2017年12月期第2四半期決算説明会

西永裕司氏:オエノンホールディングスの西永と申します。よろしくお願いします。本日はお忙しい中、そして大変暑い中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

それでは、今日はこの3点についてご説明させていいただきたいと思います。まずは、第2四半期決算。お酒の会社では12月決算でございますので、1-6月の連結決算の内容でございます。

平成29年度 決算概要①

業界うんぬんということで言いますと、ここに書いてあるとおりでございますが、やっぱり6月の施行された改正酒税法。いわゆる「総販売原価割れはだめですよ」「安売りはだめですよ」と。

この法律の施行から、多少、業界の縮図といいますか、内容がちょっと変わってきた感じがいたします。お酒の種類の中ではビールの値段が上がったということで、このRTD(Ready to Drink)、つまり酎ハイ類が、さらに今、伸びを示している状況でございます。

平成29年度 決算概要②

では、決算の内容です。売上高がご覧のとおり、376億円で8億円の減収。前期比97パーセントとなっております。8億円の減収の内訳ですが、このうち7億円が酎ハイのPBの減です。ファミリーマート、ユニー。この2つで7億円の減収でございます。

それと35度のリカー(ホワイトリカー ゴードー 35パーセント)。あまりなじみはないのかもしれませんが、これは梅漬け込み用なんですね。本年度は異常気象ということで、梅の出来自体があまりよろしくなかったと。いうことで、結果的に35度の売上が伸びませんでした。

それと、ワイン。ワイン自体、市場環境はいいんですが、今売れているのはワンコインワインなんです。安いワイン。

私どもは1,000円前後のいわゆる中価格帯を得意としておりますので、どうしても中途半端感が否めないということで、市場の中でどうしても戦うことができなかったと。こういった35度、そしてワイン。それぞれ2億円程度の減収でございます。こういったところが減収の要因。

平成29年度 営業利益の増減要因①

結果的に営業利益が、売上の減に伴うものという総利益の減で、1億円の減益と。しかしながら、経常利益は1割の増ということで8億2,000万円。7,000万円増益となっております。

これは営業外なんですね。営業外は昨年度発生した為替差損というのがなくなった。逆に為替差益が出た。それと、昨年度末にバイオ事業、もうすでにやめたんですけど。それにかかる設備の減損を実行いたしました。

これによって、本年度そこにかかる費用、いわゆる減価償却費等でございますが、こういったものが発生しなかったという雑損失が減少したということもあって、経常利益は増益に転じていると。

平成29年度 営業利益の増減要因②

最終の親会社株主に帰属する四半期純利益につきましても、本年度から連結納税の部分、これを導入いたしましたので、税金費用も圧縮することができ、こちらも増益になっております。

営業利益の増減。一目瞭然ですね。お酒の事業、今申し上げたように減益。ただ一方で酵素医薬品。後ほど出てくると思いますが、こちらの方が輸出の酵素です。

「ラクターゼ」「ディスパーゼ®」が非常に好調に推移したことで増益となりました。売上の減少もありますし、原材料の高騰と。この中で一番大きいのはお米です。日本酒の原料となる原料米が、ちょっと高くなっているため、影響を受けています。

平成29年度 (酒類事業)原材料コスト上昇の内訳

それとエネルギーコスト。これもご案内のとおり、原油価格が上がってきたということもございまして、エネルギーコストが上がっているということ。これもいわゆるネガティブな要素として挙げられております。

今申し上げたことを表にしたのが、こんな感じです。お米にいたっては1億4,000万円。日本酒を作る事業会社がうちは何社かありますので、お米の値段が高いというのは利益に非常に影響があるということでございます。

平成29年度 為替影響額

為替につきましては、昨年度の上期がかなり円安傾向であったということもありまして、その裏返しで粗留アルコール等、これはブラジル等から輸入しているわけですけれども、円高という部分でのご利益といいますか、そういうものを得たということであります。

平成29年度 酒類事業の概況

利益をセグメント別に見ますと、酒類事業が赤字になってしまっております。これは改正酒税法でとくに日本酒が値上がりした。原料米が高いだけじゃなくて、日本酒のパック、普通酒、経済酒。

これが主たる手前どもの得意とする分野なんですけれども。値がぐっと上がりまして、日本酒離れにさらに負の拍車がかかったという言い方が適切かどうかはわかりませんけど、やっぱり影響が出てきたのかなという感じでございます。

それと原材料につきましては、粗留アルコールは、為替は円高でプラスではあるんですけれど、建値と言いますか、そのものの価格自体はちょっと高い傾向にあったというような感じでございます。

