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ナノキャリア、コア技術のミセル化ナノ粒子により、有効性と安全性に優れた抗がん剤創出を推進

2019年9月28日にログミーファイナンス主催で行われた、第7回 個人投資家向けIRセミナー&講演会の第3部・ナノキャリア株式会社の内容を書き起こしでお伝えします。質疑応答パートはこちら

(提供:ナノキャリア株式会社)

シリーズ
ログミーファイナンス 第7回 個人投資家向けIRセミナー&講演会 > 第3部・ナノキャリア株式会社
2019年9月28日のログ
証券コード
4571 (SBI証券で株価をチェックする)
スピーカー
ナノキャリア株式会社 取締役 CSFO 松山哲人 氏
元ファンドマネージャー/元ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏
フリーアナウンサー 八木ひとみ 氏
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シリーズ
ログミーファイナンス 第7回 個人投資家向けIRセミナー&講演会 > 第3部・ナノキャリア株式会社
2019年9月28日のログ
証券コード
4571 (SBI証券で株価をチェックする)
スピーカー
ナノキャリア株式会社 取締役 CSFO 松山哲人 氏
元ファンドマネージャー/元ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏
フリーアナウンサー 八木ひとみ 氏

第7回 個人投資家向けIRセミナー&講演会(第3部)

松山哲人氏 本日はこのような機会をいただきありがとうございます。今日、この会場にいらっしゃる方々は、ファンダメンタル分析をきちんとされる投資家の方が多いということで、我々のようなバイオベンチャー企業とは合致しないかもしれないのですが、このような会社もあるのかということで、ぜひ聞いていただければと思っております。

ナノキャリア株式会社

まず最初に、会社概要を簡単にお話しします。設立は1996年ですから、もう23年が経過していますが、実際に動き出したのは2000年ということで、19年くらいが経ちました。東証マザーズに上場したのは2008年ですので、上場して11年というかたちです。 私は今、CSFO(チーフ・ストラテジー・アンド・ファイナンスオフィサー)を務めており、社長室長も兼務ということで、IR関係の業務も担当しています。つまり、サイエンス以外を全部担当しているというかたちです。

会社概要

社長の中冨は、もともと「サロンパス」で有名な久光製薬(の出身)です。実は久光製薬は中冨家(が創業家)で、佐賀県鳥栖市にも本社があります。また、サイエンティフィックアドバイザーの片岡一則先生は東京大学特任教授で、神奈川県川崎市のナノ医療イノベーションセンターでセンター長も務めています。その片岡先生と、東京女子医大の名誉教授である岡野先生、そして中冨さんの3人がファウンダーとなってできた会社です。 実は、我々がバイオ関係のセミナーを実施すると、参加者の年齢は60代以上の方が多いです。よって、今日のように若い人を目の前に話すのはほとんど初めてのようなものです。

ミセル化ナノ粒子 システムデザイン

どういったことを行っているかと言いますと「ミセル化ナノ粒子」を手掛けています。要は抗がん剤です。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、抗がん剤は基本的には副作用が多く、一般的に2割しか効果がありません。ですから、今日いらっしゃる100人のうち20名の方にしか効かず、80名には無駄な治療をすることになるわけです。 おまけに副作用が強いため、治療の途中で止めなければいけないといったこともあります。髪の毛が抜けるくらいならまだしも、食べられなくて体力が弱ってしまいます。なぜそうなるかと言いますと、通常は抗がん剤を注射しますと血中薬物濃度が上がります。 抗がん剤は毒ですから、その毒が副作用の原因であり、当然体は排出しようとします。30分から1時間でドドッと体外に排出する。これが抗がん剤の作用です。 我々のミセル化ナノ粒子は、血管のなかをぐるぐる回って体内を回るのですが、長い場合は100時間……場合によっては3日も体内をぐるぐる回ります。このとき、なるべく正常細胞ではなくがん細胞に届けようということで、それがドラッグデリバリーというシステムで、その技術で抗がん剤を開発している会社です。

