2019年度決算及び2020年度業績見通し
増一行氏:CFOの増です。お忙しい中、弊社の決算説明会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。まず私から、2019年度決算および2020年度業績見通しについてご説明させていただきます。プレゼンテーション資料を使って説明しますので、資料の1ページ目をご覧ください。
ご説明するポイントは、次の3点です。まず2019年度の連結純利益は前年度に比べ553億円の減益で5,354億円となったことです。2点目は、11月に公表した業績見通しの連結純利益5,200億円を達成したため、2019年度の年間配当を見通しと同じ132円とすることです。3点目は、2020年度の連結純利益の見通しは未定とするものの、累進配当制を継続し、配当見通しは年間134円とすることです。
2019年度決算の概要についてご説明しますので、左下のボックスをご覧ください。事業系、市況系ともに減益となった結果、2019年度の連結純利益は前年度に比べ553億円の減益となりました。
事業系の自動車関連事業やLNG関連事業、石油化学事業、また市況系の豪州原料炭事業を中心に利益が減少しました。しかし、前年度に計上した大口損失の反動に加え、チリの銅事業再編の実施や資産の入替を加速したことに伴う売却益等により、利益の減少を一部カバーしました。
次に、2020年度の業績見通し、および配当見通しについてご説明します。資料右下のボックスをご覧ください。
新型コロナウイルスの影響などにより、現時点では業績見通しの合理的な算定が困難であることから、2020年度の業績見通しは未定とします。見極めが可能となった段階で速やかに公表します。
2020年度の配当見通しについては、「中期経営戦略2021」で掲げている累進配当制を継続し、2019年度の配当から2円増配の、1株あたり134円とします。これは、自社株買いにより配当の支払い対象となる株式数が減少する一方、配当総額を前年並みに据え置くことで、分母が減ることになり、1株あたりの配当額が増えるためです。
セグメント別の状況
次に、セグメント別の状況について、ご説明しますので、資料の2ページ目をご覧ください。
まず、石油・化学ですが、前年度の358億円から478億円の減益で、120億円の赤字となりました。これは、シンガポールのトレーディング会社における原油デリバティブ取引での損失に加え、石油化学事業における持分利益の減少などによるものです。
金属資源は、前年度の2,525億円から402億円の減益で2,123億円となりました。これは、チリ銅事業の再編に伴う利益や、前年度に計上したチリ鉄鉱石事業における減損損失の反動の一方、豪州原料炭事業における事業収益の減少や海外製錬事業における減損損失などによるものです。
自動車・モビリティは、前年度の972億円から776億円の減益で196億円となりました。これは三菱自動車工業宛ての投資の減損損失や、持分利益の減少に加え、アジア自動車事業における持分利益の減少によるものです。
食品産業は、前年度の99億円から433億円増益の532億円となりました。これは、前年度に計上した海外食品原料事業における減損損失の反動や、海外食品事業の売却益などによるものです。
キャッシュ・フローの状況
続いて、キャッシュ・フローの状況についてご説明しますので、資料の3ページ目をご覧ください。
資料の左にある棒グラフの、2019年度のキャッシュ・フローをご覧ください。グレーの棒グラフで示す営業収益キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローから運転資金の影響などを除いたものですが、営業収入や配当収入などにより6,721億円の収入となりました。
オレンジ色の棒グラフで示す投資キャッシュ・フローは、海外電力事業における持分や豪州一般炭権益、北米不動産事業での物件売却の収入があった一方、Enecoの買収や千代田化工建設の優先株式の引受の他、チリ銅事業における融資、豪州原料炭事業などでの経常的な設備投資により、5,007億円の支出となりました。
この結果、右の表の中段にある濃い水色のボックスに記載のとおり、営業収益キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローを合計した調整後フリーキャッシュ・フローは1,714億円の収入となりました。
新型コロナウイルス感染症による当社事業への影響と見通し
続いて、資料の4ページ目をご覧ください。新型コロナウイルス収束の目途が立たない中、2020年度の業績見通しは未定ですが、現時点で想定される各事業への影響についてご説明します。
事業への主な影響として、「市況の悪化」「需要の減少」「投資意欲の減退」の3点を想定しています。1点目の「市況の悪化」についてですが、原油価格や金属資源価格の下落に伴い、天然ガスグループや金属資源グループの業績が影響を受けます。
また、2点目の「需要の減少」についてです。需要の減少による影響は、グループによって濃淡はありますが、世界的な移動制限やロックダウン等による需要減少のインパクトが大きいグループとして、自動車・モビリティグループや産業インフラグループ、総合素材グループが挙げられます。
一方で、ライフライン系や社会インフラ等、人々の生活を支えているため比較的安定しているグループとして、コンシューマー産業グループや食品産業グループ、石油・化学グループが挙げられます。
3点目に、「投資意欲の減退」も考えられます。複合都市開発グループや電力ソリューショングループの事業への影響が想定されます。
以上、総括すると、厳しい事業環境において複数の減損損失を計上しつつも、中計で掲げた資産入替の着実な実行を反映した決算と考えています。以上が、決算の説明となります。
業績と株主還元
垣内威彦氏:社長の垣内です。本日はお忙しい中、ご参加いただき誠にありがとうございます。まずはじめに、新型コロナウイルスでお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
今もウイルスに感染して苦しんでおられる世界中の方々の早期回復と、ウイルス感染の収束を心より願っております。当社としては、社員および関係者のみなさまの安全と感染拡大の防止を最優先とし、2月28日以降、在宅勤務を徹底した上で事業を継続しております。
それでは、私から本日のポイントを説明します。まず、2019年度は世界経済が減速する中で、2月頃から新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、厳しい環境となりました。
内容は、先ほどCFOの増から説明したとおりです。2020年度業績見通しは、新型コロナウイルスの収束の目途が立たないため、合理的な数値を提示することが困難と判断し、未定としました。
当社グループは、製造業や小売など幅広い分野でグローバルに展開する多くの関係会社から構成されています。その中には、コロナウイルスによる影響を2020年度の予算に合理的に見積もることが難しい主要関連会社が多数含まれています。
その集積である我が社の連結業績見通しは、残念ですが、現時点では説得力ある根拠に欠け、公表を躊躇せざるを得ないと考えました。影響の見極めが可能になった段階で、各分野での打ち手およびその効果を踏まえ、速やかに公表します。
次に、株主還元ですが、不透明な事業環境ではありますが、中計で掲げた累進配当を継続します。財務規律はしっかりと維持していますし、事業ポートフォリオの入替も進み、環境悪化への耐性を堅持しています。この状況を踏まえ、厳しい環境においても経営の揺るぎない意志を込めて継続するものです。
配当は2016年度の80円から累進を続けていますが、2019年度配当は予定どおりの132円です。また、2020年度の配当見通しは2円増配の134円とします。今後も長期的な観点で、重要なステークホルダーである株主のみなさまの期待にできる限りお応えしていきたいと考えています。
新型コロナウイルス禍
最後になりますが、当社は企業理念の三綱領にある「立業貿易」の精神にもとづき、長年にわたりグローバルにビジネスを展開してきました。全産業を俯瞰することで、各産業における英知を結集し、事業環境の変化に対応していきます。
幸い、長年にわたり事業に深くコミットすることで築きあげてきた、国内外のパートナーとの信頼関係にもとづくインテリジェンスは高い水準で維持できており、各地域や産業における当社の役割を十分に果たしていけると考えています。
新型コロナウイルスの影響から回復するまでには相応の期間を要すると思いますが、引き続き、財務規律を維持しながら外部環境の変化に対応していく所存です。私からの説明は以上とさせていただきます。