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イノバセル株式会社504A

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ノビック・コーリン氏(以下、コーリン):イノバセル株式会社代表取締役Co-CEOのノビック・コーリンです。本日の資料は、大きく分けてスライドに記載されている3つの領域にわたって構成されています。

まず、2026年12月期第2四半期における事業の進捗状況を報告し、その後損益計算書(P/L)のサマリーをご説明します。最後に、今期中に期待される主なイベントについてご説明していきます。

はじめに、当社の本業である臨床開発についてご説明した後、事業開発領域についてはジェイソンが数枚のスライドを使ってご説明する予定です。

当社グループ開発パイプラインの全体像

コーリン:当社の開発パイプラインについて、あらためてご紹介します。

当社グループは、現在3つの自家細胞製剤を開発しています。自家細胞製剤とは、患者自身の細胞を用いてさまざまな疾患を治療するものです。当社の開発パイプラインスライドでご覧いただけますとおり、筋肉の再生によって回復が期待される失禁領域およびその他の疾患領域に焦点を当て、開発を進めています。

現在のリード製品は、スライドの一番上に記載されている「ICEF15」で、ターゲット疾患は切迫性便失禁です。同じ細胞を用いた「ICES13」は腹圧性尿失禁を対象とし、さらに嚥下障害についても同じ細胞を用いて筋肉の再生によって治療を目指すオプションとなっています。これらすべての製品は、自家骨格筋由来細胞を使用しています。

リード製品「ICEF15」について、もう少し具体的にご紹介します。当社グループは現在、日米欧において「ICEF15」の国際共同第Ⅲ相試験を進めています。(注)

こちらは次ページ以降のスライドでもう少し詳しく説明することとし、ここではご紹介のみにとどめます。

「ICES13」は、現在フェーズⅡb試験を終え、来年中にフェーズⅢ試験を開始する計画です。「ICEF15」と同様に、国際共同治験として日米欧で臨床開発を進める想定です。

「ICEF16」は、「ICEF15」と同じく便失禁をターゲットとするものですが、こちらは「ICEF15」がターゲットとする切迫性便失禁ではなく漏出性便失禁を対象としています。

切迫性便失禁と漏出性便失禁の違いについて説明します。切迫性便失禁は、肛門の周囲の外側にある筋肉のリング、すなわち外肛門括約筋が損傷したり衰退したりすることなどにより発生し、便意を感じるもののうまくコントロールできず間に合わないという症状を呈する失禁の一種です。

一方、漏出性便失禁は外肛門括約筋ではなく、その内側にあるリング状の内肛門平滑筋に損傷や衰退が生じることによって発生し、気づかないうちに便が漏れてしまうという症状が特徴です。漏出性便失禁をターゲットとするパイプラインである「ICEF16」で用いる細胞の種類は、他の3つのパイプラインとは異なり、骨格筋由来平滑筋細胞です。

嚥下障害については現在、佐賀大学との共同研究を進めており、まだ非常に初期の開発段階にあるパイプラインです。後ほど、関連するニュースリリースをご紹介します。

(注):
・この治験の詳細をご確認されたい場合は、スライドに記載されているEudraCT番号またはClinicalTrials.gov番号をご参照いただくことで、組み入れ基準や、どのような患者をターゲットにしているのかを具体的にご確認いただけます。

ICEF15開発の進捗

コーリン:当社の主力製品である「ICEF15」について、詳しくご説明します。具体的には、先ほどお話ししたとおり、国際共同第Ⅲ相試験である「Fidelia試験」を進めています。この試験については合計290例の組み入れを目標としています。

ご覧のスライドにも記載されているとおり、8月5日時点で290例中273例の組み入れがすでに完了しており、目標組入数まで残り17例となっています。すなわち、目標症例数の94パーセント以上が組み入れ済みということになります。現在は米国での臨床試験の組み入れ準備を進めており、欧州と日本における患者の新規募集は7月末をもって終了しました。この点については、先日(2026年8月6日)の適時開示リリースでもお伝えしました。

なお、残りの被験者のすべてを米国から組み入れるとは限りません。すでに組み入れ済みの273例の他に、現在欧州および日本で25例以上がスクリーニング中です。このうち数例はスクリーニングの結果組入除外となる可能性がありますが、それでも日欧で応募された患者さまだけで290例を組み入れることが視野に入る水準です。一方、当社グループは2026年末までに米国から10例程度を組み入れる方針です。今年中に最終被験者を組み入れる計画に変更はありません。

ICEF15第III相臨床試験:今後の患者組入れの進め方

コーリン:今後の患者組入れの進め方ですが、すでに米国IND申請が米国FDA(食品医薬品局)に受理されています。現在、米国において3施設から4施設・10例程度を組み入れることを想定しており、施設との契約締結や患者受け入れの準備を進めています。