ミセル化ナノ粒子技術の特徴

スライドに「ターゲティングに優れる」と書いてありますが、それがさきほどお話しした仕組みになります。 我々がミセルと呼んでいるのは、(スライドにあるような)カプセルみたいなものです。この赤い点は薬になります。(カプセルのようなものは)ポリマーでできています。親水性ポリエチレングリコールと疎水性ポリマーをつなぎ合わせて、ぐるぐるとかき混ぜるとこうなるのですが、外側が親水性で、(内側は)薬がなるべく溶けないように疎水性で包み、そのような状態で体内に送り込みます。 (スライドに)正常組織とがん組織のイラストがあります。ミセル化ナノ粒子は30ナノメートルから100ナノメートルというサイズになっているのですが、当然、薬の粒々はもっと小さいため、正常細胞のこの血管壁をどんどんすり抜けていきます。すり抜けると正常細胞がやられて副作用が起き、「もうこれ以上薬には耐えられない」となって途中で止められる方もいらっしゃいます。そうなると、がんも進むというかたちです。 (スライド右の下部の写真は)がんの模式図です。みなさまも聞いたことがあるかもしれませんが、がんはどんどん増殖するため、栄養を取るために血管をどんどん作ります。その血管を新生血管と言っているのですが、どんどん血管を作って栄養を取り込んで、どんどん大きくなろうとします。この新生血管にはだいたい150ナノメートルの隙間ができると言われています。 しかし、ミセル化ナノ粒子は大きさが30ナノメートルから100ナノメートルくらいですので、正常細胞の場合は大きいため出ていかないのですが、がん組織であれば血管のところに来るとにじみ出ていきます。ですので、正常組織には届かないかたちで、副作用をなるべく少なくして、かつがん組織まで行ったときには、がんを死滅させる効果を高めようというのがこの技術なのです。

NC-6004(シスプラチンミセル)

では実際に、我々の薬の開発はどういう状態なのかということで、よくパイプラインというのですが、開発している薬の種類をご紹介します。先ほどお話しした通常の抗がん剤で、既に使われている抗がん剤ですが、「シスプラチン」という抗がん剤があります。これは白金、プラチナですので毒なのですが、がんを叩くため昔からよく使われている薬です。最後の最後でどんどん使う薬であり、「エピルビシン」も同様です。 我々は、「シスプラチン」や「エピルビシン」など、もともとある抗がん剤をミセル化して、先ほどお伝えしたような効果が出るようにしています。実際に臨床試験……動物実験といったところは終わっていますので、臨床試験ということで、人体実験を行います。 フェーズには3段階があります。3段階目が最終で、大量の患者さまに投与してみる段階です。我々が現在日本・アジアで行っているのが、膵臓がんを対象とした「シスプラチンミセル」です。

