2026年6月期決算説明
コーア商事HD、過去最高益を達成 27年6月期も増収・増配計画、蔵王第二工場稼働前倒しで主力製品増産へ
I-1.サマリー

首藤利幸氏(以下、首藤):コーア商事ホールディングス株式会社代表取締役社長の首藤です。それでは、ただいまより弊社の決算説明会を行います。サマリーです。
2026年6月期通期実績です。原薬セグメントで近年上市した品目の拡販や選定療養により、一部の品目の取引量が増加したことから、前年同期比で増収増益となりました。
医薬品セグメントでは、蔵王工場の主力製品が堅調に推移した一方、本社工場の主力製品である錠剤の販売が減少し、前年対比で増収ながら利益は横ばいとなりました。EBITDAは26億3,000万円でした。
2027年6月期の業績予想です。原薬セグメントは、近年上市した品目の販売や前期に顧客側の購入タイミングの影響で販売量が減少した品目の取引が回復する見込みであり、増収増益を予想しています。
医薬品セグメントは、主力製品である錠剤が競合の参入や薬価改定の影響を受け、販売減少が見込まれるほか、減価償却費や賃上げによる人件費、研究開発費などのコスト増加も重なり、増収減益を予想しています。
蔵王第二工場は、来年7月からの稼働を予定していましたが、これを4ヵ月前倒しして対応する計画です。プレフィルドシリンジ製剤の増産対応を進めているところです。EBITDAは25億7,100万円を見込んでいます。
市場環境について、選定療養における患者負担が2分の1に引き上げられたほか、G1ルールの適用が10年から5年に短縮され、オーソライズドジェネリック(AG)の薬価が先発品と同額になるなど、ジェネリック医薬品の使用促進を目的とした制度改定が相次いでいます。
一方で、毎年の薬価改定による価格引き下げの圧力が続いており、業界全体として一層の経営努力が求められる状況です。
I-2.2026年6月期 通期業績ハイライト

2026年6月期の通期業績ハイライトについてです。売上高および各段階での利益はいずれも過去最高を更新しました。
売上高は前期比6.1パーセント増の246億7,000万円、営業利益は前期比2.3パーセント増の54億7,000万円、当期純利益は前期比3パーセント増の37億4,000万円となりました。ROEは12.6パーセント、PBRは1.02倍となり、配当性向は20.2パーセントを予定しています。
I-3.業績推移

業績の推移についてです。売上高は8期連続で増収となり、営業利益以下は7期連続で過去最高を更新しています。スライド下に記載された過去7年間の売上高と営業利益は、スライドの表のとおり上昇しています。
I-4.2027年6月期 業績予想ハイライト

2027年6月期の業績予想ハイライトです。
両セグメントとも、増収により連結売上高は前期比8.2パーセントの増加を見込んでいます。原薬セグメントは堅調な一方で、医薬品セグメントの減益により連結営業利益は前期比3.8パーセントの減少となる見込みです。
また、蔵王第二工場の稼働を2027年7月予定から4ヵ月前倒しし、3月稼働へ変更する計画を進めています。
売上高は前期比プラス8.2パーセントの267億円、営業利益は前期比マイナス3.8パーセントの52億7,000万円、当期純利益は前期比マイナス4.2パーセントの35億9,000万円を予想しています。1株当たり配当金は前期比プラス1円の19円と予想しており、配当性向は22.3パーセントを見込んでいます。
I-5.2027年6月期 業績予想概要

2027年6月期業績予想の概要についてです。
2027年6月期は、原薬セグメントが増収増益を見込む一方で、医薬品セグメントでは主力錠剤の販売減やコストの増加により、増収減益の見込みです。このため、蔵王第二工場の早期稼働を目指し、4ヵ月前倒しで稼働することを現在検討中です。
2027年6月期の予想は、売上高が前期比プラス8.2パーセントの267億円、営業利益が前期比マイナス3.8パーセントの52億7,000万円を見込んでいます。2028年6月期の目標については、スライド右端に記載されています。
I-6.蔵王第二工場の竣工

蔵王第二工場は2026年6月30日に竣工し、同年7月3日に竣工式を開催しました。稼働については、4ヵ月前倒しを検討しています。スライドの写真をご覧ください。スライド左側が工場の外観、右側が竣工式の様子です。
スライド下部の写真についてご説明します。左側が充填集積室(充填一連機)、中央が調製室(調液設備)で薬液の調整を行う設備、右側が洗浄室となります。
I-7.株主還元:「原則、毎年増配」

