会社概要
増山晃章氏(以下、増山):代表取締役社長の増山でございます。まずはじめに、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、罹患された方々には心よりお見舞いを申し上げます。また、感染拡大防止に日々ご尽力されている皆さまに深く感謝申し上げます。
本日の説明会は、当社グループの概要、決算概要と今期の見通し、中期経営計画の順でご説明します。まず当社グループの概要です。創業は1945年10月1日、設立は1949年1月18日です。1989年12月に大阪証券取引所、第二部京都証券取引所に初上場し、現在は東京証券取引所第一部に上場しています。本社所在地は京都府の南部に位置する城陽市です。資本金は36億4,800万円、支社・営業所は、北は北海道から南は九州まで全国に11拠点あり、タイのバンコクに駐在員事務所があります。連結子会社は国内2社、海外3社の合計5社です。
①情報機器事業
次に当社の事業領域について、それぞれ簡単にご説明します。情報機器事業、照明機器事業、コンポーネント事業の3つのセグメントに分かれています。情報機器事業の主な製品は、高速道路や一般道に設置されている道路情報表示板、トンネル入口や、トンネル内部に設置される情報表示板や通報設備などをシステム化したトンネル防災システム、LED式信号機、河川情報板などになります。道路や河川などの公共インフラに関わる製品ですので、主要顧客は官公庁関連組織となります。この分野での当社の強みは、機器製造から施工、メンテナンスまでを一貫して対応できることと、これまでの経験や実績により培われた技術力であると考えています。
②照明機器事業 (公共設備関連)
照明機器事業は、公共設備関連と民間設備関連に大別できます。まず、公共設備関連からご説明します。公共設備関連の主な製品は、トンネル照明器具、道路照明器具、交通安全機材などになります。情報機器事業と同様に、道路、トンネルなどのインフラ設備となりますので、主要顧客は官公庁関連組織となります。照明メーカーとしての技術を生かした製品開発や、交通の安全に関わる独自の配光技術、機器の制御技術などが当社の強みであると考えています。
②照明機器事業 (民間設備関連)
続いて、民間設備関連です。当社のメーカーとしての始まりは、紡績工場用に防爆形という特殊防災器具の開発、納入でした。これを足がかりに、防爆照明など、産業用の照明器具に特化した照明メーカーとしての地位を築いてきました。主な製品は、石油化学工場や発電所などの爆発性ガスが発生する恐れのある場所に、法的に必要とされる防爆型の照明器具やその他の特殊環境で必要な防水・密閉形照明器具などの工場施設向けの照明器具になります。
さらに、海外に向けて当社のノウハウを生かした製品を開発し、国際防爆認証や、東南アジア諸国の認証を取得した製品で海外販売を進めています。また、照明用モジュール製品は、照明器具への組み込みや鉄道、車両向けなどで売上を伸ばしています。
③コンポーネント事業 (配線保護機材)
コンポーネント事業についてです。こちらは、樹脂製製品の配線保護機材と電磁波環境対策部品に大別できます。配線保護機材の主な製品は、配電盤や機械内部の配線整理、配線包容に使用される国内初の開発をした配線ダクトです。カッチングダクトは配線ダクトの代名詞ともなっています。そのほか、ケーブル引っ込み口の防水等に使用するケーブルグランドのエスシーロック、床面や壁面配線用の保護ダクトのUDプロテクタなどになります。
主要顧客は配電盤メーカーや機械装置メーカーとなり、販売ルートは主に電材商社や専門商社、代理店を通じてユーザーとなる各メーカーです。強みとしては、各種製品での強度や防水のシール機能などの高い品質、長年の販売実績により認知された業界でのブランド力だと考えています。
③コンポーネント事業 (電磁波環境対策部品)
続いて、電磁波環境対策部品です。主な製品は、フェライトコア、ガスケット、フィンガーなどになります。これらは、デジタル機器から発生する電磁波を抑制する部品で、主要顧客は自動車メーカーや家電、スマートフォンなどの電気製品、半導体向け製造装置などの製造メーカーとなります。
当社の強みは、本社工場に保有する電波暗室を活用し、自社製品の開発や性能評価だけでなく、お客さまのニーズに応えたソリューション体制を構築していることです。さらに、セミナーや出張相談を通じて技術サポートを行ない、お客さまの課題解決を図っています。以上、当社の事業概要をご説明しました。
