2017年3月期決算説明会

中田卓也氏(以下、中田):みなさま、おはようございます。ヤマハの中田です。

まず冒頭、平素より当社の事業に大変なご理解をいただきまして、誠にありがとうございます。また、本日はゴールデンウィークの中日という日にもかかわらず、かくも多数の方に我々の説明会にご出席をいただきまして、本当にありがとうございます。

それではさっそく、2017年3月期の決算説明会を開きたいと思います。

通期決算の概要

まず、通期決算の概要です。決算の概要といたしまして、まず業績でありますが、対前期減収ということになりましたけれども、利益面では5期連続の増益を達成することができました。

対前期、為替の影響で300億円以上のマイナスインパクトがございましたが、実質的には各現地ベースでの売上は積み上がっており、実質的な増収があったということです。

楽器事業につきましては、対前期、為替の影響、それから音楽教室を移管した影響がまだ3ヶ月分残っておりまして、その減収も含めて、全体として減収になりましたが、とくに中国まだ堅調が続いておりまして、こちらが2桁の増収になりまして、それ以外の市場も堅調に推移しました。

音響機器事業につきましても、同様に減収、為替影響がありましたが、国内、それから北米、ヨーロッパ、各市場で堅調に推移し、前期増益ということで、全体の営業利益が100億円を超えたということであります。

その他事業につきましても、電子部品、それからゴルフ事業が非常に好調に推移いたしまして、対前期でも大幅な増益となりました。

当期利益につきましては、前期、それから前回予想ともに増益ということで、こちらの最終ボトムにつきましては過去最高益を達成することができました。

対前期では、繰延税金資産の計上がございまして、これが大きく寄与しているということもございます。

それから対前回予想では、子会社Revolabsののれんの一括償却を行いましたが、リゾート施設の譲渡に伴う構造改革費用の戻りがございまして、ここがイーブンと申しましょうか、ほとんど影響を及ぼさなかったということです。

通期業績概要

それでは、表で確認をさせていただきたいと思います。ご覧の数値のとおりです。

とくに営業利益が443億円ということになりまして、我々がかなり注目しておりました営業利益率、この中期計画で最終年で12パーセントの営業利益率を目指そうということで業務を展開しておりますけれども、今期のところで10.9パーセントというところで、対前期に対して1.6ポイントほど改善することができました。

1ポイントずつ改善して12ポイント、12パーセントまで持っていくという目標に対してはプラスで進捗していると理解しております。

前期比では、営業利益で8.9パーセント、当期利益では、先ほど申し上げました繰延税金資産の計上もございまして、43.2パーセントという大幅な増益になりました。

ここで為替についても触れておきたいと思います。前期がドル121円に対して今期は108円、ユーロが134円に対して121円ということで、ドルで13円、ユーロで15円の円高という局面でありましたけれども、この円高の要素を克服して増益を達成することができました。

通期事業別業績

事業別に見てまいりたいと思います。売上高ではマイナスとなっておりますが、実際は楽器のところは、実質レートに換算いたしますと102パーセント、音響のところで104パーセントの増収がございました。

先ほども申し上げました為替の影響が下段に書いてあります。売上で334億。これは前回に対しては26億のプラスになりました。

営業利益につきましては、前期に対しては111億円のマイナスインパクトがありましたが、これを吸収して増益を達成することができました。

とくに楽器は微増でありましたけれども、音響機器のところが20億円ほど増益ということで、大きく利益率も成長しているというところです。

通期営業利益増減要因

増益の主な要因です。為替インパクトがございましたが、これに対して製造コストアップ、これは主に海外での労務費の上昇というものであります。

それに対して、販管費が実質で減。さらに販売価格がいろいろ適正化を行ってきた効果。それに加えて実質増収。これ現地ベースでの販売が増えたということ。それから、これは中計でも目標として掲げておりましたが、予定どおりコストダウンも進捗したということで、トータルで増益を達成することができたということです。

前回予想との比較でございますが、大きな部分は販売管理費、ここが多少いろいろもう少し厚く使うと見込んでいたんですけれども、ここが予想に対してはこのぐらいのマイナスであったということであります。

次に、事業別にもう少し見てまいりたいと思います。

楽器事業

楽器事業です。4thクオーターのところでは、とくに中国が牽引してくれたということです。それから、国内市場を除く各市場も堅調に推移しました。

とくに第3四半期で欧州での若干のマイナスがありまして、みなさまにもご心配をおかけいたしましたが、ここも堅調に推移をいたしまして、巡航速度に戻ったと認識しております。

