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荒川化学工業株式会社4968

東証プライム

化学

※当記事は速報版です。スライド情報は割愛している他、数値などに誤りが含まれる可能性がございます。正確な情報は決算短信・決算説明資料などの正式な開示資料、または追って公開予定の確定版記事にてご確認ください。

目次

ただいまより、荒川化学工業の決算説明会を始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

本日は、ご覧の目次に沿った内容で進めさせていただきます。まずは2025年度の決算概況および2026年度の業績予想をご説明した後、この4月から始まっております第6次中期5ヵ年経営実行計画についてご説明いたします。

決算概況と今期予想

決算の概況と今期の予想についてご説明いたします。

2025年度は、半導体、生成AI、データセンターなどの注力分野に関連した、機能性コーティング材料用の光硬化型樹脂、ファインケミカル製品、ハードディスク用精密研磨剤の販売は、過去最高となりました。

その結果、連結売上高は過去最高の821億35百万円となり、前年比プラス2.4%の増収、営業利益は25億円で前年比約2.4倍の増益、経常利益は23億90百万円で前年比約2.8倍の増益、当期純利益は22億1百万円でマイナス16.8%の減益となりましたが、EBITDAは過去最高の80億88百万円となりました。

2026年度の業績予想につきましては、連結売上高は過去最高の870億円でプラス5.9%の増収、営業利益は33億円でプラス32.0%の増益、経常利益は28億円でプラス17.1%の増益、当期純利益は22億50百万円でプラス2.2%の増益を見込んでおります。

中東情勢の影響につきましては、ナフサ由来原料など、コスト上昇分の価格転嫁に努めておりますが、一定の仮定に基づき、利益の押し下げ要因として業績予想に織り込んでおります。

セグメント別売上高

各事業の内容、2025年度における各セグメントの売上高は、こちらに記載のとおりです。

営業利益の推移

2025年度の営業利益は25億円で、前年比14億の増益となりましたが、そのセグメント毎の内訳は、ご覧のとおりであります。

電子材料領域における販売が、好調を継続していることから、機能性コーティング事業は大幅な増益、ファイン・エレクトロニクス事業も右肩上がりの成長を続けております。

当領域の旺盛な需要は2026年度も続き、両事業ともにさらなる成長を見込んでいることから、2026年度の営業利益はさらに8億円の増益となる33億円を見込んでおります。

【増収増益】機能性コーティング事業

それでは、各セグメントの詳細についてご説明いたします。

機能性コーティング事業の2025年度の、連結売上高は182億6百万円で前年比プラス8.1%の増収、セグメント利益は22億3百万円で前年比プラス80.6%の増益となりました。

機能性コーティング材料用の光硬化型樹脂は、AIサーバーやスマートフォン、ディスプレイ関連分野での需要が伸長したことで、販売が増加し、過去最高の売上となりました。また、フィルムコーティングを中心に様々な用途で使用される熱硬化型樹脂も新規採用や拡販により販売が増加しました。

当事業の2026年度の見通しは、連結売上高は205億円でプラス12.6%の増収、セグメント利益は24億円でプラス8.9%の増益となる見込みです。主力製品である光硬化型樹脂の需要が引き続き好調に推移する見込みであり、熱硬化型樹脂についても、さらなる拡販を見込んでおります。

光硬化型樹脂(ビームセット・オプスター)

2025年度の光硬化型樹脂「ビームセット・オプスター」の売上高は、過去最高の約70億円となりました。2026年度につきましては2年連続の最高更新となる、売上高約83億円を予想しております。富士工場の新設備については、顧客認証を取得し、順次生産を開始しております。

熱硬化型樹脂(アラコート)

2025年度の熱硬化型樹脂「アラコート」の売上高は、約8.2億円となりました。2026年度は、工程用フィルム用途において、国内外で複数の新規採用を見込むことから、約9億円を予想しております。

また、このたび「アラコート」が、独自の分子設計によるシリコーン同等の軽剥離性や、低温硬化による環境負荷低減の実現などが評価され、一般社団法人近畿化学協会より「第78回化学・環境技術賞」を受賞いたしました。

