2016年度 連結決算の概要

中山讓治氏:こんにちは。中山です。本日は大変ご多忙のところ、第一三共の経営説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

本日13日に発表した2016年度の連結決算に関して、資料に沿って説明します。

本日お話する内容ですが、16年度決算、17年度業績予想です。

まず2016年度連結決算についてご説明します。連結売上収益は9,551億円、前年同期比で313億円。3.2パーセントの減収でした。

経費は売上原価が前年同期比308億円の増。販売費・一般管理費は263億円の減。研究開発費は57億円の増です。

結果、営業利益は889億円。前年同期比で415億円。31.8パーセントの減益でした。

税引前利益は878億円。そして親会社帰属の当期利益は535億円。前年同期比288億円。35.0パーセントの減益です。

為替レートの実績ですが、1ドル108円42銭。前期比よりも11円72銭の円高。1ユーロは118円84銭と13円73銭の円高です。

北里第一三共ワクチンの減損について

今年度の決算において大幅な減益処理をした、北里第一三共ワクチンKDSVに関してご説明します。

はしか・おたふく・風疹の3種混合ワクチンであるMMRワクチンを中心とした複数の開発プロジェクトの遅延により、減損の兆候ありとの判定となり、減損テストを実施しました。

結果、事業評価を行い、有形固定資産、無形資産について219億円の減損損失を計上しました。

減損の結果、2016年度KDSVは230億円弱の債務超過を解消し、財務基盤を強化するため、400億円規模の増資を行うことを決めました。

原価低減や費用削減など、さまざまな打ち手によって、黒字化を目指していきます。

また、ワクチンの品質維持。安定供給に加え、新製品の開発・上市を加速し、中長期的に収益を拡大し、投資に見合う利益を獲得したいと考えています。

売上収益増減

それではこれから前年同期比での増減要因についてご説明します。

売上収益は前年同期比313億円の減収となりましたが、その内訳を主要事業ユニット別にご説明します。

まず国内医薬、ワクチン、OTCを含む日本事業では、薬価改定の影響はありましたが、抗凝固剤リクシアナが大きく売上を伸ばし、2型糖尿病治療剤テネリア。

抗インフルエンザウイルス剤イナビル。抗血小板剤エフィエント。骨粗鬆症薬剤プラリア。アルツハイマー認知症治療薬メマリー。

抗潰瘍剤ネキシウムといった主力製品群を中心に、前年比で大きく売上を伸ばすことができました。

一方で、消炎鎮痛剤ロキソニンなど、長期収載品などはジェネリック処方の拡大の影響を受け、減収となりました。

また昨年度、通販会社アイムを買収した第一三共ヘルスケアが大きく売上を伸ばしています。以上のことから、日本事業全体では、249億円の増収でした。

次に海外事業についてご説明します。ここでは為替変動の影響を除外して記載しています。

米国の第一三共Inc.はエフィエント、オピオイド誘発性便秘治療剤・モバンティックなどの寄与があったものの、昨年10月に特許の切れた高血圧症治療剤オルメサルタンの減収により、274億円の減収でした。

一方、米国ルイトポルドが、鉄欠乏性貧血治療剤インジェクタファーの伸長によって66億円の増収。

第一三共ヨーロッパは、リクシアナ、エフィエントの寄与により14億円の増収です。

またアジア、中南米地域を束ねる事業は48億円の増収でした。なお、円高による減収は全体で416億円です。

この為替影響を除外すると、実質では103億円の増収です。

営業利益増減

営業利益の増減要因を示しています。先ほどの説明の通り、売上収益は為替影響による減収416億円を含め、313億円の減収です。

特殊要因の内訳

次に経費関連について為替影響特殊要因を除いて説明すると、売上原価は為替影響を除いた実質売上が増えたため、また薬価改定による原価率悪化のために210億円増です。

販売費・一般管理費は米国における経費削減効果等により116億円減。

また研究開発費はエドキサバンのLCMやがん領域のプロジェクトの伸長により169億円増でした。

為替影響による費用減は合計で381億円。その内訳は売上原価で114億円。販売費・一般管理費で166億円。研究開発費で101億円でした。

特殊要因としては、前期と比較すると、290億円の費用増ですが、詳細については次のスライドでご説明いたします。

以上により当期の営業利益は889億円、415億円の減益でした。為替影響、特殊要因の影響を除外すると、実質で161億円の減益です。

特殊要因の明細を示しています。前期は米国における事業再編費用を計上するとともに、子会社売却益、有形固定資産売却益も計上し、合計で185億円の費用増でした。

今期はサプライチェーン体制、研究開発体制の再編、欧州事業再編に関わる費用、北里第一三共ワクチンに関わる減損を計上したため、合計で404億円。前期から219億円の費用の増加です。