株主還元についてです。
「原則、毎年増配」のとおり、2027年6月期も1株当たり配当を1円増配し、19円と予想しています。配当性向は基本的に20パーセント以上を目安に総合的に判断しており、配当基準日は6月末としています。ここ数年、特に6年間において毎年配当金を増額しており、その結果、配当総額も増加しています。
I-8.当社グループの信頼への取組み

当社グループでは信頼性への取り組みを非常に重視しています。法令遵守および品質管理のチェック体制として、内部では自己点検、年次照査、整合性点検に加え、グループ間無通告監査や内部監査室による薬機法監査などを実施しています。
外部では、厚労省などの当局による査察、並びに顧客による監査が行われています。2026年6月期の実績では、当局による査察は原薬セグメントにおいて4回、医薬品セグメントで2回行われました。顧客による監査は、原薬セグメントで34回、医薬品セグメントで7回実施されています。
今後も本取り組みを定期的に実施することで、ジェネリック医薬品の確かな品質と安全性の確保、および安定供給に引き続き取り組んでいきます。
II-1.10ヵ年長期事業計画

中・長期事業計画についてご説明します。
2020年に長期事業計画を策定し、「持続的成長戦略」として2020年から2030年の計画を開示しています。この計画では、医薬を取り巻く環境の変化と当社グループの持続的成長を視野に入れています。
モダリティ革命を企業価値の向上の機会とし、経済的価値と社会的価値の両立を目指しています。2020年時点では、当社グループは原薬における輸入商社としての基盤をしっかりと構築しており、2030年に向けて原薬輸入商社から医薬品専門商社へと進化を目指す計画を掲げています。
医薬品セグメントでは、注射剤を中心としたジェネリックメーカーとしての地位を築いていましたが、2030年に向けては、特長のある注射剤の国内トップメーカーとなることを目標に掲げています。
このように、現在も長期事業計画を2030年に向けて着実に進めている状況です。
II-2.10ヵ年計画におけるグループ成長イメージ

10ヵ年計画における具体的なグループの成長イメージについてです。
2030年6月期をターゲットとした長期事業計画の達成に向け、事業基盤の強化を図っています。2021年時点では医薬品セグメントがやっと黒字化した時期でしたが、10年後には原薬と同じような利益を上げることを目指しています。
2024年に具体的な数値を設定しました。医薬品セグメントで40億円、原薬セグメントで40億円、合計80億円の営業利益を目標としています。
特に成長の原動力となる医薬品セグメントにおいては、いくつかの重要な取り組みを計画しています。スライドにも記載のとおり、今年12月に本社工場で再構築を開始し投資を行います。医薬品製造工場は5年に1度、製造許可の更新審査を受ける必要があり、本社工場は今年12月を予定しています。
蔵王第二工場では、稼働開始を4ヵ月早める計画です。さらに、蔵王第一工場ではプレフィルドシリンジ製剤の増産に加え、現状フル稼働ではないバイアルラインの活用を進めています。
これらの取り組みによって、2030年の長期目標を達成するための基盤を強化しています。
II-3.中・長期財務目標

中・長期財務の目標は、「成長ドライバーである医薬品セグメントを拡大させ、2030年6月期までに連結営業利益80億円を目指す」です。2026年6月期は、連結売上高246億7,800万円、連結営業利益54億7,600万円となりました。
2027年6月期は、投資により医薬品セグメントの利益が減少することで、連結営業利益52億7,000万円を予想しています。2030年6月期には、医薬品セグメントと原薬セグメントで40億円ずつ、計80億円の連結営業利益を目標としています。
一番重要視しているのはROEで、現在は12パーセント以上を目標としており、今後はさらなるROE向上を目指していきます。
II-4.中期経営計画の進捗について

中期経営計画の進捗についてご説明します。原薬セグメントおよび医薬品セグメントにおいて、中期事業戦略を策定しています。2026年6月期から2028年6月期の中期経営計画に関連して、前期2026年6月期の取り組み状況についてご説明します。
原薬セグメントでは、新規収載品の目標をジェネリック大手中心に達成しました。また、新規2nd品の案件についても目標を達成しています。
開発部門における新規調査着手品目については、順調に増加しています。重点サプライヤーとの面談や顧客への同行訪問の目標件数も、2026年6月期に達成しました。新規事業の推進においても、提案件数が前年から増加しています。
医薬品セグメントでは、中期経営計画で掲げた2026年6月期の目標が順調に進捗しています。前期では、新規シリンジ製剤の受託獲得が進み、将来は蔵王第二工場での製造が予定されています。
「マキサカルシトール」の生産計画も達成し、新規バイアル液剤のCDMO案件では治験薬の製造が進められ、順調な進展が見られます。さらに、シリンジ製品の市場拡大に伴い、蔵王第二工場の稼働時期の前倒しを目指していることについては、先ほど触れたとおりです。
候補品目の開発が進行中で、新規開発の検討も予定どおり進んでいます。
II-5.中・長期事業戦略 ~原薬セグメント

