にあったため、社内のオフィスレイアウトや一括で落とせるものを一部投資して、この新型コロナウイルスに対応できるようなワークスペースの確保などに少しスポットで投資しました。そのため、販管費が若干膨らんでいるかたちにはなります。

【広告事業】セグメント別売上高

続いて24ページですね。セグメント別の売上高になります。こちらも見ていただきたいと思います。

【エネルギー事業】セグメント別売上高

続いて25ページになります。セグメント別の売上高、エネルギー事業に関してしっかり数字を右肩上がりで伸ばしています。後ほどお伝えしますが、マーケットが1兆円近くありますので、そこをしっかり確実にとっていくことができれば、数年はこのトレンドは続くのではないかと思っています。

【メディア事業】セグメント別売上高

26ページもメディア事業のセグメント別の売上高になります。特徴的なのはやはり、第4四半期に偏ってしまうということだと思います。

営業利益増減分析

続いて27ページです。営業利益の増減分析になります。こちらもしっかり見ていただきたいと思います。

決算ハイライト(B/S)

続いて28ページ、B/Sの話になります。ここでお伝えしたいのが、売掛金が若干膨らんできていることです。FY2019で10億円くらいだったものが36億円くらいまで売掛金が膨らんでいますが、我々のエネルギー事業における売掛債権の先は、ご存知のとおり自治体になります。自治体のデフォルトリスクがあるのかないのかといえば、あるとは思うのですが、ほとんど心配していません。確実にお支払いいただける売掛債権がたまっています。

続いて、短期借入、長期借入等です。前期で10億円近い営業利益を出して、もちろん銀行にも説明しているため、一定のデット・ファイナンスに関しては前期に比べると行ないやすくなってきていますので、当座貸越や融資などを含めて少しベースが膨らんできていることをお伝えしたいと思います。

FY2021計画(P/L)

続いて今期の数字です。FY2019から出しています。売上高は36億円、124億円、今期に関しては253億円を出します。前年比で倍近い数字を売上としては担保しています。営業利益に関しては、前期が10億円ですので、12億5,000万円から17億5,000万円を出しています。下限値に関しては、25パーセント成長するのが私の経営者としてのこだわりというか考え方になりますので、下限は何がどうであろうと12億5,000万円から考えています。若干、5億円ほどの幅をもたせていますが、12億5,000万円から17億5,000万円の数字は作れるのではないかと思っています。経常利益に関してもほぼ同様の数字を考えています。当期純利益に関しても資料のとおりです。EPSに関して138円から195円くらいのレンジかと、少なくともここは担保できるのではないかと思います。

売上高推移

31ページになります。少し古い数字ですが、FY2008の8,700万円から売上高の数字を出しています。これは経営者のタイプによると思うのですが、私は売上をけっこう重視するタイプの経営者ではあります。今は少しずつそれが変わりつつありますが、トップラインを伸ばしていくのはベンチャー企業にとってはすごく重要なことです。世の中に必要とされている、世の中のありがとうの総和が売上だと思っていますので、この売上高を伸ばしていくこと、また、営業利益や粗利を伸ばしていくことにはこだわりをもっています。したがって今期FY2021に関しては253億円を純額処理後で必ずこの数字を達成したいと思っています。

FY2021売上高計画(セグメント別)

32ページの前期対比のセグメント別の売上高になります。広告事業は19.9億円から16.6億円に3.3億円ほど下がっています。入札を取る必要があったものを取れなかったということもあるのですが、ここまで下がっています。一方で、エネルギー事業は103億円から234億円まで伸ばします。

メディア事業に関しては1.3億円から1.8億円から2億円くらいで返ってくるとは思うのですが、お伝えしたとおり、売上や営利を追うというよりも、やはり「ジチタイワークス」、BtoGマーケティング、「ジチタイワークス HA×SH(ハッシュ)」が自治体の中に浸透していくことが非常に重要なタイミングではないかと思っています。この事業はCOOが担当していますが、それほど数字的に高い負荷を追わせているという感覚は持っていません。

【広告事業】マーケットについて

続いて33ページのマーケット分析です。あくまでも我々の調査によるのですが、日本の広告市場が大体5.9兆円ある中で、我々が見ている自治体広告が140億円くらいしかありません。その中で18億円、マーケットシェアでいうと12.8パーセントくらいをもう取り切っていますので、これが25億円、35億円になるかというと基本的になりません。その中で利益をどう確保していくかを考えているところです。

【広告事業】FY2021の方針

34ページです。前期に関しては予定どおり55万円で1媒体当たりの粗利が取れましたので、今期は先ほどお伝えしたとおり、入札を少し間違えた、取る必要があったのに取れなかった分もあって若干、下がりますが、基本的には販管費をコントロールしながら営業利益を狙いにいきたいと思っています。

