2026年12月期第2四半期決算説明
アイビス、サブスク課金YoY66.4%増で過去最高、AI機能拡充・従量制課金「スマートクレジット」9月上旬リリース見通し
FY2026/12 2Q 連結業績ハイライト

神谷栄治氏(以下、神谷):株式会社アイビス代表取締役社長の神谷です。それでは、2026年12月期第2四半期の決算説明を始めます。
連結業績のハイライトです。第2四半期のサブスクリプション課金売上は前年同期比(YoY)66.4パーセント増と過去最高を更新し、ストック収益が全社成長を牽引しています。
具体的な数字としては、サブスクリプション課金売上は4億5,000万円で、YoY66.4パーセント増となりました。「ibisPaint」のサブスクリプション契約数は48万4,500件で、YoY59.5パーセント増となりました。
売上高は15億4,000万円で、YoY27.2パーセント増となりました。営業利益は2億6,000万円でYoY1.5パーセント減、営業利益率は17.0パーセントでYoY4.9ポイント減となっています。
「ibisPaint」のサブスクリプション契約純増数は、第2四半期として過去最高を記録しましたが、前四半期比(QoQ)では27.5パーセント減少しました。これは季節要因および第1四半期の反動によるものです。ベースとしては順調に成長を続けています。
FY2026/12 2Q 累計 連結業績・通期進捗

累計の連結業績と通期の進捗です。すべての指標が通期計画を上回るペースで進捗しており、先行投資を吸収したうえで、通期営業利益は計画を上回る見込みです。
サブスクリプション課金売上は8億7,000万円で、YoY67.8パーセント増、通期計画に対する進捗率は50.5パーセントとなりました。「ibisPaint」のサブスクリプション契約数は48万4,500件で、YoY59.5パーセント増、増加進捗率は58.0パーセントとなりました。
売上高は30億円で、YoY26.5パーセント増、進捗率は55.2パーセントとなっています。営業利益は6億3,000万円で、YoY11.1パーセント増、進捗率は47.0パーセントとなりました。また、親会社株主に帰属する純利益は4億5,000万円で、YoY19.6パーセント増、進捗率は48.5パーセントとなっています。
利益の進捗率は50パーセントをやや下回っていますが、第2四半期に広告費を増額した影響があります。基本的にサブスクリプション課金売上の伸びは下期に偏重する要素があるため、目標達成は十分可能であると考えています。全体の売上高はYoY26.5パーセント増となっており、順調に推移しています。
FY2026/12 2Q 連結決算業績推移

売上高と各種利益の推移です。売上高はYoY26.5パーセント増と順調です。各種利益では、営業利益がYoY11.1パーセント増、当期純利益がYoY19.6パーセント増と、いずれも順調に推移しています。
セグメント別 FY2026/12 2Q 連結決算業績推移

セグメント別の業績推移です。モバイルセグメントの売上高はYoY21.9パーセント増、ソリューションセグメントの売上高はYoY29.9パーセント増と、どちらも20パーセント以上の成長を遂げており、非常に好調です。ソリューションセグメントが特に高い成長率を示しています。
セグメント利益は、モバイルセグメントがYoY13.1パーセント増、ソリューションセグメントがYoY20.3パーセント増と、順調な伸びを示しています。
モバイルセグメント FY2026/12 2Q 連結決算業績推移

モバイルセグメントの状況です。サブスクリプション課金が牽引し、四半期ベースで売上が過去最高値を更新しました。昨年の第3四半期以降、売切型とサブスクリプション課金の合計が全体の半分を超えたことを受けて、サブスクリプションを強化する方針を掲げましたが、その後も時間の経過とともに比率が順調に伸びています。
サブスクリプション課金売上はYoY66.4パーセント増となり、一方でアプリ広告売上はYoY11.6パーセント減となりました。アプリ広告売上は、3億800万円を底と考えていましたが、その後も3億3,200万円、3億300万円、3億1,300万円と横ばいの推移を見せており、このあたりが底ではないかと考えています。今後、アプリ広告売上の比率は徐々にウエイトが下がると見込んでいます。
モバイルセグメントの利益はYoY0.2パーセント減となりました。これは広告投資を増やしたことが要因です。
ソリューションセグメント FY2026/12 2Q 連結決算業績推移

ソリューションセグメントの状況です。売上は4四半期連続で最高を更新し、総利益率も高水準を維持しています。受託開発はYoY156.7パーセント増、つまり2.5倍となりました。
一方、IT技術者派遣はYoY5.4パーセント減となりましたが、数年前から受託開発の比率を伸ばすという方針で進めており、非常に良い伸びを記録しています。セグメント利益はYoY15.3パーセント増と、こちらも順調に推移しています。売上総利益率も高水準を維持しており、30.7パーセントとなっています。
FY2026/12 2Q 主要な単体費用項目