中・長期事業戦略の原薬セグメントについてご説明します。長期成長戦略として、「原薬輸入商社から2030年に医薬品専門商社へ」と成長することを目指しています。そして、数値目標として営業利益40億円を掲げ、その達成のために7つの事業戦略を進めています。
具体的には、2030年6月期目標達成に向けた蓋然性のある成長やサプライチェーンの強化と多様化、DX推進とAI技術の業務活用、「医薬品専門商社」「モダリティ革命」の推進力となる新規事業に取り組んでいます。製剤の輸出についても検討を進めています。
進化するニーズに応えるバックオフィスについて、横浜医薬分析センターの更新を進めています。新たなモダリティに対応すべく、治療薬の変化に応じた新たな対応が求められています。その一環として、分析センターの移転の計画を進めています。
グループ間シナジーの強化、ESGへの対応も進めています。現在の開発調査品目数について、ジェネリック医薬品メーカー各社は10年先を見据えた開発を進めており、開発用の提案品目として現在計70品目超の調査、提案を行っています。
II-6.中・長期事業戦略 ~医薬品セグメント

中・長期事業戦略の医薬品セグメントについてご説明します。「特長ある注射剤の国内トップメーカーへ」を、2030年6月期の目標に掲げています。また、蔵王第二工場については2027年3月稼働の検討を進めています。このような中で、安定供給体制の実現を目指し、企業目標をクリアするための取り組みを現在進めています。
開発品目においては新規受託獲得、その他には法令遵守、人的投資と教育を進めています。CDMOについては、新規モダリティを含む高薬理活性注射剤を中心に、現在約10件の検討が進行中です。
II-7.医薬品セグメントにおける成長戦略

医薬品セグメントにおける成長戦略についてです。
量産型である蔵王第二工場の建設により、国内でも数少ない少量多品種、高薬理活性製剤の生産工場である蔵王第一工場の特徴を活かし、注射剤のシリンジ・バイアルに特化した開発から製造までを一貫して行うCDMOの受託事業を強化します。
蔵王第一工場は、シリンジ製剤においては約480万本を生産しており、現在は3直体制でこれ以上の生産量を達成しています。バイアル製剤については、液剤で約90万本、凍結乾燥製剤で約60万本が生産可能です。
蔵王第二工場は大量生産を担い、1,200万本の製造能力を有しており、今後さらに生産量を伸ばしていく予定です。そのため、現在3直体制の導入を検討しており、生産量を1,600万本に増やすことを目指して準備を進めています。
本社工場については、今年中に業許可更新手続きを完了し、新たに5年間の稼働期間を確保する計画です。
II-8.蔵王工場の特徴

蔵王第一工場と第二工場の特徴についてです。
蔵王第一工場では、少量多品種生産でシングルユースに対応しており、蔵王第二工場では大量少品種生産でプレフィルドシリンジ製剤に対応しています。蔵王第一工場では、プレフィルドシリンジ製剤を480万本製造する前提としており、現状は、それよりやや多く製造していますが、480万本が適正量と考えています。
蔵王第二工場は現在2直体制で1,200万本の製造能力を有していますが、3直体制を検討すれば1,600万本の生産が可能になります。これに蔵王第一工場の生産量を合わせると、2,000万本以上のプレフィルドシリンジ製剤を製造することができます。
II-9.グループシナジー

グループシナジーについてです。両セグメントの特徴を活かし、コーア商事は商社として原薬・製剤の調達と、大阪と横浜の医薬分析センターの活用を進めます。
コーアイセイは開発・受託製造(CDMO)、コーアバイオテックベイは包装受託を主としており、一部OTCも取り扱っています。こうした各社の特徴を活かしながらグループ全体でのシナジーを強化し、国内製薬業界のベストパートナーを目指していきたいと考えています。
II-10.キャッシュ・アロケーション

キャッシュ・アロケーションについてです。中期経営計画の3年間では、創出されるキャッシュを成長に向けた投資と株主還元に配分する計画です。
2026年6月期から2028年6月期においては、約170億円をデット調達と営業キャッシュフローにより創出し、キャッシュアウトとして株主還元、成長投資、研究開発費、借入金の返済に充てる予定です。
具体的には、株主還元に約25億円を配分し、長期的に配当を継続しながら毎年増配を行う計画です。
原薬セグメントでは、横浜医薬分析センターの更新や現行施設の補修工事を行うほか、新しい医薬分析センターの増設と移転に対応します。医薬品セグメントでは、蔵王第二工場の建設や、本社工場に対する新たな投資が必要となり、今後5年を見据えて、ある程度の投資を計画しています。
研究開発費として約6億円、借入金の返済に約10億円を計画しており、さらに設備投資やM&A、株主還元の強化にも取り組んでいきます。
II-11.成長投資と株主還元

