第139回 個人投資家向けIRセミナー 第4部
第一実業、世界的なAIデータセンター投資を背景に関連ビジネスを拡大 27年3月期の当該受注高は200億円以上を見込む
目次

西井啓介氏(以下、西井):本日は、第一実業株式会社の会社説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日は、当社がどのような会社で、どのような事業を展開して収益を上げているのか、また、どれほどの成長機会を持ち、株主さまにどのような利益還元を行っているかという点について、ご視聴者の視点を意識しつつ、できるだけわかりやすくご説明します。
こちらのスライドが目次です。まずは会社概要、続いて事業概要、成長戦略、業績予想、最後に株主還元についてご説明します。
数字でみる第一実業

西井:会社概要です。まずは数字で見る第一実業をご説明します。
当社は1948年(昭和23年)に創立され、今年で創業78年を迎えた総合機械専門商社です。
当社の得意先は約3,600社、仕入先は約5,600社あります。
連結ベースの従業員は約1,600名、そのうち技術者は約500名です。商社でありながら、全社員数のおよそ3分の1が技術者である点が当社の大きな特徴です。
2026年3月期の連結売上高は、2,191億4,000万円です。長期発行体格付けは、2022年以降、3年連続で「A-」の評価を安定的に得ています。
創業にこめた思い

西井:創業に込めた思いについてご説明します。
初代社長の倉持正次郎は、終戦直後となる創業当時、横行していた虚業や闇取引を一切認めず、「機械の売り買いのみに徹すること」「大手企業・一流企業を取引相手とすること」「銀行との信頼関係を大切にすること」を徹底してきました。
また、社是である「協力一致」「堅実運営」「積極活動」は、現在も我々に受け継がれています。
第一実業のあゆみ 進化する産業機械サプライヤー

西井:当社の歩みについてご説明します。当社は、時代の変化や社会のニーズに対応しながら、事業領域とエリアを拡大してきました。
1950年代には、祖業である石油精製・石油化学からスタートし、その応用としてプラスチック業界に進出しました。1960年代には自動車業界、1970年代には医薬業界、1980年代にはエレクトロニクス業界や航空業界、そして2000年代には二次電池分野へと事業を広げてきました。
ここでお伝えしたいのは、当社は1つの業界に固執するのではなく、その時代に成長する産業をいち早く捉え、自らの事業領域として拡大している点です。
事業領域の拡大と並行して、事業エリアの拡大にも注力しています。1972年のアメリカ進出を皮切りに、米州、中国、アジア、欧州、インドエリアへとビジネスフィールドを広げてきました。
また、グループ会社の拡大においては、機械のメンテナンスを手掛ける第一メカテック社、医薬品や電子部品の外観検査システムのメーカーである第一実業ビスウィル社、環境設備およびプロセスシミュレーションを活用したエンジニアリング会社であるDJ-WAVEエンジニアリング社など、独自技術を持つユニークなグループ会社とのシナジー創出にも注力しています。
海外ネットワーク

西井:当社の海外ネットワークについてご説明します。当社は現在、18か国36拠点で事業を展開しています。米州、中国、アジア、欧州、インドエリアと、世界の主要な産業・工業エリアをカバーしています。
スライド右下の円グラフをご覧ください。2027年3月期第1四半期における当社の仕向け先ベースでの海外売上高比率は、55.8パーセントでした。
当社の海外売上高比率は、2012年3月期以降、50パーセント以上を維持しています。この海外ネットワークは、ビジネスをグローバルに拡大し、世界規模の成長を取り込むための重要なインフラです。
第一実業の強み

西井:当社の強みについてご説明します。当社はビジョン、あるべき姿として「次世代型エンジニアリング商社」を掲げています。他社には見られないこのユニークな企業体は、4つの強みとして表現することができます。
1つ目は「現場力」です。設備や機械に非常に詳しい営業担当がお客さまのモノづくり現場での課題を理解し、最適な設備を提案します。
製造現場における課題は、単に新しい機械を導入すれば解決するというものではありません。お客さまが生産性を向上させたい場合、問題が原材料にあるのか、生産プロセスにあるのか、あるいは検査工程にあるのかによって、提案内容が異なります。
当社の営業担当は、モノづくりの最前線にいるお客さまと深く協議を重ね、課題の本質を捉えることで、お客さまにとって最適な提案を行うことができます。
2つ目は「技術力」です。当社は商社でありながら、多様な知見と豊富な経験を持つ約500名の技術者を擁しています。
受注前から営業と技術者が連携し、お客さまのニーズに応じた技術提案を行い、生産ライン全体の設計や複数メーカーの設備取りまとめ、プロジェクト管理など、複合的な技術機能を提供しています。
3つ目は「国際物流機能」です。海外案件においては、輸送計画や通関対応に不備があると納入が遅れ、お客さまのプラント立ち上げ全体に影響を及ぼします。当社は、機械設備の物流に特化した専門部署を設置し、効率的な物流と高度なリスク管理を行う体制を整備しています。
4つ目は「グローバルネットワーク」です。先ほどお話しした世界18か国36拠点の海外ネットワークを活用し、海外でもお客さまのモノづくりを支援しています。
これらの機能を組み合わせることで、当社は「時代の一歩先を行くモノづくりパートナー」を目指し、日々進化しています。
DJKのエンジニアリング機能の強み