製紙・環境事業

製紙・環境事業の2025年度の、連結売上高は206億66百万円で前年比マイナス6.2%の減収、セグメント利益は13億81百万円で前年比マイナス25.3%の減益となりました。国内の紙・板紙の生産量は前年を下回る水準が続き、また中国では依然として供給過剰の状態が継続しているため、他のアジア地域の市況に大きな影響を与えるなど厳しい状況にあり、利益を押し下げました。

当事業の2026年度の見通しは、連結売上高は214億円でプラス3.6%の増収、セグメント利益は11億円でマイナス20.4%の減益となる見込みです。海外での競争環境が、より一層厳しさを増すと予想しておりますが、引き続き、紙力増強剤などの拡販や収益性の改善に努めてまいります。

紙力増強剤(ポリストロン)

主力製品である紙力増強剤「ポリストロン」の2025年度の売上高は、荒川ケミカルベトナム社を中心とした東南アジアの販売が寄与し、数量は維持したものの、売上高は約149億円の微減となりました。

2026年度の売上高は、海外での競争環境は厳しさが続きますが、今後経済発展が目覚ましいASEAN地域での拡販を見込んでおり、売上高は約153億円を予想しております。

【増収増益】粘接着・バイオマス事業

粘接着・バイオマス事業の2025年度の、連結売上高は284億35百万円で前年比プラス2.3%の増収、セグメント損失は14億円となりました。ロジン系の粘着・接着剤用樹脂は、国内製造拠点の統廃合によって収益性を押し上げ、また、アジア地域を中心に販売が堅調に推移いたしました。水素化石油樹脂につきましては、千葉アルコン製造の稼働率が改善し、欧州に続き米国向けにも安定的な供給を開始致しました。

当事業の2026年度の見通しは、連結売上高は300億円でプラス5.5%の増収、セグメント損失は、千葉アルコン製造のさらなる稼働率改善により、4億円の損失となる見込みです。

水素化石油樹脂(アルコン)

水素化石油樹脂「アルコン」の2025年度の売上高は約69億円となりました。2026年度は、欧州・米国への拡販を見込み、売上高は83億円を見込んでおります。

千葉アルコン製造の稼働率は6割に改善し、欧米向けに安定的な供給を開始しております。1月から実施した定修で、稼働率と運転速度の改善に取り組んでおり、2026年度の稼働は7~8割を見込み、2027年度にほぼフル稼働を目指しております。

ロジン誘導体(パインクリスタル・ロジンエステル等)

ロジン誘導体は、当社が創業当初から扱うバイオマス素材であり、ラベルやテープの粘着剤、医療用貼付剤(ちょうふざい)やはんだ用途などに使用されているほか、3Dプリンター関連や光学フィルム関連部材など、様々な用途で使用されております。

2025年度の売上高は約169億円となりました。2026年度の売上高は173億円を予想しております。

【増収増益】ファイン・エレクトロニクス事業

ファイン・エレクトロニクス事業の2025年度の、連結売上高は147億48百万円で前年比プラス9.6%の増収、セグメント利益は8億95百万円で前年比プラス5.7%の増益となりました。

当事業の2026年度の見通しは、生成AIの需要増加に伴う旺盛な需要を背景に、連結売上高は3年連続最高更新となる150億円でプラス1.7%の増収、セグメント利益は11億円でプラス22.8%の増益となる見込みです。

精密研磨剤(Neopolish)

精密研磨剤は、ハードディスクのアルミ磁気ディスク用を主用途としており、その他にも各種基板の研磨剤も開発しております。

2025年度の売上高は、旺盛なデータセンター投資を背景に、過去最高となる約38億円を達成いたしました。2026年度につきましても、引き続きデータセンター投資の堅調な推移や、半導体市場の拡大を見込んでおり、3期連続の過去最高値更新となる40億円を予想しております。

ファインケミカル製品

ファインケミカル製品は、高度な品質管理のもと、半導体関連用途や医薬品用途などの受託製造を主としております。

2025年度の売上高は約39億円で過去最高となりました。2026年度の売上高は、半導体関連でのさらなる需要増加が見込まれ、3期連続の最高更新となる約43億円を予想しております。

