会社概要

谷好通氏:本来ここで(立って)お話しするべきなのですが、私はちょっと足が悪いものですから、ここで座らせていただきます。申し訳ございません、よろしくお願いいたします。

平成30年(2018年)6月期の決算説明です。その前に、初めての方もお見えになるかもしれないということで、ほんの2、3分ですが、会社の紹介をさせていただきたいと思います。

まず、会社概要です。(2018年6月末現在で)これだけの従業員数です。パート・アルバイトまで入れて、450人ちょっと。平均年齢が27.8歳と、非常に若い構成であります。

昭和60年 株式会社タニ、共同⽯油⾼津波給油所として創業

最初は、このようなガソリンスタンドからスタートしました。33年前(昭和60年・1985年)です。創業がガソリンスタンドでした。

⼆つの事業セグメント

私どもの会社は、2つの事業に分かれておりまして、1つはいろいろなケミカルや機械とか、そのようなものを開発・OEMで製造して、それを販売していく卸の部分。これと、そのようなものを使って、直営で実際にユーザーを対象にした小売店をやっております。小売と卸、その両方をやっている会社と言えると思います。

カーコーティングと洗⾞の専⾨店 キーパー LABO

(事業の)1つ目の小売です。直営で、これは「キーパーLABO」という店名で、今(2018年8月24日時点)は全国で73ヶ所になりました。この決算の期(2018年7月末時点)で言うと72ヶ所ですが、ついこのあいだ1ヶ所オープンしましたので、73ヶ所になりました。

私どもの社員は全員、一度この店舗に入ります。いろいろな技術や知識・接客を覚えまして、その店の店長になっていくコースと、もう1つはコースを終えた後、トレーニングセンターに行きます。ここに、いろいろな研修生が来られます。

2.キーパー製品等関連事業

今は、全部で13ヶ所のトレーニングセンターがあります。このトレーニングセンターに、年間延べで約5万人の方が来られますので、ここでトレーナートレーニングを行う。そのトレーニングをされる人は、主にガソリンスタンドの人です。そのガソリンスタンドの人が研修を受けて、検定に受かると、その技術を持った人がいる店で(働きます)。

キーパープロショップの店舗数

「キーパープロショップ」という名前で登録していて、これが(2018年7月12日時点で)5,769店舗ありました。今(2018年8月24日現在)は、もっと減っております。

と言いますのは、この「キーパープロショップ」は、ロイヤリティや会費のようなものをいただいておりません。ただ単に、技術をきちんと持っていて、そこで作られる「キーパーコーティング」という商品の品質を、着実に守る。それをきちんと約束していただいて、それを「どのように表現するか」「どのように営業するか」など、そのようなことまでは規制せずに、自由に行っていただくかたちでやっておりますので、ここまで膨らんでしまったわけですが。

エネオスやコスモとか、エクソンモービル。今はもうなくなりましたが、出光・昭和シェル。すべての元売から推薦されて、この「キーパープロショップ」というものが成り立ってまいりました。

この店は、商品の品質を保証している。この店舗としての品質を守るということだけを約束している関係ですので、もちろんケミカルの供給とか、そのようなビジネスももちろんありますが、約束事としてはそれだけです。

年に2回、先ほどのインストラクターたちが全国のショップを回りまして、全店チェックを行っています。今年(2018年)も8月と12月にありますので、この8月も着々とやっておりまして、ペケを打ったところが、もうすでに50件か60件ぐらいある。「品質を守る」ことが一番のブランディングになると考えて、そこの部分をきつくやっております。

(店舗数は)今日で5,680とか、そのような数字です。まだずっと増えていって、(ただ)全店チェックをやるとまた減っていくということで、なかなか6,000件にならないということが続いております。

キーパープロショップの主な活動

毎年「キーパー選手権」とか「キーパー技術コンテスト」とか、いろいろなことをやって、技術の維持に努めております。

KeePer技研株式会社のビジネスモデル

私どもの会社は、店舗と卸の営業。この2つから成り立っているわけですが、もう1つ、商品の「開発」という大きな要素があります。実際に、店舗で商品を活かしていくと(いうことです)。

これは、開発に大きく役に立っています。店舗で(仕事を)やっていた人間が技術を身につけて、営業でインストラクターをやっている。その人たちが、また店舗でやっていくと。このように、1つの循環のような構造になっております。