西井:こちらのスライドでは、当社のエンジニアリング機能の強みについてご説明します。当社の新たな収益基盤であるエンジニアリング機能の強みは、次の3つに集約されます。
1つ目は、連結ベースで500名の技術者が在籍している点です。さまざまな産業セクター出身者であることにより、多様なバックグラウンドと専門性を持つバラエティ豊かな技術者集団による柔軟な技術対応が可能です。
2つ目は、7つの事業セグメントに特化した技術者が各事業本部に在籍している点です。これにより、各事業セグメントの生産現場に精通したプロのエンジニアが、お客さまの本質的なニーズに的確に対応することができます。
3つ目は、独自のエンジニアリング機能です。当社の技術陣の強みも、営業と同様に現場力にあります。設備の納入立ち上げだけでなく、メンテナンスから稼働後の生産性改善支援まで、一貫した技術サポートを提供しています。
また、工事期間中は当社のプロジェクトマネージャーがお客さまに伴走しながら、大型かつ高度なプロジェクト案件の管理を行います。
これら3つのエンジニアリング機能の強みが評価され、売上高に占めるエンジニアリング案件の比率は年々高まっています。2026年度の売上高比率は約20パーセントを予定しており、2030年度には50パーセントを目指し、エンジニアリング力のさらなる強化を進めていきます。
関本圭吾氏(以下、関本):ご説明ありがとうございます。ここまでの会社概要について、1つお聞きしたいと思います。
まずは、「次世代型エンジニアリング商社」についてです。商社という話になると、さまざまな設備を統合して対応されているのか、主体的にご提案をされているのかといった点が気になります。
「次世代型」とはどのような点なのか、他のエンジニアリング商社と比べて差別化できる要因は何なのでしょうか? 大手商社でも同様のことが可能である場合、現場では大手企業との競争があるのでしょうか? このあたりについて、具体的に教えていただけますか?
西井:まず、当社には7つの事業があり、それぞれがエンジニアリングや物販以外の機能も含めたビジネスを展開しています。他の商社と競合することは、あまりありません。
私自身、他の商社のエンジニアリングが当社とどれほど異なるのかをすべて把握しているわけではありませんが、他の商社ともあまり競合しない点から考えると、当社のエンジニアリングはかなりメーカーに近いのではないかと考えています。
競合相手としては、むしろメーカーや他のエンジニアリング会社、ゼネコンといった企業であるケースが多く、当社はメーカーや製造業に近いエンジニアリング商社であると考えています。
大手商社の場合、大きなプロジェクトを受注した際には、そのエンジニアリングをエンジニアリング会社に一括して依頼することが多いかと思います。
一方、当社では社内にそれぞれの分野のエンジニアを擁しており、そのエンジニアを中心に、各メーカーのエンジニアと協議しながら、プラントや工場を構築していくかたちを取っています。
関本:なるほど。商社でありながら、非常にメーカーに近いポジションということですね。
西井:そのように認識しています。
関本:自然体で競争を意識せずにいられるというのは、すばらしいと思います。
ありがとうございます。それでは、続けてご説明をお願いします。
事業内容

西井:目次の2つ目、事業概要についてご説明します。当社は現在、7つの事業を展開しています。
各事業をポートフォリオ上で整理し、産業構造の変化を踏まえ、中長期的な高成長が期待される重点領域と、経営基盤を安定的に支える基盤領域に分類しています。経営資源の最適配分を通じて、各事業の成長と発展を支えています。
重点領域には、エナジーソリューションズ事業、自動車事業、ヘルスケア事業、航空・インフラ事業の4事業があります。基盤領域には、エレクトロニクス事業、産業機械事業、プラント・エネルギー事業の3事業が含まれます。
次のスライドでは、重点領域および基盤領域の各事業内容と成長が期待される分野について、簡単にご説明します。
重点領域