頭頸部がんを対象に開発を推進

第2段階のものとしては、頭頸部がんのところです。アメリカ、ヨーロッパ、台湾でフェーズ2が始まったところです。あまり詳しく書いておらず、少し横道にそれるのですが、抗がん剤で最近出たもので「オプジーボ」というものを聞いたことがあるのではないかと思います。 これを使った治療は、最初は3,000万円などとも言われていました。今は半額くらいになってきましたが、それでも1,000万円以上です。そのくらい費用のかかる「オプジーボ」ですが、これは免疫チェックポイント阻害剤と言われるものです。 これが何かについてですが、本来であれば、がんができると免疫によって倒そうとするのですが、免疫を阻止しようとする物質があるのです。それを阻止しないようにするのがチェックポイント阻害剤で、「オプジーボ」などがその薬になります。 半年くらい前ですが、日経新聞などにも記事が載っていまして、「オプジーボ」や「キイトルーダ」という薬がありまして、それらはみんなが万能薬だと思っていたのですが、結局そのような薬でも2割くらいしか効かないのです。 ですから、がんの世界・がんの治療では、そういった薬だけでなく、別の薬と併用するということが当たり前になっています。なお、併用薬として臨床試験が行われているのは、世界でも500種類以上あります。世界の大手製薬会社を含めて、世界中で「オプジーボ」や「キイトルーダ」を併用した臨床試験を行おうということで実施している試験が500種類以上あるということです。 我々も、「オプジーボ」と似た「キイトルーダ」という薬との併用薬の試験を行っています。当然、その臨床試験においては、がんに悩まれている患者さまにしてみれば、新しい薬のほうがいいのではないかということで、既存の薬だけではなく、そうした新しい薬と併用した臨床試験を行いたいということは当然思われます。 また、我々の会社にも直接患者さまやご家族の方から、「このような試験をしているらしいが、どこで受けられるんだ」といった問い合わせも受けます。フェーズ2試験ではそういったことを行っています。 他にもいろいろな薬がありますが、つまりこのようなかたちでミセル化ナノ粒子の臨床試験を行っているということです。 先ほどお話ししました「キイトルーダ」が免疫チェックポイント阻害剤になりますが、頭頸部がんは喉から上のがんのことで、それを対象にしたものです。(頭頸部がんの)患者さまは年間で65万人ほど亡くなられているのですが、年間20万人が新規に罹患します。 これはタバコやアルコールなどが影響して増えているのではないかということですが、それの治療薬として、我々の「シスプラチンミセル」と免疫チェックポイント阻害剤を併用して臨床試験を行っています。

化粧品事業

もう1つ、皮膚科領域(での展開)も検討しています。このミセル化ナノ粒子の化粧品への応用を行っており、一番最初に当社から発売したのが、2010年の「e‘clafutur‐W」という美容液です。ところが、ぜんぜん売れませんでした。 一方で、2013年にアルビオンさまが「それ、おもしろいですね」ということで、この原料を供給しました。アルビオンの「eclafutur」というボトルは、年間60万本売れており、1本が1万円以上しますので、60億円以上売り上げています。 我々は原料供給のため、あまり売上にならないという悲しい状況ですが、そのようなところで使われています。アルビオンさまは対面でしか売りませんので、お店に行くと本当に行列ができており、インバウンドの方だけではなく日本人のお客さまも、この「eclafutur」を購入しています。 そして、美白美容液「EXCIA AL」やヘアケア製品(も販売開始しました)。これは、原料供給だけではなく、「共同開発しましょう」ということになりました。男性向けのヘアケア商品ということで、eコマースで売ったり、美容室で売ったりしています。 また昨年10月には、アルビオンさまからリニューアルした「eclafutur」も出し、これも引き続き売れています。

プラチナ耐性卵巣がん

その他、変わったところでは、実はミセル化ナノ粒子とは関係なく展開しているものもあります。1つは、イスラエルの会社のものでウイルスを使った遺伝子治療薬です。これは脳腫瘍や卵巣がんを対象として、今はフェーズ3でアメリカのVBL社が臨床試験を行っています。

耳鼻科領域ENT103

そして耳鼻科のものもあります。「なぜ耳鼻科なの?」という声もありますが、今は鼻が詰まったり、耳が聞こえない……難聴などもけっこう多いのですが、中耳炎でもひどくなるとその治療薬がまだ日本にはないものもあり、現在はフェーズ3として臨床試験を行っています。

再生医療領域 製品販売権の取得

また不妊治療を対象にしたものもあります。みなさまは「PRP」という言葉を聞いたことはありますか? 「Platelet‐Rich Plasma」のことなのですが、これについてお話しします。 (メジャーリーガーの)大谷選手は、今シーズンの前に肘を痛めていますが、その肘の治療で使っているのが「PRP」です。何かと言うと、自分の血を取って、それを遠心分離機にかけます。簡単に言いますと、濃縮して戻した血小板には、すごく成長ホルモンが入っており、それで治療するがPRP治療です。 今では、整形外科や美容のところでも使われているのですが、日本では山王病院の堤院長……もともと東京大学の教授ですが、その先生と一緒に組んで、「PRPを使った不妊治療をやりましょう」ということで取り組んでいます。今、何を売るかというと、血液が凝固しない採血管を使ってPRP治療を行いましょうということで始めています。 実は2月にNHKが特集を組んだのですが、東京の渋谷で、200組400人くらいのカップル、ご夫婦の方が集まりました。最近は晩婚化ですので、子どもが欲しくてもなかなかできず、また女性も42歳を超えると不妊治療ができないといったこともあります。