【エネルギー事業】マーケットについて

続いて35ページ、エネルギー事業のマーケットに関してです。アップデートがかかっていますが、前期の資料と比較するとだいぶ変わっているため、どこが変わっているかをお伝えします。全体の電力市場は変わらず、15兆円から増えることはありません。

自治体電力市場も1兆円がいいところだと思います。こちらが増えるということも基本的には想定していません。去年の今時期にも出しましたが、我々は前期に338億円くらい受注しています。「253億円今期いくよ」という話をしている裏側には概ね受注で手堅いものが確定しているということがあるため、これだけ私も強気に言うことができます。ちなみに去年のまったく同じタイミングで発表した時には、73億円だったと記憶しています。4倍近い受注をすでに獲得しており、ずっと積んでいっています。

【エネルギー事業】FY2021の方針

変わった点としては、続いての36ページになります。もともと我々は4,500件くらいしか入札のマーケットにないのではないかと考えていました。2年目の事業だったため、多少粗く設計はしていましたが、今期に関してはふたを開けて見ると6,000件くらい入札のマーケットがありました。

実績として、3,000件は入札に入っていません。入れないということもありますし、意図的に入らなかったということも3,000件の中には入っています。今期計画としてはおそらく6,300件くらいの入札のマーケットになるはずです。

冒頭でお伝えしているとおり、入札をしていなかった自治体が入札に切り替えるというようにマーケット自体が少しずつ、1兆円は変わらないのですが件数が膨らんでいくという傾向を我々は見ています。その中で我々は大体3,800件ぐらいの入札をするのではないかと考えています。

こちらのマーケットの捉え方が昨年から大きく変化していっています。エネルギー事業部がマーケットリサーチをする中において「こうじゃなかろうか」「ああじゃなかろうか」という仮説を組み立てながら、今の我々の景色からするとこのような景色が見えています。

そのため、この3,800件をひたすら獲るために入札に入ります。なぜある程度の粗利が見込めるものや呼ばれるものが増えるのかというと、ご存じのとおり我々は自治体とひたすら仕事をしてきた経緯があるためです。「ホープさん、2年間の供給実績がもうありますよね、ですので我々の入札に入っていいですよ」「1年間で何億円以上の供給実績をもう持っていますよね、じゃあどうぞ入っていってください」「最近ホープさんの名前をよく聞くので、うちの入札にも入ってくれませんか」というお声がけをいただいています。まさに正のスパイラルに入っているのではないかと思います。だからこれだけ入札に入ることができると考えています。

【メディア事業】マーケットについて

続いてメディア事業に関してです。新型コロナウイルスの補正予算含めて国家が日本全国の自治体にもさまざまな助成金を投下しています。その中でやっぱり自治体と仕事をしたいという企業さんはどんどん増えているのではないかと思います。そこに対して我々が今アプローチをかけるというものがこのメディア事業になります。

このマーケットキャップはけっこう我々が無理やり推定しているものになるのですが、自治体の予算を取りにいく、自治体と仕事をしたいと言っているところのプロモーションで152億円くらいあります。前期はそのうちの1億3,000万円くらい取ることができました。今期は、これを1億8,000万円から2億円くらいまで伸ばせればと思っています。

【メディア事業】FY2021の方針

続いて38ページです。メディア事業は自治体の情報の最上流を取りに行こうと思っていますので、自治体のお金を取りに行きたい企業との間に入っていくというのがメディア事業の特徴になります。

FY2021のIR活動

39ページです。去年もお話ししたのですが、一時は時価総額11億円まで売られて、その当時3社くらいからM&Aのオファーが来た会社がホープです。生き残ることに必死だったため、そもそもFY2017からFY2019はIRをまったく行なっていませんでしたが、FY2020からIR担当に50件の目標設定をしました。前期に関しては、1on1を含めて82社ほどお会いすることができました。今期に関しては、IR担当とは1on1で120件の目標設定をしています。

もちろん個人の投資家の方々に買っていただくというのもあるのですが、我々が作り上げたい世界に共感してくれる、大きなお金を運用しているファンドの方や、機関投資家のような方々にも興味を持ってもらいたいと思っています。

去年お話ししたのですが、大量保有を出してもらうというちょっとした憧れがあります。おそらく私の記憶だと、鎌倉投信様に結構な数を買っていただいていますが、大量保有が出ているわけではありません。私に次ぐ大株主でどこかが応援してくれるというのにちょっとした憧れがあります。前期できなかったため、今期はIRの担当者と一生懸命それを目指そうと思っています。以上が前期および今期の売上、営業利益の目標になります。

Ⅳ.中期経営計画 [ HOPE NEXT 3 ]

続いて初めて公開した中期経営計画「HOPE NEXT 3(スリー)」です。3年分の計画になります。これは冒頭でお伝えしたとおり、私が見える景色の中で作り上げた蓋然性の高い、博多出身の有言実行型の私がお出しできるものになります。経営戦略、事業戦略、投資戦略、財務戦略、組織戦略、そして2020のビジョンについてご説明し、10年後どのようになりたいのかというお話をします。