2024年12月に完工いたしました水島工場の半導体関連先端材料用の新生産設備につきましては、顧客での認証取得後、2026年度後半から順次、量産を開始する予定です。

海外売上高・比率 推移

続きまして、海外売上高です。海外での紙力増強剤の価格競争が激化したものの、中国での粘着・接着剤用樹脂の販売が堅調に推移したため、海外売上高は増加し、2025年度は約352億円となりました。

2026年度はロジン系粘着・接着剤用樹脂の拡販がけん引し、過去最高の375億円となる見込みです。

配当金の推移

2026年3月期の期末配当は、業績を総合的に勘案し、前回予想から変更なく1株当たり25円とし、すでに実施いたしました中間配当金25円と合わせて年間配当金50円を予定しております。

また、当社は2026年11月に創業150周年を迎えることから、1株当たり3円を記念配当として実施することといたします。

よって、2027年3月期の配当につきましては、普通配当は2円増配の52円とし、記念配当3円を加え、年間配当55円を予定しております。

設備投資および研究開発費

設備投資等の状況です。成長事業への大型投資案件が一巡し、減価償却費範囲内での設備投資水準が続く見込みです。

総資産・有利子負債推移

総資産・有利子負債の推移はご覧のとおりとなっております。2025年度の有利子負債は406億24百万円となりました。

トピックス①

続きまして、サステナビリティに関するトピックスについてご説明いたします。

当社では、中長期的な価値創出に向け、環境や人財、ガバナンスといった広い領域で多角的な取り組みを推進しております。

足元では、サプライチェーンにおけるカーボンニュートラルへの対応や植林活動、D&Iの推進やワークライフバランスの最適化など、様々な施策が着実に成果を結んでおり、Ecovadis社によるコミットメント・バッジなど、外部認証の更新・取得も順調に進んでおります。

トピックス②

続きまして、当社の新たな挑戦であるライフサイエンス事業の進捗トピックスについてご説明いたします。当社が提供する新たな価値として、二つのサステナブルな製品の市場への投入を実現させました。

1つ目は、ヘルスケア分野の『ピノフルール』です。独自の松葉抽出物により、女性の心と身体の健康とめぐりをサポートいたします。

2つ目は、アグリ分野での農業資材『エコロジン』です。年々深刻化する猛暑などの環境ストレスへの耐性を強化し、農作物の収量を向上させる効果が確認されています。

今後もコア技術を活かしたライフサイエンス事業の育成により、中長期的な企業価値向上を果たしてまいります。

トピックス③

続きまして、トピックスの3つ目として、ベトナムにおける合弁会社設立についてご説明いたします。

当社は明和産業株式会社様との合弁により、荒川フォレストテクノロジーベトナム社を設立いたしました。新会社は、当社の主原料である生松脂の持続的な調達、ロジンのトレーサビリティの明確化などを実現するための重要な戦略的布石です。

現地では単なる調達拠点に留まらず、適正な原料管理や雇用創出といった地域貢献を担うサスティナビリティセンターとして機能させてまいります。強力なパートナーシップのもと、強固で透明性の高いサプライチェーンを構築し、中長期的な成長基盤を確立してまいります。

以上をもちまして、決算概況の説明を終わらせていただきます。中東情勢の不透明感が継続する中、サプライチェーン全体におけるリスクが顕在化し、原料や副資材の調達リスクや、大幅なコスト上昇に直面する状況にありますが、安定供給と価格転嫁に努めてまいります。

第6次 中期5ヵ年 経営実行計画

それでは続いて、第6次中計につきまして、ご説明申し上げます。

本日ご説明する内容としましては、ご覧のとおりとなっております。

2030年のありたい姿

当社は今年の11月に創業150周年を迎えます。この大きな節目に、当社グループは2030年の「ありたい姿」に向け、新たなスローガンのもと、強い意志を持って挑戦し続けることで、持続的な企業価値向上の実現を目指します。

第6次中計の概要

本年度からすでに始まっております第6次中計では、「事業ポートフォリオ改革の加速」と「生産性および資本効率の向上」を中核とした、中長期的な企業価値の最大化を目指してまいります。