商品別では、ピアノ、電子ピアノが堅調に推移いたしまして、ともに4thクオーターは対前年105パーセントの成長をすることができました。

通期のところでは、やはり中国の2桁成長が全体を牽引しております。112パーセントで着地をいたしました。それから北米、ヨーロッパにつきましても堅調に推移をしております。

商品別ではギターに注力しておりまして、好調に推移をしました。それから主力のピアノ、電子ピアノも堅調に推移しております。ギターで107パーセント、ピアノ、電子ピアノはともに105パーセントの成長を達成することができました。

楽器事業(地域別の販売状況)

楽器事業の地域別の状況です。全体といたしましては、冒頭申し上げましたように、102パーセントの増収ということになりました。

とくに、ここの一番上の段が通期の対前年の比較になりますけれども、日本が若干マイナスになった以外は堅調に推移をいたしました。とくに、先ほど申し上げましたように、中国は112パーセントというところで好調を持続しております。

一方で、その他地域につきましては、若干、103パーセントというところで、ここは少し課題が残ったかなと認識をしております。

音響機器事業

次に、音響機器事業です。第4四半期では、国内では設備音響やルーターといったものが好調に推移いたしました。それから北米も好調に推移いたしまして、109パーセントの対前年増を達成いたしました。

通期ですが、地域別には国内と北米の2つが牽引してくれました。国内で110パーセント、北米は114パーセントの成長です。

結果といたしまして、増収があったこと、それに加えましてコストダウン等々が進んだことで、100億円超の営業利益を達成することができました。

これで営業利益率が9パーセントになりまして、中期計画で増収によって利益率を向上させるというところについては、もうすでに数値的には達成をしたという状況です。

音響機器事業(地域別の販売状況)

地域別です。こちらは全体で104パーセントとなりましたが、とくに日本、それから北米がたいへん高い成長を、今回につきましては達成できたということです。

北米は、若干CISというインストレーションのビジネスが、ちょっとヨーロッパはほかの地域に対して出遅れていた感じがありましたけれども、ここへ来てそのへんの体制も揃って、成長をすることができたということであります。

国内につきましては、とくに設備音響。私ども、設備のインストレーションの会社も持っておりますが、かなり建築等々も増加傾向にありまして、そういった要素もあって成長ができたということです。

楽器・音響機器事業(主要商品別販売状況)

最後に、主要商品での販売状況になりますけれども、すべての商品群で堅調に成長をすることができました。

とくに電子楽器、ここでこの第3四半期で対前年マイナスということで、多少いろいろなご心配もおかけいたしましたが、第4四半期のところではまた元に戻ってきております。

とくにデジタルピアノは第4四半期も105パーセントの対前年でのプラスということで、想定にまた戻ってきていると理解をしております。

それからPAにつきましては、全体で108。私どもはこのPA全体で常に110を目指してきておりましたけれども、計画にほぼ近いかたちで着地をいたしました。

ただし、CA、業務用音響機器の設備音響につきましては、112パーセントというところで、このPAのなかでもとくに力を入れております設備音響のところは、順調に推移をしております。

その他の事業

最後にその他の事業でございますが、減収ではありますけれども、損益は黒字化ができたと。第4四半期での黒字化というのは、我々、当初はマイナスを想定しておりましたが、ここが黒字化になったというのは非常に大きな部分であったと思います。

とくにゴルフ新商品ですね。ここが非常に堅調に販売を伸ばしておりまして、損益が大きく改善をされたというところ。それから電子部品も、これモデルミックスの影響もございまして、損益が改善しております。

通期というところでは、とくにやはりゴルフの好調が全体を牽引をいたしまして、増益というかたちで着地をいたしました。

2018年3月期 業績予想

2018年3月期の業績予想になります。ここにございますように、いろいろ不透明な要素はございますが、為替を直近に近いかたち、ドル110円、ユーロ120円を想定させていただきました。この想定の下で対前期増収増益。営業利益につきましては485億円を予想しております。

ちなみに、この485億円というのは過去最高であります。2004年度に、当時半導体が非常に好調でありまして、451億円という営業利益がございましたが、それを更新する最高値ということになります。