私どもは、投資・回収・還元というサイクルを強く回し、企業を持続的に成長させるとともに、資本コストを意識した経営を実現していきます。
まず設備投資を行い、その後回収し、リターンを得ます。この一連の流れを明確な数値目標のもとで実施し、株主のみなさまに還元していくというサイクルを強化していきます。
III-1.決算ハイライト

小松美代子氏(以下、小松):常務取締役、財務経理担当の小松です。それでは、私から決算概要と業績予想についてご説明します。
決算ハイライトです。連結ベースでは、売上高と営業利益がともに過去最高を更新しました。スライドの表の下部には、過年度から継続して取り組んでいる3つの支出項目を示しています。減価償却費、研究開発費、そして設備投資の金額です。
減価償却費と研究開発費については、前期と比較して大きな変動はありませんでした。一方で、設備投資は蔵王第二工場への支出が伸びていることから、対前期で増加している状況となっています。
III-2.セグメント別 前期比較(1)

セグメント別の前期比較についてご説明します。
両セグメントにおいて売上高は増収となりました。ただし、営業利益に関しては、医薬品セグメントが前期比0.6パーセント減少し、ほぼ横ばいの状態でした。
一方で、原薬セグメントでは前期比で3パーセント増加し、医薬品セグメントの減少をカバーしました。その結果、連結ベースでは営業利益が前期比2.3パーセント増加という結果となりました。
III-2.セグメント別 前期比較(2)

このスライドでは、セグメント別の前期比較をグラフで示しています。各セグメントについて、先ほどご説明した状況に加え、次ページ以降で売上高分析や工場別の分析などを詳しくご説明します。
スライド下部には、為替実勢レートについて、前期と当期の比較を数値で示しています。
III-3.原薬セグメント 売上高分析

原薬セグメントに関する売上高の分析です。分析の観点としては、2つの側面から行っています。1つ目は、上市年別の売上高の推移です。2つ目は、薬効分類別の売上高の前期比較です。
上市年別で見ると、2025年以降に上市された品目は、比較的利益率が高い品目が多く、これらの品目が堅調に推移した結果、増収増益を果たすことができました。
薬効分類別については、スライド下部にそれぞれの薬効の対前期比較を示しています。具体的には、循環器官用薬、中枢神経系用薬、その他の代謝性医薬品、アレルギー用薬などが前期比で成長を示しています。
III-4.医薬品セグメント 売上高分析

医薬品セグメントにおける売上高の分析です。スライドのグラフは、工場別の数値を示しています。工場別でお伝えすると、グラフ下の薄いブルーの部分が本社工場を表しており、上の濃いブルーの部分が蔵王工場を表しています。
決算ハイライトでもお伝えしたとおり、本社工場では主力製品である錠剤が競合の参入などの影響を受けて販売が減少しています。一方、蔵王工場では、受託製造しているプレフィルドシリンジ製剤や抗がん剤のバイアル製剤などの販売が堅調に推移しています。
結果として増収となりましたが、利益は若干減少しており、ほぼ横ばいの状況です。
III-5.2026年6月期 業績予想比

このスライドは、対前期で連続増収増益という結果となった一方で、私どもが昨年の段階で提示した期初の業績予想に対して、どのような結果であったかという観点から分析した資料です。
期初の業績予想では、売上高は前期比プラス10.4パーセント、営業利益は前期比プラス1.4パーセント、経常利益は前期比プラス1.0パーセント、当期純利益は前期比プラス0.1パーセントと見込んでいました。
売上高は対前期で増収となりましたが、残念ながら予想には届きませんでした。一方で、営業利益以下は原薬セグメントが牽引したこともあり、営業利益、経常利益、当期純利益の各段階利益につき、当初の予想を上回る結果となりました。
III-6.経常利益の増減要因

これまで営業利益についてご説明してきましたが、経常利益の対前期増加額は営業利益の対前期増加額をさらに上回っており、スライドのグラフ右側から2番目に記載しているとおり、営業外損益部分における対前期増加額は、2,500万円となっています。
要因についてご説明します。医薬品セグメントにおいて、医薬品の安定供給に対する支援の一環として厚生労働省から助成金を受領したこと、また、原薬セグメントにおいて為替変動への対策の一環として、外貨建て債券を2026年6月期に新たに導入し、それに伴う受取利息等を計上したことが挙げられます。
これらが、営業利益から経常利益に至る営業外損益のプラス要因となっています。
III-7.要約連結貸借対照表