1.経営戦略【①過去の業績推移】

経営戦略に関しては、基本的には一貫して増収を担保してきています。若干利益の波で凹凸があるところはありますが、前期の数字として売上高124億円と営業利益10億円を達成することができました。

1.経営戦略【②事業構成の変化】

続いて44ページです。スライドの左側に上場したときの事業のポートフォリオを出しています。売上高15億9,200万円、広告事業のみで上場しました。それが約4年のときを経て、広告事業は全体の16パーセントになっています。他の事業は、エネルギーで83パーセント、メディア事業で1パーセントです。

何が言いたいかというと、上場したときもそうなのですが、別に私は「広告屋になりたい」と言ったことは一度もありません。今もそうです。「エネルギー屋になりたい」という思いもまったくありません。世の中の変化、自治体の変化とともに我々の売上のポーションは変化していくというのをみなさまにご理解いただければと思います。

1.経営戦略【③2010 VISION】

おさらいすると、今から10年前の売上が約2億円で、従業員が7名くらいのときに「2010 VISION」というビジョンを制定しました。そして、京セラの稲盛さんの影響もあり、2022年までに売上高100億円、営業利益5パーセントの会社を作りたいというのが、約10年前の私の経営者としての限界の数字でした。

それを、2020年の実績としてなんとか達成することができました。どこかで言いましたが、基本的には私は博多の人間ですので有言実行型です。そうやって自分を追い込むタイプです。ですので、私自身としても会社としても、このビジョンを前期に達成できたことに関しては全社をあげてとても喜んでいます。

ただし、我々経営陣や従業員はもう次の目線に移っています。それは後ほどお伝えします。

1.経営戦略【④自治体をめぐる現状】

では、なぜ我々がこの3年で勝てるのか、この10年でどういう世界を作ろうとしているのかというお話になるのですが、自治体は私が会社を作ったときも、今も大きな変化の中にいます。もっと変わっていく必要のあるマーケットがこの自治体マーケットだと思っています。新型コロナウイルスの影響もしかりなのですが、15年前よりも今のほうが「もっと変わりなさい」「もっと動いていいのではないか」と言われています。

それが、石破内閣府特命担当大臣が作られた地方創生というワードのもと、「自走する自治体になりましょう」「国に頼ることなく自分たちが各地域の特長を生かした自立的で持続的な社会を作りましょう」といった国の大指針が打ち出されました。つまり、国からも「変わってください」という大きな方向性を示されているのです。

2014年から2019年を第1期として、国のガイドラインを分析して読み解いているのですが、地方創生ということで「外国人をどんどん呼び込みましょう」「若者の就業率を地方でどんどん上げていきましょう」といったものは、国の施策として打っていました。

今年くらいからは、「さらに東京の一極集中を変えていきましょう」「多様な人材をもっと育成していきましょう」といったことや、少し前まで聞かなかったSDGsのようなことが、新聞の中で当たり前のように叫ばれる時代になっています。私たちからすると、この中心にいるのは自治体だろうと思っています。

外部環境としては、サイバーエージェントやチェンジもそうですが、「自治体DXだ」と言われ始めました。私の頭の中にはありましたが、2年前、3年前は誰も言っていませんでした。外部環境としてはここに書いているとおり、時代は変わってきています。

同時に個別の課題としては、自治体の公務員の数が増えるということはないが、行政サービスは一定数担保しないといけないため、もっとテクノロジーを活用したり民間の力を活用したりなどする必要があると思います。この10年で、自治体がやるべき部分とアウトソースする部分の線引きがさらに明確になってくるのではないかと思っています。

そこに対して、一貫して自治体の課題解決となるサービスを提供するのが私たちが考えているやり方です。「広告でお金を稼ぎましょう」「エネルギーでコストを削減しましょう」「メディアの「ジチタイワークス」でほかの自治体の成功事例をどんどんコピーして、自分たちの自治体にどんどん入れ込んでいきましょう」と、ソリューションを提供しているのが我々の会社になります。

1.経営戦略【⑤当社の強み】

続いて47ページです。主軸をぶれさせるつもりはありません。多少お金が入ってきていますので、M&Aの買収オファーなども来るのですが、基本的には自治体へのソリューションを提供する会社を目指します。我々は、自治体との良好なリレーションを、信用、実績を、業者登録を、日本で一番持っている会社だと自負しています。法制度が変わったり、ルールが変わったりしますが、その中での自治体のニーズを我々が吸い上げて事業化します。広告事業、エネルギー事業、メディア事業は、拡大展開の再現性を他の自治体にどんどん展開していくことをずっと行なっております。