会社のご説明は、だいたいこのようなところで済ませたいと思います。またなにかご質問があったら、ぜひくださいませ。

損益

本題の決算です。

平成30年(2018年)6月期は、売上高においては4.5パーセントと、若干の増収ではありましたが、キーパー製品等関連事業……卸でマイナスが出ました。キーパーLABO運営事業では、新店をずいぶん作りましたのでプラスが出ましたが、差し引きして、若干のプラス。

営業利益は、両方を合わせて若干の前年比マイナスということで、当社が始まって以来、初めて減益になりました。

経常利益においても同じです。

ただ、純利益のところは、給料の賃上げを若干やりましたので、それに対する免税が2千何百万円戻ってきましたので、若干の減益には違いありませんが、経常利益・営業利益ほどは減っておりません。10.2パーセントのマイナスとなっております。

30年6⽉期決算に関する説明

これの理由は(スライドに)延々と書きましたが、大きく2つの要因があります。

1つ目の要因は、卸の部分(キーパー製品等関連事業)が、初めて減収になったと同時に、減益になった。なぜかと言うと、一番大きな要因は、この期(2018年6月期)の一番最初の方でしたっけ? ちょっと前かもしれませんが、この主な客先である石油業界の中で、JXエネルギーと、東燃ゼネラル(エッソ・モービル・ゼネラルマーク)が統合したことによって、今までこの2大勢力が、値段の面においても非常にしのぎを削ってきたところが、非常に安定したマーケットになってしまって、今は非常に豊かな業界になっている。

もともと、私どもKeePer技研を、石油業界でどの元売も採用してこられたのは、やはり燃料だけでは食っていけないという状況の中で、このようなもの……洗車やコーティングのようなものでも、がんばらなきゃということでやってくれていたのですが、今は燃料で非常に潤っています。ちょっとハングリーがなくなってしまったところがあって、感覚としては5パーセントから10パーセント、一時的に落ちたなと思っております。これが、今年(2018年)の春ぐらいまでありました。

ところが、やはりそのようなものはそのようなものとして、きちんとした収益が燃料でえられるようになったとしても、いずれ電動の車が普及してきた時には、燃料・数量そのものが落ちていくということは、避けようのないことです。

そのような時に備えて、いわゆる油外収益……燃料外・油外で「油外収益」というのですが。その緊張感を決して緩めるなということがあって、今年の5月ぐらいから、また同じような感じになりました。(その結果)6月~8月に至っては、いつもの前年比10パーセントぐらいの、プラスのペースに戻っております。

ただ、この平成30年6月期においては、その余波をまともに被っているということで、減収という初めての経験に加えて、減益がかなり出てしまったという部分です。

「このようなことが、やはりいつかはくる」ということを、何年か前に思っておりました。このようなことがあるとわかっていたので、このような時のためにも「直営の部分を強化しておかなければ」ということで、2年前よりたくさんの新店を出すようになりました。この期で18件、プラスリニューアルが2件で、20件。その前の期は16件ということで、非常にたくさんの店舗を作りました。

この「キーパーLABO」という店舗は、もう17、18年前から1軒目を作って、毎年2件~4件ぐらいを作ってきたわけですが、この16件・18件と作ったこの2年間の前と、同じだけの数……35、36件を、この2年で作ってしまいました。

この石油業界だけでは、いつかは頭打ちになる。この業界の中では圧倒的で、90パーセントに届くようなシェアでしたので、いつかは頭打ちになるということがわかっておりましたので、店舗を大急ぎで作り始めた2年目に、今度は石油業界で大きな動きがあって、先に頭打ちがきてしまった。

私どもの店舗は、ストックビジネスの傾向が非常に強いものですから、採算が取れるまでにやはり2年程度はかかるということで、今まで作った店舗の半分ぐらいを、この時期に作ってしまった。その店舗は、当然まだ赤字だということで、それを補いきれなかった。卸の減益を補いきれなかったということで、会社全体としては、初めての減益になったということです。

ただこれは、店舗を急激に増やしたという事実です。「もっとこの会社を成長させていこう」という意志をもってこのようなことをしたわけですので、今後このような店舗がもっと増えていくという中で、まだ成長が果たせるのではないかなと思っています。

そのためには、やはり今の時代は、人員確保が一番の問題になってくるわけです。これは幸いにも、新卒が今年(2018年)の4月に62名、去年(2017年)に64名入っておりまして、その子たちがほとんど残っております。2名ほど辞めただけで、非常に定着率がいいです。

それから、来年(2019年)の4月の採用予定も、大卒で25名の承諾書がきております。これから高卒の(採用)予定者がいますので、多分この感じだと、今年と同じくらいの人数の60数名は採れるのでないかなと思っております。

