2016年度決算の概要

星正幸氏:本日はご多用の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。2016年度の決算につきまして発表させていただきます。よろしくお願いいたします。

決算の概要です。2016年度通期の業績は売上高4,516億円、計画比134億円の減収。営業利益25億円、計画比で125億円の減益となりました。

計画対比で営業利益が減少した要因は、本日適時開示した中国の売上債権約182億円に対して、貸倒引当金109億円を計上したことによるものです。

これに伴い、経常損失は24億円の赤字となりました。一方、当期純利益は47億円と黒字を確保いたしました。

すでに公表済みではありますが、改めまして特別損益の内訳です。特別利益の内訳は、子会社株式の譲渡益で126億円、退職給付信託の一部解約により78億円。特別損失の内訳は独禁法関連の損失25億円、固定資産の譲渡損失24億円となっています。

期中の平均為替レートはUSドル・ユーロとも記載のとおりですが、これらによる前年比の為替影響は売上高で186億円、営業利益で17億円のマイナス要因となっています。期末の配当は計画どおり30円を実施の予定です。

セグメント情報(売上高)

セグメントごとの売上高です。情報通信の売上高は1,774億円、前年比138億円の減収となりましたが、キャリア向けの既存ネットワークの売上終了や、消防無線のデジタル化事業の一巡といった影響はあらかじめ計画に織り込み済みであったことから、おおむね計画どおりの着地となりました。

メカトロシステムの売上高は、1,009億円です。主力市場であった中国ATM市場、とくに大都市部の急速な普及が一段落して踊り場を迎えているため、全般的に低調に推移いたしました。

ブラジルやその他海外はおおむね計画どおりに推移し、国内では現金処理機が好調に推移いたしましたが、全体では計画にやや届きませんでした。

プリンターの売上高は1,124億円、前年比122億円の減収となりました。オフィスのプリンティング需要の減少傾向は継続しており、さらに為替の影響が大きく、全体としては大きく減収となりました。

EMSは既存の大口顧客からの受託がお客さまの都合により遅れたことなどにより、売上高432億円と計画には届きませんでしたが、前年対比での増収の継続はなんとか達成することができました。

セグメント情報(営業利益)

セグメントごとの営業損益です。情報通信の営業利益は144億円となり、計画比で9億円の増益となりました。

前年度から継続している構造改革による採算性の改善に加えて、920MHz無線ユニットなど今後の成長期待商品などが増えつつあり、収益の改善に寄与いたしました。

メカトロシステムは118億円の営業損失となっておりますが、これは貸倒引当金を計上したことが主要因となっています。

プリンターは物量の減少に加えて、為替要因により営業利益10億円と、前年比4億円の減益となりましたが、固定費の見直し効果等により計画を上回る結果となりました。

EMSは大口顧客の計画の遅れなどにより、前年比で2億円の減益となりましたが、一時的な影響と考えています。

FY2016 営業利益の変動要因(前年対比)

営業利益につきまして、前年度と今年度を比較した階段チャートです。数字は5億円単位に丸めてある関係で、109億円の貸倒引当金が一過性の損失110億円となっていることをお含みください。

昨年単位で見た悪化要因は、情報通信セグメントでの物量減・価格下落および為替の影響等がありました。

これらを調達コストや固定費の低減で一部は跳ね返しましたが、ここに貸倒引当金109億円を計上した結果、前年対比では161億円減益の25億円となりました。

B/Sの概要

バランスシートの概要をご説明申し上げます。総資産は前期末から511億円減少し、3,607億円となりました。

運転資本を削減し効率化を図ったことが寄与し、総資産の圧縮が進みました。自己資本は98億円減少の969億円となりましたが、自己資本比率は26.9パーセント、DEレシオは0.9倍と前年度末からも改善いたしました。

表に記載はありませんが、ネットベースでのDEレシオは0.36倍となっており、厳しい経営環境下ではありましたが、全般的に財務指標は改善することができました。

キャッシュフローの概要

キャッシュフローです。ここでも運転資本削減の効果が大きく寄与し、営業キャッシュフローは420億円となり、前年比456億円の改善となっています。

投資キャッシュフローは76億円の収入となりました。前年比で214億円のプラスとなっておりますが、特別損益のところでご説明した子会社株式および土地の譲渡による収入が主な内訳となっています。

この結果、フリー・キャッシュフローは496億円となりました。これらにより2016年度は借入金の圧縮を行い、最終現金同等物は520億円となっています。

以上が2016年度実績の説明となります。

売上高・利益計画の概要

ここからは2017年度の計画についてご説明申し上げます。

2017年度通期の売上高は、前年比34億円増の4,550億円、営業利益130億円、経常利益120億円、当期純利益は80億円と、一過性の要因を除けば通期でおおむね前年と同等の計画値としています。年間配当は前年度と同額の50円を計画しています。為替レートはドルが110円、ユーロは115円を前提としています。

セグメント情報

主要なセグメントの計画値についてご説明いたします。情報通信事業の売上高は1,830億円です。

営業利益は135億円と前年比減益での計画となっておりますが、今後に向けた投資とバランスをとり、安定収益確保の軌道をより確固なものとしていく予定です。

メカトロシステム事業の売上高は1,050億円で、前年比41億円の増収となります。中国市場の踊り場は続きますが、ブラジルの改善やその他海外地域での売上伸長を見込みます。営業利益は10億円で前年比128億円良化の計画としています。

プリンター事業の売上高は1,060億円で、前年比64億円の減収となります。売上の規模を追わず、収益率の改善と安定化を目指してまいります。営業利益は前年並みの10億円を計画しています。

EMS事業の売上高は490億円で、前年比58億円の増収となります。営業利益は25億円で、前年比4億円の増益計画としています。

営業利益の変動要因

次のページは、先ほどと同じ営業利益の階段チャート比較です。一過性の損失が解消することにより109億円改善するほか、記載のどおりの変動を見込んであり、結果、全体では実質的に前年並みの130億円となる計画です。

フリー・キャッシュ・フロー

フリー・キャッシュフローでは20億円の支出超過を計画します。

運転資本の効率化につきましては、前年度大きな成果を挙げました。本年度は財務規律を維持しながらも、今後の成長やそれを支える投資にも重点を置いた計画といたします。

設備投資、研究開発費

設備投資および研究開発につきましても、成長事業を中心に全体的に増加させる計画といたします。簡単ではございますが、以上でご説明を終わります。