定量目標としてはご覧のとおり、連結売上高1,030憶円、連結営業利益70億円、ROE7%以上などを掲げております。この目標に至るための具体的な施策につきましては、後ほど詳しくご説明いたします。

第5次中計の振り返り【全体】

まず、第5次中計の振り返りにつきまして、お話しいたします。

第5次中計におきまして、当社は2022年度、2023年度で創業以来初の赤字を2年連続で経験いたしました。当社グループを取り巻く事業環境の大きな変化および3年目までの進捗状況などを踏まえ、2024年5月に最終目標を引き下げました。

最終2025年度の営業利益は、見直し目標の35億円に対して実績はそれを下回る25億円となりました。

電子部品関連分野での収益回復や海外拠点での事業拡大、生産拠点の再編、新規事業としてのライフサイエンス事業の立ち上げといった進捗はあったものの、千葉アルコンの正常稼働や、単体の収益力にはまだまだ課題を残す結果となりました。

一方で、「KIZUNA指標」は策定時の目標に対しては84%、見直し目標に対しては97%の達成率となりました。化学業界初となるサステナビリティ・リンク・ボンドの目標達成など、ESG分野では成果を上げることができましたが、収益面で残された多くの課題を真摯に受け止め、第6次中計では根本的な収益性の改善に取り組んでまいります。

第5次中計の振り返り【セグメント別】

セグメント別の振り返りについてはご覧のとおりです。

当社のセグメント利益は、2023年度の大幅な赤字から、2025年度には31億21百万円まで回復いたしました。これまで取り組んできた構造改革や収益向上・改善施策の効果が着実に表れております。

特に機能性コーティングセグメントとファイン・エレクトロニクスセグメントにおけるAI・電子部材関連分野での需要増加や、製紙・環境セグメントにおける海外展開、粘接着・バイオマスセグメントでの千葉アルコン製造の稼働改善などが利益を押し上げました。

第6次中計の位置づけ

新たにスタートいたしました第6次中計は、2030年のありたい姿の実現に向けた重要なロードマップとなります。第5次中計での「KIZUNA経営」を継続して実践し、我々の目指すべき方向や価値を示す「5つのV」という基盤をより強固にし、未来に向け挑戦してまいります。

重要課題(マテリアリティ)とKIZUNA指標

本中計では、マテリアリティを6つに再編成し、それぞれの進捗を測る独自のKPI「KIZUNA指標」へと紐づけました。

本中計は、ROIC5%や海外売上高成長率30%増加などを目指す「価値創造に直結するマテリアリティ」と、重大事故・重大インシデントゼロや一人あたりの付加価値25%増加などを掲げる「実行を支える基盤マテリアリティ」の2つの軸で推進いたします。

財務・非財務の両面からこれらの指標を確実に達成し、サステナブルな成長と強固な経営基盤を両立させてまいります。

中核方針

続きまして、本中計における中核方針についてご説明いたします。

当社は、事業ポートフォリオ改革の加速として、データセンターやAI関連などの「電子材料」、および「ライフサイエンス」分野へ経営資源を集中投資いたします。さらに、新たな業績指標として炭素利益率(ROC)を導入し、収益性向上と脱炭素の取組みを連動させてまいります。

また、生産性および資本効率の向上として、成長性、収益性、ROICに基づく多面的な事業評価による「規律ある資源配分」と、プロセス変革による「企業体質の強靭化」を徹底し、PBRの向上を追求いたします。

こうして創出した経営資源を研究開発や人財へ再配分し、持続的な成長を実現してまいります。

定量目標

定量目標はご覧のとおりとなっております。連結営業利益は、成長・注力領域での事業拡大と、「かせぐ」事業の収益性改善などの「みがき直し」により、2025年度実績よりプラス180%増の70億円を目指します。

定量目標達成に向けた主な施策

定量目標に向けた主な施策についてご説明いたします。

営業利益70億円の達成を目指すため、具体的な施策として、まず「成長・注力事業」において20億円以上の増益を計画しております。特にデータセンターやAI、半導体関連などの電子材料領域で12億円以上の増益を見込むほか、ライフサイエンス事業の収益貢献化、各種製品の海外展開を加速させます。