費用についてです。サブスクリプション事業の成長に向けた広告最適化と成長基盤としての人材投資を推進しています。広告宣伝費に関しては、あらかじめ予告していたとおり、第1四半期が好調だった分の利益を広告費に充てる施策を実行したため、増額しました。
今後の第3四半期、第4四半期の各四半期の平均広告投資額は1億2,000万円前後で推移する見通しです。
広告の出稿方針としては、第2四半期から第4四半期にかけて平均的に増額する案と、前半に増額する案の2つを検討しました。最終的には早めに実施することでシェアを獲得しやすいと判断し、第2四半期に偏重するかたちで実行しました。
FY2026/12 2Q 単体事業KPI

KPIです。DAUはYoY0.5パーセント増となり、ほとんど変わりはありません。上場以来、水平飛行しているといった状況です。「ibisPaint」のサブスクリプション契約数は、YoY59.5パーセント増と好調に推移しています。
前年からの純増数は、前期の13万件から今期は18万件に増加しており、順調に推移しています。ソリューションセグメントのITエンジニア数は、YoY11.9パーセント増と緩やかに成長しています。
世界は、ibisPaintで描かれている

初めて決算説明会に参加される方に向けて、会社全体についてお話しします。数値の多くは昨年末時点のものです。「ibisPaint」は当社の主力商品で、主にスマホで人気のアプリです。月間アクティブユーザー数(MAU)は4,007万人と、非常に多くのアクティブユーザーを抱えています。
アイビスについて

当社は世界No.1のモバイルペイントアプリを展開しており、会社全体の売上構成比の56.5パーセントが「ibisPaint」の開発・運営などを行うモバイルセグメントです。
残りの41.1パーセントがソリューションセグメントであり、IT技術者派遣と受託開発を行っています。また、2.4パーセントがM&Aによる完全子会社化に伴い加わったAI歌声合成セグメントで、主力製品は「VoiSona」となっています。
スライド中央のグラフはMAUの推移を示しています。2025年12月のMAUは4,007万人で、上場後は緩やかな上昇傾向が続いており、アクティブユーザー数はすでに飽和に近い状態と言えるでしょう。スライドではサブスクリプション契約数が39万7,000人ですが、現在は48万人です。
また、会社の設立は2000年で、従業員数は357名となっています。
創業者プロフィール

私はエンジニア出身で、子どもの頃からプログラムを書いてきました。学生時代に個人で制作した製品がヒットし、それによって会社を設立するための資本を用意できました。
また、技術だけでなく、マーケティングにも非常に興味がありました。そのおかげで、当社のアプリは日本のアプリとしては珍しく、世界中に展開することができたと考えています。日本発の技術を地球の裏側まで届けることに注力しています。
企業理念

会社のミッションは「モバイル無双で世界中に"ワォ!"を創り続ける」です。ビジョンは「Boost Japanese Tech to the World(アイビスは世界での Made in Japan のプレゼンスを上げていく)」を掲げ、Made in JapanをITの世界でも広げていきたいと考えています。
バリューは「高い技術のエキスパート集団」「スピーディな意思決定と実行」「継続的なチャレンジ」です。社員全体で意識しながら注力したいと考えています。
これまでの道のり

これまでの道のりについて、創業から約25年分の売上をグラフに示しています。グラフの濃い青色は、受託開発事業やIT技術者派遣事業にあたります。2011年に「ibisPaint」をリリースし、黒字化するまでに6年から7年を要しました。
その後急激に売上が伸び、グローバルマーケティングが成功したことで世界展開を進め、上場に至りました。最近では、ピンク色で示しているAI歌声合成セグメントが新たに加わりました。
ibisPaintのアチーブメント

「ibisPaint」は、全世界アクティブユーザーランキングのグラフィックス&デザインカテゴリで7年連続1位を獲得しています。スマートフォンの世界では非常に有名で、世界中で利用されています。
月間アクティブユーザー数は4,007万人、累計ダウンロード数は5億2,000万に達しています。また、25歳未満のアクティブユーザーについて競合と比較した場合、シェアは91.7パーセントを占めており、アクティブユーザー数では圧倒的な存在感を示しています。
市場機会

α世代、Z世代に人気があります。この世代の創作需要が拡大している中でも当社ユーザーに占めるα世代、Z世代の比率は高く、市場も拡大しています。
ibisPaintの強み①

