ドコモと同規模の顧客還元は想定している?

質問者1:テレビ朝日のヤギと申します。ドコモが「(2019年度第1四半期に、携帯電話料金を現在より2~4割値下げして)年間4,000億円規模を還元する」と発表していますけれども、それと同じような規模の還元は、具体的に考えていますでしょうか?

孫正義氏(以下、孫)先ほどから申しましたように、我々もしっかりと顧客還元を行っていきたい。しかし、併せて増益を実現させていきたいと思っております。

質問者1:それから、菅官房長官が「日本の携帯料金は高いので、今よりも4割程度下げる余地がある」と発言しておりますけれども、この発言についてはどのように受け止めていらっしゃいますか?

:真摯に受け止めながら、しっかりと対応していきたいと思っています。

質問者1:「4割程度」というこの数字については、いかがでしょうか?

:私どもは、先ほどもちょっと説明しましたが、安い料金サービスのワイモバイルと、多くのデータを求められるお客さまへのデータパケットが安いソフトバンクモバイルの両方を提供しておりまして、これからさらにしっかりと推し進めていきたいと思っております。

質問者1:ありがとうございます。

サウジアラビアの事件は今後の戦略に影響する?

質問者2:日経コンピュータのオオワダです。冒頭に説明があったサウジの関連の話で、1つ追加で聞きたいんですけれども。第2・第3の10兆円ファンド……今後の戦略に、変化あるいは影響は出てくるんでしょうか? そのあたりをお聞かせください。

:まだ、Vision Fund1のお金が残っております。それに加えまして、上場がどんどんと進んできておりますので、資金回収もあります。そういうものをしっかりと使いながら、まだVision Fund2を行うには、少し時期尚早でありますので、もう少し慎重に考えていきたい。

しかし、大きな流れとしては、Vision Fund2や3というのは「SoftBank 2.0」の大きな方向性として何ら変わりなく、今後も拡大させていきたいと思っています。

質問者2:「Pepper」についてなんですけど、法人向けのモデルを発売してから3年経ったと思うんですが、契約更改をする会社が若干低迷しているように見えるんですけれども。人型ロボットの先陣を切ったソフトバンクとして、あるいは「Pepper」の父としても孫さんが知られていますので、息子・Pepperくんの3年間を総括するとともに、人型ロボットの可能性・展望を、あらためてお聞かせください。

:人型ロボットの将来は、これから30年、50年、100年……と続いていくものだと思っています。ですから(何が言えるかというと、例えば)パソコンが生まれてすぐに今のような機能を果たせたかと言うと、そうではなかったと思います。

同じように人型ロボットも、まだ出たばかりということで、改善すべき機能もたくさんありますけれども、いくつかのお客さまにおいては、非常に「Pepper」が店舗の運営に役立っている。はま寿司さんとか、いろんなところがありますが。

そういう事例も出始めておりますので、ぜひ有効活用できるように、これからも機能を改善させていきたいと思っています。まだまだ、これから先の長い重要なテーマだと思っています。

Vision Fundとサウジの関係維持における逡巡はある?

質問者3:朝日新聞のオオシカです。孫さんが、冒頭で非常に沈痛な面持ちで(サウジアラビア人記者の)カショギさんが殺されて、言論の自由やジャーナリズムに対する、非常に重要な問題を提起されている話がございました。

一方、ソフトバンクのVision Fundは、サウジとの関係を今後も維持していくということだったと思います。今回のカショギさんの件で、孫さんとしても少しは逡巡と言うか、多少躊躇するようなことは、多少脳裏に浮かんだのかどうか。

ヴァージン・グループのブランソン氏が(所有している、宇宙関連企業のヴァージン・ギャラクティックへのサウジアラビアの公的投資基金による投資交渉を)途中で取り止めた報道がありました。そういう点で、孫さんとしてはそこをどう……「それとこれは別だよ」と、躊躇なく突き進むことになったのか。それとも、多少は心の逡巡みたいなものがあったのかなど、まずそのへんをお聞かせください。

:今回の事件が起きる前に、すでにサウジ国家としての資金は預かって、その運用を行っているわけです。預かって運用をしている、投資を行っている。その責務を、急に投げ出すわけにはいかないということです。

ですから、すでに預かっているものに対しては、我々はしっかりとその責務を果たしていかなければいけないと思っております。今後の新たなものについてどうするのかについては、事件の真相究明がしっかりと行われて、その説明が行われたのちにあらためてもう一度よく考えることになろうかと思います。

質問者3:サウジにも行かれたそうですけど、先方の高官に直接お会いして懸念を表明されたということですが、具体的にはどういうことを、どういう方に懸念を表明されたんでしょうか? この点で、皇太子とは何かお話をされたことはあるんでしょうか?