やはり、この現場仕事ですので、きつい仕事ではあるのですが、それなりの所得を確保するためにも、今年の2月に平均5パーセントぐらいのペースアップをいたしました。ここの部分もやはり、コストアップにはなっておりますが、これが減益の原因になっているということではありません。この部分については、間違いなく効果的であったなと思っています。

キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローです。

前の期のキャッシュ・フローで言いますと、営業キャッシュ・フローと店を建てるための当時のキャッシュ・フローと、だいたい同じ。あるいは、営業キャッシュ・フローの収入が若干多かったという……(新規出店の)16件でこのような構成になりましたが、今回の決算におきましては、若干の減益になっています。

かつ、新店を一番たくさん作りましたので、ここの部分においても、若干のマイナスになっています。ここでその成長を止めますと、今までやっていたことの意味がなくなるので、成長させよう、その意志は強く持っていこうということで、この期の終わりかけの時期に、銀行から借り入れをいたしました。現金を10億円調達して、この20件(の出店)ペースを、なお続けようとしました。

④対処すべき課題

このような状況の中で、何をやっていかなければいけないのかと言うと、まず「キーパーLABO」運営事業……直営に関して言えば、新店が採算に乗るまでに、やはりどうしても、2年は時間がかかってしまう。2年経つと非常に安定した経営になるのですが、この2年が、急激に新店を作っていくときには負担になるということで、ここをなんとか縮めようと、いろいろな工夫をしています。ここを短くすれば短くするだけ、新店を作っていくことができますので、まずここをなんとか短くしたいと思っています。

あと、新店を実際に、本当に(1年で)20件やるべきかどうなのか。きちんと計算をしてみると、「1年で10件に落としたほうがいいのではないか?」とか、いろいろ考えます。いろいろな計算をした上で、考えていこうと(いうことです)。従業員も揃えましたので、ここで今(1年で)10件にしてしまうと、人が余ってくるんです。今の時代に人が余るというのは、とんでもない話ですので。

これは少なくとも、集まってくれた分だけはきちんと(新規店舗を)作ろうと。だから、基本路線はやはり(1年で)20件だと思っています。ここで、ずいぶんいろいろな計算をして迷っているのですが、やはり20件は作りたいなと思っています。

かたや、卸のキーパー製品等関連事業は、今までは95パーセントがガソリンスタンド……石油販売業に力を注いできたわけですが、このままでは、やはりよくないと。ここではもう絶対的なポジションになったのですが、いずれは頭打ちになるのはわかっていましたので。

かねてより、いわゆるカーディーラー、車のメーカーとしての純正、新車のコーティングの部分も切り開いていこうということで、いくつか純正を取っています。これが、まだはっきりした数字にまで表れていないのは、これからの課題として、ますます大きなところになってくるのではないかなと思っています。

この新車のコーティングが、一番の軸になる活動です。それに加えて、昨年(2017年)からやっていました、タイでの「いすゞ」。日本ではトラックだけですが、タイにおいては非常にたくさん供給しているそうで、トータルで同じくらいのシェアを持っているらしいのですが。そこ用のケミカルを開発しまして、あまり研修をしなくてもできるものを作りました。

これの試験運用が終わって、本格的な展開が始まっています。だから、こちらはもう実際の数字になってくるなと思っています。今までも少しやっていましたが、この海外への第一歩が、本格的にできていく。このようなものも、実り始めているなということです。

もう1つは(スライドの右下で)「IT関連で(本格的な販売活動が始まる予定)」という言い方をしています。固有名詞はまだ言えませんが、スマホの画面のところにコーティングをするというものが、うちの材料がすごくうまくいくということで、これを採用していただけました。これがどの程度のビジネスになるかわかりませんが、上乗せになってくることは、間違いありません。

平成31年6⽉期 今後の⾒通し

今後の見通しとして、このようなプラス(要素を見込んでいます)。あるいは、石油・ガソリンスタンドの人たちの盛り返し。それから、今までずっと積み重ねてきた、カーディーラーへの働きかけ。そのようなものも実ってくることも入れて、卸(キーパー製品等関連事業)は、かなりの部分が伸びてくると踏んでいます。

それに加えて、「キーパーLABO」は、もう(1年間の新規出店数は)20件で計画が進んでいますので、これをどのようにコントロールするのかはよく考えますが、売上においてはやはりプラス20パーセントくらいになるでしょうし、相当なものが見込めるのではないかなと思っています。