連結貸借対照表のポイントについてご説明します。蔵王第二工場の竣工により、有形固定資産が大きく増加しています。
また、先ほど経常利益のご説明でも触れましたが、外貨建て債券を購入しており、これが投資その他資産の部分にプラス要因として計上されています。一方で、流動負債では短期借入金が増加しており、これは蔵王第二工場に関連して金融機関からの借り入れが増えたことによるものです。
III-8.要約連結キャッシュフロー計算書

連結キャッシュフロー計算書についてです。
営業キャッシュフローに関連して、売上債権の増減がプラス要因となった背景には、中小受託取引適正化法の適用が今年から始まったことがあります。一部の販売先の支払条件が変更され、それが営業キャッシュフローの増加につながっています。
短期借入金については、蔵王第二工場への投資の原資として増加しており、これを投資に回している点がキャッシュフロー計算書の大きなポイントです。
III-9.通期業績予想

通期の業績予想についてご説明します。スライドに記載されているとおり、売上高は増収を見込んでいますが、営業利益ベースでは減益を見込んでいます。スライド下部には、先ほど決算ハイライトで示した3つの指標、減価償却費、研究開発費、そして設備投資額を記載しています。
減価償却費は、投資した設備が稼働することで増加が見込まれています。研究開発費は、当期において体制強化を目指すため、増加を見込んでいます。一方、設備投資額は、蔵王第二工場の設備投資が一段落したことから、前期比で減少する見通しです。
III-10.原薬セグメント 業績予想

業績予想について、セグメント別にご説明します。まず原薬セグメントについてです。
今期も、前期同様に増収増益を見込んでいます。増収増益の要因としては、2025年以降に上市する品目の販売が引き続き堅調に推移する見込みであることが挙げられます。
また、前期に生じた顧客側の購入タイミングの影響や在庫調整も一段落する見込みであることも増収増益を見込んだ一因となります。
III-10.医薬品セグメント 業績予想

医薬品セグメントについてです。引き続き、本社工場で製造している主力製品について、競合の参入や薬価改定の影響を受けることが現状予想されています。
また減価償却費や賃上げの影響による人件費の増加、さらには研究開発費の増加など、コスト面での増加が見込まれており、現時点では増収減益を予想しています。
減益をカバーするため、蔵王第二工場は当初予定していた7月稼働を4ヵ月前倒しして3月に稼働させ、市場のニーズが強いプレフィルドシリンジ製剤をさらに増産することで、減益幅の縮小に取り組んでいきます。
IV-1.SWOT分析

田中輝幸氏(以下、田中):取締役、事業開発・経営企画担当の田中です。市場環境と当社戦略の優位性についてご説明します。よろしくお願いします。
まず、SWOT分析についてご説明します。スライド左側がプラス要因、右側がマイナス要因です。
プラス要因についてです。原薬セグメントは、新規収載品目向けの原薬の採用実績が大幅に増加しており、販売力のある強い会社に対して原薬の採用が順調に進んでいる点が当社の強み(Strength)だと考えています。
医薬品セグメントは、プレフィルドシリンジ製剤や抗がん剤の製造実績が着実に蓄積されており、これも強みになると考えています。
機会(Opportunity)についてです。長期収載品の選定療養における患者負担の増加に伴い、ジェネリック医薬品の需要がさらに増加すると予想しています。また、AG収載時の薬価が先発薬価と同額となることもプラス要因です。
安定供給のための協業推進や製造能力の強化にしっかり取り組むことで、これが成長の良い機会になると考えています。
マイナス要因についてです。原薬セグメントに関しては、横浜医薬分析センターの維持更新に対し、平常の事業に支障をきたさないよう、細心の注意を払いつつ進めていきます。
一部の原薬調達において、国内回帰の機運が高まっているとの報道もあります。ただし、現在ではどの企業においても、マルチソースやダブルソースが必須とされているため、国内原薬が採用される場合でも、海外産原薬が第2候補として採用される可能性も十分にあります。
このような状況をしっかりと乗り越えていきたいと考えています。
IV-2.ジェネリック医薬品業界の動向 市場拡大への取組み(1)