ここまでが「ICEF15」に関する最新の臨床開発状況に関する情報です。この後、「ICEF15」に関する事業開発の状況についてジェイソンからご説明します。

ICEF15の米国における商業化契約の締結

シーガー・ジェイソン氏(以下、ジェイソン):代表取締役Co-CEOのシーガー・ジェイソンです。先日(2026年7月23日)発表しましたとおり、当社のリード製品「ICEF15」について米国における商業化契約を締結しました。

具体的には、EVERSANA Life Science Services(以下、EVERSANA社)と契約を締結しました。対象地域は米国で、主に「ICEF15」の市販、販売、すなわち承認から販売後のプロセスまでについて当社がEVERSANA社からサービスの提供を受ける内容の契約となっています。この契約にはいくつかの特徴があります。

1つ目は、新しい商業化の協業形態を採用している点です。ライセンスアウトでもない、完全な自社販売でもない、いわばハイブリッド型の商業化モデルを用いています。この点については後ほど詳しくご説明します。

2つ目は、ライセンスアウトの場合、商業化権利をライセンシーやライセンスアウト先に許諾することになりますが、この形態では、米国における製品の権利をすべて当社が維持するかたちを取っています。

3つ目は、契約の構成についても工夫を施し、当社とEVERSANA社の利害が一致する経済条件で契約を締結しました。この詳細については、後ほどご説明します。

EVERSANA社の概要

ジェイソン:まず「EVERSANA社はどんな会社なのですか?」という点についてです。日本ではあまり知られていないかもしれませんが、実は非常に多くの実績を有する企業です。すでに20社以上の製薬会社とのコラボレーションにより契約を結び、医薬品の承認を取得し、販売している実績があるとのことです。取り扱った品目数は40品目を超えていて、中でも4製品が細胞治療製剤に該当しており、細胞治療製剤の領域でも実績を持つ会社です。

具体的なサービス提供範囲ですが、薬事・規制サポート、すなわち承認申請の準備および実行に加え、マーケットアクセスも担っています。マーケットアクセスには薬価戦略や薬価収載、保険会社との交渉などが含まれます。

またMR(医薬情報担当者)を中心とした営業・マーケティング部隊を組成します。さらに、ペイシェントサービスとして、患者さまのサポートやコールセンターなどの機能も整備します。

スペシャルティ流通にも対応し、スペシャルティ医薬品に必要とされる温度管理を整えた流通体制を構築します。メディカルアフェアーズについても、薬事の対応を含め、EVERSANA社が一貫して対応できる体制を有しています。

EVERSANA社の実績

ジェイソン:こちらのスライドは、EVERSANA社による分析結果に基づいた実績を示しています。一般的に、自社販売をゼロから立ち上げる場合には、かなりの先行投資が必要となります。システムコストや人件費など、固定費が大きくかさむことが課題として挙げられます。

しかしながら、EVERSANA社が構築したプラットフォームを活用することで、こうした商業化準備コストを削減することが可能です。具体的には、完全自社販売と比較して20パーセント以上のコスト削減が実現できるというメリットが期待できます。

市場へのリーチに関しても、EVERSANA社はすでに多くの医療施設や医師への販売実績を有しており、このプラットフォームの活用により医療施設・医師へのリーチの向上が期待できるというメリットがあります。

EVERSANA社はパートナー企業と契約締結直後に販売計画を作成しますが、その計画値を大きく上回る実績もあります。このような点からも、非常に期待できるパートナー企業であると考えています。

EVERSANA社との協業による商業化モデルの特徴

ジェイソン:バイオベンチャーの場合、一般的にはライセンスアウトモデルを採用するケースが多いかと思います。そこで、バイオベンチャーにおけるライセンスアウトモデルとEVERSANA社との協業による当社の商業化モデルの違いについて、簡単にまとめました。

スライド左側にお示ししたライセンスアウトモデルの特徴について、スライドでは「×」印をつけていますが、これらの特徴が悪いというわけではありません。ただし、当社の「ICEF15」に関するビジネスモデルとしては、適していない部分があると考えています。

その1つが、製品の権利を完全に第三者(ライセンスアウト先)に譲渡してしまう点です。これにより、「ICEF15」の商業化が第三者の経営方針に完全に依存することとなります。結果として、契約が途中で解約されるリスクが多少なりとも残るという問題が生じます。

また、ライセンスアウトモデルの場合、製品売上はライセンスアウト先企業が計上し、その一部をロイヤリティ収益として当社グループが受け取る仕組みとなるため、当社グループにとって売上規模がかなり縮小するかたちになります。