決算サマリー
寺垣敬司氏:事業戦略本部の寺垣です。ここからは、2020年3月期の決算概要と今期の見通しについてご説明します。2020年3月期の売上高は過去最高の260億円で、2019年3月期に比べ、28パーセント増となりました。公共設備関連の道路機器とトンネル照明器具は期中の受注が順調に推移し、2019年3月期に比べ大きく増加しました。また、民間関連製品のLED照明器具や照明用モジュール製品、エアコン用の配管保護機材なども2019年3月期に比べ増加しました。
2020年3月期の営業利益は12億8,900万円で、2019年3月期より12億8,700万円の増加となりました。経常利益は12億7,500万円で、2019年3月期より12億3,000万円改善し、親会社株主に帰属する当期純利益は11億500万円で、2019年3月期より8億9,200万円の増加となりました。利益面では公共設備関連の道路関連機器の大幅な増収と、民間関連製品のLED照明器具の増収により大幅な増益となりました。
販管費は37億7,600万円で、売上の増加に伴う物流費の増加等により2019年3月期より増加していますが、売上高販管費率は14.5パーセントで、2019年3月期より2.9ポイント減少しています。
(参考)売上の季節変動
なお、当社グループの情報機器事業および照明機器事業の公共設備関連の売上高は、通常の形態として第4四半期に完成する工事の割合が大きいため、業績に季節期変動があります。
セグメント別の状況 ①情報機器事業1/3
事業別の状況についてご説明します。情報機器事業全体の売上高は121億3,200万円で、2019年3月期より74.2パーセントの増加となりました。利益面では、2019年3月期に比べて大幅な増益となり、本事業の利益は13億3,200万円となりました。
セグメント別の状況 ①情報機器事業2/3
情報機器事業の売上の内訳です。主力製品である道路情報機器においては、例年に比べて期初の受注残高が多く、期中の受注も順調に推移し、高速道路向けの工事を進捗する機器の売り上げの増加もあり、2019年3月期に比べて売上が大きく増加しました。また、政府の国土強靱化への取り組みに関連して、災害時の被害を減少させる減災用途の需要により、無停電電源装置「Lio UPS」シリーズの売上も2019年3月期に比べて増加しました。高速道路向けの売上は79億3,200万円で、2019年3月期に比べて137.2パーセント増え、事業全体の65.4パーセントを占めています。
セグメント別の状況 ①情報機器事業3/3
受注残高は86億で、2019年3月期に引き続き、例年より高い水準で推移しています。これは、国土強靱化対策や各高速道路会社の高速道路リニューアルプロジェクトによる発注件数の増加に加え、物件の大型化によるものです。
セグメント別の状況 ②照明機器事業1/2
次に照明機器事業です。事業全体の売上高は81億2,400万円で、2019年3月期より13.2パーセントの増加となりました。利益面では増収により増益となり、本事業の利益は5億2,800万円となりました。受注残高は2019年3月期に比べて114.2パーセントと大幅に増加しました。
セグメント別の状況 ②照明機器事業2/2
照明機器事業の売上の内訳です。民間設備関連の産業用照明器具においては、LED照明器具の売上が堅調に推移して2019年3月期に比べ増加しました。照明用モジュール製品では、鉄道車両向けなどで売上が増加しました。産業用照明器具関連の売上は57億5,400万円で、2019年3月期に比べて8.3パーセント増え、事業全体の70.8パーセントを占めています。
公共設備関連においても、トンネル照明器具を中心に2019年3月期に比べ売上が増加しました。道路・トンネル照明関連の売上は19億9,000万円で、2019年3月期に比べて23.3パーセント増え、事業全体の24.5パーセントを占めています。
セグメント別の状況 ③コンポーネント事業1/2
コンポーネント事業です。事業全体の売上高は52億4,900万円で、2019年3月期と比べて1.7パーセント減少しました。収益面では、電磁波環境対策部品の減少と原材料コストの上昇により減益となり、本事業の利益は6億4,600万円となりました。
