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アキレス株式会社5142

東証プライム

化学

2026年3月期決算説明

日景一郎氏(以下、日景):アキレス株式会社代表取締役社長の日景です。どうぞよろしくお願いします。本日は、2026年3月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

また、平素より当社をお引き立ていただき、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。当社に関心をお持ちいただいている機関投資家のみなさま、アナリストのみなさまとこうして直接お話しできる機会をいただき、大変うれしく思います。

只今より、決算概要および今後の見通しについてご説明します。

本日お伝えしたいポイント

本日、みなさまにお伝えしたいポイントは3点です。第1に、事業構造改革と成長戦略の両輪により、業績が大きく回復したことです。

昨年6月の事業組織再編以降、当社は成長性と収益性の高い市場を見極め、経営資源の「選択と集中」を徹底してきました。その結果、成長事業が業績を牽引し、中期経営計画の最重要課題でもある「収益力の再構築・強化」について着実に進展し、営業利益率を大幅に改善することができました。

課題であるシューズ事業についても、構造改革の成果が表れ始めています。これらは一過性の外部要因によるものではなく、当社の収益力全体が改善した結果であると認識しています。

第2に、改善した収益力を今期以降の成長に、ひいては持続的な企業価値向上につなげていくことです。2026年3月期には、営業利益が上方修正後の予想をも上回る結果となり、当社の収益基盤が着実に強化されていることを示しました。一方で、足元の事業環境を見ると、原材料価格、為替、地政学リスクなど、不確実性が昨今格段に高まっています。

このような環境を踏まえ、2027年3月期については慎重かつ堅実な前提に基づいて計画を策定しています。ただし、経営陣としてはこの計画を着実に達成するだけでなく、これを上回る成果の実現を目指して全社一丸で取り組んでいく方針です。

また、中期経営計画で示している成長投資についても方針に変更はありません。短期的な環境変化に適切に対応しつつ、中長期の成長に向けた投資を着実に継続していきます。

第3に、高付加価値分野が成長を牽引し、中期経営計画が順調に推移していることです。メディカル分野向けフィルムや半導体関連部材は力強く成長しています。このような高付加価値分野の伸長が成長を牽引しており、中期経営計画も順調に推移していると認識しています。

現時点では、事業環境の不確実性を踏まえ、目標を据え置いています。その上で、計画達成に向けた取り組みを今後さらに加速させていきます。本日のご説明を通じて、我々アキレスが今まさに変革期を迎え、企業価値向上への確かな道を歩んでいることをご理解いただければと考えています。

それでは、詳細についてご説明します。

目次

本日のアジェンダはスライドのとおりです。

1.会社概要

まず、当社の事業概要と収益力向上に向けた取り組みについてご説明します。スライドには、当社の会社概要を記載しています。後ほどご覧ください。

2.コアテクノロジー

当社の強みは、プラスチック加工技術を基盤とする多岐にわたる事業展開にあります。スライドに記載しているとおり、「製膜」「発泡」「成型」という3つのコア技術をベースに、多彩な要素技術を保有しています。

これらを複合的に組み合わせることで、お客さまのニーズに応えるさまざまな特性や形状の製品を生み出してきました。この「製品実現技術」こそが、当社の事業活動の基盤であり、幅広い産業への多様な製品群の投入を可能にしています。

3.事業領域と主な製品

その結果、当社製品は、みなさまの日々の暮らしから自動車、エレクトロニクスといった幅広い産業、さらには医療や防災といったいのちを守る現場にも、価値を提供しています。

4.事業セグメント別売上高

2026年3月期の新しいセグメント別売上高についてです。連結売上高は818億円となりました。各セグメントの詳細については後ほどご説明します。

当社はシューズのイメージが強いと思われますが、売上全体に占める割合は2026年3月期で11パーセントとなっています。

5.中期経営計画(FY25~FY27)の概要

現在、当社は2030年度に目指す姿「Vision2030」の実現に向けて、2025年度から2027年度までの3年間を対象とした中期経営計画を推進しています。この中期経営計画は冒頭でお伝えしたとおり、順調に推移していると考えています。

2026年3月期は、中期経営計画の最終年度である2028年3月期の目標として掲げていた「営業利益30億円」「ROE5パーセント以上」をほぼ達成しました。しかし、昨今の事業環境の不確実性が格段に高まっていることを踏まえ、現時点では目標を修正することはありませんが、計画達成に向けて、さらにその先を見据えた取り組みを加速させていきます。