:皇太子にもお会いしましたし、そのほか多くの大臣や政府高官の方々ともお会いしました。そしてその上で、直接私どもの懸念と、また今回の事件に対する真相究明をしっかりと行っていただきたいと申し上げてきたわけであります。

質問者3:どんなご返事だったんですか?

:非常に、真摯に受け止めておられたと感じています。

質問者3:わかりました。ありがとうございました。

ブラジルでのプレゼンスを高める予定は?

質問者4:レナウド・パークです。ブラジルからまいりました。最近、ブラジルにも投資をされたということです。ロッジという会社です。そこで質問です。今後、ブラジルでのプレゼンスを高めるご予定はあるでしょうか?

:我々の投資を増やしていきたいと考えています。どの会社かはまだ決めておりませんが、非常に楽しみにしております。この機会に心躍る思いです。

質問者4:アントレプレナーとして、我々は常にオープンです。話をしたいと思います。

CFIUSをどう見ている?

質問者5:テレビ東京のタキタです。おうかがいしたいのは、1点目に、アメリカと中国の最近の関係であります。アメリカが中国からの投資に対して、CFIUS(対米外国投資委員会)の機能を強化していると思います。

孫さんのソフトバンクグループは中国でのビジネスが非常に盛んだと思いますけれども、その対中ビジネスを活発にしていることのために、CFIUS等によって対外ビジネスないしはアメリカに絡むビジネスが支障を受ける可能性は、どのくらいリスクとして考えておられるでしょうか? これが1点目です。

:今、我々は世界中に投資を行っていますが、だいたい全体の中の3割ぐらいが米国への投資です。そして、また同じく約3割ぐらいが中国への投資でありました。残りの4割がその他の国々。これは、世界にまたがっております。

3割・3割・4割。つまり、世界中に投資しているということです。その世界の経済の中心が米中であり、残りも我々は4割くらい投資しているということであれば、どこかに偏ってどこかに肩入れするとかいうことでもなくて、あくまでも我々は中立にビジネスオポチュニティのあるものに対して、政治色を出さずに投資をしているのが実態です。ですから、今後もそれは続けていきたいと思っています。

質問者5:関連の質問で2問目をおうかがいしますが、先ほどスプリントとTモバイルの合併というか統合のお話で、「非常に確信を持っておられる」とのお話でした。1問目と関連しますが、ソフトバンクグループの中国でのビジネス展開が、合併ないし統合に影響を与える可能性を、どのくらいお考えでしょうか? 以上であります。

:基本的にスプリントの経営は、あくまでも現地の経営陣がしっかりと行っていて。我々の買収直後は私自身も深く非常に深く関わってましたし、ソフトバンクから多くの経営陣を送り込んでました。

しかし現在は、我々は株主ではありますけれども、経営はもうすでに米国にいるマネジメント・社員がほとんど中心に行っているわけです。ですから、我々がVision Fundということで、まったくスプリントとは関係のない資金源、そしてマネジメントを行っている状況の中、それがスプリントとTモバイルの合併承認に何らかの影響を与えることは、考えにくいと思っています。

IT企業対象の各国政府の規制をどう捉えている?

質問者6:NHKのノガミです。

今回の決算、Vision Fundの投資先の評価益がだいぶ向上したと思うんですけれども。いずれも、次の時代のプラットフォーマーになりうる企業たちだと思うんですが、最近EUとか日本政府側で、GAFAを始めとするプラットフォーマーに対する規制を強める動きが相次いでおりまして、ここ日本でもその議論が経産省・総務省等で始まっています。

ビジネスを展開する上で、孫さんとしての、こうした各国政府の規制に対するお考えをお聞かせください。

:プラットフォーマーとしてGAFAの4、5社に力が偏りすぎているということが1つの問題であるとするならば、我々はまったく新しいGAFAの外に、新たな勢力を築こうということですから、バランスの観点からも違う勢力ができるということは、ある意味1つの解決策の提示ではないかと思います。