ジェネリック医薬品業界の動向についてご説明します。
まず、市場拡大への取り組みの1つ目です。スライド左側のグラフでは、政府目標として2023年度の金額ベースで56.7パーセントから、2029年度末までに65パーセント以上とする新たな目標が設定されています。上部の線グラフが数量ベースの目標となっています。
スライド右側は、選定療養についてのご説明です。選定療養では、2024年10月から先発品を希望する場合、先発品と後発品の薬価差の4分の1を自己負担とする制度が始まりました。この影響により、すでに一定のプラス効果が見られています。
さらに本年6月から、先発品と後発品の薬価差の2分の1を自己負担することとなるため、ジェネリック市場の拡大に大きなインパクトがあると考えています。
IV-2.ジェネリック医薬品業界の動向 市場拡大への取組み(2)

市場拡大への取り組みの2つ目です。こちらも、非常に大きな影響がある内容です。ジェネリック医薬品が発売されてから5年が経過した先発品、つまり長期収載品については、後発品置換え率に関係なくG1を適用します。
G1とは、後発品が発売されてから5年経過したものに関しては、その後の6年間で徐々に薬価を引き下げ、6年後には後発品の加重平均薬価と同じ水準にするというルールのことです。
これにより、先発メーカーがこうした商品から撤退する時期が早まり、ジェネリック医薬品には新たなビジネスチャンスが広がります。また、安定供給への責任も求められるため、これらの点についてはしっかりと取り組む必要があると考えています。
IV-3.オーソライズド・ジェネリック(AG)の新規収載時の対応(1)

オーソライズド・ジェネリック(AG)の新規収載時の対応の1つ目についてご説明します。
従来、AGは通常のジェネリックと同じ薬価でしたが、本年10月以降に収載されるAGやバイオAGについては、先発品薬価と同額で算定されることとなりました。そのため、今後AGが新たに市場に出ることはないという見方が一般的です。
この状況は通常のジェネリックにとってビジネスチャンスになると考えています。
IV-3.オーソライズド・ジェネリック(AG)の新規収載時の対応(2)

AGの新規収載時の対応の2つ目です。
スライド左上のグラフは、後発医薬品に比べてAGが先に薬価収載された場合の数量シェアを示しており、圧倒的なシェアを占めています。これはアメリカで多く見られるパターンで、製造販売を行うことを先発メーカーから許諾され、後発品として展開されることで、大きなシェアを獲得しています。
スライド右上のグラフは、AGと後発品が同時に市場に出た場合のシェアを示しており、この場合でもAGが圧倒的なシェアを取っています。
スライド左下のグラフは、後発品よりも遅れてAGが市場に出た場合を示しており、こうしたパターンを「追いかけAG」と呼びますが、それでもトップシェアを獲得しています。
その結果、AGが占めたシェア以外の部分を何社かで分け合うかたちになり、市場に非常に大きなマイナス影響を与えたということです。ただし、この点についてはしっかりと見直しが行われたため、今後は市場の正常な成長が期待できると考えています。
IV-4.市場規模:治療薬推移と透析患者死亡者数推移(要因別)

治療薬推移と透析患者死亡者数の推移についてです。
スライド左側のグラフは、「マキサカルシトール」などの適応症である二次性副甲状腺機能亢進症の治療薬に関するものです。この治療薬には3種類の有名な注射剤がありますが、それらのトータル数量を5年間で見たところ、いずれの注射剤も着実に伸びています。
一方、透析患者数は若干減少しています。その原因としては、治療方針の変更や高齢化に伴い、少し薬の量を増やさないと効果が出にくいという要因が挙げられます。
このように患者数はわずかに減少していますが、この領域の薬剤は依然としてしっかりと成長を示しています。この点については、スライド左側のグラフをご確認ください。
スライド右側のグラフは死亡率に関するものです。透析の領域は特異的な現象がみられ、一番高い死亡率の原因は青色で示された感染症となっています。
一般的な日本人の死亡原因は、がん・心疾患・脳血管障害が主ですが、この領域では感染症が主な原因となっており、特殊な状況です。このため、透析領域においては、感染症予防が非常に重要な課題となっています。
IV-5.感染症予防とプレフィルドシリンジ