また、1点目と類似する部分として、ライセンスアウト契約後の販売に関する経営判断は、契約の解約だけでなく、どの程度リソースを販売に充てるかもライセンスアウト先企業の判断に委ねられるため、当社グループのコントロールが効かないというデメリットがあります。

一方で、商業化コストは完全にライセンスアウト先企業が負担するため、ライセンサー企業にとってそのコストを最小限に抑えられるというメリットもあります。

今回当社グループが採用したEVERSANA社との協業に基づく商業化モデルについて、ご説明します。すべての権利を当社が保持するため、製品の販売権や製造権、知的財産の権利、価格決定権は当社が持つこととなります。また、「ICEF15」の売上が当社グループのP/Lに計上される点が特徴です。

売上高に連動したかたちでサービス対価の支払いを行う仕組みとなっており、これにより当社グループの目的と一致しかつ双方にメリットのある形態での協業が実現しています。

当社グループとEVERSANA社の間ではジョイント・マネジメント・コミッティ(JMC)を設立し、各社から3名程度を選出します。この場で契約執行に関する主要な判断を行いますが、最終決定権は当社グループが有するため、当社グループがしっかりとコントロールできる体制となっています。

また、EVERSANA社がこれまでに構築してきた商業化サービスのプラットフォームを活用することで、完全自社販売に比べて当社グループの初期投資を抑えることができるというメリットがあります。

EVERSANA社サービス契約の経済条件

ジェイソン:EVERSANA社とのサービス契約における経済条件を簡単にまとめます。

基本的にサービス内容に応じた対価支払いを行うため、契約を締結しただけで支払い義務が発生するわけではありません。実際の活動やスコープなどは先ほど申し上げたJMCで協議・決定した上で実行するため、当社側によるコスト管理が可能です。

また、サービス対価の支払いキャッシュフローと売上収入のキャッシュフローは連動しています。具体的には、実際の製品販売高が一定水準に達するまでサービス対価の一部が無利息で繰り延べられる仕組みとなっているため、売上高計上前の初期段階における支払い金額を抑えることが可能です。反面、EVERSANA社には収入に連動したアップサイドを提供することになっており、将来の製品売上高に基づいたロイヤリティとして支払うかたちを取ります。これらの仕組みにより、当社グループとEVERSANA社の利害が一致する構造となっています。

当社・EVERSANA社の戦略的メリット

ジェイソン:EVERSANA社との協業の戦略的なメリットについてご説明します。

当社グループにとってのメリットは、製品権利をすべて保持できること、製品売上高が当初のP/Lに計上されること、そして一般的なライセンスアウトに比べて高い収益率が期待できる点です。また、完全自社販売と比較して初期コストを抑えられることも挙げられます。

一方、EVERSANA社にとってのメリットとしては、再生医療領域での実績をさらに積み上げられること、グローバルなサービス提供が可能な新規顧客を獲得できることが挙げられます。当社グループがグローバルに開発を進めていることから、将来的には米国以外の地域でも協業の可能性があると考えています。また、EVERSANA社として、適切なサービス対価を受け取りながら、将来の製品売上高に応じたロイヤリティも受け取ることができます。この点も、EVERSANA社にとってのメリットとして考えることができるでしょう。

さらに、両社共通のメリットとして、新しいハイブリッド型の商業化モデルの成功事例を創出する可能性がある点が挙げられます。このハイブリッド型商業化モデルについては、契約締結者双方がリスクとリターンを共有している点や、協業による収益向上の果実を双方が享受できる点も特筆すべき点であると考えています。このハイブリッド型商業化モデルは、イノバセル・EVERSANA社双方にとっての長期的かつ戦略的なパートナーシップにつながるものだと考えています。

ICEF15グローバル商業化へ向けた時間軸

ジェイソン:今後の時間軸について、簡単にご説明します。先にご説明しましたとおり、現在は第Ⅲ相臨床試験への組み入れを進めているところです。2026年末までに組み入れが完了する予定であり、組入完了後には12ヶ月間の経過観察期間があります。言い換えると、経過観察期間が2027年末頃までに完了する計算になります。その後、治験結果データをまとめて2028年中に治験報告書を完成させ、製造販売承認申請を行います。

今後の開発タイムラインは以上のようになりますが、当社は並行して商業化へ向けた準備を進める必要があると考えています。米国においてEVERSANA社との契約を先月23日に締結した背景にはこのような考え方があります。なお、欧州および日本において各々「ICEF15」商業化を目指して交渉中のパートナー候補がおり、できるだけ早いタイミングで公表できるように交渉を進めたいと考えています。