セグメント別の状況 ③コンポーネント事業2/2
コンポーネント事業の売上の内訳です。エアコン用の配管保護機材は2019年3月期に比べ増加しましたが、配電盤や機械装置に用いる産業用配線保護機材は2019年3月期に比べ売上が減少しました。配線保護機材の売上は31億6,700万円で、2019年3月期と比べて2パーセント増え、事業全体の60.3パーセントを占めています。
また、電磁波環境対策部品は、半導体製造装置向け売上が半導体業界不振の影響を受けて減少し、さらに新型コロナウイルス感染拡大による海外経済停滞の影響もあり、2019年3月期に比べ減少しました。電磁波環境対策部品の売上は20億8,100万円で、2019年3月期と比べて6.8パーセント減少し、事業全体の39.7パーセントを占めています。
BSの状況
連結貸借対照表について概要をご説明します。総資産については、売上の増加に伴う売上手形および売掛金の増加等により、残高は2019年3月期末に比べ61億円増加し、299億円となりました。負債については、売上の増加に伴う運転資金を確保するために資金調達を行なった結果、短期借入金の増加等により、2019年3月期末に比べ53億円増加して187億円となりました。
純資産については、利益剰余金の増加等により、2019年3月期末に比べ7億円増加し、111億円となりました。自己資本比率は3.4ポイント減少し、37.3パーセントとなりました。
CFの状況
連結キャッシュフローについて概要をご説明します。営業活動の結果、使用した資金は14億円となりました。これは売上の増加による売上債権の増加が46億円あったこと等によるものです。投資活動の結果、使用した資金は3億円となりました。これは有形固定資産の取得による支出が3億円あった等によるものです。
また財務活動の結果、獲得した資金は27億円となりました。これは売上の増加に伴う運転資金を確保するための資金調達を行なったため、短期借入金の増加が39億円あったこと等によるものです。
決算期変更について
次に決算期変更についてご説明します。当社は2020年6月24日開催予定の第72期定時株主総会において、定款一部変更の件が承認されることを条件として、決算期および事業年度の末日を3月31日から12月31日に変更をすることを予定しています。決算期が12月31日以外の連結子会社も同様に変更します。
情報機器事業および照明機器事業が事業の特性上、毎年1月から3月が繁忙期にあたるため、決算期を変更することにより、売上高等の季節要因に伴う業績への影響を緩和し、事業運営の効率化を図るとともに、業績等の経営情報の適時適切な開示による経営の透明性を向上させます。
2020年12月期業績見通し
2020年12月期は2020年4月1日から2020年12月31日の9ヶ月決算となります。2020年12月期の業績見通しについては、売上高172億円を予想しています。利益に関しては、営業利益3億円、経済利益2億7,000万円を予想しています。また、親会社株主に帰属する当期純利益は1億5,000万円を予想しています。
2020年12月期業績見通し(セグメント別①)
それでは各事業の2020年12月期の見通しについてご説明します。情報機器事業は売上高75億円を予想しています。2020年3月期と同様に期初の受注残高が80億円と多く、受注済み物件については効率的な生産と施工を実施していきます。また、今年度も国土強靱化対策や各高速道路のリニューアルプロジェクトによる発注も予定されており、新規受注物件の確保に務めていきます。
照明機器事業は売上高55億円を予想しています。公共設備関連では情報機器事業と同様に、国土交通省や各高速道路会社の発注が予定されており、低圧なテールランプの生産終了にともない、LEDトンネル照明器具への更新需要が高まることが予想され、新製品を中心とした提案営業活動により受注の確保に務めていきます。
2020年12月期業績見通し(セグメント別②)
民間設備関連では、新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済活動の停滞が予想されますが、事業継続を見据えた投資計画は進行されることが予定されます。当社はかねてよりご要望の多かった、通常時と非常時兼用の防爆型LED照明器具シリーズを開発し、設置場所に応じた製品ラインアップを取りそろえました。また、海外向け防爆形LED照明器具を開発し、海外の工場でも当社の製品の設置が可能となりました。これらの新製品の拡販と積極的な海外展開に努めていきます。
