エグゼクティブ・サマリー

北村巧氏:よろしくお願いします。CFOの北村です。それでは2018年3月期第1四半期の決算についてご説明いたします。

2ページをご覧ください。

この四半期は欧州各国の選挙や、北朝鮮を巡る国際情勢など、地政学リスクが高まり、全般的にスローな出だしとなりました。

その後、フランスの大統領選が想定通りに着地し、日米の経済指標も堅調に推移するなど、後半にかけて株価が上昇し、お客さまの取引も活発になっていきました。

2018年3月期決算の概要

そのような中、当社の収益も月を追うごとに回復し、四半期トータルで3,608億円。前期比3パーセントの増収となりました。

セグメント情報

右下にありますように、3セグメント合計の税前利益は638億円と、前期比で2パーセント増加しました。ビジネスごとに強弱はありますが、昨年の第3四半期をのぞくと、だいたい600億円台で底が高く推移しております。

収益性の改善に取り組んでいる海外ビジネスでも、リスクとコストコントロールをしっかりと行ったことで、税前利益は155億円と5四半期連続で黒字を達成することができました。

一方で、全社の税前利益は774億円。3セグメント以外の利益貢献が減少し、前期比で6パーセントの減益となりました。当期純利益は569億円。前期比で7パーセントの減益。年換算したROEは8.1パーセント。EPSは15円77銭でした。

営業部門

それでは各ビジネスの状況について、営業部門からご説明いたします。

収益は1,017億円。税前利益は249億円とほぼ前期並の水準です。マーケットの回復にともなって、お客さまの投資マインドは徐々に改善し、とくにセカンダリーの株式や投信が回復しました。

総募集買付額が16パーセント下がっておりますが、前期は個人向け国債の販売が過去最高であったと。こちらの反動減でございます。この影響をのぞきますと、ほぼ前期並の募集買付でございました。

営業部門:純増を伴って残高が拡大、ストック収入は着実に増加

6ページ左下は投信の募集買付と残高でございます。

今期はインド株やテーマ型商品、インカム重視の低リスク商品に資金が集まり、募集買付、残高ともに上昇しました。

また右下にありますように、投資一任の残高は純増をともなって、2.5兆円を突破するまで拡大をいたしました。このような残高拡大の取り組みに市場要因も追い風となって、年換算したストック収入は809億円。

費用カバー率は26パーセントと着実に増加しております。

アセット・マネジメント部門

次にアセット・マネジメント部門です。

収益は281億円。前期比21パーセントの増収。税前利益は136億円。前期比56パーセントの増益となりました。

左下にありますように運用資産残高は46兆1,000億円と3四半期連続で過去最高を更新し、運用報酬を押し上げました。また、アメリカン・センチュリー関連の損益も部門業績に貢献しました。

アセット・マネジメント部門:ACIとの双方向のプロダクト供給が実現

左上にありますように今期は2,300億円の資金が流入。うち投信ビジネスではETFやMRFを中心に、3,160億円が流入し、株式投資の時価上昇もあいまって、野村アセットの公募投信シェアは右上にございますように、26パーセントを超える水準まで上昇しました。

また、右下にありますように、ACI社との協業も進んでおります。昨年、ACIが運用する米国株式の投信を当社のお客さまに提供しましたが、今年5月には、我々の米国ハイ・イールド債の運用サービスをACI社のリテールファンドに提供するなど、プロダクトの相互供給もはじまっております。

ホールセール部門

次にホールセール部門です。

収益は1,793億円。前期比で5パーセントの増収となりました。第1四半期という季節性もあり、インベストメント・バンキングは減収でしたが、グローバル・マーケッツはリスク管理の徹底と、四半期後半の顧客アクティビティをしっかりと収益化することができ、増収となりました。

一方で部門コストは1,540億円と、前期から8パーセント増加いたしました。ドルで年換算いたしますと、おおよそ55億ドル台になりますが、ランレートコスト自体は、52億ドル程度で維持しております。

ランレートで比較いたしまして、今期のコストが上振れしたのは、収入に応じた賞与の引当が増えたこと。そして非常にテクニカルな要因ではございますが、繰延方針の費用認識。こちらが通常の四半期より多かったためでございます。