西井:まずはスライド左上、重点領域の1つ目であるエナジーソリューションズ事業についてご説明します。
この事業では、リチウムイオン電池や燃料電池、ペロブスカイト太陽電池の生産設備を販売しています。
EV向け車載電池の製造ラインに加え、近年はデータセンター向け蓄電池製造ラインの需要が急速に拡大しています。二次電池はEVだけではなく、再生可能エネルギーの蓄電用途やAIデータセンターの電力需要拡大といった分野でも重要な役割を果たしています。
当社の電池製造ラインは、上流から下流までトータルソリューションを提供できる点を強みとして、市場の需要に応えています。
次に、重点領域の2つ目、スライド右上の自動車事業についてです。車体・内外装領域、パワートレイン領域、自動運転・安全領域などに関わる部品やコンポーネントを製造する設備を販売しています。
現在、自動車業界はEV化、先進運転支援システム、自動運転、軽量化など、車両テクノロジーにおいて大きな変化の中にあります。
当社は、自動組立ラインや環境にやさしい塗装ライン、DXを活用した車体外観検査装置など、さまざまな特殊装置の販売を通じて、このような変化を事業機会として捉えています。
続いてスライド左下、重点領域の3つ目であるヘルスケア事業です。医薬品、化粧品、健康食品向けの製造ライン、検査装置、包装ラインなどを販売しています。
ヘルスケア事業では、国内シェア7割を誇るグループ会社である「第一実業ビスウィル」の錠剤・カプセル外観検査装置を中心に、錠剤印刷検査システムや包装ラインなど、製薬プロセスにおいて不可欠な検査および包装工程に強みを持っています。
また、錠剤や液剤、医療機器の一括製造ラインを請け負うターンキーエンジニアリングが、昨今急速に成長しています。成長が期待される領域としては、ジェネリック医薬品の生産能力拡大、業界再編に伴う設備投資の増加、既存ラインの老朽化更新に伴う設備投資の進展が挙げられます。
次にスライド右下、重点領域の4つ目である航空・インフラ事業についてです。空港の地上支援機材や防災・防衛分野向けの特殊車両の販売を行っています。
空港向け地上支援機材では、国内のすべての空港および航空会社に納入されており、国内トップシェアを誇っています。これら特殊車両のほとんどは、ヨーロッパまたはアメリカから直接輸入し、当社のエンジニアが日本の規格や法規に適合するよう改造を施し、納入後のアフターメンテナンスも実施しています。
成長期待としては、地上支援機材の国内在庫による短納期デリバリーに加え、機材のメンテナンス付きリースといったストックビジネスの拡大が見込まれる点です。
基盤領域

西井:基盤領域についてご説明します。スライド左上のエレクトロニクス事業では、電子基板や半導体関連の製造装置を扱っています。また、「LOGITO(ロジト)」ブランドにおいては、DXやAIを実装した物流自動化ソリューションを販売しています。
昨今の生成AIの急速な普及に伴ってAIサーバーや高性能半導体の需要が急増しており、日本、米国、中国、アジア市場での需要拡大が見られます。
成長が期待される分野としては、AIサーバーに搭載される電子基板を製造するための実装機、AIチップ用パッケージ基板や半導体の後工程向け設備の販売がさらに拡大すると見込まれます。
次に、基盤領域の2つ目である産業機械事業では、樹脂成形機や真空成形機、塗装システム、医療機器の自動組立装置などを販売しています。また、当社の特色ある取り組みとして、埼玉県入間郡ではイチゴ苗を育苗して販売する植物工場を運営しています。
成長期待は、新たな取り組みとして、データセンターのAIサーバー向け水冷システムや医療機器の自動組立装置となっています。
基盤領域の3つ目であるプラント・エネルギー事業では、石油、化学、金属、発電、製紙関連のプラント設備など、エネルギーと社会インフラを支える設備を販売しています。
また、低炭素社会の実現に向け、バイナリー発電装置や太陽光発電装置、小型のオンサイトアンモニア製造装置など、再生可能エネルギーに関連する装置やプラントの販売にも注力しています。
成長が期待されるのは、データセンター向け電源装置としての燃料電池や、原油の油種切り替えに伴う石油精製設備の改造需要です。
このように、基盤領域においても、AIサーバー、半導体、再生可能エネルギーといった成長分野におけるビジネスチャンスを幅広く取り込んでいます。
日本政府の重点17領域中12領域をカバー