「ibisPaint」の特徴はフリーミアムモデルにあります。「ibisPaint」のYouTubeでは305万人のチャンネル登録者数を有しており、モバイルのUIも非常に使いやすいと評価されています。また、アプリストアでの評価もトップレベルで高いです。
ibisPaintの強み②

「ibisPaint」は、世界中で使用されている点が最大の特徴です。ダウンロード数では、ブラジルが1位、アメリカが2位、EUが3位となっており、国や地域を問わず世界中で高い人気を誇っています。
ibisPaintの強み③

収益モデルについてです。無料版アプリのアクティブユーザーを多数抱えており、その一部が有料ユーザーとしてサブスクリプションや買い切りに移行しています。また、アクティブユーザーが多いため、口コミによる拡散で新たなユーザーも増加するというサイクルが形成されています。
アプリ広告売上を主軸として上場しましたが、アクティブユーザー1人当たりの平均単価は、アプリ広告が18円、サブスクリプション課金が321円と、17倍以上の差があります。このため、サブスクリプション課金への移行を強力に推進しています。アプリ内広告を通じて無料で誘導できる点が強みとなっています。
モバイルセグメントを拡張する2つのセグメント

AI歌声合成セグメントのアプリ「VoiSona」についてです。バーチャル・シンガーの音楽ジャンルから多くのヒット曲が生まれています。「VoiSona」は、そのようなジャンルで楽曲制作を楽しむ方や、音楽が好きな方にご利用いただくものです。
成長戦略概要

今後の中長期的な展望として、サブスクリプションの増加が見込まれます。現在、サブスクリプション課金率はMAUを分母としており、MAUに対して課金しているユーザーの割合は2025年12月の時点で約1パーセントです。このサブスクリプション課金率をおよそ5倍に引き上げたいと考えています。
成長戦略①

先ほどご説明したように、2025年12月のサブスクリプションユーザーは1パーセント強になります。
成長戦略②

プロユースを広げるために、Windows版とMac版をリリースしました。当初、Windows版は売切型のみでしたが、サブスクリプション課金を追加しました。売切型アプリの売上は成長しているわけではありませんが、サブスクリプション課金売上は順調に増加しています。
成長戦略③

将来の構想です。「ibisPaint」自体に3DやAIの機能を備える予定です。従量制課金モデルとして、スマートクレジット機能を採用し、新しいマネタイズに挑戦します。また、歌声生成アプリである「VoiSona」と「ibisPaint」を連携させることで、ミュージックビデオなどを制作可能な基盤を構築していきたいと考えています。
日本のアニメやバーチャル・シンガーは独特な文化ですが、これを世界中に展開したいと考えています。
ソリューション/AI歌声合成セグメントの成長戦略

ソリューションセグメントにおいては、AIの活用により開発効率が大幅に向上しており、全エンジニアがAIエージェント開発に取り組むことで、開発効率が数倍に向上しています。
また、AI関連の案件についても「AIを使ってこういうことをしたい」というお問い合わせが多数寄せられています。AI歌声合成セグメントでは、「ibisPaint」と「VoiSona」のコラボレーション機能の準備が進められています。
主要連結経営指標( 2026-2028 )

3ヶ年計画を今年初めて公表しました。計画よりも早いペースで進捗するのではないかと思っています。特に、売上成長率は計画を上回り、前倒しで達成できるのではないかと考えています。
株主還元

株主還元についてです。配当性向を着実に向上させており、今後も1株当たりの配当金を順調に増やしていきたいと考えています。

業績に関して、「ibisPaint」のサブスクリプション純増数が第2四半期で第1四半期より減少している点や、広告を増額した件について、驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。前者は季節要因が大きく影響した結果です。後者は、我々としても多少反省している部分があります。
第2四半期、第3四半期、第4四半期で広告を分散して均等に増額する案と、第2四半期に集中させる案で迷いましたが、早期にシェアを確保したいという思いに加え、サブスクリプション課金売上が、その性質上、下期偏重となることを考慮し、第2四半期に集中させる選択をしました。しかし、分散のほうがよかったかもしれないと思うところもあります。
広告投資の国別の配分や費用対効果等の観点から、計算アルゴリズム自体はよいものができていると考えています。そのため、現行のツールを活用しつつ進めていく予定です。