決してコストコントロールの手綱を緩めた訳ではございません。今後も固定費を中心としたコスト削減にしっかり取り組んでまいります。

いずれにしましても、今期はこうした費用の増加で税前利益は254億円と前期比10パーセントの減益でございました。

ホールセール部門:グローバル・マーケッツ

では、ビジネスラインごとにご説明します。

まず10ページのグローバル・マーケッツですが、収益は1,542億円と前期比から7パーセントの増加。うちフィクスト・インカムは957億円。新興国関連ビジネスやG10為替が回復し、前期比で11パーセントの増収となりました。

右側にございますように、地域別では欧州が好調だった前期から減速したものの、日本は金利・為替が増収。アジアでは新興国関連ビジネスが復調し、上向きの矢印となりました。

エクイティの収益は585億円。日本・米州でデリバティブ収益が増加したことにより、前期比で3パーセントの増収でした。

ホールセール部門:インベストメント・バンキング

続いてインベストメント・バンキングです。

左上にございますように、収益は251億円。前期比9パーセントの減収でした。お客さまからいただいた他部門にアドケーションする前、我々グロス収益と呼んでおりますけれども、グロス収益は454億円。

前期比でみますと、今期は日本の株主総会シーズンを前に、ファイナンス案件が減少するという季節要因もございまして、減収となっておりますが、前年同期比ではすべての地域が増収になっております。

日本ではDCM案件が増えているほか、企業が保有している株式の売却案件など、ソリューションビジネスも収益に貢献しております。

海外では部門間・地域間の連携をさらに進めることで、M&Aの複合化案件や為替、金利ヘッジなどのソリューションビジネスが伸びてきております。

その結果、右上にございますように、海外のグロス収益は、前年同期から4割増加し、IB収益に占める海外の収益比率も50パーセントに上昇しました。

金融費用以外の費用

次にコストです。12ページをご覧ください。

今期の全社コストは2,834億円と前期比で6パーセント増加しました。主に人件費、とりわけ賞与の引当が増えておりますが、当社では通期業績をみて賞与の額を確定いたしますので、四半期ごとの引当は、その時々の収益に、必ずしも完全に対応しているわけではございません。

今後、通期の収益状況をみながら「Pay for performance」を徹底し、しっかりとコストコントロールを行って行きます。

それに加えまして、先ほどホールセールのところで申し上げましたが、賞与の一部として付与している繰延報酬の費用認識が通常より多めだったというテクニカルな要因もございます。その他の費用項目ですが、おおむね減少しております。

強固な財務基盤を維持

財務基盤のページです。

こちら引き続き盤石でございます。6月末のTier 1比率は19.1パーセント。普通株式とTier 1比率。いわゆるセットワン比率と言われてるものですけれども、こちらは18.1パーセント。

6月末のバランスシートに2019年基準を適用した、いわゆる出口基準の普通株式とTier 1比率は17.8パーセントでございます。

以上、第1四半期決算についてご説明申し上げました。

最後になりますが、営業部門では従来の地区性を廃止し、部店長の裁量を高めることで、それぞれの地域性に合わせて、お客さまごとに最良の付加価値を提供できる態勢にしました。

また、まだ数字面での成果にはつながっておりませんが、お客さまとの接触件数が増え、支店ごとに独自の戦略を打ち出すなど、将来に向けた種まきができております。

アセット・マネジメント部門でも資金流入をともなった運用資産残高の増加が続いております。

7月は営業、アセット・マネジメント部門ともに、第1四半期の収益水準が続いていますし、今後を見据えましても、日本経済を取り巻く環境は、本日発表されておりますが、有効求人倍率や企業業績などをみても明るい兆しが出ていると言えるでしょう。

このトレンドが確かなものになれば、現在2万円前後で推移している日経平均も、さらに上値を試す展開が予想され、個人投資家のマインドも好転するのではないのかと期待しております。

グローバルに目を転じますと、4月5月、市場の変動が低く、機関投資家の動きが低下する非常にむずかしい環境でございましたが、海外全地域で黒字を計上することができました。

利益水準には決して満足しておりませんが、黒字基調を継続できたということには手応えを感じております。

7月に入りまして、各国の金融政策を巡る不透明感から、投資家が再び様子見姿勢を強めるなど、ホールセール部門は第1四半期をやや下回るペースで進捗しております。

決して楽観できる収益環境ではございませんが、今後も顧客フローをしっかりととらえながら、コスト・リスクのコントロールを徹底することで、持続成長が可能なビジネス基盤を確率してまいります。

引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。