並行して「構造改革」を進め、生産プロセスの変革や低収益事業の抜本的見直しにより、こちらも20億円以上の増益効果を創出いたします。攻めと守りの両輪により、高収益体質への転換を確実に成し遂げてまいります。

2030年度のセグメントの姿

各セグメントの2030年度の構成比はご覧のとおりとなっており、成長領域の拡大と既存事業の構造改革を両輪で推進しつつ、2030年にはライフサイエンス事業が新しいセグメントとなることを目指します。

セグメント目標

5月14日の決算発表において、すでに開示しておりますが、セグメント別の定量目標はご覧のとおりとなっております。セグメント利益合計を約2.5倍に拡大させ、利益率3.8%から7.7%への引き上げを目指します。

各事業のハイライトをこれからご説明いたします。

成長戦略 機能性コーティング

機能性コーティング事業は、2030年度に売上高215億円、セグメント利益28億円の達成を目指します。具体的には、「ビームセット」「アラコート」を中心に成長を加速させます。

成長戦略 製紙・環境

続きまして、製紙・環境事業では、2030年度に売上高270億円、セグメント利益16.5億円の達成を目指します。戦略の柱として、国内では品種や生産拠点の統廃合および生産プロセスの変革を断行し、収益性の抜本的な改善を図ります。

一方、成長の主軸となる海外市場においては、板紙向け紙力増強剤「ポリストロン」の販売を現在の1.3倍に拡大させ、中国・アジアからインド、欧米へと展開を加速いたします。

さらに、世界的なPFAS規制や欧米の古紙リサイクル比率の上昇を背景とした、当社の「水系機能性材料」や「紙力増強剤」への新たな需要を取り込み、持続可能で安定的な収益基盤を構築してまいります。

成長戦略 粘接着・バイオマス

続きまして、粘接着・バイオマス事業では、2030年度に売上高330億円、セグメント利益19億円の達成を目指します。

戦略の柱として、まず水素化石油樹脂「アルコン」については、千葉アルコン製造の稼働率向上により本来の生産能力を引き出し、マーケットの需要を確実に取り込みます。

また、独自の超淡色ロジン「パインクリスタル」の優れた透明性や安定性を活かし、鉛フリーはんだ用フラックスや医療用貼付剤などへの展開を加速させます。

成長戦略 ファイン・エレクトロニクス

続きまして、ファイン・エレクトロニクス事業では、2030年度に売上高185億円、セグメント利益14億円の達成を目指します。

2030年度に向けて2倍の拡大が見込まれる半導体・データセンター市場に対し、当社の強みであるファインケミカル製品や精密洗浄剤、精密研磨剤、さらには低誘電ポリイミド樹脂などの高付加価値製品をタイムリーに投入し、確実な事業拡大を果たしてまいります。

ライフサイエンス領域での取り組み

続きまして、中長期の収益の柱へと「そだてる」、ライフサイエンス領域での取り組みについてご説明いたします。当社は本領域において、2030年度に売上高30億円、セグメント利益2億円の達成を目指します。

健康寿命や予防医療への意識の高まり、また気候変動といった環境変化を大きな事業機会と捉え、培ってきた天然資源活用の技術に、スライド下部に記載がありますとおり、M&Aなどにより獲得した多様な知見と技術を掛け合わせることで、事業化を加速させております。

資本効率の推移と中計目標

続きまして、当社の資本効率の推移と中計目標についてご説明いたします。

当社は2022年度、2023年度と厳しい赤字局面を経験いたしましたが、成長領域での事業拡大に向けた施策を着実に実行してまいりました。

現在、当社の資本コストであるWACCは4%前半で推移しており、今後は金利上昇などの影響から、2030年には5%程度まで上昇すると推定しております。

これに対し、本中計の推進によって、2030年にはROIC5%超を達成し、資本コストを上回る領域へと転換していく計画です。グラフのステップが示す通り、規律ある資本マネジメントと収益性の向上を徹底し、投資家の皆様の期待に応える資本効率を確実に実現してまいります。

