logmi Finance
logmi Finance
東邦亜鉛株式会社5707

東証プライム

非鉄金属

本日のキーメッセージ

佐藤義和氏(以下、佐藤):東邦亜鉛株式会社代表取締役社長執行役員の佐藤です。まずはキーメッセージを5点ご報告します。

第1に、第1四半期は前年同期を上回る増収増益でスタートしました。第2に、足元で銀相場が下落する中でも、EBITDAは黒字を確保しています。在庫評価損の影響を除いたEBITDAは15億円です。

第3に、在庫評価損を除いたEBITDAおよび経常利益の通期計画に対する進捗は約20パーセントとなっています。現時点で通期業績見通しに変更はありませんが、計画達成に向けて決して楽観できる状況ではないと認識しています。

第4に、純資産は当期純利益の黒字化やヘッジ差益などにより、第1四半期末時点で改善しました。第5に、2027年度以降の再生計画数値の達成に向けて、外部環境に依存しない収益基盤の構築と事業構造改革を進めています。

2027年3月期(FY2026)1Q決算の概要(前年同期比)

二木健匡氏(以下、二木):常務執行役員CFOの二木です。私より、2027年3月期第1四半期の決算についてご説明します。まずは前年同期比での概要です。

売上高は、全体で42億円増収の311億円となりました。スライドに灰色で示された撤退・再編事業では、亜鉛製錬事業の在庫減少により売上が減少しました。しかし、水色で示された基盤・成長事業では、製錬における銀価格の上昇や鉛の生産回復などが主な増収要因となっています。

EBITDAは増益となり、前年同期の生産不調からの回復に加え、再編事業である亜鉛製錬事業における銀を含む保有資産の売却の影響もあり、1億円となりました。低価法による会計上の損失約14億円を除外すると、15億円となりました。

当期純利益は、前年同期の11億円の赤字から3億円の黒字に転じました。主な要因として、金属価格に関連した評価損が評価益に振り替わったことや、税効果会計の影響が挙げられます。

2027年3月期(FY2026)1Q増減および在庫評価損影響除外EBITDA

こちらのスライドでは、前年同期比のEBITDAと当期純利益のウォーターフォールチャートを示しています。左側からセグメント別にご説明します。

製錬では21億円のマイナスとなりました。これは、銀などの金属価格や円安によるプラス要因があった一方で、今期中に銀などの価格が下落したことに起因する低価法による在庫評価損、さらに銀や副産物の生産・販売量の減少、厳しい原材料コストなどのマイナス要因が大きく影響したためです。

環境・リサイクルにおいては、主力製品である酸化亜鉛の販売はほぼ横ばいでしたが、亜鉛価格の上昇および円安の影響で3億円のプラスとなりました。

さらに、亜鉛製錬の再編事業として位置付けている金属リサイクルにおける銀を含む保有資産の売却効果や、前年度に計上していた残務処理費用の反動などが加わり、17億円のプラス要因となっています。

また、前年度に計上したコンサルティング関連費用の圧縮も影響し、最終的なEBITDAは1億円のプラスとなりました。

なお、低価法による14億円の損失影響については金属価格に関するヘッジを実施しており、その評価益を純資産に認識しています。これを足し戻した場合、EBITDAは15億円となります。

2027年3月期(FY2026) 純資産の状況

2023年度末からの純資産の推移についてです。純資産額は前年度末比で47億円増加し、184億円となりました。自己資本比率は前年度比3.2ポイント上昇し、17パーセントとなっています。

今四半期においては、銀価格などの価格下落によるマイナスの影響はありましたが、ヘッジ評価が損失から利益へ転換したことによるその他包括利益の増加、さらにMSワラントの行使や冒頭にお伝えした税効果会計などにより改善しました。

(参考)直近1年の資源価格推移(ドル建て、円建て)

直近1年間の資源価格と円建て換算価格の状況についてです。前年度第1四半期からの推移を見ると、スライド中央に記載された為替は円安でした。

鉛価格は緩やかに上昇し、それに伴い円建て価格も上昇しています。銀価格は2025年度末と比較するとドル建て・円建てともに下落しましたが、前年同期比では上昇しています。

(参考)銀価格の推移

銀価格の推移です。銀価格は引き続き大きく変動しています。月次平均価格では、1月に92ドルまで上昇した後下落し、6月の平均は67ドルとなりました。ここ最近は50ドル台後半が続いていましたが、直近では60ドル台まで回復しています。

外部環境の影響により価格変動の見極めが難しく、前年同期比では価格水準が大幅に上昇している状況です。

参考:主要な資源価格及び為替の想定と感応度

金属価格と為替相場の前提と感応度についてです。2026年度の想定は、5月14日に公表したガイダンスから変更せず、鉛相場を1トン1,900ドル、銀相場を1トロイオンス80ドル、為替を1ドル160円としています。