平成29年度 焼酎の売上高

焼酎の売上です。1パーセント減になっていますが、この減少は冒頭申し上げた35度の焼酎のマイナスが全体を引っ張ってしまったということでございます。

一方、うちの主たる製品である「博多の華」そして「すごむぎ・すごいも」。これは混和焼酎でございますが、好調に推移しています。

そして「北海道ビッグマン」。ローカルブランドということで、こちらも数字を伸ばしていると。ですから、35度のマイナス分がいかに大きかったのかということで。焼酎全般的には、比較的好調にこの1-6月、半期は過ぎたと考えて良いと思います。

平成29年度 チューハイの売上高

チューハイです。PB比率がここにあるように9割近くということで、結果、組織量販の取引が勝ったということが大きく響いてしまったという結果になっております。

平成29年度 アルコールの売上高

アルコールです。昨年度中期計画を発表しまして、5つの柱の中でアルコール事業というものも入れているんですが、売上そのものは多少増加しております。

ただ、全体的に供給量といいますか、アルコール生産のキャパの部分、これに限界がございますので、売上の上昇はなかなか望みにくいと。

それと単価自体が下がっているんですね。こういうこともございまして、1パーセントの伸びにとどまっていると。そんな中、酒類用が伸びているんですね。これはビール会社向けのアルコールが増えていると。

ビール会社の何に使うかというと、チューハイなんですね。ですからコンペチター(競合)でもあるし、お得意様でもあるという非常に微妙な関係にビール会社はあるというような感じでございます。

平成29年度 加工用澱粉事業の概況

加工用澱粉は、とうもろこしをアメリカから輸入しまして、それを砕いたものをお菓子の原料、そしてビールの原料、はたまたそのカスは家畜のエサとして利用します。

お菓子につきましては、今年みなさんご存知の通りですが、ポテチショックなんていいましたが、北海道の冷害によってじゃがいもが不作で、馬鈴薯澱粉を作ることができなかったということで、いわゆるコーン系のスナック、ああいったものが売れたのです。

その恩恵を当社も受けまして、お菓子用のグリッツはすごく増えております。ただ、一方で全般的にビールの消費が減っていると。さらにはこの6月からの改正酒税法の影響もあって、ビール用の購入率が大幅に減っていると。

ただ、アメリカから輸入するコーン原価自体、円高ということもあるのですが、これ自体は低減されていますので、利益については改善されているという結果でございます。

平成29年度 酵素医薬品事業の概況

酵素医薬品です。上半期のハイライトはこれにつきると思います。

私ども「ラクターゼ」という乳糖分解酵素を柱としておりまして、これについては世界第2位のシェアをもっていると。1位はオランダの会社です。

そちらはかなりうちを意識してということもあって、一昨年あたりから価格をかなり下げてきたのです。うちも対抗状況、価格で負けちゃいかんという事でやってきたわけですけれども、そういうことで売り上げ単価が下落して、非常に収益的に厳しい状況が続いたのです。

一方でこの効果といいますか、「ラクターゼ」自体の単価が下がったということで、世界各国の飲料メーカーが「ラクターゼ」について非常に目を向けてくるようになったのです。今までは単価が高くて、うちは使えないやというところが多かったのですけれど、単価が下がったことによって、非常に幅が広がったという。

結果的に「ラクターゼ」需要は今年に入って増えたということでございます。結果的に「ラクターゼ」の売上は大幅に増えたと。

それともう1つの酵素として「ディスパーゼ」。あまり聞きなれないものですが、これは例えば火傷等をしたときに、皮膚の移植がありますけど、シャーレ等で皮膚を培養していくというのがあるんですが、大きくしてそれをはりつける。

その時に、シャーレはどうしても皮膚がくっついてしまうのです。そのときに「ディスパーゼ」という酵素はくっついているものを剥がすという効果があるのです。

ですので、その効果を利用するということで、手術でよく癒着症なんてありますけど、使えばその癒着がされないということで、「ディスパーゼ」はさまざまなことで重宝されるんです。

今、食品用ではビフィズス菌を「ディスパーゼ」を使うと増えるという結果も出ています。飲料メーカーでも「ディスパーゼ」の効果に対して今たいへん興味をもっているということなので、ますますこの酵素は増えていく可能性があると。

ちなみにこの上半期で、前年、1年間売る部分をすべて売りつくした状況でございます。前倒しで受注があったということもあるんでしょうが、それでもこの上半期で去年分を全部売りつくしたということで、「ディスパーゼ」も今後伸び行く食品向け酵素という位置づけになってくるのではなかろうかと思います。

平成29年度 重要な経営指標の推移

財務の状況です。ご覧の通り、有利子負債も大幅に減りまして、一時期200億円を抱えていたわけですが、半分以下になっております。4分の1程度です。自己資本比率も4割近く。そして、D/Eレシオ、0.34倍ということなので、かなり設備投資を含めて余力があるというような感じでございます。

