2017年3月期 決算説明会
五十川龍之氏:改めまして、皆さんおはようございます。新明和工業の五十川です。本日はご多忙の中、弊社2017年3月期決算説明会にご出席いただき、誠にありがとうございます。早速ですが、説明を始めます。
本日は2017年3月期業績、2018年3月期業績予想、そして現在推進中の中期経営方針の進捗状況について、ご説明を申し上げます。
連結決算ハイライト
それではまず最初に、2017年3月期業績について説明します。2017年3月期は、中期経営方針で目標に掲げている、売上高2,000億円以上、営業利益100億円以上を、前期に続き達成しました。
グラフは売上高と各利益について、それぞれ、2017年3月期の業績を、前期と比較できるように示しています。
売上高は、特装車の需要が堅調で、前期に比べ、環境・物流関連車両を中心に、売上が増加しましたが、為替が前期に比べ、円高で推移し、航空機セグメントの売上が減少したことから、全体は若干減少でした。
営業利益についても、特装車は堅調な需要を背景に増益でしたが、為替が円高で推移したことが航空機セグメントの収益を圧迫し、全体としては減益でした。
セグメント別の業績(2017年3月期)
続いて主要4セグメントの売上高、営業利益について、2017年3月期までの3年間の推移をそれぞれ示しています。
前期との比較で、簡単に説明すると、航空機セグメントについては、ボーイング社777向けの売上機数が、新型の777Xへの移行を控え、減少した他、前期の為替レート、1ドル120.6円と比較し、円高の1ドル108.5円となり、全体としては減収減益でした。
特装車セグメントは、特装車市場で、需要が堅調に推移した他、林業機械の需要も高水準を維持し、全体としては増収増益でした。
続いて、産機・環境システムセグメントは、ポンプ関連や、システム製品、機器製品ともに、堅調に推移しましたが、廃棄物処理施設の工事が、前期に比べ減少しました。結果、本セグメントは減収増益となっています。
最後、パーキングシステムセグメントは、機械式駐車設備の新設案件が、都市部で堅調な需要が継続し、売上が拡大しています。この結果、本セグメントは増収でした。
セグメント 売上高・営業利益 構成比
以上、4事業セグメントの業績により、売上高・営業利益のセグメント構成比は、円グラフの通りとです。
売上高は、航空機と特装車で6割以上を占め、営業利益は、5割以上が特装車セグメントが占めるような構成です。
財務/キャッシュ・フローの状況
財務の状況についてご説明します。2016年3月末、2017年3月末、それぞれの数値を示しています。
この1年間の比較では、自己株式の取得などがあったものの、当期純利益を計上したことなどから、純資産は増加しました。
結果、自己資本比率は2.2ポイント改善し、62.7パーセントになりました。なお、有利子負債は、借入金の返済により減少しています。
キャッシュフローの状況については、売上債権の回収が進捗し、営業利益によるキャッシュフローはプラスになりましたが、固定資産の取得、自己株式の取得、借入金の返済、配当金の支払いなどにより、投資活動および財務活動によるキャッシュフローはマイナスになっています。
この結果、現金同等物は1年前と比較し、17億円増加し187億円です。
業績予想
続いてここからは、2018年3月期業績予想をセグメント別に説明します。2017年3月期実績と2018年3月期実績の比較を各セグメントの変動を示しています。
売上高は、特装車セグメントで建設関連を中心に売上高の減少を見込むものの、市場環境が良好なパーキングシステムセグメントなどの増収効果により、前期並みの水準となる2,000億円を見込んでいます。
また営業利益については、特装車セグメントにおける売上高減少と設計、あるいは生産の効率向上を図るための投資を計画しており、前期に比べ23.5パーセント減少となる、100億円を見込んでいます。
航空機セグメント
続いて、セグメント別の業績予想、詳細を順次説明します。ここからは、セグメントの売上高および営業利益について、2018年3月期までの3年間の推移と、2017年3月期に対する、業績予想の増減要因などを示します。
まず、航空機セグメントについては、海外民間機向けの売上高の比率が高いため、為替変動の影響を大きく受けます。
2018年3月期は、前期と同水準となる、1ドル108円を想定為替レートに設定しています。
ボーイング社向けの機体コンポーネントに関しては、777向け、翼銅フェアリングの機数が、新型の777Xへの移行を控え、減少を見込むものの、787向け主翼スパの売上機数は、増加を見込んでいます。
また、防衛省向けはUS2型救難飛行艇の製造およびオーバーホールや、機体コンポーネントの製造などにより、売上規模を維持する見通しです。
売上高は、385億円を見込んでいます。一方、営業利益については、787の価格改定を見込むものの、原価低減活動などを推進することなどにより、利益水準を維持し、19億円を見込んでいます。
特装車セグメント
続いて特装車セグメントです。普通トラックの需要は、高水準が継続すると予想されますが、前期の水準には至らないものと見込んでいます。
そうした中、塵芥車などの環境関連車両、テールゲートリフターなどの物流関連車両の需要は、底堅く推移するものと見込んでいます。
高い需要水準が継続しています、林業機械については、売上規模を維持する見通しです。
結果、売上高は、4.7パーセントの減少となる、851億円を見込んでいます。営業利益については、37.1パーセントの減少となる、52億円を見込んでいます。
