上期 概況

新野隆氏:社長の新野でございます。本日は、多数の方々にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。それでは、本日発表させていただきました、2018年第2四半期の決算概要につきまして、ご説明を申し上げます。

本日ご説明する内容は、まず最初に上期の実績をご報告申し上げ、次に年間の業績予想、そして最後に、本年1月に発表いたしました、2020中期経営計画の進捗について、ご説明を申し上げます。なお、年間の業績予想については、期初の計画から変更はございません。

それでははじめに、決算の概要についてご説明を申し上げます。4ページ目、上期実績の全体像でございます。まず、売上収益につきましては、パブリックやエンタープライズが増加をいたしまして、全体では前年同期比で3.8パーセントの増収となりました。営業利益は、グローバルやその他事業が改善し、前年同期比で66億円の増益となりました。

当期利益は、営業利益が改善したものの、前年同期に計上いたしました関連会社の株式売却益などの影響によりまして、97億円の減益となりました。

上期 実績サマリー

5ページ目でございます。右側が上期の累計の数字でございます。上期累計の売上収益は1兆3,364億円、営業利益は138億円、税引前利益は218億円、当期利益は92億円となりました。また、フリー・キャッシュ・フローにつきましては171億円の支出となり、前年同期に比べまして925億円悪化をいたしております。これにつきましては、あとで少し詳しくご説明を申し上げます。

なお、上期の実績につきましては、社内の計画比でいきますと、売上収益で350億円、営業利益が40億円、それぞれ改善いたしております。

セグメント別 上期実績サマリー

6ページ目が、上期実績をセグメント別に表にしたものでございます。前年同期比で、グローバルとその他事業の損益が改善してございます。なお、計画比では、売上収益につきましてはエンタープライズ、ネットワークサービスなどの事業が上振れしたものの、グローバルは下振れとなっております。営業損益につきましては、エンタープライズなどで上振れをいたしました。

パブリック

それでは、上期実績について、セグメント別のご説明を申し上げます。7ページ目がパブリックでございます。売上収益につきましては、社会基盤領域で航空宇宙・防衛向けが増加したことによりまして、前年同期に比べまして3.8パーセント増加の4,197億円となりました。営業利益につきましては、社会基盤領域で前年度に一過性の利益を計上したことにより、前年同期に比べて23億円減少し、123億円の利益となっております。

エンタープライズ

8ページ目、エンタープライズでございます。売上収益につきましては、流通・サービス業向けを筆頭に、金融業向け、また製造業向けと、すべての領域で増加いたしております。その結果、前年同期に比べまして10.3パーセント増加し、2,117億円となりました。なお、流通・サービス向けは、コンビニエンス向けが好調で、また金融業向けは、とくに保険・証券業がそれぞれ好調でございました。

営業利益につきましては、全社のIoT基盤が商用段階に移ったことに伴う、ビジネスユニット間での開発費の見直しによって、20億円の負担増がこのエンタープライズにございましたけれども、大幅な売上増により、その影響をしっかりと吸収いたしまして、前年同期並の157億円の利益となりました。

ネットワークサービス

9ページ目、ネットワークサービスです。売上収益は、ITサービスが減少したものの、ネットワークインフラが増加しまして、前年同期に比べて1.6パーセント増加の1,760億円となりました。営業利益は、ネットワークインフラの収益性は、上期では改善したものの、ITサービスにおける特定プロジェクトの一過性の損失で、約30億円を計上したことにより、前年同期に比べて21億円減少し、34億円の利益となりました。

システムプラットフォーム

10ページ目、システムプラットフォームでございます。売上収益は、ビジネスPCが増加したことによりまして、前年同期に比べて0.5パーセント増加の2,426億円となりました。営業利益は、新製品の立ち上げに伴う投資費用の増によりまして、前年同期に比べて13億円減少し、40億円の利益となりました。

グローバル

11ページ、グローバルです。売上収益につきましては、海洋システムやディスプレイが減少したものの、セーフティ事業が大幅に増加したことによりまして、前年同期に比べて0.6パーセント増加し、2,133億円となりました。営業損益は、セーフティやワイヤレスソリューションの収益性が改善したことによりまして、前年同期に比べて60億円改善し、50億円の損失となりました。