平成29年度 重点方針 焼酎事業の拡大

本年度の重点方針です。今年は広告といいますか、昨年度から徐々に進めてきているのですが、ローカルブランド戦略という事で、今まではどちらかというと販促費にディベート的なものを中心としてやってきたわけですけれども、そうではなく地方はこのCMを流すのも全然関東とは違い、低価格というかリーズナブルということもあって、積極的に投下しているということです。

「北海道ビッグマン」は私が北海道出身ということもありまして出させていただいて、非常に好調に推移していると。「博多の華」は、これWeb動画ですけれども。ここでこれが35周年ということもあり、やっております。

これも100パーセントを超えていると。そして混和焼酎(すごむぎ・すごいも)は、一番伸び行くものです。とくに関西圏・九州の西の方で、焼酎に対して売上が好調に推移していると。

これから秋・冬ということなので、さらにシーズンになってきますので売上が伸びていくと、そういう期待をしております。

平成29年度 重点方針 平成29年度 重点方針

それでは、「鍛高譚」が25周年ということで、Web動画を昨年の暮れからやりまして、第2弾は私も出て、結果的に今一度みなさま方に「鍛高譚」というものを知らしめるという効果はあったのではなかろうかと。

こちらにあるのが、先般、北海道でライジングサン ロックフェスティバル2017というのがあり、そこで「鍛高譚」ブースを設置いたしました。やっぱり若い方のアルコール離れというのが、我々アルコール業界にとって一番大きな命題でございます。

それに対して1つくさびを打つといいますか、やってみましょうということで、天候はあまりよろしくなかったのですけれども、結局もちろんお金を取って1杯いくらで売るわけですけれども、想定の倍以上売れたということで、主催者も非常に驚いているという感じです。

このような、ノベルティといいますか、「鍛高譚」の非売品。(タオルを掲げる)こういう大型ガチャを作り、いっぱい買ってくれた人がガチャを引いて、これが当たるというようなことをやりました。

ただ1つわかったのは、「鍛高譚」単体で作っているわけではなく、「鍛高譚」をアセロラで割ったり、そういうかたちでやっていると。「鍛高譚」をより美味しく飲ませる方法というか、我々作る側も「鍛高譚」だけでは非常に難しいということを改めて知ったという感じでもあります。

平成29年度 重点方針 アルコール事業 販売の拡大①

アルコール事業です。販売数量自体はすごい伸びています。だいたいアルコールの在庫は空というか、売れるものは全部売って。

平成29年度 重点方針 アルコール事業 販売の拡大②

ですから、清水工場で新しい蒸留地を製作中ということなのですが、ただ、いかんせん単価が下がっていますので、なかなか売上の増という部分には結び付かないと。ただ原価を下げていけば当然利益が出てくるという目論見がありますので、今50億円をかけて蒸留設備を静岡県の清水に建設中ということでございます。

この設備の目玉は、なんといっても、自己熱再生システムと言って、日本ではじめて導入するということで、なんとエネルギー7割カットという、嘘みたいな本当の話なんです。

これが実現しますと、今当社は、日本でいろんな所の会社がアルコールを作っているわけですけど、いちばん安く作れるという自負を持ってますけど、これをやりますと、もう他者はまったくうちには追随できないというぐらい、圧倒的な地位をこれで築き上げるというぐらいの設備であると考えております。

年間3億円のコストダウンということでありますので、アルコールビジネスが当社の柱となることは、言うまでもないのかなと思います。

平成29年度 重点方針 アルコール事業 販売の拡大③

仕組みはこのようなかっこうで、結局コージェネレーションみたいなものです。自分で発生させた熱を、もう1度再利用しましょうよ、ということであろうかと思います。

50億円という、うちにとっては大きな金額ではございますけども、先ほどの有利子負債うんぬんを考えれば、50億円は財務的には問題ないだろうということで、これによって年間4万キロ増産可能です。

平成29年度 重点方針 酵素医薬品事業の拡大①

その酵素、ご覧の通りの伸び率です。

世界各国、とくにヨーロッパ。ヨーロッパも北欧です。そしてアメリカ。こちらの方の販売が非常で好調であり、この決算説明会で前から申し上げている通り、やっぱりまだ白地というのは、アジアなんです。

これは中国であり韓国であり、はたまた東南アジアであり。今後の攻める場所といったら、そういうところじゃないかなと思います。

そういったところの所得もかなり上がってきています。ラクターゼ、ちょっと付加価値のある乳製品。こういったものの需要が、ますます増えてくるんではなかろうかと思います。