コンポーネント事業においては、長年にわたり蓄積された技術を活用し、GPS帯域向け、ラジオノイズ対策向けのノイズ対策部品を開発しました。これらはカーナビなどの車載機器に対応したノイズ対策部品となります。また、車載機器規格の評価が可能な測定設備も導入し、本格的な自動車関連市場への参入に向けた電磁波環境対策部品の売上増加に努めていきます。
設備投資・研究開発 等
設備投資は、主に器具備品や照明器具、樹脂成形品の金型等となります。研究開発活動については、当社グループでは「省エネルギー」と「人と環境を考えたものづくり」を基本として、各分野に渡って「環境配慮」をキーワードに研究開発に取り組んでおり、今後の事業の中心となる製品の研究開発を進めていきます。
株主還元
次に株主還元についてご説明します。当社の配当方針は、株主に対する安定配当の維持と将来の事業展開のための内部留保の充実を考慮して、毎事業年度における業績と財務状況等を総合的に勘案することとしています。2020年3月期の配当は、足元の収益状況が順調に推移したことを踏まえ、より一層の利益還元の観点から総合的に勘案した結果、期末配当金を当初配当予想の1株あたり10円より5円増配し、1株あたり15円としました。また、2020年12月期の配当は1株10円を予定しています。
新型コロナウイルス関連(感染拡大防止の対応)
当社の新型コロナウイルス関連についてご説明します。当社は従業員やその家族の安全の確保に加え、社会的な感染リスクの軽減を最優先としており、感染拡大防止の対応として、緊急事態宣言の対象地域に所在する本社を含めた事業所のすべての従業員を対象に、在宅勤務や時差出勤、出勤シフト等の対策を行なっています。対応状況については、当社ホームページに最新の情報を随時掲載しています。
加えて社内の対策として、毎日の出社前の体調状況報告、不要不急の出張や外出の禁止、社内外の懇親会やリクリエーションの参加の禁止、子育て中の従業員や妊娠中の従業員の勤務対応などを行なっています。社内の対策については、状況に応じて随時社内メールにて従業員全員へ周知しています。
新型コロナウイルス関連(決算への影響)
次に決算への影響についてご説明します。新型コロナウイルスの2020年3月期への影響は軽微なものでした。情報機器事業、照明機器事業については影響はありませんでした。コンポーネント事業については、配線保護機材の製品ではほぼ影響はありませんでしたが、電磁波環境対策部品については、生産活動の休止や輸出入の制限などの海外経済の停滞により売上が減少しました。
新型コロナウイルス関連(今期への影響)
2020年12月期に想定される全体業績について、新型コロナウイルスの業績への影響は軽微なものと見込んでいます。財務状況についても、資金繰りに特段の影響はないと見込んでいます。情報機器事業では、公共事業の計画について新型コロナウイルスの影響を大きく受けることなく継続することが予想され、業績はほぼ影響を受けないと見込んでいます。
照明機器事業では、公共設備関連の業績についても情報機器事業と同様にほぼ影響は受けないと見込んでいます。民間設備関連については、工場施設に主に設置される設備投資に関連する製品であり、事業継続のための民間設備投資は継続されると予想し、業績にはほぼ影響はないと見込んでいます。
コンポーネント事業において、配線保護機材では配電盤や機械装置などの市場で若干の影響を受けると予想されますが、大きく影響を受けることはないと見込んでいます。電磁波環境対策部品では、海外からの仕入れ供給、市場経済の冷え込みにより、当社顧客への影響があることが想定されます。決算概要と今期の見通しについてのご説明は以上です。
中期経営方針
増山:中期経営計画についてご説明します。中期経営方針は、「Seiwa Wayの実践、定着により、“技術を高める知恵”が出る体質を目指す」ことです。Seiwa Wayは2015年に策定した、星和電機の社員として共有すべき価値感と仕事の仕方を表した思想です。
全社戦略
