2017年12月期第2四半期 振り返り

野澤直人氏:連結業績は、売上高が32億3,900万円となり、第2四半期終了時点としては過去最高の売上高となっております。一方、新規事業への先行投資によりまして、営業利益はマイナス4億600万円の着地となっております。

セグメントごとに申し上げますと、売上を着実に積み上げる事業モデルである、ソーシャルサービス事業と受託開発事業は、売上高・営業利益ともに前年同期比プラスとなっております。

一方、事業が大きくスケールすることで初めてリターンを得るモデルとなるインキュベーション事業が、先行投資によりまして、営業損失を計上しているという構図になっております。

連結売上高の推移

四半期ごとの売上高の推移になります。第2四半期も第1四半期に引き続きまして、過去最高の同期比売上高を記録しております。こちらのグラフにありますとおり、ここ数年続いている右肩上がりのトレンドを継続しまして、順調に売上を伸ばしております。

連結営業損益の推移

第2四半期末累計での営業損益の推移になっております。当社では3つある事業セグメントを、大きく2つに分けております。ソーシャルサービス事業と受託開発事業の2つは、売上を着実に積み上げる事業モデルでございます。この2つを合わせて、「安定成長事業グループ」と呼んでおります。

また、インキュベーション事業は費用先行型かつ、事業が成功すればリターンが非常に大きいことから、安定成長事業グループに対応するかたちで「戦略的成長事業グループ」と呼んでおります。事業グループごとに成長のモデルが異なることをご承知いただきつつ、こちらのグラフをご覧いただきたいと思います。

安定成長事業グループは、前年同期比で約70パーセントの営業利益増となっております。売上の着実な積み上げが、営業利益にも反映されたかたちになっております。一方、インキュベーション事業の属する戦略的成長事業グループにおきましては、市場の状況なども見ながら、緩急をつけて新規事業に取り組んでいるといった状況です。

連結営業損益の増減要因

連結営業損益の増減について費目ごとに分解したものが、こちらの図表になります。売上高は安定成長事業グループの貢献によりまして、約8億円増加しております。それにともない、売上総利益も引き上げられました。

その一方で、主に戦略的成長事業グループへの先行投資として人件費等が増加しており、営業損益は前期比でマイナスに着地しております。

2017年12月期第2四半期 連結PL

第2四半期末累計での連結PLがこちらになります。数字は、資料をご覧いただいているとおりです。売上高が過去最高を記録している一方で、販管費の増加により、営業損失・経常損失・親会社株主に帰属する四半期純損失が増えているといった状況です。

2017年12月期第2四半期末 連結B/S

次は、第2四半期末の連結のバランスシートです。利益剰余金のマイナスが拡大しておりまして、株主資本が目減りしておりますが、引き続き一定の流動比率を維持できております。

2017年12月期 業績見通し

今期の業績見通しがこちらです。当社はインキュベーション事業において、有価証券を保有しております。その売却などの動きが非常に見えづらく、また新規事業の数字も大きく変化しやすいため、業績見通しの数字の発表は行っておりません。

セグメント別の見通しにつきましては、ソーシャルサービス事業は安定的な売上成長。受託開発事業は、10パーセントの売上高増加の予定でございます。利益水準につきましては、先ほどの理由から予想は困難と考えております。

安定成長事業グループ 連結売上高の推移

ここからは、事業グループごとの数字をまとめています。まず安定成長事業グループは、連結売上高が一貫して右肩上がりを描いております。

安定成長事業グループ 連結営業利益の推移

安定成長事業グループの連結営業利益につきましても、年ごとの差はありますが、同じく増加傾向とみております。

戦略的成長事業グループ 連結営業損益の推移

一方、戦略的成長事業グループは、先行投資により営業損失が増加しております。当事業グループでは、複数の事業の立ち上げおよび約20社の外部企業への出資により、リスクを分散しております。また、事業の爆発的な成功を狙いまして、事業へのコミットを加速しております。

私からのご説明は以上です。

EMPOWERING THE PEOPLE TO CONNECT

上田祐司氏:続きまして、私から事業戦略をご説明させていただきます。

私どもガイアックスのミッションといたしましては、「人と人をつなげる」。インターネットが出てまいりまして、かなりの多くのレイヤーで、赤の他人を含めた人と人をつなげることが可能になってきております。

創業以来、ソーシャルメディア領域に注力

(弊社は)1999年に創業しました。そういったテクノロジーの進化に合わせて、人と人をつなげていくことで新しい環境を創出する。このようなミッションで、戦略を立てております。