平成29年度 重点方針 酵素医薬品事業の拡大②

そして、国内においては、本年度から本格的にはじめたのが、生産支援ビジネスです。

これも、昨年度発表した中期経営計画の中の、5つの柱の中の1つとして、あげておるものでございます。

平たく言いますと、日本の大手の食品メーカーが、自分のところで作るのは、なかなか難しいという、いわゆる半製品です。製品になる前の状態を、ほかでやってもらえませんかというようなものなんです。

平成29年度 重点方針 酵素医薬品事業の拡大③

それをうちがお預かりして、うちの発酵技術、精製技術。こういったものを有している会社は日本ではそうはないということでございまして、そういった大手の食品メーカーのお眼鏡に叶って、今やっている次第でございます。

今、たくさんオーダーがありまして、それも全部捌ききれないというのが実態でございます。そのために、今設備投資を行うということで、今やっているところでございます。

ここにあるように、来年で14億円をかけてラクターゼの増産もしかり、そして、この生産支援ビジネスに寄与する設備も充実させていきましょうというところであります。

平成29年度 重点方針 CRE戦略①

CRE(Corporate Real Estate)戦略で、銀座のビルも50年経ちまして、再開発をしようと考えております。

取り壊しをして、新しくビルを建てます。そのあとは、賃貸ということでお貸しすると。どのようなかたちでお貸しするかというのは、まだ正確には決まっておりませんけど、大きな不動産の収益として、カウントできるんではなかろうかと思います。

一方、そこに今いる銀座のビルの本社の組織を、浅草です、東駒形の川沿いで、花火がよく見える絶好のロケーションの場所なんですけど、ここのビルを今回購入いたしまして、こちらの方に移転します。移転の時期については、まだ未定ということであります。

平成29年度 重点方針 CRE戦略②

そのほか、北の誉の工場。こちらも、そのままにしておくのはもったいないので、アイスクリームの会社にお貸しするということで、これも今工事をしている最中です。

越の華は、大島というところに土地を持っていたんですが、これも遊休地でございますので、老人ホームというか、医療施設でございますけど、そういうものに賃貸するということで、新たな不動産収入がここでカウントできるということであります。

平成29年度 第2四半期 株価の推移

株価です。これもみなさんよくご存知といいますか、見ているかもしれませんけども、コーポレートガバナンスコードということもありまして、「社長と語る会」を昨年1回やりまして、今年も1回やって、来月2回目やるという、結構頑張っているわけです。

そして単元株。1,000株から100株ということで、そのタイミングもあって、株価がぐんぐんと上がっているような感じです。やっと200円全般といいますか、まだまだ低位株かもしれませんけども、300円を部分を目指すところまできたのかなという感じであります。

平成29年度業績見通し

本年度の見通しです。先般発表した内容どおりでございますが、売上はどうしても上期の酎ハイのマイナス35度。これは取り返しがつきません。季節商材でございますので。

こういうこともあって、売上は現象いたしますけども、営業利益、経常利益、そして最初の当期純利益につきましては、当初の計画どおりというかたちで考えております。

配当は7円です。これも据え置きでございます。

平成29年度業績見通し 営業利益の増減要因

内容的には、お酒、そして加工用澱粉。これはちょっと、保守的に見ているという感じでございます。

ポテチの部分も、じゃがいももまた復活していますので、酵素製品がこれまで通り売れるということにもならないし、ビールもご覧の通り、あんまり調子がよくないということで、今期については厳しい状況かなということで、マイナスにしていますけど、それでも2億円までにはなるかなという感じであります。

ただ一方、酵素の方は非常に絶好調ということもございまして、この数字は、控えめに見てこのぐらいになるでしょうというような感じで計画をしております。

平成29年度業績見通し(酒類事業)原材料コストの内訳

原材料です。やっぱりお米です。一向に安くなる気配がないです。ただ、今年の新米といいますか、新しいお米が出たときにどうなるか。

しかしながら、天候不順等が続いている中で、お米の出来もあんまり期待できるものではないのかなという感じがします。

一方、エネルギーコストにつきましては、原油価格も今落ち着いていると言いますか、1バレル50ドルを切っているところで落ち着いておりますし、これ以上のマイナスということは、ないのかなとは思っております。

平成29年度業績見通し 想定為替レート

予算と言いますか、計画のレートです。

ドル円、ユーロ円とも115円ということで考えておりますので、これも保守的に見ておるという感じでありますので、これが円高の方にブレますと、利益が底上げになるというようなことであります。

平成29年度業績見通し 為替影響額

為替の影響は、ですからマイナスもプラスもいってこいというような感じであります。

以上が、この第2四半期1-6月の内容でございます。ご静聴ありがとうございました。