2026年3月期決算説明
明和産業、累進配当を導入し50億円上限の自社株買いへ 株価を意識した資本政策を徹底
自己紹介

久保秋実氏:みなさま、こんにちは。専務執行役員最高執行責任者の久保秋です。本日はお忙しい中、当社の説明会をご視聴いただき誠にありがとうございます。
はじめに、私の経歴について簡単にご紹介します。1991年に明和産業に入社して以来、機能建材事業を皮切りに、総務や人事部、明和ベトナム社長などを歴任しました。また、第一事業部門や電池・自動車事業部門の管掌、ならびに最高デジタル責任者を務め、本年4月より現職に至っています。
なお、来る6月下旬の定時株主総会ならびに取締役会での決議をもって、正式に代表取締役社長に就任する予定です。本日はよろしくお願いします。
目次

それでは、本日の目次に沿ってご説明します。
TOPICS:清酒酵母発酵 純国産コーヒー『吟彩』の販売詳細を公表

はじめに、直近でリリースしたTOPICSについて、簡単にご説明します。
当社は、気候変動の影響により2050年までに世界のコーヒー栽培可能地が半減するとされる、いわゆる「コーヒー2050年問題」を解決すべく、国産コーヒー事業を2025年7月より進めてきました。そして5月19日に、本事業における販売の詳細を発表しました。
私自身も実際に試飲しましたが、日本酒の吟醸香を思わせる芳醇な香りと、透明感のあるすっきりとした味わいが調和した、大変味わい深い仕上がりとなっています。京都にある「月桂冠大倉記念館」にて販売を予定していますので、機会がありましたら、ぜひ一度ご賞味ください。
TOPICS:「中期経営計画2028」を5月20日(水)に公表

5月20日には、新たに中期経営計画「PI 2028」を発表しました。これまでの「守りを固め、盤石な財務・収益基盤を磨き上げたフェーズ」から、さらなる成長ステージへと向かうため、これまでに築き上げた強固な財務基盤と稼ぐ力を最大限に活かし、「機動的かつ規模感のある成長を実現する経営」へと大きく転換していきます。
本中期経営計画では、「事業ポートフォリオの変革と、M&Aや事業投資による非連続な成長の実現」、「価値を創り出す人材への投資と挑戦を支える組織力の強化」、「株価を意識した資本政策の徹底」の3つを柱に掲げています。
また、株主還元方針についても従来から大きく転換し、1株当たり年間42円を起点とする累進配当の導入に加え、50億円を上限とし、機動的に自社株買いを実施する方針を掲げています。詳細については後ほどご説明します。
明和産業とは?

ここからは、当社の説明会に初めてご参加いただく個人投資家のみなさまもいるかと思いますので、簡単に当社についてご説明します。
当社は日本・中国を中心に安定した事業基盤を持つ商社で、今年で創業79年となる歴史を持つ商社です。設立当初から中国ビジネスに強く、設立時より中国との貿易取引を行い、現在は売上高の約3分の1が中国との取引です。
現在は、M&Aや事業投資を積極的に推進しており、非連続な成長に向けて取り組みを加速しています。また、長年の中国取引において構築したビジネスネットワークを生かして東南アジアやインドへの進出を進めており、昨年にはインド現地法人を設立し、拡大しています。
取扱製品:競争力の高い、化学品・樹脂、部品など様々な商材

当社の事業概要をご説明します。当社は化学系の専門商社として認識されている方も多いかと思いますが、実際には化学品以外にも多種多様な製品を取り扱っています。
第一事業は、レアアースやレアメタル等の希少資源や環境商材、金属製品を取り扱う資源・環境ビジネスです。プラスチック製品等を燃えにくくする材料を取り扱う難燃剤、そして、断熱、防水、内装分野を手掛ける機能建材ビジネスで構成されています。
第二事業は、主に石油製品や潤滑油を取り扱っており、第三事業は、主に化学品を取り扱うセグメントであり、高機能素材、機能化学品、合成樹脂、無機薬品で構成されています。
電池・自動車事業は、持分法適用会社が担う部分が多いため売上高の割合は低いのですが、自動車の電動化への流れを取り込み、自動車本体に使われる部品だけでなくリチウム電池に使用する原材料などを取り扱っており、大きな成長が見込まれます。
なお、2027年3月期より、事業推進におけるシナジーの強化を目的とし、電池材料事業を第一事業に、自動車事業は第三事業に移管します。以上で、当社に関する簡単なご説明とします。
2026年3月期 決算概要:増収、営業利益二桁増益と堅調な決算