西井:こちらのスライドでは、当社の7つの事業およびグループ会社が、日本政府の定める重点17領域中12領域をカバーしていることを、各事業のアイコンで示しています。
時間の都合により、12領域の詳細は割愛しますが、日本が国際競争力の強化を目指す戦略的な産業領域を、当社の7つの事業が広範囲にカバーしていることがご理解いただけると思います。
重要なのは、これら12領域が一部の新しい産業を除き、当社が数十年にわたってビジネスを展開してきた分野であるという点です。当社がこれまで培ってきた顧客基盤や設備導入のノウハウが、現在の日本政府の政策や成長領域と一致している点が特徴です。
なお、新たな産業分野であるAIやデータセンター関連のビジネスについては、この後の成長戦略のスライドでご説明します。
関本:ありがとうございます。こちらの事業概要について、1点質問させてください。
政府の重点領域には私も注目していますが、御社ではこれらの分野で需要が盛り上がってきているのでしょうか? 特に造船や防衛、AI、半導体に関しては、決算を見ても好調であると感じています。実際のお客さまの動きとしては、どのような印象をお持ちですか?
西井:政府が成長分野として力を入れていることもあり、右肩上がりで成長していると我々も考えています。それは株式マーケットにも反映されているかと思います。
特にAI、半導体、データセンター関連のビジネスは、ここ数ヶ月から1年以内で急速に成長してきました。実際のビジネスも非常に速いペースで進んでおり、我々自身も驚いています。
関本:ありがとうございます。この点についても、次の成長戦略のパートで詳しくおうかがいしたいと思います。
連結業績の推移

西井:続きまして、目次の3つ目である成長戦略についてです。まずは、連結業績の推移についてご説明します。スライドのグラフは、2008年から2026年3月期までの連結業績推移と2027年3月期以降の計画値を示しています。
グラフにおける水色の棒グラフは売上高、濃い青の棒グラフは営業利益、折れ線グラフは営業利益率を表しています。本日はこのグラフを用いて、当社の安定性と成長性についてご説明します。
まずは、安定性についてです。現在も中東情勢が原油価格をはじめ、為替、物価、株価に影響を与えています。過去にはリーマン・ショック、東日本大震災、新型コロナウイルスの感染拡大といった外部環境の変化が、多くの企業の業績に負の影響を与えてきました。
しかしながら、このグラフで示されているとおり、当社の業績にはそのような大きな負の影響はほとんど見られません。
その理由は、当社が産業を幅広くカバーする7つの事業を持ち、それらが相互に補完し合い、安定的な経営に貢献しているためです。この補完関係により、当社は創業以来78年間、赤字決算を一度も出すことなく、非常に安定した業績を維持しています。
次に、成長性についてです。グラフの右半分をご覧ください。当社はエンジニアリング機能の強化を目指し、コロナ禍以前から技術者の採用を進め、プロジェクト案件の受注を増やしてきました。
その結果、コロナ禍明けの2021年頃から売上高、営業利益、および営業利益率において大幅な成長を遂げています。
このように当社は、7つの事業の相互補完による業績の安定性に加え、エンジニアリング機能を組み合わせた高付加価値事業を展開することで、さらなる成長を実現しています。
成長戦略と中期経営計画

西井:成長戦略と中期経営計画についてご説明します。
スライド右側に示しているとおり、中期経営計画「MT2027」の最終年度である2028年3月期において、売上高2,500億円、営業利益150億円を目指します。さらに、その先の成長戦略「V2030」の最終年度では、売上高3,000億円、営業利益180億円という目標を掲げています。
この目標達成に向けた2つの重要な施策について説明します。1つ目の施策は、受注の拡大です。スライド左側のグラフをご覧ください。
棒グラフの左側に示されている2026年3月期の受注総額は2,025億円でした。右側に示されている2027年3月期の受注高予想は、そのおよそ1.2倍の2,400億円を予定しています。
グラフから、7つの事業のうちエナジーソリューションズ事業、自動車事業、エレクトロニクス事業が受注高の増加を予定していることがわかります。
2つ目の施策は、成長戦略「V2030」の定量目標を達成するための投資の実行です。主な取り組みとして、ヘルスケア事業では医薬品製造ラインのサプライチェーン強化を目的とした投資を計画しています。
また、航空・インフラ事業においては、今後の成長が見込まれる空港以外の交通インフラを支える分野に投資し、将来の収益の柱として育成していく計画です。
これら2つの施策を着実に進めることで、定量目標を達成するとともに、中長期的な成長と企業価値の向上を実現していきます。
AIデータセンター需要を捉える当社の取り組み