足元の第3四半期も非常に好調で、サブスクリプション課金売上の増加はさらに進むと見込んでいます。計画を上回る成長を遂げています。

ソリューションセグメントの売上は、受託開発の比率が上がった部分や株式会社ゼロイチスタートが参画したことを含め、YoY29.9パーセント増と大きくプラスとなり、非常に好調でした。
サブスクリプション課金ユーザーは今後100万人、200万人と増やしていく予定です。これが達成できれば、日本のアプリとして数少ない、世界に通用するアプリになるのではないかと思います。
私からの説明は以上です。
質疑応答:価格改定に対する初動の反応について
司会者:「価格改定に対する反応は、初動としていかがでしょうか?」というご質問です。
神谷:初動の反応として、サブスクリプションの新規登録は少し減ったものの、実際には純増数に単価を掛けた数値を見なければなりません。無料トライアル期間があるため、まだ数字を分析するだけの十分な情報は集まっていませんが、おそらく全体的にはプラスに働いていると考えています。
質疑応答:価格改定時のテストの実施状況について
司会者:「価格改定の際、売上規模の小さい国で先行してテストを行い、その結果を見てから日本や米国でも実施しているのか、テストを挟まずに価格改定をされているのか、どちらでしょうか?」というご質問です。
神谷:価格改定のテスト自体は1年ほど前に実施しました。影響範囲としては売上の約1パーセントに該当する国で実験を行っています。ただし、プラスに転じるかどうかの分析には大変時間がかかるため、非常に前から準備を進める必要があり、簡単ではありませんが対応しています。
質疑応答:日米以外の地域での値上げ時期について
司会者:「日本と米国以外の国のサブスクリプション料金はいつ値上げしますか?」というご質問です。
神谷:プレスリリースがわかりにくかったかもしれませんが、日米以外でも多くの地域で値上げを行っています。基本的にはほぼ全世界で値上げを実施しています。当社では、200弱の国と地域向けの価格表を作成しており、基本的には値上げしている状況です。
質疑応答:今回の値上げが与える影響について
司会者:「今回の値上げで、サブスクリプション契約数の増加傾向は同じペースで続いていくとお考えでしょうか? また、新規契約分より適用されるとのことですが、売上に与える影響はどのくらいのペースを見込んでいますでしょうか?」というご質問です。
神谷:新規契約数に関しては、若干減少することが予想されています。また、「純増数×単価」を上げる施策であるため、そこは注視していきたいと考えています。
売上への影響がどの程度のペースになるかについては、3年から4年程度先の売上最大化のための施策と思っています。そこをみたいなと思っています。
質疑応答:上期の新規契約および解約件数と解約率の動向について
司会者:「第1四半期、第2四半期の新規契約件数と解約件数を可能な範囲でご教示ください。また、第2四半期の解約率上昇は、第1四半期獲得ユーザーの反動による一過性要因と捉えてよいでしょうか? 7月以降の傾向もお聞かせください」というご質問です。
神谷:申し訳ありませんが、新規契約件数と解約件数は非開示としています。また、第2四半期の解約率上昇は一過性のものであり、季節要因と第1四半期の反動によるものです。7月以降の足元の状況は非常に好調であり、第3四半期も良い伸びをご報告できるのではないかと考えています。
質疑応答:4月のサブスクリプションの伸び悩みとその要因について
司会者:「サブスクリプションの月次グラフを見ると、4月だけ伸びが弱いようです。3月31日の大型アップデートで即日サブスクリプションに入会した方が多く、その方たちの退会があったという経緯でしょうか?」というご質問です。
神谷:例年、3月は契約が増加しやすく、前月の契約が多い場合は翌月に鈍化や反動が見られる傾向があります。なぜ3月に契約が増えるのか、その明確な理由はわかっていませんが、新学期が始まるタイミングでスマホを購入したり、お祝いを受け取るなどの要因があるのかもしれません。
また、今年の場合、3月中旬から大型アップデートの動画を毎日配信し、ネット上で大いに盛り上がりを見せていました。このような状況を見て契約した可能性もあると考えています。いずれにせよ、前月に契約が伸びた場合に、翌月に反動が見られる傾向はあると思います。
質疑応答:第2四半期に行った広告の内容と効果および下期の計画について
司会者:「サブスクリプションは4月に反動があったとしても、広告費を大きく積み増したわりには伸びていない印象です。第2四半期に行った広告について、その内容と効果を教えてください。広告効率が落ちてきているのでしょうか? また、下半期の計画について教えてください」というご質問です。
神谷:広告は、これまで長く取り組んできたインターネット広告です。この広告形態で、過去のデータを基に国別の予測関数のようなものを作成していますが、定常的に広告効率が低下しているといったことはありません。
また、下期の広告費は、第3四半期と第4四半期を通じて、1四半期あたり平均約1億2,000万円を予定しています。
質疑応答:広告投資を抑える方針に変更した理由について
司会者:「広告投資による契約者増は、すぐ解約する層を一時的に契約させたに過ぎず、一過性のものだったため、広告投資を抑える方針に変えたのでしょうか?」というご質問です。
神谷:そのような意図ではなく、最初から計画的に第2四半期に寄せる判断をしました。ただし、事後の反省として、第2四半期、第3四半期、第4四半期で均等に増額しておいたほうがよかったかもしれないと思っています。