一方、データがさまざまな事業に活用されることそのものを規制しようということになると、セキュリティだとかあるいはプライバシーというものをしっかりとマネージしていくということは、人類にとって大切なことですけれども、併せて、これを閉ざしてしまうということになると、これまた我々の伸展を阻害してしまうものになってしまうということだと思うんです。ですから、この両方のバランスをしっかりととりながらやっていくと。

自動車社会がやってくれば、自動車社会としての公害だとか事故が起きていく。だから規制をし、交通のルールをつくるというのは当然のことです。でも、自動車社会そのものを否定してはいけないと。

同じように、AIの時代がやってくると。この流れは誰も止められないし、止めるべきではないと。それによって、より人々が幸せになれる、そういう社会がやってくると私は信じてますので、その弊害が起きないような範囲で規制をすると。これは大切なことだと思います。

質問者6:そういう点で言うと、イギリス政府なんかは先月(2018年10月に発表した、2020年4月から導入予定の)「デジタル課税」というので、一定の売上があったIT企業については一律で税率を課すという方針もありましたが。こういうふうに、すべからくIT企業を対象とする規制についてはいかがでしょうか?

:特定の国が、その国で起きるものすべてに、そういうふうに規制するとか課税するというふうになると、その国は進化から取り残される危険性があるということでもあると思うんです。

これはこれで、「電気のない国にしていいのか?」というのと同じことになるようなリスクを伴うということです。データが行き来しないような国になったら、その国の進展は止まるということにもなりかねないので、そのバランスはしっかりと見ながら運営していくということが大切だと思います。

ワイモバイルの分離プランはどうなる?

質問者7:朝日新聞のトクシマといいます。

先ほどのご発言のなかで、ワイモバイルについても分離プランを導入されるとおっしゃっておられたと思うんですが。今、すでにワイモバイルは、基本的に分離プランなのかなと思っていたんですが、具体的にどのようなプランをお考えなんでしょうか?

また、今は例えば1,980円などと設定されている通信料金が、さらに下がるという理解でよろしいんでしょうか? お願いいたします。

:じゃあ、宮内社長からお願いします。

宮内謙氏(以下、宮内):はい、お答えします。

ワイモバイルの分離プランについては、先ほど孫もお話ししたかと思いますが、来年(2019年)の上期あたりに対応したいと思っております。当然、今は月々割が一部入っておりますから、そういう意味では、端末のトータルの値段としては少し下がるような状況になると思います。

質問者7:ごめんなさい、関連してなんですが、ワイモバイルの月々の通信料金が、今の1,980円よりも下がるという理解でよろしいんでしょうか?

宮内:そうですね。今回、我々が(2018年)9月からスタートしたソフトバンクブランドの2つのプランがありますが、これも分離型プランを導入することによって2、3割下がっているんです。ワイモバイルの場合、現在ももう十分安い価格でございますけれども、当然下がることになると思います……1、2割。

:後藤は、コメントある?

後藤芳光氏(以下、後藤):詳細はこれからです。

:詳細は、これから詰めることになります。

質問者7:ありがとうございます。

:じゃあその横の方。

ライセンスフリーのCPUコアをどう考えている?

質問者8:テクノロジージャーナリストのツダと申します。今日は、どうもありがとうございます。

armについておうかがいしたいんですが。先ほど、arm……前回までは、どちらかというとIoTのエンジン側のお話をされていたんですが、今日はどちらかというとインフラ系とかデータセンターとか通信用の(高性能プロセッサー群の)「Neoverse」のお話をされたと思うんですが。

armのようなライセンスのあるIPコアに対して、最近UCバークレーを中心としました「RISC-V」というフリーのCPUコアが出てきています。これに対して、どのようにお考えになっていらっしゃるんでしょうか?

つまり、「RISC-V」も実はずいぶんアメリカの大手……GAFAみたいなところからも参加メンバーに入っていますので、それに対してどのように考えていらっしゃいますでしょうか?

