2019年3月期第3四半期連結損益概要

日覺昭廣氏:本日は、大変お忙しいなかお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、みなさまには、日頃から当社の経営ならびに事業活動につきまして、ご理解をいただいておりますことに、あらためてお礼を申し上げます。

これより、2019年3月期第3四半期決算の概要と、2019年3月期業績の見通しについてご説明を申し上げます。

はじめに、2019年3月期第3四半期の決算の概要です。3ページの表の右側をご覧ください。当第3四半期累計期間の売上高は、1兆8,083億円と、前年同期比で9.7パーセントの増収となりました。

一方で、営業利益は1,124億円と、8.9パーセントの減益となりました。また、経常利益は1,114億円と、8.3パーセントの減益で、親会社株主に帰属する四半期純利益は813億円と、4.8パーセントの増益となりました。

営業外収支

4ページの表の右側をご覧ください。当第3四半期累計期間の営業外収益は、受取利息及び配当金、持分法による投資利益の増加を主因に、33億円増加しました。

一方で、営業外費用は、フィルム関連の旧式設備関連費用と、支払利息の増加を主因に、24億円増加しました。

以上の結果、営業外収支はマイナス9億円となり、前年同期比で9億円改善しました。

特別損益

5ページは特別損益です。当第3四半期累計期間の特別利益は172億円と、遊休土地売却に伴う有形固定資産売却益の増加を主因に、137億円増加しました。

特別損失は69億円で、関係会社事業損失、減損損失、環境対策費の減少を主因に、61億円改善しました。

以上の結果、ネットの特別損益は103億円となり、前年同期比で199億円改善しました。

資産・負債・純資産

6ページは資産・負債・純資産についてです。2018年12月末の資産合計は、2兆7,810億円と、買収したTenCate Advanced Composites Holding B.V.社ののれんと無形固定資産の計上や、受取手形及び売掛金等流動資産の増加を主因に、2018年3月末に2,051億円増加しました。

なお、TenCate Advanced Composites Holding B.V.社ののれんと無形固定資産の金額及び償却期間は、(スライドを)ご覧のとおりです。

負債合計は1兆5,697億円と、昨年7月に発行した普通社債などの有利子負債が増加したことを主因に、1,629億円増加しました。

純資産合計は、1兆2,114億円と、純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、422億円増加しました。

自己資本は1兆1,299億円、有利子負債残高は9,695億円となり、D/Eレシオは0.86となりました。

設備投資額・減価償却費・研究開発費

7ページは、設備投資額・減価償却費・研究開発費についてです。設備投資額は1,088億円と、前年同期比で11億円増加しました。おもな設備投資案件は記載のとおりです。

減価償却費は771億円と、57億円増加しました。研究開発費は499億円と、32億円増加しました。

営業利益増減要因分析

8ページのグラフは、当第3四半期累計の連結営業利益が、前年同期に比べて110億円減益となった要因を分析したものです。

拡販に伴う生産量・販売量の増加によって、数量差はプラス249億円となりました。また、原料価格上昇に対する販売価格の転嫁を進めましたが、価格差はマイナス172億円となりました。費用差他は、拡販に伴う費用や製造固定費が増加したことが主因で、マイナス186億円となりました。

セグメント別売上高・営業利益

9ページでは、セグメント別売上高と営業利益の実績をお示ししています。

セグメント別業績(繊維)

10ページ以降では、第3四半期累計のセグメント別の状況をご説明します。最初は繊維です。

繊維セグメントの売上高は7,611億円と、前年同期比で9.1パーセントの増収。営業利益は603億円と、3パーセントの増益となりました。全般的に原料価格高騰の影響を受けましたが、拡販とコストダウンの推進により、カバーしました。

衣料用途では、糸綿、テキスタイル、製品一貫型ビジネスを推進しました。昨シーズンの厳冬により、秋冬用商品の流通在庫が一掃されたことから、縫製品やテキスタイルの出荷が拡大しました。

産業用途では、海外の自動車関連用途向けで、中国の需要減退の兆候が表れたものの、国内の自動車関連用途向けの販売は総じて堅調に推移しました。

セグメント別業績(機能化成品)

11ページは機能化成品セグメントです。売上高は6,549億円と、前年同期比で9.2パーセントの増収。営業利益は520億円と、6.8パーセントの減益となりました。全般的に、原料価格高騰の影響を受けたほか、バッテリーセパレータフィルム増設に伴う製造固定費の増加等がありました。

それぞれの事業の状況については、次のページでご説明いたします。

機能化成品のサブセグメント別売上高

樹脂事業は、自動車用途向けに拡販するとともに、原料価格上昇に対する価格転嫁を推進しました。ケミカル事業は、主原料の市況が改善し、ファインケミカル製品も増収となりました。

フィルム事業は、リチウムイオン2次電池向けバッテリーセパレータフィルムや、MLCC離型用フィルム等が堅調に推移しました。

電子情報材料事業は、有機EL関連材料が需要鈍化の影響を受けましたが、韓国子会社の回路材料は堅調に推移しました。

セグメント別業績(炭素繊維複合材料)

13ページは、炭素繊維複合材料セグメントです。売上高は1,543億円と、前年同期比で20.4パーセントの増収。営業利益は84億円と、44.4パーセントの減益となりました。

航空機用途や一般産業用途を中心に、販売数量は国内外で軒並み拡大し、TenCate Advanced Composites Holding B.V.社の連結化も、売上の拡大に寄与しました。