キャッシュアロケーション(5年累計)

続きまして、本中計における5年間のキャッシュアロケーション計画についてご説明いたします。

第5次中計では成長領域における将来需要を見据えた生産能力の増強を先行して進めましたが、第6次中計では、これらの投資を確実に成果へと繋げるフェーズとなります。営業利益の増加や資本効率の改善により、営業キャッシュ・フローは前中計実績を大幅に上回る、340億円を見込んでおります。

この創出したキャッシュの配分につきましては、持続的成長に向けた「次の柱」への重点投資に55億円を投じる一方で、配当性向を引き上げ株主還元を増額いたします。さらに有利子負債の返済にも35億円を充当し、財務体質の健全化と資本効率の向上を両立させてまいります。

株主還元方針(第6次中計期間)

配当につきまして、当社は安定的かつ継続的な配当を維持しつつ、積極的な株主還元策に取り組むことを基本方針としております。この方針に基づき、2012年度以降、累進的な配当を継続してまいりました。

本中計期間中の配当につきましては、資本効率とキャッシュ創出力を高める目標と連動し、原則的に累進配当といたします。また、配当性向目標は50%に引き上げ、積極的な還元を推進します。

以上をもちまして、2026年3月期決算説明および、第6次中計の説明を終わります。

当社は厳しい局面を乗り越え、成長軌道へと回帰いたしました。

すでに開示しておりますが、本年6月の株主総会以降から新たな社外取締役に櫻井容子氏を迎える予定です。

これにより当社の社外取締役比率は50%となります。加えて、櫻井氏のライフサイエンス領域やBtoC市場での専門的な知見を経営に反映させることで、ライフサイエンス事業をよりスピーディーに、そして確かな事業へと育て上げてまいります。

AI・電子材料領域に加え、こうした新領域での挑戦を加速させ、未来の柱を強固に育て上げるとともに、ROICをはじめとする資本効率を徹底的に追求し、株主還元の拡充を通じて、皆様のご期待に応えてまいります。

サステナブルな社会の実現と、中長期的な企業価値の最大化へ向けて、荒川化学グループは一丸となって挑戦し続け、変革を加速させてまいります。

創業150年を機に、当社のさらなる挑戦に、今後とも変わらぬご支援とご期待を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答(要旨)①

Q:セグメント別の増減益要因について、機能性コーティング事業の大幅増益、粘接着・バイオマス事業の赤字縮小、製紙環境事業の大幅減益のそれぞれの要因について詳しく教えてほしい。

A:機能性コーティング事業は増益で、光硬化型樹脂の拡販が最大の要因です。電子部品の工程部材用とディスプレイ関係の両輪で売上が大きく増加しました。特にディスプレイ用(ビームセットおよびオプスター)は、国内だけでなく海外向け(フォルダブルスマホなどの新たな用途)での採用が増加したことが貢献しています。

粘接着・バイオマス事業は赤字縮小で、主に2つの要因があります。1つは千葉アルコン製造の稼働が前年に比べて改善し、赤字幅が縮小したこと。もう1つは、中国でのロジン系粘着・接着剤用樹脂の拡販が順調に進んだことです。

製紙環境事業は減益で、海外での競争激化が主な要因です。中国の同業他社が中国国内だけでなく、周辺国(台湾、ベトナム、タイ、マレーシア)に対して安値攻勢をかけており、当社としても数量確保のために販売単価を下げざるを得なかったことが利益を押し下げました。

質疑応答(要旨)②

Q:機能性コーティング事業の今期計画について、今期の機能性コーティング事業の計画があまり伸びない(消極的)ように見えるが、コスト増か、それとも生産能力の問題か?

A:生産能力については全く問題なく、富士工場の新設備も順次稼働を開始しています。消極的に見込んでいる理由としては、自社の材料以外の副資材の調達問題等を見込んでいるためです。また、中東情勢によるコストアップ(価格転嫁のタイムラグによる全社で数億円規模の影響)も全社的な減益要因として織り込んでいます。

質疑応答(要旨)③

Q:粘接着・バイオマス事業の赤字縮小の内訳について、アルコンの改善と中国での拡販はどちらの寄与が大きいか? また、減価償却費の減少分と稼働率向上による利益改善の割合は?