金井正宏氏:みなさま、こんにちは。取締役常務執行役員の金井正宏です。ここからは私より、2026年3月期決算概要ならびに2027年3月期通期業績の見通しに関してご説明します。
2026年3月期の売上高については、第二事業が減収となったものの、第一事業および電池・自動車事業が増収となったことに加え、第三事業で株式取得をした株式会社タカロクの業績が寄与した結果、前期比5.2パーセント増収の1,649億円となりました。
営業利益は売上高の増加に伴い、売上総利益が増加したことで、前期比15.8パーセント増益の41億3,200万円となりました。
経常利益は持分法による投資利益の減少や一部取引において為替差損が発生したため、前期比1.8パーセント減益の44億3,800万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式の売却により特別利益が増加した結果、前期とほぼ同額となる、33億7,400万円となりました。
前期比分析 - 経常利益

次に、経常利益の前期比分析についてご説明します。2026年3月期のプラス要因としては、子会社の営業利益の増加があります。中国現地法人である明和上海において、昨年度の在庫の評価減の反動に加え、車載用電池材料の販売が伸長した点が主な要因となります。
一方で、マイナス要因としては、自動車事業における持分法適用会社であるクミ化成において、利益が減少しています。また、一部取引において、為替予約の解約に伴い損失が発生しました。これらの結果、経常利益は全体を通して前年同期の1.8パーセントにあたる8,100万円の減益となりました。
各セグメントの業績ハイライト

こちらのスライドでは、各セグメントの業績ハイライトを一覧でまとめています。詳細については、次のページよりご説明します。
第一事業の動向:主にアンチモン価格の市況高騰もあり難燃剤が好調に推移し、増益

第一事業については、売上高は前期の5.6パーセントにあたる23億5,700万円の増収、セグメント利益は前期の5.5パーセントにあたる1億3,000万円の増益となりました。
第一事業の動向としては、難燃剤事業が好調に推移したことが挙げられます。2024年9月より中国政府によってアンチモンの輸出許可制が開始したことに起因し、一時期高騰した市況ですが、直近は下落傾向です。
ただし、市況の下落に伴い、買い控えしていた販売先からの需要は堅調に推移し、増益となりました。
当社としては、市況に依存しない体制を構築すべく、成長産業向けに高付加価値難燃剤の販売を取り組みながら、市況によるボラティリティ低減に向けた取り組みも併せて行っています。
次に、資源・環境ビジネス事業における中国政府によるレアアースの輸出管理に関する影響についてご説明します。2025年4月より中国政府はレアアースにおける中・重希土類7種を含む関連品目に対して輸出管理を実施しており、当社のレアアースにおける一部取り扱い品においては出荷制限があり、影響がありました。
ただし、輸出管理外のレアメタルでは、販売先への販売シェアが拡大しているものもあり、結果として好調に推移しました。引き続きレアアース・レアメタルについては市場の動向を注視していきます。
第二事業の動向:販売数量は減少しているものの、取扱い商品の収益性が改善し、増益