6.中期経営計画の位置づけ

中期経営計画の位置づけについてです。この3年間は、「収益力の再構築・強化」を最重要課題と位置づける「再構築・強化期」です。

それを実現するための全社戦略は、「選択と集中の徹底」「新たな価値の創造」「グローバル戦略の推進」の3つです。また、これらを支えるための「事業基盤の高度化」や「サステナビリティ経営の推進」を含め、中期経営計画の概要および進捗についてご説明します。

7.全社戦略①選択と集中の徹底

まず、全社戦略の1つ目である「選択と集中の徹底」についてです。市場成長性と収益力が期待できるマーケットを特定し、重点分野にリソースを集中させています。また、それぞれの事業展開において、収益性の低いアイテムやカテゴリの位置づけを再評価するなど、「選択と集中」を進めています。

特に、構造改革が必要なシューズ事業と車輌資材事業における取り組みの進捗をご紹介します。まず、シューズ事業では「4P戦略」に基づく選択と集中を断行しました。その結果、機能性を追求した新製品の投入や価格改定、不採算領域からの撤退などにより、売上高は減少しましたが、セグメント損失は実に6億円もの大幅な改善を果たしました。

これは、量を追うのではなく質を重視する戦略へ舵を切り、収益構造の改善が進んでいることを示しています。

中期経営計画で掲げた「2027年度までに黒字化の目途を見極めた上で、事業継続を判断する」という方針を念頭に、着実に改善を進めています。

車輌資材事業では、特に中国市場の動向を踏まえ、佛山工場の生産体制を見直すなど、事業構造の最適化を進めています。また、成長分野へのシフトも加速しており、航空機向けの高い難燃性を有する内装材は北米を中心に拡販が進んでいます。

8.全社戦略②新たな価値の創造

戦略の2つ目は、「新たな価値の創造」です。

昨年6月に事業組織を再編し、横断的な連携を強化しています。例えば、防災事業における新製品開発では、断熱材の技術を持つビジネスユニットと、テントやマットの技術を持つビジネスユニットが連携するなど、具体的なシナジーが生まれ始めています。

また、営業DXを推進し、お客さまへのクロスセルや提案力の向上を図っています。今年度は、社員のアイデアをかたちにするための「アイデアスペース」の新設も企画しており、イノベーションの創出を加速させていきます。

9.全社戦略③グローバル戦略の推進

戦略の3つ目は、「グローバル戦略の推進」です。

2026年3月期の海外売上高は、前期の172億円から214億円へと大きく伸びました。これは、北米におけるメディカル分野向けフィルムや、アジア・北中米における半導体関連部材の需要増への対応など、各エリアでの戦略が着実に実を結んだ結果です。今後も地政学リスクを注視しつつ、グローバルでの成長を追求していきます。

10.事業基盤の高度化とサステナビリティ経営

これら3つの全社戦略を支えるのが、「事業基盤の高度化」と「サステナビリティ経営」です。

人的資本経営を推進し、多様な働き方を支える制度を整備するとともに、DX投資を通じて業務効率化を進めています。サステナビリティについても、環境配慮型製品の開発や社会貢献活動に積極的に取り組み、企業価値の向上に努めています。

11.2026年3月期連結決算サマリー

2026年3月期決算概要の詳細についてご説明します。連結決算サマリーですが、売上高は前回予想の810億円を上回る818億200万円となり、営業利益は予想の23億円に対して29億7,200万円、経常利益は予想の25億5,000万円に対して39億1,900万円と、いずれも前回予想を大幅に上回る結果となりました。

収益性の高いメディカル分野向けフィルムや半導体関連部材が業績を力強く牽引し、中期経営計画の初年度として好調なスタートを切ることができました。

12.営業利益の増減要因分析

スライドのグラフは、2025年3月期の営業利益マイナス4億3,600万円から2026年3月期29億7,200万円へ、プラス約34億円と大幅に改善した要因を示したものです。

要因は大きく3つあります。最も大きい要因は粗利益率の向上で、プラス27億1,200万円です。これは、「選択と集中」を徹底した結果、収益性の高いメディカル分野向けフィルムや工業資材などの構成比が高まったことに加え、販売価格の改定や製造現場での集約生産などを通じた徹底した原価低減活動の効果もあり、粗利益率が向上しました。