おっしゃるとおり、広告を増やすと認知をより広げることができるため、ライトなユーザーが来やすくなります。その予測曲線を描いていましたが、急激な広告の増加に対するアルゴリズムのフィードバックに時間がかかってしまいました。
そのような意味では、急激な変化よりも第2四半期、第3四半期、第4四半期において、均等に調整しておけばよかったと社内で反省しています。予定していた数値よりは広告効果が落ちた結果にはなっています。
ただし、もともとLTV(顧客生涯価値)と顧客獲得単価のコストはバランスが取れているため、必ず回収できる見通しであると考えています。
質疑応答:サブスクリプション課金売上高における日米の売上比率について
司会者:「サブスクリプション課金売上高における日本と米国の割合は約何パーセントですか?」というご質問です。
神谷:「ibisPaint」のサブスクリプションのみの数字は非開示となっています。ただ、昨年末の数字となりますが、モバイルセグメントの売上の内訳としては、米国が36パーセント、国内が24パーセントで、合わせて60パーセントが日米に該当しました。この売上には、サブスクリプションだけでなく、アプリ広告や売切型の売上も含まれています。
質疑応答:サブスクリプション契約獲得に向けた戦略について
司会者:「サブスクリプションユーザー獲得の施策、広告宣伝費の使い方など、成長率の考え方を教えてください」というご質問です。
神谷:サブスクリプション契約に至る理由としては、やはり口コミが大きな要因になります。また、広告費を多く投じている理由は、シェア争いの中で早めに市場シェアを獲得したいという意図があります。
サブスクリプションの課金者が増加することで、課金ユーザーのアクティブユーザー数も増加するため、口コミ数が増えます。その結果、サブスクリプションの新機能を提供した際に、さまざまな方がつぶやいていただけるといった効果があります。
あとは、広告を出すことは無料ユーザーの増加にもつながります。現在のDAUはほぼ横ばいですが、その維持にもつながっていると考えています。最も重要なのは、成長率が高い市場がまだ空白地帯であるうちに早めにシェアを獲得したいという点です。
質疑応答:サブスクリプションに入るタイミングについて
司会者:「大学生や社会人になるタイミングでサブスクリプションに入る方が多い、などの傾向はありますか?」というご質問です。
神谷:定量的には把握できていませんが、そのようなことはよく聞きます。実態としては、例えば「アプリを5年、10年使って大学生になった」人よりも、新規で「大学生になったため、たまたまダウンロードした」というケースのほうが多く、またそのほうが課金する確率が非常に高いです。
そのため、大学生や社会人の方は課金していただける割合が非常に高いという特徴があります。
質疑応答:無料トライアルの提供方針について
司会者:「一度サブスクリプションに入って解約された方に対して、時間をおいてからあらためて無料トライアルを提供することはありますか? 年齢によっては、2回目のトライアルでサブスクリプション契約につながることもあるように思いました」というご質問です。
神谷:あらためて無料トライアルを提供する予定はありません。1つは、アプリストアの仕様上、そのような形式となっていることが理由です。
また、当社では、年1回程度メジャーバージョンアップを行った際、多くのサブスクリプション限定の機能をリリースし、SNSで盛り上がることがあります。例えば、1年目で盛り上がったタイミングで無料トライアルを実施した場合、ある利用者が無料トライアルのみで終了したとします。
翌年また盛り上がった際に、同じ利用者が再びアプリを利用したいと感じた場合に無料提供があると「また来年も無料で利用しよう」と考えてしまうため、マイナスの影響が出る可能性があると考えています。
できれば2年目に盛り上がった際には、「次こそ課金してほしい」という思いがあります。
質疑応答:課金誘導画面に対するマイクロコピーのテストについて
司会者:「プレミアム会員の説明について、月の途中で契約しても損しないことがわかりにくいです。ボタンを押して、契約開始日を見るまでわからないのが気になりました。ボタン部分のマイクロコピーのテストなどは、どの程度行われていますか?」というご質問です。
神谷:課金誘導の前画面は、当社でデザインしたものです。どのようなメッセージにするか、どのようなデザインにするか、どのようなマイクロメッセージにするかについて、多くのA/Bテストを行い、ブラッシュアップしてきました。
契約するボタンを押すと、iOSやAndroidといったOSの仕様により必ず表示される画面があります。この画面はすべてのディベロッパーに共通で、詐欺的な不正アプリが作られないよう、セキュリティのために表示されるものです。
その画面に到達しない限り、「何月何日から課金が始まります」「この契約は無料トライアルです」などの表示がされず、これらはOS側の機能による表示ですので、当社から表示することが難しい状況です。
また、OSの課金画面の前に表示する画面は、文言を自由に変更できます。そのため、注意書きに多くの情報を記載することは可能ですが、すべてを表示するわけにはいきませんので、「詳細はこちら」のようにリンクを表示するかたちにしています。この文字の大きさもA/Bテストを重ね、最適化を進めてきています。
質疑応答:アプリ広告売上低迷に対する打開策について