第二事業については、売上高は前期の7.7パーセントにあたる33億5,500万円の減収、セグメント利益は前期の15.0パーセントにあたる1億2,100万円の増益となりました。
第二事業の動向としては、石油製品事業における海外向けベースオイルや添加剤の販売数量の減少ならびに、昨年度に引き続き中国メーカーに納入する冷凍機油の販売数量の減少が売上の減収要因となりました。
一方で、昨年度計上した在庫評価損の反動があったほか、石油製品においては収益性の高い商品への販売がシフトした結果増益となっています。その他にも、省エネルギー、長寿命潤滑油や、データセンター冷却液などの環境負荷低減商品の開発にも貢献する、中国製石炭由来のFT合成油の販売が今年度より実績化したこともあり、売上およびセグメント利益においても一部貢献しています。
ただし、中国冷凍機油事業においては、引き続き厳しい状況が継続しています。そのため、ローカルメーカーにはすぐには実現できない、中・大型機種のエアコンに使用される冷凍機油の販売も進行しています。
加えて、中国市場での販売だけでなく、今後、エアコンの製造拠点が増える可能性のあるインド市場での販売に向け現地法人を設立しました。インド現地法人を通じて、現地での情報収集力強化による需要の発掘、お客さまとの関係構築による商権の維持・拡大、そしてインド国内での新たな物流体制を構築し、安定供給の実現を目指していきます。
第三事業の動向:商品販売は好調だが、株式会社タカロクの株式取得に係る支出で、減益

第三事業については、売上高は前期の11.8パーセントにあたる70億7,800万円の増収、セグメント利益は前期の7.5パーセントにあたる7,700万円の減益となりました。
第三事業の動向としては、株式取得をした株式会社タカロクの業績が寄与したほか、無機薬品事業を営む十全グループにおいて、製鉄や半導体製造関連での使用や、東京都等の官庁で水処理用途として使用される無機薬品の販売が好調に推移した結果、売上は増収となりました。
一方で、株式会社タカロクの株式取得費用を計上したことや、高機能素材においてフィルムの販売における需要の反動があり、セグメント利益は減益となりました。
第三事業においては、株式会社タカロクの買収によりプラスチックリサイクル素材ビジネスを伸ばすことを目論んでいるほか、積極的に展示会に出展しており、当社の注力商品の需要の開拓に積極的に取り組んでいます。
電池・自動車事業の動向:クミ化成グループにおける北米事業低迷の影響を受け、減益

電池・自動車事業については、売上高は前期の19.8パーセントにあたる21億1,900万円の増収、セグメント損益は2,300万円となりました。
電池・自動車事業の動向としては、電池材料事業における前年度のスポット取引による反動があった一方、中国での車載用電池材料販売が好調に推移した結果、売上は増収となりました。
セグメント利益については、電池材料事業において中国の車載用電池用途に使用される負極材取引が堅調に推移した一方、自動車事業でクミ化成の北米事業において、一部製造拠点における生産トラブルによりコストが大幅に増えたことで、セグメント利益が減益となりました。
キャッシュ・フロー計算書:期末現預金残高は約112億円で前期比約29億円の増加

続いて、連結キャッシュフロー計算書についてご説明します。2026年3月期における営業活動によるキャッシュフローは約44億円のキャッシュインとなっています。キャッシュインの額は前年同期比で約7,000万円増加しました。
投資活動によるキャッシュフローは、約32億円のキャッシュアウトとなっています。株式会社タカロク取得による支出等が発生したことにより、前年同期比で約35億円キャッシュアウト額が増加しました。
財務活動によるキャッシュフローは、運転資金やタカロク取得による支出等の資金需要が増加し借入を実施したことなどにより、約10億円のキャッシュインとなりました。前期は短期借入金の返済等を進めていたことから、キャッシュインの金額は前年同期比で約68億円増加しています。
この結果、2026年3月期の現金および現金同等物は、112億3,100万円と前年度末から約29億円の増加となりました。
2027年3月期業績予想

最後に、2027年3月期の業績予想についてご説明します。2027年3月期の業績予想については、売上高1,700億円、経常利益48億円、当期純利益37億円と堅調な業績となることを想定しています。
INDEX

今年度から始まる中期経営計画である「PI2028」についてご説明します。
新体制の発足にあたり、当社がどのような未来を描き、いかに企業価値を次なるステージへと引き上げていくのか、新たなロードマップについてスライドに沿って詳しくご説明します。
本日は前中計の振り返りから始まり、私たちの存在意義である企業理念、そして今回策定したありたい姿をご説明した後、中期経営計画「PI2028」の具体的な戦略と目標について、順を追ってご説明します。
中期経営計画2025の振り返り(定量)

