銘柄発掘|M&Aで「ホックの会社」から脱皮へ、ブランドと厨房設備が次の柱に
累進配当とDOE5%基準を導入へ、配当利回り4%の金属ホック世界2位の専門商社株
国内の注目銘柄を紹介する連載「ログミーFinanceの#銘柄発掘」。ビジネスモデルやファンダメンタルズの分析を通じて、中長期で保有できる優良銘柄の見極め方が身につく実践的シリーズです。今回は、モリトを取り上げます。
金属ホック世界シェア2位、アパレル関連が売上高の57.2%
モリト(9837)は、衣料品や靴、バッグに使うホックやハトメなどを扱う服飾資材の専門商社です。金属ホックは世界シェア2位(同社調べ)。開発・製造から調達・販売まで手掛けます。
2025年11月期は、ホックやハトメ、ベルト金具などを扱う「アパレル関連」が連結売上高の57.2パーセント。ほかに厨房設備サービスやスポーツ用品の「プロダクト関連」、自動車内装部品の「輸送関連」があります。
ホックなどの小さな部品を主力としてきたモリトは、M&Aを使って事業の姿を大きく変えようとしています。服飾資材では買収によって商品・販路を拡充し、さらに消費者向けブランドも取得。従来から手掛ける厨房設備サービスも、次の収益の柱に育てる方針です。
3Q累計営業利益22.7%増で上方修正、M&A効果一巡後の採算が焦点
2026年11月期第3四半期累計は売上高が前年同期比21.5パーセント増、営業利益が同22.7パーセント増の29.17億円。いずれも同期間の過去最高を更新し、10月14日に通期営業利益予想を36億円へ上方修正しました。前年に買収した2社の連結期間が延びたほか、既存事業の販売条件見直しなども増益に寄与しています。
連結営業利益率は前年同期と同じ5.9パーセント。買収先ごとに粗利益率への影響が異なり、レディース衣料「SELECT MOCA」などを手掛けるMs.IDは押し上げ要因となったものの、販売に関わる経費も増加しました。作業服・ユニフォーム向けの服飾資材を扱うミツボシコーポレーションの連結は、全社売上総利益率を押し下げています。
なお、2025年11月期に連結入りした2社の連結期間差による増収効果は2026年11月期で一巡します。その先は買収先の販売拡大と採算改善が問われます。
中期経営計画で売上高1,000億円目標、グロース事業を230億円へ
第9次中計では2031年11月期に連結売上高1,000億円、営業利益60億円を目指します。その成長を支える新たな柱として、2027年11月期から「グロース事業」を独立管理します。従来の「アパレル関連」に含まれるブランド事業と、「プロダクト関連」の厨房設備サービス・スポーツ関連をまとめ、管理会計ベースの売上高を2025年11月期の88億円から2031年11月期に230億円、営業利益率を9.0パーセントから12.0パーセントへ引き上げる目標です。
グリスフィルターレンタル国内首位、ブランドと厨房設備を新たな柱に
ブランド事業ではMs.IDの店舗・ECを拡充し、リピーターの獲得を進めます。販売経費も増えており、店舗・ECの拡大を営業増益につなげられるかがポイントです。会社は既存事業との相乗効果も狙います。サーフィンやスノーボード用品を扱うスポーツ関連も、卸売中心から直販・自社ブランドを強化します。
厨房設備サービスは継続契約型です。子会社エース工機は業務用グリスフィルターレンタルで国内首位(同社調べ)。飲食店の排気設備用フィルターの貸出・定期交換・洗浄で収入を得ます。洗浄工場・サービスセンターの新設や既存拠点の改修で処理能力を増やし、人員体制も強化する方針です。
配当利回り4.07%、累進配当とDOE5%基準で株主還元を強化
2026年11月期の年間配当予想は72円。2027年11月期からは累進配当とDOE(連結自己資本配当率)5パーセント基準を導入する方針です。予想配当利回り4.07パーセントに累進配当方針が加わり、配当重視の投資家にとっても魅力が増しそうです。
モリトは買収で獲得したブランドと、既存の厨房設備サービスを新たな収益の柱に育てようとしています。2027年11月期以降の「グロース事業」の売上高と営業利益率が、その転換の成果を測る材料になります。
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今回のモデレーターは坂本慎太郎氏です。
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執筆者プロフィール
執筆:西田哲郎ライター・コンテンツディレクター。投資歴15年。大きな損失を出したことをきっかけにイナゴを卒業、ビジネスモデルとファンダメンタルズ重視の手法に切り替える。業界紙やスタートアップを経てフリーで投資情報メディアやM&A情報サイトの立ち上げに関わり、現在は主に週刊誌で投資や経済関連の記事を執筆。
※記事内容、企業情報は2026年11月6日時点の情報です。
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