これは売上高の減少に加え、鋼材など、資材費の高騰を想定している他、設計・生産の効率向上を図るため、老朽化設備への更新などの投資。早期の戦力化に向けた、技術者の育成にも注力することが、主な要因です。
また、働き方改革を推進するため、繁忙な部門への人員の増強も予定しています。
以上の通り、将来に向けた投資によるコストなどが膨らむことを想定しており、大幅減益となるものと考えています。
産機・環境システム セグメント
続いて、産機・環境システムセグメントについては、メカトロニクス関連は、海外での自動電線処理機の売上が減少することが想定していますが、流体関連は、ポンプなどの機器・システムともに売上の増加を見込んでいます。
結果、セグメント全体の売上高は、2.2パーセントの増加です、301億円を見込んでいます。
営業利益については、売上増加による利益の増加に加え、環境関連は、ごみ処理施設の運営事業の採算性改善を見込み、全体としては、3.7パーセントの増加となる、23億円を見込んでいます。
パーキングシステムセグメント
セグメント別の最後は、パーキングシステムセグメントです。売上高は、首都圏および地方主要都市部における、機械駐車設備の新設案件の増加を見込む他、国内および東南アジア地域での、納入案件が増加する見通しです。
これらの結果、売上高は、5.6パーセント増加となる、329億円を見込んでいます。
営業利益は、売上増加による利益の増加に加え、駐車設備は、新設案件の採算性改善を見込み、13.5パーセントの増加となる、21億円となる見通しです。
研究開発費・設備投資
続いて、研究開発費および設備投資の計画について説明します。研究開発費については、中期経営方針に掲げる、高付加価値製品の創出に向けて、各事業分野で研究開発費を増加し、33億円と、前期を上回る水準を見込んでいます。
設備投資については、前期に航空機セグメントで見込んでいた、ボーイング社777X向けの生産体制構築。また、787向けの増産設備投資の一部が、2018年3月期にずれ込んだこと。
また、特装車セグメントで設計・生産効率向上を図るため、設備投資を大幅増額を予定しており、前期を大幅に上回る92億円を計画しています。減価償却費は、47億円を見込んでいます。
株主還元の推移
続いて、株主還元の推移について説明します。1株当たり利益と配当金の推移です。当社では、安定配当を基本としており、2018年3月期においても、1株あたり14円の配当を予定しています。
当期純利益と、配当および自己株取得の総額の推移は安定配当に加え、昨年5月に、30億円の自己株取得を行ったことから、2018年3月期の配当予想分も加えた、3年間の総還元性向は、28パーセントとなる見通しです。
中期経営方針「New Challenge 100」
続いて、現在推進中の、中期経営方針についてご説明申します。2015年4月にスタートした、中期経営方針「New Challenge 100」では、2018年3月期までの3年間で、連結売上高2,000億円以上、営業利益100億円以上を継続して計上できる企業グループを目指し、諸施策を実行しています。
これまで、目標とする数値を達成しており、最終年度となる2018年度3月期も達成する見通しです。
引き続き、基本方針である事業基盤の堅持と「殻」を破る新たな挑戦として、市場シェアおよび収益の維持・拡大、グローバル市場でのサプライヤーとしての地位確立、付加価値の高い製品の創出による、新たな新事業への参入を主に推進していきます。
セグメント別の取り組み(1)
次に、セグメントにおける活動、実績などをご紹介します。まずは航空機セグメントです。世界で認められる航空機メーカーを目指す航空機セグメントは、777Xの本格生産に向け、兵庫県の播磨工場での、翼銅フェアリングの製造ラインを、現在構築中です。
787向け主翼スパーは段階的に増産しており、月産12機となる見通しです。ただ、契約に伴う価格改定を想定しており、原価低減の取り組みなど、今後更に強化していきます。
品質の維持・向上に加え、原価力のさらなる向上により、業界内での品質・コストの優位性を高めていきます。
続いて、特装車セグメントについては、国内ダントツNo.1への再挑戦を掲げています。
国内市場は、現在、高い需要水準が継続していますが、中長期では、人口減少などを背景に、大幅な市場伸長が期待できない環境です。
こうした中、市場環境の変化に対応できる生産体制の構築に加え、資料に示している、お客様のニーズに応える製品を開発し、市場投入することで、さらなる市場シェの向上を図ります。
セグメント別の取り組み(2)
続いて、産機・環境システムセグメントは、事業基盤の強化を、海外販売の拡大をテーマに掲げています。
自動車分野を中心に、ワイヤーハーネスの需要が拡大している他、環境関連では、施設の設計・施工だけではなく、運営業務まで民間委託する案件が増加してきました。
製品ラインアップの強化に加え、グループで培った、メンテナンス、施設の運営ノウハウを強みに、受注競争力を高めていきます。
最後に、パーキングシステムセグメントですが、お客様に選ばれるソリューションメーカーをテーマに掲げています。
機械式駐車設備の新設案件は、東京オリンピックを控え、首都圏を中心に、都市部での需要が堅調に推移しています。
航空旅客搭乗橋は、東南アジア地域を中心に、市場が拡大しています。
駐車場については、お客様のニーズにマッチした製品を、搭乗橋については、付加価値を高めた高機能製品の開発を進めていきます。
以上、私からのご説明とさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。