最初はBtoCで、1999年にソーシャルメディアのジャンルで、コミュニティサイトを創業しました。そのあと、他社さまがされているコミュニティサイトや、ソーシャルメディアの運用を代行するということで、2003年からBtoBのビジネスを開始しています。

当初始めましたBtoCのサービスは、2005年ぐらいに撤退しておりますので、2003年以降は主にBtoBの会社となっております。最近では、ただソーシャルメディアを地味に運用するだけではなく、そういうものをいかに経営に活かし売上を伸ばすのかといった、ソーシャルマーケティングのビジネスを(2011年から)BtoBで提供しはじめております。

そして新しい取り組みの領域へ

そして、2015年から新しく、シェアリングエコノミーのジャンルに参入しております。

事業領域

こちらが(事業領域の)推移でございます。資料の上がソーシャルメディアのジャンル、下がシェアリングエコノミーのジャンルです。

ソーシャルメディアとシェアリングエコノミーは何が違うかといいますと、どちらも赤の他人と赤の他人をつなげるサービスではあるのですが、オンラインだけで完結しているものがソーシャルメディアと呼ばれるものですね。

一方、リアルも含めた実世界に入り込んで、赤の他人と赤の他人をつなげているものがシェアリングエコノミーだと、我々は定義しています。

オンラインで完結するソーシャルメディアの領域として、創業当初はBtoCのサービスを始めましたが、最終的には撤退してBtoBのビジネスに移っております。現在はサポートサービス(を提供)ということで、BtoBのソーシャルメディアの(資料の)左上のフレームが、ビジネスとして中心になっております。

そのような中、シェアリングエコノミーがここ2、3年立ち上がってきております。自社で3件と投資で20件、BtoCのサービスを行っております。

同時に、シェアリングエコノミー領域でもBtoBでサポートしております。資料の左下のところでございます。

事業マップ

事業マップです。いろいろとございますが、安定的なソーシャルサービス分野に関して、BtoBで提供しているビジネスがこちらでございます。そして、受託開発。我々はシステム(インテグレーション)の会社で、受託のビジネスになっております。そして、(インキュベーション事業が)シェアリングエコノミーのジャンルとなっております。

事業戦略

BtoCの自社でのサービスと、BtoBのお客さんに対するサービスの、両方をやっております。自社でいろいろなビジネスを展開する中で、実際の社内の取引において、BtoBのチームからサポートを受ける。また、逆にこちらのビジネスを大きくすることによって、サポートサービスの需要も増やしたいということで、こういったかたちを作っております。

また、内閣等、国をあげてシェアリングエコノミーを促進していこうというところ(内閣官房シェアリングエコノミー促進室)では、非常に親しくさせていただいております。また、私どもが発起人となって代表をやっております、一般社団法人シェアリングエコノミー協会では、間接的ではありますが市場活性化に努めております。

事業別収益モデルなどの整理

ビジネスモデルの整理でございます。だいたいご想像がつくと思うのですが、BtoBで行っているソーシャルサービス事業。シェアリングエコノミー企業とかソーシャルメディア企業にサービスを提供して、どんどん(サービス利用収入を)積上げ型で月額5万円から50万円ぐらい得ていくというビジネスモデルです。

リスク(度合い)は正直、相対的に低いビジネスです。ビジネス1つ1つを見てみると、初めから黒字というわけではありません。営業コストをかけてお客さんになんとか提案して、受注するまでは赤字でございます。

例えば、1件受注するために、30万円~50万円ほどかかります。ただ、1件受注すれば毎月5万円が、チャリンチャリンというかたちで数年間続くわけでございます。(収益貢献までの期間が)短期から中期で、ビジネス1つ1つが重くなっております。

また、ソーシャルメディアをやっている会社、もしくはシェアリングエコノミーをやっている会社に、たくさんの商品ラインナップを用意しています。

彼らがソーシャルメディア、もしくはシェアリングエコノミーを運営するために必要なことを幅広く提供しております。新しいプロダクトを作って提供してから2~3年ぐらいで、利益が上がり、投資分を回収できるというふうになっております。

次に、インキュベーション事業のご説明です。こちらはBtoCですので、サービス利用者からの手数料収入となっています。また、インキュベーション事業ではシェアリングエコノミー関係に投資していますが、こちらはキャピタルゲインがメインとなっています。