我々のコアコンピタンスはほとんど変わらないです。同じことをクルクル横展開しているだけの会社になります。ですので、エネルギー事業を始めたときも、「えらい突拍子のないことを始めますね」というお話があったのですが、使っているアセットはまったく同じアセットを活用しています。だからこそ、こうして勝つことができているのをご理解いただければと思います。

1.経営戦略【⑥経営目標】

2023年6月まであと3年で我々が作り上げるべき数字、私が目指している数字は、売上高420億円、営業利益33億円です。当期純利益で言うと20億円を超える水準です。ここに一定のIRの力を借り、PERをかけ合わせて時価総額をしっかり上げ、世の中に価値を提供し、世の中に本当の意味で必要とされる会社を作っていきたいと思っています。

何度も言いますが、私は博多の人間であり、やはり有言実行型ですので、言ったものに関しては責任を感じます。そのため、これに関しては、この3年で必ずやり遂げると思っています。逆に言うと、これ以上利益が出る場合は徹底的に投資をしていきます。広告屋で終わるつもりもエネルギー屋で終わるつもりもありませんので、これ以上のものに関しては一定の投資をしていきたいと思っています。

1.経営戦略【⑦売上高目標】

50ページは、売上高のCAGR等の説明をしています。

1.経営戦略【⑧営業利益目標】

51ページは、営業利益のCAGR等の説明をしています。

2.事業戦略【①各事業のフェーズについて】

続いて53ページです。33億円の営業利益に関しては、今の3つの事業ですべて作り上げるつもりです。どこかから会社を買ってくることや、新たな新規事業を作ることは基本的には考えていません。今のこの3つだけで十分狙える数字がこの33億円だと思っています。

スライドでは、この3つの事業がどこに位置しているかを説明しています。基本的には、メディア事業ならびにエネルギー事業が大きな柱となり、広告事業の営業利益は、がんばってもおそらく2億円くらいしか貢献できないと考えています。

2.事業戦略【①広告事業】

54ページは広告事業の事業戦略になります。FY2023は約19億円の売上高ですが、事業責任者は、おそらくここで営業利益2億円くらいの数字を持ってくるのでないかと思います。

2.事業戦略【③エネルギー事業】1/2

55ページです。エネルギー事業に関しては、400億円を目指します。マーケットがあるため、1兆円のうちの仮に400億円を取った場合、マーケット占有率でいうと4パーセントくらいになります。10パーセントを取ると1,000億円ですので、この単純なビジネスモデルでは、そこまではさすがに難しいだろうと思います。400億円、4パーセントは十分狙える数字ではないかと考えています。

2.事業戦略【③エネルギー事業】2/2

一番ご質問の多いエネルギー事業の戦略に関してです。上場している以上、私は一定のディスクローズはしないといけないと思っていますが、戦略・戦術をすべて開示するのが得策だとはあまり思っていませんので、言えることだけお伝えします。

まず短中期的なものとしては、この入札マーケットをひたすらひっくり返してひたすら応札していきます。これで一定の数字は作れると思います。同時に、中長期的なものとしてSDGs等を含めた新しい付加価値を生むようなサービスを作っていきます。自治体側もCO2の削減に関しては最近アンテナが高くなってきていますので、そこに対応するサービスを作っていこうと考えています。

もう1つは、やはり電気は仕入れが重要で、、ここに関しては独自のアルゴリズムで原価の予測を行なっています。我々の純粋な「脳みそ」だけではなく、様々なところと連携しながら、自分たちで分析・解析を行なってアルゴリズムを作り、かなり投資をして原価予測しています。

2.事業戦略【④メディア事業】1/3

自治体のメディア事業に関しては、自治体情報の最上流を取るというのが至上命題になります。極端な話ですが、売上も営業利益も捨てていい、自治体の最上流を取りにいくのが重要ではないか、と思っています。どこよりも早く自治体の情報を収集し、どこよりも早く「ジチタイワークス」のブランドを使って企業の先行事例を伝えていくということです。

スライドの右側の図に書いているとおり、事例や流行、課題や法令の変化といった自治体を取り巻く環境の変化や職員の情報を、この「ジチタイワークス」を使ってどんどん集めています。「ジチタイワークス」やBtoGマーケティング、「ジチタイワークス HA×SH(ハッシュ)」を使って、企業や自治体に環流していくのがメディア事業のしたいことになります。

2.事業戦略【④メディア事業】2/3

少し中長期的な話をすると、自治体情報のデータベースを我々がどんどん作っていけるのではないかと思っております。自治体の予算、課題、ニーズをどんどん集めていくと同時に、自治体職員の情報も集めており、決裁者が誰なのか、担当者が誰なのか、市役所のある課の課長は誰なのか、部長は誰なのか、そこのメールアドレスは何なのかといったものを、我々は粛々と集めています。