感応度についてはスライドに記載のとおりで、前回公表時とも変更はありません。

2027年3月期(FY2026)通期に対する進捗率

通期予想に対する第1四半期実績の進捗についてです。

EBITDA以下の利益項目について、在庫評価の低価法による損失を戻したベースでの進捗率を見ると、それぞれ19.2パーセント、19.4パーセントとなっています。今後は銀などの生産・販売の遅れを取り戻すことで、収益の改善を図っていきます。

事業再生計画の全体像

佐藤:私から、事業再生計画の達成に向けた現在の状況と今後の取り組みについてご説明します。

事業再生計画の全体骨子に変更はありません。当社は、資源事業からの撤退や亜鉛事業の再編を進める段階から、基盤事業・成長事業の収益を伸ばす段階へと移行しています。

現在は、生産性向上、営業拡販、コスト削減といった施策を具体化し、その効果を早期に収益へつなげることに注力しています。その先に目指す姿として、当社が長年培ってきた製錬・リサイクル技術を活かし、社会インフラを支える「リサイクリングのリーディングカンパニー」へと成長することを掲げています。

鉛製錬におけるリサイクル原料比率の向上、環境・リサイクル事業の強化、成長分野での顧客開拓を通じて、外部環境に左右されにくい収益構造への転換を進めていきます。

足元の外部環境 / 内部環境

足元の事業環境についてご説明します。

銀相場は昨年度の非常に高い水準からは落ち着いているものの、引き続き高水準を維持しており、収益への貢献を見込んでいます。

一方、鉛のTC・RCは、中国の旺盛な精鉱需要などを背景に歴史的な低水準が続いています。廃バッテリーの回収コストも高騰しており、原料調達環境は厳しさを増しています。ただし、不適正ヤードへの規制強化による適正処理の進展は、中長期的には当社への原料集荷拡大につながると考えています。

内部環境では、昨年度に契島および小名浜で発生した操業トラブルは解消され、現在は正常化しています。

中東情勢については、一部エネルギーコストへの影響を見込んでいますが、現時点では操業停止につながるような大規模なリスクは想定していません。また、日本鉱業協会を通じて、重要鉱物の供給の偏りや流通の目詰まり解消に協力していきます。

事業再生計画におけるFY2026の方針について

現在の事業環境を踏まえ、2026年度を「外部環境に依存せず、自らの力で収益を創出する基盤固めの1年」と位置付けています。基本方針は4つです。

第1に、安全・安定操業をすべての前提として、設備トラブルの未然防止と再発防止を徹底します。これにより、操業安定の徹底を目指します。

第2に、原料ベストミックスの高度化や二次原料からの有価金属回収強化により、収益力を高めます。

第3に、各施策の効果を早期に収益へつなげるとともに、低収益事業や不採算資産の見直しを進めます。

第4に、投資については収益性と投資効果を十分に見極めるだけでなく、将来の非連続的な成長に向けた戦略的投資やM&Aの検討機能を強化します。

それぞれの施策について実行時期・責任者・収益効果を明確にし、進捗を厳格に管理します。

事業構造改革転換における進捗 ①基盤 / 成長事業強化

2027年度以降の収益貢献に向けて、現在3つの取り組みを具体化しています。

1つ目は、安中製錬所の既存設備を活用し、リサイクル原料から有価金属を回収する取り組みです。既存設備を最大限に活用して投資を抑えながら、早期の収益化を目指します。

なお昨日(8月13日)、一部報道においてレアアースについての言及がありましたが、現段階ではレアアースの事業化における決定事項はありませんので、ここに付け加えます。

2つ目は、廃バッテリー処理ラインの増設です。処理能力と回収エリアを拡大し、二次原料の安定確保と鉛製錬におけるリサイクル原料比率の向上につなげます。

3つ目は、電子部材事業の一部生産拠点のバングラデシュへの移管です。製造コストの低減と価格競争力の強化を図り、拡販と収益貢献につなげます。

いずれも投資効率と実現可能性を見極めながら、早期の収益化を目指す施策です。

事業構造改革転換における進捗 ②CTO組織設立による技術立社推進

CTO組織の設立による技術立社の推進についてです。当社には、製錬・リサイクル事業で長年蓄積してきた技術や現場の知見があります。しかし、それらが事業所や個人にとどまり、全社で十分に活用できていないという課題がありました。