司会者:「アプリ広告の売上が低止まりしていますが、何か打開策は考えておられますか?」というご質問です。
神谷:アプリ広告売上に対して、上場後の約2年間にわたり、多くの労力をかけてさまざまな施策を行い、分析も行いましたが、大きな効果は得られませんでした。やはりアプリ広告売上は、アクティブユーザーをベースとしていて、広告配信システムのアルゴリズム次第で変動するものであると考えています。
そのため、ここに人員を割くよりも、製品開発に注力し、サブスクリプションの機能を充実させるほうがパフォーマンスは良いと判断しています。現在は最小限のコストで広告運用を行っています。
質疑応答:AIアバターへの「VoiSona」の活用について
司会者:「将来的にAIアバターが普及することは、ほぼ間違いないと思っています。現在もAIと会話している人はある程度いる認識です。
そのような中、先日、個人投資家の片山晃氏が、『『ChatGPT』にはいい声がない。声だけ提供するサービスが欲しい』と話されていました。ここに『VoiSona』を充てられないでしょうか? 私自身も人気化しそうな印象を持ちました」というご質問です。
神谷:「VoiSona」のチームも、日々そのようなことを寝ても覚めても考えているチームです。そのような需要もあるのだと思い、おもしろいと感じました。検討します。
質疑応答:会社法における特定の株主からの取得手続きについて
司会者:「自社株買いについて、プライム市場を目指す関係で避けていらっしゃるとのお話でした。経営陣から立会外買付取引で取得する方式であれば、株価も下がらず、経営陣の持ち株比率も下がり、EPSも上がって全員幸せではないでしょうか? 今の株価と御社のBSからして、10パーセントぐらい買い付けてもまったく問題ないように思います」というご質問です。
神谷:我々も以前、この件について検討しましたが、会社法上、特定の株主からの取得に関する手続きを調べたところ、特別決議が必要であることがわかりました。つまり、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要となるため、現実的ではないという判断に至っています。
質疑応答:広告とサブスクリプションのLTVおよび顧客獲得戦略について
司会者:「広告費は、新規ユーザーの獲得に充てている、サブスクリプションへの転換は、アプリ内の無料広告で行っているという認識でよいですか? また、お話を聞いて、広告費は主にアイビスが広まっていない国への投資が多い印象を持ちました。認識は合っていますか?」というご質問です。
神谷:難しいご質問です。広告を見てすぐにサブスクリプションに課金していただく、あるいは無料で滞在いただく場合もあります。
しかし、我々が実際に分析しているのは、LTVが上がる、つまり「サブスクリプションで契約していただければ、生涯売上としてこのぐらいになるだろう」という予測値と広告での顧客獲得単価のバランスです。これを見てプラスだと判断して広告を出しています。
無料版でアクティブになっていただいて、その後すぐにサブスクリプション契約へ転換する場合もありますし、転換までに時間がかかる場合もあります。そのような流れも、もちろんあるということです。
後者の「アイビスが広まっていない国への投資」としては、結果的にそのようになっている部分もありますが、フラットにアルゴリズムで売上の最大化を目指し、国ごとのバランスを取るかたちにしています。
質疑応答:固定費と利益のバランスについて