一方で、原料価格の上昇や競合激化の影響を受けたほか、海外のコンポジット子会社で新規案件立ち上げに伴う費用の増加がありました。

さらに、営業利益の修正による減益は、TenCate Advanced Composites Holding B.V.社の連結化に伴うのれん等の償却費、及び株式取得関連費用が発生したことや、航空機用途のグループ会社間での取引にかかる未実現利益が増加したことなどが要因です。

炭素繊維複合材料のサブセグメント別売上高

14ページですが、航空宇宙用途は中小型機を中心に最終需要が堅調で、サプライチェーンにおける荷動きも順調に推移しました。

スポーツ用途は、自転車、ゴルフ、ラケット、ホッケー向け等の需要がいずれも回復基調であり、高付加価値品を中心に拡販を続けました。

一般産業用途は、圧縮天然ガスタンク用途をはじめとする環境エネルギー用途や、風力発電翼向けの出荷が堅調に推移しました。また、パソコン筐体や燃料電池車用電極機材向けのコンポジットの出荷は、引き続き堅調に推移しました。

セグメント別業績(環境・エンジニアリング)

15ページの環境・エンジニアリングセグメントは、売上高1,846億円と、前年同期比8パーセントの増収、営業利益は79億円と、15.5パーセントの減益となりました。

水処理事業は、国内外で逆浸透膜などの需要がおおむね堅調に推移しましたが、競争激化による販売価格下落の影響を受けました。また、東レ単体で在庫の評価下げを実施しました。

国内子会社では、建設子会社で工事が順調に進捗し、不動産の物件引渡も増加した一方、エンジニアリング子会社では、一部のエレクトロニクス関連装置の出荷が減少しました。

セグメント別業績(ライフサイエンス)

16ページはライフサイエンスセグメントです。売上高は402億円で、前年同期比1.1パーセントの増収、営業利益は12億円と、36.2パーセントの減益となりました。

医薬事業は、「ドルナー」が海外向けに数量を拡大したものの、国内では後発医薬品や薬価改定の影響を受けました。「レミッチ」は、後発医薬品の発売の影響を受けました。

医療機器事業は、「ダイアライザー」が国内における保険償還価格の引き下げと、原料価格上昇の影響を受けましたが、国内外で堅調に数量を伸ばしました。また、透析装置も数量を拡大しました。

なお、営業利益の修正が減益になっていますが、これはグループ会社間の取引にかかる未実現利益の実現額が減少したことが主因です。

主要子会社・地域の収益状況

17ページでは、主要子会社・地域の収益状況を示しております。東レインターナショナルは、繊維を中心に堅調に推移しました。東レエンジニアリングは、一部のエレクトロニクス関連装置の出荷が減少しました。東レ建設は、建設事業で工事の進捗や不動産の引き渡しが増加しました。

東南アジアの子会社では、繊維事業は縫製品や衣料用テキスタイルの拡販及び高付加価値化により売上を拡大したものの、原料価格高騰の影響を受けました。機能化成品事業は、ABS樹脂が、主要市場である中国市場の低迷により、汎用品のスプレッドが急激に悪化しました。

中国の子会社では、繊維事業は縫製品や衣料用テキスタイルの拡販及び高付加価値化により、総じて堅調に推移しました。機能化成品事業では、原料価格高騰に対する価格転嫁を推進しました。

韓国子会社では、繊維事業は国内市場の低迷と競争激化等の影響を受けました。機能化成品事業は、バッテリーセパレータフィルムや、PPS樹脂等の拡販を進めましたが、高機能回路材料が低調に推移しました。

セグメント別営業利益2Q vs 3Q比較

18ページは、第2四半期と第3四半期の営業利益を比較しています。連結営業利益は、438億円から347億円と、91億円の減益となりました。その減少幅91億円を、セグメント別にブレイクダウンし、要因を表の右側に示しています。

2019年3月期連結業績見通し

次に、2019年3月期連結業績見通しについてご説明いたします。20ページをご覧ください。2019年3月期業績見通しにつきましては、第3四半期累計期間の業績動向に加え、事業環境の変化等を踏まえ、11月9日に公表した業績見通しを修正し、売上高は2兆4,000億円、営業利益は1,400億円、経常利益は1,350億円、親会社に帰属する当期純利益は900億円といたします。

なお、1月以降の為替レートは、1ドル110円を前提としています。

セグメント別連結業績見通し

21ページでは、2019年3月期の連結業績見通しを、セグメント別に示しました。上段に売上高、下段に営業利益、右端に前回見通しとの差異を示しています。

セグメント別営業利益見通しの前回との差異

22ページをご覧ください。今回、おもに繊維、機能化成品、環境・エンジニアリングセグメントで営業利益見通しを修正しました。

繊維では、中国・欧州経済の減速をはじめ、世界経済の減速感から、全般的に数量減少を見込んでいます。機能化成品では、樹脂事業はABS樹脂等が中国市場低迷により、販売数量が減少するなど、市況悪化の影響を見込んでいます。

フィルム事業及び電子情報材料事業は、スマートフォン市場の成長鈍化に伴い、関連材料の販売量減少を見込んでいます。環境・エンジニアリングでは、在庫評価下げの実施や、前回の見通し発表時に想定していた水処理案件が中止となった影響を見込んでいます。その他のセグメントでは、商事子会社等で全般的に収益悪化を見込んでいます。

ご説明は以上です。どうもありがとうございました。