その他、増収に伴う粗利拡大によりプラス4億9,600万円、販売・管理費の抑制でプラス2億円の貢献がありました。

13.第一事業部の決算概要

ここからはセグメント別のご説明に移ります。まず、第一事業部についてです。先ほどお話ししたフィルムのメディカル分野向けおよびエレクトロニクス分野向け、工業資材の半導体関連が非常に好調で、売上高は前期比8パーセント増、セグメント損益は実に前期比228パーセント増と、全体の業績を牽引しました。

14.第二事業部の決算概要

第二事業部についてです。断熱資材や防災製品が堅調に推移し、売上高は前期比1パーセント増となりました。また、セグメント損益は販売価格改定などによる売上総利益の増加を受けて前期比27パーセント増となり、着実に収益を伸ばしています。

15.シューズビジネスユニットの決算概要

シューズビジネスユニットについてです。売上高は「選択と集中」の結果、前期比12パーセント減となりましたが、セグメント損益は前期より6億円改善し、赤字幅を大幅に圧縮することができました。販売価格の改定やさらなるコストダウン活動など、収益構造の改善が着実に進んでいることを示しています。

16.キャッシュ・フロー計算書

2026年3月期のキャッシュ・フローの状況についてご説明します。まず、本業の儲けを示す営業キャッシュ・フローは、前期より微減の26億3,900万円となりました。当期は、キャッシュアウトを伴う特殊な要因がありました。それがスライドにも記載している「仕入債務の減少」です。

仕入債務全体では39億円減少しています。その大きな要因は、「手形などのサイト短縮」を要請する、いわゆる取適法(中小受託取引適正化法)の運用基準改正に対応したことによるもので、その額は20億円に上ります。

キャッシュ・フロー上では一時的にマイナス要因となりましたが、重要な点として、この取適法対応は当期で一巡するため、今期2027年3月期以降、同様の規模のキャッシュアウトは発生しない見込みです。これらを踏まえると、当社のキャッシュ創出力が向上していることをご理解いただけると思います。

投資キャッシュ・フローは、将来の成長に向けた生産設備等の取得が主な要因となり、マイナス28億6,200万円となりました。

財務キャッシュ・フローは、前期比約34億円増の21億4,600万円となっています。これは主に、先ほどご説明した取適法対応に伴う運転資金を確保するための借入金調達によるものです。

17.貸借対照表

貸借対照表です。利益剰余金の増加などにより純資産は前期より39億4,600万円増加し、自己資本比率は前期比2.3ポイント向上して51.8パーセントとなりました。財務の健全性は維持され、向上していると認識しています。

18.2027年3月期連結業績見通しサマリー

2027年3月期の業績見通しについてご説明します。売上高は前期比0.9パーセント増の825億円、営業利益は前期比26パーセント減の22億円と見込んでいます。

売上高は、重点分野であるフィルムのメディカル分野、および工業資材のエレクトロニクス、半導体関連分野を中心に伸長が続くと予測しています。

一方、営業利益22億円という見通しについて補足すると、この数字を理解いただくための前提として、2026年3月期が好調な決算であった点が挙げられます。

2026年3月期の営業利益29億7,200万円という実績は、当社が中期経営計画の最終年度である2028年3月期の目標として掲げていた「営業利益30億円」の水準に相当します。本来であれば、この実績を踏まえ、2027年3月期や最終年度である2028年3月期の計画を見直すべきタイミングともいえるでしょう。

しかし、原材料価格の上昇や為替、地政学的リスクなど、事業環境の不確実性が昨今非常に高まっていることを考慮し、現時点ではまず計画を着実に達成することが重要であると判断しました。したがって、2027年3月期の営業利益見通しである22億円は、慎重かつ堅実な計画としてご理解いただければと思います。

また、中期経営計画は順調に進んでおり、未来の大きな成長に向けた成長投資についての方針に変更はありません。人的資本経営やDX推進などの事業基盤強化への積極的な投資を織り込んでいます。短期的な環境変化に適切に対応しながらも、中長期的な成長を目指した投資は着実に継続していきます。2027年3月期は未来へ高くジャンプするためのいわば「成長の踊り場」とご理解いただければ幸いです。

なお、中東情勢の緊迫化による直接的な影響については、現時点で合理的に算定することが困難であるため、業績予想には織り込んでいません。その点をお含みおきいただければと思います。