PRP事業部

また、もともと子宮内膜が薄い方がいらっしゃるのですが、それを「PRP」でさっきお話ししたように戻してあげると、ふかふかのベッドになって、きちんと着床して妊娠できるのではないかということで、実際に山王病院で臨床研究を行ったところ、例えば通常の不妊治療では5パーセントくらいしか成功しないところが、20パーセントくらいまで数字を上げたという実績もあり、始めたところです。

2020年3月期 第1四半期実績および通期業績予想

ファイナンスのところをお話しします。バイオベンチャーは、上場している企業は40社から50社くらいあると思うのですが、みなさまが耳にしたことのあるものとしては、アンジェスMGでしょうか。実はこの前、薬価がついて(株価が)上がると思ったら「こんな薬価じゃ、期待外れだ」ということであまり上がらずということがありました。 我々の決算を見ていただくとわかりますが、赤字です。毎年だいたい25億円から30億円を(研究開発などに)使っていますが、赤字になっています。今まで一度も黒字になったことがありません。 ですので、ファンダメンタルズをきちんと分析される方にとって、当社は「何を分析するんだ」みたいなかたちで、「なぜこんな株価なんだ」と言われても誰も説明できないみたいな業界ではあります。 結局バイオベンチャーは、臨床試験を行って、これが進んで成功した暁には「何百億円」が入ってきますので、(投資家は)夢の部分を買っているというところはあると思います。 例えば、フェーズ3試験を行っているからと言っても……この前もとある企業が認知症かパーキンソン病など神経系の薬(の試験を行っていましたが)、フェーズ3でも失敗しました。それはもう当たり前で、フェーズ3でも(成功する確率は)50パーセントあるかどうかというかたちです。 それでも、そこをチャレンジするのが我々のようなバイオベンチャーですし、世界を見ればアメリカなどはもっとたくさんのバイオベンチャーがあります。 それでは、以上となりますので、質問を受けたいと思います。よろしくお願いします。