西井:AIデータセンター需要を捉える当社の取り組みについてです。先ほど、日本政府の重点17領域のスライドで簡単に触れましたが、生成AIの普及に伴う世界的なAIデータセンター投資を背景に、当社のお客さまでも設備投資が拡大しています。
AI半導体やサーバー向けでは、電子部品の実装機や半導体パッケージ基板の製造装置の受注が好調です。また、AIサーバーの水冷システムや半導体材料を製造する設備の引き合いも増加しています。
加えて、不足する電力や電源を補うためのデータセンター向け発電装置である燃料電池や、蓄電池向けのリチウムイオン電池製造設備、直流式蓄電システムであるDCリンクの商談も活況を呈しています。
これらを背景に、2027年3月期はAI半導体・データセンター関連で前年度実績の3倍となる200億円以上の受注を見込んでいます。
関本:成長戦略について、あらためておうかがいします。1つ目は、AIデータセンター事業の成長性についてです。
今年は非常に注目度が高く、御社でも先ほどおっしゃったように、AIデータセンター関連の受注高200億円を見込んでいます。需要の継続性や、来期や再来期まで見据えた際の見通しについては、どのようにお考えでしょうか?
西井:みなさまが知りたいところだと思いますし、私自身も非常に興味があります。現在お取引しているお客さまからうかがった内容をまとめると、少なくとも2030年まではこのペースが続くだろうとのことですが、これはかなり控えめな予測だと思います。
ただ、このような技術は、新しい技術が出るとすぐにそちらへ移行することもあります。その動きを注意深く見守りながら、需要に対応していきたいと考えています。
関本:次世代型エンジニアリング商社としての強みにも関わるかもしれませんが、AIデータセンター領域で需要を獲得する上で、どのような点で強みを発揮できているとお考えですか?
西井:AIデータセンター関連で実際に受注が進み、納入が始まっているのは、エレクトロニクス関連です。
当社には、数十年前からエレクトロニクスの実装装置をお客さまに販売する組織が国内外にあります。それらの組織を通じて販売後のメンテナンスや、設備の効率を向上させるための指導などのサービスも引き続き提供しています。
関本:海外での成長を目指す方針についても、資料などで拝見しました。海外の大手メーカーと競合した場合に戦っていけるのか、競合に勝てる理由についてはどのようにお考えですか?
西井:当社は販売組織だけでなく、販売後のメンテナンスや、設備を現場に据え付けるためのエンジニアリングチームなども海外に擁しています。また、メーカーとの数十年来の信頼関係があり、非常に良い条件で調達できることもあります。
販売に関するノウハウも、決して昨日今日できたものではなく、数十年にわたって積み上げてきました。海外の競合に対しても、これまで勝ったり負けたりしながらビジネスを進めてきています。そのため、この基盤をもとに今後も拡大していくという考えです。
関本:それでは、質問はここまでにして、次は業績予想についてです。引き続き、ご説明をお願いします。
連結業績(2027年3月期 第1四半期)

西井:それでは、目次の4つ目である業績予想についてご説明します。まずは、連結業績です。
当第1四半期は前年同期比で受注高が36.5パーセント増加し、628億7,500万円と好調でした。一方、売上高は前年同期比で16.7パーセント減少、営業利益は57.7パーセント減少、経常利益は48.1パーセント減少となりました。
減収減益の主な要因は、米国の関税政策の混乱による設備投資控えにより、昨年の第1四半期の受注高が大幅に落ち込んだことです。しかし、昨年の中盤以降、受注は着実に回復しており、今年の売上高も第2四半期以降に回復する見込みです。
四半期ごとの受注高の推移

