2019年度 業績サマリー

下村真司氏:社長の下村でございます。本日はよろしくお願いいたします。まず最初に、このたびの新型コロナウイルス感染症に罹患されたみなさま、感染拡大により生活に影響を受けられたみなさまに謹んでお見舞い申し上げます。

住友重機械グループは、新型コロナウイルス感染症対策に関する政府発表の基本方針等を踏まえて対応し、出社時には感染予防対策を徹底した上で出勤しています。関係者のみなさまにおかれましてはご不便をおかけしますが、ご理解賜りますようお願い申し上げます。新型コロナウイルス感染拡大の一日も早い終息を願うとともに、みなさまの安全とご健康を心よりお祈り申し上げます。

それでは、説明に入らせていただきます。本日15時に東京証券取引所で2019年度決算概要を開示しました。資料に基づき、2019年度決算概要、今後の見通し、中期経営計画の3項目についてご説明します。

まず、4ページをご覧ください。2019年度の業績サマリーを示しています。2019年度第4四半期から、新型コロナウイルスの影響で急激に国内外の経済活動が減速し、需要が減少しています。しかしながら、当社グループの海外子会社は決算期が12月です。その影響度合いは少なく、業績への本格的な影響は2020年度に入ってからになると見込んでいます。

2019年度は日本、欧米、中国、東南アジアなど、自動車産業を筆頭に全世界的に機械需要が調整局面を迎えたことが主要因で、受注、売上、営業利益ともにすべてのセグメントが前期比で減少しました。加えて、建設機械や船舶部門では、昨年秋の台風19号による被害や部品調達等の影響を受け、10月の公表値よりも減少しています。

結果、受注高は8,262億円、売上高は8,645億円、営業利益は568億円となりました。営業利益率は6.6パーセントとなっています。当期純利益は328億円であり、前期比28パーセント減少しました。配当については、期初112円予想のところ、第2四半期決算発表時に業績修正に合わせて変更しました91円を維持します。配当性向は34パーセントとなります。

セグメント別営業利益

5ページにセグメント別営業利益を示しています。残念ながらすべてのセグメントで減益となっています。詳細は後ほどのセグメント別の資料でご説明します。

営業利益増減分析

6ページに営業利益の増減分析をお示ししています。冒頭にお伝えしましたが、2019年度はコロナウイルスの影響はほとんどありません。減収影響の43億円には、台風による売上減の影響が含まれています。また、その他の100億円のうち、6割程度が量産機械系の操業減に伴う操業不足です。残りは、機種構成差による利益差になっています。

連結貸借対照表

7ページに貸借対照表を示しています。中期経営計画2019の期間中、積極的な投資を実施してきました。また、今期はコロナ禍を見て現預金を厚めにもったこともあり、有利子負債は前期比約500億円増加し、1,247億円となりました。また、昨年11月に買収しましたインバーテック社の連結により、総資産が145億円増加しています。

連結キャッシュフロー計算書

8ページにキャッシュフロー計算書を示しています。フリーキャッシュフローが7期ぶりのマイナスとなっています。

セグメント別実績まとめ(受注・売上・営業利益)

9ページは中期経営計画3ヶ年の受注、売上、営業利益をセグメント別にまとめたものです。参考としてご活用いただければと思います。

今後の⾒通し

次に、今後の見通しについてご説明します。資料の11ページをご覧ください。新型コロナウイルスの感染拡大の影響は非常に大きく、かつ広範囲に渡っており、長期化すると想定しており、とくに量産系では強く出ると想定しています。中国、台湾、韓国等の地域は比較的早く回復してきていますが、欧米を含むその他地域は不透明感が強い状況と認識しています。

当社グループの状況ですが、中国の生産工場は現状は通常レベルに復帰しています。インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン等の地域はロックダウンの影響により、生産や出荷を停止していましたが、徐々に再開されており、回復の方向へ向かいつつあります。また、これらの地域のサプライチェーンは地域差もありますし、物流混乱等もありましたが、現在は大きな影響は出ていません。ただし、今後の感染状況によっては影響を受ける場合もありますし、今後注視が必要と考えています。