はじめに、2025年度を最終年度とする前中期経営計画の定量面に関する振り返りについてご説明します。
当社は前中期経営計画においては連結純利益、ROE、株主還元、基盤・成長投資金額を定量目標として掲げており、すべての目標を達成しました。特に連結純利益については、大幅に目標を上回り、2023年度、2024年度は過去最高益を達成し、本年度も過去最高益と同水準となる業績となりました。
中期経営計画2025の振り返り(定性)

次に、定性面に関する振り返りについてご説明します。
当社は前中期経営計画においては、「新たな領域での事業開発」と「既存事業の収益性と効率性の向上」の両輪を回し、推進してきました。
「新たな領域での事業開発」ではMLCC製造設備や国産コーヒー事業、インド市場への進出といった新たな領域への種まきを行い、「既存事業の収益性・効率性の向上」では車載中古電池のリユースリサイクル事業やタカロク社買収により合成樹脂事業が拡大しました。難燃剤事業の伸長もあり、収益基盤はさらに強固なものとなりました。
また、人的資本の強化やデジタル環境の整備など、将来の成長に向けた「土台」も着実に固めてきました。しかし、全社的な視点でのポートフォリオマネジメントである「どの事業を効率化するか」という資本効率の最適化については、これからも継続して取り組む必要があると考えています。これらの成果と課題が、本中期経営計画における重要なテーマだと認識しています。
「PI2028」の位置づけ

これまでの振り返りを踏まえ、本中期経営計画の位置づけをこちらのスライドでお示ししています。当社は2000年頃から前中期経営計画まで、金融危機や新型コロナウイルス、地政学リスクの高まりなど、商社として激動の時代を乗り越え、グラフでお示ししたとおり、安定した収益基盤を構築してきました。
そして、2026年からスタートする新中期経営計画では新たな経営体制のもとで「非連続な成長フェーズ」へと移行していきます。既存事業の収益基盤によって創出されたキャッシュを用い、M&Aや事業投資を通じた高成長の実現や、それを実現する為の人材への投資を大胆に再分配し、右肩上がりの成長カーブを描いていきます。
企業理念・マテリアリティ

次に、本中期経営計画の説明に先立ち、私たちの経営の根幹についてご説明します。当社は、「明光和親」の理念のもと、事業を通じて社会へ貢献し、それが私たちの成長にもつながると考えています。そして、当社が掲げるマテリアリティに取り組むことで、「持続可能な資源利用」や「安全で高品質な商品の提供」といった次世代へ続く豊かな社会に貢献していきます。
具体的に当社自身はどのような会社を目指していくのかが、次ページで掲げる私たちの「ありたい姿」になります。
ありたい姿

本中期経営計画では、あらためて当社の目指す「ありたい姿」という旗印を立ててスタートします。策定に当たり初めに議論し生み出したのが、この「ありたい姿」、「情熱と知恵で社会を豊かにする 〜Passionate Intelligence〜」です。
私たちは、世界に存在する多様な素材、製品、技術、サービスを単に見つけるだけでなく、それらを磨き、そして掛け合わせることで、心躍るようなイノベーションを生み出していきたいと考えています。
このイノベーションの源泉となるのは、社員一人ひとりが課題に真摯に向き合う「情熱」と、長年培ってきた経験と知見から生まれる「知恵」です。当然、AIやデジタル技術をより駆使していきますが、仕事の原点は「人」です。
Passionateの頭文字である「P」Intelligenceの頭文字である「I」をつなげた、PIで持続可能で豊かな社会を次世代へとつないでいくことこそが、明和産業が目指す「ありたい姿」です。
「PI2028」重点施策

そして、実際にこの本中期経営計画である「PI2028」ではありたい姿に近づく為に、「事業ポートフォリオ変革とM&Aや事業投資による非連続な成長の実現」、「人材への投資と組織力の強化」「資本政策の徹底」の3つの柱を掲げ、目標達成に向けて取り組んでいきます。
定量目標

