業績推移

松岡哲也氏:当期は地主プライベートリート投資法人の設立・運用開始により、当社グループで底地の仕入れから売却までの全てのプロセスを一貫してできる体制となりました。

本決算説明会では、地主プライベートリート投資法人やニューリアルプロパティの株式会社を含めた当社グループの今後の展望を中心に、ご説明させていただきます。

まず初めに2017年3月期の業績内容を簡潔にご説明させていただきます。

2017年3月期の損益については、売上高が266億1,400万円と前期比53.1パーセント増。営業利益は48億4,300万円と前期比18.7パーセント減。

経常利益も51億8,100万円と前期比7.9パーセント減となりました。売上高については地主プライベートリート投資法人への売却等により過去最高の売上高を更新しました。

営業利益は2016年3月期に渋谷区神宮前5丁目案件が特別な高利益率で売却できたことによる反動減により前期比で18.7パーセント減少となりました。

経常利益は営業利益に比べ減少幅が小さくなっていますが、ニューリアルプロパティ株式会社の海外子会社、オーストラリアが保有する関係会社株式の時価評価額を計上したことによります。

親会社株主に帰属する当期純利益については、ニューリアルプロパティ株式会社の子会社化による負ののれん発生費等を計上したことにより、過去最高の64億3,700万円となり、前期比で78.5パーセント増加となりました。

資産の状況

引き続き、2017年3月期末の財政状況についてご説明させていただきます。総資産は前期末に比べ181億200万円増加の567億9,200万円となりました。

総資産の主な増加要因は、優良案件の仕入れを加速したことにより、販売用不動産が90億2,900万円増加の316億3,900万円。

ニューリアルプロパティ株式会社の子会社化に伴う持分法適応会社の関係会社株式を70億8,300万円計上したことによります。

販売用不動産の残高は優先交渉権を獲得しているものを含むと約400億円となり、着実に仕入れの状況は拡大してきております。

一方、負債については販売用不動産の仕入れを加速していることに伴う長期借入金の増加により前期末に比べ99億2,100万円増加の369億1,400万円となりました。

純資産は親会社株主に帰属する当期純利益が64億3700万円になったこと等により、前期末に比べ、81億7,700万円増加し198億7,800万円となりました。

以上の結果、当期末の自己資本比率は前期末の30.1パーセントから30.8パーセントとなりました。

地主リート運用開始後の収益モデル

それでは次に、2017年1月に運用を開始しました、地主プライベートリート投資法人についてご説明させていただきます。地主プライベートリート投資法人は以下より地主リートと表現させていただきます。

地主リートの設立・運用開始により当社グループが底地の仕入れから売却・資産管理までの全てのプロセスを一貫して実施できる体制が整いました。

地主リートは日本初となる底地特化型という新しい不動産投資商品を手掛ける絞り糸として本年1月に運用を開始しました。

この地主リート組成にあたり、多くの機関投資家のみなさまにJINUSHIビジネスをご理解いただいた結果、必要募集額を大幅に上回る運用資金を獲得し、順調なスタートを切りました。

これによりJINUSHIビジネスの完全自社ブランド化による収益モデルが完成したと言えます。

「JINUSHIビジネス」の成長ストーリー

これまでは、JINUSHIビジネス商品の出口戦略を外部の投資家や上場REITに頼っていました。その出口戦略として、新たに地主リートが追加されました。

地主リートの運用開始により、JINUSHIビジネス商品売却の優先交渉権1番が地主リート、2番が上場REITであるケネディクス商業リート投資法人となります。

当社グループのJINUSHIビジネスは地主リートにより自前の出口戦略を立てられるようになりました。これにより、当社グループは安定した売却先の確保ができたため、JINUSHIビジネスは次のステージに移行したと言えます。

地主リート規模の拡大

それでは、地主リートの成長戦略についてご説明させていただきます。

地主リートは非上場REITであるため、上場REITの機関投資家が抱える大幅な元本価格の変動リスク、これを回避することができるとともに長期に安定した収益をできる不動産投資商品となります。

いずれも事業用定期借地契約による底地のみを取り扱うことによるメリットです。地主リートは初年度運用開始時の資産規模は150億円。

その後は当社グループによるスポンサーのスポンサーサポートにより、次回2018年1月には250億円程度の増収を予定しており2019年には資産規模600億円、5年目の2021年には1,000億円を目指して活動を行ってまいります。