その他パイプライン開発の進捗

ジェイソン:その他の開発パイプラインの開発進捗についてですが、「ICEF16」については、現在、ヒトへの最初の投与となるフェーズI/II試験の準備を進めています。この試験の開始(組み入れ開始)は2026年末から来年初めになる見通しです。

「ICES13」は、女性のみを対象とする腹圧性尿失禁の治療をターゲットとしており、当社開発パイプラインの中で市場規模が最も大きいと期待されています。「ICES13」についてはすでにフェーズⅡb試験を完了しており、現在、フェーズⅢのグローバル試験の準備を進めています。グローバルフェーズⅢ試験は、今のところ2027年に開始する想定としています。

当社グループが取り組んでいるグローバルアグリゲーションモデル

ジェイソン:当社グループは、もう1つ別のビジネスモデルとして「グローバルアグリゲーションモデル」を掲げています。

再生医療・細胞治療領域には、アンダーバリューされている(本源的価値よりも低く評価されている)シーズが多く存在しており、当社グループはそういったシーズが開発されないままに失われてしまうことは非常にもったいないと考えています。

一方、当社グループは、グローバルに開発できるプラットフォームを保有していること、そして株式を公開して上場時資金調達で強固な資金ポジションを構築できたことを強みとしています。

これらの点を踏まえて、当社グループは、既存の開発パイプラインとシナジーがあったり、当社グループ開発パイプラインの拡充に有効活用し得るアセットを買収もしくはライセンスインし、それらアセットの開発および販売を手掛けていくことを検討しています。

現在具体的に評価を進めているアセットが1つありますが、できるだけ早期に1件目を成約できればと考えています。

その他のニュース(2026年12月期第2四半期開示分)

コーリン:残りのスライドについては、私から簡単にご説明します。みなさまご存じのとおり、当社はまだほとんど売上高がない臨床開発ステージのバイオベンチャーであるため、事業進捗を示すさまざまなニュースを開示することが非常に重要です。

本日ここまででご説明しましたが、「ICEF15」の臨床開発について当第2四半期の間にいくつかの進展がありました。例えば、米国におけるINDの30日調査期間が滞りなく終了したことなどが挙げられます。また、「ICEF15」の事業開発関連でもEVERSANA社との米国における契約締結という非常に重要なマイルストーンの達成をお知らせすることができました。

当第2四半期には、上述のニュースを含めて、日本語のニュースリリースを16本、英語のニュースリリースを14本公表しました。その中でも特に重要な2項目を挙げます。

1つ目は、基礎研究に関する内容です。冒頭で触れた4つのパイプラインのうち、佐賀大学との共同研究で進める嚥下障害に関して、第127回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会において共同研究の研究内容が発表されました。共同研究の内容については、ニュースリリースでも紹介していますが、「ICEF15」と同じ細胞を用いており、その適応拡大の可能性を秘めている研究内容およびその結果だったと考えています。

2つ目は、特許に関する発表です。こちらは、今年6月9日に開示しました。現在実施している「ICEF15」フェーズⅢ試験の対象患者層に関する特許が日本で成立したという内容でした。

以上が、第2四半期における事業進捗です。

2026年12月第2四半期P/Lサマリー

コーリン:第2四半期のP/Lサマリーについて、簡単にご説明します。

スライドは、(a)が第2四半期の累積実績を示しており、隣の(b)が通期業績予想です。「(a)/(b)」というかたちで、現在何パーセントまで進捗しているかをご説明する内容になっています。

事業収益について、当社の通期業績予想では10億円を見込んでいます。備考に記載のとおり、「ICEF15」の日本での販売・マーケティング提携に伴う一時金を第4四半期に計上する計画です。

事業収益第2四半期迄累計実績値に計上された1,600万円ですが、当社のオーストリア子会社においてGMP(グッド・マニュファクチャリング・プラクティス)基準で細胞治療製剤を製造することができる施設を保有していることが関連しています。GMPとは、製造販売承認申請時に求められる特定の品質管理基準を満たしたレベルでの製造を意味します。当社子会社がこの施設を活用して案件ベースで受託製造を行っており、1,600万円はこの受託製造による売上高として計上されたものです。

営業損益は第2四半期迄累計実績でマイナス14億2,000万円、通期業績予想ではマイナス33億3,700万円と見込んでおり、それぞれ通期業績予想のうち約43パーセント、半分弱の進捗となっています。ただし、売上高10億円が通期業績予想に織り込まれている点を勘案すると、実際の支出は通期分の半分をかなり下回る水準にとどまっています。今後は、米国の臨床試験のコストなども加わるため、今期下期にはその分のコストが増加する見込みです。しかし、通期では業績予想数値の範囲内に収まると考えています。

経常損益については、備考に記載しましたとおり、上場関連の一時費用約7,000万円が営業外費用として計上されています。この上場関連費用を含んだ上で、経常損益の第2四半期迄累計実績値は通期業績予想値の47パーセント程度となっています。