グローバル事業の状況

12ページ目、グローバルの内訳について少し説明をしたいと思います。左側の棒グラフは、このグローバル事業に含まれる主要事業の売上規模のイメージでございます。右側では、主な事業の上期のトピックスをご紹介しています。

セーフティ事業につきましては、Northgate Public Services社の新規連結や、オーガニックの案件獲得によりまして、前年同期に比べて175パーセントという大幅な増収となりました。サービスプロバイダソリューションは、前年同期比で減収となったものの受注は好調で、大型案件の獲得もあり、着実に増加しております。

ワイヤレスソリューションの売上は、ほぼ横ばいとなっております。また、海洋システムにつきましては、案件の時期ずれによりまして、1Qを中心に減収となってございましたけれども、新規案件の受注が非常に好調に推移しておりまして、年間ではリカバリーをして、前年度並の水準を見込んでおります。

当期利益増減(前年同期比)

13ページ、当期利益の増減のグラフでございます。営業損益が66億円改善いたしましたが、金融損益等が、前年同期にございましたNECトーキン、およびルネサスエレクトロニクスの株式売却益を計上したことによりまして、156億円悪化いたしております。これらの結果、当期利益は、前年同期に比べまして96億円減少し、92億円の利益となりました。

フリー・キャッシュ・フローの状況

14ページ目は、フリー・キャッシュ・フローの状況です。上期のフリー・キャッシュ・フローにつきましては、前年同期に比べて大きく減少いたしておりますので、その要因について少しご説明を申し上げます。まず、下側の投資キャッシュ・フローにつきましては、前年同期にございましたトーキンの株式、そしてルネサスの株式の譲渡、またトーキンからの貸付金の返済などの特殊要因が、約500億円ございましたことにより、567億円の悪化となっております。

営業キャッシュ・フローにつきましては、こちらも前年度末に入金前倒しが100億円強あったことによる反動と、売上増に伴います債権の増加によりまして、358億円の悪化となりました。これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは、前年同期と比べまして925億円の悪化となりましたが、今までご説明のとおり、とくに事業上の問題はないと考えてございます。

業績予想サマリー

続きまして、年間の業績予想についてご説明を申し上げます。16ページ目でございます。年間の業績予想につきましては、4月27日に公表させていただいた計画からの変更はございません。営業利益は500億円と、減益の計画となっております。これは、通期の決算時にご説明したとおり、構造改革費用を一過性の悪化要因ということで織り込んでいるほか、成長投資などを織り込んでいるため、この数値となってございます。

この上期が終了した時点では、概ね社内の計画どおりの進捗でございます。下期を見た時に、さらに上振れを期待できるところもありますし、またリスクがあるところも、両方ございます。しかしながら、全体としては、通期の業績予想については達成できると考えております。

事業環境認識

17ページ目、事業環境の認識をご説明したいと思います。こちらは、国内のITサービスの受注の状況をお示ししたグラフでございます。上期の受注につきましては、金融、公共、製造業向けを中心として好調に推移した結果、前年同期比で107パーセントでした。これは、1Qも2Qも同じでございますが、上期全体で107パーセントという水準になっております。このような状況を踏まえまして、上期に受注がよかった領域を中心として、年間での業績改善に期待をしております。

グローバル事業の年間見通し

18ページ目は、グローバル事業の営業損益の年間見通しについて説明したものでございます。左側の棒グラフは、グローバル事業の営業損益の上期の実績、下期の変化の予想を示したグラフでございます。

この上期につきましては、売上増に伴うセーフティ事業の黒字化、ワイヤレスソリューションの収益性の改善などによりまして、グローバル事業全体では前年同期比で60億円の改善となってございます。下期につきましては、前年同期比で約220億円の改善を実現したいと考えております。セーフティにつきましては、堅調に推移しています。

ワイヤレスソリューションにつきましては、前年度下期にございました30億円の不採算案件、そして構造改革費用の30億円がなくなることに加えまして、今年度下期には、その構造改革の効果といたしまして、約15億円の改善が期待できます。

しかしながら、サービスプロバイダソリューション、エネルギー、ディスプレイ等にリスクがあると考えておりまして、引き続き収益改善への取り組みを強化していく必要があると考えております。