坂本慎太郎氏より質問

八木ひとみ氏 松山さん、ありがとうございました。では、質疑応答ですが、まずは坂本さんからお願いします。 坂本慎太郎氏(以下、坂本) ご説明ありがとうございました。私も、ファンダメンタルズ投資の話をよくする評論家でして、なかなか赤字が続いているバイオベンチャーや研究開発中のバイオベンチャーには投資が難しいと話しています。 バイオ投資で失敗する人は、上市がぎりぎりになって株価が高くなってから(買ってしまいます)ということで、アンジェスMGのときも、そーせいグループのときもそうでした。「そろそろ上市だ」と言ってみんなで買っても、いきなり株価が3分の1になったり、もっと下がってしまったりします。先ほどお話のあったとおり、もしバイオベンチャーに投資したい方はやはり「夢」というかたちで、価格が動いていないときに買えばいいのかなと思います。 そういうことで、バイオベンチャーについては個人投資家にとって難しいという話はしていますので、今日は化粧品事業についておうかがいしようと思います。 御社の強みはナノ技術ということですので、もちろん、キャッシュアウトのほうが多いとは思いますが、研究開発中の薬が上市するまでのキャッシュを稼ぐ事業でもあるのかなと思っています。 先ほど八木さんも言っていたのですが、アルビオン社と共同開発した「eclafutur」を3年間も使っているそうです。 そして、男性向けのスカルプケア「Depth」なのですが、僕も使ったことがあります。男性誌の付録でついてきたことがあり、その雑誌は読者層が30代後半ということで、そのあたりにもアピールされているかと思いますが、こちらは原料供給に留まらず、これから収益化も期待できるのかなと思っています。 そこで、今後の化粧品事業の展開と、化粧品事業で積み上げた(ノウハウを活用した)皮膚科領域の展開についてもおうかがいしたいと思います。 松山 化粧品領域ですが、先ほど言ったように原料商売ですと儲けにならないなということもあり、「Depth」を展開しています。 ただ、みなさまもご存知の有名な発毛剤は、爆発的に売れて、売上が数十億円ということですが、(その完成までに)数十億円かけているようで、利益がどうなのかという部分があります。 また、100億円くらい売れていると噂の有名な化粧品があるのですが、その金額以上に、女優さんを使った広告費を使っているという話もあります。我々はそのような宣伝はせず、地道に取り組んでいますが、定期購入してくれるお客さまも増えています。 男性用では、例えばシャンプーは非常にすっきり落ちます。香りもよくておすすめだと思います。 実際に、このヘアケア成分として「CPA」というものが入っています。化粧品のため、効能は謳えないのですが、育毛効果が期待できますが、こちらにもミセル化している粒子を入れています。 そして、皮膚科領域についてです。抗がん剤の場合は、がん組織まできちんと浸透して、きちんと叩くのが大切なのですが、皮膚の場合は表皮から真皮の手前くらいまで浸透して、そこできちんと留まって効能を発揮するかたちです。 あまり浸透しすぎると、血管に入ってしまって大変なのです。そこで、ある程度まで浸透させて留まるということが重要で、そのようなところでニーズのある企業と一緒に取り組んでいます。 坂本 会場で募ったアンケートを見ると、シャンプーを使われている方がいるみたいですね。「シャンプーの香り、機能性が優れていて、購入しています。ぜひ株主優待で提供をお願いします」というご意見ですので、ご検討いただければと思います(笑)。 確かに、株主優待を行うと知名度自体は上がると思いますので、配送コスト等が賄えるのであればいい取り組みかなと思います。 次に、「NC‐6300」の「エピルビシンミセル」についてです。 こちらは希少疾患を対象にしたものですので、大きな売上は見込みにくいのかなと思っています。日本人にはなかなか馴染みのない疾患で、欧米人の方が多いという話ですが、やはり希少疾患だと思いますので、収益化するにはなかなか難しいと思います。 逆に、高い確率で薬効が確認できればそれなりに売れてペイできるのかなという話もあるため、こちらが上市した場合に満足のいく薬価が獲得できるかも含めて教えていただきたいと思います。また、他の疾患にも流用できるのかも含めて、この薬について教えていただければと思います。 松山 「エピルビシンミセル」は、「コルゲンコーワ」で有名な興和株式会社さまにライセンスを提供して、彼らが日本でフェーズ1を実施していました。これは、例えば乳がんや大腸がんなどの固形がんのためのものです。 わりと効果が高く、がんセンターの先生も「すぐにフェーズ2をやろう」というお話だったのですが、興和さまとしては「自分たちはがんが専門ではない」ということでしたので、当社にライセンスを戻してもらいました。 そして、いろいろなドクターと相談したところ、軟部肉腫という希少がん(に効果がある)ということでした。患者さまはすごく少ないのですが、そのなかで何を狙ったかというと、先ほどの「オプジーボ」もそうなのですが、希少がんでもいいので1つ承認を得ると、次は適用拡大ということで、「今回は肺がんで承認されましたので、次は◯◯がんですね」といった流れになるのです。 そこで我々としては、まずは「NC‐6300」の承認をもらおうと取り組んでいます。少人数でできて、期間もなるべく短く、お金もあまりかけずにという戦略で進めました。 ミセル化する前の「エピルビシン」は、副作用として嘔吐や骨髄毒性などがけっこうあるのですが、ミセル化によってこれが軽減されるということが日本でのフェーズ1でもわかっているのです。また、心機能の低下という副作用もあるのですが、1年を超えても投与できたという例もあり、本当にいい薬だと思います。 「エピルビシン」単独では60ミリグラムから100ミリグラムまでしか投与できないのですが、ミセル化すると170ミリグラムまで投与できます。また、国内では170ミリグラムよりもどんどん上げることができ、185グラムまで投与してもまだ安全ということで、量も増やしはじめています。大量に投与することでがんを殺せるということです。 アメリカでもフェーズ1が終了しています。アメリカでも29例に試験を行ったのですが、副作用の発現頻度が減少したり、重症度が下がったり、長期投与もできるということで試験が進んでいます。 また、肉腫もいろいろな種類があり、血管肉腫の2例中、2例とも縮小が見られたということで、かなり期待が持てると思います。 ただ、まだステージがフェーズ1ですので、これからまた3年以上かかります。みなさまもご存知かと思いますが、医薬品開発には10年、15年とかかりますので、次のフェーズ2は2年から3年で終わらせようと計画しているところです。