当期利益増減(親会社帰属)

当期利益の増減です。営業利益が415億円の減益でしたが、金融収益費用では、今期は前期と比べ、為替差損益が改善しました。

また前期は株式売却手数料を金融費用として計上していたこともあり、全体で64億円の費用減でした。

法人税や非支配持分による増減を加味した結果、親会社帰属の当期利益は535億円。対前年288億円の減益です。

法人税等、非支配持分

北里第一三共ワクチンが法人税、非支配持分に与える影響についてご説明します。

北里第一三共ワクチンは、過去から繰越欠損会社であったため、税引前損失に対する税効果不適用でした。

従来は損失額もそれほど大きくなく、連結決算への影響は軽微でした。

しかし、2016年度は北里第一三共ワクチンの損失金額が約300億円と大幅に増加したため、影響が大きくなり、法人税率が大幅に高くなっています。

非支配持分は損失金額約300億円のうち、北里研究所持分20パーセント分約60億円が非支配持分として親会社帰属の当期純利益から除かれています。

主要ビジネスユニット 売上収益増減

主要ビジネスユニットの円ベースでの売上増減です。先ほどのスライドでは為替影響を除いた各ユニットの状況をご説明しましたが、ここでは為替影響を含んだ実績を示しています。

海外のビジネスユニットは、円高による為替影響が大きく減収となっています。

国内主要製品 売上収益増減

国内主要製品の売上増減です。今年度は薬価改定の影響があったにも関わらず、ネキシウム、メマリー、テネリア、リクシアナ、プラリア、ランマーク、イナビル、エフィエントといった主力品は好調です。

一方で、長期収載品に関しては、薬価改定やジェネリック医薬品のシェア拡大等により、前年同期と比較して苦戦をしている製品が多くなっています。

2017年度 連結業績予想①

次に2017年度の業績予想についてご説明します。

売上収益9,300億円。営業利益1,000億円。全社あげてこの目標の達成を目指していきます。

2017年度 連結業績予想②

こちらでは2016年度の特殊要因を除いた数字との比較でご説明します。

売上収益については、オルメサルタンの特許期間満了の影響が本格化することから、前期比で2.6パーセント減収の9,300億円を見込んでいます。

売上原価は自社製品で利益率の高いオルメサルタンの落ち込みが大きく、その結果原価率が上昇する見込みです。

販売費・一般管理費はコスト削減および効率化の効果があるものの、田辺三菱さんとの戦略的提携の拡大や、中国におけるアライアンスの拡大によって、共同販促費用が増加すると見込んでいます。

研究開発費はミロガバリンのフェーズ試験が終了し、前期までに行った研究開発体制の最適化によるコスト削減および効率化の効果があらわれ、費用が大きく減少すると見込んでいます。

結果、営業利益は特殊要因を除いた前期に比べ22.7パーセント減益の1,000億円を見込んでいます。なお、為替レートは1ドル110円。1ユーロ120円を前提としています。

主要ビジネスユニット 売上収益予想

主要ビジネスユニットの売上収益の予想です。

国内外におけるエドキサバンの急速な拡大、国内主力製品の持続的な成長、米国ルイトポルト社のインジェクタファーの伸長。

それらによって日本ヘルスケア、ルイトポルト、ASCAは増収を見込んでおりますが、米国の第一三共Inc.は、オルメサルタンの特許終了の影響により、大幅な減収を見込んでおります。

グローバル製品 売上収益予想

グローバル製品であるオルメサルタンとエドキサバンの売上予想です。2017年のオルメサルタン合計で840億円の減少を見込んでいます。結果、欧米での売上は2017年度に400億円規模になる見込みです。

したがって、18年度以降のオルメサルタンの売上落ち込みの影響の規模は縮小していくと考えています。以上です。