2025年7月期第2四半期決算説明

河中敏弘氏(以下、河中):株式会社ファーマフーズ2025年7月期第2四半期の決算説明会を開催します。本日の出席者は、代表取締役社長の金武祚、取締役営業本部担当の井上泰範、取締役管理部門担当の東山寛尚、執行役員通販事業担当の鳥尾公助、そして経営企画部の河中です。

セグメント別ハイライト

中間業績のサマリーです。連結業績全体のうちP/L面においては、研究開発費が32.4パーセント増、広告宣伝費が2.7パーセント増と、極めて積極的に投資しています。

B/S面においては借入残高の最適化を継続し、同時に資本収益性を考えた効率的な運用も行っています。ただし下期については、効率化するだけではなく積極投資というところで、広告投資は拡大していきたいと考えています。なお、2024年から実施している通信販売の値上げについては、その値上げが浸透し、粗利益率は81.3パーセントと高水準を維持しています。

機能性素材等のBtoB事業では、大手コンビニチェーンで「PharmaGABA(以下、ファーマギャバ)」が採用されるなど、これまでと違った動きの中で、新しいビジネスモデルとしておにぎり、パン、サンドイッチなどのデイリー食品でギャバ市場の拡大を目指しています。

BtoC事業は主に通販事業ですが、2年ぶりに高い顧客獲得水準となっており、トレンドが非常に良い方向に転換した第2四半期でした。主力の「ニューモ」が増収を達成したということが大きいのですが、定期顧客数が増えたことに加え明治薬品の新製品等が好調を牽引しているのが今回のポイントです。

バイオメディカル事業においては、これまで行ってきた自己免疫疾患治療薬に加えて、新たなパイプラインとして、カダシル(CADASIL)という病気に対するペプチド医薬品の開発が始まっています。

中期経営計画2026「新価値創造 1Kプロジェクト」においては現在、卵殻膜繊維「ovoveil(オボヴェール)」があらためて注目を集めています。こちらの販路拡大については、後ほどご説明します。

連結売上高

売上高については、前年同期比で見ると減収となっていますが、計画どおりの進捗と考えています。

連結営業利益

利益についても、積極投資できたことによる効果がBtoC事業に表れたかたちで、極めてポジティブな内容となっています。

四半期業績推移

ニュースサイト等では、数字だけを見て減収減益などと報じられてしまいますが、我々にとっては、極めてポジティブな投資ができた第2四半期でした。

カテゴリー別売上高

セグメント別に売上高をお伝えしていきます。

BtoB事業においては、まず機能性素材が前年同期比で38.3パーセント増となりました。特に、「ファーマギャバ」の海外向けが好調となっています。国内において機能性表示食品制度全体の届出は減少傾向ですが、当社のギャバは引き続きナショナルブランドに採用されています。

機能性製品事業およびCHC事業については、今後の注力分野として、現在パートナーといろいろな取り組みを行っています。後ほどご説明します。

CMO事業は、前年同期比ではマイナスで推移していますが、あらかじめ想定済みです。予算どおりに進捗しています。

ファーマギャバを採用した機能性粉末飲料

海外向けの「ファーマギャバ」が好調とお伝えしました。その1つの例が、スライドで紹介している「ファーマギャバ」を採用したパウダー飲料です。AVROLife社とともに現在「ファーマギャバ」を開拓しています。この会社は在北米の三菱商事グループ関係会社です。

北米、ファーマギャバ採用増加

ただお客さまの製品にギャバを採用していただくだけではなく、「ファーマギャバ」ブランドのロゴとともに「ファーマギャバ」が使われているというコピーもパッケージにしっかりと記載することでブランド拡大に注力しているのがポイントです。この動きを現在、三菱商事グループが北米で行ってくれています。この結果、AVROLife社の製品がさっそく2つのアワードを受賞するなど、その展開には期待しています。

北米「GABAと持久力」の特許取得、スポーツニュートリション市場開拓

北米ではもう1つ、特許について非常に大きな動きがありました。それは「ギャバと持久力」に関する特許です。具体的には、ギャバの摂取と適度な運動で持久力が2倍に向上するという内容です。

適度な運動とは、ウオーキングやジョギング、ランニング、肉体労働等の日常的な活動を指します。この日常的な身体活動が非常に大きなポイントになります。私たちは2019年にも筋肉に関する特許として、ホエイプロテインとギャバを摂取することで筋肉量が増加するという成果を三菱商事と一緒に発表しています。

こちらが主にアスリート向けだとすれば、日常的な軽い運動での持久力向上はよりライトユーザー向けで市場が大きいということになるため、今回の特許取得をきっかけに今後、100億ドル以上ともいわれる北米のスポーツニュートリション市場を三菱商事グループと一緒に開拓していきたいと考えています。