当社は全事業分野において、社会の発展に寄与する独創的な商品の提供を行なうとともに、省エネルギーを実現する商品開発による地球環境保護に向けた取り組みを進めてきました。進化のスピードが早い昨今、企業、とくにメーカーの捉え方も変わってきています。少し前までは、自社の技術でコアによってコア以外の部分をアウトソーシングするといった手法が主流でした。
しかし、これからはものが複雑化すればするほど、ライブの技術や研究支援をいかに活用していくかということが必要になってきます。とくに新事業を模索する研究・開発部門ではこの手法が製品の鍵を握っていると言っても過言ではありません。もはや社内だけでイノベーションを起こすことは難しく、産学協同やM&Aだけでなく、お互いの技術やノウハウを活用し、「Win–Win」の関係を活用する企業間のオープンイノベーションという戦略が必要です。
その中で、情報機器事業では高速道路、一般道路のインフラ整備において、コミュニケーションツールとしてあらゆるシーンへの対応を積極的に展開していきます。照明機器事業とコンポーネント事業においては、お客さまのニーズや要望に応えて、さらなる新規製品の開発に取り組んでいきます。そして各事業において、今後もこれまで培ってきた独創的な発想力と技術力を基盤に、さらに革新的な製品づくりに取り組み、業容の拡大に努めていきます。
事業戦略 ①情報機器事業(事業展開方針)
まず、情報機器事業の事業展開方針についてご説明します。1つ目、品質と技術力の向上、および既存の作り方から脱却した製造構造改革により、低コスト経営の実績と顧客満足を高め、事業収益性を向上させます。2つ目、独自技術の育成とシステム製品を実現した新製品開発を大きく加速させ、事業を安定化させると同時に大きく拡大させます。3つ目、新規顧客と販売ルートの拡大により、新たな事業展開を構築します。
事業戦略 ①情報機器事業(事業戦略)
事業戦略については、信頼性の高いモノ作り体制の再構築、既存コア事業体として、生産性向上を柱とする各機能の抜本的改革、公共分野におけるシステムインテグレーターを目指す、公共事業における維持管理時代に向けた新事業領域を推進する、という方針、戦略です。
事業戦略 ②照明機器事業(事業展開方針)
照明機器事業の事業展開方針についてです。まず1つ目、品質と技術力を向上させ、顧客満足の向上と収益体質の強化を図り、高い事業収益を実現します。2つ目、システム化製品への転換で、差別化と高付加価値を実現します。3つ目、新事業領域の拡大により、売上・事業収益を拡大します。
4つ目、現地販売ネットワークを構築・活用して、顧客の顕在ニーズへの対応と潜在ニーズを掘りおこし、ソリューション営業を推進します。5つ目、海外グループとの相乗効果を活かし、QCDにおいて世界に通用するワールドモデルの製品開発と生産、販売を推進します。
事業戦略 ②照明機器事業(事業戦略)
照明機器事業の事業戦略についてです。産業用照明、交通用照明・交通安全機材では、工場を中心とした民間市場の照明設備の展開と、道路・トンネル・街路関連のインフラ系照明設備、防災、セキュリティ関連市場の照明設備を展開します。照明システムでは、産業用・道路・トンネル用照明製品をシステム化し、高付加価値を実現すると共に、関連製品を拡充します。
スマートシステムでは、LEDモジュールの高付加価値化を実現し、寒冷地・塩害地・地下などの特殊環境市場、鉄道関連、自動車関連、インフラ関連等に展開します。海外展開では、タイ、ベトナムなど東南アジア諸国や、中国、台湾の市場に展開します。
事業戦略 ③コンポーネント事業(事業展開方針)
コンポーネント事業の事業展開方針についてです。1つ目、事業領域としては、BtoBでかつニッチ市場にハードとソフト両面とエンジニアリング領域の展開を図り、事業基盤を強化します。2つ目、既存コア技術の単機能から複合機能への転換を図り、新市場領域の創出と参入と事業の拡大を目指します。3つ目、技術戦略として材料開発、高機能製品化および新技術の研究、新分野領域への技術力強化を図ります。
事業戦略 ③コンポーネント事業(事業戦略)
コンポーネント事業の事業戦略についてです。EMC・熱対策部品では、材料開発、要素技術開発を加速させ、自動車関連、インフラ関連、医療機器、装置機器等に展開します。また機構部品・部材では、材料開発、複合製品開発を中心に、通信、機械装置産業等のインフラ関連、カメラ等の防災セキュリティ市場、農業関連等に展開します。
取組み事例① 減災まちづくりへの貢献