2.事業戦略【④メディア事業】3/3

そのようなものを軸にして、新しいサービスやプロダクト、世界を作ることができるのではないかと考えています。若干ここには絵空事が含まれていますので、私の中でもまだ少し景色はぼんやりとしていますが、自治体のお財布、入札を我々が取りにいくことはできました。この数年をかけて、その先にいる自治体職員の方たちとのリレーションをしっかり構築していくことができれば、すごくおもしろい会社になれるのではないかと考えています。

3.投資戦略

続いて投資戦略に関してです。エネルギー事業を含めて、ある程度利益が出るのはわかっていますので、利益を出している間に、より自治体に特化したサービス会社になりたいと思っています。機会を逃さず、必要な投資は随時行なっていきます。

Trimという会社に5,000万円の出資をして減損処理をしましたが、完全に勉強代となりました。でも、このような失敗をたくさんしないことには成功はないと思っていますので、一定の利益を確保しながら、M&Aやアライアンスはどんどん実行していきます。

今期から、2年間封印していた新規事業開発チームを組成しました。ここに関しては、責任者は私になります。私を含めた4名で、エネルギー事業に次ぐ第3、第4、第5の柱を作っていくチームです。

そのP/Lコストは1億円くらいで、今期は投資していきます。1億円投資したとしても、営業利益の12億5,000万円から17億5,000万円にはまったく影響はありません。私が営業利益を20億円くらいの会社で終わりたいと思うのであれば、このような新規事業開発にわざわざ投資する必要性はないと思います。

ただ、我々が今いるのはマザーズ市場で、我々は自治体に特化したサービス会社です。日本で唯一の会社を作りたいと思っています。ですので、サービスを作っていくものに関しては迷いなく投資をすべきだと私は考えています。

4.財務戦略【①Net D/Eレシオ推移、自己資本比率の推移】

続いて財務戦略に関してです。基本的にはエネルギー事業はお金がかかります。数百億円を回していくと種銭がかかりますので、デット・ファイナンスを含めてエクイティ・ファイナンスも活用しながら、このエネルギー事業を伸ばしていこうと考えています。

4.財務戦略【②財務戦略の基本方針】

今お伝えしたとおり、今回、Net D/Eレシオは1倍程度でエクイティ・ファイナンスとデット・ファイナンスを組み合わせて成長資金を調達していきます。今回、エクイティに関しては、中期経営計画を実現するために行なうべきだと判断しました。

また、株主からもいろいろ言われるのですが、普通配当は原則実施しません。すべて投資します。前期は1株あたり15円配当を予定しておりますが、それは創業15周年の「お祭り」という形であります。普通配当は当分するつもりはありませんが、なにかイベントがあった場合はしてもよいと考えています。

3年平均のROEに関しては、30パーセント以上を目標水準として、それと大幅に乖離する場合はもちろん配当を含めた自社株買い等を実施しながら、このあたりの水準を維持するのがよいと考えています。

プライム市場上場に関しては、東証が大きくルールを変えます。私はマザーズに上場したときに上場の鐘を叩きませんでした。一部上場したときに叩きたいからという理由です。今後、遠くない未来にプライムに鞍替えします。そこを財務戦略に方針として入れました。

4.財務戦略【③第三者割当型新株予約権(行使価額修正条項及び行使許可条項付)】

続いて、65ページは、今回15時45分に同時に開示したエクイティ・ファイナンスに関してです。新株予約権を発行しますが、発行済み株式数の6.6パーセントになります。今のところ、16億9,000万円から20数億円くらいの調達を考えています。

「これはなぜ今のタイミングなのですか?」というと、先ほどからお伝えしている中期経営計画の実現のためにこのファイナンスを入れることが正しいだろうという経営判断だからです。しっかり調達できれば、中期経営計画を実現する確率が上がると考えています。

基本的な用途としては、エネルギー事業の運転資金ならびに差入保証金です。やはりお金がかかりますので、ここで最低でも16億9,000万円を使いたいと思っています。上場した時に2億円くらいしか調達できませんでしたので、4年間もぐって必死に耐え、時価総額250億円のタイミングで調達を行ないます。

それで何を実現したいかというと、私たち創業者や経営陣が億万長者になるわけでもなく、次の中期経営計画を実現するためだけに調達を行ないたいと思っていますので、ぜひご理解いただければと思います。

4.財務戦略【④デット・ファイナンスの方針】

続いて66ページです。会社としてすごく大変な時期があったのは事実なのですが、前期にデット・ファイナンスで34億6,000万円くらいの枠は作れました。FY2019のタイミングでは、「もう貸せません」と一部の地銀が撤収していったのは事実です。当座貸越も締められて、プロパーも貸せないと言われました。

ただ、今期に関してはCFOの大島ならびにその部下が旗をふりながら、最低でもデット・ファイナンスで60億円くらいの調達ができるという目処がたっています。銀行保証、いわゆるオフバランスの部分と当座貸越の枠、そして長期のプロパーの借入です。