次に、具体的な定量目標についてご説明します。最終年度の2028年度末において、「連結純利益45億円」、「ROE10パーセント以上」、「3ヶ年累計160億円の営業キャッシュフロー」を目指します。この3つの目標のドライバーとなる成長投資については、前中期経営計画の約3倍となる「100億円の成長投資」を実施します。
先ほどご説明した重要施策である3つの柱を着実に実行し、事業ポートフォリオの変革と成長投資を両輪で進めることで、次なるステージへの飛躍を確かなものにしていきます。
エクイティストーリー

こちらのスライドでは、定量目標を達成するための全体像である「エクイティストーリー」についてご説明します。本中計では、重点施策の「3つの柱」を連動させ、企業価値を飛躍的に向上させていきます。
まず土台として、「人材投資」により組織の実行力を高め、「資本政策の徹底」により資本効率の最適化を図ります。この強固な土台の上で、「事業ポートフォリオ変革」と「M&Aや事業投資」をスピード感を持って実行します。
単なる規模の拡大ではなく、「ROICを指標とした資本効率」と「社会環境価値」の両面で事業を磨き上げること、このストーリーを着実に実行することで、より高収益で持続可能な明和産業へと進化していきます。
事業戦略 | 事業ポートフォリオの定義と戦略

ここからは、非連続な成長の実現に向けた1本目の柱である事業戦略をご説明します。こちらのスライドでは事業ポートフォリオの定義と戦略を示しています。事業ポートフォリオの変革に向け、すべての事業を「ROIC」と、潜在的事業成長率をベースに算出した「社会・環境価値」の二軸でマッピングし、各ポートフォリオの戦略を定義しました。
スライド右上の「重点成長」カテゴリーは、難燃剤や電池材料といった当社の強みが明確で、かつ市場成長が見込まれる分野です。ここにリソースを集中投下していきます。
スライド左上の「次世代」カテゴリーは、将来の収益の柱となる事業と位置づけており、国産コーヒーやMLCC設備をはじめとする前中計で蒔いた芽を大きく育てます。
スライド右下の「収益基盤」カテゴリーでは、潤滑油や建材、無機薬品など、既存の強みを活かしつつ、ビジネスモデルの再構築や隣接領域の取り込みを強化しさらなる成長を狙います。
スライド左下の「構造改革」カテゴリーでは、資本効率の改善を最優先に実施し、基準に満たない事業については撤退を含めたリソースの再配分を進めます。これらの取り組みを行い、社会・環境価値の提供と資本効率の両立を実現していきます。
事業戦略 | カテゴリー別戦略と成長投資

前のスライドで定義したポートフォリオに基づき、具体的なリソース配分と戦略についてご説明します。特にご注目いただきたいのは、累計100億円の成長投資を実行し、成長を目指す点です。
まず、成長を牽引する「重点成長」カテゴリーである難燃剤や資源事業には、機動的に資金を投じます。ここでは、特定の国や供給元に依存しないサプライチェーンを構築し、地政学リスクを成長の機会へと変えていきます。
次に、安定収益を生む「収益基盤」カテゴリーです。潤滑油事業では、成長著しいインド市場での商圏拡大を加速させます。機能建材や無機薬品については、既存事業での残存者利益を享受するだけでなく、シナジーが見込める周辺領域のM&Aを積極的に実行し、事業規模の拡大を図ります。
一方、「次世代」カテゴリーでは、環境負荷低減に資する事業を中心テーマとして、機動的な事業開発を進めていきます。前中期経営計画で生まれた新規事業に続く新しいビジネスへの投資も継続していきます。
また、効率性・生産性の改善が急務である「構造改革」カテゴリーに属する汎用樹脂や石油化学品事業については、収益改善を進める一方、当社のROIC基準に満たない事業は継続の是非を厳格に判断していきます。そして、生み出されたリソースを成長領域へと再配分していきます。
人材戦略