そのようなものを見越しまして、今期(平成31年・2019年6月期)の売上高は83億400万円、13.5パーセントのプラス。営業利益は10億1,100万円、16.0パーセントのプラス。経常利益は10億2,800万円、当期純利益は6億6,700万円という計画をしています。

今回(平成30年・2018年6月期)、前回(期初)にお示しした予測を下回って、初めて下方修正をやりました。「これはもうやりたくない、やはりやってはいけない」と強く思いましたので、これは確実にできる数字だと思っています。

31年6⽉期 通期業績予想

その結果、売上高はこのような感じで伸び続け、経常利益は(平成30年・2018年6月期に)初めて減益で落ちましたけど、再び上昇に入る。

売上総利益の推移

私どもは、具体的な数字としては売上総利益を一番の目標にしてまいりました。ここの部分については、伸び続けることが実現できるのではないかと思っています。

指標等

指標等は、こうなっています。

【統計データ】ユーザーが⾞を⻑く乗るようになった

マーケットです。今は、少子化とかいろいろな問題が言われていて、当然「車も減ってくるのではないか?」と言われるわけですが。

確かに新車(の販売台数)の動向は、500万台を前後に上がったり下がったりしています。ただ、赤い折れ線グラフの、今道路を走っている車の平均年齢はずっと伸び続けていまして、2017年においては、とうとう8.53年にまで伸びたわけです。

【統計データ】乗⽤⾞の保有台数と⾃動⾞の平均⾞齢の推移

新車は売れていないけれど、みなさんが長く使うようになったということで、肝心の車の保有台数は伸び続けています。私たちが行っているコーティングは、長く乗っていただくための商品ですので、このような傾向の中で、まだまだ伸びていく余地はあると思っています。

季節変動について

これは季節変動(のご説明)です。12月に極端なピークがまいりますので、第2四半期では非常にいい数字が出ますが、トータルとしてはこのように、第2四半期とあまり変わらない結果になります。

【当社の強み】キーパーLABOとキーパープロショップの共存共栄関係

このような中で、「キーパーLABO」を急激に30何件作りましたので、そのおかげで「『キーパープロショップ』が落ちたのではないか?」と、一部の人によく言われるのですが、これはまったく外れているのではないか(と考えております)。

もう「キーパープロショップ」そのものは5千数百ヶ所、全国にくまなくありますので、その中に「キーパーLABO」をポコッと入れますと、その周辺店の「キーパープロショップ」は、どの地域でも同じですが、上がります。

これが刺激策になるとか、いろいろな部分があると思うのですが、「キーパーLABO」をその地域に持っていくと、その地域の「キーパープロショップ」も確実に上がっている。だから、「キーパープロショップ」を刺激していく意味でも、新規の「キーパーLABO」を建てていかなければと思ったぐらいですので、その逆の効果が出るのは、まずないだろうと考えています。

KeePerの認知度が上がることは、いろいろな面でプラスになっている。「キーパープロショップ」のみなさんの看板がKeePerの認知度を上げていて、「キーパーLABO」の販売にも活かしている。ここでの相乗効果を、お互いに確信しています。

30年度 新規開店

ここ1年で作った店舗です。新しいブランディングのカラーで非常に評判がいいので、この方向で作り続けたいと思っています。

31年度 新規開店①

ついこの間の(2018年)8月20日には、千葉県の市原市に作りました。

31年度 新規開店②

(2018年)9月中旬に、大阪府大阪市に鶴見店をオープンします。

31年度 新規開店③

神奈川県平塚市には(2018年)10月上旬にオープンします。このような感じで、月に1件、2件……と、また増えていくと思います。

【株主還元】配当政策および株主優待制度

一番最後になりましたが、配当政策および株主優待制度です。

ここは非常に考えるところがありまして、一昨年(2016年)、株主さまの数がどうしても欲しいということで、一律でクオカードをお配りする制度を入れたのですが、これがかえって、小さな株主さまを優遇しているだけになってしまうという、「不公平じゃないか」という声も(ございました)。

いろいろな問題を含んでいまして、この制度をどうするのか。クオカードについては、もうはっきりとやめたほうがいいのではないか。その分の予算を、配当に回したほうがいいのではないか。配当性向で5パーセントぐらいのプラスにできますので、そのようにしたほうがいいのではないかという議論を、今は一生懸命しています。方針が決まったら、それはきちんと開示していこうと思っています。

走りましたが、本年平成30年(2018年)6月度の決算について、おおよそのご説明とさせていただきたいと思います。