20社近くの企業に投資しています。その中から、これは伸びるのではないかというケースと、当社のパワーがあったほうが成長が加速するのではないかというケースは、企業と相談して、当社グループに取り込むことがございます。

実際に今、自社グループでやっている4つのシェアリングエコノミーの事業のうち2つは、もともと投資で接触した先でございます。それを100パーセント買収して、社内に(取り込んだ)。そのようなかたちもございます。

当社の特徴

当社の特徴としましては、ソーシャルメディアの総合的なサービスを提供している、BtoBでございます。

また、BtoCについてご説明します。普通の会社ですと、社内の採用戦略・人事戦略事業を立ち上げることは、やはりけっこうリスクがあります。その点、当社は豊富に人材を抱えておりまして、上場を目指すような、非常にやる気あふれる若者を取り込む戦略をやっております。上場を目指したカーブアウト制度を含めた、積極的な事業開発・外部への投資育成をやっています。

当社グループに属して、当社からカーブアウト、もしくは投資をやめた会社に出資して上場していくものも、実際に数個出てきている状況でございます。

有償ストックオプション 従業員のコミットを促進

あと、有償ストックオプションを発行させていただいています。こちらの資料には現在の株価水準として、2017年5月ぐらいまでグラフがございます。

2017年はこういったかたちで推移してきておりますが、行使価格を2,578円という、高いハードルを求めております。この株価を超えなければストックオプションを所有している意味がないというものを、発行しております。

有償ストックオプションですから、このストックオプションを取得するときには、費用が必要です。当社の主要メンバーは「2,578円ぐらいになれ」と、もちろんなるかならないかはわからないのですが(笑)、なると信じて買っております。

詳細は、何かご質問がございましたら、お尋ねいただければと思います。

安定成長事業グループ ソーシャルサービス事業の構成

安定成長事業グループのソーシャルサービス事業の構成のご説明です。(資料に記載が)たくさんあります。ソーシャルメディアやシェアリングエコノミーをやっている会社は、人と人がコミュニケーションする以上、非常に人手がかかります。そういうこともあり、いろいろな細かいところで、商品ラインナップを用意しています。

これらはBtoBのサービスでございます。1つ1つにサービスネームを付けてなんでもやって、ノウハウを貯め、プロダクトを発していくというかたちです。

安定成長事業グループ 新たな収益の柱

また、ここ1~2年でも、いくつかの新しいサービスをさらに用意しております。(資料の)いちばん上が「Sharing Economy Engine」で、(2017年に)リリースしております。これはどういったものかといいますと、シェアリングエコノミーのBtoCサービスをやりたい、新しく参入したいという、いろいろな企業さまがいらっしゃいます。

そのエントリーに、当社グループでシェアリングエコノミーの基盤を作りましょうということで、受託開発して作らせていただいています。それをパッケージ化して、お客さまからすると低価格の2,000万円ぐらい(でご提供しております)。こちらからすると、パッケージをコピーするところにもけっこうカスタマイズが必要なのですが、それで売上をあげられるというエンジンを作りました。

現在は1社で販売が完了しており、今は見込み客を増やしているところでございます。こちらは残念ながら、100社全社を入れるようなものではないのですが、目指せ10社・20社(と考えて)、月額(料金)も頂いていくというかたちのビジネスモデルでございます。

そして、2016年においてもいくつかサービスを出しております。例えば「hitobo」というものは、チャットボットのサービスですね。こういったサービスは、(最近は)メールでサポートするのではなくて、チャットでサポートする方が非常に増えています。そのため、チャットボットのサポートサービスを提供しています。

ただ、普通のテクノロジー系の会社であれば、AIでチャットボットが100パーセント返します、ということが売りでございます。しかし正直に言って、そういったサービスが、エンドユーザーの満足するようなかたちで(100パーセント)AIが回答することは、今日時点では不可能でございます。

そのため、当社グループが提供しているのは、そういったAIと有人を組み合わせたものです。AIを活用しながら有人も活用して、トラブルにならないようにサポートしていくという仕事でございます。

最近ですと、「チャットボット」で検索してもおそらく、(検索結果の上から)2番目とか3番目以内には表示されるぐらい、少しずつ広まってきているのかなと思っています。

安定成長事業グループ ブロックチェーン技術を用いた開発案件の開拓

(先ほどのご説明で)安定成長事業グループの中に、受託開発の部分がございました。そちらの部分において、最近案件として増えてきておりますのが、ブロックチェーンでございます。