質問者:値上げを今月されたタイミングであり、計画どおりのペースでユーザーを増やせるか、また減らさずに推移させられるかどうかは、今後の動きを見ないとはっきりとは言えない部分だと思います。
ただし、ご説明の中で触れられていた主要連結経営指標は、来期や再来期においても、これまでどおりのペースでユーザーを増やせる自信の表れである数字だと捉えています。
広告費を増加させる第3四半期や第4四半期については、値上げをしてもユーザーが減らなければ、その分利益が増加するという理解でいます。一方で、御社の場合、人件費などは引き続き拡大傾向にあり、人員の確保も継続されるものと考えています。
その点について、固定費と利益のバランスをどのようにお考えなのか、教えていただければと思います。
神谷:現在、人員確保に関しては少しアクセルを緩めています。今後の状況には不透明な部分もあり、変革の時代ということも踏まえて、若干緩めています。
売上の成長率に比べて人員の増加率はそれほど高くないため、大きな問題にはならないと考えています。
広告費は、いつでも調整可能なものであると認識しています。利益率についても、スライドに記載している数字に近いかたちでコントロールしていきたいと考えています。
質問者:値上げしてからまだ数日の話となりますので、今後の推移を見ながら、またご質問できればと思います。
神谷:サブスクリプションの契約数は、スライドに記載している計画の数字を超えると思います。ただし、値上げをすれば新規の契約数や純増数が減る可能性もありますが、「掛け算したサブスクリプション課金売上はむしろ計画よりも伸びるはず」といった施策です。
質問者:今回の価格改定や、さらにその上の金額への値上げについては、今後の推移次第だと個人的には思っています。
質疑応答:国別サブスクリプション情報を非開示にしている理由について
質問者:「ブラジルがダウンロード数ではNo.1だ」との関連で、国別サブスクリプションの情報を非開示としている理由について教えていただけますでしょうか?
各国でサブスクリプション利用者が非常に増えているということは、日本の平和な文化がさまざまな国で広がりつつあるということで、私の素人的な意見ではありますが、非常にポジティブなことだと考えています。
他社との競合関係もあると思いますが、このような情報を非開示としている理由には、どのようなものがあるのでしょうか?
神谷:おっしゃるとおり、競合との関係によるものです。
質問者:わかりました。
神谷:取りにくい国よりも空白地帯に近い国があれば、そちらを取りに行きたいというのは、競合他社も考えているところだと思います。
質疑応答:採用を抑えている背景について
司会者:「採用を少し抑えているのは、AIによる生産性の向上等を踏まえてのものかと思います。こちらは中期経営計画の算出時点で決めていたことでしょうか? それとも、ここ最近の動向を踏まえたものでしょうか?」というご質問です。
神谷:中期経営計画の算出時点ではありません。我々もAIを毎日注視していますが、中期経営計画を書き終えた後、今年に入った直後ぐらいから急激にAIエージェントが来ていると感じています。具体的には2月や3月あたりからその勢いが加速しているように思います。
「来ている」というのは、私の体感です。大変開発効率がよく、すごい速さでいろいろなものが作れると感じています。私自身は楽しんでいます。
質疑応答:サブスクリプションの料金を競合に合わせた理由について
司会者:「サブスクリプションの料金を競合に合わせたのはなぜですか?」というご質問です。
神谷:ご質問の意図としては、値上げせず維持したほうが、金額は少なくてもシェアが取れるのではないかということでしょうか? もちろん、そのバランスで値上げするかしないかを決めることになります。
売上最大化を目指すのであれば、「単価×人数」という観点では、値上げによって単価を上げる方法もありますし、人数を増やす方法もあります。また、アクティブユーザーシェアを取るか、売上シェアを取るかという観点もあります。
ご質問の意図と回答は合っているでしょうか? または「ライバルを気にせずもっと高くしたらいいのではないか」ということでしょうか?
質疑応答:既存ユーザーへの値上げに対する課題について
司会者:「既存ユーザーへの値上げは、アプリの仕様上、少し難しいでしょうか?」というご質問です。
神谷:既存ユーザーへの値上げに関して、1つは決済システムをストア側が管理していることがあります。そのため、国によっては値上げを少しでも行うと、本人が同意ボタンを押さない限り解約となる仕組みがあります。
おそらく、モバイル関連の企業で実施している会社は1社もないのではないかというほど、そのような法律がある国では値上げが非常に困難です。同意ボタンを押さない方や、忘れてしまう方、またはメールが届かない方も多くいると思います。
それ以外の国では値上げを行うことは可能ですが、ストアのレギュレーションが関わります。「値上げ率が何パーセント以下であること」「同意が要るか、要らないか」といった境界線もあります。また、「インターバルがどれくらい空いているか」などのレギュレーションもあります。