当社では、原材料市況の変動に応じた販売価格の適正化を着実に進めています。また、原材料の代替調達や原価低減活動も推進し、供給責任と利益確保の両立を目指しています。

我々経営陣としては、この数字に満足することなく、これを上回る成果を達成するため、全社一丸となって取り組むことをお約束します。

19.設備投資/減価償却費/研究開発費の計画

スライドには、成長投資における具体的な内容の一部を記載しています。設備投資は前期比2.3倍となる58億円を計画しています。このうち約19億円は、成長が著しいメディカル分野の需要に応えるため、米国子会社のフィルム事業に製造設備を導入するものです。さらに、人的資本やDXへの投資も加速させて、将来の成長基盤を一層強固にしていきます。

20.半導体関連資材の成長可能性

ここからは、当社の成長を牽引する事業の具体例を一部ご紹介します。

まずは、半導体関連部材についてです。当社の半導体搬送用部材やその他の関連部材は、静電気対策技術、クリーンな状態を実現する技術、素材をコントロールする技術を強みとし、お客さまの信頼を得て好調に推移しています。

生成AI関連が牽引し、半導体需要の拡大が続く中で、中長期的な事業拡大が期待できると考えています。ウエハー搬送トラフィックの増加に伴い、搬送プロセスもますます高度化してきており、製造工程で使用される部材も含め、今後も高い市場成長性が見込まれる分野です。

21.メディカル分野向けフィルムの成長可能性

メディカル用フィルムです。シングルユース製品用途で採用され、海外バイオ医薬関連企業の受注が好調に推移しています。本製品は、バイオ医薬品製造のさまざまな工程で使用され、洗浄や滅菌工程の時間短縮と開発・生産コストの低減につながるものです。

世界的な高齢化や医療の高度化を背景に、安定した需要の拡大が見込まれると考えています。米国拠点の生産ライン増強に加え、国内でも大手商社と連携するなど、さらなる販売拡大を目指していきます。

22.高性能断熱資材の成長可能性

高性能断熱資材です。住宅の省エネ基準が義務化され、政府の支援策も追い風となり、高性能断熱材の需要拡大が見込まれています。当社は国内で初めて硬質ウレタンボードを開発し、面材として高反射アルミ箔を採用して遮熱性を付与した高性能断熱材を提供しています。

この製品は、省エネ効果だけでなく、熱中症やヒートショック対策といった健康面からの需要も高まっています。また、住宅リフォーム市場への展開や非住宅分野でのニーズ掘り起こしも進めており、今後も成長が期待される分野です。

23.キャピタルアロケーション戦略

当社の財務および資本戦略についてご説明します。当社のキャピタルアロケーションの考え方ですが、創出したキャッシュは、成長分野への投資に重点を置き、優秀な人材の獲得や育成を通じた人的資本経営の推進、および生産性向上と競争力強化に直結するDX投資を優先的に行います。

また、短期的な環境変化に適切に対応しながら、中長期的な成長を見据えた投資を着実に続け、中期経営計画、さらにはその先にある「Vision2030」の目標達成につなげていきます。

24.株主還元の基本方針

株主還元の基本方針についてです。「継続的かつ安定的な配当」を配当政策の基本とし、自己株式の取得も機動的に実施しながら、総合的な株主還元の充実を図っていきます。

2026年3月期は、大幅な増益を達成できたことから、株主のみなさまへの感謝の意を表し、1株当たりの配当を前期の20円から倍増となる40円とし、株主総会に上程する予定です。

配当性向は25.8パーセントで目安とする30パーセントには届いていないものの、前期の利益に為替差益など一時的な要因が含まれていたことを考慮し、短期的な変動にはあまり左右されず、中長期で安定的な還元を継続すること、さらに利益が増加した際の株主のみなさまへの還元を総合的に判断した結果であるとご理解いただければと思います。

次に、2027年3月期の配当予想についてご説明します。1株当たり30円と、今期予定の40円からは減配予想となっており、ご心配の向きもあるかと思います。今回の配当予想30円は慎重な利益計画をベースに算出しています。

しかしながら、経営陣としては、「配当性向30パーセント以上、あるいは1株当たり配当金50円を意識した配当を行う」という中期経営計画での配当方針の実現に向け、全社一丸となって収益力の向上に努めていきます。

そして、事業環境が想定よりも好転、あるいは我々の取り組みが計画を上回る成果を上げ、利益が上振れする見通しが立った際には、配当予想の見直しについても検討する所存です。