この比率はこれからしっかり決めてはいきますが、10億円近い営業利益を出していますので、みずほ銀行様を含めて、地元の地銀様からもそれなりの金利で安く調達ができる環境にあると思っています。デット・ファイナンスの枠としては60億円ほどで、プラスアルファでエクイティの部分を乗せ、一定の余裕を持ちながらこの中期経営計画を実現していきたいと思っています。

5.組織戦略

組織戦略になります。当社は50数パーセントが新卒社員の会社になります。「現有資産の最大化」というワードのもと、前期から中途採用をほぼ止めています。スペシャリストの採用は編集長など、超優秀人材のみ実施しています。それ以外に関しては、基本的にあまり中途を採用する気はありません。今いる人間やリソースで最高の利益を出しにいくというのが今の私の考えです。

ですのでこの新卒50数パーセントを評価して適切なところに配置、教育を行ない、経験を積んでもらって回転させながら彼らの市場価値を上げていくことを考えています。人事を管掌している者が「公務員を経験した優秀な人間を採用してもいいのではないか」と言っているので、そのようなチャレンジをしてもいいのではないかと思っています。

2番目に、プロフェッショナルの人材についてです。例えば当社はM&Aは行なったことがありません。必死に勉強していますが、そこに関して一定の知見がある人達をプロフェッショナルとして採用することは行なってもいいのかと思っています。

6.2020 VISION【現在のコアコンピタンスの拡大】

ここからは私がつくった絵空事に少しだけお付き合いいただきたいと思います。「2020 VISION」として私が10年後どのような世界を作りたいのかというお話をします。10年前に言った時も「オオカミ少年」のようにほとんどの人が信じてくれませんでした。

多分、今日もそうなるのかもしれませんが、51パーセントの人が「あ、おもろいなこの会社」「こいつら10年後このような世界つくるんやないかな」と思ってくれれば我々の勝ちかなと思って話をします。我々の現在のコアコンピタンスというか、強みは自治体とのリレーションになります。何千の自治体職員の人とかかわりながら、何千というの契約を今まで10数年で作ってきました。その信用を活用して広告事業、エネルギー事業、メディア事業といった事業を作ってきています。これから先10年くらいは、私の頭の中ではコアコンピタンスを拡大することが正しい選択になるのではないかと思ってます。

先ほどメディア事業でもお話しをした、この行政を担っている公務員340万人の人達のマーケットにサービスインする、そこのデータベースをためていくことができればすごく面白いサービスを作れるのではないかと今直感的に考えています。

6.2020 VISION【コアコンピタンスの拡大】

71ページですが、ワードにするとコアコンピタンスの拡大により公務員領域まで拡張した事業ドメインにおいて、事業を多角的に展開できるのではないかと思っています。340万人のうちの10パーセント、仮に35万人くらいのデータベースをためることができ、公務員の人たちに対してサービスを提供することができたら、なにかしら面白いのではないかなと思います。

例えばエネルギー事業に関しても今、市庁舎へ電力供給をしていますが、公務員の人たちに特化した電気を販売するであるとか、それ以外にも、公務員の人たちに特化した人材派遣会社をつくる、または公務員の人たちに特化した金融業、給料の前借をするような会社をつくるなど、そのようなものがこの10年でできたら面白いのではないかと思います。

スライドのとおり、名実ともにこの10年で「自治体ビジネスの一丁目一番地」を狙いにいきたいと思ってます。この変わりゆく自治体の中で第4、第5、第6の柱となるサービスを投下できるような会社を作っていきたいと思っています。

みなさまご存じのとおりIT系の銘柄はPERが高く、不動産系、人材系の銘柄は低いと思います。なぜIT銘柄や広告・不動産銘柄があって自治体銘柄がないのかと私は思っているのですが、自治体銘柄というとすぐ成長性の高いホープと連想されるようなポジションをとっていきたいと思っています。

6.2020 VISION

このようなことができるようになると、10年後、私が49歳の時には売上高1,000億円、営業利益100億円、最低でも10サービス以上というかたちを実現しているのではないかと思っています。営業利益100億円となってくると、ベンチマークとしている会社であるGMOペイメントゲートウェイの今期予想の数字とほぼイコールだと思います。あそこまでいけるのかはまだ見えていません。

30数億円は見えていますが、そのギャップの67億円ははっきりとは見えていません。ただ、この数年でその景色が見えてくるのではないかと思っています。こちらが、我々の作りたいネクストビジョン「2020 VISION」です。

2030年にこの数字をなんとしても達成したいと思っています。

以上、前期および今期の数字ならびに中期経営計画のプレゼンテーションを終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:広告事業とメディア事業の役割、エネルギー事業の拡大について