地主リートは当社グループが手掛けた底地を中心としますが、良い商品があれば外部からも積極的に取得する予定です。

今後の展望

ここからは当社グループの今後の展望についてご説明させていただきます。

投資家のみなさまにおかれましては、人員借入金増加によるコスト増。また土地仕入れ価格上昇による売上総利益率の低下、とくに昨今の土地価格の上昇による原価増や、それに伴う仕入れ時の土地の高値づかみにより極端に回転率を落とすことがあるかもしれないのではないかと思われるかもしれません。

当社グループの2018年3月期の利益予想は全ての損益段階で現役の見通しでありますが、今後の成長に対するこれは過渡期であると考えております。

当社グループの今後の成長を「人員・案件数増加及び調達資金の確保」「テナントの業種の拡大」「フィービジネス展開による安定収益の拡大」この3つに分けて説明させていただきます。

今後の展望①人員・案件数増加及び資金調達の確保

その表にもある通り、販売用不動産の仕入れ、そして販売用不動産調達のための有利子負債も同様に増加し当社のJINUSHIビジネスは順調に拡大しております。

優先交渉権を獲得しているものも加えると、販売用不動産の残高は2017年3月末で約400億円となります。

本年5月10日に開示させていただいております2017年3月期決算説明資料でも記載しております。が、今期の主な仕入れ実績として福岡県古賀市において福岡市と北九州市を繋ぐ、幹線道路沿いの大型物件を取得いたしました。

本案件は底地案件と言えば日本商業開発ということで持ち込まれた案件であり、本案件により九州地方での当社の知名度はより一層向上しております。本案件は2016年4月入社の新入社員が手掛けた案件でございます。

その他首都圏・関西圏・中部圏にて様々なテナント用途の土地仕入れを達成しております。

今後の展望①人員・案件数増加及び資金調達の確保

ここからが一番大事なところでございます。ご覧の通りスライドの通り、当社では昨年に比べ営業人員が9名増加しております。

案件数、検討案件含むでございますが、及び投資金額。これも検討案件含むでございますが9名増加に対して検討案件含めて2倍。案件数も投資金額も2倍に増加しております。

このように案件数及び投資金額の増加が人員増加の割合を上回っております。当社にとって非常に有効な良好な状況となっております。

要するに人が増えたら案件と、調達金額、全体の資産規模は比例するどころか、それ以上に増して大きくなっているというところは私としてもとても今後の成長を踏まえるにあたって心強い材料となっております。

人が増えたら案件が増えるのかなと予想していたのですけれども、やっぱりそうなったかというのが非常に喜ばしいことであるというふうに考えております。

ここが大事なのですが、資金調達においても借入契約に関するコベナンツ条項や期限の利益の喪失条項の撤廃を達成しております。

また取引銀行の増加・借入期間の長期化、これは10年から30年ぐらいでございます。

総額231億円の借入枠を確保しておりまして、全部借入いくらできるか。コべナンツなしで長期でいくら借り入れるかと申しあげると、約800億円の資金調達が現在可能となっております。

お金返せって言われないんですよね。10年から30年の間。たとえ当社が赤字になっても銀行様からお金返してちょうだいねと言われません。

不動産会社で長期で、コベナンツがついている借り入れを100パーセント達成しているという会社は、ほぼないと思われます。

要するに、なんらか不測の事態であるリーマンショックや戦争、大変な経済の不況をもたらすような事象が起きた場合でも、銀行は当社に対して借り入れを返せと、貸し出しを返せと、強硬な返済を求めるようなことはしないという契約になっております。

そうするとどうなるかというと、だいたい日本の不動産って最近すごく上がったと言われていますが、諸外国に比べたら上がり方なんていうのは非常に低いものでございます。

数年すればすぐに不況、また不動産市況回復するという繰り返しです。今まで1990年以降2回ありました。1回目は90年のバブルの時の崩壊。でも、3年したらマンションがよく売れ始めて、不動産市況は回復していました。

もう1つが、2008年のリーマンショックです。3年もしたら不動産市況は回復し、すっかり上昇の基調になっています。

10年から20年の借り入れをしてその間、返さないでいいという契約をされている。もし、なんらかの不測の事態があった時でも、しばらくしたら回復しますので、また健全なビジネスが再開できる。

むしろ、そのいけない状態、しんどい状態に日本経済の状態があったとしたら、当社の現預金もありますし新たな借り入れもできますので、その間は仕入れの絶好の期間になるかもしれないです。