ジェイソン:なおスライドには記載していませんが、現預金残高は6月末時点で109億円となっており、今後想定される支出を考えても充分な手許資金を確保できている状況です。

ジェイソン:スライド13ページで今後のタイムラインについて触れましたが、想定どおり進めば2028年中に「ICEF15」国際共同第Ⅲ相治験のデータが出てくる見通しです。先ほどご説明した手許資金額を踏まえると、2029年中旬頃までフルスピードで開発を進めても対応できるだけの資金ランウェイが確保されています。つまり、当社グループは株式上場時にしっかりと資金を確保した上で現在事業を進捗させている状況であるということです。

コーリン:株式上場時に開示した資料にも記載していましたが、当社グループは「ICEF15」の上市申請が可能となる状態になるまでは、上場時に調達した資金で賄いながら開発を進めるというプランを立てています。現在、このプランに基づいて臨床開発や事業開発を着実に進めていますので、引き続きご注目いただきたいと思います。

2026年12月期に計画している主な進捗

コーリン:今期後半に期待される主なイベントについてお話しします。一部はこれまでにジェイソンや私が触れた内容の復習となります。さらに、7月時点ですでに発生ないしは発表している内容もありますが、網羅的にお伝えするためにあらためて簡単にご紹介します。

まず「ICEF15」の臨床開発に関してご説明します。本日ご説明しましたが、米国の施設の選定や患者の組み入れについて着手する計画としていましたところ、7月初頭の適時開示ですでに着手したことを発表しました。また、7月末で日本および欧州における患者さまの新規募集を終了しました。業界では患者組入完了をラストペイシェントイン(LPI)と呼びますが、その前に米国のファーストペイシェントイン(FPI、最初の患者の組み入れ)を行った上で、その数週間後にラストペイシェントインに至る想定としています。繰り返しとなりますが、年内にすべての患者の組み入れを完了する予定です。

「ICEF15」の事業開発ですが、本日ご説明しましたとおり、米国におけるEVERSANA社との商業化パートナーシップを今年7月に発表済みです。また欧州における商業化パートナーについても、近い将来に発表できるのではないかと考えています。さらに日本における販売・マーケティングパートナーとの契約も2026年中に締結することを目指しています。日本における販売・マーケティングパートナーとの契約については、業績予想に織り込んでいるとおり提携一時金の受領を想定しており、その点についても引き続きご期待いただければと思います。

漏出性便失禁を対象とする「ICEF16」については、今年の第4四半期にヒトを対象としたフェーズI/II臨床試験を開始する計画を立てています。

これらをすべて達成することで、当社が今期中に達成を計画しているマイルストーンを滞りなく達成することとなります。

来期以降も、先ほどジェイソンからご説明しましたスケジュールに基づいた進捗をみなさまにご報告できるよう努めていきますので、引き続きご期待いただければ幸いです。

質疑応答:コーリン氏とジェイソン氏の出身地と日本との関係について

荒井沙織氏(以下、荒井):「コーリンさん、ジェイソンさんともに流暢な日本語をお話しされていてびっくりしました。日本生まれなのでしょうか?」というご質問です。

ジェイソン:実は、そうではありません。

荒井:日本生まれではないのですか?

ジェイソン:実は私は香港生まれで、コーリンは韓国生まれです。

コーリン:「米国生まれではないんだね」と言われます。

ジェイソン:「アジアだけれども、米国生まれではない」というところですね。

荒井:日本には、何歳くらいからいらっしゃったのですか? 

ジェイソン:私は5歳頃に日本に来まして、コーリンはもっと早いです。

コーリン:2歳です。その後、日本の義務教育を受けました。

荒井:それでは、もう考え方はほとんど日本人という感じですね。

ジェイソン:考え方というか、心は日本人ですね。考え方もそうですね。

コーリン:日米戦やワールド・ベースボール・クラシックなどでは、もちろん日本を応援します。

荒井:そうでしたか。今日、私もほっとしました。英語ではなく日本語でお話しされている様子からも、日本人的な雰囲気を感じました。

コーリン:We speak English too.