次に2本目の柱である人材と組織力の強化に向けた人材戦略について、ご説明します。事業ポートフォリオの変革を実行し、価値を創り出すのは「人」にほかなりません。
私たちは本中期経営計画において、10億円規模の人材投資を計画しており、挑戦する「PI人材」の創出を目指します。そのために、「人的リソースの確保・育成」と「個の能力・意欲の最大化」を両輪で回します。
具体的には、年齢に関わらず、成果や挑戦度に応じて評価・報酬を決定する新人事制度の導入、定型業務の徹底した自動化によるコア業務へのシフト、そして社員株主拡大施策による「全員経営」意識の醸成です。また、組織としても、これまで以上にスピード感のある意思決定プロセスと、失敗を恐れずリスクテイクできる文化を確立していきます。
組織力強化 | デジタル戦略

次に当社のデジタル戦略についてご説明します。これまでの業務効率化という「守りのフェーズ」から、次なる「経営情報基盤の運用」という「攻めのフェーズ」へとステップアップに取り組んでいきます。
当社の社員が長年の経験で培った「知識」や「判断の勘所」は最大の資産ですが、一方でそれは属人化しやすいという課題があります。私たちは「背景・条件・結果」をデジタル資産として蓄積し、「情報基盤」として構築します。
AIがこの膨大な知見を分析し、最適な判断をサポートすることで、個人の経験を会社全体の資産へと昇華させ、個人の「情熱」と「知恵」をデジタルで掛け合わせることで、組織全体を進化し、推進していきます。
資本政策 | キャッシュアロケーション

最後に、3本目の柱である資本政策である「キャッシュアロケーション」についてご説明します。安定的な財務基盤を維持しつつ、成長投資と株主還元のバランスを最適化し、企業価値の持続的向上を図ります。
キャッシュインについては、営業CFに加え政策保有株等の資産売却によってキャッシュを積み上げます。また、業界水準であるDEレシオ0.4倍を上限とした資金調達も積極的に活用し、成長へのアクセルを力強く踏める財務基盤をより一層整えます。
これらの資金を、将来の収益基盤を構築する成長投資に100億円、価値創造の源泉となる人材投資に10億円を投入します。加えて、これまで以上に機動的な株主還元を実施することで、企業価値の向上を目指していきます。これら成長と還元の両輪を回すことで、資本効率の向上と持続的な成長を実現していきます。
資本政策 | 株主還元方針

最後に、本中計での株主還元方針についてご説明します。これまでどおり、連結配当性向50パーセントを維持することに加え、新たに「累進配当」を導入します。また、50億円を上限とし、機動的に自社株買いを実施します。これらにより、一時的な業績変動に左右されることなく、株主のみなさまに安定的な還元を提供します。
明和産業は、この「PI2028」を通じて、自律的に進化し続ける企業へと生まれ変わります。私、そして役員、社員が一丸となり、情熱と知恵である「PI」を持ってこの計画を実現していきます。
まとめ