質疑応答:現在開発中のパイプラインについて

質問者1 開発中のパイプラインのところでお聞きしたいことがあります。いくつか開発中でフェーズ1やフェーズ2のものがあるかと思うのですが、条件付きの早期承認でフェーズ3を飛ばせる制度を適用できるものはありますでしょうか? 松山 「エピルビシンミセル」は希少疾患で、治療方法があまりないという意味で、フェーズ2が終わったところでできるかなというところで期待しています。

質疑応答:黒字化までの計画について

質問者2 さきほどお話のあった赤字のところについてですが、どのようにして黒字に持っていこうとしているのでしょうか? 計画があれば教えてください。 松山 例えば「頭頸部がんを対象にしたもので、フェーズ2を始めました」となり、「では、フェーズ2が終わったから、自分たちでフェーズ3を進めるか」といきたいところですが、それはできないのです。やはりお金が数十億円、場合によっては数百億円かかります。大手製薬会社さまは「1,000億円かけました」と普通に言っていますが、そのくらいかかるのです。 我々としては、フェーズ2が終わったところで結果がよければ大手製薬会社さまにライセンスします。すると、通常は一時金として数十億円が入り、合計で数百億円という契約をすることになりますので、そこで黒字化しようということです。 質問者2 追加の質問ですが、化粧品や再生治療など、すでに実績があって販売できるところを伸ばして、その収益を薬の開発に回すという考え方はしないのでしょうか? 松山 今のところは、化粧品などの利益を使って数十億円という費用を埋めることはできません。ただし、化粧品分野についてはM&Aも検討していますので、そのようなところも進めていきたいと思っています。 補足になりますが、我々の株主はいま、3万人ほどいらっしゃるのですが、ほとんどが個人の方です。一方でユニークなのが、ベイリー・ギフォードさまも株主で、実は5パーセント以上を持っているのです。そして、毎年必ずエジンバラから当社にインタビューに来るのです。「進捗状況はどうか?」ということを聞かれるのですが、前に一度「そもそも、日本で何社くらいを訪問するのか?」と聞くと、20社ほど訪問するとのことでした。 そして、「(数ある企業のなかで)なぜ、当社に投資するのか?」って言ったら、「いやいや、これは我々の自分たちのポートフォリオなので、日本のテクノロジーで良さそうだと思うところは、そこはポートフォリオの1つとして、やっぱりやっておきたいということで投資しているんだ」ということを言われました。だから、そのような方もいらっしゃるということです。また、アメリカの投資家などは「パッと入ってきて、パッと抜けていく」ような場合も多いかもしれません。 そして株価的な話をしますが、当社の株価も見てもらえるとわかりますが、非常に大きく上がったことがありました。そのときはバイオ株が全部上がったのですが、その理由は山中先生がIPS細胞でノーベル賞をもらったからです。そのようなノーベル賞効果もあるのです。 一方、「オプジーボ」ができたころですから、3年前のノーベル賞だったと思いますが、京都大学の大隅先生がノーベル賞を取ったときも株価が上がると思っていたら、そこはあまり上がりませんでした。 そろそろノーベル賞シーズンですが、毎年ノーベル賞シーズンになるとバイオ株が上がる場合もある。そのような業種です。