荒井:もちろん英語も話せるということですが、今日は日本語でお願いします。

質疑応答:「ICEF15」の臨床開発戦略とグローバル展開について

荒井:「御社のビジネスモデルの特徴や強みを、他のバイオベンチャーと比較して教えてください」というご質問です。

コーリン:私から臨床開発関連についてお話しします。まず、我々が上場時によくお話ししていた点ですが、米国ナスダック市場に上場しているようなバイオベンチャーのあり方を東証上場企業として実現したいという思いがあります。

具体的には、臨床開発ステージが製品上市あるいは承認申請にできるだけ近い状態で上場し、上場時の資金調達で製品上市に持っていけるあり方を目指しています。

イノバセルは、これまでに合計7つの臨床試験を実施しており、現在進行中の「Fidelia試験」を8つ目の臨床試験として進めています。累計の組み入れ被験者数は、この「Fidelia試験」も含めて1,200例以上に達しており、このうち実薬投与は1,000例弱に上ります。

当社の特筆すべき特徴の1つとしてこのような臨床データ量の豊富さが挙げられます。例えば、当社は切迫性便失禁の再生医療等製品である「ICEF15」について、フェーズⅡb試験を実施しています。この試験では、コントロール下でプラセボ(偽薬)を用いる方式を採用しています。フェーズⅡ試験からフェーズⅢ試験に進む際には、通常、統計的に有効性を示すために患者数を大幅に増加させることが一般的です。しかしながら、「ICEF15」についてはフェーズⅡb試験の段階ですでに統計学的な有意差が示されています。p値(有意確率)は0.0175であり、統計的な有意性をしっかりと示しています。このように、当社は非常に信頼性の高い、分厚いデータ量を有している点が特徴です。

また、多くの日本の再生医療企業には「条件付き期限付き承認」を目指す傾向がありますが、当社は当初から「ICEF15」について条件や期限の付かない「本承認」を目指しています。この点も他社との大きな違いと言えます。

さらに、世界的に見ても、日本、米国、欧州のいずれか一地域のみでの販売を目指すバイオベンチャー企業が多い中で、当社は日米欧において臨床開発を行い、同時開発、同時申請、同時承認を目指しています。つまり、単一の市場にとどまらず、「ICEF15」を米国市場、欧州市場、日本市場といった広範な市場で展開することを目指しています。このように、より広い視野と大きな市場規模を目指している点が、当社の大きな特徴です。

ジェイソン:ビジネスモデルの観点では、私たちはグローバルに医薬品を商業化するというスタンスをとっています。そのため、医薬品を地域ごとに個別に開発するのではなく、最初からグローバルの開発および販売を視野に入れた商業化戦略を用いています。

また、市販に関しても、可能な限り自分たちでコントロールできる範囲を広く保持する方針をとっており、この考えが先に述べたEVERSANA社との契約につながっています。具体的には、権利を完全に許諾するのではなく、一定程度権利を保持したかたちでコラボレーションし、利害が一致する契約を締結しています。

つまり、イノバセルは自ら「マーケティング・オーソライゼーション・ホルダー(Marketing Authorization Holder、製造販売権保有者)」として薬事承認を取得し、パートナー企業と協力して商業化を進めるモデルを志向しています。

また、自社パイプラインの開発と並行して取り組んでいる「グローバルアグリゲーションモデル」を通じて導入したアセットのグローバル開発や、導入アセットの販売・マーケティングについても自社で積極的に取り組むことで、従来型のバイオベンチャーとは異なる特長を持つ企業としての体制の構築に取り組む方針です。

コーリン:先ほどジェイソンから事業開発についてご説明し、私から臨床開発についてお話ししましたが、財務の観点から念のため1点だけ補足します。当社グループは、第2四半期末時点で109億円の手許資金を保有しています。これは先行投資型企業の企業価値向上に直結する投資の元手となる資金を充分確保していることを意味しています。

質疑応答:便失禁の治療アルゴリズムと新たな治療法の位置づけについて

荒井:「『ICEF15』が対象とする切迫性便失禁の治療法には、薬物療法や手術などさまざまな選択肢があると思います。その中で、『ICEF15』が普及するための最大の強みや、競合治療との差別化ポイントについて教えてください」というご質問です。

ジェイソン:すでに日本、米国、欧州においては、便失禁の治療アルゴリズムが確立されています。

まずは保存的療法というかたちで治療を行い、薬物療法や骨盤底筋訓練などを実施します。薬物療法には、便秘を誘発する薬などがありますが、まずはそれらが試されます。

それでも充分な効果が得られない患者さまは、外科治療に移行します。承認されている外科治療の中で、ファーストラインの治療は大きく2つあります。1つ目は肛門括約筋形成術、2つ目は仙骨神経刺激療法です。肛門括約筋形成術は、損傷している括約筋の一部を切り取り、再縫合して肛門の直径を短くする治療法です。ただし、この治療法に関する日本大腸肛門病学会の評価はグレードBとなっており、臨床現場ではそれほど推奨されていないのが現状です。また、この方法はメスを使用する手術であり、一生に一度しか行えない手術であるという制限もあります。そのため、実施数が限定的なオプションとなっています。