感染症予防とプレフィルドシリンジについて、そのような背景のもとでガイドラインが策定されています。「プレフィルドシリンジ製剤が市販されている薬剤に関しては,極力これを選択することを推奨する.(Level 1 A)」という内容です。
プレフィルドシリンジの「Level 1」は最も強い推奨を示しており、A評価に関するコメントは記載していませんが、これは強いエビデンスがあることを意味しています。そのため、非常に強く推奨されているものです。
今後も、この領域においてプレフィルドシリンジは、しっかりとした成長を遂げる可能性が高いと考えています。
質疑応答:原薬セグメントの利益増加要因と粗利率維持について
質問者:原薬セグメントの実績および予測についてうかがいます。
売上の増加に対し、利益の増加は終了した期も少なく、今期の予測も増収の割にあまり増益しないとされています。その要因として、人件費の増加が大きいと記載されていたようですが、粗利、つまり調達とメーカーへの販売スプレッドについては維持できているのでしょうか?
粗利率は下がっているものの、粗利スプレッドの絶対額としては維持できているのか教えてください。
首藤:一般的に利益率が高い輸入業においては、国内ではおおむね10パーセントのところ、20パーセント以上の利益率を確保しています。
確かに、量が増えると特に上市してから年数が経過した既存品目は価格競争が厳しくなり、価格が下がっていく傾向があります。しかし、新たな品目を導入することで利益率を維持しています。現在、約70品目を検討しており、新しい品目が入ってくることで、利益率20パーセント以上を維持しています。
既存品目の価格競争やドルが下がることによって多少の変動があるものの、平均して安定的に収益を確保しています。
質問者:そのような意味で言うと、既存品目などの数量が増えた時は、売上ほどには利益はあまり増えません。ただ、新規採用品が増える時は、利益ベースでかなり伸びるイメージということでしょうか?
首藤:おっしゃるとおりです。
質問者:終わった期や今期については、既存品目の比重が大きいということでしょうか?
首藤:やはり売上を上げていく中で、利益率はついていけていません。売上を上げるには競争力を強化しなければ他社に奪われてしまうため、利益率が影響を受けます。
結果として、既存品目の利益率は下がる一方で売上は増加します。しかし、新しい品目が年2回収載品に加わることで利益率が向上します。ジェネリックメーカー各社も最初の製品の利益が高いため、原料をある程度高値で仕入れ、それが結果として利益に連動します。
このように、利益率20パーセント以上の確保に向けて努力しています。
質疑応答:人件費上昇と生産性向上による利益率維持戦略について
質問者:人件費を上げている中で、これを直接価格転嫁するのはけっこう厳しい業界なのかと思っています。そのため、1人当たりの人件費は上げていくものの、1人当たりで取り扱う商品を増やすことで、利益率を維持していくという理解でよろしいでしょうか?
首藤:おっしゃるとおりです。私どもは、人的資本経営やウェルビーイングを積極的に推進しており、今年も平均で6パーセント程度の昇給を実施しています。また、特に医薬品セグメントの山形では人数が増加傾向にあります。原薬セグメントも増えていますが、100人程度です。
おっしゃるとおり、人件費上昇の影響はあります。それに対して利益を増やすには、一人ひとりの生産性を高めるために人的資本へ投資しています。当社では、社員の数を増やすよりも1人の生産性を向上させることに注力しています。また、AIの活用も含めた施策を進めています。
質疑応答:蔵王第二工場早期稼働の理由であるPDS製剤の需要拡大について
質問者:蔵王第二工場に関して、プレフィルドシリンジの需要が強いため立ち上げたとのことでした。既存の「マキサカルシトール」において、アンプルからシリンジに変わっていく部分にまだポテンシャルがある状態かと思います。
この点について、ここを満たすのが主な目的なのか、それとも新しい事業として新たなプレフィルドシリンジの薬剤が増える可能性があるのかについて教えてください。
田中:当初は「マキサカルシトール」がまだ市場シェアの30パーセントに達するか否かという時点で投資を始めましたが、アンプルがシリンジに変わるだろうということを最低条件として投資をしています。
また、他の製剤であるプレフィルドシリンジ製剤の受託を目指し、現在も一生懸命努力を続けています。その取り組みの中で1つぐらいは成果が出ると多少見込んでいないと言えば、うそになるかと思います。
質疑応答:改正されたバイオシミラー薬価ルールへの対応について
質問者:AG新ルール開始の影響に関してうかがいます。バイオシミラーの分野が今後かなり増える可能性があるとの認識ですが、これはプレフィルドシリンジにおいてバイオシミラーとして展開する可能性もあると考えてよろしいのでしょうか?
田中:私どもの設備は、もともと蔵王第一工場もバイオシミラーを製造する際にはシングルユースが一般的です。少しの時間と費用でシングルユースにも対応できるよう設計されています。
そのため、具体的な案件があり、採算性が見えてきた場合には、設備対応も含めてどうするかを真剣に検討する可能性が今後出てくると考えています。
質疑応答:減価償却費のピーク時期について