各事業の取り組み事例についてご説明します。まず、情報機器事業での減災まちづくりへの貢献事例です。災害時のリスクを極力軽減させる「減災」を実現できるようなまちづくりを提案しています。政府の国土強靭化政策とその基本目標として、人命の保護が最大限図られること、国家及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持されること、国民の財産及び公共施設に係る被害の最小化、迅速な復旧復興が掲げられ、その実現のために取られている政策です。
その中で、災害のリスクを極力少なくする「減災」を考えたまちづくりが推進されています。当社としても、「減災」を目的とした、災害時におけるバックアップ電源を提供することでこれに貢献できると考えています。
取組み事例② LED防災照明器具を充実
次に、照明機器事業での取り組みとして、LED防災照明器具のラインアップ充実についてご説明します。近年、事業や産業の現場においては、防災や災害リスクへの対応策が吃緊の課題となっています。安全管理上、あるいはBCP対策の観点から、防災照明の導入による生産現場の安心、安全の確保が強く求められています。
当社は2020年3月期に、通常時と非常時兼用の防爆型LED照明器具の要望を受け、停電時や電源遮断時に内蔵蓄電池で点灯する非常用LED光源部を、通常のLED灯具と一体化した防爆型非常用LED照明器具「VZBA–V2」シリーズを開発、販売しました。災害時の停電時に30分間点灯する防爆型非常用照明器具は、避難誘導のための明かりの確保だけではなく、設備の安全、保安点検に必要な器具として注目が集まっています。
これ1台で通常時、非常時ともに安心、安全な明かりが確保でき、防爆エリアでのオールLED化が可能となりました。今後も水素ガスが発生する危険場所をはじめ、クリーンルームや構内地下道まで、工場のあらゆる場所で、働く現場の「安全」と「安心」を見守ることができるように、様々なラインアップの充実を図っていきます。
取組み事例③ ノイズ対策新製品を充実
コンポーネント事業でのノイズ対策新製品のラインアップ充実についてご説明します。当社は1997年以来、ノイズ対策製品の開発、製造、技術支援を行なってきました。長年にわたり蓄積された技術を活用し、2020年3月期は材料開発、技術開発を加速させ、いままで難しいと言われていたノイズ帯域に効果的なフィルタリング製品を開発、販売しました。
従来製品の利便性はそのままに、小型軽量化や後付け可能、高温環境下でも安定した性能を保つなど、高付加価値の製品も追加しました。今後も「ここにもそこにも星和電機の技術」のテーマの下、5GやIoT技術の流れが加速する中、これらの対応するノイズ対策製品を開発していきます。
納入事例 霧対策情報板を初納入・感謝状授与
2020年3月期の納入事例をご紹介します。情報機器事業の霧対策情報板についてです。納入先の大分自動車道は標高が高く、国土交通省が発表した平成28年度高速道路6社の要因別通行止め時間ワーストランキングでトップになるほど濃霧発生時の視認性が悪く、視覚による交通情報提供が困難な状況となっていました。
当社では、日本自動車研究所の特異環境試験場にて、濃霧発生時の情報板の認知度向上強化を検証し、その結果をもとに霧対策情報板を製品化し初納入しました。今回納入した情報板は、濃霧発生時に情報板に取り付けたフラッシュライトが点灯し、標準よりも大きな文字で高輝度の表示をすることにより、適切な情報を提供することができ、安全運転に貢献しています。
このたび、西日本高速道路により、濃霧対策に寄与した功績に対して感謝状をいただきました。これからも、ドライバーのみなさまの安全、安心を最優先させる製品を生み出せるよう、より一層努力します。
星和電機株式会社は、安心、便利で経済的な次世代のインフラ分野、クリーンで経済的なエネルギー需給分野の市場において、既存技術と複合技術を用いてニッチ戦略を踏襲しながら、新たな市場を探究します。また、顧客要求を満足させ、新たな価値を創造するハードからソフトへの変化に対応して、これからも国内外の市場で複合技術を活用したソリューション展開により社会に貢献していきます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。以上で当社からのご説明は終了します。ありがとうございました。