2つ目の治療法として挙げられるのが仙骨神経刺激療法です。心臓のペースメーカーと同様の医療機器を体内に埋め込む治療法です。電極を仙骨神経の隣に配置し、半永久的に電気刺激を行う仕組みです。効果は認められていますが、体内に異物を埋め込む必要があるため、身体への負担が大きく、侵襲性が高い治療法です。そのため、高齢者や若年層など、体内に異物を入れることに抵抗を感じる患者が少なくないとされています。

これら既存の外科治療に対して、当社「ICEF15」は注射によって細胞を患部に投与するものであり身体への負担が既存の外科治療よりも小さくなります。一方、これまでのデータでは仙骨神経刺激療法に比肩する有効性が確認されており、外科治療の中で最初に行う治療法として選択される可能性が非常に高いと考えています。

コーリン:日本大腸肛門病学会の『便失禁診療ガイドライン2024年版 改訂第2版』が発刊されていますが、その中では便失禁が致死性のない病態であることから、まずは低侵襲性の治療を優先すべきと記載されています。ジェイソンが説明したとおり、治療アルゴリズムは保存的療法から始まり、初期的な保存的療法と専門的な保存的療法の2つに区別されます。その後に外科治療が続きますが、当社が開発している「ICEF15」はこの診療ガイドラインの中で「肛門括約筋再生療法」という名称ですでに記載されています。この点は、我々の差別化要因の1つと言えます。学会と連携して早い段階から治療アルゴリズムに組み込まれていることで、臨床応用が進むにつれて「ICEF15」が外科治療の中で最初の治療法として使用される可能性が高まっています。

質疑応答:RMAT指定とその制度の特徴について

荒井:「『ICEF15』のRMAT適用について教えてください」というご質問です。

コーリン:このRMATというのは、米国の「RMAT(Regenerative Medicine Advanced Therapy:再生医療先端治療)指定」という仕組みです。日本の制度では、以前「先駆け指定」と呼ばれていた「先駆的医薬品等指定制度」に相当します。

RMAT指定を受けた開発品については、特定のFDA担当者といつでも連絡が取れる仕組みとなっています。販売承認申請を行った際には、通常12ヶ月かかる承認までの期間が、RMAT指定を受けている開発品については短ければ6ヶ月となる可能性がある制度です。

当社グループとしても「ICEF15」についてこのRMAT指定を目指していきたいと考えています。たまたま今日、ジェイソンとも「RMAT指定申請を本格的に検討し始めようか、米国での承認も見えてきたし」といった話をしていたところです。非常に的を射たよいご質問だと思います。

荒井:タイムリーなご質問でしたね。

コーリン:とてもタイムリーです。

ジェイソン:タイムリーですし、取得できる確度も比較的高いのではないかと考えています。

質疑応答:国際共同治験における患者組み入れ状況と戦略について

荒井:「『ICEF15』のグローバル治験が順調に進んでいることを心強く感じています。特に国内、欧州での症例が計画以上に集まった点は、現場での評価の高さを示すものだと思います。そこで、米国での症例についてうかがいたいのですが、現時点での組み入れペースと、完了の見込み時期について、可能な範囲でご共有いただけますでしょうか? また、FDAとの事前相談、タイプBミーティング等で症例数や評価項目に関していただいているフィードバックがあれば、差し支えない範囲で教えていただきたいです」というご質問です。

コーリン:これもまた、臨床開発の内容を非常に理解されている方からのご質問だと思います。

ジェイソン:熟知されている方ですね。

コーリン:まず、私たちが行っている国際共同治験の仕組みを理解することが非常に重要だと考えています。

多くの場合、特に人種差などが関わる疾患領域、例えば血友病や発症頻度の違いなどが挙げられますが、このような場合、日本では「最低限これだけの数の患者を組み入れるように」とかあるいは「別の試験を実施するように」と言われることが多いです。

イノバセルの「ICEF15」のフェーズⅢ試験は、最初に欧州で開始しました。その後、日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)に対して治験開始のための申請を行いました。「ICEF15」は、患者さま自身の衛星細胞を採取し、それを筋芽細胞に誘導分化させた上で増やし、患者さま自身の筋芽細胞を援軍細胞として、対象となる外肛門括約筋へ12回にわたり投与する製品です。筋肉の再生に関しては、日本人で実施してもヨーロッパ人で実施しても、なんら変わりがないことを規制当局に対して常に説明しています。また、内因的な要素だけでなく、治療アルゴリズムについても日本と欧州で大きな違いがないことをご説明しました。

このため、日本ではフェーズⅠ試験(安全性試験)を行わず、国際共同治験として最初からフェーズⅢ試験に組み入れる方向で当局と交渉を行いました。その結果、日本人に対して初めて投与する臨床試験ではありましたが、フェーズⅢ試験に組み入れることができました。