質問者:今期は償却が3億円ぐらい増えるという業績計画の表が出ていましたが、減価償却のピークは来期と思ってよろしいのでしょうか? 数字面でもう少し教えていただければと思います。
小松:スライド34ページで、減価償却費の今後の推移を示しています。2027年6月期は7億3,400万円、2028年6月期は10億2,400万円ということで、ひととおり設備投資、特に第二工場に関連するものについて目途がつきました。
このため、2028年6月期が減価償却費のピークということでご理解いただければと思います。
質疑応答:医薬品セグメントにおける本社工場の今後の展開と競争激化の影響について
質問者:医薬品セグメントの本社工場に関してお尋ねします。主力の錠剤について、競争激化による価格下落が記載されていますが、これは中・長期事業計画を立てた時点である程度見通せていた範囲内で、現在その想定の範囲内で動いている状況なのでしょうか?
それとも、毎年の薬価改定の影響で予想以上に価格がどんどん下落している状況なのでしょうか? これを踏まえた上で、プレフィルドシリンジで示された計画の数字を達成できるようになっているのか、その状況について教えていただければと思います。
首藤:医薬品セグメントにおいて、本社工場は非常に歴史があり、50年近く経過しています。今年12月には新たな製造承認許可を県から取得する予定で、そのためにさまざまな投資を行っています。
この承認が得られれば5年間有効となり、その間私どもは「炭酸ランタン」を主力製品として、その他3品目から4品目の経口剤の製造も継続していきます。
注射剤については、受託製造を含め現在も製造を行っていますが、施設がかなり古いため、将来的にはどのように運営していくかを検討しています。当面の5年間は製造を継続する予定ですが、注射剤を動物用にシフトすることなども含めて、持続可能な運用を模索していきます。
まずは今年12月に製造許可を取得し、経口剤と注射剤の両方の製造を続けていきます。その間に、次のグランドデザインとして、蔵王第一工場、蔵王第二工場、本社工場、さらに新たな倉庫の建設などを含めて、これらの施設をどのように活用し次に進めていくかについて検討を重ねています。
まずは、本社工場を現状の体制で維持しながら、許可を取得して進めていきます。
質問者:主力商品の競争激化は想定されている範囲内で、現在推移しているという理解でよろしいでしょうか?
首藤:想定以上に影響の大きな要因は、薬価の引き下げです。私どもは、もともと単独ですべてのジェネリックを供給していましたが、2年前から、特に昨年12月には大手メーカーが新たに市場に参入し、その影響で一部のシェアがそちらに移りました。
それでも、大半は引き続き私どもの製品をご利用いただいています。ただし、同一領域の商品、特にジェネリック全体で見ると、市場全体として数量は先発品も後発品も含めて減少基調にあります。シェアの比率としては、70パーセントを維持している状況です。
質疑応答:2026年6月期から2028年6月期におけるM&Aの方針について
司会者:「2026年6月期から2028年6月期の中期経営計画期間のキャッシュ・アロケーションにおいて、成長投資約120億円とは別に、さらなる設備投資やM&Aを検討するとのことでした。M&Aについては、どのような領域や規模を想定しているのか、具体的な方針を教えてください」というご質問です。
首藤:M&Aについては、弊社として、成長が見込まれるものであれば積極的に活用していきたいと考えています。具体的に現時点でお話しできることはありませんが、その方針で検討を進めています。
質疑応答:2026年6月期における東和薬品の主要顧客化の背景について
司会者:「2026年6月期において、新たな主要な顧客として東和薬品が開示されています。こちらは注力してきた結果なのか、それとも一時的なものなのか教えてください」というご質問です。
田中:この業界では、なにも努力せずに急に結果が出ることはまったくありません。そのため、長年にわたり、担当者および社長をはじめとしたみなさまの努力がここにきて認められた結果です。
他社での採用実績などがしっかりと評価され、東和薬品でも採用が増えてきています。これは長年の努力の賜物であり、たまたまではありません。
小松:決算短信の関連情報の中で、東和薬品の名前が出てきたことについてのご質問だと思います。特定の相手先への売上高が総売上高の10パーセント以上を占める場合には主要な顧客として開示されますが、前期までは東和薬品の名前はありませんでした。
しかし今回、原薬セグメントにおける売上高が30億円という規模に達したため、開示するに至りました。これまでの営業努力や品質部門を含めた努力の結果、東和薬品向けの売上が伸びたという状況です。
首藤:現在、ジェネリック業界はご存じのように大手に集中しています。国としても90社から100社あったものを5社程度に再編しようとしており、その結果が今回見られています。
今後も、売上高が10パーセント以上の顧客については開示が必要となります。ジェネリック製品の製造および原薬供給が限られたメーカーに集中している現状は、国の方針によるものと考えています。
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