主要決算数値

坂本修一氏:2017年度第1四半期の業績は、5月に発表いたしました当初計画達成に向けて、順調なスタートを切ることができました。

売上高につきましては過去2番目の水準、営業利益、経常利益、四半期純利益はいずれも過去最高を更新いたしました。

マテリアル領域で各事業ともに販売数量が好調だったこと、ケミカル事業で交易条件が改善したことが、おもな要因です。

また、第1四半期の結果を踏まえ、2017年度上期の業績予想につきましても、当初計画から上方修正しております。

なお、本日の発表では通期計画の見直しは行っておりません。2017年度通期の業績予想につきましては、第2四半期決算とあわせて秋に発表予定です。本日のご説明は上期業績に関連するもののみとなることをご了承ください。

それでは資料に沿って、2017年度第1四半期の業績をご説明いたします。4ページをご覧ください。まず売上高は4,487億円で前年同期に対して5.4パーセントの増収、営業利益は379億円で80億円、26.7パーセントの増益となりました。

AN(アクリロニトリル)や合成ゴムの市況が改善したこと、エンジニアリング樹脂、セパレータ、電子部品等で数量が拡大したことなどが増益のおもな要因となっております。

経常利益は持分法投資損益、為替差損益が改善したことなどから129億円、45.7パーセントの増益となりました。

親会社株主に帰属する四半期純利益は、今期も政策保有株式の売却を行ったことなどから301億円で、24.8パーセントの増益となりました。

ナフサ価格は第1四半期はキロリットル当たり39,100円で、前年同期に対して7,500円のナフサ高となりました。

また、相場平均為替レートは1ドル当たり111円で、前年同期に対して3円の円安となりました。

連結貸借対照表の概況はご覧のとおりで、総資産、自己資本、有利子負債それぞれ若干増加しております。D/Eレシオは前期末並みとなりました。

連結損益計算書

続きまして、5ページで連結損益計算書をご説明いたします。売上高は対前年同期で229億円の増収となりました。

売上総利益は1,466億円で、売上高比率は32.7パーセントと1.1ポイント改善しております。これは主にケミカル事業を中心に原料スプレッドが改善しており、売上原価率が改善したことによるものです。

販管費は1,087億円で、対前年同期で41億円増えております。研究開発費の増加やゾール(ZOLL Medical Corporation)でマーケティング強化のため人員を増やしていることなどがおもな増加の要因です。

結果として営業利益は379億円となり、売上高営業利益率は1.4ポイント改善し8.4パーセントとなりました。

営業外損益は、タイのPTT Asahi ChemicalでANやMMA(メチルメタクリレート)が順調に推移したことなどにより持分法投資損益が改善しており、為替差損益の改善とあわせて経常利益は412億円となりました。

特別損益は44億円の益となりました。昨年度に続き投資有価証券売却益を計上しております。

結果として、特別損益は対前年同期で23億円の改善となりました。以上により、税前利益が456億円となりました。

昨年度第1四半期は持株会社と旭化成繊維、旭化成ケミカルズ、旭化成イーマテリアルズの統合により、税効果会計基準に従い、繰延税金資産の回収可能性を見直した結果、法人税等が減少しました。

しかし今期は通常の税率となったため、法人税等を控除した親会社株主に帰属する四半期純利益が301億円となり、対前年同期で24.8パーセントの増益となりました。

特別損益

6ページに移りまして、特別損益につきましては先ほど申し上げたとおり、今期も一部株式の売却を行い、投資有価証券売却益を計上いたしました。今後も引き続き政策保有株式の見直しを進めてまいります。

連結貸借対照表

7ページの連結貸借対照表をご覧ください。2017年3月末と6月末を比較しますと、総資産は21億円の増加となりました。負債につきましては170億円の減少、純資産は191億円の増加となっております。

連結キャッシュ・フロー計算書

8ページをご覧ください。連結キャッシュ・フロー計算書ですが、2016年度第1四半期は営業活動、投資活動、財務活動ともに例年並みの動きとなっております。

フリー・キャッシュ・フローは121億円の収入となり、その他の調整も含め、結果として現金及び現金同等物の四半期末残高は1,521億円となりました。

セグメント別売上高・営業利益

9ページをご覧ください。売上高につきましては、3つのセグメントともに増収となりました。

営業利益はマテリアルセグメントで大きく増益となりました。しかし住宅・ヘルスケアの両セグメントは対前年同期で若干の減益となりました。

詳細につきましては11ページから事業ごとにご説明いたします。

事業別売上高・営業利益 増減要因(1)