本日、みなさまに最もお伝えしたかったのは、アキレスが今まさに変革の時を迎え、企業価値向上への確かな道を歩み始めているという事実です。2026年3月期の業績回復は、我々の事業構造改革と全社戦略の進展による、本質的な収益力強化の証拠であり、決して一過性のものではありません。

我々は、この計画が間違っていなかったという自信を持っています。そして、2027年3月期の計画は、不確実性が増す事業環境を見据えたものですが、経営陣一同、この計画を上回る成果の実現に邁進し、今後の持続的な成長につなげることをお約束します。

今後のアキレスの変革と成長に、ぜひご期待ください。みなさまには、引き続き変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。以上で、私からのご説明を終了します。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

ディスクレーマー/お問い合わせ先

こちらはディスクレーマーになります。

ここからはご質問をお受けします。

質疑応答:活況なAI関連市場が与える御社への影響と展望について

質問者:最近マーケットで注目されているAI関連のビジネスについておうかがいします。御社の事業において、新たな産業、例えば半導体やデータセンターなどで追い風を受けているもの、もしくは今後追い風を受けそうなものや事業分野について教えていただければ幸いです。

日景:おっしゃるとおり、AI関連市場は活況を呈しており、当社の2026年3月期にも良い影響を与えています。

AI関連をどの範囲で捉えるかによりますが、まずは半導体関連が挙げられます。当社では半導体関連事業を今後の成長のエンジンの1つと考えています。

具体的には、半導体ウエハーの搬送用部材を製造・販売していることが関連事業の一例です。ご存知のとおり、AI半導体に限らず、半導体は微細配線化が進み、極めてデリケートなものへと変化しています。デリケートなものになると、例えば静電気や埃によるさまざまな影響が懸念されます。そのため、我々は素材をコントロールする技術や静電気の対策技術、さらにクリーンな状態を保つ技術を駆使し、半導体ウエハーを極めてクリーンかつ安全な状態でお届けすることで、お客さまの信頼を獲得していると考えています。

また、AI関連については、半導体・電子部品の加工工程で、当社のフィルムがダイシングテープとして使用されています。

また、データセンターにおいては、大量のエネルギーを使用するため、温熱環境を丁寧にコントロールする必要があります。その中で、空気の流れを遮断・制御する不燃性能や防炎性能を有した透明間仕切り用フィルムや、静電気対策機能(帯電防止性能)を備えたフィルムなどが使用されるケースもあります。

このように、AI半導体が活況を呈する中で、多少の波はあっても、中期的な成長が期待できると考えています。

今後も、我々の技術が評価されている分野について、より一層果敢に取り組んでいきたいと考えています。

質疑応答:メディカル分野向けフィルムの供給状況と需要予測について

質問者:メディカル分野向けのフィルムの状況についておうかがいします。今後、供給量はどれくらい増加するのでしょうか? また、国内では商社と提携していますが、北米以外での需要の伸びについてはどのように見込んでいますか?

日景:定量的な見通しについては差し控えたいと思います。

当社のメディカル分野向けフィルムは、バイオプロセスで医薬品を製造する際に使用されるものに採用されています。これはシングルユース製品になります。

当社の技術が高く評価されている点として、複数の材料を多層に押し出す技術があります。それぞれの層に求められる機能が異なります。したがって、各層を均一に、確実に構成を維持しながら押し出すという技術は非常に重要になります。当社は、数年単位で信頼を積み重ねて採用に至りました。このような背景から、ある種の参入障壁がある分野だと考えています。

今回、需要増に対応するために、米国の子会社に製造設備を導入し、この設備が今年度中に本格稼働を開始する目途が立っています。場合によってはさらなる対応を検討しなければならない可能性もあります。お客さまあってのお話になりますので、すぐに決定するものではありませんが、非常に伸びが期待できる分野だと認識しています。

一時的な在庫調整局面があった時期もありましたが、これは新型コロナウイルスの影響によるものでした。今後については世界的な高齢化の進行も相まって、この需要は伸びていくと考えています。定量的なお話は控えましたが、可能な範囲でお伝えしました。

質疑応答:新製品開発の推進における具体例について

質問者:スライドの新製品開発の推進の部分に、「防災事業における新製品開発等」「シナジーによる新製品開発の活性化」「社員用アイデアスペースの新設企画(26年度実施予定)」との記載がありますが、それぞれの詳細を教えていただけますか?