ということで、先ほど申し上げた人員が増加すれば案件が増加する、お金の借り入れは非常に安定していて、長期にできているということで自信を持って現在経営できる状態になっております。

今後の展望②テナントの業種の拡大

次に2つ目の理由でございます。テナントの業種の拡大です。

今までJINUSHIビジネスの主なテナント様は食品スーパー、ホームセンター、結婚式場、ガソリンスタンド等が中心でございました。

現在では学校法人、大学とかですが、それから認可保育園、メモリアルホール、ホテル、工場といった新たな業種のテナントも増加しております。

このようなテナントの業種の増加は土地仕入れの増加にもつながりますので、今後とも新たなテナントの業種の増加を目指してまいります。

今後の展望③フィードビジネス展開による安定収益の拡大

次に3つ目ですが、フィービジネスの展開による安定収益の拡大です。

当社のJINUSHIビジネスは「土地を買う」「土地を貸す」「貸した土地を売る」というシンプルなものでしたが、地主リートの運用開始に伴い、安定的な売却先の確保とともに、資産管理フィーという固定収益の獲得が加わりました。

1つがAMフィー。もう1つがPMフィーです。地主リートの運用資産が増加すると、当社グループの受託資産残高が増加し資産管理フィーが増加することになります。これにより当社の収益の安定化が図られます。

それでは次に、2016年5月に子会社化したニューリアルプロパティ株式会社と当社の今後の展開についてご説明させていただきます。

ニューリアルプロパティ株式会社は以下、NRPと表現させていただきます。

NRPによる海外事業展望

当社は、2015年11月19日にNRPの株式を30.57パーセント取得いたしました。

そして2016年5月27日にNRPが自己株式を取得したことに伴い、当社持分が72.09パーセントまで上昇し子会社化することとなりました。NRPとは。

かつてこれは熊谷組が所有していた不動産事業や海外PFI事業等を会社分割を行うかたちで2003年10月に設立された会社です。

投資家のみなさまにおかれましては、NRPの今後のビジネスが不透明であると、よくわからないというご指摘もあると考えます。

NRPについては、2017年3月末現在保有している販売用不動産の残高は約40億円であり、この販売用不動産の売却を順次進めることにより、収益を拡大させます。

また売却した資金を元手にして、これまで蓄積してきたNRPのノウハウを活かし国内外の優良な案件に投資を行い収益を拡大する予定です。

もうすでに長くいます。ニューヨークにも数十年、シドニーにも数十年。元熊谷組の社員たちが不動産投資及びその保有をずっと行ってきております。

そのような日本人ほとんどいないです。これだけ国際化されているような、ような気になっているだけで、意外と日本人が不動産のビジネスを海外、しかも大都市に行って行っているというケースは少ない。

長期にわたって滞在して地元の人間と英語で交渉して、商慣習をそこで学んで、目利きができるようになっているという人材を抱えている会社はほとんどありません。

現地事情やその状況に精通している海外スタッフが、今申し上げたように稀に居ますので、ニューヨーク・マンハッタンにおいては現在20億円、15物件を保有しております。

コンドミニアムへの投資事業を拡大し、3年後には保有資産を45億円とし、そのうち30億円ぐらいの売却を想定しております。

シドニーについても現在7億5,000万円、5物件所有している商業施設、住宅等への投資を進め、3年後に保有残高25億円を想定しております。

連結業績予想

最後に、2018年3月期の連結業績予想をご説明させていただきます。

2018年3月期の連結業績予想については売上311億円、営業利益26億円、経常利益20億円、親会社株主に帰属する当期純利益14億円としております。

売上高は土地仕入れのための人材獲得による仕入れ案件数、及び売却案件数の増加、地主リートへの売却等から過去最高の前期比16.9パーセント増の311億円を予想しております。

営業利益は土地価格上昇による売上総利益率の低下、及び土地仕入れのための人員等の理由により、前期比46.3パーセント減となります。

営業外収益、持分法による投資利益において、NRPの海外子会社が保有する関係会社株式の時価評価益がなくなったことにより、経常利益は前年比61.4パーセント減となります。

また、負ののれん益発生等27億9,000万円がなくなったことなどの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比78.3パーセント減の14億円となる見込みです。

今後この成長における過渡期と考えており、2019年3月期以降さらなる収益拡大基盤を整え、仕入れ案件数の増加、当社グループの投資基準による厳選した土地仕入れを継続し、JINUSHIビジネスのさらなる収益拡大を推進してまいります。

ご清聴ありがとうございました。