西井:四半期ごとの受注高の推移について説明します。当社ビジネスでは、受注から売上計上までの期間が比較的長いため、受注高は将来の売上高を予測するうえでの重要な先行指標と言えます。
2023年3月期から2024年前半にかけて、北米におけるEV投資が盛況を呈し、受注高が上振れしました。しかし、2024年後半頃から北米でのEV販売が減速し、さらに米国の関税政策が影響を与えた結果、設備投資が控えられる傾向が続き、2026年3月期前半には受注高が減少しました。
とはいえ、一度落ち込んだ受注は、AI半導体やデータセンター関連の投資拡大の影響を受け、今期第1四半期に628億7,500万円と高い水準となりました。これは、今後の売上計上に向けた受注残が積み上がっていることを示しています。
事業部別では、エレクトロニクス事業、エナジーソリューションズ事業、ヘルスケア事業、プラント・エネルギー事業など、複数の事業領域で受注が増加しました。特定分野に偏らず、受注基盤が拡大しています。
2027年3月期 通期業績予想

西井:2027年3月期の通期業績予想は、受注高2,400億円、売上高2,100億円、営業利益120億円、当期純利益94億円、ROEは10.2パーセントを見込んでいます。
営業利益は120億円と、昨年度の137億円から減少します。これは、グループ全体で約100名の増員や給与のベースアップなど、人的資本への投資に伴う総経費の増加が影響しています。
これら人的資本の強化を通じて、成長分野を軸に積極的な営業活動を展開し、さらなる受注の増加を確実なものにしていきます。
また、「MT2027」の最終年度である2028年3月期には、受注高2,700億円、売上高2,500億円、営業利益150億円を目指し、3年間の累計営業利益400億円の達成に向け、全社一丸となって取り組んでいます。
関本:業績予想について、いくつかうかがいます。お話しいただいたとおり、2027年3月期は売上高・営業利益ともに前期比でいったん減少する予想です。
一方で「MT2027」では、先ほどおっしゃったように3年間の累計営業利益400億円を目指しているとのことです。今期の減益をどのように捉えるべきなのか、また2028年3月期に向けてどのように回復していくのか、うかがってもよろしいでしょうか?
西井:今期の売上高と営業利益は、昨年度の北米でのEV販売の減速や米国の関税政策の混乱が影響し、多くの投資がストップしました。
具体的な例として、カナダの大型プロジェクトが停止するなど、さまざまなプロジェクトが中断し、受注が急激に落ち込んだことが挙げられます。そのような影響が、今期の売上高と営業利益に反映されています。
今年度は端境期にあたります。先ほどご説明したように、昨年度中盤から受注が急激に回復しているため、今年度から来年度にかけては、売上高と営業利益を積み増していけると考えています。そのため、2028年3月期の目標は下方修正していません。
関本:わかりました。最後に、株主還元についてご説明をお願いします。
配当金・配当性向

西井:それでは、5つ目の項目である株主還元についてです。まずは配当について説明します。当社は、株主のみなさまへの利益還元を経営の重要政策の1つとして位置付けています。
成長戦略「V2030」の実現に向けた成長投資と安定配当の継続を総合的に考慮し、配当方針を当期純利益に対する40パーセントの配当性向、またはDOE4パーセントのいずれか高いほうを基準として、業績に応じた適正な配当を実施しています。今年度は、昨年度と同額の1株当たり年間配当125円を予定しています。
当社の配当は、2015年以降増配傾向を維持していることがグラフからもご確認いただけるかと思います。今後も収益力の強化に取り組みながら、株主のみなさまへの配当をさらに充実させていきます。
株主還元 自己株式の取得・株主優待

西井:株主還元の2つ目は、自己株式の取得についてです。上限50万株、取得総額20億円の自己株式取得を決定し、5月13日から9月30日の間で市場買付を実施しています。
取得した自己株式は、中長期的な株主価値の向上を図る観点から消却を予定しています。今後も機動的な資本政策を通じて、資本効率の向上に努めます。
株主還元の最後は、株主優待についてです。株主のみなさまへの還元強化と、より多くの方に中長期的に当社株を保有していただくことを目的として、「第一実業・プレミアム優待倶楽部」を新設しました。2026年以降、毎年9月末時点で100株以上保有されている株主さまが対象です。
保有株数に応じてポイントが進呈され、5,000種類以上の豊富な商品からお好きなものをお選びいただけるほか、長期保有によるポイント繰越のメリットもあります。保有株数に応じたポイント付与や商品の詳細は、当社ホームページの株主優待ページでご確認ください。
当社は、今後も企業価値の向上に努めるとともに、配当、自己株式の取得、株主優待といった多様な株主還元政策を通じて、みなさまのご期待に全力で応えていきます。
質疑応答:「MT2027」の進捗状況と「V2030」達成への懸念事項について
分林里佳氏(以下、分林):「『MT2027』
新着ログ
「卸売業」のログ