:「RISC-V」は「RISC-V」で、オープンソースとして一生懸命やっておられますし、またそれは、我々も尊重しております。

しかし、実際に責任のある製品を展開していこうとした時に、IPの問題としてセキュリティをしっかりと担保できるのかと。いろんなハッキングだとかウイルスだとか、最近いろんな問題があります。そういうことを、いったい誰が担保するのかというようなことも含めて、これからはむしろ、そういう問題のほうが大きくなるのではないかというふうに思います。

そもそも、「RISC-V」はIoTのチップへの対抗のようなものですけれども、その分野に対するarmのロイヤリティというのは、1セントとか2セントというものですから、そもそもが。

その1セントか2セントを節約したいために、無償のもので、しかもオープンソースだからといって、誰もセキュリティのリスク等に対して、あるいはOSというものに対して、しっかりと責任をとっていくという体制のできていないものに、どれほど自分たちの事業の屋台骨を乗せられるかというと……まあ、いろんな別の問題があるんじゃないかと思います。

モバイル通信事業の人員削減について

質問者9:テレビ朝日のニシダと申します。

先ほど、モバイルの通信事業に関わる人員を4割削減したいというお話があったと思うんですが、これはいわゆる今の官邸とか世の中の流れの、「携帯料金をもっと安くしなければいけない」という流れを鑑みたからなのでしょうか?

:はい、そうです。

質問者9:わかりました、ありがとうございます。

「情報革命で人々を幸せにする」の達成率は?

質問者10:ブルームバーグ・ニュースのヒュウガと言います。よろしくお願いいたします。2つ、質問があります。

1つは上場についてですが、先ほど「上場後は増収増益でいきたい」と、上場後のビジョン、それから資金使途についてもお話をいただいたんですが。ドコモが料金値下げを表明されて以降、また昨今の日経平均の下げが、どの程度計画されているバリュエーションに影響を与えたか。また、上場の時期・売り出しの時期といったものに影響を与えたか、そのあたりを知りたいのですが。

:それは、市場が決めることであります。しかし我々としては、今日改めて(申し上げることは)しっかりと増益していきたい。そのために、今も質問がありましたように、人員を4割削減し、コストダウンし、しっかりと我々としては、言い訳抜きで増益を図っていきたいということであります。

増収というものを、担保するのではありません。端末が分離型になりますので、端末をこれからSIMフリーの安い端末とか、そういうものをお客さまがより自由に選択することができるようになれば、当然その端末の売上は絶対額が減っていくことは、想定として十分ありえます。

ですから、売上増かどうかはやってみないとわからない部分がありますが、少なくともそれはお客さまに端末の選択肢を与えるわけで、もともと端末では我々、利益を出していません。端末は売上の額には大きく影響を与えますが、端末が安い端末になったからといって、我々の利益がマイナスに影響を受けるわけではないということで、売上は伸びないかもしれない。減るかもしれない。しかし、利益はコストダウンを含めて、しっかりと出していけるようにしていきたい。

配当政策としては、高配当を我々としては打ち出していきたい。それは、Vision Fundなどでも、持株会社としてのSBGは健全な資金使途がある。あるいは、有利子負債の削減・支払いにも使われることがありますので、高配当で増益ということであれば、どのようにIPOの価格に影響を与えるのかは、まだ多くのみなさまがこれから消化されて、判断されていくものではないかと思います。

質問者10:よくわかりました。

2つ目なんですが、経営理念に掲げられている「情報革命で人々を幸せにする」というところなんですけれども。孫社長としては、現時点でどの程度、その理念を達成していると思われていらっしゃるのか?

今日いろいろとスライドでお示ししていただいた数があまりにも膨大だったので、まだまだ叶えたいビジネスがあるのか、それともある程度、もう満足をしてらっしゃる状況なのか。お考えをお聞かせください。

:まだ、まったく満足していないということです。始まったばかりだと、これから本番が始まると思っています。

なぜ人員削減策をとるのか?

質問者11:東洋経済のオオクラと申します。今ほどの質疑の中でも、モバイル通信事業の人員の4割削減について、「『携帯料金をもっと安くしなければいけない』という流れを踏まえたものか?」という質問に対して「そうだ」とおっしゃってたと思うんですけど。

本日の説明の中でも、例えば大容量のプランについても、パケットから見れば十分安いということで、あらゆる面から見ても安いということをおっしゃっていたと思うんですけども、それなのに、なぜこの対応をしなければいけないのかということについてうかがいたいのと。