それでは11ページで事業ごとの業績をご説明しますのでご覧ください。繊維事業は増収増益となりました。

キュプラ不織布「ベンリーゼ」や、マイクロファイバースエード「ラムース」の販売数量が増加するなど、ほぼすべての素材で増販となり原燃料価格の上昇をカバーし増益となっております。

ケミカル事業は増収増益となりました。このうち石油化学事業は水島地区での大規模定修による減益要因がありましたが、ANやMMAの交易条件改善により、対前年同期で増益となりました。

なお、第1四半期のANの市況スプレッドについては、AN市況はトン当たり1,589ドル、プロピレン市況841ドル、原料スプレッドは749ドルでした。

高機能ポリマー事業は、低燃費タイヤ向け合成ゴムの交易条件の改善があったこと、またエンジニアリング樹脂も販売数量が増加したことから、増収増益となりました。

高機能マテリアルズ事業および消費財事業は、イオン交換膜や電子材料製品、サランラップなど、販売数量が増加したことから増収増益となりました。

エレクトロニクス事業は増収増益となりました。このうちセパレータ事業は増収増益となりました。リチウムイオン二次電池セパレータ「ハイポア」を中心に、各製品の販売数量が増加いたしました。

電子部品事業も増収増益となりました。カメラモジュール用電子部品や家電向け磁気センサーなどの販売が順調に推移いたしました。

住宅事業は売上高は横ばい、営業利益は減益となりました。建築請負部門は集合住宅「ヘーベルメゾン」の引渡棟数が減少したこと、労務費等の販管費が増加したことから減益となりました。

戸建住宅と集合住宅をあわせた引渡棟数は、前年同期の1,647棟から1,638棟へ9棟減少しております。

不動産部門は賃貸管理事業が順調に推移したこと、マンションの販売戸数が増加したことから増益となりました。

リフォーム部門も、外壁塗装物件の増加やコストダウン効果により増益となりました。

建材事業は売上高は増収、営業利益は前年並みとなりました。フェノールフォーム断熱材「ネオマフォーム」の販売が堅調に推移したものの、原材料価格上昇の影響を受けました。

事業別売上高・営業利益 増減要因(2)

次に12ページをご覧ください。医薬・医療事業は減収減益となりました。このうち医薬事業は減収減益となっております。

骨粗しょう症治療剤「テリボン」、あるいは昨年度に上市した骨粗しょう症治療剤「リクラスト」などの販売数量が増加しましたが、排尿障害改善剤「フリバス」が後発医薬品の影響を受けました。

医療事業は減収減益となりました。ウイルス除去フィルター「プラノバ」や透析関連製品の販売数量が減少しました。

クリティカルケア事業は増収増益となりました。医療機関向け除細動器の販売数量が増加し、着用型自動除細動器「LifeVest」の業績も堅調に推移いたしました。

なお、ご参考データとしてクリティカルケア事業のドルベースでの業績を、決算説明資料の30ページに記載しておりますので、のちほどあわせてご参照いただければと思います。

2017年度上期の業績予想

続いて、2017年度上期の業績予想をご説明いたします。今回の業績予想と5月に発表しました当初予想を比較しますと、売上高は70億円、営業利益は85億円、経常利益は105億円、当期純利益は110億円と、それぞれ上方修正しております。

今回の前提は上期通期でのナフサ価格をキロリットル当たり37,050円、為替レートは1ドル当たり111円としております。また、2017年度の1株当たり中間配当金は12円を予定しております。

事業別営業利益 予想

事業別の上期予想につきましては、16ページで営業利益予想を中心に、5月公表の当初予想との比較でご説明いたします。

繊維事業は各素材ともに販売数量の増加を見込みます。しかし原燃料価格上昇の影響もあり当初予想を据え置きました。

ケミカル事業につきまして、石油化学事業ではANの市況、スプレッドの改善やポリエチレンなどが順調に推移していること、高機能ポリマー事業や高機能マテリアルズ事業、消費財事業で販売数量が順調なことから75億円に上方修正いたしました。

なお、第2四半期のANの市況のスプレッド想定は、AN市況がトン当たり1,400ドル、プロピレン市況が870ドル、スプレッド530ドルで予想しております。

エレクトロニクス事業は、当初予想どおりとしました。セパレータ事業、電子部品事業ともに堅調に推移する見込みです。

住宅事業は建築請負事業の引渡棟数などは当初予想どおりといたしましたが、固定費の見直しなどにより10億円、上方修正いたしました。建材事業は当初予想どおりとしております。

医薬・医療事業は個別の製品事業では若干の変動はあるものの、全体としては当初予想を据え置きました。

クリティカルケア事業は5億円上方修正しております。医療機関向け除細動器、「LifeVest」ともに順調な販売を見込んでおります。

以上でわたくしのご説明を終了させていただきます。ありがとうございました。