ただし、その時の450億のうちの300億が半導体、楽器音響は150億円程度でございましたので、それに対比いたしますと、本業である楽器音響事業での利益がここまで積み上がってきているというところで、私どもの構造はしっかりと転換ができて、主力で稼げる力がついてきたと理解をしております。

また表で確認をさせていただきます。営業利益485億円。これは営業利益率が11.4パーセントになります。その翌期になります中計最終年の12パーセントに向けて、オンラインで進んでいると理解をしております。

先ほど申し上げました営業利益は過去最高。

ただし、当期純利益につきましては、前期が繰延税金資産の計上があったということ、この影響がありまして減益ということにはなりますけれども、それを除いた部分ではもちろん増益ということになるということです。

為替につきましては、110円と120円。ただ、前期というところでは、ドルに対しては若干の円安でありますが、ユーロに対しては、1円でありますけれども、円高ということで想定になります。

2018年3月期 通期事業別業績予想

これがもう少し詳細になりますけれども、楽器のところで350億、それから音響機器で115億という営業利益。さらにその他のところも、「つま恋」の構造改革等々の影響も織り込みまして、20億円というところで、すべてのセグメントでの増益を想定をしております。

ここで為替につきましては、売上はプラス37。これはドルに対する円安が寄与しております。一方で、利益に対してはマイナス5億円のインパクトがございます。これはユーロが1円、円高方向に振れているのに加えまして、ほかにもインドネシアルピアでありますとかポンド、これが若干ずつ影響して、全体で5億円のマイナスインパクトということです。

2018年3月期 営業利益予想増減要因

そこの要因でございますが、為替はほとんど5億円程度です。製造、これも労務費でございますが、それに対して販管費、これは売上増に伴う変動費も含まれておりまして、半分ほどが変動費だと思いますけれども。

それ以外のところで、とくにマーケティング、それから新商品開発等々に戦略的な経費を使っていくということで、61億のマイナスを想定しております。

それに対して、増倍のところですね。それからまた適正化もまた続けてまいります。コストダウンということを含めまして、485億円、42億円の増益ということになります。

楽器事業(予想)

楽器事業、先ほど申し上げましたように、増収で増益ということです。

楽器事業(地域別の販売予想)

地域別では、依然として中国の110パーセント、この2桁成長が全体を牽引すると理解をしております。

ここが前期102パーセントに対して103パーセントの成長を見込んでおります。これは国内、それから欧米はほぼ前期並みの成長でありますけれども、その他地域が、前回は102パーセントと多少伸び悩んだところが、新商品も出てくるというところで、もう少し高い伸びを想定をしております。

音響機器事業(予想)

次に音響機器事業でございますが、とくにやはりPA、ここの成長をまず強く想定している。ここが107パーセントですから、率としては先期並みということです。

さらにはオーディオ機器も、最近の新商品が好調に推移しているというところも踏まえまして、全体として104パーセントの成長を予定しております。結果として、増収増益ということです。

営業利益率につきましては、すでに9パーセントを達成しておりますが、また一段と増収による効果も出てまいりまして、9.3パーセントの営業利益率を想定しております。

音響機器事業(地域別の販売予想)

地域別ですが、これも1ポイント対前年に対して増えておりますが、ここの要因はやはりその他地域であります。対前年のところで若干低い水準で推移をいたしました。

ここも組織的にも手を入れて、増倍を図ってまいります。結果、ここの数字が反映されて、1ポイント前期に対して伸び率が増えているという状況です。

一方で、中国は若干低い数字に見えておりますが、ここは我々の子会社でありますRevolabs社が中国でOEMの販売を行っておりますけれども、そこの部分が減少している影響です。本業の音響機器につきましては、昨期同様の成長を見込んでおります。

楽器・音響機器事業(主要商品別販売予想)

これが主力商品別になります。とくにギターは108パーセントの成長が可能であろうと捉えております。

それから、PA107パーセント。これは、先ほど申し上げました業務用音響機器CAと呼ばれる部分につきましては、110パーセントを超える成長を想定しております。

その他の事業(予想)

その他事業につきましては、先ほど申し上げましたように、増益を予想しております。

リゾートの譲渡を行った減収影響が20億円ほどございますが、それを部品装置、それからゴルフの事業で吸収をするということで、ほぼ売上については横ばい。利益につきましてはプラス増益ということで想定をしております。