日景:防災事業は、当社の8つのビジネスユニットの総合力を活かし、防災マーケットに対して新しい価値を提案しようと取り組んでいる事業です。

一例を挙げると、直近で「どこでもおうちベッド」という商品があります。これは断熱材として使われる硬質ウレタンボードを避難所向けにベッドとして組み立てて使用するものです。広く使われているダンボールベッドの保管時の弱点を解決するために、断熱材を活用できないかということで、断熱資材ビジネスユニットと防災ビジネスユニットが連携し、上市に至りました。

能登半島での災害では、1月の寒い時期に体育館避難が必要となり、当社も断熱材を寄付し、底冷えの軽減に使っていただいた経緯があります。断熱材の特性が活用される場面があるということは当時から認識していましたが、「どこでもおうちベッド」は、今回の事業組織の再編やシナジー効果の浸透による成果だと考えています。

これが、防災事業における新製品開発の一例になります。

このようなシナジーによる新商品開発は、当社が特に注力している開発行為の1つです。それを促進するためにさまざまな取り組みを行っています。具体的には、各ビジネスユニットが他のビジネスユニットに向けて、事業の内容をセミナー形式で共有しています。8つのビジネスユニットそれぞれの強みを活かし、それらを掛け合わせて新しいものを創造する試みを、さまざまなかたちで推進しているところです。

「社員用アイデアスペース」についてです。研究開発部門が基本的には最低でも年に1度、主要な事業拠点で新たな取り組みを紹介しています。ここでは社外秘の情報も含まれますが、直接関係のないビジネスユニットの社員も参加してインスピレーションを得たり、新しい発想のきっかけとなるような場を提供したりしています。そのため、これまで年に1度の開催であったものを常設スペースに移行し、今年度中に本社に設置する予定としています。

このように、8つのビジネスユニットを掛け合わせることや、ひらめきが生まれやすい雰囲気作り、さらには具体的なフィールドを用意することで、事業横断的な取り組みが加速することを期待しています。

質疑応答:御社製品の半導体関連市場での納入先とサプライチェーン上での立ち位置について

司会者:「半導体関連部材のそれぞれの需要機会について教えてください。直接の納入先はHBMメーカー、すなわち米国や韓国のメモリメーカーでしょうか? その需要は、台湾のGPU製造先へ納入する際に使用されるものでしょうか? サプライチェーン上での立ち位置を教えてください」というご質問です。

日景:当社製品はさまざまなフェーズで使用されているため、一括りにご説明するのは少し難しい部分があり、ご質問に直接お答えできないことが心苦しいです。

我々の商品は、半導体メーカーに向けてウエハー等の搬送や製造工程用部材として使われていますが、製品や用途によってサプライチェーン上の位置づけは異なります。半導体製造は数多くの工程から構成されており、それぞれの工程で求められる機能や品質要件があり、当社はお客さまごとの課題やニーズを起点とした製品開発を強みとしており、搬送時の安全性向上や製造工程における信頼性確保、歩留まり改善などに貢献しています。

さまざまな場面での採用を増やしていくことで、半導体関連市場の成長を取り込むかたちでトータルとして半導体関連部材が当社の成長を牽引する要素になると位置づけているとご理解いただければと思います。

質疑応答:メディカル分野向けフィルムのサプライチェーン上での立ち位置とアライアンスについて

司会者:「メディカル分野向けフィルムのサプライチェーン上での立ち位置を教えてください。昨今、日本国内でいくつかの企業により、『J-STAC』など目的に向けた企業の共同体が形成されています。こちらとは何か関連はあるのでしょうか? もしくは、異なるアライアンスでしょうか?」というご質問です。

日景:バイオ医薬品の製造プロセスで使用されるシングルユースバッグ向けに当社のフィルムが採用されており、これが2026年3月期の業績に大きく貢献しました。当社は完成品そのものではなく、フィルム原反の供給という立ち位置になります。

具体的な説明は控えますが、2026年3月期に業績を牽引したのは、そのようなサプライチェーン内でのポジションで、当社のフィルムの原反において性能を高く評価していただき、採用につながったと考えています。

アライアンスについては、どのようなかたちで構築していくかはこの場では申し上げられませんが、大手商社との取り組みなどチャレンジを進めている状況であることをご理解いただければと思います。

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