3ヶ国目、または3つ目の地域として試験に組み入れたのが米国です。みなさまも想像できるかもしれませんが、ヨーロッパ人と日本人の間の人種差は、ヨーロッパ人とアメリカ人の間の人種差よりも大きいのです。米国FDAに対してこの点を説明する際、多くの場合、日本のバイオベンチャーは非常に心配するケースが多いようですが、当社の場合はそれほど懸念していませんでした。ただ、欧州や日本にはアフリカ系の方々が比較的少ないため、そのような方をより多く組み入れるよう求められる可能性がまったくないわけではないと考えていましたが、実際には米国FDAからそのような指摘はありませんでした。

日米欧すべてを対象地域として1つの臨床試験として推進できているのは、ターゲット疾患である切迫性便失禁の現れ方や「ICEF15」の作用機序が日本人でもヨーロッパ人でもアメリカ人でも同じであるという大前提の上に成り立っています。

今後の患者さまの組み入れについて、米国FDAから目指すべき組入数の具体的なラインは示されていません。

日本のPMDA(医薬品医療機器総合機構)からは努力目標として20例から30例の組入が提示されていましたが、日本ではすでに50例近くの組み入れに成功しており、努力目標値を大幅に上回る結果となっています。現状で欧州と日本において臨床開発のための患者組み入れを進めていけば、目標組入数である290例は今月中にでも達成可能な水準です。

しかしながら、米国における患者組み入れや製品上市後のマーケティングを考慮して、米国から10例程度を組み入れることとしました。そのため、7月末を以て欧州と日本における患者の新規募集を停止しました。米国における10例程度の組み入れは年内に完了させる計画ですので、ご質問への回答としては2026年中にすべての組み入れが完了する予定です。

ジェイソン氏からのご挨拶

ジェイソン:本日、遅い時間帯にもかかわらずお時間を作っていただき、ありがとうございました。これからも、我々が事業計画どおりに進めていかなければならないことが多くあります。これまでのご支援に深く感謝申し上げますとともに、今後の進捗にもご期待いただければと思います。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:現在は「便失禁・尿失禁」の医薬品(再生医療等製品)としての承認・保険適用の取組に注力されていると思いますが、その後の展開についての考えを語っていただきたいです。今後このコア技術を、骨格筋・運動器疾患領域、消化器・咽頭領域、整形外科・外傷領域など様々な領域へ水平展開していけば強みを発揮できると思いますがいかがでしょうか? 個人的には、美容外科領域:顔面表情筋のエイジングケアや、ED(勃起不全)の根本治療領域への水平展開が面白いと思っています。これらは自由診療(自費)セクターのため、高額な治療費を設定しやすく、保険適用を待たずに早期の収益化を達成できる大きなメリットがあると思います。

回答:当社グループの基盤技術は骨格筋および平滑筋を修復・再生する細胞治療です。

現在は患者さまご自身の細胞を製品のいわば「原料」としている関係で肛門や膀胱周辺の小さな筋肉をターゲットとしていますが、骨格筋や平滑筋は身体の他の部位にも存在しますので、ご指摘のとおりそれらの筋肉の修復・再生に展開できる可能性があります。本日ご紹介した嚥下障害治療への応用(佐賀大学との共同研究)はその具体的な例で、喉の筋肉(甲状咽頭筋)をターゲットとしています。

また、患者さまの細胞以外の細胞を「原料」として活用できるようになると「原料」細胞の量的制約を考えなくてすむようになりますので、より大きな筋肉の修復・再生を考えることができるかもしれません。そのような可能性を有する細胞として、免疫拒絶反応が抑制された「ユニバーサル・ドナー・セル」や様々な組織・臓器を作る原料となるiPS細胞(人工多能性幹細胞)などが挙げられます。コスト面など課題はいろいろとありそうですが、進歩する技術を活用することで新しい展開の可能性が拓けるものと考えています。

<質問2>

質問:「ICEF15」を予定どおり開発・承認・上市し、研究開発型企業から収益を生み出すバイオ医薬品企業へ転換できるかどうかがカギだと思います。個人投資家はどうやって進捗を確認すればよいのでしょうか?

回答:ご指摘のとおり、当社グループは現在収益を計上する前の研究開発ステージにあります。収益計上へ向けての進捗という点では、「ICEF15」の開発・商業化準備の進捗状況をご確認いただくことが最もわかりやすいと思います。これまでも随時お知らせしてきましたが、今後も国際共同第Ⅲ相治験の進捗、商業化パートナーの選定、日米欧各地域における承認申請準備の進捗などを逐次ご報告していきますので、ご注目いただけると幸いです。

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