2020中期経営計画の進捗

最後に、2020中期経営計画の進捗についてご説明を申し上げます。20ページ目は、当社の3つの中期経営計画の方針について、この上期の主な進捗をまとめたものでございます。1点目の収益構造の改革につきましては、SGA削減のため、特別転進支援施策の募集を今週から始めております。一応、計画どおり推進しております。

また、事業構造改革の中では、ワイヤレスソリューション事業の収益性改善に取り組んでおりまして、順調に推移していると考えております。また、エネルギーにつきましては、本年8月にNECエナジーデバイスが新たな売却先を決定いたしましたけれども、エナジーソリューションにつきましては、未だに改革の途中ということで、引き続き収益性の改善に努めてまいりたいと考えております。

2つ目の、成長の実現におきましては、成長エンジンとして掲げました「NEC Safer Cities」が、ノースゲートの新規連結、あるいはオーガニックでの案件獲得によりまして、着実に伸長していると考えています。

3つ目の、実行力の改革では、社員の力を最大限に引き出す改革として、「Project RISE」を開始しました。その活動の中で、NECグループの全員がどのような行動が求められるのか、期待されているものを示す5つの「Code of Values」というものも設定して、これを十分に全員に徹底しているところでございます。ここでお示ししているいくつかの取り組みにつきまして、このあと少し詳しく説明をしたいと思います。

セーフティ事業の状況

まず21ページ目、NEC Safer Citiesの進捗をご説明したいと思います。2020中期経営計画で、グローバル事業の成長エンジンとして掲げましたセーフティ事業についてです。オーガニックでは、この上期に米国政府向けの案件を受注したことに加えまして、APAC・欧州・中東などの、グローバルでの空港関係の案件が、非常に活況となっております。さらに、インオーガニックでも、NPSとの連携による成果の創出や、買収出資などの取り組みも、並行して進めてございます。

現時点でこの領域は、順調に売上損益の改善が進んでおりますが、引き続き、足元で好調なオーガニックでの拡大に努めますとともに、さらなるM&Aについても積極的に検討しております。

ワイヤレスソリューションの収益改善への取り組み

22ページ目はワイヤレスソリューションとして、PASOLINKの収益性改善への取り組みをご説明させていただきます。この上期につきましては、同事業における最優先課題を、とにかく黒字化だということで明確に定めまして、とくに利益にこだわった選別受注や、機種の絞り込みを進めました。その結果、2Qでの収益改善を実現することができました。

下期も引き続き、収益性改善に向けた取り組みを加速するとともに、同事業で中期的に収益を確保していくための施策の検討を進めまして、今年度中にその方針を固めてまいりたいと考えております。

グローバル市場に向けた5G領域での協業v

23ページ目、5G領域での協業についてご説明させていただきます。当社は先般、10月24日にプレスリリースを行いましたとおり、サムスン電子とグローバル市場におきます、5Gのポートフォリオ拡大のための協業に同意いたしました。

ここでは両者の強みを活かして、5G標準に準拠した製品を共同で開発し、グローバル市場への展開をとおして、グローバルで5Gにおけるリーディングポジションの獲得と、ソフトウェア・サービス領域におきます展開の加速を狙ってまいりたいと考えております。

Project RISE

24ページ目、こちらはProject RISEについてのご説明でございます。NECの文化を根本から変革するために、Project RISEを始動しております。このプロジェクトで改革をやり遂げるためのキードライバーとして掲げているのが、この3つのキードライバーになっております。

それぞれのキードライバーについて取り組みを進めていくことになっていますが、今年度はとくに、先ほど申しました「Code of Values」の設定と浸透。そして、成長を促す人事評価制度の確立と経営層への適用。また、プロセスと仕事のシンプル化として、現在の業務、あるいはプロセスの50パーセント削減を目指す施策の展開に、現在注力してございます。

ご説明いたしましたとおり、上期はいくつかの領域で、改善の効果が既に現れていると認識しております。下期も引き続き改革の手を緩めず、年間計画および中期経営計画の達成に向けて、取り組みを進めてまいりたいと考えております。

以上をもちまして、決算概要および、2020中期経営計画の進捗状況についてのご説明を終わらせていただきます。ご清聴、どうもありがとうございました。