これらの結果を踏まえた2020年度の連結業績予想ですが、合理的算出が困難なため、公表を見送ることとしました。コロナウイルスの影響を慎重に見極め、合理的な予想が可能となった時点での公表を予定しています。配当予想についても、業績予想見送りにより公表を見送ります。

次期中期経営計画についてですが、現時点での公表を見送り、2020年度はコロナウイルス感染症存在下での事業運営に注力していきたいと考えています。次期中期経営計画はコロナウイルス感染症の影響を見極めつつ、アフターコロナについても検討を加えて再検討を進め、2021年5月を目処に公表したいと考えています。

2020年度 経営⽅針

12ページに2020年度の経営方針について示しています。感染症との共存を目指し、取り組むべき事項を設けています。まず、すべての局面において従業員の安全と事業基盤の維持を優先していきます。現在は緊急事態宣言が解除され、経済活動が徐々に再開されていますが、感染症存在下での体制を確立し、事業を継続していきます。また、今後早期に回復すると想定される分野への的確な対応を実施し、ボトムラインマネジメントを徹底し、財務規律を堅持します。

加えて、事業の継続的な成長を目指し、次期中期経営計画につながる研究開発投資の実施と、戦略的な設備投資を行なう予定です。また、コロナ後の方向性を見極め、次期中期計画の再検討を進めていきます。人的資本は維持し、成長へ向けて継続的に取り組みを強化していく所存です。

機械コンポーネント

2020年度のコロナウイルスの影響についても合わせて、セグメント別にご説明します。13ページをご覧ください。機械コンポーネントセグメントです。2019年度は自動車産業を中心とした機械需要の調整局面、また、ロボット等の自動化の回復遅れもあり、受注、売上ともに減少し、費用の増加および機種構成の変化により営業利益も減少しました。

2020年度の見方ですが、生活必需品、自動化や省人化等の投資により、小型と精密減速機は早期回復を見込んですが、主力であり裾野の広い中型減速機や大型産業機械向けの大型減速機は回復に時間を要すと想定しています。

地域別では、中国の早期回復を想定していますが、それ以外の地域については現時点では非常に難しい状況であると認識しています。

精密機械

次に、14ページの精密機械セグメントです。2019年度は全体として受注、売上、利益ともに前期比で減少となっていますが、これはプラスチック加工機械において、中国の電気電子関連の需要低迷や、国内や欧州の需要が減少した影響によるものです。半導体関連の需要が堅調であった精密その他は受注、売上、利益ともに前期比で増加しています。

2020年度のプラスチック加工機械については、依然自動車関連、欧州の電気電子がとくに厳しいと想定しています。精密その他については、半導体製造装置向け機種は比較的堅調ですが、冷凍機については今後影響が出てくると想定しています。また、半導体製造装置は顧客である半導体業界に大きな変化はありませんが、投資が後ろ倒し傾向であり、前年度ほどの勢いはないと考えています。

建設機械

15ページに建設機械セグメントを示しています。2019年度の油圧ショベルは、アセアン地域の需要減少や中国市場での伸び悩みに加え、台風による外注先被害の影響を受け、受注、売上、利益ともに減少しました。建設用クレーンも、国内および北米の需要の減少により同じく減少しています。

2020年度のショベルについて、中国は急回復を見せていますが、他の地域は減少を見込んでいます。当社出荷も欧米向けを中心に減少すると想定しています。建設用クレーンについては、現在国内は商談ストップやキャンセルリスクもありますが、今後やや安定的になるかと思っています。北米は依然不透明感があり、見極めが現時点では困難になっています。

産業機械

次に、16ページの産業機械セグメントです。2019年度、産業用クレーンは電力、港湾向けが堅調であり、受注は前年並みでした。ただし、長納期品の関係から売上が減少しています。

2020年度について、産業用クレーンは鉄鋼業界がとくに厳しいと考えていますが、リードタイムが比較的長いため、今期の損益への影響はあまり大きくないと想定しています。プレスや量子向けについては、自動車向けプレスに加え、医療について現在コロナウイルス感染症対策が優先されており、量子が得意とする案件が先延ばし傾向にあると考えています。

船舶

17ページに船舶セグメントを示しています。2019年度は売上減少と台風の影響により、営業損失となりました。2020年度についても、市況回復が遅れ、厳しい環境が継続すると考えています。修理案件の積み上げで損失のミニマム化を狙っていきたいと思います。