A:赤字縮小という意味では、千葉のアルコン製造の稼働率改善による効果が大部分を占めます。減価償却費の減少は2億円程度であり、稼働改善による赤字縮小効果が圧倒的に大きい状況です。中国のロジン系樹脂についても、品質の良さだけでなく安定性が評価され、順調に需要を取り込んでいます。

質疑応答(要旨)④

Q:千葉アルコン製造の稼働率見通しについて、千葉アルコンの稼働率は、今年度何割くらいまでいける見込みか?

A:稼働率は「稼働日数×生産スピード」となりますが、足元では稼働日数は改善しているものの、生産スピードが想定通りに上がっていない状況です。今月後半から7月中旬にかけて改修を予定しており、そこで生産スピードが改善されれば、今年度は本来の生産能力の7割程度までいけると考えています。さらに小さなトラブルをひとつずつ解決し、来年度には8〜9割程度まで引き上げることを目指しています。

質疑応答(要旨)⑤

Q:アルコンの顧客対応と販売戦略について、ドイツの工場が止まり、千葉の立ち上がりに手間取った分、強い需要に応えきれていない部分があると思うが、顧客を取り戻すことはできるか?

A:ドイツの在庫は約1年前に尽きております。過去には数量確保のために利益の取れない用途にも販売していましたが、そういった用途は中国勢に侵食されているため、あえて取り戻しにはいきません。今後は、アルコンの品質安定性も含めた特徴が発揮され、利益が取れる用途に絞って販売していく方針です。欧州から北米へと販売先を広げ、千葉からの供給でつないできた顧客に対して今後供給量を増やしていく予定です。

質疑応答(要旨)⑥

Q:原料供給への懸念について、丸善石油化学が2ヶ月ほど止まるというニュースがあったが、原料供給に心配はないか?

A:結論から言うと影響はございません。中東の影響で定修の立ち上がりが遅れ、それに伴い千葉アルコンの立ち上がりも予定より遅れた分については今回の見通しに織り込んでおり、足元での原料供給の不安はありません。

質疑応答(要旨)⑦

Q:製紙環境事業の中期経営計画における成長前提について、製紙環境事業は足元で苦戦しているが、中計で売上が伸びる計画になっている。どのような前提・好材料があるのか?

A:足元は価格競争で厳しい状況ですが、世界市場全体としては今後も拡大していくと予想しています。インドや欧米など、現在販売していない地域へ市場を拡大していく計画を織り込んでいます。また、欧米での古紙リサイクル比率の上昇といった新たな動きが出てきており、その需要を取り込んでいく考えです。

質疑応答(要旨)⑧

Q:中期経営計画の利益計画について、中期経営計画(スライド13)において、機能性コーティングやファイン・エレクトロニクスは売上の増分に対して利益の増分が少なすぎるように見える。固定費等が増えるのか、保守的すぎるのではないか?

A:機能性コーティングは光硬化型・熱硬化型以外に、インキ用樹脂・塗料用樹脂も大きな売上高としては当セグメントに含まれており、日本国内の縮小市場と対峙している状況を一定程度織り込んでいます。また、資本効率を意識した経営を行う中で、事業の見直し等に伴う一時的なコストも見込んでいるため、この程度の最終利益を見込んでいます。

ファイン・エレクトロニクスはしっかり利益を稼いでいく方針ですが、今後の研究開発費等も抱えているため、その部分の費用を見込んでいます。本音としてはもう少し利益を実現したいところであり、今回の数字は最低限のものと見ていただければと思います。

質疑応答(要旨)⑨

Q:ビームセットの需要モメンタムに関して、前回説明会時と比べてモメンタムがかなり強くなっているように感じるが、電子部材用途の需要が強いのか?

A:ご指摘の通り、電子部材等の用途でのモメンタムが非常に強くなっているのは事実です。守秘義務の関係で具体的な用途や顧客名などは明かせませんが、現在株式市場で賑わっているメーカー様と同じフィールドに当社もおり、そのモメンタムがまさに我々の追い風になっている状況です。

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