質問者1:2つほど質問したいのですが、現在の広告事業とメディア事業の今後の役割は、取引のある自治体との関係強化や、新規の自治体の獲得により重点がかかっていくのでしょうか。公務員のサービスを始める意味でも、今後は、利益が出なくてもそれらを中心にしていくのかどうかが1つ目です。2つ目は、エネルギー事業の拡大なのですが、今のところネックになるものや支障になるものは、社長から見て何もないという感じなのでしょうか。順調に進んでいけると感じて見ていらっしゃるのか、そのあたりをよろしくお願いします。

時津:まず1つ目です。広告事業、メディア事業の位置付けですが、利益は出ないと言いながらも、おそらく、これは数億単位の営業利益を出すことができる事業だと見ていますので、例えばこれを売却するといったことは一切考えていません。基本的に新卒社員は、まずこの広告事業の経験を積んで他の事業に配属されていくので、ここに関しては、これからも引き続き注力し続けていきたいと思っています。おっしゃるとおり、レバレッジが効くのは事実です。自治体の職員の人たちが定期的に異動しますので、広告をやっているホープ、「ジチタイワークス」のホープというものが他部署にどんどん広がっていきますので、これまで同様大事にしていきたいと思っています。

エネルギー事業に関して、ネックはあるのかないのかということですが、我々がサービスインしていて、JEPXが跳ねたとか、スパイクしたということは今のところありません。ただやはり、事業としてのボラティリティがすごく高いと思っていますので、そんなに一足飛びで進んでいけるとは思っていません。

例えば、国の法律のルールや入札の要件などにいろいろなコントロールをかけられているのは事実だと思いますので、国の動き等々を見ながらしっかり変化していければ、この中期経営計画の3年後の数字は十分達成できるのではないかと思っています。そこに対しての慢心は一切ありません。警戒心はしっかり持っています。以上です。

質疑応答:エネルギー事業の会計処理方法や入札について

質問者2:2つあるのですが、まず1つが、エネルギーの会計処理方法が売上に関して変わるということだったのですが、今期の予定の数字は、前年度までのやり方だとどのような感じになるかを教えていただきたいです。要するに、変更前の状態で出すとなると、今期の数字、今期予定ってどのくらいになるのかを教えてください。

時津:ざっくり言うと、295億円から300億円ぐらいになってたのではないかと思います。

質問者2:ありがとうございます。あともう1点が、同じくエネルギー事業なのですが、入札状況のところで、前期が6,000件のうち3,000件ぐらいということで、今期予定が6,300件のち3,800件に一応応札予定ということなのですが、この数字を見ると、そんなにこのあと大きくなってはいかないと見えるのですが、このパイ自体がどんどん増えていくような感覚で今後の数字を考えられているのか、このあと3,800件から5,000件、6,000件になっていくのが見えずに、どのように考えられているのかを教えてください。

時津:1兆円マーケットは変わらないと思うので、切り方の問題かと捉えていますが、この3,800件が5,000件、6,000件までにはならないと思います。正直なところ、非常に単価が低くて全然おいしくない入札もあります。その3,800件が来年、再来年とどんどん増えていくかと言うと、今のところはそうでもないのではないかと思っています。ただ、1兆円あって、その中には入札になっているものとなってないものもあり、入札になっていないものがどういうものかと言うと、随意契約で決まったり、見積合せで決まったりなど、エクスクルーシブで決まったりしているため、それらがどんどん時代や国の流れとともにコストの削減の機運が加速されていけば、トータルで6,300件というマーケットはもう少し広がっていくのではないかと見ています。

質問者2:今の計画の中計の数字ではエネルギー事業が伸びる予定だと思うのですが、そのあたりは3,800件が増えるというよりも、全体の6,300件のパイ自体が大きくなって、売上が上がっていくというイメージで立てられているということですか。

時津:両方ですね。6,300件は広がるだろうと思っていますし、3,800件は15パーセントから20パーセントくらいは必ず増えるだろうと思っています。

質疑応答:事業所増設および本社の移転の有無について

質問者3:現在、御社の事業所は博多1ヶ所だけとお見受けするのですが、このような状況のなかで、営業としてどのあたりの地域までカバーされているのか、あるいは、将来的に博多以外に事業所を設置するご予定はあるのか教えてください。

時津:本社は福岡にあります。ただ、全国で十数個の営業所がありますが、これ以上拡大させるつもりはありません。オペレーションは回っていますので、このままで一旦止まるかと思っています。今の我々の供給やサービスの提供エリアに関しては、北は北海道から南は沖縄まで、呼ばれた場合はすべてサービスインしています。すべて網羅しているはずです。一部東北は少し弱い部分がありますが、基本的には自治体からお声掛けいただいて入札で勝てた場合は、どんどんサービスを投下していっています。以上です。

質疑応答:海外進出などについて

質問者4:質問が2つあります。どこで読んだのか聞いたのかは忘れてしまったのですが、「これからの未来に自治体の課題を抱えるような海外にも出ていきたい」というビジョンについてどこかでおっしゃっていたような気がするのですが、今もまだあるのかというところと、自治体職員特有の色合いといいますか、首長が変わるとガラッと雰囲気も変わる、あと議会のトーンも自治体職員の仕事内容にはかなり影響を与える部分はあるのかなと思うのですが、そのようなものはホープの仕事内容に影響を与えたりする部分はあるのでしょうか?