質疑応答:適用拡大による収益の増加について

質問者3 希少がんで承認を取って適用拡大という方法であれば、わりとお金がかからないというお話でした。そこで、適用拡大された場合はライセンスアウトはせずに、お金をかけないで御社に大きな利益をもたらすという考えで間違いないでしょうか? 松山 希少疾患の場合は、逆に大きなお金があまり期待できないかもしれないです。例えば、通常では数百億円という売上を上げたいのですが、希少疾患では数十億円の売上しか上がらないこともあります。 それでも一度承認されると「やっぱり効くんだな」ということで適用拡大に進みますし、ほかの医薬品会社さまにライセンスすることもできますので、そうすると一時金で数十億円が入ってきて、トータルで数百億円の収入が期待できるとは思っています。 質問者3 つまり、スピードは速まるものの、格段に利益が大きくなるということではないという理解でよろしいでしょうか。 松山 軟部肉腫だけで見ると、そういうことはないかもしれません。

質疑応答:NC-6004(シスプラチンミセル)の効果について

質問者4 「NC‐6004」についてお聞きします。膵臓がんは、がん間質が多い種類だと思うのですが、ミセルは血管の間をきちんと通り抜けるという自信はおありでしょうか? 成功する可能性を感じておられるのかをお聞かせください。 松山 そこには自信があります。ただし、臨床試験は水物で、フェーズ3まで進んでいても必ず成功するかと言うと、本当に患者さま次第だと思うのです。 実は私もバイオベンチャーの社長をしていたのですが、例えば20人、あるいは100人くらいの血液を集めて試験をしているときは効果が見られるのですが、だんだん人数を増やして200人から300人などになってくると、結果にばらつきが出てくるのです。 今日、会場にいらっしゃるみなさまのように、健康な人ほど身体の中身はばらついていますから、むしろ、がん患者さまの方がある程度は統一されています。それでもばらつきがあるのです。

質疑応答:会場でのリアルタイムアンケート

八木 それでは、会場の方から寄せられたアンケートをご紹介します。「ADCM、ミセル化ナノ粒子について、メガ・ファーマからの引き合いは強いでしょうか。なぜ欧米第Ⅱ相バスケットデザインで有効性が出なかったと考えていますか」というご意見をいただきました。 松山 「ADCM」は「Antibody‐Drug Conjugated Micelle」のことですが、これはおそらく、世界中で80種類くらいの臨床試験が行われているのではないかと思います。しかし、まだ承認されているのは2つ、3つです。 この前、実は第一三共さまがアストラゼネカにライセンスして、トータルで数千億円という契約をしたという話がありましたが、それは成功例です。(スライドの右下にある)Y字のものが抗体なのですが、我々ではこれをつけてあげたらいいのではないかということで、製薬会社さまに提案しているのです。 ただし、なかなか構造が複雑だったりもしますので、我々は基盤のところを引き続き研究し、また製薬会社さまにも提供したりしている最中です。これがADCMの状況です。 また、「NC‐6004」にはもう1つのパイプラインがありました。この春までは(パイプラインとして)掲載していたのですが、1つのプロトコルで3つのがん種をということでアメリカで(試験を)やっていました。 結果として副作用は抑えられる傾向があったのですが、効果は既存薬とあまり変わらなかったわけです。「それでも、副作用だけ抑えられていればいいのではないか」と思われるかもしれませんが、主目的としては、「ここを伸ばしましょう」といったようにターゲットにしているものがあり、そこに到達できなかったため、「悪くはないけれど、そこまでよくもなかった」ということで止めてしまいました。 逆を言えば、先ほどお話ししたように、免疫チェックポイント阻害剤だけで世界で500種類以上試験が行われているということで、そちらを進めたほうが患者さまのニーズや医療現場のニーズを満たせるのではないかということで、シフトしたという経緯があります。

  
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