併せてあと、この人員4割削減はいつ頃を目処とお考えなのかについても、教えてください。お願いします。

:ワイモバイルの料金単価は、アメリカやヨーロッパと比べてみても十分安いと認識してますし、大容量のパケット単価については、ソフトバンクモバイルは、これまた動画なども含めてパケット単価がより安いというのは、さっき説明したとおりです。

「それなのに、なぜさらに人員を削減するのか?」ということですけれども、ドコモさんの料金プランは、「来春まで、具体的にいったい何がどういくらになるのか」ということは、まだ正確には表明しておられません。

ですから私どもとしては、どのような状況になっても、常にしっかりと気を引き締めて、言い訳抜きで増益を達成していくためには、これを機会にさらに我々自身のコストダウンを図って、経営の効率を上げる。それを、単に根性論でやるのではなくて、科学的に行う。

そのために、RPAをもっと積極的に進めるということです。そして、その人員は新規事業にどんどん回す。こういうかたちで、全体のエコシステムの答えを出したつもりです。

質問者11:すみません。4割削減の時期の目処については、いつ頃かお聞かせいただけますか?

:これは、これから粛々とやっていくということで、具体的に「12ヶ月」とか「18ヶ月」と決めているわけではなくて、おそらくこれから2、3年になろうかと思います。

ムハンマド皇太子の言葉は?

質問者12:テレビ朝日『モーニングショー』のオカヤスです。よろしくお願いいたします。先ほどのサウジ関連で、追加で1つお聞きたいんですけれども。ムハンマド皇太子にも面会されたということですが、皇太子はカショギ氏の事件に関して、どのように言及されたんでしょうか?

:「起こってはならない事件であった」という感じでした。

質問者12:ご自身の関与とかについては、まったく言及はなかったんでしょうか?

:もちろん、そんなことはありません。

質問者12:ありがとうございます。

カショギ氏の事件とVision Fund投資の関連

質問者13:ウォール・ストリート・ジャーナルのネギシと申します。カショギ氏殺害の話がありましたが、その他に、イエメン空爆やそれによる飢餓など、他のサウジの人権侵害の問題があります。それでも、カショギ事件の真相によっては、今後新たにサウジの資金を受け取る可能性はまだ残っているのでしょうか?

また、サウジとのつながりが嫌で、シリコンバレーの中で「ソフトバンクの投資を受け入れたくない」という会社は、現時点で出てきてますでしょうか?

:カショギ氏事件以外の部分については、政治のいろんな問題がありますし、米国とサウジの関係、あるいは日本政府とサウジの関係、イランとサウジの関係だとか、いろんな問題が複雑に絡んでいます。我々、ビジネスをやるものとして、政治の深いところにはあまり関与すべきではないと考えています。

今後のVision Fundとして、新たな資金をどう考えていくのかについては、まだ事件の真相究明がしっかりとなされて、その上で慎重に判断をすることになろうかと思います。

資金を受け取る側の企業についてですけれども、現時点では、我々にVision Fundのお金は受け取りたくないとか、そういう話はあまりきてない。若干の影響はあろうかと思いますけれども、我々としては真摯に、誠意をもって我々はきちっと説明し、慎重に行っていきたいと思っています。よろしいでしょうか?

大幅な値下げは考えていないのか?

質問者14:朝日新聞のイクタと言います。またモバイルの料金で、ソフトバンクのブランド本体については、今後値下げの可能性があるのかどうかなど、教えてください。

:すでに(2018年)9月に端末分離プランをいち早く発表し、そしてさらに「ウルトラギガモンスター」ということで、全体のデータトラフィックの43パーセントが……先ほどのYouTubeだとかInstagramだとか、いくつかのサービスで43パーセント(に相当するもの)なんです。これを全部無料カウントにするということは、それだけで実質4割値下げしたことになるわけです。

43パーセントのデータトラフィックを無料カウントということですから、それだけでも実質4割値下げ相当に当たるインパクトだと、私どもは捉えています。それでもさらに、他社のいろんな価格政策だとか、あるいは我々自身の価格に対する問題意識を含めて、常にたゆまない努力を続けていきたいと思っています。

質問者14:これ、そういう意味では……もう1つだけ。先ほど、「あくまで増益が基本だ」ということで。ドコモさんの値上げは減益してということなので、ああいうかたちでの大幅な値下げは、考えていないという理解でいいでしょうか?