大手コンビニでGABA配合おにぎり発売

一方、国内ではギャバ販売のビジネスモデルも変化してきています。その具体例がギャバ配合おにぎりです。これは、おにぎりにギャバを配合して、日常的に健康になっていただこうという取り組みの1つです。このおにぎりは、大手コンビニチェーンの関東7,000店舗で実際に販売されています。

併せて、ご飯の風味が良くなるという”ギャバとおにぎり特許”も取得しました。おにぎりに限らず日常的な食事、パンや総菜などでギャバを摂取する機会をできる限り増やしていくことで市場拡大を目指していきたいと思います。

これまでと大きく異なり、まったく新しい取り組みといえるのは、例えばコンビニにおけるチルド棚あるいは栄養ドリンクのような棚ではなく、おにぎりが並ぶような棚やデイリー食品の棚にもギャバを広めていこうとしているところです。

伊藤忠商事との資本業務提携の進捗

国内でいうと、伊藤忠商事との取り組みも進捗しています。2024年10月に資本業務提携を締結して以来、いろいろな取り組みを各メーカーや取引業者と進めています。これに手応えを感じており、さらに協業を深めるために伊藤忠商事は、その後、出資比率を4.9パーセントまで引き上げています。このことからも、我々の製品あるいは商品開発についての期待が高いというところが見て取れるかと思います。

この取り組みについて井上より補足説明します。

井上泰範氏:営業本部担当の井上です。2024年10月に伊藤忠商事と業務提携しましたが、その後約5ヶ月にわたり、ともに営業活動に当たっています。伊藤忠商事の取引先は小売が2,000社でメーカーが約1万社です。私どもとの取引がこれまでなかった小売やメーカーもたくさんあるため、そちらを伊藤忠商事とのつながりやお力添えで現在、当社のギャバやNB(ナショナルブランド)製品などを積極的にご採用いただけるように活動しています。

ここでは明確にメーカーの名前などはお話しできないのですが、決定間近なところも複数あり、可能性が出てきているため、ポジティブに捉えていただければと思います。併せて、私どもは積極的に拡販できるように、営業活動に力を入れていきます。

先ほど「AVRO(アブロ)」の海外での展開についてお話ししましたが、私どもは以前から、三菱商事に北米を中心とした海外でのビジネスのお力添えをいただいています。それから伊藤忠商事に2024年10月以降出資をしていただき、国内を特にメインにして協業を進めています。このように今、大きな2社の力も借りながら、営業活動を活性化していますので、どうぞ今後にもご期待いただければと思います。

機能性表示食品受理件数

河中:機能性表示食品制度は、国内全体においては届出が減っているというニュースもありますが、我々のギャバは引き続きナショナルブランドに採用されています。私たちのギャバである「ファーマギャバ」をブランドによって差別化していくことが、今後、さらにいっそう必要になってくると考えています。

四半期業績推移

BtoB事業の四半期業績推移については、安定した利益を引き続き確保しているため、先ほどご説明した新しい取り組みである、デイリー食品や育毛剤の「ニューモ」などの、コンビニ・ドラッグストアでの販売活動の拡大に努めていきます。

明治薬品、定期顧客件数前期末比2.2倍

通信販売事業を中心とするBtoC事業については、2年ぶりくらいの変化が起こっています。具体的には、明治薬品においては定期顧客件数が前期末比で2.2倍と、非常に急増しています。

その要因がスライドに示している新製品です。過去2年にないくらいの獲得効率や獲得件数を叩き出しており、主力となっているのが「てんらい清流錠」「ヘルスパンC錠」「ノルクスK錠」の3つです。

「てんらい清流錠」は、関連会社のオンキヨーとコラボして生まれた、耳鳴りを対象とする漢方薬で、非常に好調です。耳のケアの大切さをオンキヨーと一緒に伝えるコンテンツを用意することも含めて、他社との差別化要因になっています。

広告宣伝費と定期顧客件数

この成果によって、2年ぶりくらいの高い水準で顧客獲得ができています。2023年度第2四半期以来の高い水準での広告投資を実現しています。つまり新規獲得ができているということが、スライドのチャートから見て取れると思います。

定期顧客件数は、先ほどのスライドでご説明した「てんらい清流錠」「ヘルスパンC錠」「ノルクスK錠」の3つの新製品については、前期末比3万4,000件増です。主力の「ニューモ」ブランドについては、育毛剤と発毛促進剤の「ニューZ(ゼット)」を合わせて前期末比3万1,000件増です。主力製品・新製品の両方とも伸びている結果、定期顧客件数の増加につながっています。