そこで、生産技術の横串連携、研究開発機能の強化、技術系人材の一体的な運用と育成を目指し、CTO組織を設立しました。

製造領域では、技術やベストプラクティスの標準化、暗黙知の形式知化、データ活用を進めています。

研究開発領域では、有望なテーマに経営資源を集中し、新たな元素回収技術の検証や、外部企業・研究機関との連携を推進しています。

人的資本の領域では、技術系人材の採用・育成・配置を一体的に行っています。

製造、研究開発、人材を連携させ、当社が持つ技術を収益力と競争力へと変えていきます。

事業構造改革転換における進捗 ③DX推進による生産性向上

当社はこのたび、経済産業省が定めるDX認定を取得しました。今回の認定はゴールではなく、DX推進の基盤が整ったことを示すスタートラインです。現在は、次世代IT基盤の構築、KPIを活用した経営管理、各拠点でのDX推進、スマート工場化などに取り組んでいます。

DXは、それ自体が目的ではありません。AIやデータの活用によって操業や業務を可視化し、設備トラブルの予防、生産性向上、業務効率化といった具体的な成果につなげることが重要です。

今後もDXを現場に定着させ、収益力と安定操業の向上につなげていきます。

再生計画の数値

事業再生計画の数値についてです。当社の経常利益は、2023年度のマイナス107億円から2024年度には37億円、2025年度には57億円まで回復しました。2026年度は45億円を見込んでおり、現時点で通期業績見通しに変更はありません。

2027年度以降については、為替や資源価格の変動、各事業や投資施策の進捗を踏まえて、現在数値を精査しています。

重要なのは、外部環境の前提を置き換えることではなく、自らの取り組みによってどこまで収益を積み上げられるかを明確にすることです。先ほどご説明した各施策について、実現時期と収益効果を精査し、相場環境に依存しない多様な収益モデルへの転換を進めます。

精査後の数値については、内容がまとまり次第あらためてご説明します。

商号変更と新たなロゴマークの制定

当社は、2027年4月1日より、社名を「東邦メタリクス」へ変更します。新たな社名には、約90年にわたり築いてきた技術と信頼を継承しながら、特定の金属にとどまらず、幅広い金属資源を循環させ、新たな成長ステージへ進むという決意を込めています。

新たなロゴマークは、「メタリクス」の頭文字である「M」と、当社のMissionである「有限な資源を、無限の価値に。」を示す「インフィニティマーク(∞)」を組み合わせたものです。

今回の商号変更を、事業構造転換と持続的成長に向けた新たな出発点としていきます。

新社長就任メッセージ

最後に、社長として私からお伝えします。

第1四半期は前年同期を上回る増収増益となりました。しかし、当社が目指す収益水準にはまだ届いておらず、再生は道半ばです。

これまで、資源事業からの撤退や亜鉛製錬事業の再編など、大きな変革を進めてきました。前期には当期利益の黒字化を達成しましたが、これは再生の完了ではなく、持続的な成長に向けた出発点です。

今後は、安全・安定操業をすべての前提条件として、二次原料の調達拡大、有価金属の回収強化、金属リサイクル事業の再生を具体的な収益につなげていきます。

私の責任は、改革を掲げることではなく、具体的な成果としてみなさまに示すことです。「リサイクリングのリーディングカンパニー」の実現に向け、四半期ごとに着実に成果を積み上げ、企業価値の向上につなげていきます。

本日のご説明は以上となります。引き続きご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

質疑応答:第1四半期のEBITDA評価と今後の挽回策について

質問者:第1四半期のEBITDAが在庫評価損を除外して15億円とのことですが、保有資産の売却などもあるように思います。そのため、第1四半期の実力水準についてどのように評価されているのかお聞かせください。

また、通期計画の達成に向けて銀の市況がやや下振れている状況だと思いますが、第2四半期以降に挽回可能であるかどうか教えてください。

二木:基本的に、在庫評価損を除いた収益を年度単位で見ると過去も20億円から30億円の範囲ですので、その水準が当社の実力値とお考えいただければと思います。

通期業績に関しては銀価格がまったく予測できない状況にありますが、当社では基本的にヘッジを行い、フリーメタル部分でも利益を確保する方針です。その他の施策や追加施策も含め、現時点では通期の見通しを引き下げることなく、5月14日のガイダンスに向けて調整を進めているところです。

質問者:ありがとうございます。資料10ページ目を見ると、第1四半期のEBITDAは15億円、進捗率は19.2パーセントとなっています。銀の市況が御社の想定をやや下回る中で、第2四半期以降に挽回するためには、どのような施策が考えられるでしょうか。

また、第1四半期の実績においては、操業面での影響などにより力を十分に発揮できていない部分があったのでしょうか?