:すでに、大幅な値下げを繰り返し行っているわけです。さらにこの後どうするかということは、しっかりと続けて検討していくと。こういうふうになります。

あと配当政策は、一般的なものの話を申し上げただけで……上場を前にして、言ってはいけないことといいことと、いろいろ難しい問題があるようでして(笑)。後ろから「修正せよ」といろいろと指示が今、上がってきていまして。

(会場笑)

:何かと、修正をさせていただきたいと(笑)。

(会場笑)

:9月に端末分離プランを発表して、25パーセントから30パーセント値下げ済みというのが、現在の状況です。さらにこの後どれくらい必要かというのは、競争の状態だとかいろんなものを見ながら、常に真摯に行っていくということですが。

どういう状況になろうとしても、コスト削減を自らにしっかり課しながら、先ほどのスプリントの図でもありましたように、たゆまない努力を行っていきたいと思っています。よろしいでしょうか?

NTTドコモの通信料値引きをどう考えている?

質問者15:日経ビジネスのタカツキと申します。端末分離プランを入れられたということですけれども、通信料が下がる一方で、端末価格が上がれば行って来いになり、消費者の負担そのものが下がらないことになります。

この点についてNTTドコモは先日、端末の割引を超えて、通信料で値引くことを明らかにしました。孫さんはこの点について、どのようにお考えでしょうか?

:端末は、安い端末をより選択しやすくなるわけです。今までは、ほとんど高い端末を中心に、我々が販売を行っていたわけですけれども。より安い端末、SIMフリーの端末なども含めて、お客さまの選択肢が広がるという意味では、お客さまは実質的なコストダウンを図りやすくなるということだと思います。

加えて、先ほどから繰り返し申していますように、すでに「ワイモバイル」は、他社のどれよりも安いというレベルにきていますし、世界的に比較しても安いと。

ソフトバンクの端末を分離した後の通信プランは、データパケット代として、先ほどから申していますように、YouTubeだとかInstagramとか、いろんなものが無料カウントになるということは、それだけで43パーセントのデータトラフィックなんです、平均すると。そこが安くなるということは、やっぱり安くなったんじゃないかと思います。

ですから、お客さまにはいろんな料金プランの選択肢があると。シンプルで、かつ選択肢があることが、お客さまに対するコストダウンになるのではないかと思います。それでも、なおかつ努力は続けるということです。

その他事業の有利子負債について

質問者16:日経新聞のイワオと申します。財務について、1点お願いします。保有株式の時価に対する有利子負債の比率、先ほど(その他事業で)32パーセントという数字があったかと思うんですが。(2018年)10月以降の株式の下落で、このあたりの水準感、どのようになっているか教えていただけませんか?

後藤:後藤でございます。現在の時価の規模に対する負債の比率を、先ほど32パーセントという数字……いわゆるLoan to Valueというものですけれども、示していますが。実際にはこれまでも表明していますとおり、私どもは、一時的にソフトバンクグループで保有している株式資産があります。SVFで意思決定がなされた後、譲渡されるもの。これを譲渡後の数字で考えますと、26パーセント程度でございまして、十分に安全圏だと思います。

また、上場が実現した後には、さらにこの財務数値は大きく改善すると考えています。従いまして、問題はないと考えています。

質問者16:35パーセントを目安としていらっしゃるのも、変わらないということですね?

後藤:一定のガイドラインとして考えています。

質問者16:ありがとうございます。

端末分離プランと年代について

質問者17:産経新聞のオオツボと言いますが。ちょっと細かい突っ込みのようで恐縮なんですけれども。ソフトバンクブランドの通信料金は、今後、端末分離プランがますますメインになるので、SIMフリーだとか、そういう端末価格安いのを選びやすくなるとおっしゃっているんですけれども。

ただ、若い人にはそれでもいいのかなと、自分で考えればいいのかなと思うんですけれども。SIMフリーを自分で選ぶというのを、なかなか60代の方ですとか、難しいのかなと思うんですが。そういったところはショップで教えるとか、そういったことまでお考えなのでしょうか?

:そうですね。ショップはそのためにありますから、ショップの店員のみなさんにご遠慮なく、みなさんがどんどん聞いていただくと。また我々からも、いろんなご要望に応えることができるようにご紹介していくと。こういうふうになろうかと思います。

だいぶ、時間になりました。誠意を持ってお答えしたつもりです。これからも、言い訳抜きで伸ばしていきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。