通期営業外損益、特別損益

営業外損益ですが、今期のところ、ここは配当と、それから売上、割引等々、ここは大きく変動はございません。

特別損益のところが動きます。先期のところでは、遊休資産の処分益、それに加え、マイナスのするところでは、「つま恋」の構造改革費用でありますとか、遊休資産の売却に伴う減損というものに加えて、退職給付を一部DC、確定給付から拠出に変えております。その影響で、一括して特損を計上しております。

それからRevolabsにつきましては、事業内容を精査した結果、当初の予定収益、超過収益性を下回っているというところで減損を行いました。以上を含めまして、こういった金額になっております。

それから、繰り返しになりますけれども、法人税のところでの調整額、これにつきましては繰延税金資産135億円を計上したことによるものです。

棚卸資産

棚卸資産でございますが、昨年、結局931億円で着地をいたしました。計画よりは削減を進めることができました。ただ、依然としまして、全体の当初立てた計画よりは若干高い水準で最後着地したということです。

それに対しまして、今期末は898億円と。これは新たに在庫の管理を、月数管理をもう少し細かく入れる等々を打ちまして、期中を通じて生産量をコントロールするなかで、この在庫量、期末の在庫というのを達成したいと考えております。

設備投資額・減価償却費/研究開発費

設備投資につきましては、通常だいたい100億強のところ、130億円前後で推移をしておりましたが、先期から今期にかけて一段と設備投資が増加しております。

これは中計期間のなかで行う投資ということでご説明がしてありますが、主には研究開発のための設備、それから工場ですね。インドとインドネシアに新しい工場を作ります。この前倒し分、それから本格的に発生する部分というところで増加をしております。

なお、減価償却費が変わってございませんが、減価償却費の増は、この次の期、19年3月期のところから徐々に増加をすると想定をしております。

研究開発費につきましても若干の増が見込まれておりますが、これは主に新商品の数を増やしていくというところで、売上増に寄与できる商品を増やすということが目的であります。

貸借対照表

貸借対照表でございますが、ご覧のとおり現預金が、キャッシュが積み上がっているという状況であります。

それから固定資産につきましては、ここにつきましては、保有しております有価証券の時価が上昇したこと。ここにつきましては我々設備投資をしてまいりますので、それに伴う固定資産が増えるということです。

経営数値推移

経営数値の確認ということになりますけれども、先期のところがこれです。これがその1年前、前回の中期計画の最終年度になります。

この時点、実はこの9.3パーセントというのがヤマハとしての営業利益率としては最高。それまでの最高は8.4パーセントぐらいでした。それを10何年ぶりに9.3パーセントになりました。

そうした数字を受けまして、この中計ではさらにこれを伸ばしていこうということでございましたが、10.9パーセントを達成できたと。今期については11.4パーセントを想定しております。ここの12パーセントに向けてオンライン、若干プラスというところで推移をしていると認識をしております。

ちなみに、為替につきましては、中期計画に対してドルもユーロもそれぞれ5円の円高ということで今期の為替水準と見ておりますが、そういった5円の円高を吸収して、オンライン上に推移ができるのではないかと想定をしております。

株主還元

株主還元につきまして、4年連続増配を続けてまいりました。来期につきましても、順調に営業利益が増加するということも踏まえまして、56円の配当を予想しております。

ここでの配当性向は26.9パーセントになります。私ども、30パーセントを目安に配当を行うと。一方で安定的な配当ということも考えておりまして、徐々にということではありますけれども、増配をしていきたいと考えております。

ここで配当性向が若干下がっておりますのは、ここに前期のところでの135億円の繰延税金資産、ここがあったということでございまして、なるべく順調に増配を続けるというところで、52円ということで株主総会に諮りたいと考えております。

指名委員会等設置会社への移行について

最後に、指名委員会等設置会社への移行をもうすでに表明しておりますが、簡単に触れておきたいと思います。

目的は一般に言われるとおりでして、経営の監督機能の強化、取締役会の監督機能の強化。加えまして、これによってかなり執行側に権限が移譲されます。それによって、執行のスピードアップを図っていきたいということです。

当然、この移譲をされるわけですけれども、移譲された部分につきましてはすべて取締役会には報告はしてまいるつもりです。

それで透明性を高め、さらにそれに対する監督というのもしっかりとしていただきながら、執行側としてはよりスピード感を持った判断をしていきたいということです。

以上です。どうもありがとうございました。