逆日歩はどのようにして決まるのか

ヤマモト:どうも、みなさんこんにちは。日本証券金融株式会社で貸借取引を担当しております、ヤマモトと申します。今回は、制度信用取引をより深く理解したい、そんな投資家のみなさまに向けて、逆日歩に焦点を絞って、セミナーをやらせていただきます。

復習にはなりますが、そもそも逆日歩とはいったいどういうものだったでしょうか? 逆日歩は、制度信用取引の売りを行う際に株券を借りるための費用、つまりは株のレンタル料ということが言えます。品貸料とも言われるものです。

信用取引の売方は、株券を借りて空売りをするわけですから、この逆日歩を支払う必要があります。一方で、信用取引の買方は、逆日歩を受け取ることができるということです。

それでは、どのようにこの逆日歩が決まるのか見ていきましょう。まずは逆日歩は どうやって決まるのかを理解するために、貸借取引がどういう仕組みになっているのかを説明いたします。

証券会社は、顧客との信用取引にもとづいて、日本証券金融から資金そして株式を借り入れることができます。この取引を「貸借取引」と言います。

まず、左側の青い部分をご覧ください。「証券会社」と記載しております。これは証券会社の社内で、信用買いそして信用売りの残高を銘柄ごとに積み上げたイメージとなっております。

証券会社Aにつきましては、信用売りの残高が信用買いの残高を上回っております。証券会社Aは、この出っ張った部分、つまり緑の部分について株式を調達する必要があります。ここでは、日証銀に貸株申込を行い、株式を調達しました。

証券会社Bにつきましては、信用の買残高が売残高を上回っております。このため、出っ張っているオレンジの買超過の部分については、証券会社は資金を調達する必要があるのです。ここでは、証券金融会社に対して融資申込を行うことで、資金を調達しました。

このように顧客が信用売りを行う際は、証券会社は株式を調達し、信用買いを行う際は資金を調達するというのが必要になってきます。

日本証券金融での処理過程

それでは、日証金での処理はどうなるか、見ていきましょう。

証券会社から申込を受けますと、日証金の社内ではグリーンの残高、つまりは貸株残高がオレンジの融資残高を上回っていることがわかります。

点線で示しているこの出っ張っている部分、この貸株超過分について、日証金は株式を調達する必要があります。ここで逆日歩が発生する可能性があるのです。

言い換えると、貸株超過銘柄とならなければ、その日の料率は発生しないのです。まずは自分が信用取引を行った銘柄が貸株超過になっているかどうか、それをチェックすることがまず第1のステップとなります。

貸株超過の発表は、通常、その日の18時30分頃に行われます。

株式の調達方法

それでは、日証金はどのようにして株式を調達するのでしょうか。日証金は貸株超過を発表した翌日に品貸入札を実施し、そこで証券会社や生損保などの機関投資家から株式を調達します。入札のイメージをご覧ください。

ここでは貸株超過、つまり入札で集めなければいけない株数が10万株となっております。それに対して品貸入札では、このように3つの応札が入っています。1つが「5銭でなら5万株貸す」という人。そして「10銭で7万株貸す」という人。そして「15銭で5万株貸す」という投資家。このように応札が入っております。

このように品貸入札では、証券会社や投資家といった入札の参加者が銘柄ごとに、1株あたり原則0銭から最高料率まで、5銭刻みで応札するということになります。

そして日証金では、低い料率から順番に採用していき、不足株数がすべて調達される料率、その料率を逆日歩とするのです。つまりこの例では、逆日歩は10銭ということになります。

このように銘柄ごとに毎日、逆日歩は品貸入札で決定されるのです。

逆日歩の確認方法

それでは、決定された逆日歩の確認方法をご紹介します。

まずは品貸入札終了後、午前10時35分頃の発表で、日本証券金融のホームページで確認ができます。そして、マネックス証券のWebページでも、このように品貸料を確認することができます。

まとめ

まずは、逆日歩がどうやって決まるのか、整理をしていきました。ここまで内容をまとめると、証券会社からの貸株申込が融資申込を上回った銘柄、貸株超過銘柄について、逆日歩が発生する可能性があります。

証券金融会社は、申込日の翌日に品貸入札を実施して、証券会社そして生損保などの機関投資家から株式を調達します。この品貸入札で逆日歩が決定されます。通常、逆日歩は午前10時35分頃に発表ということになります。

貸借取引と信用取引が相互に関連していることがよくわかります。

以上、「信用取引についてより深く知る! 逆日歩はどうやって決まるのか? その1」を終えたいと思います。ご視聴ありがとうございました。