二木:5ページ目をご覧ください。スライド左側の「製錬21億円」の部分でマイナス要因を記載していますが、そのうち上から2点目の「3月点検延長」については、鉱石が入るタイミングなどを考慮して延長措置を行いました。工事点検も延長しています。

その影響で第1四半期は生産と販売が少し落ち込みましたが、その後は通常に戻ってきています。第2四半期以降は徐々に回復し、挽回できると考えています。

質疑応答:2次原料などの回収量拡大策について

質問者:今後、リサイクル製錬などにシフトしていく中で、記載されている二次原料(金銀)や鉛バッテリーの回収量をどのように増やしていくかについて、全体的なご説明をお願いします。特に、鉛バッテリーの回収コストが上がってきている背景と今後の対応策について教えていただきたいです。

佐藤:既存製品の拡大を進める一方で、特に注力したいのは貴金属やレアメタルの分野です。具体的にはビスマスやアンチモンの収益拡大と、それに伴う増産・増販に取り組みたいと考えています。

鉛バッテリーの回収量強化については、国内の発生量はほぼ横ばいと見込んでいますが、海外へこの資産が流出している状況があります。

特に鉛バッテリーを解体した後の中の鉛を「巣鉛」と呼んでいますが、これが中国や国外へ流れてしまい、私たちのほうに回ってこない状況です。そのため、競争となって価格が上昇するという背景があります。

そうした中で現在、環境省とも協議を進めながら法制化が進んでおり、不適正ヤードの規制を強化して、国内循環が適切に行われるような対策を講じています。また、各地域で幅広く残っているバッテリーの回収を強化し、順次リサイクルを強化していきます。

質疑応答:バングラデシュへの生産移管とその効果について

質問者:バングラデシュへの生産移管の内容と効果について、もう少し具体的に教えてください。また、それに伴い国内で人員の合理化が行われるのかについてもお聞かせください。

佐藤:現在、バングラデシュへ生産拠点を一部移管する計画を進めています。これは、電子部材という非常に細かい部品の生産に関連し、主に人海戦術で製造されているものです。現在は主に中国で生産していますが、その一部をバングラデシュに移管します。

この移管により、人件費の削減効果を見込んでいます。なお、中国は当社が委託を行っている拠点であるため、この移管が当社の人員削減を意味するものではありません。委託先が切り替わるとお考えください。

金額効果については、全体としてそれほど大きな金額ではありませんが、この電子部材の強化を進めることで、幅広い事業展開の強化につながると考えています。

質疑応答:レアアース・レアメタルに関する事業計画について

質問者:昨日の新聞でレアアースについての記事が出ていますが、記事に書かれているように、鉛の原料からレアアースやレアメタルを回収することを検討しているということでしょうか? もう少し具体的にうかがえればと思います。

佐藤:いろいろな事業を検討している中の1つにレアアースがあります。ただし、現時点では事業化の可否や採算性について結論には至っていません。当社としては、特になにも機関決定されているものはないという状況です。

また、報道において安中製錬所に関する内容が記載されていましたが、候補の一つであることは間違いありません。ただし、現時点で決定しているわけではないため、その点について誤解のないようお願いしたいと考えています。

質問者:「レアメタルについては2029年度をめどに事業化を目指す」と書かれているのですが、レアアースはさておき、レアメタルについてはなにか見えていることがありますか?

佐藤:レアメタルについてはビスマスやアンチモンがすでに事業化されているため、この分野の強化を進めたいと考えています。

また、MSワラントを発行した際、その資金用途の一つとして湿式製錬に充てることを公表しています。この部分をうまく活用しながら、レアメタル事業の強化を推進していきたいと考えています。ただしこちらについても、まだ具体的な決定には至っていません。

質疑応答:第1四半期の進捗率と通期業績予想のリスクについて

質問者:第1四半期の進捗率が少し低いですが、第2四半期以降にキャッチアップ可能であるとのことでした。もし通期業績予想の下振れリスクがあるとすれば、銀価格がやや軟調である点が該当するのでしょうか?

佐藤:感応度を公表していますので、その部分については当然ながらリスクとして認識しています。為替や銀相場、鉛相場などが該当すると思います。

その他の需要については、現時点では大きな影響はないと想定しています。また、拡販の遅れや操業トラブルといった内部要因は別として、為替や相場といった外部要因を大きな下振れリスクとして認識しています。

質問者:生産性の向上やベースとなる収益力が高まっていることは、ある程度数字で示せているということなのでしょうか? 

佐藤:当社は日々の管理においてデータも取得しており、生産量の状況も把握しています。以前にも生産量を公表したことがあるかと思いますので、その点をご確認いただければと思います。

質問者:第1四半期は、まだそのあたりの数字が出ていないという理解でよろしいでしょうか?

佐藤:そのとおりです。数字自体はまとまっていますが、今回は金額のほうを優先的に公表しました。相場変動によって数値が多少変動することもあり、相場変動を考慮した金額を公表するというかたちをとっています。

facebookxhatenaBookmark