環境・プラント

環境・プラントセグメントです。18ページをご覧ください。2019年度のエネルギープラント事業は、国内の大型案件が前期比で減少したことに加え、水処理プラント事業でも案件が減少しました。その結果、受注は大幅に減少しました。売上損益については、受注残があり、前年並みとなっています。

2020年度は、ボイラの国内については受注環境、プロジェクト進捗とも現時点であまり影響はありません。ただし、SFWについては、ロックダウンの影響等でプロジェクトの進捗が遅延している状況です。水処理プラントについては、受注残もあり堅調と考えています。

「中期経営計画2019」総括

最後に中期経営計画についてご説明します。先にお伝えしたとおり、次期中期経営計画については再検討することとなりましたが、2019年度を最終年度とする中期経営計画2019の結果についてご説明します。

20ページをご覧ください。まず中期経営計画2019の総括です。海外でのM&Aを積極的に行ない、成長投資が実行できた成果はあったと認識しています。とくに2018年度については、市況が好調であったこともありますが、すべての通期目標値を上回ることができました。

しかしながら、先ほど説明しましたが、2019年度は欧州景気の停滞、米中貿易戦争などの影響があったとはいえ、高収益企業体を目指していたという観点からしますと、道半ばであると認識しています。

「中計19」基本⽅針

21ページに、中期経営計画2019の5つの基本方針と具体的展開策を示しています。これらの基本方針を掲げながら実行してきました。具体的なところについては、次ページ以降でご説明します。

「中計19」まとめ

22ページに、中期経営計画2019の3ヶ年の数値結果のまとめを示しています。繰り返しとなりますが、2018年度ではすべての目標数値を達成しています。着実な成長と高収益企業体への転換を進めるということで、設備投資および研究開発投資を積極的に実施しました。とくに設備投資については、当初予想を大きく上回る結果となっています。

基本⽅針① 海外売上⾼推移

5つの基本方針に対する具体的展開策についてご説明します。23ページをご覧ください。まず、着実な成長として掲げたグローバルの伸長を示したグラフです。M&Aに伴い、海外での売上は確実に増加しました。とくに北米、中国を含むアジアや欧州で増加しています。

基本⽅針② 投資実施状況(設備・開発)

次に、高収益事業体への転換として、事業の役割に応じた投資を実行してきました。24ページにその状況を示してあります。設備投資および研究開発投資も積極的に実施しました。

基本⽅針③ アフターサービス売上⾼推移

25ページに、一流の商品、サービスの創出の具体的展開として注力していますサービス事業の売上高の推移を示しています。結果として着実に成長を遂げており、今後も一流の商品とともに顧客維持に徹しながら、さらなる強化を行ないたいと考えています。

基本⽅針④ 新規連結会社の状況

26ページには新規連結会社の状況を示しています。ご参考にしていただければと思います。

基本⽅針⑤ CSRの積極推進

27ページにCSRについてお示ししています。前中期経営計画の基本方針としてCSRを掲げ、積極的に推進していくことを行なってきました。その結果、当社グループのマテリアリティを特定するにいたっています。

価値創造のCSRの基盤づくりとして、20の事業部門と対話を積極的に行ない、各事業の社会貢献の在り方を共有することができています。製品の環境活用を高めるべく、環境配慮製品の評価を行ない、商品開発にも取り組んでいます。

環境分野については、当社の商品使用時のCO2排出量と、お客さまのご使用におけるCO2削減効果に対する貢献分を開示しました。これにより、S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数の構成銘柄に入っています。また、自社の製造に関するCO2排出量については、第三者認証を取得し、データの信頼性向上に努めています。

2016年度から進めているダイバーシティ推進については、女性の従業員数が少ない中ではありますが、この3年で女性管理職数は1.3倍の16名となりました。

2018年度には、不適切な検査等の公表を行ないましたが、その後も全社で品質監査、業法遵守調査を実施し、未然防止を強化しています。今後も、ガバナンスの一層強化に努めていきたいと思っています。

地域別売上⾼

28ページは、参考資料として地域別売上高を添付しています。本日のご説明を終了いたします。ありがとうございました。