四半期業績推移

足元でも投資は進めており、それにより下期、そして来期は、BtoC事業の売上および収益にこれらの新製品が寄与してくるものと考えていますので、ご期待ください。

国立循環器病研究センターと遺伝性難病の治療薬を共同開発

バイオメディカル事業においては、みなさまにお知らせできるパイプラインが1つ追加されました。

具体的には、カダシルという病気の治療薬です。カダシルは、厚生労働省指定難病124番の病気で、NOTCH3(ノッチスリー)遺伝子の病的バリアントが原因となって発症します。この遺伝子は個人によって変化するのですが、病気の発症に関わる変化をすることによって引き起こされます。

この病気になると、スライドの脳のMRI画像にある白い部分のように白質化が起こり、それによって片頭痛、脳卒中、認知症というような臨床経過をたどっていきます。

この治療薬を開発するために、我々は、国立循環器病研究センターと、カダシル創薬研究部を設立しています。これまで培ってきた我々のペプチド研究と国立循環器病研究センターが行ってきた研究を合わせて、できるだけ早期に治療薬を患者さんのもとに届けたいと、我々は考えています。

カダシル治療薬のパイプラインの追加について、金武祚よりコメントがあります。

金武祚氏:私たちはすでに創薬事業として、数個のパイプラインを持っています。その1つは、ご承知のように、私たちの「ALAgene technology(アラジン テクノロジー)」による抗体を使った田辺三菱製薬との事業で、ようやく昨年からフェーズ1の仕事を進めています。

それ以外にも数個取り組んでいますが、最近リリースしたカダシルについて、少しお話しできる状態になりましたので、私から代表してお話ししたいと思います。

カダシルは、厚生労働省の指定難病124番となっています。脳小血管病と言いますか、細い脳の血管が詰まって発症するとお話ししてもいいと思います。

これが実は、アドレノメデュリンという52個のペプチドホルモン、52個のアミノ酸の結合成分によって、予防・治療ができるということを何年も前から研究開発に取り組んできて、すばらしい結果が今出ている状況です。フェーズ1は終わり、フェーズ2が実施中です。

結果は近々発表しますが、極めて良好だということです。指定難病であり、今後フェーズ3に入った場合、患者さんのリクルートがなかなか難しいため、願わくば条件付きの承認となると非常に早く進むということで、私たちは力を入れて投資を考えています。この研究は大阪の吹田市にある国立循環器病研究センターで行っています。

私たちは3年前から、ファーマフーズの研究室をそこに作って、脳機能改善として食品成分と医薬の開発に取り組んでいました。それが非常にうまく進んでいたため、先生方ともタイアップして、今回、このような発表に至ることとなりました。

これ以外にも多数ありますが、私たちの専門の1つは、抗体の事業とペプチドの研究事業であるため、まず、カダシルについて非常に力を入れて取り組みたいと思います。どうぞご期待ください。

四半期業績推移

河中:我々としては、カダシル治療薬をはじめ、引き続き創薬開発に積極投資していきたいと考えています。

挑戦的な投資を継続していく

2025年7月期末の業績予想は、2024年9月に発表した業績予想値から変更ありません。複数の新製品の急成長を受け、下期は投資拡大をします。ただし、利益を維持し、この数字を守るというところは、みなさまにお約束できればと考えています。

2025年4月以降は「ニューモ3,000万本突破キャンペーン」を開始予定であり、投資する対象は非常に多いのですが、この業績予想値は守りたいと考えています。

株主還元

配当については変更はありません。あくまでも利益を将来的に増やすことで、配当金の絶対額を増やしていきたいと考えています。

卵殻膜繊維“オボヴェール”万博で世界へ発信、市場投入

中期経営計画2026の進捗です。特に卵殻膜繊維「ovoveil(オボヴェール)」への注目がさらに高まっており、NHK等のメディアでもつい先日取り上げられました。ファッション・流通業界からも非常に注目を集めています。

現在は製品開発や生産設備の投資をしていますが、4月に始まる「2025年大阪・関西万博」において、大々的に発信し、さらに製品投入につなげていきます。

もう少し時間が経つと、具体的な製品等に関する発信をみなさまにお届けできるタイミングがくるかと思いますので、楽しみにしてください。

今後5年間で300億円規模の挑戦的な投資を開始

卵殻膜繊維等への50億円の投資や、医薬品開発のための創薬に関する投資、そしてM&Aに関しても、現在、非常に活発に動いています。このような投資を通じて、来年掲げている「1K」の目標の達成を目指し、そして今後5年間でさらに伸ばしていく取り組みを継続していきますので、楽しみにしていただけると幸いです。