logmi Finance
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AI需要の強さとコスト上昇リスクが交錯

ご存知の通り、今週の東京市場は大荒れとなりました。AI関連株を中心に大きく売られる場面があった一方で、米半導体メモリー大手マイクロン・テクノロジーの好決算を受けて、6月25日の日経平均は大幅高となり、過去最高値を更新しました。

しかし、その熱気は長く続きませんでした。翌26日には、AI関連株に再び売りが広がり、日経平均は急落。背景には、米OpenAIの上場延期観測の報道に加え、足元のメモリー価格高騰によってAI関連の投資が減速するのではないかとの懸念が広がったことがあるようです。

ここで重要なのは、マイクロンの決算が悪材料だったわけではないという点です。むしろ決算内容は非常に強く、AI向けメモリー需要の力強さを示すものでした。

HBM需要が示すメモリー市況の逼迫

今回のマイクロンの決算で注目すべきは、AI向けHBM需要の強さを起点に、DRAMやNANDを含むメモリー・ストレージ市場全体で需給が逼迫している点です。供給が需要に追いつきにくい状況が続けば、メモリー価格の上昇が業績を押し上げる局面が続く可能性があります。

一方で、株式市場はこの材料を単純な好材料としてだけでは受け止めていません。メモリー価格の高騰は、メモリー企業にとっては収益改善要因ですが、AIサーバーやデータセンターを構築する側にとっては投資コストの上昇を意味します。

AI投資の採算性に対する警戒感が強まれば、関連銘柄全体には売り圧力がかかる可能性があります。このため、マイクロン決算は「AI需要の強さ」を示すと同時に、「投資コスト上昇」という新たなリスクも意識させる内容だったと言えるのかもしれません。

本稿では、マイクロンの決算と市場の捉え方を簡単に整理した上で、テーマ「AI」銘柄の一部を紹介します。

NAND価格改善期待と反転時の値動きに注意

1.キオクシアホールディングス(285A)

キオクシアホールディングス(285A)は旧東芝メモリで、NANDフラッシュ・SSDに軸足を置くメモリー関連銘柄です。マイクロン決算から「メモリー市況が強い」「NAND価格も改善する可能性がある」と読むなら買われやすいですが、メモリー価格の高騰がAI投資の邪魔をするという捉え方が強まれば、利益確定売りが出やすくなります。追い風が強い銘柄ほど、相場の見方が反転した時の値動きも大きくなりやすい点には注意が必要です。
▼キオクシアホールディングス(285A)の最新企業情報▼ キオクシアホールディングス株式会社 - ログミーファイナンス キオクシアホールディングス(285A)の直近1年間における株価推移チャート

AIインフラ拡大期待と評価変動リスク

2.ソフトバンクグループ(9984)

ソフトバンクグループ(9984)は、OpenAIへの投資、Armの保有、AIデータセンター構想などから、AIインフラ拡大への期待を強く反映しやすい銘柄の1つです。 ただし、その分だけ短期的にAI投資の持続性やOpenAIの評価に対する市場の見方が変わると、株価も大きく振れやすくなります。足元でOpenAIの上場延期観測の報道が出たことで、AI投資への期待を織り込んできた銘柄にはリスク回避の動きも出ています。
▼ソフトバンクグループ(9984)の最新企業情報▼ ソフトバンクグループ株式会社 - ログミーファイナンス ソフトバンクグループ(9984)の直近1年間における株価推移チャート

省電力CPUでAI基盤を支える周辺技術

3.富士通(6702)

富士通(6702)は、メモリー株やGPU関連株とは少し性格が異なります。同社の「FUJITSU-MONAKA」は、AIサーバーや次世代スーパーコンピュータでGPUやメモリーを効率よく動かすための高性能・省電力CPUとして位置づけられます。 AI投資が続くほど、データセンターの電力効率やシステム全体の最適化は重要になります。一方で、AIインフラ投資そのものが減速する場合には、こうした周辺技術への期待も一時的に見直される可能性があります。
▼富士通(6702)の最新企業情報▼ 富士通株式会社 - ログミーファイナンス 富士通(6702)の直近1年間における株価推移チャート

AI向け半導体で重要性が高まる「HBM」

ちなみに、今回のマイクロンの決算で特に注目されたのが、HBMです。HBMとは「High Bandwidth Memory」の略で、日本語では高帯域幅メモリーと呼ばれます。一般的なDRAMよりも大量のデータを高速にやり取りしやすい構造を持つため、AI向けGPUなどの高性能アクセラレータと組み合わせて使われます。

AIでは、膨大なデータを高速に読み書きする必要があります。いくらGPUの計算能力が高くても、データの出し入れが遅ければ、性能を十分に発揮できません。そこで、GPUなどの演算用半導体の近くに高速メモリーであるHBMを配置することが重要になります。

せっかくの機会ですので、頭の片隅に入れておくと良いかもしれません。ただし、HBMの重要性が高まるほど、その供給不足や価格上昇はAIインフラ投資全体のコスト増にもつながります。

期待とコストのバランスを見極める局面

筆者としては、人類社会がどう変化していくのかに直結する存在が「AI」であるという意味で、株価の上下に関わらず、その進化に注目せざるを得ないと思っています。

そういった意味でもAI関連相場は、引き続き大きな成長期待を集めていますが、GPU、HBM、NAND、CPU、データセンターといった個別テーマだけでなく、AI投資全体の採算性にも注目していく必要があります。

ソフトバンクGの孫氏が株主総会で発言したように「AI革命はまだ始まったばかり」かもしれませんが、期待を織り込んで大きく上昇していた株式市場では、期待とコストのバランスを冷静に見極める局面に入っていると言えるでしょう。

執筆:RAKAN RICERCA株式会社
国内株式を中心とした投資関連のコンテンツ作成・情報配信、企業分析などを主な事業内容としている。日経CNBCなど各種メディアへの出演、『ダイヤモンドZAi』をはじめとしたマネー誌への寄稿も多数。


※記事内容、企業情報は2026年6月26日時点の情報です。
※当記事内容に関連して投資等に関する決定を行う場合は、ご自身の判断で行うものとし、当該判断について当社は一切の責任を負わないものとします。なお、文中に特定の銘柄の投資を推奨するように読み取れる内容がある可能性がございますが、当社および執筆者が投資を推奨するものではありません。

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