既存ユーザーを一括で値上げするという点では、Webサービス系や法人向けのSaaSに比べて、モバイル側では若干事情が異なると感じています。競合やその他のアプリについてもさまざまに調査していますが、既存ユーザーをベースごと一括で値上げする事例は少ない状況です。
もちろん、事例がまったくないわけではありませんが、一度実施すると非常に大きな影響が発生するため、「実施するならどのように実験するか」「実験する場合にどのぐらい計測に時間が要るのか」などの検討も必要です。
最終的には、LTVを上げることが主題となります。LTVは、月額課金の場合、「このぐらい漸減していく」というグラフを用いて予測を行います。一方、年額課金の場合は、数年かけないと施策が良かったのかどうかが判別しづらくなります。
ほとんど計測が困難に近い状態となるため、勘でやるしかないというような事情もあり、非常に慎重に進める必要があります。
質疑応答:競合と同じ値段設定にした背景について
司会者:「以前、競合のほうが多機能のため、値上げはしづらいとおっしゃっていたように記憶していますが、競合の機能が多いにもかかわらず、同じ料金にした理由はありますでしょうか?」というご質問です。
神谷:本当に難しい話です。過去の数字から定量的に予測できるものではなく、判断が非常に難しい部分です。一方で、例えば私が個人的に課金して契約しているサブスクリプションを見ると、「300円は非常に安い」という印象があります。
実際に課金している価格としては、800円や1,000円程度のものが多く、高いものでは1,500円ほどになります。そのため、300円程度の商品は低価格帯として位置付けられると思います。
また、「アプリをダウンロードしてすぐに課金するものはしてしまおう」と考える人の比率は比較的高いという傾向もあり、そのような場合、初見で競合と比較しない人もいます。アクティブユーザーは当社のほうが圧倒的に多いという状況もあります。
そのため、この価格帯の値上げであれば実施してもよいのではと判断し、価格改定を行った次第です。あまり定量的に整理したものではありませんが、ご了承ください。
神谷氏からのご挨拶
2026年2月の発表で「スマートクレジット」という従量制課金の追加を予告していました。社内でより良い機能にするため改良を重ねた結果、想定より時間がかかりましたが、ようやく9月上旬にリリースできる見通しが立ちました。
「スマートクレジット」以外にも、9月上旬のバージョンアップは非常に大規模なアップデートとなっており、今後10日間ほどの間、毎日動画投稿などを行っていきますので、メジャーバージョンアップ並みにSNS上で盛り上がるのではないかと期待しています。
「スマートクレジット」はAI用の従量制課金のシステムで、初版ではAI機能が追加されますが、その後もさまざまなAI機能を拡充していきたいと考えています。多くのAI機能を展開することで、その中で1つヒットするものが生まれる可能性もあるため、引き続きチャレンジしていきたいと考えています。
また、3ヵ年計画を提示していますが、サブスクリプションの進捗は計画以上であり、計画より早く達成できる可能性があると見ています。売上も含めて好調な進捗です。ソリューションセグメントでは、受託開発比率の増加が順調に進み、売上が大きく伸びています。
ミッション、ビジョン、バリューにおいて、「高い技術のエキスパート集団」を掲げています。当社は技術を中心に据えた企業であり、AI機能の開発を積極的に進めています。
当社が創業したのは、ガラケーにインターネット機能が追加された時代のことで、その際「インターネットではこんなことができる」と数多くのアイデアが生まれました。「おもしろい時代だ」と感じ、創業に至っています。その後、iPhoneが登場した際も、同様の感覚を抱きました。
現在は、スマホ時代からAI時代への移行期にあり、スマホが成熟期を迎える中では、ヒットのアイデアが出にくくなる傾向があります。一方で、AI時代は「あれができるのではないか、これができるのではないか」と、多くのおもしろいアイデアにあふれた楽しい時代だと感じています。
私自身も、AIを使ってプロトタイプの作成や設計を書き起こす作業を高速で進められるようになり、非常に楽しんでいます。AIの処理が速すぎるために「私が休めないのではないか」と感じるほどです。
iPhoneが登場してから19年が経過しましたが、久しぶりにビッグチャンスが訪れているのではないかと考えています。このチャンスをつかみ、この先もさらなる飛躍を目指したいと考えています。
「ibisPaint」は約4,000万人のMAUがいるため、アクティブユーザーが多いこのプラットフォーム上にAI機能を追加することは非常に強みになるのではないかと思います。
それ以外にも、AIサービスをいくつか準備中です。3年後や5年後に価値が生まれ、「実施してよかった。その選択は正しかった」と言えるように、最善を尽くしたいと考えています。
株主のみなさまには、今後とも長期的な視点で応援いただけると幸いです。
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