最後に、本日お伝えしたいポイントを4点でまとめています。
1点目は、2026年3月期決算についてです。自動車事業において、北米事業でのコスト増加により一時的に収益が悪化しました。一方で、利益率の高い商材の市況が落ち着きをみせたものの、当社の中国現地法人である明和上海においては、車載用電池材料の販売が伸長したこともあり、営業利益は堅調に推移しました。政策保有株式の売却益も寄与した結果、当期純利益は過去最高益となった前年度とほぼ同額の結果となりました。
2点目は、来期の業績予想についてです。売上高1,700億円、経常利益48億円、当期純利益37億円と堅調な業績を想定しています。
3点目は、中期経営計画2028についてです。「事業ポートフォリオの変革と、M&Aや事業投資による非連続な成長の実現」、「価値を創り出す人材への投資と挑戦を支える組織力の強化」、「株価を意識した資本政策の徹底」の3つの柱で非連続な成長の実現を目指します。
4点目は、株主還元についてです。「配当性向50パーセントを基本に機動的な株主還元」の基本方針を転換し、新たに一株当たり年間42円を起点とする累進配当を導入しました。加えて、26年2月公表分25億円を含む、総額50億円を上限とし、機動的に自社株買いを実施、株価を意識した資本政策の徹底を図ります。
これからも、株主ならびに投資家のみなさまのご期待に沿えるよう、当社グループ一丸となって事業活動を推進していきますので、引き続きよろしくお願いします。
質疑応答:クミ化成の収益性が正常化する具体的な時期について
「クミ化成の北米事業低迷について『コスト増加により一時的に低下』とありますが、収益性が正常化する具体的な時期はいつを見込んでいますか?」というご質問です。
北米事業の収益正常化の具体的な時期については、現時点では「第何四半期に正常化する」といった明確な時期の言及は差し控えます。しかし、この状況を長期化させるつもりはありません。
今回コストが大幅に増えた背景には、北米の一部製造拠点において生産トラブルが発生し、その対応として、外注費がかさんだことなどがあります。当社および事業投資先であるクミ化成としては、この事態を重く受け止め、出来る限り早急に収益を改善の軌道に乗せる目標を掲げています。
具体策として、生産体制の抜本的な見直しを進めるとともに、顧客である自動車メーカーの生産計画を精緻に把握し、無理・無駄のない適正な生産管理を行う取り組みをすでにスタートさせています。
現在進めているこれらの施策が効果を発揮し、進捗が見えてきましたら、決算発表などの場を通じて適宜アップデートします。
質疑応答:27年3月期見通しにおけるイラン情勢の影響について
「27年3月期見通しにイラン情勢に関しては加味しているのでしょうか?」というご質問です。
イラン情勢をはじめとする中東の動向については、みなさまも大変懸念されているポイントだと思います。
当社の2027年3月期の見通しについては、現在当社が有するネットワークを最大限に活用し、現時点で入手できうる最新の情報をベースにした上で計画を策定しています。具体的な影響を申し上げると、足元の4月から5月上旬については、一部を除き、概ね計画どおりの供給体制を維持できています。
また、原材料価格の変動に対しても、日頃からお世話になっている取引先各位の深いご理解とご協力を賜りながら進めており、一部の取引においては当社の収益をしっかりと下支えする側面も出てきています。
一方で、引き続き、原料ナフサの動向をはじめとして供給環境に不透明な部分も残されています。安定供給に影響が生じないよう、現在状況を極めて慎重に注視しています。当然ながら代替調達ソースの確保や在庫管理の徹底などに迅速に動いています。
地政学的な状況は日々刻々と変化しますので、関連する各事業部と緊密に連携し、経営陣でタイムリーに情報を把握する体制を継続していきます。今後万が一、情勢がさらに悪化し当社の業績に見通しの変化をもたらす事態が判明した際には、投資家のみなさまに対して速やかに、かつ透明性をもって情報開示を行っていきます。
質疑応答:成長投資枠の配分について
「累計100億円の成長投資枠はどのように配分する予定ですか?」というご質問です。
100億円の成長投資の配分方針については、現時点で「特定の事業領域や地域に対して何割」といった、具体的な数字での配分枠はあえて設けていません。ただし、すべての領域に対して均等に投資を行うわけではありません。
今回の中期経営計画で掲げた「事業ポートフォリオの変革」を推し進めるため、重点成長領域や次世代の新規ビジネス、東南アジア・インドといった成長エリアには、当然ながらメリハリをつけて資金を配分していきます。戦略的な柔軟性は保ちつつも、社会環境価値の向上や投資リターンを最大化できる領域・案件へと傾斜配分していく方針です。
質疑応答:コーヒーの栽培規模と今後の拡大計画について
「現在の栽培規模と、将来的な拡大計画について教えてください」というご質問です。
現在、千葉県成田市の農園では、約920本のコーヒーの木を栽培しています。2年以上前に定植した93本の木に加え、その後追加で824本を定植し、順調に生育が進んでいます。
将来的には、この成田での成功モデルを確立した上で、さらなる規模拡大を目指しています。具体的には、国内の他地域での栽培展開も視野に入れており、本事業を通じて得られた知見や技術を共有し、新たな農家や地域との協業も積極的に検討していきたいと考えています。
持続可能な国産コーヒーのサプライチェーンを構築し、より多くのみなさまに日本の高品質なコーヒーをお届けできるよう、中長期的な視点で栽培規模の拡大に取り組んでいきます。
新着ログ
「卸売業」のログ