ブロックチェーンというのは、新しいテクノロジーの流れでございます。端的に言ってしまうと、データベースのシステムなのですが、非常に安全性が高く、規模拡大にも耐え、改ざんしづらいという特徴を持っています。

こういったブロックチェーンに関しまして、当社グループはエンジニアとして非常に強いところがございます。そのため、受託開発で案件が増えてきているというところでございます。

戦略的成長事業グループ インキュベーション事業

その一方で、(戦略的)成長を目指している事業部が、いくつかございます。とくにこの(資料に記載した)中でも注意をしているのが、グループ内の事業でございます。この5つが、投資先ではなく当社で自らやっている事業ですので、やはり力を入れています。順に、少しずつご説明していきます。

戦略的成長グループ インキュベーション事業(グループ内事業)①

まず、ライドシェアの「notteco」でございます。(ライドシェアは)「グレーなのではないか」と言われておりましたが、2017年にグレーゾーン解消制度を活用することによって、nottecoが提供するサービスは白タク行為(自家用車をタクシーとして運賃を取ること)ではない、グレーゾーンではなくホワイトゾーンであることを明確化していただきました。

こういったことで、自治体との提携にも弾みがついてくるような状況でございます。現在も、北海道の自治体とは提携しております。

続きまして、「TABICA」でございます。こちらは(地域)体験のシェアということでございます。安全なシェアリングエコノミーサービスであるという承認の、シェアリングエコノミー認証制度(の認証取得サービス第1弾の選定)を頂きました。テレビ等で非常に、毎週1件ぐらいのペースで取り上げていただいているというところでございます。

戦略的成長グループ インキュベーション事業(グループ内事業)②

続きまして、食のシェア「tadaku」でございます。現在日本においては、普通のご家庭がお客さんに食事を提供することは、法律上不可能になっております。飲食業務の関係(の法律)でひっかかってしまうということになります。

(そこで当社が)現在提供していますのは、食(そのもの)を提供するのではなくて、料理教室というかたちです。料理を一緒に作って、そしてそれを食べてもらうというかたちにして、法律にひっかからないようにしております。

今は日本人向けにそういったものを提供しているのですが、今後に向けて力を入れていっているものが(ございます)。旅行でいらっしゃった海外の方々に日本人が、それこそ味噌汁などの和食の料理教室を行って、食べてもらう。(tadakuを通して)日本文化に触れるというところを、進めております。

また、空間のシェアということで、シェアオフィス事業の「GRiD」がございます。こちらもいくつかのイベントを提供しながら、空間のシェアの比率を高めていこうと思っております。

戦略的成長事業グループ インキュベーション事業

こちらの(フィンテック企業向けの本人確認サービスの)「TRUST DOCK」に関しましては、先ほどお話ししたブロックチェーンの技術の使用を計画に織り込んでいる、個人認証を行っていくというサービスでございます。

一般的に、企業が一人ひとりのユーザーへサービスを提供するときには、個人認証が必要になってきます。とくに、シェアリングエコノミーサービスでは、もれなく必要になってきます。また、金融サービスを提供するときも、(ユーザー)一人ひとりが実在するのか、本人なのかという確認が必要になってきます。(TRUST DOCKは)こういったことを一括して請け負うというサービスでございます。

シェアリングエコノミーの会社からの受注は、もうすでに普及してスタートしております。最近ですと、フィンテック企業各社でいくつか、受注がスタートしてきているところでございます。

資本主義の枠組みでは解決できない課題

ソーシャルメディアやシェアリングエコノミーというものは、赤の他人(を含めた)、世の中のたくさんの人をつないでいくわけです。これまで、資本主義社会(の枠組み)ではなかなか解決できなかった問題を、人と人をつなげていくことで解決できていると思っております。

例えば、移動の問題。資本主義社会的にはなかなか赤字だから、過疎化する中でも車を提供できないという問題も、乗り合いをすれば解決するのではないでしょうか。また、レストランが大量消費・大量にプロモーションしている中で、各家庭もお客さんとご飯を作っているわけです。そうやって、ご飯をみんなで分けあうということを実行できないか、と考えています。

それを解決するのがシェアリングエコノミー

シェアリングエコノミーは、そういったいろいろな地域課題や社会問題を、分け合うもしくはエンドユーザー同士で助け合うことで、解決していけると考えています。

シェアリングエコノミーで次の社会を創る

シェアリングエコノミーにこれから軸足を移しつつ、事業を拡大させていければと考えております。

簡単ではございますが、以上でご説明を終わらせていただきます。