時津:まず1つ目の海外に関しては、私の思いの部分が強いのではないかと思います。ただ、今の労働集約のビジネスモデルでは、海外に行ってもまったく歯が立ちません。

ただ「ジチタイワークス HA×SH(ハッシュ)」や「マチイロ」といったITを活用したものが上手くはまれば海外でサービスを展開する可能性は十分あると思っています。我々はまだまだ日本においての存在感、自治体においての存在感を出すのがこれからだと思っていますので、この「2020 VISION」の売上高1,000億円の中で海外進出については今のところ私はまったく考えていません。

自治体の課題は資本主義である以上不変であり、どこの自治体も同様だと考えているので、いつかはそのようなことができればと思っています。2つ目、トップの変更などは影響があるのかということですが、非常にあります。自治体は、いい意味でも悪い意味でもトップダウンなので、首長がだいぶ高齢の人からめちゃくちゃ若い人に変わったりすると、それだけでだいぶ中の空気感が変わってきます。評価制度というものは脊髄みたいなものでなかなか変わることがないみたいなのですが、人の抜擢、採用の仕方等が変わりますので、その自治体の空気は変わっていきます。

別府や徳島だったと思うのですが、同年代の私の知人が市長になりまして、そのようにどんどん若返っていけば我々のような会社の存在価値を理解していただける余地が高まると思っていますので、すごく大きな影響を及ぼすと捉えています。以上です、ありがとうございます。

質疑応答:エクイティファイナンスについて

質問者5:エクイティファイナンスについて2つお伺いしたいです。必要性については理解はしたのですが、株価を気にされている時津社長としては意外感があったと思っています。つまり、ムービングストライク(いわゆるMSワラント)を発行されたということが意外だったので、どうしてこの手法だったのかなというのが1つです。

もう1つは行使許可条項がついていると思うのですが、その許可の方針というか、どのような時に許可されて、例えば、最長60日ということなのですが、フルで60日許可されるのか、細切れで10日単位などで許可するのかということです。また、インサイダー情報を持っている時も許可して、要は機動的にエクイティファイナンスを行なっても調達できるのかというところがちょっと心配になったのですが、その2点をお願いします。

時津:なぜ今回の手法なのかというところですが、さまざまなご提案をいただき、我々からすると時間、スピード感と資金用途のところを最優先したというのは事実です。かつさまざまな企業研究をしていった結果、我々がベンチマークしたのがGA technologiesやSHIFTです。そういった会社の例を見た時に、十分我々の今の体力や今の中期経営計画等々であれば調達ができるのではないかという経営陣の仮説のもとで、このムービングストライクを採用しました。許可条件に関しては、あまり言及できませんが、明確に目線をもっています。

ストップウォッチは我々が持っていますので、一定のところで初めて出していこうと考えています。回答としてはこれぐらいしかできないのですが、十分成功する確率が高いと考えています。バッドケースの会社も何社かありますし、「これ出したら売るぞ」といったヘッジファンドもいたりするのですが、それでいいのではないかと思っています。我々としては、自信をもって今回このタイミングで、この手法で調達をしにいくと決めています。以上です。

質疑応答:公務員のデータベースによるビジネスについて

質問者6:自治体職員の方のデータベースを作られるということなのですが、例えばエムスリーのビジネスとして医者を囲い込んでビジネスをしていくということは行なっていると思うのですが、エムスリーの公務員版のようなビジネスを行なっていきたいということでしょうか?

時津:はい。おっしゃるとおり、まさにそのとおりです。

時津氏よりご挨拶

時津:では、最後に私の方から一言だけ、今日は本当にお集まりいただきましてありがとうございます。ある人が私に「ホープはサザエさんでいうと三河屋さんみたいですね」と教えてくれたことがあります。

言われた時は、ピンとこなかったのですが、つまり磯野家が困った時は、三河屋のサブちゃんに醤油やみりんの配達をお願いします。おそらく、これからの自治体はすごく困っていくと思います。誰かが助けて、誰かがサポートをして、誰かがソリューションを提供していく時代が必ず来ると私は思っています。自治体業界の三河屋さん、サブちゃんになれたら、先ほどの質問にもあった海外へのビジョンも夢ではないだろうと思っていますので、これからも温かい目で見守っていただきたいと思います。長い時間になりましたが、みなさま、ご清聴ありがとうございました。